JP3737953B2 - 穿孔装置及び穿孔方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、クランプ力による歪みの影響が大きいワークに、歪を生ずることなく穿孔を施すための技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6に示す等速ジョイントのケージ1に、内壁2と外壁3とを貫通する孔4を、打抜き加工によって形成するような場合、ケージ1が比較的薄肉の樽型であることから、ケージ1を確実に固定するために、球面状をなす外壁3ではなく、環状平面である開口面5,6をクランプする必要がある。
【0003】
ケージ1に孔4を形成する為の加工装置として、従来から、図7に示す穿孔装置が用いられている。この穿孔装置は、ケージ1の球面状をなす外壁3に倣った受け面を有するダイス7、基準プレート8および押えプレート9を含むクランプ装置、パンチ10とそれを支持するパンチホルダ11、パンチホルダ11を駆動するスライド12、バックアップ13等で構成されている。
【0004】
そして、ダイス7上にケージ1を載置し、ケージ1の一方の開口面5(以下、「基準面」という。)に基準プレート8を、もう一方の開口面6(以下、「押え面」という。)に押えプレート9を夫々密着させて、ケージ1をクランプする。さらに、基準面5と押さえ面6の開口にパンチホルダ11を挿通して、パンチ10をダイス7に対向させる。この状態から、スライド12およびバックアップ13で、パンチホルダ11を図中矢印で示す方向に駆動することにより、ケージ1に孔4を形成することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の穿孔装置によってケージ1に孔4を形成する際に、以下のような問題が生じていた。前述のごとく、ケージ1は比較的薄肉であることから、基準面5と押え面6とに加えるクランプ力を大きくすると、ケージ1に歪が発生し、ケージ1の部品精度を低下させてしまう場合がある。
【0006】
かかる不具合を回避するためには、ケージ1に歪が発生しないクランプ力で基準面5と押え面6とを挟持して、打抜きを行う必要がある。ところが、そのようなクランプ力では、ケージ1を打ち抜く際の荷重に対し、基準面5と押え面6に付与するクランプ力が不足することとなり、当該打抜き荷重でケージ1に歪による姿勢変化を生じ、孔4の精度を悪化させてしまうことになる。
【0007】
したがって、従来は、ケージ1自体の部品精度の悪化と、孔4の精度の悪化との妥協点にクランプ力を設定し、ゲージ1に孔4の打抜き加工を行う必要があった。このような課題は、ケージ1に孔4を穿孔する場合に限らず、クランプ力による歪みの影響が大きいワークに、機械加工を施す際の共通の課題であり、適切な改善策が望まれていた。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、クランプ力による歪みの影響が大きいワークに、歪を生ずることなく高精度に穿孔を施すことを可能とするものである。加えて、本発明は、穿孔作業中に、打抜き加工の良否判定を可能とし、打抜き作業の効率を高めることを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための、本発明の請求項1に係る穿孔装置は、薄肉かつ球面状をなす外壁の両端に環状平面を有する樽型のワークの、前記両端の環状平面をクランプして外壁を貫通する装置であって、ワークの球面状をなす外壁に倣った受け面を有するダイスと、ワーク両端の環状平面をクランプするクランプ装置と、ワーク両端の環状平面の開口からワーク内に挿通されて前記ダイスに対向するパンチと、該パンチの打抜き荷重を検出するセンサと、該センサの検出値を所定値と比較して、比較結果に基づき前記クランプ装置のクランプ用アクチュエータのクランプ力を調節する制御装置と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、穿孔作業中、前記センサによって、パンチによりワークに与える打抜き荷重を検出し、当該検出値(荷重)を、前記制御装置において所定値と比較して、比較結果に基づきクランプ用アクチュエータのクランプ力を調節することにより、クランプ力に起因するワークの変形を防止し、かつ、クランプ力が不足することに起因する、孔の加工精度の悪化を防ぐ。
【0011】
また、上記課題を解決するための、本発明の請求項2に係る穿孔装置は、請求項1に記載のクランプ装置において、前記所定値は、穿孔開始時のクランプ力を維持するとワークに歪を生ずる打抜き荷重であり、予め決定されたものである。
【0012】
本発明によれば、前記所定値は、穿孔開始時のクランプ力を維持するとワークに歪を生ずる荷重とすることで、穿孔開始時には、クランプ力によりワークに歪みを生じない比較的小さな力となるように、前記クランプ用アクチュエータのクランプ力を調節する。そして、クランプ力に起因するワークの変形を防止する。また、前記センサで、穿孔開始時のクランプ力を維持するとワークに歪を生ずる荷重を検出した時点で、前記クランプ用アクチュエータのクランプ力を調節して、打抜き荷重とクランプ力との相関から求まる、所定値を超えた後の打抜き荷重においてもワークの歪みを生じない力へとクランプ力を制御することで、クランプ力が不足することに起因する、孔の加工精度の悪化を防ぐ。しかも、前記所定値は、予め決定されたものであり、事前の実験データ等を利用し最も適切な値として決定されるものである。
【0013】
また、上記課題を解決するための、本発明の請求項3に係る穿孔装置は、請求項1または2に記載の穿孔装置において、前記センサで検出したパンチの打抜き荷重に基づき、二次剪断の有無の判定を行う判定装置を備えるものである。
【0014】
ワークの打抜き面において二次剪断が発生すると、剪断面積の減少により打抜き荷重は低下する傾向にある。よって、二次剪断が発生した場合のパンチの打抜き荷重の極大値は、二次剪断が発生しない場合に比して小さな値となる。そこで、前記判定装置において、前記センサで検出したパンチの打抜き荷重に基づき、二次剪断の有無の判定を行う。
【0015】
また、上記課題を解決するための、本発明の請求項4に係る穿孔方法は、薄肉かつ球面状をなす外壁の両端に環状平面を有する樽型のワークの、前記両端の環状平面をクランプして外壁を貫通する穿孔方法であって、
ワークの球面状をなす外壁に倣った受け面を有するダイスにワークを載置し、
打抜き荷重とクランプ力との相関から求まる、穿孔開始時の打抜き荷重ではワークに歪みを生じない比較的小さなクランプ力で、ワーク両端の環状平面をクランプし、
ワーク両端の環状平面の開口からワーク内に挿通され、前記ダイスに対向するパンチにより、ワークの外壁に穿孔を行い、
当該穿孔作業中、パンチの打抜き荷重を検出し、パンチの打抜き荷重が所定値を超えた後は、打抜き荷重とクランプ力との相関から求まる、所定値を超えた後の打抜き荷重においてもワークに歪みを生じない力へとクランプ力を制御し、ワークの打抜き面に圧縮応力を付与することを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、前記パンチの打抜き荷重が所定値を超える以前のワークのクランプ力を、クランプ力と打抜き荷重との相関から求まる、穿孔開始時の打抜き荷重ではワークに歪みを生じない、比較的小さな力とすることで、穿孔開始からパンチの打抜き荷重が前記所定値を超えるまでの間、クランプ力に起因するワークの変形を防止する。また、前記パンチの打抜き荷重が所定値を超えた後は、打抜き荷重とクランプ力との相関から求まる、所定値を超えた後の打抜き荷重においてもワークに歪みを生じない力へとクランプ力を制御することで、クランプ力が不足することに起因する、孔の加工精度の悪化を防ぐことが可能となる。よって、打抜き時のワークの姿勢を常に安定させて、高精度の穿孔を行うことができる。
【0017】
さらに、前記パンチの打抜き荷重が所定値を超えた後に、打抜き荷重とクランプ力との相関から求まる、所定値を超えた後の打抜き荷重においてもワークに歪みを生じない力へ とクランプ力を制御し、ワークの打抜き面に圧縮応力(静水圧)を付与して、破断を起り難くし、パンチとダイスとのクリアランスを狭くすることにより、精密打抜きを可能とする。
【0018】
また、本発明の請求項5に係る穿孔方法は、請求項4に記載の穿孔方法において、前記所定値は、穿孔開始時のクランプ力を維持するとワークに歪を生ずる打抜き荷重であり、予め決定されたものである。
【0019】
本発明によれば、打抜き荷重とクランプ力との相関から求まる、所定値を超えた後の打抜き荷重においてもワークに歪みを生じない力へとクランプ力を制御する時点を、穿孔開始時のクランプ力を維持するとワークに歪を生ずる荷重を検出した時点とすることで、クランプ力が不足することに起因する、孔の加工精度の悪化を防ぐことが可能となる。また、前記所定値は、予め決定されたものであり、事前の実験データ等を利用し最も適切な値として決定されるものである。
【0020】
また、本発明の請求項6に係る穿孔方法は、請求項4または5に記載の穿孔方法において、パンチの打抜き荷重が所定値を超えるまで、クランプ力を、穿孔開始時の力で一定に維持することを特徴とする。
【0021】
本発明では、穿孔によりワークに与える荷重が所定値を超えるまで、穿孔開始時のクランプ力で一定に維持することにより、クランプ力の制御を強弱の二段階の制御とする。
【0022】
また、本発明の請求項7に係る穿孔方法は、請求項4または5に記載の穿孔方法において、パンチの打抜き荷重が所定値を超えるまでの間も、クランプ力を、徐々に増大させるものである。
【0023】
本発明では、パンチの打抜き荷重の増加に合わせてクランプ力も増加することにより、ワークの姿勢変化を確実に防止することができる。
【0024】
また、本発明の請求項8に係る穿孔方法は、請求項4から7のいずれか1項に記載の穿孔方法において、パンチの打抜き荷重の極大値を検知した時点で、穿孔開始時の力へクランプ力を減少させるものである。
【0025】
パンチの打抜き荷重は、ワークの打抜き面において素材の破断が始まる直前までは増大するが、破断開始によって打抜き荷重は低下し、それ以降は素材の剪断が進行して素材の破断を完了するまでの間、パンチの打抜き荷重は低下するのみである。よって、穿孔の過程において、パンチの打抜き荷重の極大値を検出すると、それ以降に、当該極大値を越える打抜き荷重を生じることはない。そこで、パンチの打抜き荷重の極大値の検出以前では、クランプ力を増大させることにより、クランプ力不足に起因する加工精度の悪化を防ぎつつ、パンチの打抜き荷重の極大値を検出した以降は、穿孔開始時の力へクランプ力を低減することにより、必要以上のクランプ力をワークに加えることに起因するワークの変形を防止する。
【0026】
また、本発明の請求項9に係る穿孔方法は、請求項4から8のいずれか1項記載の穿孔方法において、前記パンチの打抜き荷重に基づき、二次剪断の有無の判定を行うステップを含むものである。
【0027】
ワークの打抜き面において二次剪断が発生すると、剪断面積の減少により打抜き荷重は低下する傾向にある。よって、二次剪断が発生した場合のパンチの打抜き荷重の極大値は、二次剪断が発生しない場合に比して小さな値となる。そこで、前記パンチの打抜き荷重に基づき、二次剪断の有無の判定を行う。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。ここで、従来技術と同一部分及び相当する部分については同一符号で示し、詳しい説明は省略する。
【0029】
図1には、本発明の実施の形態に係る穿孔装置を示している。この穿孔装置は、ケージ1の球面状をなす外壁3に倣った受け面を有するダイス7、基準プレート8および押えプレート9を含むクランプ装置、パンチ10とそれを支持するパンチホルダ11、パンチホルダ11を駆動するスライド12、バックアップ13等を有する。また、パンチホルダ11には、パンチ10の打抜き荷重を検出するセンサ14を設けている。なおかつ、センサ14の検出値を所定値と比較して、比較結果に基づきクランプ用アクチュエータ15のクランプ力を調節する制御装置16を備えている。さらに、制御装置16には、センサ14で検出したパンチ10の打抜き荷重に基づき、二次剪断の有無の判定を行う判定装置17を備えている。
【0030】
ここで、図1に示す穿孔装置によって、ケージ1に穿孔を施す手順を説明する。まず、ダイス7上にケージ1を載置する。そして、ケージ1の基準面5に基準プレート8を、押え面6に押えプレート9を夫々密着させて、ケージ1をクランプする。この時、制御装置16は、クランプ力が、打抜き荷重とクランプ力との相関から求まる、穿孔開始時の打抜き荷重ではケージ1の歪みを生じない比較的小さな力となるように、クランプ用アクチュエータ15を制御する。次に、基準面5と押さえ面6の開口にパンチホルダ11を挿通して、パンチ10をダイス7に対向させる。この状態で、スライド12およびバックアップ13で、パンチホルダ11を、図中矢印で示す方向に駆動することにより、ケージ1に孔4を形成する。
【0031】
以下に、図1に示す穿孔装置により、ケージ1に孔4の穿孔を行う際の具体的手順を、図2に示して説明する。
【0032】
(i)まず、穿孔開始当初から、センサ14によって、パンチ10の打抜き荷重を測定する。センサ14によって測定される打抜き荷重F(t)が経時的に変化する様子を、図3に例示する。加工開始後、P1点において、パンチ10はケージ1に接触し、打抜き荷重が発生する。そして、パンチ10の送り量の増大と共に打抜き荷重も増大する。ここで、パンチの打抜き荷重は、ケージ1の素材の破断が始まる直前まで増大するが、破断開始によって打抜き荷重は低下して、それ以降は素材の剪断が進行し、それと共にパンチの打抜き荷重は低下するのみである。よって、穿孔過程において、パンチの打抜き荷重が極大値となるP2点を検出すると、それ以降に、極大値P2を越える打抜き荷重を生じることはない。そして、P3点において打抜き面は破断し、穿孔を完了する。
【0033】
そこで、制御装置16において、穿孔作業の間、センサ14で検出した打抜き荷重の値を、閾値SF(基準値)と比較する。また、制御装置16は、パンチの打抜き荷重が閾値SFを超えるまで、穿孔開始時のクランプ力で一定に維持するように、クランプ用アクチュエータ15を制御する。ここで、閾値SFは、穿孔開始時のクランプ力を維持したままでは、打抜き荷重に対し基準面5と押え面6に付与するクランプ力が不足してケージ1に歪を生じ、ケージ1に姿勢変化を生じて孔4の精度を悪化させてしまう時の、打抜き荷重である。
【0034】
閾値SFは、予め穿孔試験を行い、クランプ力と打抜き荷重との相関から求めるものであり、クランプ力を増加することに起因するケージ1の変形を防止し、かつ、クランプ力が不足することに起因する孔4の加工精度の悪化を防ぎ得る、最善のタイミングとして決定される。
【0035】
(ii)打抜き荷重の値が閾値SFを超過した時点で、制御装置16はクランプ用アクチュエータ15を制御して、クランプ力を増大させる。
(iii)クランプ力は、打抜き荷重とクランプ力との相関から求まる、ケージ1に歪みを生じない力へと増大し、かかるクランプ力を維持したまま、パンチの打抜き荷重が極大値となるP2点へと至る。さらに、パンチの打抜き荷重の極大値Fmを検知した時点で、制御装置16はクランプ用アクチュエータ15を制御して、穿孔開始時の力へと、クランプ力を減少させる。
【0036】
(iv)ここで、制御装置16に設けた判定装置17において、センサ14で検出したパンチ10の打抜き荷重の極大値Fmに基づき、ケージ1の打抜き面に二次剪断が発生しているか否かの判定を行う。
【0037】
ところで、ケージ1の打抜き面に二次剪断が発生すると、剪断面積Aが減少する。また、剪断面積Aと打抜き荷重の極大値Fmとは、図4に相関線Lで示す関係を有し、剪断面積Aの減少により、抜き荷重の極大値Fmは低下する傾向にある。よって、ケージ1の打抜き面に二次剪断が発生すると、P2点における極大値Fmは、二次剪断が発生しない場合に比して小さな値となる。そこで、判定装置17において、測定されたパンチの打抜き荷重の極大値Fmを、二次剪断の発生の判断基準値SA(この値も、予め穿孔試験を行って決定する。)と比較し、穿孔作業中に、打抜き加工の良否判定を行う。
【0038】
(v)そして、ステップ(iv)において、二次剪断の発生が無いと判断された場合には、そのケージ1は合格品として判断される。
(vi)また、ステップ(iv)において、二次剪断の発生が有ると判断された場合には、そのケージ1は不合格品として判断される。
【0039】
上記構成をなす本発明の実施の形態から得られる作用効果は、以下の通りである。まず、本発明の実施の形態では、クランプ力による歪みの影響が大きいケージ1に、パンチ10によって孔4を形成する際に、パンチ10の打抜き荷重Fが閾値SFを超える以前のクランプ力を、打抜き荷重とクランプ力との相関するから求まる、クランプ力によりケージ1に歪みを生じない比較的小さな力とし、パンチ10の打抜き荷重Fが閾値SFを超えた後は、打抜き荷重とクランプ力との相関から求まる、所定値を超えた後の打抜き荷重においてもケージ1に歪みを生じないクランプ力とするので、クランプ力に起因するケージ1の変形を防止することができる。
【0040】
また、パンチ10の打抜き荷重が閾値SFを超えた後は、打抜き荷重とクランプ力との相関するから求まる、打抜き荷重Fによるケージ1の歪みを生じないクランプ力とすることで、クランプ力が不足することに起因する、孔4の加工精度の悪化を防ぐことが可能となる。図5には、クランプ力f(t)とケージ1の基準面5、押え面6に生じる打抜き歪ε(μm)の関係を示している。図示のごとく、基準面5に生じる打抜き歪ε5、押え面6に生じる打抜き歪ε6共に、クランプ力fを増大させることで減少させることが可能である。
【0041】
特に、高い面精度が要求される基準面5の打抜き歪εの発生を抑えることは、高精度の孔4の穿孔を高精度に行う上で必要不可欠であることから、パンチ10の打抜き荷重が閾値SFを超えた後に、クランプ力を増大させて、打抜き荷重Fによるケージ1の歪みを生じないクランプ力とすることは、極めて効果的である。
【0042】
しかも、前述のごとく、パンチ10の打抜き荷重Fが閾値SFを超えた後に、クランプ力を増加させることで、ケージ1の打抜き面に圧縮応力(静水圧)を付与して、破断を起り難くすることができる。その結果として、パンチ10とダイス7とのクリアランスを狭くすることによる、精密打抜きが可能となる。このことからも、孔4の穿孔を高精度に行うことが可能となる。
【0043】
また、閾値SFは、予め穿孔試験を行い、クランプ力と打抜き荷重との相関から求めるものであり、クランプ力を増加することに起因するケージ1の変形を防止し、かつ、クランプ力が不足することに起因する孔の加工精度の悪化を防ぎ得る、最善のタイミングとして決定されるものであることから、クランプ力の増加によるケージ1の歪の発生も、クランプ力不足によるケージ1の姿勢変化も、確実に防止することができる。
【0044】
なお、本発明の実施の形態では、打抜き荷重Fが閾値SFを超えるまで、クランプ力を穿孔開始時の力で一定に維持し、打抜き荷重Fが閾値SFを越えた時点で、クランプ力を増加させるように、制御装置16でクランプ用アクチュエータ15を制御しているが、係る制御方法に代えて、閾値SFを越えた時点で、打抜き荷重とクランプ力との相関から求まる、所定値を超えた後の打抜き荷重においてもワークに歪みを生じないクランプ力が得られるように、パンチの打抜き荷重Fが閾値SFを超えるまでの間も、クランプ力を徐々に増大させることも可能である。
【0045】
そして、前者の場合には、クランプ力は強弱の二段階の制御となることから、クランプ力の制御を簡略化することができるという利点があり、後者の場合には、パンチの打抜き荷重Fの増加に合わせてクランプ力も増加することにより、確実にケージ1の姿勢変化を防止して、孔4の穿孔をより高精度に行うことできるという利点がある。
【0046】
また、パンチの打抜き荷重Fの極大値Fmを検知した時点P2で、穿孔開始時の力へとクランプ力を低減するように、制御装置16でクランプ用アクチュエータ15を制御するので、必要以上のクランプ力をケージ1に加えることに起因するケージ1の変形を防止することができる。よって、本発明の実施の形態によれば、穿孔開始時点から、穿孔完了時点に至るまで、ケージ1に歪が生ずることを防止し、打抜き時のケージ1の姿勢を常に安定させることが可能となるので、孔4の穿孔を高精度に行うことができる。
【0047】
しかも、制御装置16に設けた判定装置17において、センサ14で検出したパンチ10の打抜き荷重の極大値Fmを、二次剪断の発生の判断基準値SAと比較し、穿孔作業中に、打抜き加工の良否判定を行うことが可能であり、打抜き作業の効率を高めることができるという利点もある。
【0048】
よって、本発明の実施の形態によれば、クランプ力による歪みの影響が大きいケージ1に、歪を生ずることなく高精度に穿孔を施すことが可能となり、穿孔作業中に、打抜き加工の良否判定を可能とし、打抜き作業の効率を高めることが可能となる。
【0049】
なお、本発明の実施の形態では、ケージ1に孔4を穿孔する場合を例示して説明したが、本発明は係る場合に限定されるものではなく、クランプ力による歪みの影響が大きいワークに、機械加工を施す際に、ワークに対し最適なクランプ力を付与するためのクランプ方法およびクランプ装置を提供するものである。
【0050】
なお、穿孔作業以外の機械加工をワークに施す場合には、機械加工によりワークに与える荷重の増減が繰返される場合があるので、クランプ力も、荷重の増減に合わせて増減させることで、クランプ力による歪みの影響が大きいワークに、歪を生ずることなく高精度に機械加工を施すことが可能となる。
【0051】
【発明の効果】
本発明はこのように構成したので、以下のような効果を有する。まず、本発明の請求項1に係る穿孔装置によれば、クランプ力による歪みの影響が大きいワークに、歪を生ずることなく高精度に穿孔を施すことが可能となる。さらに、本発明の請求項2に係る穿孔装置によれば、クランプ力の増加によるワークの歪の発生と、クランプ力不足による孔の加工精度の低下を、確実に防止することができる。また、本発明の請求項3に係る穿孔装置によれば、穿孔作業中に、打抜き加工の良否判定を可能とし、打抜き作業の効率を高めることが可能となる。
【0052】
また、本発明の請求項4に係る穿孔方法によれば、クランプ力による歪みの影響が大きいワークに、歪を生ずることなく高精度に穿孔を施すことが可能となる。また、本発明の請求項5に係る穿孔方法によれば、クランプ力の増加によるワークの歪の発生と、クランプ力不足による孔の加工精度の低下を、確実に防止することができる。
【0053】
また、本発明の請求項6に係る穿孔方法によれば、クランプ力の制御を簡略化することができる。一方、本発明の請求項7に係る穿孔方法によれば、確実にワークの姿勢変化を防止して、より高精度の穿孔を行うことができる。
【0054】
また、本発明の請求項8に係る穿孔方法によれば、必要以上のクランプ力をワークに加えることに起因するワークの変形を防止して、より高精度の穿孔を行うことができる。また、本発明の請求項9に係る穿孔方法によれば、穿孔作業中に、打抜き加工の良否判定を可能とし、打抜き作業の効率を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る穿孔装置を示す模式図である。
【図2】 図1に示す穿孔装置によりケージに穿孔を行う手順を示すフローチャートである。
【図3】 図1に示す穿孔装置のセンサによって測定される打抜き荷重が、経時的に変化する様子を示すグラフである。
【図4】 打抜き面の剪断面積と、打抜き荷重の極大値との関係を示すグラフである。
【図5】 クランプ力と、ケージの基準面・押え面に生じる打抜き歪との関係を示すグラフである。
【図6】 等速ジョイントのケージを示す斜視図である。
【図7】 従来の穿孔装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1 ケージ
2 内壁
3 外壁
4 孔
5 基準面
6 押え面
7 ダイス
8 基準プレート
9 押えプレート
10 パンチ
11 パンチホルダ
12 スライド
13 バックアップ
14 センサ
15 クランプ用アクチュエータ
16 制御装置
17 判定装置
Claims (9)
- 薄肉かつ球面状をなす外壁の両端に環状平面を有する樽型のワークの、前記両端の環状平面をクランプして外壁を貫通する装置であって、
ワークの球面状をなす外壁に倣った受け面を有するダイスと、ワーク両端の環状平面をクランプするクランプ装置と、ワーク両端の環状平面の開口からワーク内に挿通されて前記ダイスに対向するパンチと、該パンチの打抜き荷重を検出するセンサと、該センサの検出値を所定値と比較して、比較結果に基づき前記クランプ装置のクランプ用アクチュエータのクランプ力を調節する制御装置と、を備えることを特徴とする穿孔装置。 - 前記所定値は、穿孔開始時のクランプ力を維持するとワークに歪を生ずる打抜き荷重であり、予め決定されたものであることを特徴とする請求項1記載のクランプ装置。
- 前記センサで検出したパンチの打抜き荷重に基づき、二次剪断の有無の判定を行う判定装置を備えることを特徴とする請求項1または2記載の穿孔装置。
- 薄肉かつ球面状をなす外壁の両端に環状平面を有する樽型のワークの、前記両端の環状平面をクランプして外壁を貫通する穿孔方法であって、
ワークの球面状をなす外壁に倣った受け面を有するダイスにワークを載置し、
打抜き荷重とクランプ力との相関から求まる、穿孔開始時の打抜き荷重ではワークに歪みを生じない比較的小さなクランプ力で、ワーク両端の環状平面をクランプし、
ワーク両端の環状平面の開口からワーク内に挿通され、前記ダイスに対向するパンチにより、ワークの外壁に穿孔を行い、
当該穿孔作業中、パンチの打抜き荷重を検出し、パンチの打抜き荷重が所定値を超えた後は、打抜き荷重とクランプ力との相関から求まる、所定値を超えた後の打抜き荷重においてもワークに歪みを生じない力へとクランプ力を制御し、ワークの打抜き面に圧縮応力を付与することを特徴とする穿孔方法。 - 前記所定値は、穿孔開始時のクランプ力を維持するとワークに歪を生ずる打抜き荷重であり、予め決定されたものであることを特徴とする請求項4記載の穿孔方法。
- パンチの打抜き荷重が所定値を超えるまで、クランプ力を、穿孔開始時の力で一定に維持することを特徴とする請求項4または5記載の穿孔方法。
- パンチの打抜き荷重が所定値を超えるまでの間も、クランプ力を、徐々に増大させることを特徴とする請求項4または5記載の穿孔方法。
- パンチの打抜き荷重の極大値を検知した時点で、穿孔開始時の力へクランプ力を減少させることを特徴とする請求項4から7のいずれか1項記載の穿孔方法。
- 前記パンチの打抜き荷重に基づき、二次剪断の有無の判定を行うステップを含むことを特徴とする請求項4から8のいずれか1項記載の穿孔方法。
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