JP3736343B2 - 直流電子ビーム加速装置およびその直流電子ビーム加速方法 - Google Patents

直流電子ビーム加速装置およびその直流電子ビーム加速方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、直流電子ビーム加速装置および直流電子ビーム加速方法に関し、特に、食品照射、検疫照射、汚泥処理、排水処理、医療殺菌、低速陽電子発生等に用いる大強度の直流電子ビームを加速する直流電子ビーム加速装置および直流電子ビーム加速方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図10は、例えば、「小型シンクロトロン放射光源”オーロラ”の開発」(高橋、山田著、住友重機械技法、Vol.39,No.116,1991,2〜10頁)に記載されている従来の電子ビーム加速装置である。このようなタイプの電子ビーム加速器はレーストラック・マイクロトロンと呼ばれている。図10において、111は電子銃、112は入射電磁石、113は高周波空洞(ライナック)、114は偏向電磁石、115は電子ビーム軌道である。
【0003】
次に、動作について説明する。電子は電子銃111で発生する。発生する電子ビームは、周波数が数Hz〜数100Hz、パルス幅が10ns〜数μs程度のパルスビームである。発生した電子は、入射電磁石112によりレーストラック・マイクロトロンに入射される。レーストラック・マイクロトロン中では電子ビーム軌道115を通りながら、高周波空洞113を通過する毎に加速される。レーストラック・マイクロトロンでは主としてSバンド帯(約2.8GHz)の高周波電界により加速を行う。高周波空洞113を1回通過するときに得るエネルギーは、5MeV程度であることが多い。電子ビーム軌道115を作るために、高周波空洞113の両側に、偏向電磁石114が配設されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の電子ビーム加速装置では、高周波空洞113を通過する時の周回毎の加速位相は、高周波空洞の加速電圧と偏向電磁石114の磁場強度との関係式から一義的に決まる。したがって、電子ビームを高エネルギーまで加速可能とするためには、(1)高周波空洞113を通過するときのエネルギーゲインが電子の静止質量(約511keV)の整数倍に近い、(2)電子ビームの速度が光速に近い、という2つの条件を満たす必要がある。
【0005】
ところで、電子ビームの入射エネルギーが低い場合には、電子ビームの速度は光速よりかなり遅く(例えば、入射エネルギーが80keVの場合、電子ビームの速度は、光速の約1/2)なるので、上記条件は成り立たない。さらに、高周波空洞113を通過するときのエネルギーゲインが小さいと、電子ビームが光速に近づくまでの周回数が増えるので、その間に加速位相からのずれが大きくなり加速が難しいといった問題が生じる。このため、従来の装置では、高周波空洞113の加速電圧を上げて電子ビームを高周波空洞に1回程度通過させれば、ほとんど光速となるようなパラメータで運転を行う必要があった。
【0006】
単位長さ当たりの加速電圧を上げるためには、高周波空洞113に投入する高周波電界の周波数を高くする必要があり、1GHz〜3GHz程度とする必要があった。それより周波数が低い場合で、高周波空洞の加速電圧を上げるためには、高周波空洞の全長を長くする必要がある。この場合、高周波空洞を通過する途中で急激に電子ビームの位相と高周波加速電界との位相のずれが大きくなり、高周波空洞の通過中で減速位相となり、加速が難しくなるからである。
【0007】
ところで、1GHz〜3GHzといった周波数の高い高周波空洞は、全体の寸法が必然的に小さくなり、大電力を投入したときの熱の除去が難しくなり、平均電流の大きな直流電子ビームの加速が難しいという問題点があった。このため、大強度の直流電子ビームを要する食品照射、検疫照射、汚泥処理、排水処理、医療殺菌、低速陽電子発生等への適用が困難であった。
【0008】
また、従来の電子ビーム加速装置は「周回毎のエネルギーゲインが電子の静止エネルギー(約511keV)のほぼ整数倍でなくてはならない。」というマイクロトロン加速条件を満たさなければならず、パラメータの制約から電力効率を高くすることができないという問題点があった。
【0009】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、第1の目的は、平均電流の大きな電子ビームを加速することができる直流電子ビーム加速装置およびその直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法を得るものである。
また、第2の目的は、マイクロトロン加速で必須とされていた、「周回毎のエネルギーゲインが電子の静止エネルギーのほぼ整数倍でなくてはならない。」という条件を満たさなくても電子ビームを加速することができ、パラメータの自由度を増加し、結果的に、電力効率を高くすることができる直流電子ビーム加速装置およびその直流電子ビーム加速方法を得るものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明の第1の局面における請求項1の直流電子ビーム加速装置は、直流電子ビームを発生する電子ビーム発生手段と、直流電子ビームの加速を行う電子ビーム加速手段と、電子ビーム加速手段の一端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第1の電子ビーム偏向手段と、電子ビーム発生手段が配設された側で電子ビーム加速手段の他端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第2の電子ビーム偏向手段とを備えた直流電子ビーム加速装置であって、両電子ビーム偏向手段は、それぞれ、一方の面が上記電子ビーム加速手段の側面側に対向して設けられた第1の偏向電磁石と、この第1の偏向電磁石の他方の面に対向し、分割して設けられた第2の偏向電磁石および第3の偏向電磁石とから構成され、第1の偏向電磁石が、第2の偏向電磁石および第3の偏向電磁石とは極性が異なる逆偏向電磁石からなり、第2の偏向電磁石が第3の偏向電磁石とは極性が同じで、第3の偏向電磁石とは異なる第1の磁場強度を有しており、第3の偏向電磁石が第2の偏向電磁石とは極性が同じで、第2の偏向電磁石とは異なる第2の磁場強度を有するものである。
【0011】
また、この発明の請求項2の直流電子ビーム加速装置は、請求項1の記載のものであって、第2の偏向電磁石および第3の偏向電磁石の第1の偏向電磁石と対向する面が階段状に形成された磁極形状とするものである。
【0012】
また、この発明の請求項3の直流電子ビーム加速装置は、直流電子ビームを発生する電子ビーム発生手段と、直流電子ビームの加速を行う電子ビーム加速手段と、加速された直流電子ビームを偏向する電子ビーム偏向手段とを備えた直流電子ビーム加速装置であって、電子ビーム偏向手段は、電子ビーム加速手段の一端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第1の電子ビーム偏向手段と、電子ビーム発生手段が配設された側で電子ビーム加速手段の他端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第2の電子ビーム偏向手段と、第1の電子ビーム偏向手段と第2の電子ビーム偏向手段との間に配設されて電子ビーム加速手段の対向側の直線部に設けられ、2極の磁場を発生し、該磁場を通る電子ビームの周回軌道長を調整する第3の電子ビーム偏向手段とからなるものである。
【0013】
また、この発明の第2の局面における請求項4の直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法は、直流電子ビームを発生する電子ビーム発生手段と、直流電子ビームの加速を行う電子ビーム加速手段と、電子ビーム加速手段の一端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第1の電子ビーム偏向手段と、電子ビーム発生手段が配設された側で電子ビーム加速手段の他端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第2の電子ビーム偏向手段とを備えた直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法であって、(a)電子ビーム加速手段へ入射する直流電子ビームの加速位相を、電子ビーム発生手段の直流電子ビームの位相と電子ビーム加速手段の加速電界の位相との差を調整して行うステップと、(b)電子ビーム加速手段へ入射する直流電子ビームの加速位相を、電子ビーム加速手段と第1の電子ビーム偏向手段との間の距離を調整して行うステップと、(c)電子ビーム加速手段へ入射する直流電子ビームの加速位相を、第1の電子ビーム偏向手段と第2の電子ビーム偏向手段との間の距離を調整して行うステップと、(d)電子ビーム加速手段へ入射する直流電子ビームの加速位相を、両電子ビーム偏向手段に設けられた同極性の偏向電磁石における磁場強度の比および偏向角を調整して行うステップとを備えるものである。
【0014】
また、この発明の請求項5の直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法は、請求項4の記載のものであって、(a)のステップを第1回目に行い、(b)のステップを第2回目に行い、(c)のステップを第3回目に行い、(d)のステップを第4回目以降に行うものである。
【0015】
また、この発明の請求項6の直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法は、請求項4の記載のものであって、(a)のステップを第1回目に行い、(b)のステップを第2回目に行い、(c)のステップを第4回目以降の所定の周回目に行い、(d)のステップを第3回目以降の(c)のステップで行う周回目を除く周回目に行うものである。
【0016】
また、この発明の請求項7の直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法は、直流電子ビームを発生する電子ビーム発生手段と、直流電子ビームの加速を行う電子ビーム加速手段と、電子ビーム加速手段の一端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第1の電子ビーム偏向手段と、電子ビーム発生手段が配設された側で電子ビーム加速手段の他端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第2の電子ビーム偏向手段と、第1の電子ビーム偏向手段と第2の電子ビーム偏向手段との間に配設されて電子ビーム加速手段の対向側の直線部に設けられ、2極の磁場を発生する第3の電子ビーム偏向手段とを備えた直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法であって、(a)電子ビーム加速手段へ入射する直流電子ビームの加速位相を、電子ビーム発生手段の直流電子ビームの位相と電子ビーム加速手段の加速電界の位相との差を調整して行うステップと、(b)電子ビーム加速手段へ入射する直流電子ビームの加速位相を、電子ビーム加速手段と第1の電子ビーム偏向手段との間の距離を調整して行うステップと、(c)電子ビーム加速手段へ入射する直流電子ビームの加速位相を、第1の電子ビーム偏向手段と第2の電子ビーム偏向手段との間の距離を調整して行うステップと、(d)電子ビーム加速手段へ入射する直流電子ビームの加速位相を、第3の電子ビーム偏向手段の磁場強度を変えることで、各周回の周長を調整して行うステップとを備えるものである。
【0017】
また、この発明の請求項8の直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法は、請求項7の記載のものであって、(a)のステップを第1回目に行い、(b)のステップを第2回目に行い、(c)のステップを第3回目に行い、(d)のステップを第4回目以降に行うものである。
【0018】
また、この発明の請求項9の直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法は、請求項7の記載のものであって、(a)のステップを第1回目に行い、(b)のステップを第2回目に行い、(c)のステップを第4回目以降の所定の周回目に行い、(d)のステップを第3回目以降の(c)のステップで行う周回目を除く周回目に行うものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1である直流電子ビーム加速装置の概略構成を示す説明図であり、より具体的には、該装置の直流電子ビームが加速される面(軌道平面)の概略構成を示す説明図である。図1において、11は直流電子ビームを発生する電子ビーム発生部、12は電子ビーム発生部11で発生した直流電子ビームを入射する電子ビーム入射部である。13は電子ビーム入射部12から入射された直流電子ビームの加速を行う電子ビーム加速部(高周波空洞)で、この実施の形態1では、2つのセル(加速ギャップ)から構成されている。
【0020】
14、15および16は、電子ビーム加速部13から出射された直流電子ビームを偏向して直流電子ビームの進行方向を変化させ、直流電子ビームの軌道17の軌道を形成させる電子ビーム偏向手段である。この電子ビーム偏向手段は、電子ビーム加速部13の一端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第1の電子ビーム偏向手段(図1の右側に図示)と、電子ビーム発生部11が配設された側で電子ビーム加速部13の他端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第2の電子ビーム偏向手段(図1の左側に図示)とから構成されている。
【0021】
第1および第2の電子ビーム偏向手段は、それぞれ、一方の面が電子ビーム加速部13の側面側に対向して設けられた第1の偏向電磁石14と、この第1の偏向電磁石14の他方の面に対向し、分割して設けられた第2の偏向電磁石15および第3の偏向電磁石16とから構成される。第1の偏向電磁石14は、第2の偏向電磁石15および第3の偏向電磁石16とは極性が異なる逆偏向電磁石からなり、1回目に通過した直流電子ビームを再度同じ軌道上で逆向きの軌道にする働きをするとともに、周回する直流電子ビームのビームサイズを所定の範囲内に保つ働きをする。
【0022】
第2の偏向電磁石15は、第3の偏向電磁石16とは極性が同じで、第3の偏向電磁石16とは異なる磁場強度を有する。また、第3の偏向電磁石16は、第2の偏向電磁石14とは極性が同じで、第2の偏向電磁石15とは異なる磁場強度を有する。
この実施の形態1では、第2の偏向電磁石15の磁場強度より、第3の偏向電磁石16の磁場強度を弱くしている。このため、電子ビーム加速部13と対向側の直流電子ビームの軌道17とを、電子ビーム加速部13側とほぼ平行に保つには第3の偏向電磁石16内部の軌道長を長くする必要があり、図1の16a,16bに示すように、第3の偏向電磁石16における直流電子ビームの出口部分が階段状に形成された磁極形状となる。左側と右側の直流電子ビーム偏向手段は、この実施の形態1ではほぼ同形状で、対称に配設されている。
なお、直流電子ビーム加速装置から電子ビームを取り出す部分近傍は、電子ビームの取り出す方向を調整する目的で、左側と右側の直流電子ビーム偏向手段の形状を若干変えてもよい。
【0023】
このように、第2の偏向電磁石および第3の偏向電磁石の第1の偏向電磁石と対向する面が階段状に形成された磁極形状とすることにより、電子ビーム加速部と対向側の直流電子ビームの軌道を、電子ビーム加速部側とほぼ平行に保つことができ、加速位相幅の広い直流電子ビームを加速することが可能となる。
なお、図1の16a,16bに示すように、階段状に形成された磁極形状は張り出しているが、パラメータによっては、第3の偏向電磁石16内部の軌道長を短くする必要がある場合もあり、この場合には、第3の偏向電磁石16における直流電子ビームの出口部分は階段状にへこんだ磁極形状となる。
【0024】
直流電子ビームの軌道17は、電子ビーム加速部13の位置ではほぼ同一軌道となるように各磁石のパラメータが調整されている。この実施の形態1では、直流電子ビームは電子ビーム加速部13を5回通過した後、直流電子ビーム加速装置外へ取り出される。
【0025】
この実施の形態1では、例えば、電子を5MeVまで加速するCW(Continuous Wave)の直流電子ビーム加速装置について説明する。この発明における直流電子ビームとは、繰り返しが500MHzといった非常に高周波数の電子ビームが、連続に連なっているビームのことである。このようなビームを加速する加速器を、加速器の研究者は一般にCW加速器と呼んでいる。電子ビーム加速部13は、高エネルギー加速器で通常用いられる高周波空洞を用いており、この実施の形態1では、加速電圧は1MV程度を想定している。直流電子ビームの加速は、電子ビーム加速部13で行う。数10kW〜数100kW級の平均電流の大きな直流電子ビームを加速するには、電子ビーム加速部13に大強度のパワーを投入する必要があり、電子ビーム加速部13には、周波数が約900MHz以下の高周波電界を投入する。
【0026】
高周波電界を投入すると、電子ビーム加速部13に用いられている高周波空洞の壁の電気抵抗により熱が発生する。この熱により高周波空洞の寸法が変わると、所定の高周波電界をかけることができなくなるので、熱を除去する必要がある。高周波空洞に投入できる電力(パワー)は熱の除去が可能な大きさと相関があり、通常、高周波空洞の寸法が大きい程、大電力を投入できる。高周波空洞の寸法を大きくするためには、高周波電界の周波数を下げる必要がある。高周波空洞は、一般に、投入する高周波電界の波長に比例した大きさとなる。波長と周波数は逆比例するので、高周波空洞の寸法を大きくするためには、高周波電界の周波数を下げる必要がある。
【0027】
高周波電界の周波数が低い程、電子ビーム加速部13の寸法が大きくなり、且つ、電子ビーム加速装置の大きさが大きくなる。また、高周波電界の周波数が低い程、単位長さ当たりの電子ビームのエネルギーゲインが小さくなる。一方、高周波電界の周波数が低い程、空洞壁で損失するパワーの除去が簡単になる。このため、上記の相関(トレードオフ)により、選択する周波数が決定される。平均電流の大きな直流電子ビームを加速したい場合には、より低加速周波数の高周波電界を選択する必要があり、この実施の形態1のように、数10kW〜数100kW級の平均電流の大きなを加速するためには、周波数900MHz以下の高周波空洞を用いるのが望ましい。
【0028】
一方、電子ビーム加速部13の加速電圧が高いと壁損失が増加する。一般に、壁損失は加速電圧の2乗に比例する。直流電子ビーム加速装置は必要な電力が小さいことが望まれるので、壁損失を少なくするために加速電圧が低いことが望ましい。ところで、この実施の形態1における直流電子ビーム加速装置の入射エネルギーは、100keV程度以下であり、低エネルギーのときにおける電子の光速との速度の差が無視できない。光速との速度の差があると、加速電圧を下げて空洞長を長くした場合には、加速中に直流電子ビームは高周波電界の位相からずれて加速できなくなる。このため、加速電圧はある値以下には下げることはできないので、加速高周波電界の周波数が決まれば必要な加速電圧はある程度の範囲に限定される。
【0029】
以上のようなことにより、この実施の形態1における直流電子ビーム加速装置は、数10kW〜数100kW程度の直流電子ビームの加速を考えると、電子ビーム加速部13の加速周波数は約900MHz以下に限定される。また、加速電圧や高周波空洞のセル数等もある範囲に限定される。
【0030】
例えば、周波数として500MHzを選択した場合、5MeVまで加速するためには、電子ビーム加速部13のセル数2、加速電圧1MV、高周波空洞の通過数5回程度の値が望ましい。この場合、電子ビーム加速部13での壁損失は60kW程度となり、30kWのビームを加速しようとすると、高周波電源としては90kW〜100kW程度の電源パワーが必要となる。高周波電源としては、例えばクライストロン電源、誘導出力管(IOT:Inductive Output Tube)電源などを用いることができる。
【0031】
ところで、低エネルギーの直流電子ビームの速度は光速とは見なせず、周回毎に速度が変化する。また、電子ビーム加速部13を通過するときに得るエネルギーは通過毎に異なる。なぜなら、電子ビーム加速部13にかけられている高周波電界の周波数は一定であるのに、通過する直流電子ビームの速度が周回毎に異なるからである。このため、従来の電子ビーム加速装置は、加速周波数を下げて、高周波空洞通過時のエネルギーゲインを下げると、直流電子ビームは加速位相からずれ、加速できる位相幅は非常に狭くなってしまい、加速不能、又は、加速できたとしても平均電流の大きな直流電子ビームを加速することは難しい。
【0032】
上記のような問題を解決するために、この実施の形態1では、電子ビーム偏向手段で主偏向を担当する磁石を、同極性で異なる磁場強度を有する、第2の偏向電磁石15と第3の偏向電磁石16とに分割している。そして、以下のように電子ビーム加速部13を通過する直流電子ビームの加速位相の調整を行う。なお、電子ビーム加速部13へ入射するビームの加速位相の最適値は周回毎に異なるので、以下のようなステップで周回毎に周長を制御する。
【0033】
(a)第1回目に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビーム:電子ビーム発生部11の直流電子ビームの位相と電子ビーム加速部13の加速電界の位相との差を調整する。
(b)第2回目に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビーム:電子ビーム加速部13と第1の電子ビーム偏向手段14,15,16との間の距離を調整する。
【0034】
(c)第3回目に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビーム:第1の電子ビーム偏向手段14,15,16と第2の電子ビーム偏向手段14,15,16との間の距離を調整する。
(d)第4、5回目に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビーム:電子ビーム偏向手段の同極性の偏向電磁石における磁場強度の比(第2の偏向電磁石15と第3の偏向電磁石16との磁場強度の比)および偏向角を調整することで周長を調整する。
【0035】
直流電子ビームの(a)(b)(c)のステップの加速位相の調整は、直流電子ビームのタイミングの調整と、電子ビーム発生部11、電子ビーム加速部13、電子ビーム偏向手段14,15,16の配設位置の調整とで行うので、実現可能である。直流電子ビームの(d)のステップの加速位相の調整が可能かどうかについて、コンピュータシミュレーションにより検討した結果を以下に説明する。
【0036】
図1の直流電子ビームの軌道17は、ビームシミュレーションの結果得られたビームの加速軌道の一例であり、5ターン目の直流電子ビームの加速位相を、この発明の電子ビーム偏向手段を採用しなかったときの加速位相から、55度ずらしたときの直流電子ビームの中心軌道のシミュレーション結果を示している。電子ビーム加速部13の外側を通過する4ターン目の直流電子ビーム17bと、5ターン目の直流電子ビーム17cとの軌道のターンセパレーションが大きくなっている。
【0037】
直流電子ビーム17b,17cの軌道のターンセパレーションは十分に大きいので、第2の偏向電磁石15のみを通過する第3ターン目の直流電子ビーム17aの軌道と、第2の偏向電磁石15と第3の偏向電磁石16とを通過する4ターン目の直流電子ビーム17bの軌道とのターン間距離は磁石分割部分で20cm程度あり、電磁石の磁極間ギャップを変えた電磁石を作成することにより、実現可能である。
【0038】
偏向電磁石15,16を2分割したときの、2つの磁場強度の比と軌道長の差の関係を図2に示す。軌道長の差とは、均一な分割されていない偏向電磁石の場合と、この実施の形態1のように2分割された偏向電磁石15,16の場合との1周回長の差と定義している。図2において、100度および110度は、第2の偏向電磁石15の偏向角を示す。別の検討により、2分割の偏向電磁石15,16を実現させるためには、第2の偏向電磁石15の偏向角をほぼ100度以上にする必要がある。
【0039】
この実施の形態1で5MeVまで電子ビームを加速するためには、2分割の偏向電磁石を用いない場合の軌道周長より、7cm程度軌道長を長くする必要があることが、別のシミュレーション結果からわかっている。即ち、図2中の縦軸の軌道長の差が7cmとなるような条件を作る必要がある。図2より、2分割の偏向電磁石の磁場強度比を、第2の偏向電磁石15の偏向角が100度のときは、0.85倍以下、また、該偏向角が110度のときは、0.8倍以下にすれば、上記条件が達成できることがわかる。この値は電磁石の磁場設計では達成できる値である。
【0040】
また、図3に縦軸を位相差(2分割の偏向電磁石を用いない場合の加速位相からのずれ)としたときの関係を示す。別のシミュレーション結果から、42度程度の位相差を作れば5MeVまで安定に加速できることがわかっている。図3より、2分割の偏向電磁石の磁場強度比を、第2の偏向電磁石15の偏向角が100度のときは、0.85倍以下、また、該偏向角が110度のときは、0.8倍以下にすれば、上記条件が達成できることがわかる。
【0041】
図4は、この実施の形態1で電子ビーム発生部11の出口から、直流電子ビーム加速装置を出るまでのビームシミュレーションを行い、出射時のエネルギースペクトルを計算した結果を示している。図4より、エネルギー分散±1.2%を保ちながら、直流電子ビームを加速できることがわかる。なお、この計算結果では最終的な加速エネルギーは、4.7MeV程度であるが、電子ビーム加速部13の電圧を数%あげることにより、容易に5MeVまで加速することが同様なシミュレーション結果からわかっている。
【0042】
以上のように、この実施の形態1によれば、直流電子ビームを発生する電子ビーム発生部11と、直流電子ビームの加速を行う電子ビーム加速部13と、電子ビーム加速部13の一端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第1の電子ビーム偏向手段14,15,16と、電子ビーム発生部11が配設された側で電子ビーム加速部13の他端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第2の電子ビーム偏向手段14,15,16とを備えた直流電子ビーム加速装置であって、第1および第2の電子ビーム偏向手段は、それぞれ、一方の面が電子ビーム加速部13の側面側に対向して設けられた第1の偏向電磁石14と、この第1の偏向電磁石14の他方の面に対向し、分割して設けられた第2の偏向電磁石15および第3の偏向電磁石16とから構成されており、第1の偏向電磁石14が、第2の偏向電磁石15および第3の偏向電磁石16とは極性が異なる逆偏向電磁石からなり、第2の偏向電磁石15が第3の偏向電磁石16とは極性が同じで、第3の偏向電磁石16とは異なる第1の磁場強度を有しており、第3の偏向電磁石16が第2の偏向電磁石15とは極性が同じで、第2の偏向電磁石15とは異なる第2の磁場強度を有することにより、電子ビーム加速部13に低加速周波数の高周波電界を選択すること、例えば、500MHz程度の低加速周波数の高周波空洞を用いることができ、このため、平均電流の大きな直流電子ビームの加速が可能となる。
また、マイクロトロン加速で必須とされていた「周回毎のエネルギーゲインが電子の静止エネルギーのほぼ整数倍でなくてはならない」という条件を満たさなくても直流電子ビームを加速でき、パラメータの自由度が増加したので、結果的に、電力効率を高くすることが可能となる。さらに、電子ビーム加速手段での壁損失を低減することができ、この為電力効率を高くすることができる。
【0043】
また、第2の偏向電磁石15および第3の偏向電磁石16の第1の偏向電磁石14と対向する面が階段状に形成された磁極形状とすることにより、電子ビーム加速部13と対向側の直流電子ビームの軌道17を、電子ビーム加速部13側とほぼ平行に保つことができる。
【0044】
また、直流電子ビームを発生する電子ビーム発生部11と、直流電子ビームの加速を行う電子ビーム加速部13と、電子ビーム加速手段の一端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第1の電子ビーム偏向手段14,15,16と、電子ビーム発生部11が配設された側で電子ビーム加速部13の他端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第2の電子ビーム偏向手段14,15,16とを備えた直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法であって、第1回目に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビームの加速位相は、電子ビーム発生部11の直流電子ビームの位相と電子ビーム加速部13の加速電界の位相との差を調整して行い、第2回目に上記電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビームの加速位相は、電子ビーム加速部13と第1の電子ビーム偏向手段14との間の距離を調整して行い、第3回目に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビームの加速位相は、第1の電子ビーム偏向手段14,15,16と第2の電子ビーム偏向手段14,15,16との間の距離を調整して行い、第4、5回目に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビームの加速位相は、両電子ビーム偏向手段14,15,16の同極性の偏向電磁石15,16の磁場強度の比および偏向角を調整して行うようにすることにより、周回毎の直流電子ビームの加速位相を調整することができる。このため、マイクロトロン加速で必須とされていた、「周回毎のエネルギーゲインが電子の静止エネルギーのほぼ整数倍でなくてはならない」という条件を満たさなくても直流電子ビームを加速することができ、また、加速位相幅(20度程度)の広い直流電子ビームを加速することが可能となる。さらに、電子ビーム加速手段と対向側の直流電子ビームの軌道を、電子ビーム加速手段側とほぼ平行に保つことができる。
【0045】
実施の形態2.
この実施の形態2では、実施の形態1と同様に、電子を5MeVまで加速するCWの直流電子ビーム加速装置および直流電子ビーム加速方法の例を用いて説明をする。
図5は、この発明の実施の形態2である直流電子ビーム加速装置の概略構成を示す説明図であり、より具体的には、該装置の直流電子ビームが加速される面(軌道平面)の概略構成を示す説明図である。図5において、図1と同じ符号は、同一または相当品を示し、その説明を省略する。
【0046】
14,21,22は、電子ビーム加速部13から出射された直流電子ビームを偏向して直流電子ビームの進行方向を変化させ、直流電子ビームの軌道17の軌道を形成させる電子ビーム偏向手段である。この電子ビーム偏向手段は、電子ビーム加速部13の一端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第1の電子ビーム偏向手段(図5の右側に図示)と、電子ビーム発生部11が配設された側で電子ビーム加速部13の他端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第2の電子ビーム偏向手段(図5の左側に図示)と、第1の電子ビーム偏向手段と第2の電子ビーム偏向手段との間に配設され、電子ビーム加速部13の対向側の直線部に設けられた第3の電子ビーム偏向手段である位相シフター磁石22とから構成されている。
【0047】
第1の電子ビーム偏向手段および第2の電子ビーム偏向手段は、逆偏向電磁石14と、この逆偏向電磁石14の極性とは逆になっている主偏向電磁石21とからなっている。位相シフター磁石22は、22a,22bの2極の磁場を発生させる磁石からなっており、例えば、(1)独立の磁石とする、(2)同一のリターンヨークを持つ磁石とし、それぞれの磁極に別々にコイルを巻く、(3)個々の磁極のギャップを変える、(4)別々の永久磁石を配置する、等でおこなう。
【0048】
電子ビーム発生部11で直流電子ビームを発生させ、逆偏向電磁石14、主偏向電磁石21および位相シフター磁石22により、直流電子ビームの軌道17を形成させている。直流電子ビームの軌道17は、電子ビーム加速部13の位置でほぼ同一軌道となるように、逆偏向電磁石14、主偏向電磁石21および位相シフター磁石22のパラメータが調整されている。逆偏向電磁石14は、1回目に通過した直流電子ビームを再度同じ軌道上で逆向きの軌道にする働きをするとともに、周回する直流電子ビームのサイズを所定の範囲内に保つ働きをする。直流電子ビームは、電子ビーム加速部13を5回通過した後、電子ビーム加速装置外へ取り出される。
【0049】
直流電子ビームの加速は、電子ビーム加速部13で行い、その加速周波数やパラメータの選択は実施の形態1と同様である。この実施の形態2では加速位相を調整するために設けられた位相シフター磁石22a,22bに、2極の磁場を発生させて、直流電子ビームの4ターン目の軌道17bと5ターン目の軌道17cの周長を調整している。位相シフター磁石22a,22bにおいて、該軌道17b,17cが通過する部位に、2極の磁場を発生させるように励磁されている。なお、ここでは、2極の磁場が支配的な位相シフター磁石を示しているが、2極の磁場に加え4極の磁場成分を若干有する位相シフター磁石でもよい。
【0050】
以下のように電子ビーム加速部13を通過する直流電子ビームの加速位相の調整を行う。なお、電子ビーム加速部13へ入射するビームの加速位相の最適値は周回毎に異なるので、以下のようなステップで周回毎に周長を制御する。
(a)第1回目に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビーム:電子ビーム発生部11の直流電子ビームの位相と電子ビーム加速部13の加速電界の位相との差を調整する。
(b)第2回目に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビーム:電子ビーム加速部13と第1の電子ビーム偏向手段14,21との間の距離を調整する。
【0051】
(c)第3回目に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビーム:第1の電子ビーム偏向手段14、21と第2の電子ビーム偏向手段14、21との間の距離を調整する。
(d)第4、5回目に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビーム:位相シフター磁石22a,22bの磁場強度を変えることで、個々のターンの周長を調整する。
【0052】
この実施の形態2では、逆偏向電磁石14で直流電子ビームを外側に蹴り、位相シフター磁石22で内側に蹴ることにより、直流電子ビームの軌道を形成させている。
図5の直流電子ビームの軌道17は、ビームシミュレーションの結果得られた加速軌道の一例であり、5ターン目の加速位相をこの発明の実施の形態2を適用しないときの加速位相から、55度ずらしたときのビーム中心軌道のシミュレーション結果を示している。電子ビーム加速部13の外部を通過する山状の4,5ターン目の軌道17b,17cが、位相シフター磁石22a,22bにより周長の調整が行われたときの軌道である。
【0053】
図6に、4ターン目、5ターン目の加速位相の調整を行うために必要な位相シフター磁石22の磁場強度を、ビームシミュレーションから決定した結果を示す。本パラメータの場合、42度程度の位相シフト量が必要であるが、1000ガウス強の磁場で達成可能であることがわかる。なお、位相シフター磁石22a,22bの磁極長(ビーム進行方向の磁極の長さ)は10cmとして計算した。
【0054】
以上のように、この実施の形態2によれば、直流電子ビームを発生する電子ビーム発生部11と、直流電子ビームの加速を行う電子ビーム加速部13と、加速された直流電子ビームを偏向する電子ビーム偏向手段14,21とを備えた直流電子ビーム加速装置であって、電子ビーム偏向手段14,21は、上記電子ビーム加速部13の一端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第1の電子ビーム偏向手段14,21と、電子ビーム発生部11が配設された側で電子ビーム加速部13の他端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第2の電子ビーム偏向手段14,21と、第1の電子ビーム偏向手段14,21と第2の電子ビーム偏向手段14,21との間に配設されて電子ビーム加速部13の対向側の直線部に設けられ、2極の磁場を発生する第3の電子ビーム偏向手段22a,22bとからなることにより、電子ビーム加速部13に低加速周波数の高周波電界を選択すること、例えば、500MHz程度の低加速周波数の高周波空洞を用いることができ、平均電流の大きな直流電子ビームの加速が可能となる。
また、マイクロトロン加速で必須とされていた「周回毎のエネルギーゲインが電子の静止エネルギーのほぼ整数倍でなくてはならない」という条件を満たさなくても直流電子ビームを加速できる。さらに、電子ビーム加速手段での壁損失を低減することができ、この為電力効率を高くすることが可能となる。また、加速位相幅の広い直流電子ビームを加速することができる。
【0055】
また、直流電子ビームを発生する電子ビーム発生部11と、直流電子ビームの加速を行う電子ビーム加速部13と、電子ビーム加速部13の一端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第1の電子ビーム偏向手段14,21と、電子ビーム発生部11が配設された側で電子ビーム加速部13の他端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第2の電子ビーム偏向手段14,21と、第1の電子ビーム偏向手段14,21と第2の電子ビーム偏向手段14,21との間に配設されて電子ビーム加速部13の対向側の直線部に設けられ、2極の磁場を発生する第3の電子ビーム偏向手段22a,22bとを備えた直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法であって、第1回目に電子ビーム加速手段14,21へ入射する直流電子ビームの加速位相を、電子ビーム発生部11の直流電子ビームの位相と電子ビーム加速部13の加速電界の位相との差を調整して行い、第2回目に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビームの加速位相を、電子ビーム加速部13と第1の電子ビーム偏向手段14,21との間の距離を調整して行い、第3回目に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビームの加速位相を、第1の電子ビーム偏向手段14,21と第2の電子ビーム偏向手段14,21との間の距離を調整して行い、第4回目以降に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビームの加速位相を、第3の電子ビーム偏向手段22a,22bの磁場強度を変えることで、周回毎の直流電子ビームの加速位相を調整することができる。このため、マイクロトロン加速で必須とされていた「周回毎のエネルギーゲインが電子の静止エネルギーのほぼ整数倍でなくてはならない」という条件を満たさなくても直流電子ビームを加速でき、加速位相幅(20度程度)の広い直流電子ビームを加速することが可能となる。
【0056】
実施の形態3.
実施の形態1および実施の形態2では、電子ビーム発生部11から高周波電界に同期したCWビームが出射されるとしたが、この実施の形態3のように、DC(Direct Current)の直流電子ビームを発生させてもよく、実施の形態1および実施の形態2と同様の作用効果を奏する。例えば、熱電子放出形式の電子銃の場合、3A/cm2程度の直流電子ビームを発生させることが可能である。この実施の形態3では、半径2mm程度の直流電子ビームを想定しているので、電子銃からは、380mA程度のDCの直流電子ビームを取り出すことが可能である。
【0057】
この実施の形態3では、加速位相幅は20度程度(実施の形態1、2と同程度)を想定しているので、380mA×20/360=21mA程度の平均電流の加速が可能である。例えば、5MeVまで加速した場合は、105kW程度の大強度の直流電子ビームを得ることが可能である。また、実施の形態1および実施の形態2のように、CWの直流電子ビームの位相と高周波電界位相との調整も不要となる。但し、DCの直流電子ビームとした場合には発生したDCの直流電子ビームの一部(20/360程度)しか加速できないので効率が悪く、且つ、高出力の高圧電源が必要になる。また、電子銃の寿命も短くなるので、実施の形態1、2の方が望ましい。
【0058】
実施の形態4.
実施の形態1および実施の形態2では、電子ビーム加速部13に直流電子ビームを5回通過させて5MeVまで加速を行っているが、この実施の形態4のように、電子ビーム加速部13に直流電子ビームを6回通過させて5MeVまで加速を行ってもよく、実施の形態1および実施の形態2と同様の作用効果を奏する。例えば、周波数500MHz、加速エネルギー5MeV、セル数2、加速電圧0.84kW、電子ビーム加速部13に用いられている高周波空洞の通過数を6回としたとき、電子ビーム加速部13での壁損失は40kW程度となり、実施の形態1および実施の形態2と比較して、より電力効率の高い直流電子ビーム加速装置を実現することが可能となる。
【0059】
第6回目に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビームの加速位相は、第4、5回目と同様に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビームの加速位相を次のように調整する。図1のような構成の場合、両電子ビーム偏向手段を構成している14,15,16のうち、同極性の偏向電磁石15,16の磁場強度の比および偏向角を調整する。偏向角を調整するには、実施の形態1で第3の偏向電磁石16における直流電子ビームの出口部分に二段の階段状16a,16bに形成している磁極形状を、この実施の形態4では、さらにもう一段追加して合計三段の階段状に形成している磁極形状にすることにより行う。また、図5のような構成の場合、位相シフター磁石22a,22bの磁場強度を変えることで、周長を調整する。
【0060】
なお、直流電子ビームを6回通過させる必要があるので、電子ビーム偏向手段14,15,16,21,22a,22bの大きさが実施の形態1および実施の形態2の装置に比し、若干大きくなる。
また、直流電子ビームを7回以上通過させることが可能であれば、さらに電力効率が上がる。しかし、電子ビーム加速部13の加速電圧を下げると、電子ビーム加速部通過途中で加速位相がずれ、減速位相となるので、限界がある。この限界は、入射エネルギーや、加速可能な電子ビームのエネルギー分散に依存する。
【0061】
実施の形態5.
実施の形態1では、電子ビーム加速部13に直流電子ビームを5回通過させて5MeVまで加速を行っているが、この実施の形態5では、電子ビーム加速部13に直流電子ビームを6回通過させて電子を5MeVまで加速するCWの直流電子ビーム加速装置およびその直流電子ビーム加速方法を説明する。この実施の形態5では、加速電圧は0.9MV程度を想定しており、周波数500MHz付近の高周波電界を用いる。
【0062】
図7は、この発明の実施の形態5である直流電子ビーム加速装置の概略構成を示す説明図であり、より具体的には、該装置の直流電子ビームが加速される面(軌道平面)の概略構成を示す説明図である。図7において、図1と同じ符号は、同一または相当品を示し、その説明を省略する。
【0063】
この実施の形態5では、電子ビーム偏向手段は、電子ビーム加速部13の一端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第1の電子ビーム偏向手段(図7の右側に図示)と、電子ビーム発生部11が配設された側で電子ビーム加速部13の他端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第2の電子ビーム偏向手段(図7の左側に図示)とから構成されている。
【0064】
図1と図7との構成の違いは、第2の偏向電磁石15および第3の偏向電磁石16の配置構成が異なっていることである。この実施の形態5では、第2の偏向電磁石15の磁場強度より、第3の偏向電磁石16の磁場強度を弱くしている。このため、電子ビーム加速部13と対向側の直流電子ビームの軌道17とを、電子ビーム加速部13側とほぼ平行に保つには第3の偏向電磁石16内部の軌道長を長くする必要があり、図7の15a,15bに示すように、第2の偏向電磁石15における直流電子ビームの出口部分が階段状に形成された磁極形状とし、第3の偏向電磁石16を図7の16aに示すように、階段状に形成された磁極形状15bより張り出させ、且つ、この張り出させた磁極形状16a内における直流電子ビームの3ターン目を通過させる部位には第2の偏向電磁石15cを設けている。左側と右側の直流電子ビーム偏向手段はほぼ同形状で、対称に配設されている。
【0065】
なお、図7の15a,15b,16aに示すように、階段状に形成された磁極形状は張り出しているが、パラメータによっては、第3の偏向電磁石16内部の軌道長を短くする必要がある場合もあり、この場合には、第3の偏向電磁石16における直流電子ビームの入口部分は階段状に形成された磁極形状15bよりへこんだ磁極形状となる。
【0066】
この実施の形態5における直流電子ビーム加速装置の高周波電源としては、例えばクライストロン電源、IOTなどを用いることができる。IOTを用いた場合、30kWのビームを得る為に必要な電力が少なくてすみ、電力効率は25%を超える。ここで電力効率とは発生する電子ビームのパワーを必要な電力で割った値と定義した。また、100kWの電子ビームの場合の電力効率は50%程度という従来の加速器では考えられない高電力効率の加速器が実現できる。図8に5MeVまでビームを加速した場合の電子ビームパワーと電力効率の関係を示す。
【0067】
この実施の形態5は、以下のように電子ビーム加速部13を通過する直流電子ビームの加速位相の調整を行う。なお、電子ビーム加速部13へ入射するビームの加速位相の最適値は周回毎に異なるので、以下のようなステップで周回毎に周長を制御する。
【0068】
(a)第1回目に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビーム:電子ビーム発生部11の直流電子ビームの位相と電子ビーム加速部13の加速電界の位相との差を調整する。
(b)第2回目に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビーム:電子ビーム加速部13と第1の電子ビーム偏向手段14,15,16との間の距離を調整する。
【0069】
(c)第4回目に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビーム:第1の電子ビーム偏向手段14,15,16と第2の電子ビーム偏向手段14,15,16との間の距離を調整する。
(d)第3回目、第5回目、第6回目に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビーム:電子ビーム偏向手段における同極性の偏向電磁石の磁場強度の比(第2の偏向電磁石15と第3の偏向電磁石16との磁場強度の比)および偏向角を調整することで周長を調整する。
【0070】
なお、上記(c)の方法で調整するのは、第4回目に限られているのではなく、第4回目以降の所定の周回目に上記(c)の方法で調整してもよい。例えば、上記(c)の方法を第5回目に調整する場合は、第3回目以降の上記(c)の方法で調整する周回目を除く周回目に、例えば、第3回目、第4回目、第6回目に上記(d)の方法で調整してもよい。どの周回の位相を上記(c)の方法で調整するかは、電子ビーム加速部13の電磁界分布により異なる。パラメータの可変範囲が広がり、より加速位相幅の広い電子ビームの加速が可能となるものを選択する。
【0071】
直流電子ビームの上記(a)、(b)、(c)による加速位相の調整は、直流電子ビームのタイミングの調整と、電子ビーム発生部11、電子ビーム加速部13、電子ビーム偏向手段14,15,16の配設位置の調整とで行うので、実現可能である。
直流電子ビームの上記(d)による加速位相の調整が可能かどうかについて、コンピュータシミュレーションにより検討した結果を以下に説明する。
【0072】
図7の直流電子ビームの軌道17は、ビームシミュレーションの結果得られたビームの加速軌道の一例であり、例えば、3,5,6ターン目の直流電子ビームの加速位相を、この発明の電子ビーム偏向手段を採用しなかったときの加速位相から、55度ずらしたときの直流電子ビームの中心軌道のシミュレーション結果を示している。電子ビーム加速部13の外側を通過する3,4,5,6ターン目の直流電子ビーム17a,17b,17c,17dの軌道のターンセパレーションが大きくなっている。直流電子ビーム17a,17b,17c,17dの軌道のターンセパレーションが大きい。即ち、ターン間距離は磁石分割部分で10cm以上あり、電磁石の磁極間ギャップを変えた電磁石を作成することにより、実現可能である。
【0073】
以上のように、この実施の形態5による直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法によれば、直流電子ビームを発生する電子ビーム発生部11と、直流電子ビームの加速を行う電子ビーム加速部13と、電子ビーム加速手段の一端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第1の電子ビーム偏向手段14,15,16と、電子ビーム発生部11が配設された側で電子ビーム加速部13の他端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第2の電子ビーム偏向手段14,15,16とを備えた直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法であって、第1回目に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビームの加速位相は、電子ビーム発生部11の直流電子ビームの位相と電子ビーム加速部13の加速電界の位相との差を調整して行い、第2回目に上記電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビームの加速位相は、電子ビーム加速部13と第1の電子ビーム偏向手段14との間の距離を調整して行い、第4回目に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビームの加速位相は、第1の電子ビーム偏向手段14,15,16と第2の電子ビーム偏向手段14,15,16との間の距離を調整して行い、第3、5、6回目に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビームの加速位相は、両電子ビーム偏向手段14,15,16の同極性の偏向電磁石15,16の磁場強度の比および偏向角を調整して行うようにすることにより、周回毎の直流電子ビームの加速位相を調整することができる。このため、マイクロトロン加速で必須とされていた、「周回毎のエネルギーゲインが電子の静止エネルギーのほぼ整数倍でなくてはならない」という条件を満たさなくても直流電子ビームを加速することができ、また、加速位相幅(30度程度)の広い直流電子ビームを加速することが可能となり、大電流加速が可能となる。さらに、電子ビーム加速手段と対向側の直流電子ビームの軌道を、電子ビーム加速手段側とほぼ平行に保つことができる。
なお、実施の形態5の直流電子ビーム加速装置は、実施の形態1の直流電子ビーム加速装置と同様の作用効果を奏する。
【0074】
実施の形態6.
この実施の形態6では、電子ビーム加速部13に直流電子ビームを5回通過させて電子を5MeVまで加速するCWの直流電子ビーム加速装置および直流電子ビーム加速方法を説明する。この実施の形態6では、加速電圧は1.0MV程度を想定しており、周波数500MHz付近の高周波電界を用いる。
【0075】
図9は、この発明の実施の形態6である直流電子ビーム加速装置の概略構成を示す説明図であり、より具体的には、該装置の直流電子ビームが加速される面(軌道平面)の概略構成を示す説明図である。図9において、図5と同じ符号は、同一または相当品を示し、その説明を省略する。
【0076】
この実施の形態6では、電子ビーム偏向手段は、電子ビーム加速部13の一端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第1の電子ビーム偏向手段(図9の右側に図示)と、電子ビーム発生部11が配設された側で電子ビーム加速部13の他端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第2の電子ビーム偏向手段(図9の左側に図示)と、第1の電子ビーム偏向手段と第2の電子ビーム偏向手段との間に配設され、電子ビーム加速部13の対向側の直線部に設けられた第3の電子ビーム偏向手段である位相シフター磁石22a,22bとから構成されている。
【0077】
図5と図9との構成の違いは、位相シフター磁石22a,22bの配置構成が異なっていることである。図9の場合には、加速位相を調整するために設けられた位相シフター磁石22a,22bに2極の磁場を発生させて、直流電子ビームの3ターン目の軌道17aと5ターン目の軌道17cの周長を調整している。
【0078】
電子ビーム発生部11で直流電子ビームを発生させ、逆偏向電磁石14、主偏向電磁石21および位相シフター磁石22a,22bにより、直流電子ビームの軌道17を形成させている。直流電子ビームの軌道17は、電子ビーム加速部13の位置でほぼ同一軌道となるように、逆偏向電磁石14、主偏向電磁石21および位相シフター磁石22a,22bのパラメータが調整されている。逆偏向電磁石14は、1回目に通過した直流電子ビームを再度同じ軌道上で逆向きの軌道にする働きをするとともに、周回する直流電子ビームのサイズを所定の範囲内に保つ働きをする。直流電子ビームは、電子ビーム加速部13を5回通過した後、電子ビーム加速装置外へ取り出される。
【0079】
直流電子ビームの加速は、電子ビーム加速部13で行い、その加速周波数やパラメータの選択は実施の形態1と同様である。この実施の形態6では、加速位相を調整するために設けられた位相シフター磁石22a,22bに、2極の磁場を発生させて、直流電子ビームの3ターン目の軌道17aと5ターン目の軌道17cの周長を調整している。位相シフター磁石22a,22bにおいて、該軌道17a,17cが通過する部位に、2極の磁場を発生させるように励磁されている。なお、ここでは、2極の磁場が支配的な位相シフター磁石を示しているが、2極の磁場に加え4極の磁場成分を若干有する位相シフター磁石でもよい。
【0080】
以下のように電子ビーム加速部13を通過する直流電子ビームの加速位相の調整を行う。なお、電子ビーム加速部13へ入射するビームの加速位相の最適値は周回毎に異なるので、以下のようなステップで周回毎に周長を制御する。
(a)第1回目に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビーム:電子ビーム発生部11の直流電子ビームの位相と電子ビーム加速部13の加速電界の位相との差を調整する。
(b)第2回目に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビーム:電子ビーム加速部13と第1の電子ビーム偏向手段14,21との間の距離を調整する。
【0081】
(c)第4回目に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビーム:第1の電子ビーム偏向手段14、21と第2の電子ビーム偏向手段14、21との間の距離を調整する。
(d)第3、5回目に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビーム:位相シフター磁石22a,22bの磁場強度を変えることで、個々のターンの周長を調整する。
【0082】
なお、上記(c)の方法で調整するのは、第4回目に限られているのではなく、第4回目以降の所定の周回目に上記(c)の方法で調整してもよい。例えば、上記(c)の方法の方法を第5回目に調整する場合は、第3回目以降の上記(c)の方法で調整する周回目を除く周回目に、例えば、第3回目、第4回目に上記(d)の方法で調整してもよい。どの周回の位相を上記()の方法で調整するかは、13の電子ビーム加速部の電磁界分布により異なる。パラメータの可変範囲が広がり、より加速位相幅の広い電子ビームの加速が可能となるものを選択する。
【0083】
この実施の形態6では、逆偏向電磁石14で直流電子ビームを外側に蹴り、位相シフター磁石22a,22bで内側に蹴ることにより、直流電子ビームの軌道を形成させている。
図9の直流電子ビームの軌道17は、ビームシミュレーションの結果得られた加速軌道の一例である。
【0084】
以上のように、この実施の形態6によれば、直流電子ビームを発生する電子ビーム発生部11と、直流電子ビームの加速を行う電子ビーム加速部13と、電子ビーム加速部13の一端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第1の電子ビーム偏向手段14,21と、電子ビーム発生部11が配設された側で電子ビーム加速部13の他端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第2の電子ビーム偏向手段14,21と、第1の電子ビーム偏向手段14,21と第2の電子ビーム偏向手段14,21との間に配設されて電子ビーム加速部13の対向側の直線部に設けられ、2極の磁場を発生する第3の電子ビーム偏向手段22a,22bとを備えた直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法であって、第1回目に電子ビーム加速手段14,21へ入射する直流電子ビームの加速位相を、電子ビーム発生部11の直流電子ビームの位相と電子ビーム加速部13の加速電界の位相との差を調整して行い、第2回目に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビームの加速位相を、電子ビーム加速部13と第1の電子ビーム偏向手段14,21との間の距離を調整して行い、第4回目に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビームの加速位相を、第1の電子ビーム偏向手段14,21と第2の電子ビーム偏向手段14,21との間の距離を調整して行い、第3回目、第5回目に電子ビーム加速部13へ入射する直流電子ビームの加速位相を、第3の電子ビーム偏向手段22a,22bの磁場強度を変えることで、周回毎の直流電子ビームの加速位相を調整することができる。このため、マイクロトロン加速で必須とされていた、「周回毎のエネルギーゲインが電子の静止エネルギーのほぼ整数倍でなくてはならない」という条件を満たさなくても直流電子ビームを加速することができ、また、加速位相幅(30度程度)の広い直流電子ビームを加速することが可能となり、大電流加速が可能となる。さらに、電子ビーム加速手段と対向側の直流電子ビームの軌道を、電子ビーム加速手段側とほぼ平行に保つことができる。
なお、実施の形態6の直流電子ビーム加速装置は、実施の形態2の直流電子ビーム加速装置と同様の作用効果を奏する。
【0085】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
【0086】
この発明の第1の局面における請求項1の直流電子ビーム加速装置では、直流電子ビームを発生する電子ビーム発生手段と、直流電子ビームの加速を行う電子ビーム加速手段と、電子ビーム加速手段の一端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第1の電子ビーム偏向手段と、電子ビーム発生手段が配設された側で電子ビーム加速手段の他端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第2の電子ビーム偏向手段とを備えた直流電子ビーム加速装置であって、両電子ビーム偏向手段は、それぞれ、一方の面が上記電子ビーム加速手段の側面側に対向して設けられた第1の偏向電磁石と、この第1の偏向電磁石の他方の面に対向し、分割して設けられた第2の偏向電磁石および第3の偏向電磁石とから構成され、第1の偏向電磁石が、第2の偏向電磁石および第3の偏向電磁石とは極性が異なる逆偏向電磁石からなり、第2の偏向電磁石が第3の偏向電磁石とは極性が同じで、第3の偏向電磁石とは異なる第1の磁場強度を有しており、第3の偏向電磁石が第2の偏向電磁石とは極性が同じで、第2の偏向電磁石とは異なる第2の磁場強度を有することにより、電子ビーム加速手段に低加速周波数の高周波電界を選択することができ、このため、平均電流の大きな直流電子ビームの加速が可能となる。
【0087】
また、この発明の請求項2の直流電子ビーム加速装置では、第2の偏向電磁石および第3の偏向電磁石の第1の偏向電磁石と対向する面が階段状に形成された磁極形状とすることにより、電子ビーム加速手段と対向側の直流電子ビームの軌道を、電子ビーム加速手段側とほぼ平行に保つことができる。
【0088】
また、この発明の請求項3の直流電子ビーム加速装置では、直流電子ビームを発生する電子ビーム発生手段と、直流電子ビームの加速を行う電子ビーム加速手段と、加速された直流電子ビームを偏向する電子ビーム偏向手段とを備えた直流電子ビーム加速装置であって、電子ビーム偏向手段は、電子ビーム加速手段の一端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第1の電子ビーム偏向手段と、電子ビーム発生手段が配設された側で電子ビーム加速手段の他端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第2の電子ビーム偏向手段と、第1の電子ビーム偏向手段と第2の電子ビーム偏向手段との間に配設されて電子ビーム加速手段の対向側の直線部に設けられ、2極の磁場を発生し、該磁場を通る電子ビームの周回軌道長を調整する第3の電子ビーム偏向手段とからなることにより、電子ビーム加速手段に低加速周波数の高周波電界を選択することができ、このため、平均電流の大きな直流電子ビームの加速が可能となる。
【0089】
また、この発明の第2の局面における請求項4の直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法では、直流電子ビームを発生する電子ビーム発生手段と、直流電子ビームの加速を行う電子ビーム加速手段と、電子ビーム加速手段の一端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第1の電子ビーム偏向手段と、電子ビーム発生手段が配設された側で電子ビーム加速手段の他端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第2の電子ビーム偏向手段とを備えた直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法であって、(a)電子ビーム加速手段へ入射する直流電子ビームの加速位相を、電子ビーム発生手段の直流電子ビームの位相と電子ビーム加速手段の加速電界の位相との差を調整して行うステップと、(b)電子ビーム加速手段へ入射する直流電子ビームの加速位相を、電子ビーム加速手段と第1の電子ビーム偏向手段との間の距離を調整して行うステップと、(c)電子ビーム加速手段へ入射する直流電子ビームの加速位相を、第1の電子ビーム偏向手段と第2の電子ビーム偏向手段との間の距離を調整して行うステップと、(d)電子ビーム加速手段へ入射する直流電子ビームの加速位相を、両電子ビーム偏向手段に設けられた同極性の偏向電磁石における磁場強度の比および偏向角を調整して行うステップとを備えることにより、周回毎の直流電子ビームの加速位相を調整することができる。このため、マイクロトロン加速で必須とされていた、「周回毎のエネルギーゲインが電子の静止エネルギーのほぼ整数倍でなくてはならない」という条件を満たさなくても直流電子ビームを加速することができる。
【0090】
また、この発明の請求項5の直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法では、(a)のステップを第1回目に行い、(b)のステップを第2回目に行い、(c)のステップを第3回目に行い、(d)のステップを第4回目以降に行うことにより、周回毎の直流電子ビームの加速位相を調整することができる。このため、マイクロトロン加速で必須とされていた「周回毎のエネルギーゲインが電子の静止エネルギーのほぼ整数倍でなくてはならない」という条件を満たさなくても直流電子ビームを加速できる。
【0091】
また、この発明の請求項6の直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法では、(a)のステップを第1回目に行い、上記(b)のステップを第2回目に行い、上記(c)のステップを第4回目以降の所定の周回目に行い、上記(d)のステップを第3回目以降の上記(c)のステップで行う周回目を除く周回目に行うことにより、周回毎の直流電子ビームの加速位相を調整することができる。このため、マイクロトロン加速で必須とされていた「周回毎のエネルギーゲインが電子の静止エネルギーのほぼ整数倍でなくてはならない」という条件を満たさなくても直流電子ビームを加速できる。
【0092】
また、この発明の請求項7の直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法では、直流電子ビームを発生する電子ビーム発生手段と、直流電子ビームの加速を行う電子ビーム加速手段と、電子ビーム加速手段の一端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第1の電子ビーム偏向手段と、電子ビーム発生手段が配設された側で電子ビーム加速手段の他端に近接して設けられ、加速された直流電子ビームを偏向する第2の電子ビーム偏向手段と、第1の電子ビーム偏向手段と第2の電子ビーム偏向手段との間に配設されて電子ビーム加速手段の対向側の直線部に設けられ、2極の磁場を発生する第3の電子ビーム偏向手段とを備えた直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法であって、(a)電子ビーム加速手段へ入射する直流電子ビームの加速位相を、電子ビーム発生手段の直流電子ビームの位相と電子ビーム加速手段の加速電界の位相との差を調整して行うステップと、(b)電子ビーム加速手段へ入射する直流電子ビームの加速位相を、電子ビーム加速手段と第1の電子ビーム偏向手段との間の距離を調整して行うステップと、(c)電子ビーム加速手段へ入射する直流電子ビームの加速位相を、第1の電子ビーム偏向手段と第2の電子ビーム偏向手段との間の距離を調整して行うステップと、(d)電子ビーム加速手段へ入射する直流電子ビームの加速位相を、第3の電子ビーム偏向手段の磁場強度を変えることで、各周回の周長を調整して行うステップとを備えることにより、周回毎の直流電子ビームの加速位相を調整することができる。このため、マイクロトロン加速で必須とされていた「周回毎のエネルギーゲインが電子の静止エネルギーのほぼ整数倍でなくてはならない」という条件を満たさなくても直流電子ビームを加速できる。
【0093】
また、この発明の請求項8の直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法では、(a)のステップを第1回目に行い、(b)のステップを第2回目に行い、(c)のステップを第3回目に行い、そして、(d)のステップを第4回目以降に行うことにより、周回毎の直流電子ビームの加速位相を調整することができる。このため、マイクロトロン加速で必須とされていた、「周回毎のエネルギーゲインが電子の静止エネルギーのほぼ整数倍でなくてはならない」という条件を満たさなくても直流電子ビームを加速することができる。
【0094】
また、この発明の請求項9の直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法は、(a)のステップを第1回目に行い、(b)のステップを第2回目に行い、(c)のステップを第4回目以降の所定の周回目に行い、(d)のステップを第3回目以降の(c)のステップで行う周回目を除く周回目に行うことにより、周回毎の直流電子ビームの加速位相を調整することができる。このため、マイクロトロン加速で必須とされていた、「周回毎のエネルギーゲインが電子の静止エネルギーのほぼ整数倍でなくてはならない」という条件を満たさなくても直流電子ビームを加速することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1である直流電子ビーム加速装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】 第2の偏向電磁石と第3の偏向電磁石との磁場強度の相対比と軌道長の差のビームシミュレーション結果を示す説明図である。
【図3】 第2の偏向電磁石と第3の偏向電磁石との磁場強度の相対比と加速位相調整範囲のビームシミュレーション結果を示す説明図である。
【図4】 図1の直流電子ビーム加速装置の出射位置における電子ビームのエネルギースペクトルの計算結果を示す説明図である。
【図5】 実施の形態2である直流電子ビーム加速装置の概略構成を示す説明図である。
【図6】 図5の位相シフター磁石の磁場強度と加速位相調整範囲のビームシミュレーション結果を示す説明図である。
【図7】 この発明の実施の形態5である直流電子ビーム加速装置の概略構成を示す説明図である。
【図8】 図7の直流電子ビーム加速装置に5MeVまでビームを加速した場合の電子ビームパワーと電力効率の関係を示す説明図である。
【図9】 この発明の実施の形態6である直流電子ビーム加速装置の概略構成を示す説明図である。
【図10】 従来の電子ビーム加速装置の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
11 電子ビーム発生部
12 電子ビーム入射部
13 電子ビーム加速部
14 第1の偏向電磁石
15 第2の偏向電磁石
16 第3の偏向電磁石
21 主偏向電磁石
22 位相シフター磁石

Claims (9)

  1. 直流電子ビームを発生する電子ビーム発生手段と、上記直流電子ビームの加速を行う電子ビーム加速手段と、上記電子ビーム加速手段の一端に近接して設けられ、加速された上記直流電子ビームを偏向する第1の電子ビーム偏向手段と、上記電子ビーム発生手段が配設された側で上記電子ビーム加速手段の他端に近接して設けられ、加速された上記直流電子ビームを偏向する第2の電子ビーム偏向手段とを備えた直流電子ビーム加速装置であって、
    上記両電子ビーム偏向手段は、それぞれ、一方の面が上記電子ビーム加速手段の側面側に対向して設けられた第1の偏向電磁石と、この第1の偏向電磁石の他方の面に対向し、分割して設けられた第2の偏向電磁石および第3の偏向電磁石とから構成され、
    上記第1の偏向電磁石が、上記第2の偏向電磁石および上記第3の偏向電磁石とは極性が異なる逆偏向電磁石からなり、
    上記第2の偏向電磁石が上記第3の偏向電磁石とは極性が同じで、上記第3の偏向電磁石とは異なる第1の磁場強度を有しており、
    上記第3の偏向電磁石が上記第2の偏向電磁石とは極性が同じで、上記第2の偏向電磁石とは異なる第2の磁場強度を有する
    ことを特徴とする直流電子ビーム加速装置。
  2. 上記第2の偏向電磁石および上記第3の偏向電磁石の上記第1の偏向電磁石と対向する面が階段状に形成された磁極形状とすることを特徴とする請求項1記載の直流電子ビーム加速装置。
  3. 直流電子ビームを発生する電子ビーム発生手段と、上記直流電子ビームの加速を行う電子ビーム加速手段と、上記加速された直流電子ビームを偏向する電子ビーム偏向手段とを備えた直流電子ビーム加速装置であって、
    上記電子ビーム偏向手段は、上記電子ビーム加速手段の一端に近接して設けられ、加速された上記直流電子ビームを偏向する第1の電子ビーム偏向手段と、上記電子ビーム発生手段が配設された側で上記電子ビーム加速手段の他端に近接して設けられ、加速された上記直流電子ビームを偏向する第2の電子ビーム偏向手段と、
    上記第1の電子ビーム偏向手段と上記第2の電子ビーム偏向手段との間に配設されて上記電子ビーム加速手段の対向側の直線部に設けられ、2極の磁場を発生し、該磁場を通る電子ビームの周回軌道長を調整する第3の電子ビーム偏向手段と
    からなることを特徴とする直流電子ビーム加速装置。
  4. 直流電子ビームを発生する電子ビーム発生手段と、上記直流電子ビームの加速を行う電子ビーム加速手段と、上記電子ビーム加速手段の一端に近接して設けられ、加速された上記直流電子ビームを偏向する第1の電子ビーム偏向手段と、上記電子ビーム発生手段が配設された側で上記電子ビーム加速手段の他端に近接して設けられ、加速された上記直流電子ビームを偏向する第2の電子ビーム偏向手段とを備えた直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法であって、
    (a)上記電子ビーム加速手段へ入射する上記直流電子ビームの加速位相を、上記電子ビーム発生手段の直流電子ビームの位相と上記電子ビーム加速手段の加速電界の位相との差を調整して行うステップと、
    (b)上記電子ビーム加速手段へ入射する上記直流電子ビームの加速位相を、上記電子ビーム加速手段と上記第1の電子ビーム偏向手段との間の距離を調整して行うステップと、
    (c)上記電子ビーム加速手段へ入射する上記直流電子ビームの加速位相を、上記第1の電子ビーム偏向手段と上記第2の電子ビーム偏向手段との間の距離を調整して行うステップと、
    (d)上記電子ビーム加速手段へ入射する上記直流電子ビームの加速位相を、上記両電子ビーム偏向手段に設けられた同極性の偏向電磁石における磁場強度の比および偏向角を調整して行うステップと
    を備えることを特徴とする直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法。
  5. 上記(a)のステップを第1回目に行い、上記(b)のステップを第2回目に行い、上記(c)のステップを第3回目に行い、上記(d)のステップを第4回目以降に行うことを特徴とする請求項4記載の直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法。
  6. 上記(a)のステップを第1回目に行い、上記(b)のステップを第2回目に行い、上記(c)のステップを第4回目以降の所定の周回目に行い、上記(d)のステップを第3回目以降の上記(c)のステップで行う周回目を除く周回目に行うことを特徴とする請求項4記載の直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法。
  7. 直流電子ビームを発生する電子ビーム発生手段と、上記直流電子ビームの加速を行う電子ビーム加速手段と、上記電子ビーム加速手段の一端に近接して設けられ、加速された上記直流電子ビームを偏向する第1の電子ビーム偏向手段と、上記電子ビーム発生手段が配設された側で上記電子ビーム加速手段の他端に近接して設けられ、加速された上記直流電子ビームを偏向する第2の電子ビーム偏向手段と、上記第1の電子ビーム偏向手段と上記第2の電子ビーム偏向手段との間に配設されて上記電子ビーム加速手段の対向側の直線部に設けられ、2極の磁場を発生する第3の電子ビーム偏向手段とを備えた直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法であって、
    (a)上記電子ビーム加速手段へ入射する上記直流電子ビームの加速位相を、上記電子ビーム発生手段の直流電子ビームの位相と上記電子ビーム加速手段の加速電界の位相との差を調整して行うステップと、
    (b)上記電子ビーム加速手段へ入射する上記直流電子ビームの加速位相を、上記電子ビーム加速手段と上記第1の電子ビーム偏向手段との間の距離を調整して行うステップと、
    (c)上記電子ビーム加速手段へ入射する上記直流電子ビームの加速位相を、上記第1の電子ビーム偏向手段と上記第2の電子ビーム偏向手段との間の距離を調整して行うステップと、
    (d)上記電子ビーム加速手段へ入射する上記直流電子ビームの加速位相を、上記第3の電子ビーム偏向手段の磁場強度を変えることで、各周回の周長を調整して行うステップと
    を備えることを特徴とする直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法。
  8. 上記(a)のステップを第1回目に行い、上記(b)のステップを第2回目に行い、上記(c)のステップを第3回目に行い、上記(d)のステップを第4回目以降に行うことを特徴とする請求項7記載の直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法。
  9. 上記(a)のステップを第1回目に行い、上記(b)のステップを第2回目に行い、上記(c)のステップを第4回目以降の所定の周回目に行い、上記(d)のステップを第3回目以降の上記(c)のステップで行う周回目を除く周回目に行うことを特徴とする請求項7記載の直流電子ビーム加速装置の直流電子ビーム加速方法。
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