JP3734981B2 - スピンドルモータ用焼結含油軸受 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアルファオレフィン(PAO)やポリオールエステル、その他の基油にパーフルオロポリエーテル(PFPE)を混合乳化してなる潤滑油を含浸した焼結含油軸受に関し、特にスピンドルモーター用として好適な焼結含油軸受に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パーフルオロポリエーテルなどのいわゆるフッ素オイルの一部は、金属表面と反応して金属フッ化物を形成する性質がある。生成した金属フッ化物は固体潤滑性能を有しており、摩擦係数が低く優れた摺動特性を示す。また、金属の表面における金属フッ化物の被膜は、一度形成されるとフッ素オイル以外の油に入れてもそのまま保持され、良好な摺動特性を維持する。従って、そのような目的のために使用する一般に高価なフッ素オイルは、金属表面との反応に必要な量を供給すれば十分であるから、安価な基油に適量を添加して用いることが経済的に望ましい。
しかしながら、フッ素オイルを単に基油と混合しても、両者は2層に分離して均一な混合物は得られず、そのような混合物を実用に供すると、摺動特性のバラツキが大きく、優れた潤滑効果は得られない。
なお、特開平5−240251号公報には、パーフルオロポリエーテルを単独で、または他の潤滑用と配合した混成油として焼結含油軸受に含浸することが記載されているが、混成油の製造法については具体的な技術が開示されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような従来技術に鑑み、フッ素オイルと基油との均一な混合物を調製し、それを含浸してなる摺動特性に優れたスピンドルモータ用焼結含油軸受を提供することを目的とする。
【0004】
本発明者らは、上記の目的に沿って鋭意検討した結果、特定のフッ素オイルを使用することにより、基油との均一な混合物が得られることを見出して本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1は、ポリアルファオレフィン、ポリオールエステル、ジフェニルエーテル、ジエステル油、鉱油(精製鉱油)、アルキルベンゼンおよびアルキルナフタレンからなる群から選ばれる1種、もしくは2種以上の混合物に、0.1〜30容量%パーフルオロポリエーテルを混 合してエマルジョン化した潤滑油を、軸受部材に含浸したことを特徴とするスピンドルモータ用焼結含油軸受に関するものである。
本発明の第2は、前記パーフルオロポリエーテルが、
CF−[(O−CF−CF)−(O−CF)]−O−CF
(ここで、pおよびqは10から200の整数)
である潤滑油を含浸したスピンドルモータ用焼結含油軸受に関するものである。
本発明の第3は、前記パーフルオロポリエーテルが、
CF−CF−CF−O−(CF−CF−O)−CF−CF
(ここで、mは10から200の整数)
である潤滑油を含浸したスピンドルモータ用焼結含油軸受に関するものである。
本発明の第4は、前記パーフルオロポリエーテルのフッ素原子の少なくとも1つを三フッ化メチル基で置換した潤滑油を含浸したスピンドルモータ用焼結含油軸受に関するものである。
本発明の第5は、両端部に回転軸を摺動支持する軸受部を設け、かつ両軸受部の間に回転軸と接触しない中膨み部を設けた軸受部材の、該中膨み部の外周面をハウジングの内孔に圧入してなり、前記軸受部の外周面とハウジングの内孔面との間に間隙を形成し、さらに軸受部材の圧入部外周面に設けた軸方向の溝とハウジングの内孔面とにより貫通孔を形成した軸受の軸受部材に、前記潤滑油を含浸してなるスピンドルモータ用焼結含油軸受に関するものである。
本発明の第6は、前記軸受部の内周面に動圧溝を設けてなるスピンドルモータ用焼結含油軸受に関するものである。
本発明の第7は、前記軸受部の軸芯と直角方向の断面が三円弧形状であるスピンドルモータ用焼結含油軸受に関するものである。
【0005】
以下に本発明を詳細に説明する。
まず本発明においては、潤滑油組成物の基油として、ポリアルファオレフィン(PAO)、ポリオールエステル、ジフェニルエーテル、ジエステル油、鉱油(精製鉱油)、アルキルベンゼンおよびアルキルナフタレンなどから選ばれる1種もしくは2種以上の混合物を使用する。
PAOとしては、例えば 、1−デセン、イソブチレン等をルイス酸などの存在下に重合し、あるいは更に水素添加を行ったものを用いることができる。
ポリオールエステルとしては、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールとモノカルボン酸とのエステル化合物等の例が挙げられる。
ジエステル油としては、セバシン酸、アゼライン酸、アジピン酸等の直鎖二塩基酸と、側鎖を有する高級アルコール、例えば2−エチルヘキシルアルコールとから得られるジエステル類が特に優れた性状を示す。
また、精製鉱油としては、主として石油系の潤滑油留分を、蒸留、溶剤精製、水素化精製などの方法により高度に精製したものを用いることができる。
アルキルベンゼンとしてはプロピルベンゼン、ブチルベンゼン、ジメチルベンゼン、トリメチルベゼンなどが、またアルキルナフタレンとしては、メチルナフタレン、エチルナフタレン、エチルメチルナフタレンなどが例示される。
【0006】
本発明においては、上記の基油にパーフルオロポリエーテル(PFPE)を混合してエマルジョン化することが肝要である。
すなわち、基油の密度は0.8〜0.9g/cm程度であるのに対し、PFPEの密度は1.8〜1.9g/cmと著しく大きいので、両油層が分離し易いことも一因であるが、基油とPFPEとは通常の方法により混合しても、均一な混合物を得ることは困難である。そこで本発明者らは、混合方法について検討を加えた結果、基油にPFPEを0.1〜30容量%の範囲で配合してエマルジョン化することにより、性能の優れた潤滑油を得られることを見出した。
エマルジョンに含まれるPFPEの量が0.1容量%未満ではPFPEの効果が発揮されず、また30容量%を超えると比重差により沈降を生じエマルジョン状態を安定化することが困難であり、更にコストが増大するため、いずれも好ましくない。
PFPEは摺動特性に優れているが、非常に高価であるのに対し、基油は摺動特性においてPFPEに劣るが比較的安価である。従って、少量のPFPEを基油中に均一に分散させることはコスト低減の観点から望ましい。
エマルジョンを形成する方法は以下の通りである。
すなわち、基油となるオイル中へPFPEを適量添加し、攪拌した後に乳化(エマルジョン化)が確認されれば十分である。PFPE中へ基油を添加しても同様に行うことができる。
【0007】
本発明において用いるPFPEとしては、下記式の化学構造を有するものが好ましい。これらはいずれも1分子中に多くのエーテル結合を有し、酸素原子を多量に含有しているため、金属表面と結合し易く、従って金属フッ化物を生成し易いので優れた摺動特性を発揮することができる。
(1)CF−[(O−CF−CF)−(O−CF)]−O−CF
(ここで、pおよびqは10から200の整数である。)
(2)CF−CF−CF−O−(CF−CF−O)−CF−CF
(ここで、mは10から200の整数である。)
(3)上記(1)項において、フッ素原子の少なくとも1つを三フッ化メチル基に置換した構造を有する化合物、例えば、
CF−[(O−CF(CF)−CF)p−(O−CF)q]−O−CF
(商品名:フォンブリオン、アウジモント社製)
(4)上記(2)において、フッ素原子の少なくとも1つを三フッ化メチル基に置換した構造を有するもの、例えば、
CF−CF−CF−O−(CF(CF)−CF−O)m-1−CF−CF
(商品名:バリエルタ、クリューバー社製;商品名:クライトックス、デュポン社製)
【0008】
次に、前記潤滑油を含浸して使用する上で特に好適な焼結含油軸受の構造について説明する。すなわち、次の〔1〕項から〔3〕項の構成、及びそれらに〔4〕項の要件を付加した構成の軸受が好ましい。
〔1〕軸受部材の内孔の両端部に軸支面を設け、両者の中間部の内径を大きくして中膨み部を形成する。
〔2〕軸受部材の中膨み部の外周面をハウジングの内孔に圧入し、両端側の軸支面に対応する外周面とハウジング内孔面との間に間隙を設ける。中膨み部を造形する際の軸受部材の外形に応じて、上記の構成になるようにハウジング内孔の形状を調整する。なお、中膨み部の造形については、後に述べるように各種方法が知られている。
〔3〕軸受部材の外周面に軸方向の溝を設け、軸受部材をハウジングの内孔に圧入したときに、その溝が通気孔または通油孔となる軸方向の貫通孔を形成する。
【0009】
図1(a)から(c)は本発明の各種軸受の実施例の縦断面図であり、図1(d)から(f)はそれらの軸受の平面図である。すなわち、図1(d)は図1(a)の軸受の平面図であり、図1(e)は図1(b)の軸受の平面図であり、図1(f)は図1(c)の軸受の平面図である。
図1の各図において、軸受部材1は多孔質の粉末焼結金属からなり、潤滑油を含浸することができる。軸受部材1の両側部には軸受部2を有し、かつ両軸受部2の内孔の中間に中膨み部3を有する。また、軸受部材1は中膨み部3の外周面においてハウジング4の内孔(圧入面7)に圧入されており、軸受部2の外周とハウジング4の内孔との間には間隙が形成されている。更に軸受部材1の圧入部外周面には軸方向に溝5を設け、溝5とハウジング4の内孔面(圧入面7)とが貫通孔6を形成する。
【0010】
上記〔1〕項から〔3〕項の構成に加え、更に次のような要件を付加することが好ましい。
〔4〕軸受部2の内孔の摺動面に動圧溝を設ける。動圧溝としてはスパイラル形、ヘリングボーン形、傾斜形、周囲閉塞形などの溝を形成するか、あるいは三円弧軸受部材の形状の何れかにする。
図2はこれらの動圧溝を設けた摺動面の展開図である。図2(a)から(d)は、それぞれスパイラル溝11a、ヘリングボーン溝11b、傾斜溝11cおよび閉塞溝11dの例を示す。
また、図3は三円弧軸受部材12の軸受部2の内孔の形状を示す横断面図であり、比較のために仮想円を点線で示す。
【0011】
上記スパイラル溝、ヘリングボーン溝、傾斜溝および閉塞溝は、次の方法で製作することができる。
例えば、軸受部材の摺動面に形成する動圧溝に対応する凸部を外周に有するマンドレルに、内径寸法のやや大きい軸受部材を嵌合し、金型中でマンドレルに圧接させて軸受部材の内周面に溝を形成した後、軸受部材をマンドレルと共に離型し、軸受部材をスプリングバックさせてマンドレルから抜き取る。
三円弧軸受部材は、粉末成形又はサイジングの際に、コアロッドを用いて造形する通常の方法で製作することができる。なお、三円弧軸受部材は、動圧溝を付与した構造の変形と見られる。例えば、日本潤滑学会編「潤滑ハンドブック」(1970) (株)養賢堂 p.136、あるいは軸受・潤滑便覧編集委員会編「軸受・潤滑便覧」(1961) 日刊工業新聞社 p.73などにその構造が記載されている。
【0012】
上記のような構造の軸受部材を用いることにより、特に潤滑油の循環およびそれによる冷却効果が促進され、潤滑油自体の性能がより有効に引き出され、特に高速回転に適する軸受要素が得られる。すなわち、比較的高速回転の小型スピンドル用として好適な構造を提供することができる。 前記〔1〕項から〔4〕項の構成は、それぞれ以下のような効果を発揮する。
〔1〕摺動面積が比較的小さくなり、上下両方の軸支面の製作精度が向上する。また、中膨み部を油溜めに利用することができるので、更に軸受要素として部材数を少なくすることができる。
〔2〕ハウジングに組込む際に軸支面に変形が生じないので、組立精度が良好である。また、組立時に軸支面にマンドレルを差し込む必要がない。
〔3〕軸受要素の空隙にある熱膨張した空気を貫通孔から排出することにより、軸受要素内の潤滑油の漏出を防止できる。また潤滑油が貫通孔を介して軸受要素内を循環するので再潤滑及び冷却の効果を奏する。
〔4〕動圧溝を設けることにより、動圧作用によって摺動面の潤滑がより向上し、高速回転のときに効果が顕著に現れる。
【0013】
中膨み部を有する軸受部材の造形については、下記のような方法があり、それらのいずれかを適宜に採用することができる。
(a)特開昭10−46212号公報
円筒焼結体をダイに入れ、焼結体の内径より細いマンドレルを用いて上下からパンチで押圧すると、両端の径が変形縮小し、マンドレルによりサイジングが行われる。
(b)特開平2−107705号公報
マンドレルとして軸方向の中間部のみを大径としたものを用い、前記と同様に圧縮して焼結体の内径をマンドレルに当接し、マンドレルごとダイから抜き出すと同時に、軸受部材をスプリングバックさせてマンドレルを引き抜く。
(c)特開昭63−270918号公報
円筒焼結体の外周中間部分を環状に切削除去形成しておき、金型内で圧縮すると、焼結体の環状溝部が消失するように内径中間部が拡張し、両端部はマンドレルでサイジングが行われる。
(d)特開昭58−84222号公報
使用するダイは軸方向に2分割されており、一体化したときに中間部の内径が大きくなる。円筒焼結体を金型内で圧縮すると、焼結体はダイ孔の大径部に向かって膨出し、内径中間部も大径となる。内径両端の小径部はマンドレルによって形成する。
(e)特開平6−238381号公報
内径がマンドレル径より大きい円筒焼結体を用い、焼結体の両端側のみを外周方向から縮小する。
(f)特開平2−8302号公報
内径の一端側を小さく、中間部から他端にかけて大きく形成した焼結体を用い、サイジングの際に金型によって内径が大きい側の端部を外周から縮小する。
(g)特開平1−242821号公報
内径の一端側をマンドレルの径より小さく、中間部から他端にかけて大きく形成した焼結体を用い、ダイ孔の軸方向中間部には焼結体外径との間に間隙を生ずる大径部を設ける。サイジングの際に内孔の小径部をマンドレルにより拡張し、他端側はダイによりマンドレル側に縮径し、軸受部材の中間部はダイとの間隙を埋めるように拡径する。
【0014】
軸受部材用の焼結合金としては、青銅系、または鉄を40%以上含む鉄銅系の材料が好ましい。後者は耐摩耗性が特に必要な場合に適しており、かつ低コストである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の具体的な実施の形態を以下の実施例により説明する。
(1)原料の配合
(a)青銅系の例:銅粉+10%錫粉
(b)鉄銅系の例:以下の範囲から用途に応じて選択する。
鉄粉:40〜80%
銅粉:20〜60%
錫粉:銅に対して4〜10%
(2)圧粉成形
通常の金型を用いて、円筒形状に粉末成形を行い軸受部材を作製する。
(3)焼結
前記青銅系および鉄銅系の場合には、アンモニア分解ガスの還元雰囲気中において、750℃で焼結を行う。
(4)中膨み部のサイジング
前記(d)特開昭58−84222号公報に記載された方法により行う。前記のように、使用するダイは軸方向に2分割されており、一体化すると中間部の内径が大きくなっている。円筒焼結体を金型内で圧縮すると、焼結体はダイ孔の大径部に向かって膨出し、内径中間部も大径となる。また、内径の両端の小径部はマンドレルによって形成する。このサイジングの際に、軸受部材の外周の大径部に例えば3本の縦溝を形成する。
なお、別の方法で中膨み部を造形すると、軸受部材の外形がこの方法のものとは異なることがあり、縦溝及び後述のハウジング内孔の形状は軸受部材の外形に合わせて製作する。
(5)動圧溝の形成
前述のスプリングバック方式で動圧溝を形成する場合には、上記(4)で造形したサイジング済みの軸受部材の軸受部の内径寸法より僅かに細いコアロッドの表面に、電解腐食法等により溝形状パターンに対応する凸部を形成しておく。サイジング済みの軸受部材にコアロッドを装着し、金型中で軸受部材の外周又は端面側を押圧して変形し、コアロッドに密着させて軸受部材に溝を刻印し、軸受部材をコアロッドと共に離型すると、軸受部材がスプリングバックしてコアロッドを抜き取ることができる。
図4は、ヘリングボーン形動圧溝を形成するためのコアロッドの部分斜視図である。コアロッド13の表面には動圧溝のパターンに対応する多数の凸条14が形成されている。
なお、三円弧軸受部材は、上記(4)の工程で造形することができる。
(6)潤滑油の含浸
ポリオールエステルなどの基油にPFPEを0.1〜30容量%混合してエマルジョンとした潤滑油を、常温で通常の方法により真空含浸させる。粘度が高い場合には加温して粘度を低下させた状態で真空含浸を行ってもよい。また、上記エマルジョン化オイルには、別の効果として含浸時の発泡を抑制する作用があり、PFPEが消泡剤として機能する。
(7)ハウジングの製作
ハウジングの内孔はプレーンな形状の方が製作が容易であるから、軸受部材の形状は図1(a)に示すような外側に大径部を有するものが好ましい。ハウジングは、溶製棒材を切削したり、粉末冶金法を用いて造形する。
(8)軸受部材の圧入
ハウジングに軸受部材を押し込み圧入する。軸受部材の圧入部は両軸受部の中間であり、軸受摺動部の内径に圧入の影響は及ばないので、圧入時に芯出し用のマンドレルを用いる必要はない。ただし、中膨み部を有する軸受部材が長い場合には、軸心の歪みをできるだけ少なくするために、マンドレルを用いて圧入することが好ましい。
(9)好ましい用途例 本発明の焼結含油軸受は、CD−ROMドライブ用のスピンドルモータ(使用時回転数:2,000〜11,000rpm程度)、その他、MD(ミニディスク)、LBP(レーザビームプリンタ)、IC用の冷却ファン等のスピンドルの軸受、その他小形高速回転機器用の軸受としての用途が挙げられる。
図5はCD−ROMドライブ用スピンドルモーターの例を示す縦断面図である。
軸受部材1は、基盤21に固定したハウジング4の内孔に圧入されており、軸受部材1内に装入された軸22の下端はスラスト受板8により回転自在に支承する。ディスク保持治具23、回転板24およびローター25は軸22の上端に固定されており、ローターの内側に設けた永久磁石26およびハウジング4の外周に設けた電磁コイル27の磁力により高速に回転する。
【0016】
【発明の効果】
本発明において用いる、基油とパーフルオロポリエーテルとを混合してエマルジョン化した潤滑油は、金属表面に金属フッ化物の皮膜を形成して、優れた摺動特性を示す。このような潤滑油を特定の構成を有する軸受の軸受部材に含浸することにより、高速回転の小形スピンドルモーターなどに好適な焼結含浸軸受を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)から(c)は本発明の各種軸受の実施例の縦断面図であり、図1(d)から(f)はそれらの平面図である。
【図2】軸受部材の軸受部に各種の動圧溝を設けた内孔摺動面の展開図であり、図2(a)から(d)は、それぞれスパイラル溝、ヘリングボーン溝、傾斜溝および閉塞溝の例を示す。
【図3】三円弧軸受部材の横断面図である。
【図4】動圧溝としてヘリングボーン溝を形成するために用いるコアロッドの部分斜視図である。
【図5】CD−ROMドライブ用のスピンドルモーターの実施例の縦断面図である。
【符号の説明】
1 軸受部材
2 軸受部
3 中膨み部
4 ハウジング
5 溝
6 貫通孔
7 圧入面
8 スラスト受板
11a スパイラル溝
11b ヘリングボーン溝
11c 傾斜溝
11d 閉塞溝
12 三円弧軸受部材
13 コアロッド
14 凸条
21 基盤
22 軸
23 ディスク保持治具
24 回転板
25 ローター
26 永久磁石
27 電磁コイル

Claims (7)

  1. ポリアルファオレフィン(PAO)、ポリオールエステル、ジフェニルエーテル、ジエステル油、鉱油(精製鉱油)、アルキルベンゼンおよびアルキルナフタレンからなる群から選ばれる1種もしくは2種以上の混合物に、0.1〜30容量%のパーフルオロポリエーテル(PFPE)を混合してエマルジョン化した潤滑油を、軸受部材に含浸したことを特徴とするスピンドルモータ用焼結含油軸受。
  2. 前記パーフルオロポリエーテルが、CF−[(O−CF−CF)−(O−CF)]−O−CF(ここで、pおよびqは10から200の整数)である請求項1に記載のスピンドルモータ用焼結含油軸受。
  3. 前記パーフルオロポリエーテルが、CF−CF−CF−O−(CF−CF−O)−CF−CF(ここで、mは10から200の整数)である請求項1に記載のスピンドルモータ用焼結含油軸受。
  4. 前記パーフルオロポリエーテルのフッ素原子の少なくとも1つを三フッ化メチル基で置換した化合物である請求項2または3に記載のスピンドルモータ用焼結含油軸受。
  5. 両端部に回転軸を摺動支持する軸受部を設け、かつ両軸受部の間に回転軸と接触しない中膨み部を設けた軸受部材の、該中膨み部の外周面をハウジングの内孔に圧入してなり、前記軸受部の外周面とハウジングの内孔面との間に間隙を形成し、さらに軸受部材の圧入部外周面に設けた軸方向の溝とハウジングの内孔面とにより貫通孔を形成した軸受の軸受部材に、前記潤滑油を含浸したことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のスピンドルモータ用焼結含油軸受。
  6. 前記軸受部の内周面に動圧溝を設けたことを特徴とする請求項5に記載のスピンドルモータ用焼結含油軸受。
  7. 前記軸受部の軸芯と直角方向の断面が三円弧形状である請求項5に記載のスピンドルモータ用焼結含油軸受。
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