JP3733390B2 - 型枠固定用治具。 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、プレキャストコンクリートの磁性材料からなる定盤上で製作される製品の製造に使用する側型枠を定盤上へ固定するための型枠固定用治具に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、プレキャストコンクリート板等のようなコンクリート製品を工場生産する場合、鉄板等の磁性材料からなる定盤上に、側型枠を成形すべきコンクリート製品の周囲に位置させてボルトおよびナットにより固定し、この側型枠内にコンクリートを流し込んでコンクリート製品を成形するようにしている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のように、定盤に対して側型枠をボルトおよびナットで固定するものにおいては、定盤にボルト穴が形成される。そのため、側型枠を配置固定して小型のコンクリート製品を成形した後に、この定盤を用いて、実線で示すような位置に側型枠を配置固定して大型のコンクリート製品を成形する場合には、先のボルト穴を埋めて補修しなければならない。
【０００４】
したがって、この定盤の転用回数が多くなると、前記のボルト穴の補修に手間を要する上に、定盤に無数の補修された穴が点在し、美観上も悪く、またコンクリート製品に補修穴による跡が生じてその修復作業が必要となるという問題がある。
【０００５】
そのため、実開平５−６３８０４号公報に記載されたような強力な磁石を用いた側型枠の固定装置が提案され、現場において使用されてきている。しかしながら、このような磁石を用いた側型枠の固定装置においては、強力な磁石を用いているため、一旦磁石が定盤に吸着すると磁石が強力で横に移動することが困難であった。したがって、側型枠を所定の位置に位置決めする作業の途中で磁石が定盤に吸着してしまうという問題があった。また定盤上に磁石を取り付けたときに少しでも取付位置にずれが生じると、そのずれを直すためには磁石を定盤上から取り外した上、再度位置決め作業を行なうことが必要であった。
【０００６】
そこでこの発明は、定盤への穴開け作業や穴埋め作業、また製品の穴痕処理のための補修作業を不要とし、製品の見栄えをよくすることはもちろん、作業の人数や時間を大幅に低減することを可能とする型枠固定用治具を提供しようとするものである。
【０００７】
この発明はまた、側型枠を所定の位置に位置決めする作業の途中で磁石が定盤に吸着してしまうことがなく、また定盤上に磁石を取り付けたときに少しでも取付位置にずれが生じても、そのずれを迅速に直すことができるプレキャストコンクリート用型枠における型枠固定用治具を提案することをも目的とするものである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
この発明の型枠固定用治具は、磁性材料からなる定盤上へ側型枠を取り付けるための型枠固定用治具であって、磁石を収納保持した固定用治具本体と、この固定用治具本体を磁石とともに昇降可能に支持し、側型枠を所定の位置へ位置決めした時点で押し下げることにより、磁石が定盤へ吸着するようにした固定用治具本体の昇降支持手段と、固定用治具本体に取り付けられ、側型枠に係合して側型枠を定盤上に固定する型枠押え手段とを備えたことを特徴とするものである。
【０００９】
この発明の型枠固定用治具は、上記固定用治具本体の昇降支持手段が、スプリングプランジャ、弾性体またはネジ式の昇降装置を備えたことをも特徴とするものである。
【００１０】
この発明の型枠固定用治具は、上記型枠押え手段が、固定用治具本体に回転、進退または取外し可能に取り付けられたアーム部と、型枠押え部とを備え、固定用治具本体が定盤へ固定された状態で側型枠の取付け取外しを可能としたことをも特徴とするものである。
【００１１】
この発明は以上のように構成したので、定盤への穴開け作業や穴埋め作業、また製品の穴痕処理のための補修作業を不要とし、製品の見栄えをよくすることはもちろん、作業の人数や時間を大幅に低減することを可能とする型枠固定用治具を提供することが可能となった。
【００１２】
この発明はまた、側型枠を所定の位置に位置決めする作業の途中で磁石が定盤に吸着してしまうことがなく、また定盤上に磁石を取り付けたときに少しでも取付位置にずれが生じても、そのずれを迅速に直すことができるプレキャストコンクリート用型枠における型枠固定用治具を提供することが可能となった。
【００１３】
【発明の実施の形態】
以下この発明の型枠固定用治具の実施の形態を図面に基いて詳細に説明する。図１はこの発明の型枠固定用治具の１実施例を示す側面図、図２はその平面図、図３はその背面図、図４は使用状態の側面図、図５は側型枠の１例を示す側面図である。
【００１４】
図１ないし図３において、型枠固定用治具１１は、側型枠を取り付けるために、磁性材料からなる定盤１０上へ取り付けられる。この型枠固定用治具１１は、希土類磁石等の強力な磁石１３を収納保持した固定用治具本体１２と、この固定用治具本体１２を磁石１３とともに昇降可能に支持し、側型枠を所定の位置へ位置決めした時点で押し下げることにより、磁石１３が定盤１０上へ吸着するようにした固定用治具本体１２の昇降支持手段と、固定用治具本体１２に取り付けられ、側型枠に係合して側型枠を定盤１０上に固定する型枠押え手段とを備えている。
【００１５】
すなわち、固定用治具本体１２には磁石１３を収納保持するケース２１が内蔵され、磁石１３はこのケース２１にバネ座金２３を介して取り付けたボルト２２を用いて固定されている。なお、上記ケース２１の長さ方向の両側には、上向きに左右１対の把手２４がケース２１と一体的に形成されている。したがって、固定用治具本体１２は把手２４を介して持ち運ぶことができる。
【００１６】
固定用治具本体１２のケース２１の両端には、各１対のスプリングプランジャ１４からなる昇降支持手段が取り付けられている。このスプリングプランジャ１４によれば、磁石１３を収納保持した固定用治具本体１２の荷重に抗して、定盤１０上に浮き支持することができる。また、固定用治具本体１２上から負荷をかけると下降して、磁石１３を定盤１０に接触させる位置に沈むので、磁石１３が定盤１０に吸着して固定用治具本体１２を定盤１０上に固定することができる。もちろん、スプリングプランジャ１４はナット１５を回すことにより、高さ調節して磁石１３を最適の高さに保持するようにすることができる。この昇降支持手段としては、上記スプリングプランジャ１４に代えて圧縮および復元可能なウレタンや合成ゴムその他の弾性体やネジ式の昇降装置等を用いることもできる。
【００１７】
次に固定用治具本体１２に取り付けられて側型枠を定盤１０上に固定する型枠押え手段としては、図のように固定用治具本体１２に回転可能に取り付けられたアーム部３１と、型枠押え部３２とを備えた構造とすることができる。すなわち、アーム部３１の一端は固定用治具本体１２に設けた軸受３３に、樹脂ワッシャ３４等を介してヒンジピン３５により回転自在に取り付けられている。上記アーム部３１は板状であってその先端に下向きに型枠押え部３２が固定されている。３６は上記ケース２１上にボルト３７を介して立設した蝶ナットで、上記板状のアーム部３１の適所に開けたほぼ同様の形状の係合穴３８にはめ込まれるようになっている。そして、この蝶ナット３６を回すと、係合穴３８の上面に係合してアーム部３１を側型枠上に固定することができる。３９は、ボルトによって形成したアーム部３１のつまみである。
【００１８】
したがって、図４にように固定用治具本体１２を定盤１０上へ浮き支持した状態で、側型枠３０を定盤１０上の所定の位置に据付け、固定用治具本体１２のアーム部３１を倒して型枠押え部３２を側型枠３０の所定位置にはめ込み、蝶ナット３６を回して係合穴３８の上面に係合させてアーム部３１を側型枠３０上に固定した上、固定用治具本体１２上から負荷をかけて定盤１０上に磁石１３を吸着させれば、型枠固定用治具１１の取り付けが完了する。もちろん、その逆の操作をすれば、側型枠３０を定盤１０上から取外すことができる。
【００１９】
またアーム部３１を解除した状態で側型枠３０を取外し、別のサイズの側型枠３０と取り換えてアーム部３１を閉じることにより、得ようとするプレキャストコンクリート製品に即した型枠を簡単に構成することも可能である。
【００２０】
図５は側型枠３０の例を示すもので、樹脂製の押出成形品からなるものである。その断面形状は型枠内側の側面が垂直に立上り、途中で内向きに傾斜している。その上面は平滑で外面は垂直に垂下し、さらにＶ字溝４０から多少持ち上がって外面につながっている。
【００２１】
そして型枠固定用治具１１は、型枠押え部３２を側型枠３０のＶ字溝４０にはめ込むことにより側型枠３０と係合し、側型枠３０を定盤１０上へ固定する。なお上記側型枠３０は、上記合成樹脂製のみらなず、鋼材等の金属類、木材等であってもよい。
【００２２】
【発明の効果】
この発明は以上のように構成したので、定盤への穴開け作業や穴埋め作業、また製品の穴痕処理のための補修作業を不要とし、製品の見栄えをよくすることはもちろん、作業の人数や時間を大幅に低減することを可能とする型枠固定用治具を提供することが可能となった。
【００２３】
この発明はまた、側型枠を所定の位置に位置決めする作業の途中で磁石が定盤に吸着してしまうことがなく、また定盤上に磁石を取り付けたときに少しでも取付位置にずれが生じても、そのずれを迅速に直すことができるプレキャストコンクリート用型枠における型枠固定用治具を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明の型枠固定用治具の１実施例を示す側面図である。
【図２】その平面図である。
【図３】その背面図である。
【図４】使用状態の側面図である。
【図５】側型枠の１例を示す側面図である。
【符号の説明】
１０ 定盤
１１ 型枠固定用治具
１２ 固定用治具本体
１３ 磁石
１４ スプリングプランジャ
１５ ナット
２１ ケース
２２ ボルト
２３ バネ座金
２４ 把手
３０ 側型枠
３１ アーム部
３２ 型枠押え部
３３ 軸受
３４ 樹脂ワッシャ
３５ ヒンジピン
３６ 蝶ナット
３７ ボルト
３８ 係合穴
３９ つまみ
４０ Ｖ字溝
Claims (3)
- 磁性材料からなる定盤上へ側型枠を取り付けるための型枠固定用治具であって、
磁石を収納保持した固定用治具本体と、
この固定用治具本体を磁石とともに昇降可能に支持し、側型枠を所定の位置へ位置決めした時点で固定用治具本体を押し下げることにより、磁石が定盤へ吸着するようにした固定用治具本体の昇降支持手段と、
固定用治具本体に取り付けられ、側型枠に係合して側型枠を定盤上に固定する型枠押え手段
とを備えたことを特徴とする型枠固定用治具。 - 固定用治具本体の昇降支持手段が、スプリングプランジャ、弾性体またはネジ式の昇降装置を備えたことを特徴とする請求項１に記載の型枠固定用治具。
- 型枠押え手段が、固定用治具本体に回転、進退または取外し可能に取り付けられたアーム部と、型枠押え部とを備え、固定用治具本体が定盤へ固定された状態で側型枠の取付け取外しを可能としたことを特徴とする請求項１に記載の型枠固定用治具。
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