JP3731445B2 - ディスク再生装置および初期調整方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、対物レンズ光軸の傾斜角及び、対物レンズ光軸の移動軌跡の位置を適切に調整することのできるディスク再生装置及び調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
音楽用CD(コンパクトディスク)等の普及に伴い、CDプレーヤに代表されるディスク再生装置が最もポピュラーな音楽再生機器の1つとして広まっている。このディスク再生装置は、光ピックアップにて、生成したレーザビームを対物レンズを介してディスクの記録面に照射し、ディスクからの反射光を同じ対物レンズを介して光検出素子に集光することにより、ディスクに記録されたデータを読み取っている。
【0003】
このようなディスク再生装置は、ディスクの記録面に設けられた対象のトラックにレーザビームを正確に照射するため、そして、ディスクからの反射光を光検出素子の所定位置に正確に集光するため、対物レンズ光軸がディスクの記録面に対して垂直となるように予め調整されている。
また、3スポット方式によりトラッキング制御を行うディスク再生装置は、対物レンズ光軸の移動軌跡(延長線上)とディスクの中心との位置が一致するように予め調整されている。すなわち、先行スポット、メインスポット及び後行スポット(3スポット)が光ピックアップの送り方向に平行移動した際に、スポットのピッチ間隔とトラックのピッチ間隔とにずれを生じさせないため、対物レンズ光軸の移動軌跡がターンテーブルの中心と重なるように調整される。
【0004】
以下、従来のディスク再生装置について、図5を参照して説明する。図5は、従来のディスク再生装置が備える光ピックアップ等の構成を示す斜視図である。
図5に示すディスク再生装置は、対物レンズ102を備えた光ピックアップ101と、光ピックアップ101をディスクの径方向(図中のY方向)に移動自在に保持する主ガイド軸103,副ガイド軸104と、図示せぬトラバースシャーシ上に固着された軸受け105とを含んで構成される。
【0005】
このようなディスク再生装置において、主ガイド軸103等が軸受け105を介してトラバースシャーシに固定されているため、対物レンズ102の光軸Lと、図示せぬターンテーブルに搭載されたディスクとの位置関係は、構成部品の寸法精度や、組み立て精度等により決定される。
構成部品の寸法精度等には、自ずと限界があるため、このようなディスク再生装置には、軸受け105に所定の調整機構が備えられている。すなわち、軸受け105には、図6に示すような、少なくとも1組のバネ部材111及び調整ネジ112からなる調整機構が備えられている。なお、図6(a)は、軸受け105の断面図であり、図6(b)は、軸受け105の斜視図である。
【0006】
バネ部材111は、軸受け105内部に埋設され、当接する主ガイド軸103等を所定の弾性力にて付勢する。
調整ネジ112は、主ガイド軸103等を挟んでバネ部材111と対向する位置に螺合され、主ガイド軸103等を押圧する。
【0007】
このような軸受け105に備えられた調整機構によって、対物レンズ102の光軸Lとディスクとの位置関係が調整される。
具体的には、調整ネジ112の回転度合いに応じて主ガイド軸103等の傾斜角が調整され、それに伴い、光ピックアップ101の傾斜角等が調整される。すなわち、光軸Lがディスクの記録面に対して垂直となるように、かつ、光軸Lの移動軌跡がターンテーブルの中心と重なるように、調整ネジ112が調節される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図5に示すような従来のディスク再生装置は、光軸Lの傾斜角及び、光軸Lの移動軌跡の位置を適切に調整することができない場合があった。
これは、再生対象となるディスクにおいて、一層の微細化が進んでいることが影響している。つまり、微細化が進んだディスクから安定したデータ再生を行うためには、更に高精度の傾斜角調整等が要求される。
これに対し、図5のディスク再生装置では、作業員等によって、調整ネジ112の調節がなされるのであるが、この際、光軸Lの傾斜角等を適切に調整しきれない場合があった。
【0009】
また、一度調整しても、使用環境から受ける特性の変位や経年変化に伴って、光軸Lの傾斜角等にズレが生じる場合がある。この場合、調整ネジ112の調節等を再度行う必要があり、大変煩雑であった。
【0010】
更に、図5に示すような、主ガイド軸103等を機械的に調整するディスク再生装置は、そもそも機構が複雑となり、コスト面、品質面、そして、装置(ユニット)の小型化に大変不利となるといった問題があった。
【0011】
この発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、対物レンズ光軸の傾斜角及び、対物レンズ光軸の移動軌跡の位置を適切に調整することのできるディスク再生装置及び調整方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るディスク再生装置は、
ガイド軸によって移動自在に支持された光ピックアップにより、ディスクに記録された情報を読み取るディスク再生装置であって、
ガイド軸を支持する軸受け内部に埋設され、印加される駆動電圧に従って、当接するガイド軸を光ピックアップの光軸方向に向けて押圧する第1の押圧部材と、
ガイド軸を支持する軸受け内部に埋設され、印加される駆動電圧に従って、当接するガイド軸を光ピックアップの光軸と直交する方向に向けて押圧する第2の押圧部材と、
光ピックアップから供給されるRF出力に従って、光ピックアップの光軸がディスクの記録面に対して垂直となるように、前記第1の押圧部材に印加する駆動電圧を制御するスキュー調整制御手段と、
光ピックアップから供給される先行スポットの反射光を示すE出力及び後行スポットの反射光を示すF出力に従って、光ピックアップの光軸の移動軌跡の延長線上がターンテーブルの中心と重なるように、前記第2の押圧部材に印加する駆動電圧を制御するEF位相差調整制御手段と、
前記スキュー調整制御手段及び前記EF位相差調整制御手段により制御された前記第1及び第2の押圧部材に印加する駆動電圧を、スキュー調整値及びEF調整値として不揮発に記憶する記憶手段と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
前記スキュー調整制御手段は、光ピックアップから供給されるRF出力の揺らぎが最小となるように、前記第1の押圧部材に印加する駆動電圧を制御し、
前記EF位相差調整制御手段は、前記E出力及び前記F出力の位相差が180度に近づくように、前記第2の押圧部材に印加する駆動電圧を制御してもよい。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係るディスク再生装置は、
主ガイド軸及び副ガイド軸によって移動自在に支持された光ピックアップにより、ディスクに記録された情報を読み取るディスク再生装置であって、
主ガイド軸を支持する軸受け内部に埋設され、印加される駆動電圧に従って、当接する主ガイド軸を光ピックアップの光軸方向に向けて押圧する第1の圧電素子と、
副ガイド軸を支持する軸受け内部に埋設され、印加される駆動電圧に従って、当接する副ガイド軸を光ピックアップの光軸方向に向けて押圧する第3,第4の圧電素子と、
光ピックアップから供給されるRF出力に従って、光ピックアップの光軸がディスクの記録面に対して垂直となるように、前記第1の圧電素子及び前記第3,第4の圧電素子に印加する駆動電圧を制御するスキュー調整制御手段と、
主ガイド軸を支持する軸受け内部に埋設され、印加される駆動電圧に従って、当接する主ガイド軸を光ピックアップの光軸と直交する方向に向けて押圧する第2,第5の圧電素子と、
光ピックアップから供給される先行スポットの反射光を示すE出力及び後行スポットの反射光を示すF出力に従って、光ピックアップの光軸の移動軌跡の延長線上がターンテーブルの中心と重なるように前記第2,第5の圧電素子に印加する駆動電圧を制御するEF位相差調整制御手段と、
前記スキュー調整制御手段及び前記EF位相差調整制御手段により制御された前記第1,第3,第5の圧電素子及び前記第2,第5の圧電素子に印加する駆動電圧を、スキュー調整値及びEF調整値として不揮発に記憶する記憶手段と、
を備えることを特徴とする。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係る初期調整方法は、
ガイド軸によって移動自在に支持された光ピックアップのスキュー調整、及びEF位相差調整を行い、所定の不揮発メモリに格納する初期調整方法であって、
所定の光検出素子に入射されたディスクからの反射光の信号成分をRF出力として取得するRF出力取得ステップと、
前記RF出力取得ステップにて取得されたRF出力に従って、ガイド軸を支持する軸受け内部に埋設された第1の圧電素子に、当接するガイド軸を光ピックアップの光軸方向に向けて押圧するために印加する駆動電圧を制御するスキュー調整制御ステップと、
所定の光検出素子に入射された先行スポットの反射光をE出力として取得するE出力取得ステップと、
所定の光検出素子に入射された後行スポットの反射光をF出力として取得するF出力取得ステップと、
前記E出力取得ステップ及び前記F出力取得ステップにて取得されたE出力及びF出力に従って、ガイド軸を支持する軸受け内部に埋設された第2の圧電素子に、当接するガイド軸を光ピックアップの光軸と直交する方向に向けて押圧するために印加する駆動電圧を制御するEF位相差調整制御ステップと、を備え、
前記スキュー調整制御ステップは、光ピックアップの光軸がディスクの記録面に対して垂直となるように、第1の圧電素子に印加する駆動電圧を制御し、制御した当該第1の圧電素子に印加する駆動電圧をスキュー調整値として、前記不揮発メモリに格納し、
前記EF位相差調整制御ステップは、ピックアップの光軸の移動軌跡の延長線上がターンテーブルの中心と重なるように、第2の圧電素子に印加する駆動電圧を制御し、制御した当該第2の圧電素子に印加する駆動電圧をEF調整値として、前記不揮発メモリに格納する、
ことを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態にかかるディスク再生装置について、以下図面を参照して説明する。
【0021】
図1(a)は、この発明の実施の形態に適用されるディスク再生装置が備える光ピックアップ等の一例を示す平面図である。また、図1(b)は、その側面図である。
図1に示すように、ディスク再生装置は、光ピックアップ1と、対物レンズ2と、主ガイド軸3と、副ガイド軸4と、軸受け5a〜5dと、ターンテーブル6と、クランパ7と、スピンドルモータ8とを含んで構成され、ターンテーブル6上に搭載したCD(コンパクトディスク)等からなるディスク9を再生する。
【0022】
光ピックアップ1は、ターンテーブル6上に搭載されたディスク9からデータを適宜読み出すことのできるように、主ガイド軸3及び副ガイド軸4により、ディスクの径方向(図中のY方向)に移動自在に支持されている。
【0023】
対物レンズ2は、光ピックアップ1の表面部に埋設され、レーザダイオード等にて生成されたレーザービームをディスク9の記録面に向けて照射する。また、ディスクからの反射光を後述するフォトダイオードに集光する。
【0024】
主ガイド軸3は、軸受け5a及び軸受け5bによって支持されている。また、副ガイド軸4は、軸受け5c及び軸受け5dによって支持されている。
これら主ガイド軸3等は、光ピックアップ1をディスクの径方向に移動自在に支持する。
【0025】
軸受け5a〜5dは、図示せぬトラバースシャーシ上に固着され、主ガイド軸3及び副ガイド軸4を支持する。具体的には、軸受け5a、5bが主ガイド軸3を支持し、軸受け5c、5dが副ガイド軸4を支持する。以下、軸受け5a〜5dについて図2の断面図を参照して説明する。
【0026】
軸受け5aは、図2(a)に示すように、圧電素子11a,11eと、バネ部材12とを備えている。
圧電素子11a,11eは、軸受け5a内部の所定位置に埋設され、主ガイド軸3と当接する。圧電素子11a,11eは、後述するマイクロコンピュータにより駆動電圧等が制御され、印加される駆動電圧等に従って所定の歪みを生じさせ、当接する主ガイド軸3を押圧する。
【0027】
具体的に、圧電素子11aは、図2(a)に示すように、Z軸方向(ターンテーブル6に対して垂直方向)に主ガイド軸3と当接し、印加される駆動電圧に従って主ガイド軸3をZ軸方向に押圧する。
また、圧電素子11eは、図2(a)に示すように、X軸方向(ターンテーブル6に対して水平方向)に主ガイド軸3と当接し、印加される駆動電圧に従って主ガイド軸3をX軸方向に押圧する。
【0028】
バネ部材12は、それぞれ、主ガイド軸3を挟んで圧電素子11a,11eと対向する位置に埋設され、所定の弾性力にて主ガイド軸3を付勢する。バネ部材12は、圧電素子11a,11eにより押圧される主ガイド軸3を反対方向から付勢することにより、主ガイド軸3のガタツキを抑制する。
【0029】
軸受け5bは、図2(b)に示すように、所定位置に埋設された圧電素子11b及びバネ部材12を備えている。
圧電素子11bは、図示するように、X軸方向(ターンテーブル6に対して水平方向)に主ガイド軸3と当接し、印加される駆動電圧に従って主ガイド軸3をX軸方向に押圧する。
バネ部材12は、主ガイド軸3のガタツキを抑制する。
【0030】
軸受け5cは、図2(c)に示すように、圧電素子11c及びバネ部材12を備え、また、軸受け5dは、図2(d)に示すように、圧電素子11d及びバネ部材12を備えている。
圧電素子11c,11dは、図示するように、Z軸方向(ターンテーブル6に対して垂直方向)に副ガイド軸4と当接し、印加される駆動電圧に従って副ガイド軸4をZ軸方向に押圧する。
バネ部材12は、副ガイド軸4のガタツキを抑制する。
【0031】
これら軸受け5a〜5dに埋設された圧電素子11a〜11eにより、主ガイド軸3及び副ガイド軸4の傾斜角等が調整される。そして、それに伴い光ピックアップ1の傾斜角等が調整される。
【0032】
図1に戻って、ターンテーブル6は、スピンドルモータ8に軸支され、ディスク9を搭載した状態でスピンドルモータ8の回転に伴い回転駆動する。
【0033】
クランパ7は、所定の付勢力によりターンテーブル6に搭載されたディスク9を押圧し、ターンテーブル6上にディスク9を密着させる。
【0034】
スピンドルモータ8は、ターンテーブル6を軸支する。そして、所定のスピンドルサーボ回路に制御され、ディスク9を搭載したターンテーブル6を角速度又は線速度が一定となるように回転駆動させる。
【0035】
以下、上述したディスク再生装置における圧電素子11a〜11e等を制御する回路構成について図3を参照して説明する。図3は、3スポット方式(先行スポット、メインスポット、及び後行スポット)が採用されたディスク再生装置における制御回路の一例を示すブロック図である。
【0036】
図示するように、ディスク再生装置は、ピックアップ1と、対物レンズ2と、コイル21と、マグネット22と、フォトダイオード23〜25と、圧電素子11a〜11eと、マイクロコンピュータ31とを含んで構成される。
【0037】
コイル21は、例えば、対物レンズ2を搭載したボビンに巻き付けられ、マイクロコンピュータ31により制御される駆動電圧等に従って対物レンズ2をフォーカス方向等に移動させる。
【0038】
マグネット22は、コイル21と対向する位置に配置され、コイル21に流れる電流等に従って対物レンズ2を移動させる。
【0039】
フォトダイオード23は、4区画に分割されており、対物レンズ2により集光されたメインスポットの反射光を入射する。フォトダイオード23は、各区画に入射した光量等に応じた出力(A〜D出力)をそれぞれマイクロコンピュータ31に供給する。
【0040】
フォトダイオード24は、対物レンズ2により集光された先行スポットの反射光を入射する。フォトダイオード24は、入射した光量等に応じた出力(E出力)をマイクロコンピュータ31に供給する。
【0041】
フォトダイオード25は、対物レンズ2により集光された後行スポットの反射光を入射する。フォトダイオード25は、入射した光量等に応じた出力(F出力)をマイクロコンピュータ31に供給する。
【0042】
マイクロコンピュータ31は、例えば、EPROM(Erasable and Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、CPU(Central Processing Unit)、及びドライバ回路等から構成され、コイル21及び圧電素子11a〜11eに印加する駆動電圧等を制御する。
すなわち、マイクロコンピュータ31は、フォトダイオード23から送られるA〜D出力に従って、ディスク9の記録面上におけるメインスポットの焦点位置を監視し、コイル21に印加する駆動電圧等を制御することにより、対物レンズ2のフォーカス調整を行う。
【0043】
具体的にマイクロコンピュータ31は、A〜D出力が数式1を満たすように、コイル21に印加する駆動電圧等を制御する。
【0044】
【数1】
(A+B)−(C+D)≒0
A〜D:フォトダイオード23からの出力
【0045】
また、マイクロコンピュータ31は、光ピックアップ1から送られるRF信号(Iパターン)に従って、対物レンズ2の光軸の傾きを監視し、圧電素子11a,11c,11dに印加する駆動電圧等を制御することにより、対物レンズ2の光軸がディスク9の記録面に対して垂直となるようにスキュー(ラジアルスキュー及びタンジェンシャルスキュー)を調整する。
【0046】
具体的にマイクロコンピュータ31は、Iパターンの揺らぎ(時間軸方向の変位量)が最小となるように、圧電素子11a,11c,11dに印加する駆動電圧等を制御する。
【0047】
また、マイクロコンピュータ31は、フォトダイオード24,25から送られるE出力及びF出力に従って、光ピックアップ1のトラック方向の位置(3スポットとトラックとの位置関係)を監視し、圧電素子11b,11eに印加する駆動電圧等を制御することにより、対物レンズ2の光軸の移動軌跡がターンテーブルの中心と重なるようにEF位相差を調整する。
【0048】
具体的にマイクロコンピュータ31は、E出力及びF出力の位相差がほぼ180度となるように、圧電素子11b,11eに印加する駆動電圧等を制御する。
【0049】
以下、この発明の実施の形態にかかるディスク再生装置の動作を、図4を参照して説明する。
図4は、マイクロコンピュータ31が行う初期調整処理を説明するためのフローチャートである。図4に示す調整処理は、例えば、ディスク再生装置に初期調整を指示する所定のリセット信号が供給された際に、開始される。
【0050】
まず、マイクロコンピュータ31は、対物レンズ2をフォーカス方向に駆動して、フォトダイオード23からの出力を監視する(ステップS11)。すなわち、マイクロコンピュータ31は、A〜D出力をサンプリングする。
マイクロコンピュータ31は、コイル21に印加している駆動電圧を調整する(ステップS12)。
マイクロコンピュータ31は、サンプリングしたA〜D出力が、上述の数式1の条件を満たしているか否かを判別する(ステップS13)。
【0051】
マイクロコンピュータ31は、A〜D出力が、数式1の条件を満たしていないと判別した場合、ステップS11に処理を戻し、上述のステップS11〜S13の処理を繰り返す。
一方、A〜D出力が、数式1の条件を満たしていると判別した場合、マイクロコンピュータ31は、フォーカス調整値を記憶する(ステップS14)。すなわち、コイル21に印加している現在の駆動電圧をフォーカス調整値として、EPROMに記憶する。
【0052】
次に、マイクロコンピュータ31は、光ピックアップ1からのRF出力(Iパターン)を監視する(ステップS15)。
マイクロコンピュータ31は、圧電素子11a,11c,11dに印加している駆動電圧を調整する(ステップS16)。
マイクロコンピュータ31は、Iパターンの揺らぎが最小であるか否かを判別する(ステップS17)。すなわち、マイクロコンピュータ31は、Iパターンの時間軸方向の変位量が最小となっているか否かを判別する。
【0053】
マイクロコンピュータ31は、Iパターンの揺らぎが最小でないと判別した場合、ステップS15に処理を戻し、上述のステップS15〜S17の処理を繰り返す。
一方、Iパターンの揺らぎが最小であると判別した場合、マイクロコンピュータ31は、スキュー調整値を記憶する(ステップS18)。すなわち、マイクロコンピュータ31は、圧電素子11a,11c,11dに印加している現在の駆動電圧をスキュー調整値として、EPROMに記憶する。
【0054】
次に、マイクロコンピュータ31は、フォトダイオード24,25からの出力を監視する(ステップS19)。すなわち、マイクロコンピュータ31は、E出力及びF出力の位相差を監視する。
マイクロコンピュータ31は、圧電素子11b,11eに印加している駆動電圧を調整する(ステップS20)。
マイクロコンピュータ31は、E出力及びF出力の位相差がほぼ180度となったか否かを判別する(ステップS21)。
【0055】
マイクロコンピュータ31は、E出力及びF出力の位相差が180度となっていないと判別した場合、ステップS19に処理を戻し、上述のステップS19〜S21の処理を繰り返す。
一方、E出力及びF出力の位相差がほぼ180度となっていると判別した場合、マイクロコンピュータ31は、EF調整値を記憶する(ステップS22)。すなわち、マイクロコンピュータ31は、圧電素子11b,11eに印加している現在の駆動電圧をEF調整値として、EPROMに記憶する。
【0056】
このような初期調整処理により得られたスキュー調整値及びEF調整値を使用して、通常時にマイクロコンピュータ31は、圧電素子11a〜11eに印加する駆動電圧等を制御する。
このため、対物レンズ2の光軸がディスク9の記録面に対して垂直となるように圧電素子11a,11c,11dに駆動電圧が印加され、そして、光軸の移動軌跡の延長線上がターンテーブルの中心と重なるように圧電素子11b,11eに駆動電圧が印加される。
この結果、対物レンズ光軸の傾斜角及び、対物レンズ光軸の移動軌跡の位置を適切に調整することができる。
【0057】
また、主ガイド軸3等を機械的に調整するのではないため、構成部品のバラツキ、及びその組み立てのバラツキによる、光ディスクの再生性能の低下を防止できる。
また、主ガイド軸3等を機械的に調整するのではないため、使用環境から受ける特性の変位や経年変化を抑制し、光ディスクの再生性能低下を防止できる。
更に、使用環境から受ける特性の変位や経年変化を生じてしまった場合であっても、短時間に、かつ、正確に再調整することができる。
【0058】
上記の実施の形態では、軸受け5aに2つの圧電素子11a,11eを配置し、軸受け5bに1つの圧電素子11bを配置し、そして、軸受け5c及びに軸受け5dにそれぞれ1つの圧電素子11c,11dを配置したが、圧電素子の配置数及び配置方向(主ガイド軸3等を押圧する方向)は、任意である。
例えば、圧電素子の配置数等を減らしてスキュー及びEF位相差の何れか一方を調整してもよい。また、スキュー調整及びEF位相差調整にそれほど高い精度が要求されない場合は、圧電素子の配置数等を減らしてもよい。
【0059】
また、上記の実施の形態では、圧電素子11a〜11eを用いて主ガイド軸3及び副ガイド軸4の傾斜角等を調整したが、圧電素子11a〜11eに代えて電気的に容積、硬度等が変位する特性を有する素子を用いても上記と同様の効果を得ることができる。
更に、圧電素子11a〜11eを用いて主ガイド軸3及び副ガイド軸4の傾斜角等を調整することにより、スキュー調整及びEF位相差調整を行ったが、ターンテーブル6側の傾斜角等を調整することにより、スキュー及びEF位相差を調整してもよい。
【0060】
また、上記の実施の形態では、CDを再生するディスク再生装置等について説明したが、再生対象の媒体はCDに限られず、他にMD(ミニディスク)、DVD(デジタルビデオディスク)等を再生するディスク再生装置に適用可能である。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、対物レンズ光軸の傾斜角及び、対物レンズ光軸の移動軌跡の位置を適切に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るディスク再生装置(要部)の一例を示す図であって、(a)が平面図であり、(b)が側面図である。
【図2】(a),(b),(c),(d)共に、軸受けの内部構造を説明するための断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るディスク再生装置(要部)の一例を示す回路ブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る初期調整処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】従来のディスク再生装置(要部)の一例を示す斜視図である。
【図6】従来のディスク再生装置における調整機構を説明するための図であって、(a)が断面図であり、(b)が斜視図である。
【符号の説明】
1 光ピックアップ
2 対物レンズ
3 主ガイド軸
4 副ガイド軸
5a〜5d 軸受け
6 ターンテーブル
7 クランパ
8 スピンドルモータ
9 ディスク
11a〜11e 圧電素子
12 バネ部材
21 コイル
22 マグネット
23〜25 フォトダイオード
31 マイクロコンピュータ
Claims (4)
- ガイド軸によって移動自在に支持された光ピックアップにより、ディスクに記録された情報を読み取るディスク再生装置であって、
ガイド軸を支持する軸受け内部に埋設され、印加される駆動電圧に従って、当接するガイド軸を光ピックアップの光軸方向に向けて押圧する第1の押圧部材と、
ガイド軸を支持する軸受け内部に埋設され、印加される駆動電圧に従って、当接するガイド軸を光ピックアップの光軸と直交する方向に向けて押圧する第2の押圧部材と、
光ピックアップから供給されるRF出力に従って、光ピックアップの光軸がディスクの記録面に対して垂直となるように、前記第1の押圧部材に印加する駆動電圧を制御するスキュー調整制御手段と、
光ピックアップから供給される先行スポットの反射光を示すE出力及び後行スポットの反射光を示すF出力に従って、光ピックアップの光軸の移動軌跡の延長線上がターンテーブルの中心と重なるように、前記第2の押圧部材に印加する駆動電圧を制御するEF位相差調整制御手段と、
前記スキュー調整制御手段及び前記EF位相差調整制御手段により制御された前記第1及び第2の押圧部材に印加する駆動電圧を、スキュー調整値及びEF調整値として不揮発に記憶する記憶手段と、
を備えることを特徴とするディスク再生装置。 - 前記スキュー調整制御手段は、光ピックアップから供給されるRF出力の揺らぎが最小となるように、前記第1の押圧部材に印加する駆動電圧を制御し、
前記EF位相差調整制御手段は、前記E出力及び前記F出力の位相差が180度に近づくように、前記第2の押圧部材に印加する駆動電圧を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載のディスク再生装置。 - 主ガイド軸及び副ガイド軸によって移動自在に支持された光ピックアップにより、ディスクに記録された情報を読み取るディスク再生装置であって、
主ガイド軸を支持する軸受け内部に埋設され、印加される駆動電圧に従って、当接する主ガイド軸を光ピックアップの光軸方向に向けて押圧する第1の圧電素子と、
副ガイド軸を支持する軸受け内部に埋設され、印加される駆動電圧に従って、当接する副ガイド軸を光ピックアップの光軸方向に向けて押圧する第3,第4の圧電素子と、
光ピックアップから供給されるRF出力に従って、光ピックアップの光軸がディスクの記録面に対して垂直となるように、前記第1の圧電素子及び前記第3,第4の圧電素子に印加する駆動電圧を制御するスキュー調整制御手段と、
主ガイド軸を支持する軸受け内部に埋設され、印加される駆動電圧に従って、当接する主ガイド軸を光ピックアップの光軸と直交する方向に向けて押圧する第2,第5の圧電素子と、
光ピックアップから供給される先行スポットの反射光を示すE出力及び後行スポットの反射光を示すF出力に従って、光ピックアップの光軸の移動軌跡の延長線上がターンテーブルの中心と重なるように前記第2,第5の圧電素子に印加する駆動電圧を制御するEF位相差調整制御手段と、
前記スキュー調整制御手段及び前記EF位相差調整制御手段により制御された前記第1,第3,第5の圧電素子及び前記第2,第5の圧電素子に印加する駆動電圧を、スキュー調整値及びEF調整値として不揮発に記憶する記憶手段と、
を備えることを特徴とするディスク再生装置。 - ガイド軸によって移動自在に支持された光ピックアップのスキュー調整、及びEF位相差調整を行い、所定の不揮発メモリに格納する初期調整方法であって、
所定の光検出素子に入射されたディスクからの反射光の信号成分をRF出力として取得するRF出力取得ステップと、
前記RF出力取得ステップにて取得されたRF出力に従って、ガイド軸を支持する軸受け内部に埋設された第1の圧電素子に、当接するガイド軸を光ピックアップの光軸方向に向けて押圧するために印加する駆動電圧を制御するスキュー調整制御ステップと、
所定の光検出素子に入射された先行スポットの反射光をE出力として取得するE出力取得ステップと、
所定の光検出素子に入射された後行スポットの反射光をF出力として取得するF出力取得ステップと、
前記E出力取得ステップ及び前記F出力取得ステップにて取得されたE出力及びF出力に従って、ガイド軸を支持する軸受け内部に埋設された第2の圧電素子に、当接するガイド軸を光ピックアップの光軸と直交する方向に向けて押圧するために印加する駆動電圧を制御するEF位相差調整制御ステップと、を備え、
前記スキュー調整制御ステップは、光ピックアップの光軸がディスクの記録面に対して垂直となるように、第1の圧電素子に印加する駆動電圧を制御し、制御した当該第1の圧電素子に印加する駆動電圧をスキュー調整値として、前記不揮発メモリに格納し、
前記EF位相差調整制御ステップは、ピックアップの光軸の移動軌跡の延長線上がターンテーブルの中心と重なるように、第2の圧電素子に印加する駆動電圧を制御し、制御した当該第2の圧電素子に印加する駆動電圧をEF調整値として、前記不揮発メモリに格納する、
ことを特徴とする初期調整方法。
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