JP3731433B2 - スクロール型圧縮機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクロール型圧縮機に関し、特に、運転効率の低減防止対策に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、冷凍サイクルで冷媒を圧縮する圧縮機として、例えば、特開平5−312156号公報などに開示されているスクロール型圧縮機が用いられている。スクロール型圧縮機は、ケーシング内に、互いに噛合する渦巻き状のラップを有する固定スクロールと可動スクロールとを備えている。固定スクロールはケーシングに固定され、可動スクロールは駆動軸の偏心軸部に連結されている。そして、可動スクロールが固定スクロールに対して自転することなく公転のみを行うことで、両ラップ間に形成される圧縮室を収縮させて冷媒を圧縮するように構成されている。
【0003】
ところで、図14に示すように、可動スクロール(OS)には、冷媒を圧縮することにより、軸方向力であるスラスト荷重PSと横方向力であるラジアル荷重PTとが作用する。このため、軸方向力PSに対抗する力で可動スクロール(OS)を固定スクロール(FS)に押し付ける構造で、押し付け力が小さく、可動スクロール(OS)に作用する力の合力のベクトルがスラスト軸受の外周の外側を通る場合、いわゆる転覆モーメントMの作用で可動スクロール(OS)が図15に示すように傾斜(転覆)し、冷媒が漏れて効率が低下することになる。これに対して、図14に示しているように可動スクロール(OS)の背面(下面)に高圧の冷媒圧力PAを作用させる高圧部(P)を設けて可動スクロール(OS)を固定スクロール(FS)に上記軸方向力PSに対抗する力で押し付ける構成において、押し付け力を大きく(可動スクロール(OS)に作用する力の合力のベクトルがスラスト軸受の外周より内側を通る)すると、可動スクロール(OS)の転覆を防止することが可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一方、スクロール型圧縮機では、容積比が一定であるため、図16に示すように、運転条件が変化することで高圧圧力や低圧圧力が変動して圧縮比が変わっても、軸方向力PSや横方向力PTは大幅に変化しないのに対して、上述した可動スクロール(OS)の背面の冷媒圧力(図では背圧と表している)による押し付け力は、圧縮比の変化に伴って大幅に変化する。
【0005】
ここで、可動スクロール(OS)に高圧圧力を作用させる上記高圧部(P)の面積を、図17(a)に示しているように高圧縮比の条件で可動スクロール(OS)が転覆しないように設定すると、低圧縮比の条件では例えば高圧圧力が下がるために押し付け力が不足することとなり、可動スクロール(OS)が転覆しやすくなってしまう。
【0006】
一方、低圧縮比の条件に合わせて上記高圧部(P)の面積を設定すると、図17(b)に示すように、固定スクロール(FS)に対する可動スクロール(OS)の押し付け力が、軸方向力PSと横方向力PTから決まってくる最低限必要な押し付け力に対して、例えば高圧圧力が上昇して高圧縮比になったときには過剰となる。その結果、可動スクロール(OS)に対して図14の上向きに大きなスラスト力が作用し、機械損失が増大して効率が低下することとなる。
【0007】
以上のことは、低圧圧力の変動(通常は高圧圧力と同時に変動する)を考えた場合でもほぼ同様である。したがって、一般的に言って、冷媒圧力などを利用して固定スクロール(FS)に可動スクロール(OS)を押し付けるタイプのスクロール圧縮機では、各機械毎にほぼ特定の圧縮比を基準として低圧縮比側で転覆が生じやすく、高圧縮比側では押し付け力が過剰になりやすい傾向にあった。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みて創案されたものであり、その目的とするところは、固定スクロールに対する可動スクロールの押し付け力を制御することによって、効率の低下を防止できるようにすることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力を圧縮比の変動に応じて変化させて、該押し付け力を運転条件に応じて調整できるようにしたものである。
【0010】
具体的に、本発明が講じた解決手段は、ケーシング(10)内に固定された固定スクロール(21)と、該固定スクロール(21)に噛合する可動スクロール(22)と、可動スクロール(22)を固定スクロール(21)に押し付ける押し付け手段(40)とを備えたスクロール型圧縮機を前提としている。そして、上記押し付け手段(40)は、ケーシング (10) 内の高圧油の貯留部から該高圧油を可動スクロール (22) の背面側に供給して可動スクロール (22) を固定スクロール (21) に押し付ける押し付け力を可動スクロール (22) に作用させると共に、圧縮比が所定値を越えたときに、上記貯留部から可動スクロール (22) の背面側に供給される高圧油より分岐された高圧油を固定スクロール (21) と可動スクロール (22) との接触面の間に供給して可動スクロール (22) を固定スクロール (21) から引き離す押し返し力を可動スクロール (22) に作用させ、押し付け力が押し返し力で抑制されるように構成されている。
【0011】
この結果、押し付け力を高圧縮比の時に抑制しながら、低圧縮比の時にはその抑制を緩和できるようにして、運転条件に応じた調整を可能としたものである。
【0012】
上記構成においては、押し付け手段(40)を、可動スクロール(22)の背面側に作用する高圧空間(S2)を備えた構成にするとともに、圧縮比が所定値を越えたとき(つまり、可動スクロール(22)が固定スクロール(21)に充分な力で押し付けられる状態となったとき)に、固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力を抑制するように構成することができる。なお、この場合、「圧縮比が所定値を越える」という作動条件は、高低差圧などが予め設定した所定値に達したかどうかなどの近似的な条件を利用することができる(この点については以下の各構成においても同様)。
【0013】
また、上記構成において、押し付け手段(40)は、固定スクロール(21)と可動スクロール(22)との接触面の間に形成された油溝(43)と、圧縮比が所定値を越えたときに該油溝(43)に高圧油を導入する高圧油導入手段(46)とを備えた構成とすることができる。
【0014】
また、上記構成においては、高圧空間(S2)を高圧油が供給される高圧油作動空間とし、高圧油導入手段(46)を、圧縮比が所定値を越えたときに該高圧油作動空間(S2)の高圧油を油溝(43)に案内するように構成することが好ましい。
【0015】
また、上記構成において、高圧油導入手段(46)は、高圧油作動空間(S2)から油溝(43)に連通する高圧油導入通路(44)と、該高圧油導入通路(44)を開閉する高圧油導入弁(45)とを備えた構成とすることが好ましい。
【0016】
また、上記構成においては、高圧油導入弁(45)は、高圧油導入通路(44)を、圧縮比が所定値を越えたときに開通する一方、圧縮比が所定値以下の時に閉塞するように構成することが好ましい。
【0017】
さらに、上記構成において、高圧油導入弁(45)は、高圧油導入通路(44)の経路内を横切って配置されたシリンダ(47)と、該シリンダ(47)内に往復動作可能に設けられたピストン状の弁本体(48)とを備えた構成とし、弁本体(48)を、圧縮比が所定値を越えたときに高圧油導入通路(44)を開通させる開通位置へ移動させる一方、圧縮比が所定値以下の時に高圧油導入通路(44)を遮断する閉塞位置へ移動させるように構成することができる。
【0018】
また、上記構成において、高圧油導入弁(45)のシリンダ(47)は、一端側がケーシング(10)内に設けられた低圧空間(S1)に連通する一方、他端側が高圧空間(S3)に連通する構成とし、弁本体(48)をシリンダ(47)内で閉塞位置に付勢する付勢手段(50)を設けて、該付勢手段(50)を、圧縮比が所定値以下の状態では弁本体(48)を閉塞位置に保持する一方、圧縮比が所定値を越えると開通位置への弁本体(48)の移動を許容するように、その付勢力を、低圧空間(S1)と高圧空間(S3)の所定の差圧に応じて設定することができる。
【0019】
さらに、上記構成において、弁本体(48)は、閉塞位置で該高圧油導入通路(44)を遮断する一方、開通位置で高圧油導入通路(44)を開通させる連通路(48a)を備えた構成とすることができる。
【0020】
この構成において、弁本体(48)の連通路(48a)は、該弁本体(48)の外周面に形成された周溝により構成することが好ましい。
【0021】
また、上記構成においては、ケーシング(10)内に、低圧空間(S1)と高圧空間(S3)とを区画するフレーム(23)を可動スクロール(22)の下方に配置して、フレーム(23)と可動スクロール(22)との間を低圧空間(S1)と高圧油作動空間(S2)とに区画するシール部材(42)を設ける一方、該フレーム(23)に、高圧油導入通路(44)と高圧油導入弁(45)とを設けた構成とすることができる。
【0022】
また、本発明が講じた解決手段は、ケーシング(10)内に固定された固定スクロール(21)と、該固定スクロール(21)に噛合する可動スクロール(22)と、可動スクロール(22)を固定スクロール(21)に押し付ける押し付け手段(40)とを備えたスクロール型圧縮機構成を前提としている。そして、上記押し付け手段(40)は、ケーシング (10) 内の高圧油の貯留部から該高圧油を可動スクロール (22) の背面側に供給して可動スクロール (22) を固定スクロール (21) に押し付ける押し付け力を可動スクロール (22) に作用させると共に、上記貯留部から可動スクロール (22) の背面側に供給される高圧油より分岐された高圧油を固定スクロール (21) と可動スクロール (22) との接触面の間に供給して可動スクロール (22) を固定スクロール (21) から引き離す押し返し力を可動スクロール (22) に作用させ、圧縮比の上昇に伴って上記押し付け力及び押し返し力が大きくなって圧縮比の変動に連動して上記押し付け力が押し返し力によって常時抑制されるように構成されている。
【0023】
この構成において、押し付け手段(40)は、高圧油を可動スクロール (22) の背面側に作用させる高圧空間 (S2) と、固定スクロール(21)と可動スクロール(22)との接触面の間に形成された油溝(43)と、ケーシング(10)内の高圧油を該油溝(43)に常時導入する高圧油導入通路(44)とを備えた構成とすることができる。
【0024】
また、この構成においては、高圧空間(S2)を高圧油が供給される高圧油作動空間とし、高圧油導入通路(44)を、高圧油作動空間(S2)から油溝(43)に連通して該高圧油作動空間(S2)の高圧油を常時油溝(43)に案内するように構成することができる。
【0025】
また、上記構成においては、ケーシング(10)内に、低圧空間(S1)と高圧空間(S3)とを区画するフレーム(23)を可動スクロール(22)の下方に配置して、フレーム(23)と可動スクロール(22)との間を低圧空間(S1)と高圧油作動空間(S2)とに区画するシール部材(42)を備える一方、該フレーム(23)に、高圧油導入通路(44)を設けた構成とすることができる。
【0026】
また、上記の各構成においては、高圧油導入通路(44)に絞り部(44b)を設けることが好ましい。
【0027】
さらに、上記絞り部(44b)は、高圧油導入通路(44)の少なくとも一部に設けられた細径部により構成したり、高圧油導入通路(44)の少なくとも一部に設けられたキャピラリチューブ(44e)により構成したり、高圧油導入通路(44)の少なくとも一部に該高圧油導入通路(44)よりも細径の棒状部材(44f)を該高圧油導入通路(44)との間に隙間を形成するように配置して構成したりすることが可能である。
【0028】
−作用−
上記解決手段では、固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力が、圧縮比の変動に応じて調整されるので、該押し付け力を運転条件に応じて変化させることができる。
【0029】
特に、圧縮比が所定値を越えたとき(近似的には、高低差圧が所定値を越えたときなど)に、可動スクロールの押し付け力を抑制する構成において、圧縮比が所定値以下の状態で適度な押し付け力が得られるようにしておくと、圧縮比(または高低差圧など:以下同様)が所定値に達するまでは可動スクロール(22)に作用するガス圧縮によるスラスト荷重に高圧空間(S2)の押し付け力で抗することによって、可動スクロール(22)の転覆が阻止される。そして、圧縮比が所定値を越えたときには固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力を抑制することにより、その押し付け力が過剰になって機械損失が大きくなることを抑制できる。
【0030】
また、固定スクロール(21)と可動スクロール(22)との接触面の間に油溝(43)を設け、圧縮比が所定値を越えたときに該油溝(43)に高圧油を導入するように構成すると、この高圧油によって固定スクロール(21)から可動スクロール(22)を引き離す方向への力が作用して、可動スクロール(22)の押し付け力が抑制される。
【0031】
また、高圧空間を高圧油作動空間(S2)とし、圧縮比が所定値を越えたときに該高圧油作動空間(S2)の高圧油を油溝(43)に案内するように構成すると、低圧縮比の時には高圧油の圧力で可動スクロール(22)を固定スクロール(21)に押し付けて可動スクロール(22)の転覆を阻止しながら、圧縮比が所定値を越えるとその高圧油の圧力を利用して固定スクロール(21)から可動スクロール(22)を引き離す方向の力を生じさせ、過剰な押し付けを抑制できる。
【0032】
また、油溝(43)への高圧油導入手段(46)として、高圧油導入通路(44)と、高圧油導入通路(44)を開閉する高圧油導入弁(45)とを用いると、高圧油導入弁(45)を、圧縮比が所定値を越えたときに高圧油導入通路(44)を開通する一方、圧縮比が所定値以下の時に閉塞することで、低圧縮比での可動スクロール(22)の転覆と、高圧縮比での過剰な押し付けとを防止できる。
【0033】
また、高圧油導入弁(45)を、高圧油導入通路(44)の経路内を横切って配置されたシリンダ(47)と、該シリンダ(47)内に往復動作可能に設けられた弁本体(48)とを備えた構成にすると、圧縮比が所定値を越えたときに弁本体(48)を開通位置へ移動させて高圧油導入通路(44)を開通させることで、高圧縮比での可動スクロールの過剰な押し付けを防止できる一方、圧縮比が所定値以下の時に弁本体(48)を閉塞位置へ移動させて高圧油導入通路(44)を遮断することで、低圧縮比での可動スクロール(22)の転覆を防止できる。
【0034】
また、高圧油導入弁(45)のシリンダ(47)を、一端側がケーシング(10)内の低圧空間(S1)に連通し、他端側が高圧空間(S3)に連通する構成とし、弁本体(48)をシリンダ(47)内で閉塞位置に付勢するようにすると、圧縮比が所定値以下の状態で低圧空間(S1)と高圧空間(S3)との差圧が小さいときには、その付勢力で弁本体(48)を閉塞位置に保持し、可動スクロール(22)の転覆を防止できる。一方、圧縮比が所定値を越えて差圧が設定値よりも大きくなると、その差圧により弁本体(48)を付勢力に抗して開通位置に移動させ、可動スクロール(22)の過剰な押し付けを防止できる。
【0035】
また、弁本体(48)の外周面に例えば周溝などの連通路(48a)を形成して、閉塞位置で該高圧油導入通路(44)を遮断する一方、開通位置ではこの連通路(48a)によって高圧油導入通路(44)を開通させる構成にすると、弁本体(48)を開通位置にしたときに連通路(48a)によって高圧油導入通路(44)が開通して高圧油を固定スクロール(21)と可動スクロール(22)との間の油溝(43)に作用させ、可動スクロール(22)の過剰な押し付けを防止できる。
【0036】
また、上述の前提構成としたスクロール圧縮機で可動スクロールの押し付け力を圧縮比の変動に連動して常に抑制する構成においては、例えば、上述のように固定スクロール(21)と可動スクロール(22)との接触面の間に形成された油溝(43)にケーシング(10)内の高圧油を常時導入する高圧油導入通路(44)を設けると、固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力は、高圧油が油溝(43)に常に作用することで調整される。
【0037】
つまり、例えば高圧圧力が上昇して圧縮比が大きくなった場合には、圧縮比が小さい場合と比べて圧力の高い油が油溝(43)に作用する一方で、高圧圧力の低下などにより圧縮比が小さくなった場合には、圧縮比が大きい場合と比べて圧力の低い油が油溝(43)に作用する。このため、固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力が、圧縮比の変動に応じて変化する高圧圧力(吐出圧力)を利用して常に調整されることになる。したがって、高圧縮比の時は押し付け力が充分に抑制されるのに対して、低圧縮比の時はその抑制が緩和される。このことは、低圧圧力の変動を含めて考えた場合でもほぼ同様である。このように、固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力が圧縮比(圧力状態)の変動に応じて調整されて、運転条件に応じて変化することとなる。
【0038】
なお、例えば低圧縮比の条件で適度な押し返し力(可動スクロール(22)を固定スクロール(21)から離す方向への力)が得られるように設定しておくと、高圧縮比となった場合に、高圧空間(S2)や油溝(43)の面積などの設定条件によっては押し返し力が若干不足することも考えられるが、押し返す作用自体は必ず生じるので、高圧油導入通路(44)を設けない場合と比較すれば、固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の実際の押し付け力は確実に抑制できる。
【0039】
逆に、例えば高圧縮比の条件で適度な押し返し力が得られるように設定すると、低圧縮比となった場合には、条件次第では可動スクロール(22)の押し返し力が必要以上に大きくなることが考えられる。しかし、その場合に可動スクロール(22)が仮に転覆したとしても、細径部(44b)やキャピラリチューブ(44e)や棒状部材(44f)などにより隙間を寸法管理した絞り部(44b)を設けておくと、高圧油導入通路(44)を油が流れる際にその油に対する減圧作用が生じ、油溝(43)から可動スクロール(22)に作用する押し返し力が弱められる。その結果、可動スクロール(22)は転覆してもすぐに元の転覆していない状態に復帰することになる。
【0040】
さらに、高圧油導入通路(44)に絞り部(44b)を設けておくと、可動スクロール(22)の転覆時に油溝(43)への油の流入を抑えられるので、油の漏れを抑えられる。その結果、両スクロール(21,22)間の圧縮室(24)への油の流入に伴う油面の低下、さらには油切れといった現象の発生が抑えられる。
【0041】
以上のことから、実用的には、可動スクロール(22)の転覆による油漏れや運転効率の低下はほとんど問題にならない程度に抑えられ、圧縮室(24)からの冷媒の漏れも最小限に抑えられる。
【0042】
なお、ここで、圧縮比が所定値を越えたときに固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力を抑制することを目的として、高圧油導入通路(44)に高圧油導入弁(45)だけを設けて該高圧油導入弁(45)を所定の高低差圧で作動させるようにした場合に、スクロール型圧縮機の作動領域を示す図12(縦軸を高圧圧力とし、横軸を低圧圧力とした運転領域図)において、転覆の生じ得る領域(A1)に対して若干の余裕を持たせた領域(A2)のすべてで高圧油導入弁(45)を作動させないようにすることを考えてみる。
【0043】
この場合、転覆領域(A2)の境界線(a)の傾きが概ね圧縮比で決まる(詳細には、回転数なども条件となる)のに対して、高圧油導入弁(45)の動作圧力の境界線(b)の傾きが高低差圧に基づいていることから、境界線(a)と境界線(b)の傾きが通常は一致しないことになり、もともと転覆の生じない領域(B1)(実際には(A2−A1)も含む領域)で可動スクロール(22)を押し返さない押し付け過剰の領域(B2)が若干生じることとなる。
【0044】
これに対し、図13に示すように高圧油導入弁(45)の動作圧力((b)参照)を低下させると、押し付け過剰の領域(B2)を少なくできる。この場合、可動スクロール(22)の転覆領域(A2)内で可動スクロール(22)を押し返すことによる押し返し過剰の領域(A3)が発生するが、この場合には絞り部(44b)を高圧油導入通路(44)に設けておくことにより、この押し返し過剰(A3)の領域で転覆が生じても、高圧油導入通路(44)を流れる高圧油が絞り部(44b)で減圧されて押し返し力が低減されることから転覆はすぐに回避される。
【0045】
さらに、可動スクロール(22)の転覆時には、高圧油導入通路(44)の絞り部(44b)により油溝(43)への油の流入を抑えられるので、油漏れを抑えられる。したがって、圧縮室(24)への油の流入、油面の低下、さらには油切れといった現象の発生を抑制できる。以上のことから、油漏れや運転効率の低下は実用上ほとんど問題にならない程度に抑えられる。
【0046】
なお、転覆領域(A2)の境界線(a)の傾きと、高圧油導入弁(45)の動作圧力の境界線(b)の傾きとを、いずれも概ね圧縮比に基づいて、互いにほぼ一致するように設定した場合には、押し付け過剰の領域(B2)や押し返し過剰の領域(A3)自体が発生せず、より安定した動作を保証できる。具体的には、高圧圧力と低圧圧力を検出して圧縮比を演算し、その圧縮比に応じて高圧油導入弁(45)を作動させて可動スクロール(22)の押し付け力を調整するような場合である。
【0047】
【発明の効果】
以上のように、上記解決手段によれば、固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力が、圧縮比の変動に応じて調整されて、運転条件に応じて変化する。
【0048】
特に、圧縮比(近似的には高低差圧:以下同様)が所定値に達するまでは、可動スクロール(22)に作用するガス圧縮によるスラスト荷重等に対して転覆防止に必要な力よりも若干大きな押し付け力で抗すれば、可動スクロール(22)の転覆を阻止できる。また、圧縮比が所定値を越えたときには固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力を抑制するように高圧圧力などを利用すれば、押し付け力が過剰になって機械損失が大きくなることを防止できる。
【0049】
このように、上記構成によれば、低圧縮比の時に押し付け力が不足して可動スクロール(22)が転覆し、冷媒が漏れて効率が低下するのを防止できるとともに、高圧縮比の時には押し付け力が過剰になって過大な機械損失が発生するのを防止できるから、低圧縮比から高圧縮比の全域に亘って効率の良い運転を行うことが可能となる。
【0050】
また、固定スクロール(21)と可動スクロール(22)との接触面の間に油溝(43)を設け、この油溝(43)に高圧油を導入する構成にすると、圧縮比が所定値を越えたときには、圧縮機(1)内の高圧圧力を利用して該固定スクロール(21)から可動スクロール(22)を引き離す方向への力を作用させることとなり、圧縮機(1)内の圧力を有効に利用して効率低下を防止できる。
【0051】
特に、上記高圧空間を高圧油作動空間(S2)として、圧縮比が所定値を越えたときに該高圧油作動空間(S2)の高圧油を油溝(43)に案内するように構成すると、圧縮比が所定値を越えるまでは可動スクロール(22)を固定スクロール(21)に押し付けるのに用いている高圧油の圧力を、圧縮比が所定値を越えたときには固定スクロール(21)から可動スクロール(22)を引き離す方向の力を生じさせるのに利用することになり、圧縮機(1)内の圧力をより有効に利用できる。
【0052】
また、油溝(43)への高圧油導入手段(46)として、高圧油導入通路(44)と、高圧油導入通路(44)を開閉する高圧油導入弁(45)とを用い、高圧油導入弁(45)を、圧縮比が所定値を越えたときに高圧油導入通路(44)を開通する一方、圧縮比が所定値以下の時に閉塞すれば、低圧縮比での可動スクロールの転覆と、高圧縮比での過剰な押し付けとを防止できるとともに、構成が複雑になるのを防止できる。
【0053】
特に、高圧油導入弁(45)を、高圧油導入通路(44)の経路内を横切って配置されたシリンダ(47)と、該シリンダ(47)内に往復動作可能に設けられた弁本体(48)とを備えた構成にし、圧縮比に応じて弁本体(48)を開通位置または閉塞位置へ移動させるようにすると、高圧縮比での可動スクロール(22)の過剰な押し付けを防止し、低圧縮比での可動スクロール(22)の転覆を防止するために高圧油導入通路(44)を開閉させる構成を具体的かつ簡単に実現できる。
【0054】
その際、シリンダ(47)を、一端側がケーシング(10)内の低圧空間(S1)に連通し、他端側が高圧空間(S3)に連通する構成とし、さらに弁本体(48)をシリンダ(47)内で閉塞位置に付勢するようにすると、簡単な構成でありながら、その付勢力と、高圧油導入弁(45)が作動する差圧を適切な値に設定することにより、圧縮比の変動に対応した弁本体(48)の動きを確実に行うことが可能となる。
【0055】
また、弁本体(48)の外周面に例えば周溝などの連通路(48a)を形成し、この連通路(48a)を利用して高圧油導入通路(44)を開閉するようにすると、構成をより簡素化することが可能となる。
【0056】
また、ケーシング(10)内に、低圧空間(S1)と高圧空間(S3)とを区画するフレーム(23)を可動スクロール(22)の下方に配置して、フレーム(23)と可動スクロール(22)との間を低圧空間(S1)と高圧油作動空間(S2)とに区画するシール部材(42)を設ける一方、該フレーム(23)に、高圧油導入通路(44)と高圧油導入弁(45)とを設けた構成とすると、高圧油導入弁(45)を圧縮比の変動に応じて高低差圧で作動させる構成を容易に実現できる。
【0057】
また、押し付け手段(40)により、可動スクロールの押し付け力を圧縮比の変動に連動して常に抑制するように構成した場合、例えば、上述のように固定スクロール(21)と可動スクロール(22)との接触面の間に形成された油溝(43)にケーシング(10)内の高圧油を常時導入する高圧油導入通路(44)を設ける構成とすると、固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力を、高圧縮比の時に抑制する一方で、低圧縮比の時には抑制を緩和できる。このように、固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力が運転条件の変化に伴う圧縮比の変動に応じて調整されることになるので、従来よりも低圧縮比から高圧縮比まで全域に亘って効率よく運転できる。
【0058】
また、高圧縮比の場合に押し返す力が若干不足したとしても、押し返す作用自体は必ず生じるので、高圧縮比側では固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力を従来よりも確実に弱めて、高効率化を図ることができる。
【0059】
逆に低圧縮比の条件で可動スクロール(22)が転覆したとしても、高圧油導入通路(44)に絞り部(44b)を設ける構成とすれば、転覆は高圧油が減圧されて押し付け力の抑制が緩和されることですぐに回復するし、油や冷媒の漏れも抑えられるので、実用上、性能の低下が問題となることはほとんどなく、動作を安定させることが可能となる。
【0060】
また、高圧油導入弁(45)と、高圧油を減圧する絞り部(44b)の両方を高圧油導入通路(44)に設けると、押し返し過剰の領域(A3)で転覆が発生しても、圧縮室(24)への油の流入、油面の低下、さらには油切れを防止でき、転覆時には、高圧油導入通路(44)を流れる高圧油が絞り部(44b)で減圧されて油溝(43)に導入されるので、押し返し力が低減されて転覆もすぐに回復する。また、押し付け過剰の領域(B2)を小さくできることから、低圧縮比から高圧縮比まで全域に亘ってより安定した運転を行うことが可能となる。
【0061】
なお、高圧油導入弁(45)を設けた構成において、その作動に高低差圧を利用する場合、圧縮比の変動と完全に一致した形での押し付け力の調整は困難であるが、その作動圧力の設定等の条件次第では、ほぼ圧縮比の変動に沿って制御することは可能である。
【0062】
また、以上の説明においては、主に高圧圧力の変動に伴う圧縮比の変動について述べているが、低圧圧力の変動を含めて考えた場合でもほぼ同様の作用効果を奏することができる。
【0063】
【発明の実施の形態1】
以下、本発明の実施形態1を図面に基づいて詳細に説明する。
【0064】
本実施形態1に係るスクロール型圧縮機(1)は、例えば空気調和装置等の蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路において、蒸発器から吸入した低圧の冷媒を圧縮して凝縮器へ吐出するのに用いられる。このスクロール型圧縮機(1)は、図1に示すように、ケーシング(10)の内部に、圧縮機構(20)と、該圧縮機構(20)を駆動する駆動機構(30)とを備えている。そして、圧縮機構(20)がケーシング(10)内の上部に、駆動機構(30)がケーシング(10)内の下部に配設されている。
【0065】
ケーシング(10)は、円筒状に形成された胴部(11)と、該胴部(11)の上下両端に固定された皿型の鏡板(12,13)とから構成されている。上側の鏡板(12)は、胴部(11)の上端に固定された後述するフレーム(23)に固定され、下側の鏡板(13)は、胴部(11)の下端部に嵌合した状態で固定されている。
【0066】
駆動機構(30)は、ケーシング(10)の胴部(11)に固定されたステータ(31)と、該ステータ(31)の内側に配置されたロータ(32)とからなるモータ(33)と、該モータ(33)のロータ(32)に固定された駆動軸(34)とから構成されている。この駆動軸(34)は、上端部が上記圧縮機構(20)に連結されている。また、駆動軸(34)の下端部は、ケーシング(10)の胴部(11)の下端部に固定された軸受(35)に回転可能に支持されている。
【0067】
上記圧縮機構(20)は、固定スクロール(21)と可動スクロール(22)とフレーム(23)とを備えている。フレーム(23)は、上述したようにケーシング(10)の胴部(11)に固定されている。そして、該フレーム(23)は、ケーシング(10)の内部空間を上下に区画している。
【0068】
上記固定スクロール(21)は、鏡板(21a)と、該鏡板(21a)の下面に形成された渦巻き状(インボリュート状)のラップ(21b)とから構成されている。この固定スクロール(21)の鏡板(21a)は、上記フレーム(23)に固定され、該フレーム(23)と一体化している。上記可動スクロール(22)は、鏡板(22a)と、該鏡板(22a)の上面に形成された渦巻き状(インボリュート状)のラップ(22b)とから構成されている。
【0069】
固定スクロール(21)のラップ(21b)と可動スクロール(22)のラップ(22b)とは、互いに噛合している。そして、固定スクロール(21)の鏡板(21a)と可動スクロール(22)の鏡板(22a)との間には、両ラップ(21b,22b)の接触部の間が圧縮室(24)として構成されている。この圧縮室(24)は、可動スクロール(22)の公転に伴い、両ラップ(21b,22b)間の容積が中心に向かって収縮することで、冷媒を圧縮するように構成されている。
【0070】
上記固定スクロール(21)の鏡板(21a)には、上記圧縮室(24)の周縁部に低圧冷媒の吸込口(21c)が形成され、圧縮室(24)の中央部に高圧冷媒の吐出口(21d)が形成されている。冷媒の吸込口(21c)には、上記ケーシング(10)の上側の鏡板(12)に固定された吸入配管(14)が固定され、該吸入配管(14)は、図示しない冷媒回路の蒸発器と接続されている。一方、固定スクロール(21)の鏡板(21a)と上記フレーム(23)とには、高圧冷媒をフレーム(23)の下方へ案内する流通路(25)が上下方向に貫通して形成されている。そして、ケーシング(10)の胴部(11)の中央部分には、高圧冷媒を吐出する吐出配管(15)が固定され、該吐出配管(15)は、図示しない冷媒回路の凝縮器と接続されている。
【0071】
上記可動スクロール(22)の鏡板(22a)の下面には、スクロール軸(22c)が突出形成されている。このスクロール軸(22c)は、上記駆動軸(34)の上端部に設けられた大径部(34a)の連結孔(34b)に挿入されている。連結孔(34b)は、可動スクロール(22)を固定スクロール(21)に対して公転させるように、駆動軸(34)の回転中心から偏心した位置に形成されている。また、上記可動スクロール(22)の鏡板(22a)とフレーム(23)との間には、該可動スクロール(22)が固定スクロール(21)に対して公転のみ行うようにオルダム機構などの自転阻止部材(図示せず)が設けられている。
【0072】
上記駆動軸(34)には、図示していないが、遠心ポンプと、給油路とが設けられている。遠心ポンプは駆動軸(34)の下端部に設けられ、ケーシング(10)内の下部に貯留する図示しない潤滑油を該駆動軸(34)の回転に伴って汲み上げるように構成されている。そして、給油路は、駆動軸(34)内を上下方向に延びるとともに、遠心ポンプが汲み上げた潤滑油を各摺動部分へ供給するように、各部に設けられた給油口と連通している。
【0073】
本実施形態1では、この潤滑油の圧力を利用して可動スクロール(22)を固定スクロール(21)に押し付けるとともに、その押し付け力を、空気調和装置の運転条件の変化(高圧の上昇など)に伴う圧縮比の変動に合わせて制御するようにしている。そこで、以下に、押し付け手段(40)の具体的な構成について説明する。
【0074】
まず、上記フレーム(23)には、上面側に、上記可動スクロール(22)の動作範囲よりも幾分大きな第1凹部(23a)が形成されている。また、フレーム(23)の下面側の中央には、上記駆動軸(34)の大径部(34a)よりも若干大径に形成された貫通孔(23b)が形成され、第1凹部(23a)と貫通孔(23b)との間には、貫通孔(23b)よりも若干径の大きな第2凹部(23c)が形成されている。第2凹部(23c)には、スプリング(41)によって可動スクロール(22)の鏡板(22a)の背面(下面)に圧接するシール部材(42)が設けられている。
【0075】
このシール部材(42)によって、該シール部材(42)の外径側の第1空間(S1)と内径側の第2空間(S2)とが区画されている。第2空間(S2)には、図示しない上記遠心ポンプによって、高圧の潤滑油が供給される。したがって、この第2空間(S2)が、可動スクロール(22)の鏡板(22a)の背面(下面)に該潤滑油の高圧を作用させる高圧空間(高圧油作動空間)を構成する一方、第1空間(S1)は、低圧空間を構成している。
【0076】
次に、本実施形態1の押し付け手段(40)において、圧縮比が所定値以上であるときに固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力を抑制する構成について図2から図5を参照して説明する。
【0077】
固定スクロール(21)の下面図である図2に示すように、該固定スクロール(21)の鏡板(21a)の下面には、ラップ(21b)の外周側に環状の油溝(43)が形成されている。この油溝(43)は、可動スクロール(22)の鏡板(22a)の上面と接触する面に、高圧圧力を作用させる空間として形成されている。なお、図には示していないが、油溝(43)は完全な環状ではなく、一部が僅かに途切れた形状で、その途切れた部分において鏡板(21a)の下面には、径方向へのびる微細な溝が設けられている。そして、この微細な溝により第1空間(S1)を圧縮室(24)の吸込み側と連通させて、該第1空間(S1)を低圧に保持するようにしている。なお、この油溝(43)などの具体的な形状はスクロール型圧縮機(1)の具体的な構造に応じて適宜設定されるものであり、場合によっては上記の微細な溝を設けない構成とすることも可能である。
【0078】
そして、図1に示すように、固定スクロール(21)とフレーム(23)とには、第2空間(S2)内の高圧油を上記油溝(43)に導入する高圧油導入通路(44)が形成されている。この高圧油導入通路(44)は、フレーム(23)の第2凹部(23c)から径方向外方へ延びる第1通路(44a)と、第1通路(44a)と連通してフレーム(23)から固定スクロール(21)に亘って上下方向に延びるように形成された第2通路(44b)と、固定スクロール(21)内で第2通路(44b)から油溝(43)に通じるように形成された第3通路(44c)とから構成されている。なお、第1通路(44a)は、フレーム(23)を外周面から中心に向かって穿孔することによって形成されているため、外側端部がプラグ(44d)によって封じられている。
【0079】
一方、フレーム(23)には、高圧油導入通路(44)を開閉する高圧油導入弁(45)が設けられている。そして、高圧油導入通路(44)と高圧油導入弁(45)とにより、圧縮比が所定値よりも高いときに高圧油作動空間である第2空間(S2)内の高圧油を油溝(43)に導入する高圧油導入手段(46)が構成されている。なお、圧縮比が所定値よりも高いときは、概ねケーシング内の高圧空間(S3)と低圧空間(S1)との差圧が大きい高差圧状態になっており、圧縮比が所定値以下の時は概ね低差圧状態になっている。
【0080】
高圧油導入弁(45)は、高圧油導入通路(44)を、上記高差圧時には開通させる一方、低差圧時には閉塞することにより、圧縮比が所定値を越えたときに高圧油を油溝(43)に導入するように構成されている。つまり、圧縮比の変動に応じて高圧油導入弁(45)が作動するように、その作動圧力(高低差圧:この場合は高圧空間(S3)と低圧空間(S1)との差圧)が所定値に設定されている。
【0081】
高圧油導入弁(45)は、具体的には拡大断面図である図3及び図4に示すように、高圧油導入通路(44)を横切るようにフレーム(23)に形成されたシリンダ(47)と、該シリンダ(47)内に往復動作可能に設けられたピストン状の弁本体(48)とを備えている。
【0082】
シリンダ(47)は、上端側が上記低圧空間(S1)に連通する一方、下端側はフレーム(23)の下方の高圧空間(S3)に連通している。このシリンダ(47)は、上側部分(47a)が大径に形成されて上記弁本体(48)が挿入されている。シリンダ(47)の上端部には、中心に貫通孔(49a)が形成されたプラグ(49)が固定され、このプラグ(49)と弁本体(48)との間に、該弁本体(48)を下方へ付勢する付勢手段としてスプリング(50)が設けられている。
【0083】
弁本体(48)は、例えば高圧空間(S3)が所定圧に達して高低差圧が設定値を超えると、可動範囲の上限位置である開通位置(図3参照)へ移動して高圧油導入通路(44)を開通させる一方、所定圧以下で高低差圧が設定値に達しない場合は、可動範囲の下限位置である閉塞位置(図4参照)へ移動して高圧油導入通路(44)を閉塞する。逆に言うと、弁本体(48)を閉塞位置に付勢するスプリング(50)の付勢力を、弁本体(48)が低圧空間(S1)と高圧空間(S3)との差圧に応じてこのような動作を行うように設定している。このことにより、高圧油導入弁(45)が、圧縮比の変動にほぼ対応して切り換えられるようになっている。
【0084】
弁本体(48)には、図3に示した高差圧時の開通位置で高圧油導入通路(44)を開通させる一方、図4に示した低差圧時の閉塞位置では該高圧油導入通路(44)を閉塞する連通路(48a)が形成されている。この弁本体の連通路(48a)は、図5に示すように、具体的には弁本体(48)の外周面に形成された周溝により構成されている。
【0085】
−運転動作−
次に、このスクロール型圧縮機(1)の運転動作について説明する。
【0086】
まず、モータ(33)を駆動すると、ステータ(31)に対してロータ(32)が回転し、それによって駆動軸(34)が回転する。駆動軸(34)が回転すると、大径部(34a)の連結孔(34b)が駆動軸(34)の回転中心の周りを公転し、それに伴って可動スクロール(22)が固定スクロール(21)に対して自転せずに公転のみ行う。このことにより、吸入配管(14)から圧縮室(24)の周縁部に低圧の冷媒が吸引され、該冷媒が圧縮室(24)の容積変化に伴って圧縮され、高圧になって該圧縮室(24)の中央部の吐出口(21d)から固定スクロール(21)の上方へ向かって吐出される。
【0087】
この冷媒は、固定スクロール(21)とフレーム(23)とを貫通するように形成された流通路(25)を通ってフレーム(23)の下方へ流入し、ケーシング(10)内に高圧の冷媒が充満するとともに、該冷媒が吐出配管(15)から吐出される。そして、この冷媒は、冷媒回路において凝縮、膨張、蒸発の各行程を行った後、再度吸入配管(14)から吸入されて圧縮される。
【0088】
一方、運転時にはケーシング(10)内に貯留された潤滑油も高圧になっており、この潤滑油は、図示しない遠心ポンプによって、駆動軸(34)内の給油路を通って第2空間(S2)内に給油される。したがって、可動スクロール(22)が、背面(下面)側から固定スクロール(21)に押し付けられるため、可動スクロール(22)が傾く(転覆する)のが防止される。なお、可動スクロール(22)に高圧油が作動する面積は、圧縮比が比較的小さな運転条件で該可動スクロール(22)が転覆しないように定められている。
【0089】
一方、運転条件が変化して例えば高圧圧力が上昇し、圧縮比が大きくなってくると、固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力が大きくなっていくとともに、高圧空間(S3)と低圧空間(S1)との差圧が徐々に大きくなる。そして、この差圧が、可動スクロール(22)の転覆の生じる圧縮比に基づいて予め定められた所定の値に達すると、低圧空間(S1)の圧力とスプリング(49)の付勢力とから得られる力よりも高圧空間(S3)の高圧圧力による力が大きくなり、高圧油導入弁(45)の弁本体(48)が図3に示すようにシリンダ(47)内を上昇して開通位置に変位する。
【0090】
この結果、それまでは図4に示すように閉塞されていた高圧油導入通路(44)が、弁本体(48)の外周面に形成された周溝(48a)によって開通して、第2空間(S2)内の高圧油が油溝(43)の中に導入される。このため、図6に示すように可動スクロール(22)を固定スクロール(21)から引き離す方向への力PRが作用し、図7に示すように弁作動時に押し付け力が一旦弱められて、押し付け力は、最低限必要な値まで低下する。その後の運転条件(圧縮比の変動)で差圧がさらに大きくなっていくと、押し付け力は徐々に大きくなって行くが、このときには高圧油の圧力も徐々に高まるため、その上昇の傾斜は弁(45)の作動前よりも緩やかになり、過度の押し付け力が発生することは防止される。なお、この上昇の傾斜は、油溝(43)の面積などを適宜設定することで調整可能である。
【0091】
また、逆に運転条件の変化によって例えば高圧圧力が低下して圧縮比が小さくなる方向に変化し、差圧が小さくなって行くと、油溝(43)の油の圧力も弱まって行く。そして、差圧が所定値以下になると高圧油導入弁(45)の弁本体(48)が閉塞位置に変位して、油溝(43)への高圧油の供給が停止する。このため、圧縮比が所定値よりも小さいときには図6の力PRが作用せず、固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力が不足するのを防止できる。
【0092】
−実施形態1の効果−
以上説明したように、本実施形態1によれば、低圧縮比の状態で可動スクロール(22)を固定スクロール(21)に適度な押し付け力で押し付けて、該可動スクロール(22)の転覆を防止する一方、高圧縮比になると低圧空間(S1)と高圧空間(S3)との差圧の変化を利用して高圧油導入弁(45)を開き、固定スクロール(21)と可動スクロール(22)との間の油溝(43)に高圧油を導入して押し付け力が過剰になるのを防止している。
【0093】
したがって、低圧縮比時には、押し付け力の不足による可動スクロール(22)の転覆は生じないので、冷媒が漏れて効率が低下するのを防止でき、高圧縮比時には、押し付け力が過剰になって機械損失が発生するのを防止できる。このことから、低圧縮比から高圧縮比の全域に亘って効率の良い運転を行うことが可能となる。
【0094】
また、第2空間(S2)を高圧油作動空間として可動スクロール(22)を固定スクロール(21)に押し付け、該可動スクロール(22)の転覆を防止する一方、高低差圧を利用することにより圧縮比の変動に応じて第2空間(S2)内の高圧油を油溝(43)に導入して押し付け力を抑制しているので、圧縮機(1)内の圧力を有効に利用しながら機械損失を防止できる。
【0095】
また、具体構成として、高圧油導入通路(44)を、ケーシング(10)内の低圧空間(S1)と高圧空間(S3)との差圧で作動する高圧油導入弁(45)で開閉するようにしているので、高圧油導入弁(45)をピストン式の簡単な構成とすることができ、機構全体としての構成が複雑になるのを防止できる。
【0096】
なお、高低差圧は、圧縮比の変動に完全に一致する形では変化しないが、近似的には圧縮比の変動に連動すると言えるので、本実施形態1によれば、ほぼ圧縮比の変動に沿って可動スクロール(22)の押し付け力を調整できる。また、以上の説明では低圧圧力の変化については殆ど言及していないが、低圧圧力の変化を含めて考えた場合でも、ほぼ同様の作用効果を奏することができる。
【0097】
【発明の実施の形態2】
次に、図8を参照して本発明の実施形態2について説明する。
【0098】
実施形態2に係るスクロール型圧縮機(1)は、高圧油導入通路(44)の構成を実施形態1とは変更したもので、他の部分は実施形態1と同様に構成されている。そして、図8は、高圧油導入通路(44)と、その周辺部分の構成のみを拡大して示している。
【0099】
このスクロール型圧縮機(1)の高圧油導入通路(44)は、実施形態1と同様、固定スクロール(21)の鏡板(21a)の下面に形成された環状の油溝(43)に、第2空間(S2)内の高圧油を導入するように、固定スクロール(21)とフレーム(23)とに亘って形成されている。そして、実施形態1では設けていた高圧油導入弁(45)は設けていない。
【0100】
高圧油導入通路(44)は、フレーム(23)の第2凹部(23c)から径方向外方へ延びる第1通路(44a)と、第1通路(44a)と連通してフレーム(23)から固定スクロール(21)に亘って上下方向に延びるように形成された第2通路(44b)と、固定スクロール(21)内で第2通路(44b)から油溝(43)に通じるように形成された第3通路(44c)とから構成されている。第1通路(44a)は、実施形態1と同様に外側端部がプラグ(44d)によって封じられている。
【0101】
本実施形態2の特徴として、高圧油導入通路(44)は、第2通路(44b)が実施形態1よりも直径の細い細径部に構成され、該第2通路(44b)によって、例えば直径が約0.5mm 程度の絞り部が構成されている。なお、本実施形態2では、第2通路(44b)の全体を絞り部としているが、該絞り部は、第1通路(44a)、第2通路(44b)、及び第3通路(44c)を含め、高圧油導入通路(44)の少なくとも一部に設ければよい。
【0102】
以上のように、本実施形態2では、固定スクロール(21)と可動スクロール(22)との間の油溝(43)に、ケーシング(10)内の高圧油を高圧油導入通路(44)から第2通路(44b)を介して常時供給するようにしている。そして、以上の構成により、本実施形態2の押し付け手段(40)においても、固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力が圧縮比の変動に応じて調整されるようになっている。
【0103】
具体的には、例えば高圧圧力が低下した低圧縮比状態の時には固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力(PA:図6参照)が弱くなるのに対して押し返し力(PR:図6参照)も弱くなり、逆に高圧圧力が上昇した高圧縮比状態の時にはその押し付け力(PA)が強くなるのに対して押し返し力(PR)も強くなることで、その押し付け力と押し返し力の差(つまり、実際の押し付け力)が変動する。なお、実際には、低圧圧力も同時に変動するのが普通であるが、その場合でもほぼ同様の作用と考えてよい。
【0104】
このように、本実施形態2では、高圧圧力(吐出圧力)を常に油溝(43)に作用させて、固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力を圧縮比の変動に応じて調整している。
【0105】
−作用−
以上のように、本実施形態2では、例えば高圧圧力が高くて圧縮比が比較的大きい場合には、低圧縮比のとき(例えば高圧圧力が低いとき)と比較して高圧の油が油溝(43)に作用し、逆に圧縮比が小さい場合には、高圧縮比の時と比較して低圧の油が油溝(43)に作用する。このため、固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力が運転条件の変化に伴う圧縮比の変動に応じて調整されることになり、高圧縮比の時は押し付け力(PA)が充分に抑制されるのに対して、低圧縮比の時は押し付け力(PA)の抑制が緩和されることになる。
【0106】
つまり、本実施形態2では、低圧縮比の状態で可動スクロール(22)が転覆しないように、例えば第2空間(S2)における高圧油の作用する面積や、油溝(43)における高圧油の作用する面積などを設定しておけば、高圧縮比の状態で、可動スクロール(22)が固定スクロール(21)に必要以上に強く押し付けられるのを抑えられる。なお、設定条件によっては、低圧縮比の条件で適度な押し返し力(PR)が得られるようにした場合に、高圧縮比で押し付け力(PA)に対して押し返し力(PR)が若干不足してしまうことも考えられるが、押し返す作用自体は必ず生じるので、固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の実際の押し付け力は従来よりも抑制されることとなり、機械損失を抑えることは可能である。
【0107】
また、逆に高圧縮比の条件で適度な押し返し力(PR)が得られるように設定すると、低圧縮比時に、場合によっては可動スクロール(22)が転覆することも考えられる。しかし、本実施形態2では、可動スクロール(22)が仮に転覆したとしても、絞り部(44b)を設けているために、高圧油導入通路(44)を流れるときに油が減圧されて押し返し力が低減されるので、可動スクロール(22)自体は、転覆してもすぐに元の転覆していない状態に復帰する。さらに、絞り部(44b)により油溝(43)への油の流入を抑えられるので、油が圧縮室(24)から高圧空間(S3)を経て機外へ急速に漏れ出てしまうことは防止できる。以上のことから、本実施形態2において、可動スクロール(22)の転覆による効率の低下や油漏れによる油切れは実用上ほとんど問題にならない程度に抑えられる。
【0108】
−実施形態2の効果−
以上説明したように、本実施形態2によれば、固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の実際の押し付け力が運転条件の変化に伴う圧縮比の変動(高圧や低圧の変動)に応じて常に調整されることになるので、実施形態1と同様に、従来よりも低圧縮比から高圧縮比まで全域に亘って効率よく運転できる。
【0109】
また、低圧縮比の条件で仮に可動スクロール(22)が転覆したとしても、絞り部(44b)で油が減圧されることで転覆自体はすぐに回復するし、油漏れによる油面低下ないし油切れも抑えられる。また、逆に高圧縮比の場合に押し返す力が若干弱くなったとしても、押し返す作用自体は必ず生じるので、従来よりも高効率化を図ることができる。
【0110】
さらに、実施形態2は実施形態1よりも構造が簡単である利点もあり、ひいては故障のおそれが少なく、信頼性が高い効果がある。
【0111】
−実施形態2の変形例1−
図9には、実施形態2の変形例1を示している。この例では、図8の例において第2通路(44b)自体を細い径に形成して絞り部としていたのに対して、第2通路(44b)自体の直径は実施形態1とほぼ同じに形成し、第2通路(44b)のフレーム(23)側の内部にキャピラリチューブ(44e)を装着することで絞り部を構成している。その他の具体的な構成は図8と同様である。
【0112】
このように構成すると、図8の例と同様の作用効果が得られることに加え、図8の例よりも第2通路(44b)の孔加工が容易であるために、製作が容易になる利点がある。
【0113】
−実施形態2の変形例2−
図10には、実施形態2の変形例2を示している。この例では、図9のキャピラリチューブ(44e)の代わりに、第2通路(44b)の直径よりも僅かに細い外径の棒状部材(44f)を第2通路(44b)内に装着している。そして、第2通路(44b)の内周面と棒状部材(44f)の外周面との間に細い管状の隙間を形成して、この筒状の隙間によって絞り部を構成している。その他の具体的な構成は図8及び図9と同様である。
【0114】
このように構成すると、図8の例と同様の作用効果が得られることに加え、棒状部材(44f)をキャピラリチューブ(44e)よりも簡単に装着できるので、図9の例よりもさらに製作が容易になる利点がある。
【0115】
なお、図示の例では棒状部材(44f)を第2通路(44b)の上下に突出させて位置を固定するようにしているが、棒状部材(44f)を装着する構成は適宜変更してもよい。例えば、第2通路(44b)よりも若干短い棒状部材(44f)を第2通路(44b)の中に装填するだけで固定しない簡易な構造としてもよい。
【0116】
【発明の実施の形態3】
次に、図11〜図13を参照して本発明の実施形態3について説明する。
【0117】
実施形態3に係るスクロール型圧縮機(1)は、押し付け手段(40)の構成を実施形態1,2とは変更したもので、具体的には高圧油導入通路(44)に実施形態1と同様の高圧油導入弁(45)を設けると共に、高圧油導入通路(44)の第2通路(44b)を実施形態2と同様に細径に形成して絞り部としている。
【0118】
高圧油導入弁(45)は、実施形態1よりもスプリング(50)の付勢力が若干弱く設定されている。このため、高圧油導入弁(45)は、実施形態1と比べて作動圧力が若干低くなっている。つまり、高圧空間(S3)と低圧空間(S1)の差圧が若干小さい状態(実施形態1よりも低圧縮比の状態)で、高圧油導入通路(44)が開通するようになっている。
【0119】
その他の部分については、実施形態1,2と同様に構成されている。なお、実施形態3では高圧油導入弁(45)を絞り部(44b)の上流側に設けているが、逆に絞り部(44b)を高圧油導入弁(45)の上流側に設けてもよい。
【0120】
−作用−
実施形態1の場合、高圧油導入通路(44)に高圧油導入弁(45)だけを設けて、該高圧油導入弁(45)が作動する高低差圧を所定の圧縮比に基づいた値に設定し、圧縮比が所定値を越えたときにのみ、固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力を高圧圧力を利用して抑制する構成としている。したがって、図12(縦軸を高圧圧力、横軸を低圧圧力とする運転領域図)に示すスクロール型圧縮機の作動領域内で転覆の生じ得る領域(A2)のすべてで高圧油導入弁(45)を作動させないようにすると、転覆領域の境界線(a)と動作圧力の境界線(b)の傾きが通常は完全に一致しないことから、転覆の生じないB1の領域内で可動スクロール(22)を押し返さない押し付け過剰の状態(領域(B2))が生じることがある。なお、境界線(a)と(b)とが異なる傾きとなるのは、可動スクロール(22)の転覆が概ね圧縮比の変動によって生じるのに対し、実施形態1,3の構造において高圧油導入弁(45)の作動が、圧縮比の代替値として高圧空間(S3)と低圧空間(S1)の差圧を基準としているためである。
【0121】
一方、本実施形態3では、図13に示すように高圧油導入弁(45)の動作圧力を低下させているので、押し付け過剰の領域(B2)を少なくすることができる。また、単に高圧油導入弁(45)の動作圧力を下げるだけでは、可動スクロール(22)の転覆が生じる領域(A2ないしA1)で可動スクロール(22)を押し返すことによる押し返し過剰の状態(領域(A3))が発生するが、本実施形態3では高圧油導入通路(44)に絞り部(44b)を設けているので、転覆が発生しても油が高圧油導入通路(44)を流れる際に絞り部(44b)で減圧されて転覆状態からすぐに復帰するとともに、油漏れも防止できる。
【0122】
なお、高圧油導入弁(45)の作動も圧縮比を基準として設定すれば、境界線(a)と(b)の傾きをほぼ一致させることにより、押し付け過剰の領域(B2)や押し返し過剰の領域(A3)などが生じないようにすることも可能である。
【0123】
−実施形態3の効果−
このように、本実施形態3によれば、高圧油導入弁(45)に加えて高圧油を減圧する絞り部(44b)を高圧油導入通路(44)に設けているために、押し返し過剰の領域(A3)での油漏れの発生を抑えつつ、転覆状態からの早急な復帰が可能である。また、押し付け過剰の領域(B2)も小さくすることができるため、低圧縮比から高圧縮比まで全域に亘ってより安定した運転を行うことが可能となる。
【0124】
【発明のその他の実施の形態】
本発明は、上記各実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0125】
例えば、上記実施形態1,3では高圧油導入弁(45)をピストン式の開閉弁としているが、他の方式の開閉弁であってもよい。また、実施形態1,3のように高圧空間(S3)と低圧空間(S1)の差圧でなく、吸入配管(14)と吐出配管(15)との差圧で作動する開閉弁を用いてもよい。さらに、吸入配管(14)での冷媒吸入圧力(低圧圧力)と吐出配管(15)での冷媒吐出圧力(高圧圧力)とを検出して圧縮比を算出し、その圧縮比に応じて高圧油導入弁(45)を作動させて可動スクロール(22)の押し付け力を調整してもよい。そうすれば、可動スクロール(22)の押し付け力を圧縮比の変動に合わせてより正確に調整できる。
【0126】
また、圧縮比や高低差圧が所定値を越えたときに行う押し付け力の抑制は、要するに、本発明は、可動スクロール(22)を固定スクロール(21)に高圧油などで押し付ける構成において、実施形態1のように圧縮比(または高低差圧など)が所定値を越えたときにのみ固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力が抑制されるように構成するか、実施形態2のように可動スクロール(22)を高圧油導入通路(44)を通した高圧油で常時押し返して押し付け力を抑制するか、実施形態3のようにこれらの構造を組み合わせて可動スクロール(22)の押し付け力を圧縮比(または高低差圧など)の変動に応じて調整するようにすればよいものである。
【0127】
さらに、上記各実施形態では油溝(43)を環状に形成しているが、固定スクロール(21)と可動スクロール(22)との接触面の間に高圧油が導入される空間であれば、具体的な形状を環状溝に限定するものではない。また、上記各実施形態では、運転条件の変化に伴う圧縮比の変動に応じて第2空間(S2)内の高圧油を油溝(43)に作用させるようにしているが、ケーシング(10)内の下部に貯留した高圧油を油溝(43)に直接供給してもよい。
【0128】
また、上記実施形態2において、高圧油導入通路(44)に絞り部(44b)を設ける構成としているが、絞り部(44b)は必ず設ける必要はない。絞り部(44b)を設けることは、可動スクロール(22)が転覆した場合の早期復帰や油漏れ防止などの点で非常に効果のあるものであるが、絞り部(44b)を設けない場合でも、高圧油作動空間(S2)や油溝(43)の面積の設定次第では、低圧縮比の状態で固定スクロール(21)に対する可動スクロール(22)の押し付け力が不足するのを防止しながら、高圧縮比の状態でその押し付け力が過剰になるのを防止することは可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1に係るスクロール型圧縮機の全体構造を示す縦断面図である。
【図2】 固定スクロールの下面図である。
【図3】 高圧油導入弁を開通位置での状態で示す拡大断面図である。
【図4】 高圧油導入弁を閉塞位置での状態で示す拡大断面図である。
【図5】 高圧油導入弁の弁本体を示す斜視図である。
【図6】 可動スクロールに作用する力を示す概略断面図である。
【図7】 圧縮比の変化に伴う可動スクロールの押し付け力の変化を示すグラフである。
【図8】 本発明の実施形態2に係るスクロール型圧縮機の要部拡大断面図である。
【図9】 実施形態2の変形例1を示す要部拡大断面図である。
【図10】 実施形態2の変形例2を示す要部拡大断面図である。
【図11】 本発明の実施形態3に係るスクロール型圧縮機の要部拡大断面図である。
【図12】 図11のスクロール型圧縮機の運転領域において、可動スクロールの転覆と高圧油導入弁の動作との関係を示す第1の図である。
【図13】 図11のスクロール型圧縮機の運転領域において、可動スクロールの転覆と高圧油導入弁の動作との関係を示す第2の図である。
【図14】 従来のスクロール型圧縮機の可動スクロールに作用する力を示す概略断面図である。
【図15】 図14の可動スクロールが傾斜した状態を示す断面図である。
【図16】 従来のスクロール型圧縮機での圧縮比の変動に伴う可動スクロールの押し付け力の変化を表す第1のグラフである。
【図17】 (a)図及び(b)図は、従来のスクロール型圧縮機での圧縮比の変動に伴う可動スクロールの押し付け力の変化を表す第2のグラフである。
【符号の説明】
(1) スクロール型圧縮機
(10) ケーシング
(20) 圧縮機構
(21) 固定スクロール
(22) 可動スクロール
(23) フレーム
(30) 駆動機構
(33) モータ
(34) 駆動軸
(40) 押し付け手段
(43) 油溝
(44) 高圧油導入通路
(44b) 第2通路(絞り部)
(44e) キャピラリチューブ
(44f) 棒状部材
(45) 高圧油導入弁
(46) 高圧油導入手段
(47) シリンダ
(48) 弁本体
(48a) 周溝(連通路)
(50) スプリング(付勢手段)
(S1) 低圧空間
(S2) 高圧油作動空間
(S3) 高圧空間

Claims (18)

  1. ケーシング(10)内に固定された固定スクロール(21)と、該固定スクロール(21)に噛合する可動スクロール(22)と、可動スクロール(22)を固定スクロール(21)に押し付ける押し付け手段(40)とを備えたスクロール型圧縮機であって、
    上記押し付け手段(40)は、ケーシング (10) 内の高圧油の貯留部から該高圧油を可動スクロール (22) の背面側に供給して可動スクロール (22) を固定スクロール (21) に押し付ける押し付け力を可動スクロール (22) に作用させると共に、圧縮比が所定値を越えたときに、上記貯留部から可動スクロール (22) の背面側に供給される高圧油より分岐された高圧油を固定スクロール (21) と可動スクロール (22) との接触面の間に供給して可動スクロール (22) を固定スクロール (21) から引き離す押し返し力を可動スクロール (22) に作用させ、押し付け力が押し返し力で抑制されるように構成されているスクロール型圧縮機。
  2. 押し付け手段(40)は、高圧油を可動スクロール (22) の背面側に作用させる高圧空間 (S2) と、固定スクロール(21)と可動スクロール(22)との接触面の間に形成された油溝(43)と、圧縮比が所定値を越えたときにケーシング(10)内の高圧油を該油溝(43)に導入する高圧油導入手段(46)とを備えている請求項1記載のスクロール型圧縮機。
  3. 高圧空間(S2)は高圧油が供給される高圧油作動空間であり、
    高圧油導入手段(46)は、圧縮比が所定値を越えたときに該高圧油作動空間(S2)の高圧油を油溝(43)に案内するように構成されている請求項2記載のスクロール型圧縮機。
  4. 高圧油導入手段(46)は、高圧油作動空間(S2)から油溝(43)に連通する高圧油導入通路(44)と、該高圧油導入通路(44)を開閉する高圧油導入弁(45)とを備えている請求項3記載のスクロール型圧縮機。
  5. 高圧油導入弁(45)は、高圧油導入通路(44)を、圧縮比が所定値を越えたときに開通する一方、圧縮比が所定値以下の時に閉塞するように構成されている請求項4記載のスクロール型圧縮機。
  6. 高圧油導入弁(45)は、高圧油導入通路(44)の経路内を横切って配置されたシリンダ(47)と、該シリンダ(47)内に往復動作可能に設けられたピストン状の弁本体(48)とを備え、
    弁本体(48)は、圧縮比が所定値を越えたときに高圧油導入通路(44)を開通させる開通位置へ移動する一方、圧縮比が所定値以下の時に高圧油導入通路(44)を遮断する閉塞位置へ移動するように構成されている請求項5記載のスクロール型圧縮機。
  7. 高圧油導入弁(45)のシリンダ(47)は、一端側がケーシング(10)内に設けられた低圧空間(S1)に連通する一方、他端側が高圧空間(S3)に連通し、
    弁本体(48)をシリンダ(47)内で閉塞位置に付勢する付勢手段(50)を備え、
    該付勢手段(50)は、圧縮比が所定値以下の状態では弁本体(48)を閉塞位置に保持する一方、圧縮比が所定値を越えると開通位置への弁本体(48)の移動を許容するように、その付勢力が、低圧空間(S1)と高圧空間(S3)の所定の差圧に応じて設定されている請求項6記載のスクロール型圧縮機。
  8. 弁本体(48)は、閉塞位置で該高圧油導入通路(44)を遮断する一方、開通位置で高圧油導入通路(44)を開通させる連通路(48a)を備えている請求項7記載のスクロール型圧縮機。
  9. 弁本体(48)の連通路(48a)は、該弁本体(48)の外周面に形成された周溝により構成されている請求項8記載のスクロール型圧縮機。
  10. ケーシング(10)内に、低圧空間(S1)と高圧空間(S3)とを区画するフレーム(23)を備えるとともに、該フレーム(23)は可動スクロール(22)の下方に配置され、
    フレーム(23)と可動スクロール(22)との間を低圧空間(S1)と高圧油作動空間(S2)とに区画するシール部材(42)を備える一方、該フレーム(23)に、高圧油導入通路(44)と高圧油導入弁(45)とが設けられている請求項7乃至9の何れか1記載のスクロール型圧縮機。
  11. ケーシング(10)内に固定された固定スクロール(21)と、該固定スクロール(21)に噛合する可動スクロール(22)と、可動スクロール(22)を固定スクロール(21)に押し付ける押し付け手段(40)とを備えたスクロール型圧縮機であって、
    上記押し付け手段(40)は、ケーシング (10) 内の高圧油の貯留部から該高圧油を可動スクロール (22) の背面側に供給して可動スクロール (22) を固定スクロール (21) に押し付ける押し付け力を可動スクロール (22) に作用させると共に、上記貯留部から可動スクロール (22) の背面側に供給される高圧油より分岐された高圧油を固定スクロール (21) と可動スクロール (22) との接触面の間に供給して可動スクロール (22) を固定スクロール (21) から引き離す押し返し力を可動スクロール (22) に作用させ、圧縮比の上昇に伴って上記押し付け力及び押し返し力が大きくなって圧縮比の変動に連動して上記押し付け力が押し返し力によって常時抑制されるように構成されているスクロール型圧縮機。
  12. 押し付け手段(40)は、高圧油を可動スクロール (22) の背面側に作用させる高圧空間 (S2) と、固定スクロール(21)と可動スクロール(22)との接触面の間に形成された油溝(43)と、ケーシング(10)内の高圧油を該油溝(43)に常時導入する高圧油導入通路(44)とを備えている請求項11記載のスクロール型圧縮機。
  13. 高圧空間(S2)は高圧油が供給される高圧油作動空間であり、
    高圧油導入通路(44)は、高圧油作動空間(S2)から油溝(43)に連通して、該高圧油作動空間(S2)の高圧油を常時油溝(43)に案内するように構成されている請求項12記載のスクロール型圧縮機。
  14. ケーシング(10)内に、低圧空間(S1)と高圧空間(S3)とを区画するフレーム(23)を備えるとともに、該フレーム(23)は可動スクロール(22)の下方に配置され、
    フレーム(23)と可動スクロール(22)との間を低圧空間(S1)と高圧油作動空間(S2)とに区画するシール部材(42)を備える一方、該フレーム(23)に、高圧油導入通路(44)が設けられている請求項13記載のスクロール型圧縮機。
  15. 高圧油導入通路(44)は、絞り部(44b)を備えている請求項4,5,6,7,8,9,10,12,13または14記載のスクロール型圧縮機。
  16. 絞り部(44b)は、高圧油導入通路(44)の少なくとも一部に設けられた細径部により構成されている請求項15記載のスクロール型圧縮機。
  17. 絞り部(44b)は、高圧油導入通路(44)の少なくとも一部に設けられたキャピラリチューブ(44e)により構成されている請求項15記載のスクロール型圧縮機。
  18. 絞り部(44b)は、高圧油導入通路(44)の少なくとも一部に該高圧油導入通路(44)よりも細径の棒状部材(44f)を該高圧油導入通路(44)との間に隙間を形成するように配置することにより構成されている請求項15記載のスクロール型圧縮機。
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