JP3730098B2 - 射出成形機の制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
成形品を成形するための成形条件である主設定とは異なるサブ設定に切換えて射出成形機を制御する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
成形品を成形するための成形条件である主設定は、速度、圧力、位置、温度等のような設定値と、複数の要素を選択する条件値からなる。主設定は、図1に示すように制御装置20の操作部22で入力し、記憶部28に設けた成形条件ファイル29に主制御部21を介して記憶し、表示部23に表示する。主設定は、射出成形機の作動あるいは機能等に分けて設けた画面上に設定項目として複数存在し、シーケンサ24からの指令により所定の主設定がONするとプロセス制御部25やI/O部26から設定値に応じた信号が射出成形機27に出力される。
【0003】
ところで、成形品を成形するときではない射出成形機の作動、例えば金型交換、成形材料の交換・パージ等の補助作動においては、前記設定値で制御すると、金型の開閉速度や射出速度が速かったときに金型を損傷したり溶融樹脂が飛散して作業者が危険な状況になる一方、金型の開閉速度や射出速度の設定値が低かったときには、補助作動の要求効果が得られない。そのため、従来は、補助作動を実行する度に、複数の設定画面に渡る多くの主設定を、補助作動に対しより効果を発揮させる別の主設定に、設定画面毎に手操作で修正する必要があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記主設定を別の主設定に切換える作業は、補助作動に関与する設定項目が複数の画面に分散して配設されているため、画面を切換えつつ設定項目を捜索して個々の主設定を別の主設定に修正していかなければならず、極めて手間の掛かる煩わしい作業であった。
【0005】
このような課題に対する一つの対策として、補助作動に必要な設定項目をすべて集約した画面を新設し、補助作動を実行するときには該補助作動画面に基づいて制御する方式がある。しかしながら、この方式は金型、成形材料あるいは射出成形機のユーザ毎に異なる成形条件の全てに対応するためには多くの補助作動画面を必要としたり複雑で設定事項の多い補助作動画面が必要となり、操作性や作業性の改善とはならなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、成形条件としての設定項目における任意の主設定にサブ設定を附設し、サブ設定のモードにおいては、制御装置の主制御部に接続される表示部が主設定の画面であっても、制御装置の主制御部に接続されるとともに前記表示部の前面に配設されるタッチパネルからなる操作部から入力される設定項目は主設定ではなくすべてサブ設定としてその主設定とともに制御装置の記憶部に格納され、シーケンスプログラムで設定項目のサブ設定を指令したときには、主設定を該主設定に対応したサブ設定に切換え、該サブ設定に基づいてサブ設定の作動を実行させるようにしたのである。
【0007】
【発明の実施の形態】
図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明を実施する制御装置20とそれにより制御される射出成形機27を示すブロック図である。図2は請求項2に係るサブ設定画面の一例を示す、表示部23における画面図である。
【0008】
制御装置20は、汎用コンピュータであるPC/ATボードからなる主制御部21と、主制御部21と内部バス接続した成形条件ファイル29を含む記憶部28と、主制御部21とISAバス又はPCIバスで接続したシーケンサ24及びプロセス制御部25と、シーケンサ24とローカルバス接続したI/O部26と、主制御部21とRS232Cで接続した操作部22と、主制御部21とアナログ信号で接続した表示部23とから構成される。操作部22で入力した主設定やサブ設定は、主制御部21を介して記憶部28に設けた成形条件ファイル29に記憶され、表示部23に表示されるとともに、I/O部26に入力された射出成形機のアクチュエータにおける位置、圧力及び速度等の信号と成形条件ファイル29に基づき主制御部21の演算した信号がI/O部26とプロセス制御部25を通じてアクチュエータに出力され、射出成形機27を制御する。なお、表示部23は、CRT、液晶パネルあるいはプラズマ表示器等からなり、操作部22は表示部23の前面に配設したタッチパネルである。
【0009】
サブ設定画面1は、操作部22における操作により表示部23に表示される。該サブ設定画面には特定の補助作動に関する全てのサブ設定が一覧表示される。補助作動が複数あるとき、サブ設定画面は補助作動の数に応じて複数設けることもできる。
【0010】
図2に基づき、サブ設定画面とその作用について説明する。押釦2(サブ設定指定)を押すかシーケンサ24で指令されるとサブ設定のモードとなり、サブ設定画面1を含む全画面のメッセージ表示領域8に「サブ設定中」と表示するとともに、設定項目がすべてサブ設定可能となる。すなわち「サブ設定中」では、どの画面の設定項目も主設定ではなく、サブ設定として入力され、成形条件ファイル29に成形条件の登録番号、画面番号及び設定項目のデータ番号とともに設定データとして、該サブ設定と対応する主設定と関連付けて格納される。サブ設定は、主設定と同様に、速度、圧力、位置、温度等のようなサブ設定値と、複数の要素を選択するサブ条件値からなる。具体的な設定方法は、所望の作動を行う補助作動に関与する設定項目を有する全ての画面を切換表示し、その設定項目に補助作動としての所望値をサブ設定として入力する。全てのサブ設定の設定が終了したら、再びサブ設定画面1の表示に切換える。
【0011】
このとき、設定されたサブ設定の一覧表がサブ設定画面1に表示される。このサブ設定画面1では、設定項目は12個まで入力可能であるが、必要であれば増減可能である。画面名称3は、設定項目4の存在する画面の名称であり、設定項目4の主設定は5で、設定項目4のサブ設定は6でそれぞれ示される。図示では、主設定、サブ設定がともに設定値の場合で示したが、図示はしないがそれらが条件値の場合には、条件の名称、記号または番号等で表示される。主設定5は、各画面で設定されていた成形条件である主設定がそのまま表示されたものである。サブ設定6は、「サブ設定中」において、各画面で設定したサブ設定が、設定項目に対応して表示される。「サブ設定中」を終了したいときは、押釦2(サブ設定指定)を再度押すと実行され、メッセージ表示領域8の「サブ設定中」表示が消去するとともに、各画面のサブ設定が主設定に切換わる。特定の設定項目のサブ設定を解除したいときには「サブ設定中」に、相当する押釦7(×)を押すとサブ設定は解除され、表示は消去される。
【0012】
次に補助作動の制御について説明する。射出成形機27はシーケンサ24において、予め格納したシーケンスプログラムに従って制御される。補助作動毎すなわちサブ設定画面毎に設けたラダーシーケンスプログラム上のアドレスがシーケンスプログラムでONされると、該アドレスがON継続中、サブ設定画面1における全ての設定項目4がサブ設定に切換わり、サブ設定に基づく設定項目によって補助作動が制御される。なお、サブ設定画面1における設定項目の数が一のときには、一の主設定に対し一のサブ設定が附設されたこととなり、アドレスはサブ設定に対応することになる。
【0013】
【発明の効果】
本発明によれば、サブ設定は成形条件としての主設定に附設して予め格納され、必要に応じて任意に指令出来るので、補助作動の実行に際し、個々の成形条件の設定項目毎に別の主設定を設定するような極めて時間を要する煩わしい作業から開放され、成形工程の前後における補助作業を短時間且つ容易に実施でき、成形現場の生産性向上に大きく寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する制御装置とそれにより制御される射出成形機を示すブロック図である。
【図2】請求項2に係るサブ設定画面の一例を示す、表示部における画面図である。
【符号の説明】
1 ……… サブ設定画面
2 ……… 押釦
3 ……… 画面名称
4 ……… 設定項目
5 ……… 主設定
6 ……… サブ設定
7 ……… 押釦
8 ……… メッセージ表示領域
20 …… 制御装置
21 …… 主制御部
22 …… 操作部
23 …… 表示部
24 …… シーケンサ
25 …… プロセス制御部
26 …… I/O部
27 …… 射出成形機
28 …… 記憶部
29 …… 成形条件ファイル
Claims (2)
- 成形条件としての設定項目における任意の主設定にサブ設定を附設し、サブ設定のモードにおいては、制御装置の主制御部に接続される表示部が主設定の画面であっても、制御装置の主制御部に接続されるとともに前記表示部の前面に配設されるタッチパネルからなる操作部から入力される設定項目は主設定ではなくすべてサブ設定としてその主設定とともに制御装置の記憶部に格納され、シーケンスプログラムで設定項目のサブ設定を指令したときには、主設定を該主設定に対応したサブ設定に切換え、該サブ設定に基づいてサブ設定の作動を実行させることを特徴とする射出成形機の制御方法。
- 所定の作動に係わるサブ設定を主設定とともに制御装置の主制御部に接続される表示部のサブ設定画面に一覧表示されるようにし、シーケンスプログラムで該所定の作動を指令したときには、所定の作動に係わる主設定をサブ設定に切換えて所定の作動を実行することを特徴とする請求項1に記載の射出成形機の制御方法。
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