JP3729320B2 - アーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラックスに主な成分が鉄粉であるアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤに関し、特に、フラックス率が低く、良好な溶接作業性を有すると共に、ソリッドワイヤ並みの溶込み性能と低スラグ性とを有するアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
フラックス入りワイヤ(以下、FCWという)は、鋼製外皮の中にフラックスを充填させており、このフラックスの量及び種類は、溶接作業性及び溶着金属性能等のFCWの品質に大きく影響する。
【0003】
FCWの中には、スラグ造滓剤をフラックス質量当たり10乃至50質量%含有させ、溶接作業性及び溶接金属の機械的性能を向上させたFCWと、スラグ造滓剤を極端に減少させスラグの発生を極端に少なくしたメタル系のFCWとがある。特に、後者のメタル系のFCWは、1980年代頃に開発されたものであり、従来、ソリッドワイヤが使用されていた市場及び分野に使用可能のFCWとして画期的なものと考えられている。
【0004】
このメタル系のFCWの最大の特徴は、ソリッドワイヤと比較して、高溶着の溶接が可能であり、且つフラックスを含有しているので、溶接時のスパッタを少なくすることができるという点である。従来、メタル系のFCWとして、フラックス率(以下、F%ともいう)が10乃至25%程度のFCWが一般的である(特開平11−151592号公報)。これは、F%を低下させると、フラックス量の低下に従い溶滴が大きくなり、スパッタが増加するためである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、メタル系のFCWはソリッドワイヤが使用されているような分野において、あまり拡販されていない。この原因としては、メタル系のFCWは溶接時のアークが極めてソフトであるため、ソリッドワイヤと比較して、溶込み性能が劣るということが挙げられ、これがメタル系のFCWの問題点になっている。
【0006】
また、多層盛り溶接等の場合においては、ソリッドワイヤに比較してメタル系のFCWはスラグの発生量が多いことも指摘されている。従って、メタル系のFCWにソリッドワイヤ並みの溶込み性能と低スラグ性とを付与することが、従来ソリッドワイヤが使用されていた市場において、メタル系のFCWを拡販するために必要である。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、良好な溶接作業性を有すると共に、ソリッドワイヤ並みの溶込み性能と低スラグ性とを有するアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤは、鋼製外皮中にフラックスを充填してなるアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全質量に対するフラックス率が5乃至10質量%であり、前記外皮の内面に、Cが外皮質量当たり0.005乃至0.030質量%塗布され、フラックス中に鉄粉をフラックス質量当たり30乃至80質量%含有することを特徴とする。
【0009】
この場合、前記鉄粉はその粒子表面にNa及びKからなる群から選択された少なくとも1種の元素が総量で鉄粉質量当たり0.1乃至5質量%膜状に被覆されていることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例に係るアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤについて詳細に説明する。本願発明者等は実験研究の結果、フラックス率を低下させることにより、溶込み性能と低スラグ性との両方を向上させることができることを見出した。即ち、FCWに占める外皮(鋼の部分)をより多くすることにより、FCWはソリッドワイヤに近いワイヤ形状となり、溶込み性能及び低スラグ性の両方が向上する。具体的には、フラックス率が10%以下になると、FCWの溶込み性能及び低スラグ性がほぼソリッドワイヤの溶込み性能及び低スラグ性と等しくなる。
【0011】
上述のことから、本願発明者等はF%を低下させた場合においても、スパッタを増加させないようなメタル系のFCWの開発に注力し、種々の実験研究の結果、外皮の内面に脱酸剤であるCを塗布し、溶滴の表面張力を上昇させることにより、溶滴の離脱が飛躍的に向上することを明らかにした。このCは、単にフラックスに含有させるだけではその効果は発揮されず、あくまでFCWの外面に近い側(溶滴の表面に近い側)に存在することに意味があることが判明した。
【0012】
FCWの最表面という意味においては、外皮の外面(FCWの表面)にCを塗布する方法もあり、本願発明者等はこの方法においても溶滴の離脱が飛躍的に向上する効果を得ることができることを確認している。しかし、外皮の外面にCを塗布した場合には、ワイヤ送給系でCが脱離してしまう。このCの脱離は、溶滴の離脱の効果が不安定になると共に、溶接時の通電性の不安定さを促進させる要因となり、ワイヤ送給系にCが堆積しワイヤ送給系を詰まらせる要因ともなる。
このため、外皮の内面にCを塗布することが現実的である。なお、Cの塗布方法としては、外皮にフラックスを投入する前に、外皮の内面を処理してCを添着する方法、又は外皮の内面をダル加工(梨地加工)し、Cを物理的に外皮の内面に付着させる方法等の種々の方法が挙げられる。
【0013】
また、塗布するCの種類としては、粒径が2乃至10μmの粒子があり、そのうち、Cの平均粒径が3μmものが、溶滴の離脱の効果を最も発揮する。
【0014】
更に、本願発明者等はメタル系のFCWのフラックスの主成分である鉄粉の表面に、例えばNa又はK等のアルカリ金属を被覆することにより、溶接作業性が向上することを見出した。これは、アーク安定剤としてのNa及びKがフラックス全体に均一に分布すると共に、溶滴の主成分である鉄粉の表面にアーク安定剤が存在することが影響しているためである。鉄粉だけでなく、全てのフラックスの成分をアルカリ金属で被覆した場合には、アルカリ金属の量が過多になり、かえって溶接作業性が劣化する。
【0015】
また、鉄粉の表面をNa及び/又はKを含有する膜で被覆する表面処理を施すことにより、フラックス中にアーク安定剤として添加しているフラックス原料(アルカリ弗化物又は長石類等)を減少させることができる。このため、より一層低スラグ性を増すことができる。なお、鉄粉の表面処理方法としては、例えば水ガラスで造粒する方法がある。この方法は、鉄粉、Na粉末及びK粉末を水ガラス中に添加して混合し、乾燥させた後、粉末状に造粒するものである。これにより、鉄粉にNa及びKが膜状に被覆される。
【0016】
以下、本発明のアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤの数値限定理由について、説明する。
【0017】
フラックス率:ワイヤ全質量に対して5乃至10質量%
ワイヤ全質量に対するフラックス率が5質量%未満の場合には、溶接作業性が劣化しすぎると共に、脱酸剤が不足し、更に、FCWを安定して製造することができないという問題点が生じるので現実的ではない。一方、ワイヤ全質量に対するフラックス率が10質量%を超える場合には、溶込み性能及び低スラグ性等の点が劣化する。従って、ワイヤ全質量に対するフラックス率は5乃至10質量%とする。溶接作業性、溶込み性能及び低スラグ性等を考慮すると、ワイヤ全質量に対するフラックス率は7乃至9質量%が好ましい範囲である。
【0018】
外皮の内面のCの塗布量:外皮質量当たり0.005乃至0.030質量%
外皮の内面のCの塗布量が外皮質量当たり0.005質量%未満の場合、スパッタの発生量を低減する効果が発揮されない。一方、外皮の内面のCの塗布量が外皮質量当たり0.030質量%を超える場合、溶接作業性が劣化すると共に、ヒューム量も増加する。従って、外皮の内面のCの塗布量は外皮質量当たり0.005乃至0.030質量%とする。なお、低スパッタ性を考慮すると、外皮の内面のCの塗布量は外皮質量当たり0.010乃至0.020質量%が好ましい範囲である。
【0019】
鉄粉:フラックス質量当たり30乃至80質量%
鉄粉の含有量がフラックス質量当たり30質量%未満である場合、メタル系のFCW特有の溶接の高能率性能が劣化する。一方、鉄粉の含有量がフラックス質量当たり80質量%を超える場合、Si又はMn等の脱酸剤の量が不足する。従って、フラックス中の鉄粉の含有量はフラックス質量当たり30乃至80質量%とする。
【0020】
鉄粉の粒子の表面に被覆されたNa及びKからなる群から選択された少なくと も1種の元素:総量で鉄粉質量当たり0.1乃至5質量%
Na及びKからなる群から選択された少なくとも1種の元素の含有量が総量で鉄粉質量当たり0.1質量%未満である場合、フラックス中のNa及び/又はKの含有量が総量でフラックス質量当たり80質量%を超えていても、スパッタ発生の低減の効果は発揮されない。一方、Na及びKからなる群から選択された少なくとも1種の元素の含有量が総量で鉄粉質量当たり5質量%を超える場合、フラックス中のNa及び/又はKの合計の含有量がフラックス質量当たり30質量%未満であっても、溶接作業性が劣化したり、ワイヤの水分量が上昇し溶接金属に欠陥を発生させる要因となる。従って、Na及びKからなる群から選択された少なくとも1種の元素の含有量は総量で鉄粉質量当たり0.1乃至5質量%とすることが好ましい。なお、低スパッタ性を考慮すると、Na及びKからなる群から選択された少なくとも1種の元素の含有量は総量で鉄粉質量当たり0.2乃至2質量%が好ましい範囲である。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の範囲に入るアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤの実施例について、その特性を比較例と比較して具体的に説明する。
【0022】
下記表1に示すフラックスと下記表2に示す軟鋼製外皮とを使用して溶接用FCWを試作した。このFCWのフラックス率、外皮の内面のCの塗布量及び表面処理鉄粉の割合を種々変更させ、各種のFCWを作製した。この結果を表3及び4に示す。なお、フラックス率を変更する時には、ワイヤ成分が全てのワイヤにおいて等しくなるように、フラックスの各組成の量を調整した。また、FCWの線径は1.2mmである。
【0023】
なお、表1に示すスラグ形成剤は、Si、Mn、Zr、Al、Ca、Mg及びBa等の金属酸化物である。但し、TiO2は除く。また、メタル成分は、Fe、Fe−Si、Fe−Mn、Fe−Al、Ni及びMg等である。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
以下、フラックス率の測定方法、C量の測定方法並びにNa及びKの測定方法について説明する。
【0027】
次に、フラックス率の測定方法について説明する。先ず、FCW(線径:製品径は約4mm)の成形工程が終了した後、FCWの質量を測定する。次に、フープを剥いてフラックスを取り除き、外皮の質量を測定する。ワイヤ質量と外皮質量との差からフラックス質量を求め、これをワイヤ全質量で除してフラックス率を算出する。
【0028】
次に、C量の測定方法について説明する。先ず、外皮の外面を有機溶剤で洗浄し、外皮の外面のCを除去する。次に、外皮を有機溶剤中で超音波洗浄し、外皮の内面に付着したCを有機溶剤中に回収する。これにより、外皮内面に付着したCのみを抽出することができる。次に、このCの量を燃焼赤外線吸収法により測定し、これを外皮内面のC量とする。
【0029】
次に、Na及びKの測定方法について説明する。鉄粉中に、Na及びKは通常含有されない。そこで、先ず、Na及びKの皮膜が被着した鉄粉の全質量を測定する。次に、鉄粉全量を塩酸、硫酸、硝酸又は王水等により溶解する。そして、溶解液を原子吸光法により分析してNa及びKの量を測定する。そして、このように測定されたNa及びKの量を前述の如くして予め測定されている鉄粉の全質量当たりの量に換算し、Na及びKの鉄粉質量当たりの被着量とする。従って、このNa及びKの量を規定する際の基準となる鉄粉の量はNa及び/又はKを含んだ量である。
【0030】
表1のフラックスにおいて、表3及び4に示すFCWについて、溶込み性能、溶接作業性及びスラグ発生量を評価した。図1はビードの被溶接板に対する溶込み状態を示す断面図である。
【0031】
溶込み性能については、溶接電流を280A、溶接電圧を適正電圧とした溶接条件で被溶接板1にビードオンプレート溶接を行い、被溶接板1に対するビード2の溶込み深さDをソリッドワイヤ及び従来のFCWと比較して評価した。この比較に使用したソリッドワイヤはYGW11(JIS Z3311)であり、同じく従来のFCWはYFWC50DM(JIS Z3313)である。いずれのワイヤも直径は1.2mmである。
【0032】
また、溶込み性能については、被溶接板1に対するビード2の溶込み深さDに基づいて評価した。溶込み深さDが4.5mm以上(ソリッドワイヤ並)のものを◎とし、溶込み深さDが4.3mmを超え4.5mm未満(従来のFCWより上ソリッドワイヤ未満)のものを○+とし、溶込み深さDが4.0mmを超え4.3mm以下(従来のFCWより上ソリッドワイヤ未満)のものを○とし、溶込み深さDが4.0mm以下(従来のFCW)のものを△とした。
【0033】
溶接作業性については、溶接電流を280A、溶接電圧を適正電圧、溶接速度を30cm/分、ワイヤ突出し長さを25mmとした溶接条件で、被溶接板にビードオンプレート溶接を行い、箱型スパッタ捕集法により、1分間に発生したスパッタを捕集し、このスパッタの発生量を評価した。
【0034】
また、溶接作業性については、1分間に発生したスパッタ量の総量(トータル量)及び官能評価により評価した。スパッタ発生量が1.2g/分未満で官能評価が良好なのものを◎+とし、スパッタ発生量が1.2g/分未満のものを◎とし、スパッタ発生量が1.2乃至1.5g/分で官能評価が良好なのものを○+とし、スパッタ発生量が1.2乃至1.5g/分のものを○とし、スパッタ発生量が1.5g/分を超えるものを△とした。
【0035】
スラグ発生量については、溶接電流を280A、溶接電圧を適正電圧、溶接速度を30cm/分、ワイヤ突出し長さを25mmとした溶接条件で、被溶接板にビードオンプレート溶接を行い1分間に発生したスラグ発生量を測定し、このスラグ発生量を評価した。なお、スラグ発生量の測定方法は、ビードの上に発生したスラグを剥離させてその質量を測定した。
【0036】
スラグ発生量の評価については、1分間に発生したスラグ発生量のトータル量をソリッドワイヤ及び従来のFCWと比較して評価した。スラグ発生量が1.5g/分未満のものを◎とし、スラグ発生量が1.5乃至1.8g/分のものを○とし、スラグ発生量が1.8g/分を超えるものを△とした。
【0037】
また、溶接溶込み性能、溶接作業性及びスラグ発生量の結果に基づいて総合判定を下した。これらの結果を表5及び6に示す。
【0038】
総合判定の評価については、溶込み性能、溶接作業性及びスラグ発生量の評価が全て○であるものは総合判定を○とし、溶込み性能、溶接作業性及びスラグ発生量の評価うち、いずれか1つでも○+があるものは総合判定を○+とし、溶込み性能、溶接作業性及びスラグ発生量の評価うち、いずれか1つでも◎があるものは総合判定を◎とし、溶込み性能、溶接作業性及びスラグ発生量の評価うち、いずれか1つでも◎+があるものは総合判定を◎+とした。また、溶込み性能、溶接作業性及びスラグ発生量の評価うち、△がいずれか1つでもあるものは総合判定を△とした。
【0039】
但し、溶込み性能、溶接作業性及びスラグ発生量の評価うち、◎が2つあるものでも、総合判定は◎とした。また、溶込み性能、溶接作業性及びスラグ発生量の評価が◎又は○であっても、その他の不具合があれば総合判定は△とした。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】
【表6】
【0044】
上記表5に示すように、実施例No.1乃至9は、フラックス率を低下させ、外皮の外面にCを塗布したFCWであって、溶込み性能及びスラグ発生量が向上し、溶接作業性も良好であり、総合判定についても良好な結果を得ることができた。特に、実施例No.3は、フラックス率が好ましい範囲内にあるので、溶込み性能が特に良好であった。また、実施例No.6及び7は、外皮の内面のC量が好ましい範囲内にあるので、溶接作業性が更に良好であった。
【0045】
実施例No.10乃至12は、フラックス率を低下させ、外皮の内面にCを塗布し、且つ表面処理鉄粉を使用したFCWであって、溶込み性能が良好であり、スラグ発生量がより一層少なく、溶接作業性もより一層良好であり、総合判定についても更に良好な結果を得ることができた。
【0046】
実施例No.13は、請求項1は満足するものの、Na+K量が請求項2の上限値を超えているため、総合判定が更に良好ではないが、良好であった。
【0047】
実施例No.14及び15は、フラックス率を低下させ、外皮の内面にCを塗布し、且つ表面処理鉄粉を使用したFCWであって、溶込み性能が良好であり、スラグ発生量が少なく、溶接作業性が極めて良好であり、総合判定についても極めて良好な結果を得ることができた。
【0048】
実施例No.16は、請求項1は満足するものの、Na+K量が請求項2の下限値未満であるため、総合判定が更に良好ではないが良好であった。
【0049】
一方、比較例No.17は、従来のフラックス入りワイヤであり、フラックス率が本発明の上限値を超えているので、溶込み性能及びスラグ発生量が劣り、総合判定の評価が劣った。
【0050】
比較例No.18乃至20は、外皮の内面のCの塗布量が本発明の下限値未満であるので、溶込み性能が良好であり、スラグ発生量が少なかったが、溶接作業性が劣り、総合判定の評価が劣った。
【0051】
比較例No.21は、外皮の内面のCの塗布量が本発明の上限値を超えているので、溶込み性能が良好であり、スラグ発生量が少なかったが、溶接作業性が劣り、総合判定の評価が劣った。
【0052】
比較例No.22及び23は、フラックス率が本発明の下限値未満であるので、溶込み性能が良好であり、スラグ発生量が少なかったが、溶接作業性が劣り、総合判定の評価が劣った。
【0053】
比較例No.24は、鉄粉の含有量が本発明の上限値を超えているので、合金不足となり溶着金属性能が劣り、総合判定の評価が劣った。
【0054】
比較例No.25は、フラックス率が本発明の上限値を超えているので、溶込み性能が劣り、総合判定の評価が劣った。
【0055】
比較例No.26は、鉄粉の含有量が本発明の下限値未満であるが、溶込み性能が良好であり、スラグ発生量が少なく、溶接作業性も良好であるが、メタル系の特徴である高能率性が劣るため、実用的でない。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、フラックス率、外皮の内面のCの塗布量及びフラックスの組成を所定の範囲に規定することにより、良好な溶接作業性を有すると共に、ソリッドワイヤ並みの溶込み性能と低スラグ性とを有するアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤを得ることができる。また、フラックスの成分の1つである鉄粉の表面にNa及び/又はKの元素を被覆することにより、更に溶接作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ビードの被溶接板に対する溶込み状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1;被溶接板
2;ビード
Claims (2)
- 鋼製外皮中にフラックスを充填してなるアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全質量に対するフラックス率が5乃至10質量%であり、前記外皮の内面に、Cが外皮質量当たり0.005乃至0.030質量%塗布され、フラックス中に鉄粉をフラックス質量当たり30乃至80質量%含有することを特徴とするアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤ。
- 前記鉄粉はその粒子表面にNa及びKからなる群から選択された少なくとも1種の元素が総量で鉄粉質量当たり0.1乃至5質量%膜状に被覆されていることを特徴とする請求項1に記載のアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤ。
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