JP3724193B2 - 耐衝撃特性に優れかつ降伏比が低い高強度高加工性熱延鋼板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車用鋼板としての用途に用いて好適な耐衝撃特性に優れた高強度高加工性熱延鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車の軽量化が指向される中、成形性に優れる高強度薄鋼板に対する要求が殊の外強くなっている。
また、最近では、自動車の安全性も重視され、そのためには衝突時における安全性の目安となる耐衝撃特性の向上も要求されている。
さらに、経済性に対する配慮も必要とされ、かかる経済性を考慮した場合には、冷延鋼板に比べると熱延鋼板の方が有利である。
【0003】
上記の現状を背景として、これまでにも種々の高強度熱延鋼板が開発されている。
例えば、特公平6-41617号公報、特公平5-65566号公報および特公平5-67682号公報には、高加工性高強度熱延鋼板として、残留オーステナイト:5%以上を含むフェライト、ベイナイトおよび残留オーステナイトの組織になる鋼(以下、TRIP鋼という)の製造方法が開示されている。
しかしながら、このTRIP鋼は、伸びが高く、成形性は良好ではある(TS×El≧ 24000 MPa・%)ものの、現在の厳しい耐衝撃特性を満足するまでにはいかないところに問題を残していた。
また、プレス成形時における加工硬化量(WH)およびその後の塗装焼付時における焼付硬化量(BH)が、70 MPa程度と低いという問題もあった。
この加工・焼付硬化量(WH+BH)が低いと、加工−塗装焼付後における強度保証の面での不利が大きい。
【0004】
一方、耐衝撃特性に優れた高強度熱延鋼板としては、特開平9−111396号公報に開示されているように、フェライトとマルテンサイトの2相組織になるいわゆるDual Phase鋼(以下DP鋼という)が開発されている。
しかしながら、このDP鋼は、耐衝撃特性には優れるものの、伸びが十分とはいえず、成形性の点に問題を残していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したとおり、現在までのところ、十分な成形性と厳しい安全性の両者を満足する熱延鋼板は見当たらず、その開発が望まれていた。
この発明は、上記の要望に有利に応えるもので、優れた成形性と耐衝撃特性を兼ね備え(具体的には、強度−伸びバランス(TS×El)が 24000 MPa・%以上、動的n値が0.35以上)、しかも降伏比が65%以下と低く、かつ加工・焼付硬化量(WH+BH)が 100 MPa以上と高い、耐衝撃特性に優れかつ降伏比が低い高強度高加工性熱延鋼板を提案することを目的とする。
【0006】
ここに、動的n値とは、発明者らが耐衝撃特性の指標として新たに見出したもので、この動的n値を用いることによって、耐衝撃特性を従来よりも一層的確に評価することができる。
すなわち、従来、耐衝突安全性については、強度との関連で考察され、単に強度が大きければ耐衝突安全性も高いとされてきたが、強度と耐衝突安全性とは必ずしも一義的な関係にあるわけではないことが判明した。
そこで、この点につき、鋭意研究を重ねた結果、耐衝突安全性を向上させる、つまり高速での変形時(自動車の衝突時にはひずみ速度
【外1】
が2×103/s まで増加)におけるエネルギーを、鋼板でより多く吸収するためには、鋼板を
【外2】
の条件で引張変形させた時のn値(以下、動的n値という)を高くすることが有効であることが解明されたのである。
ここでは、伸び10%における瞬間n値を動的n値とする。
なお、この動的n値を高くすることは、高速変形時における強度向上にも有効であることが併せて見出された。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以下、この発明の解明経緯について説明する。
さて、発明者らは、上記の目的を達成すべく、まず従来鋼であるTRIP鋼について、その組織と特性との関係について調査した。
その結果、TRIP鋼においては、成形性の向上に有利な残留オーステナイトを十分な量得るためには、ベイナイト相を生成させることが不可欠とされてきたが、このベイナイト相が耐衝撃特性を劣化させる原因になっていることが判明した。
【0008】
そこで、発明者らは、かようなベイナイト相とくに炭化物の生成を抑制したところ、すなわち、主相である初析フェライト以外の第2相を、従来のベイナイト+残留オーステナイトから、針状フェライト+マルテンサイト+残留オーステナイトの混合組織に変更したところ、所期した目的の達成に関し、望外の成果が得られたのである。
さらに、第2相の形成に際し、マルテンサイトに対する針状フェライトの生成量を多めにすると、降伏比が効果的に低減し、加工性の面でより有利になることも併せて見出した。
この発明は、上記の知見に立脚するものである。
【0009】
すなわち、この発明は、
C:0.05〜0.40mass%、 Si:1.0 〜3.0 mass%、
Mn:0.6 〜3.0 mass%、 Cr:0.2 〜2.0 mass%
を含み、かつ
P:0.01〜0.2 mass%、 Al:0.01〜0.3 mass%
のうちから選んだ少なくとも一種を含有し、残部はFe および不可避的不純物の組成になり、鋼組織が、主相として初析フェライトを60〜97%、第2相として、マルテンサイト、針状フェライトおよび残留オーステナイトからなる混合相あるいはさらにこれら以外の第3相を第2相全体の10%以下で含む混合相を3〜40%の相比率で有し、かつ該第2相中の針状フェライトとマルテンサイトが下記式の関係を満足することを特徴とする耐衝撃特性に優れた高強度高加工性熱延鋼板である。
記
2.0 ≦FA /MA ≦ 20
ここで、FA : 第2相中における針状フェライトの面積率(%)
MA : 第2相中におけるマルテンサイトの面積率(%)
【0010】
この発明では、鋼の成分組成につき、上記した基本組成の他、強度改善成分として
Ti:0.005 〜0.25mass%、 Nb:0.003 〜0.1 mass%
のうちから選んだ少なくとも一種を含有させることもできる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を具体的に説明する。
図1に、従来のTRIP鋼の代表的な連続冷却変態曲線図(CCT図)を示す。
同図に示したとおり、従来のTRIP鋼は、熱間圧延後、初析フェライト域に若干保持して初析フェライト(ポリゴナルフェライトともいう)を析出させ、同時に未変態オーステナイト相への固溶炭素の濃縮を促進して、オーステナイトの安定度を増したのち、ベイナイト域に導き、この領域を徐冷することによって、ベイナイト変態を生じさせつつ、所定量のオーステナイトを残留させていた。
しかしながら、このようにして製造されたTRIP鋼は、強度および加工性の面では優れるものの、十分な耐衝撃特性が得られないことは前述したとおりである。
【0013】
そこで、発明者らは、ベイナイト変態を回避すべく数多くの実験と検討を重ねた結果、
(1) 鋼成分としてCrを少量含有させると、上記CCT図におけるベイナイト変態域のノーズが後退して、ベイナイトの析出(特に炭化物の析出)が抑制され、代わりに針状フェライト(アシキュラーフェライトともいう)が析出する、
(2) かようにして形成された、針状フェライト、残留オーステナイトおよびマルテンサイトからなる第2相は、成形性を阻害することなしに、耐衝撃特性を格段に向上させる
ことを究明したのである。
【0014】
図2に、この発明の成分系における代表的CCT図を示す。
同図に示したとおり、Crを少量添加することによってベイナイト変態域のノーズが後退し、代わりに針状フェライト域が顕著に出現するので、この針状フェライト域に短時間保持し、好ましくはその後に急冷することによって、第2相を針状フェライト、残留オーステナイトおよびマルテンサイトからなる混合組織とすることができ、かくして優れた成形性と耐衝撃特性とを兼ね備えた熱延鋼板を得ることができたのである。
【0015】
ここに、針状フェライトとは、結晶粒の長径が概ね10μm 以下、アスペクト比が1:1.5 以上、そしてセメンタイト析出量が5%以下のものをいう。
なお、従来のTRIP鋼のベイナイト中には、セメンタイトの析出が多く認められる(10%以上)ので、この発明の針状フェライトとTRIP鋼のベイナイトとは明確に区別されるものである。
【0016】
図3(a) に、この発明に従い得られる第2相の特徴的な相構成を、また図3(b) には、従来のTRIP鋼の第2相の相構成を、それぞれ模式で示す。
従来のTRIP鋼の第2相は、ベイナイト中に残留オーステナイトが点在する相構成になっているのに対し、この発明の第2相は、針状フェライトとマルテンサイトが層状にならび、その界面(マルテンサイト側)に残留オーステナイトが点在する形態になっている。
このように、第2相中に針状フェライトを析出させたことが、この発明の特徴の一つであり、この針状フェライト相がTS×Elを増加させると共に、動的n値を向上させるものと考えられる。
【0017】
ところで、発明者らの実験によれば、図2に示す冷却工程において、針状フェライト域での保持時間を、ベイナイト変態が生じない範囲でできるだけ長くし、針状フェライトの生成量を増大させたところ、降伏比が効果的に低減することが判明した。
【0018】
すなわち、上記のようにして析出させた針状フェライトとマルテンサイトの比が面積率で、次式
2.0 ≦FA /MA ≦ 20
ここで、FA : 第2相中における針状フェライトの面積率(%)
MA : 第2相中におけるマルテンサイトの面積率(%)
の関係を満足する範囲に制御することによって、降伏比を65%以下まで低減することができたのである。
【0019】
C:0.10mass%、Si:1.3 mass%、Mn:1.5 mass%、P:0.01mass%、S:0.005 mass%、Al:0.04mass%、N:0.003 mass%およびCr:0.60mass%を含有し、残部はFe および不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、1200℃で1時間加熱後、粗圧延し、ついで仕上げ温度:850 ℃で熱間仕上げ圧延を終了したのち、 100℃/sの速度で 650〜700 ℃まで冷却し、この温度域に5秒保持してから、同じく 100℃/sの速度で 400〜500 ℃まで冷却し、この温度に10〜120 分の種々の時間保持したのち、70℃/hの速度で室温まで冷却した。
得られた熱延板から、引張試験片を切り出し、降伏強さ(YS)、引張強さ(TS)および伸び(El)を求めた。また、断面組織をSEM観察すると共に、第2相の針状フェライトとマルテンサイトの分散状態を画像解析して、材質との関係について調査した。
得られた結果を、整理して図4に示す。
【0020】
同図に示したとおり、第2相中における針状フェライトとマルテンサイトとの面積率比FA /MA が 2.0〜20の範囲を満足する場合に、TS×El≧ 24000 MPa・%、YR≦65%という優れた強度−伸びバランスおよび低降伏比を得ることができた。
そこで、この発明では、第2相中における針状フェライトとマルテンサイトの比を、面積率比で 2.0〜20の範囲に限定したのである。
なお、この発明において、面積率は、顕微鏡写真を画像解析することによって算出した。
【0021】
また、この発明において、上記した第2相の鋼組織中に占める比率は3〜40%とする必要がある。
というのは、相比率が3%に満たないと十分な耐衝撃特性が得られず、一方40%を超えると伸びひいては強度−伸びバランスが低下するからである。より好ましい比率は10〜30%である。
【0022】
なお、この発明において、鋼組織は全て、主相である初析フェライトと、第2相であるマルテンサイト、針状フェライトおよび残留オーステナイトの混合相からなっているとは限らず、ベイナイト相などが若干析出する場合もあるが、かような第3相が混入しても、その比率が第2相全体の10%以下であれば特性上何ら問題はない。
【0023】
次に、この発明において、鋼板の成分組成を前記の範囲に限定した理由について説明する。
C:0.05〜0.40mass%
Cは、鋼の強化に有効に寄与するだけでなく、残留オーステナイトを得る上でも有用な元素である。しかしながら、含有量が0.05mass%未満では、その効果に乏しく、一方0.40mass%を超えると延性を低下させるので、C量は0.05〜0.40mass%の範囲に限定した。
【0024】
Si:1.0 〜3.0 mass%
Siは、残留オーステナイトの生成に不可欠な元素であり、そのためには少なくとも 1.0mass%の添加を必要とするが、 3.0mass%を超える添加は、延性の低下を招くだけでなく、スケール性状を低下させ表面品質上も問題となるので、Si含有量は 1.0〜3.0 mass%の範囲に限定した。
【0025】
Mn:0.6 〜3.0 mass%
Mnは、鋼の強化元素として有用なだけでなく、残留オーステナイトを得る上でも有用な元素である。しかしながら、含有量が 0.6mass%未満ではその効果に乏しく、一方 3.0mass%を超えると延性の低下を招くので、Mn量は 0.6〜3.0 mass%の範囲に限定した。
【0026】
Cr:0.2 〜2.0 mass%
このCr添加は、この発明の特徴の一つである。Crを添加することにより、前述したように、第2相が針状フェライト化する。そのためには、0.2 mass%以上の添加が必要であるが、 2.0mass%を超えて添加すると粗大なCr炭化物が生成して延性が阻害され、強度−伸びバランスおよび動的n値とも劣化するので、Cr量は0.2 〜2.0 mass%の範囲に限定した。好ましくは 0.3〜1.8 mass%である。
【0027】
図5および図6に、Cr量と強度−伸びバランスおよび動的n値との関係について調べた結果をそれぞれ示す。
図5,6より明らかなように、Cr含有量が 0.2mass%以上、 2.0mass%以下の範囲で、TS×El≧24000 (MPa・%)、動的n値≧0.35の優れた加工性および耐衝撃特性が得られている。
【0028】
P:0.01〜0.2 mass%
Pは、残留オーステナイト生成元素として有用であるが、含有量が0.01mass%に満たないとその添加効果に乏しく、一方 0.2mass%を超えると耐二次加工性が劣化するので、P量は0.01〜0.2 mass%の範囲に限定した。
【0029】
Al:0.01〜0.3 mass%
Alも、Pと同様、残留オーステナイト生成元素として有用なものであるが、含有量が0.01mass%に満たないとその添加効果に乏しく、一方 0.3mass%を超えると延性の低下を招くので、Al 量は0.01〜0.3 mass%の範囲に限定した。
【0030】
以上、基本成分について説明したが、この発明では、強度改善成分として Ti や Nb を、以下の範囲で適宜含有させることができる。
Ti:0.005 〜0.25mass%、Nb:0.003 〜0.1 mass%
TiおよびNbはいずれも、主相であるフェライトを細粒化させることによって、強度の向上に有効に寄与するので、必要に応じて添加することができる。特にTiを含有させると、針状フェライトのノーズが短時間側に移行し、コイルミドル部と比較して冷却速度が速くなるコイル端部においても十分針状フェライトが析出するので、歩留りが向上する効果もある。
しかしながら、含有量があまりに少ないとその添加効果に乏しく、一方過度の添加は延性の低下を招くので、それぞれ上記の範囲で含有させることが好ましい。
【0031】
次に、この発明鋼の製造方法について具体的に説明する。
この発明鋼は、基本的に、第2相としてマルテンサイト、針状フェライトおよび残留オーステナイトからなる混合組織を形成させれば良いのであるから、前掲図2に示した冷却曲線に沿って、冷却させれば良い。
そして、針状フェライト域での保持時間を、ベイナイト変態が生じない範囲でできるだけ長くすることによって、針状フェライトの生成量を増大させてやれば良く、かくして65%以下という優れた降伏比が得られるのである。
【0032】
すなわち、 780〜980 ℃程度で熱間仕上げ圧延後、 620〜780 ℃の初析フェライト域のノーズ近傍まで冷却したのち、この温度域に1〜10秒程度保持(または緩冷却)することにより、主相である初析フェライトを析出させ、ついで 350〜500 ℃の針状フェライト域まで冷却し、この領域で、少なくとも40分以上(ただしベイナイト変態が生じない時間)等温保持するかまたは緩冷却後、好ましくは50℃/h以上の速度で室温まで冷却することにより、針状フェライト、マルテンサイトおよび残留オーステナイトからなる第2相を形成させると共に、第2相中における針状フェライトとマルテンサイトの比を面積率比で 2.0〜20の範囲に制御するのである。
【0033】
【実施例】
実施例1
表1示す種々の成分組成になる鋼スラブを、1200℃に加熱後、粗圧延し、ついで仕上げ温度:860 ℃で熱間仕上げ圧延を終了した後、80℃/sの速度で 700℃まで冷却し、この温度に5秒保持してから、同じく80℃/sの速度で 450℃まで冷却したのち、コイルに巻取り、巻取り後、70〜90分間保持してから、70℃/hの速度で室温まで冷却した。
得られた熱延板から、引張試験片を切り出し、それらの試験片について、ひずみ速度:2×10-2/sの条件で引張試験を実施し、降伏強さ(YS)、引張強さ(TS)および伸び(El)を求めた。
また、ホプキンソンプレッシャーバー試験材(材料とプロセス vol.9 (1996) P.1108〜1111)を用いて、ひずみ速度:2×103/s の条件で引張試験を実施し、伸びが10%の時の瞬間n値(動的n値)を求めた。
さらに、プレス成形時における加工硬化量(WH)およびその後の塗装焼付時(170℃)における焼付硬化量(BH)についても測定した。なお、WH,BHは、ひずみ速度:2×10-2/sの引張試験機を用い、図7により求めた。
各熱延鋼板の鋼組織、TS×Elバランス、YR、WH+BHおよび動的n値ついて調べた結果を整理して表2に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
表2に示したとおり、この発明に従い、第2相として、マルテンサイト、針状フェライトおよび残留オーステナイトの混合組織を形成させ、かつ第2相中の針状フェライトとマルテンサイトとの面積率比FA /MA を 2.0〜20の範囲に制御したものはいずれも、TS×El≧ 24000 MPa・%の優れた強度−伸びバランスとYR≦65%の低降伏比、さらには動的n値≧0.35という優れた耐衝撃特性およびWH+BH≧ 100 MPa・%という高い加工・焼付硬化量を得ることができた。
【0037】
【発明の効果】
かくして、この発明に従い、主相を初析フェライトとし、かつ第2相をマルテンサイト、針状フェライトおよび残留オーステナイトの混合組織にすると共に、第2相中の針状フェライトとマルテンサイトとの面積率比FA /MA を 2.0〜20の範囲に制御することにより、優れた成形性と耐衝撃特性とを兼ね備えた熱延鋼板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のTRIP鋼の代表的な連続冷却変態曲線図(CCT図)である。
【図2】この発明の成分系における代表的連続冷却変態曲線図(CCT図)である。
【図3】 (a) この発明に従い得られる第2相の特徴的な相構成および(b) 従来のTRIP鋼の第2相の相構成を示す模式図である。
【図4】FA /MA 比と降伏強さ(YS)、引張強さ(TS)、伸び(El)、降伏比(YR) および強度−伸びバランス(TS×El)との関係を示すグラフである。
【図5】 Cr量と強度−伸びバランスとの関係を示すグラフである。
【図6】 Cr量と動的n値との関係を示すグラフである。
【図7】加工硬化量(WH)および焼付硬化量(BH)の説明図である。
Claims (2)
- C:0.05〜0.40mass%、 Si:1.0 〜3.0 mass%、
Mn:0.6 〜3.0 mass%、 Cr:0.2 〜2.0 mass%
を含み、かつ
P:0.01〜0.2 mass%、 Al:0.01〜0.3 mass%
のうちから選んだ少なくとも一種を含有し、残部はFe および不可避的不純物の組成になり、鋼組織が、主相として初析フェライトを60〜97%、第2相として、マルテンサイト、針状フェライトおよび残留オーステナイトからなる混合相あるいはさらにこれら以外の第3相を第2相全体の10%以下で含む混合相を3〜40%の相比率で有し、かつ該第2相中の針状フェライトとマルテンサイトが下記式の関係を満足することを特徴とする耐衝撃特性に優れた高強度高加工性熱延鋼板。
記
2.0 ≦FA /MA ≦ 20
ここで、FA : 第2相中における針状フェライトの面積率(%)
MA : 第2相中におけるマルテンサイトの面積率(%) - 請求項1において、鋼組成が、さらに
Ti:0.005 〜0.25mass%、 Nb:0.003 〜0.1 mass%
のうちから選んだ少なくとも一種を含有する組成になることを特徴とする耐衝撃特性に優れた高強度高加工性熱延鋼板。
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