JP3722617B2 - プロペラシャフト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、衝撃吸収機能を備えたプロペラシャフトに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の分野では、キャビンに強度を持たせ、その前後に位置するエンジンルームやトランクルーム等をキャビンよりも強度を抑えて所謂クラッシャブルゾーンとし、このクラッシャブルゾーンを潰すことで衝突時の乗員への衝撃を低減して乗員保護を図るクラッシャブルボディを採用したものが種々提案されている。このようなクラッシャブルボディは、クラッシャブルゾーンが設計どおりに潰れることでその機能を果たすのであるが、近年、このクラッシャブルゾーンの潰れを妨げるものとしてプロペラシャフトの存在が挙げられている。
【0003】
プロペラシャフトには、自動車の種類に応じて1本ものや、あるいは複数本のシャフトをユニバーサルジョイント等の各種連結部材で連結した分割式のものがある。これらは、トランスミッションとデファレンシャルギア等の被駆動部材とを連結し、エンジン等の駆動源で発生する回転トルクをデファレンシャルギアから車輪に伝達している。特にFR車や4WD車に採用されるものは、プロペラシャフトが車体の前後方向に向かって延出配置されているため、車体の前後方向からの衝突時にプロペラシャフトが突っ張てしまう。このため衝突時に、エンジンやデファレンシャルギア等の移動が規制されてしまい、車体の前後方向から衝撃荷重を受けてもクラッシャブルゾーンの潰れが妨げられたり、あるいはクラッシャブルゾーンが潰れてもプロペラシャフトが突っ張ることで減少した衝撃荷重が一時的に上昇して、乗員への衝撃を吸収できないおそれがある。また、プロペラシャフトが複数のシャフトを連結した分割式のものの場合、プロペラシャフトにかかる衝撃荷重により同シャフトが折れ曲がりや、その折れ曲がり位置や方向によっては燃料タンクに干渉したり、キャビン内に突出するおそれが懸念される。
【0004】
このような不具合を解決するものとして、特開平7−119728号公報には、ユニバーサルジョイントを構成するヨーク部材を2本の軸のそれぞれの一端に設け、各軸のそれぞれの他端側で両者をスライド収縮可能とし、これら軸の何れか一方の外周に所定の軸方向への荷重以下では軸の相互の移動量を規制するCリングを装着し、車両の前後方向からの衝突により所定以上の衝撃荷重が加わると、Cリングによる規制を喪失(破損)させてプロペラシャフトを軸方向に移動する構造が提案がされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
とろこが、特開平7−119728号公報に記載のプロペラシャフトの構造であると、Cリングは、軸の先端と離れて各軸の縮み方向への位置を規制する部位に設けられているので、プロペラシャフトに衝撃荷重が加わって各軸が縮み方向に移動すると、各軸の位置によって、すなわち軸が移動してCリングに当接するまでの移動距離によってCリングにかかる荷重にバラツキが発生する。このためプロペラシャフトにかかる衝撃荷重を、Cリングの破損よって低減させようとした場合、衝撃荷重特性の調整が難しいという問題点がある。また、一般にCリングは剪断力が大きくて壊れにくく、これもCリングによる衝撃吸収特性の調整が難し原因となっている。
【0006】
本発明は、衝突時の車体の変形量を阻害することなく、低コストで安定した衝撃吸収特性を得られて衝突時の安全性を高められるプロペラシャフトを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、一端側に駆動源又は被駆動部材が連結されたヨーク部材と、一方がヨーク部材の他端側にスプライン嵌合するとともに、他方にヨーク部材挿入方向と同方向に延びた延長部を有し、この延長部でヨーク部材の他端側の先端をカシメることでヨーク部材の他端側を保持するスリーブ部と、カシメ部が内部に位置するようにスリーブ部に装着された中空軸部とを有するので、ヨーク部材の位置が安定する。この安定したヨークの一端側に衝突時に衝撃荷重が入力されると、ヨーク部材のカシメ部を介して衝撃荷重が伝達され、衝撃荷重が延長部のカシメ部による保持力を上回ると、ヨーク部材がカシメ部を塑性変形させながら荷重方向にスライドしてプロペラシャフトの突っ張りがなくなる。
【0008】
本発明では、スリーブ部を中空軸部の入出力方向に位置する両端に設けるので、プロペラシャフトにかかる衝撃荷重が中空軸の入出力方向の何方から入力されても、衝撃荷重を効果的に吸収緩和できる。延長部でカシメるヨーク部材の他端側の先端としては、ヨーク部材の他端の先端や、ヨーク部材の他端の先端に当接させた中間部材が挙げられる。中間部材を介装させると、衝撃荷重が延長部のカシメ部による保持力を上回ったとき、ヨーク部材が中間部材でカシメ部を塑性変形させながら荷重方向にスライドして、プロペラシャフトの突っ張りがなくなるとともに、ヨーク部材の材質と中間部材に個別の材質を選択できたり、ヨーク部材の長さを短くでき、ヨーク部材の製造や加工性を高められる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図2に示すプロペラシャフトは、トランスミッション12と被駆動部材となるデファレンシャルギア13を連結し、図示しない駆動源となるエンジンで発生する回転トルクをデファレンシャルギア13から図示しない駆動輪に伝達している。プロペラシャフトは、矢印Aで示した入出力方向となる車体の前後方向(以下「前後方向A」と記す)にクラッシャブルゾーンをそれぞれ構成され、各クラッシャブルゾーンの間に高強度のキャビンを備えた周知のクラッシャブルボディを持つ車両に適用されている。
【0010】
プロペラシャフトは、その中心に中空軸部となる鋼管4を配置され、前後方向Aに位置するその両端4a,4bにヨーク部材となるスライドヨーク1,1と、スリーブ部となるスリーブ2,2とをそれぞれ備えている。一端4a側のスライドヨーク1の一端1aは、トランスミッション12にスプライン結合で前後方向Aに摺動可能に支持された出力軸14と、自在継手16と連結ヨーク15を介して連結されている。他端4b側のスライドヨーク1の一端1aは、自在継手18、連結ヨーク17を介してデファレンシャルギア13と連結されている。各スライドヨーク1,1は、自在継手16,18と連結ヨーク15,17とによりそれぞれユニバーサルジョイントを構成している。スリーブ2,2の構成は、基本的には同一であり、鋼管4を中心にそれぞれ対称に配置されている。このため、以下一端4a側のスリーブ2の構成を代表して詳細に説明する。
【0011】
図1に示すように、スライドヨーク1は、自在継手16の取付け部となる一端1aを備え、他端1bを中抜き軸部として金属で形成されており、他端1bの外周面に軸線方向に延びるスプライン歯部1eを形成されている。スライドヨーク1の端面1cの近傍に位置する他端1bの外周面には、周溝9が形成されており、後述するスナップリング8が嵌挿される。
【0012】
スリーブ2は、全体が筒形状を成し金属で冷鍛鍛造により成形されており、スライドヨーク1の他端1bを挿通可能としている。スリーブ2の内周面2dの端面2a寄りには、スプライン歯部1eと係合するスプライン歯部2eが形成されており、スプライン歯部1e,2e同士を圧入して嵌合させてスライドヨーク1を内装保持している。このため、スリーブ2は、スプライン嵌合部10によってスライドヨーク1と一体回転、かつ軸方向に相対的に移動可能に支持されている。スプライン歯部1e,2eは、互いに大径合わせされていて、これらを圧入して嵌合させることでスプライン嵌合部10のガタを低減し、プロペラシャフトの回転バランスを安定させている。
【0013】
スリーブ2の内周面2dには、スプライン歯部2eとの境に段部2fが形成されている。周溝9に挿嵌されるスナップリング8は、この段部2fと当接する大きさに形成されており、段部2fと当接することで、スリーブ2の端面2aからのスライドヨーク1の突出位置を定めている。一端1aの背後に形成された当接面1dから端面2aまでが、スライドヨーク1の移動量Sとなる。このようにスナップリング8を設けてスライドヨーク1の位置決めと移動量Sとを一定にすることで、プロペラシャフトの回転バランスの安定を図っている。また、スナップリング8は、図示しないサスペンションのストローク変位によりトランスミッション12と出力軸14とが移動するときの、スライドヨーク1のスリーブ2からの抜け止め機能や、スリーブ2をシート3にカシメる時の抜け止め機能を備えている。
【0014】
スリーブ2の略中央の外周面には、鋼管4の一端4aが挿嵌される段周部2bが形成されている。スリーブ2は、この段周部2bを先端4aに挿嵌した状態で段周部2bの近傍を周方向に溶接されることで鋼管4に固定されている。符号11は、溶接部を示す。
【0015】
図3に示すように、段周部2bには、延長部2cがスライドヨーク1の挿入方向となる他端1bの延出方向に延びて形成されている。この延長部2cは、本形態では段周部2bよりも肉薄の円周形状に形成されている。なお、延長部2cの円周上に適当な間隔でスリットを形成して分割するようにしてもよい。延長部2cは、図1に示すように、鋼管4の内部4cに配置され、それぞれをスリーブ2の内側に折り曲げたときに、互いに重合しない長さに設けられている。スリーブ2の端面2aから延長部2cの先端までの全長は、スライドヨーク1の当接面1dから端面1cまでの長さよりも短く形成されている。スリーブ2の端面2aには、埃や水等のスリーブ2内への進入を防止するためにシーラントが塗布されていて適切なシール性と防錆性が確保されている。
【0016】
スリーブ2内には、中間部材としてシート3がスライドヨーク1の内端面1cにその一端面3aを当接するように配置される。シート3は、冷鍛鍛造によりリング状に形成されており、その外径を略スリーブ2の内周面と同径に形成されており、内周面2dにその外周面3aを摺接させている。シート3は、スリーブ2に挿嵌したスライドヨーク1を図1に示すように、スリーブ2から最大に突出させた状態の時に、延長部2cの近傍にその他端面3bが位置するような厚さを有している。このシート3は、延長部2cを内側に折り曲げて同折り曲げ部をカシメることで、スライドヨーク1の端面1cと延長部2cとに挟まれ、かつ端面1cと延長部2cとに両端面3a,3bがそれぞれ当接した状態でスリーブ2内に保持されて略前面被覆されている。図中符号Gは、カシメ部を示す。すなわち、鋼管4は、カシメ部Gを内部に位置するようにスリーブ4に装着される。シート3には炭素鋼が用いられている。シート3の加工方法としては、冷鍛鍛造ではなく切削加工を用いても低コストで所望の形状に加工できる。
【0017】
プロペラシャフトの組み付け手順を図4を用いて説明する。
図4(a)に示すように、予めスプライン歯部1e及び周溝9を形成したスライドヨーク1の端面1cを、予めスプライン歯部2eを形成されたスリーブ2の端面2aに互いの歯部を噛み合うように当接して両者を軽圧入してスライドヨーク1にスリーブ2を装着する。スライドヨーク1とスリーブ2とを、周溝9が延長部2cより外側に突出するまで軸方向に相対的にスライドさせ、スナップリング8を装着する。
【0018】
次に図4(b)に示すように、スナップリング8がスリーブ2の段部2fに当接するまでスリーブ2とスライドヨーク1とを両者の間隔が広がる向きに相対的に移動させ、さらにシート3を延長部2cから内周面2dに沿ってスリーブ2内に挿入して、その一端面3aが端面1cに当接するまで押し込む。
【0019】
図4(c)に示すように、シート3と端面1cとの当接状態を確保した後、スリーブ2の各延長部2cをそれぞれ内側に略直角に折り曲げてシート3の他端面3bに当接し、各折り曲げ部を周方向にカシメ、シート3を端面1cと折れ曲がった延長部2cとで挟持した保持する。そして、このようにして組み付けられたスリーブ2を鋼管4に装着するには、段周部2bを鋼管4の一端4aに挿嵌し、矢印Dで示す両者の挿嵌部を外側から周方向に溶接して固定することでカシメ部Gやシート3が鋼管4の内部4cに配置される。
【0020】
スリーブ2と鋼管4との溶接時の熱により、スリーブ2とスライドヨーク1のスプライン嵌合部10に熱変形のおそれがある。しかし、本形態では、シート3が端面1cと延長部2cに接触した状態にあるので、溶接時の熱がシート3にも伝達されてスプライン嵌合部10にかかる熱が緩和され、スプライン嵌合部10の熱変形が防止される。このため、スライドヨーク1に衝撃荷重Fが加わったときの、スプライン嵌合部10の熱変形による抵抗がなくなり、スライドヨーク1の移動に熱変形による過負荷が発生しなくなる。このことは、スライドヨーク1を移動させる負荷変動を抑えて、スライドヨーク1の移動を安定して行えることになる。
【0021】
このように構成したプロペラシャフトの作用について説明する。
図1において、矢印Bで示す前方向から衝撃荷重Fが加わると、図示しない車体の前方側に形成されたエンジンルーム等のクラッシャブルゾーンが衝突初期段階において変形し衝撃荷重Fが吸収される。そして変形した部位がエンジンに衝突すると、衝撃荷重Fがトランスミッション12からスライドヨーク1に伝達される。スライドヨーク1にかかる衝撃荷重Fが、スプライン嵌合部10による第1の抵抗と、カシメ部Gによる第2の抵抗を超えると、スライドヨーク1が収縮方向に移動する。スライドヨーク1が移動すると、スプライン嵌合部10による第1の抵抗がスライドヨーク1の移動に伴い増大するとともに、折り曲げられた延長部2cがシート3に押されて延長部2cがカシメ部Gから開く方向に塑性変形して第2の抵抗が増大する。すなわち、プロペラシャフトにかかった衝撃荷重Fは、スプライン嵌合部10の抵抗とカシメ部Gを塑性変形させるエネルギーで吸収されることになる。スライドヨーク1の移動は、当接面1dがスリーブ2の端面2aに当接することで停止する。
【0022】
衝撃荷重Fに対するカシメ部Gの強度は、衝撃荷重Fの入力時に図示しないキャビンの乗員に対して致命的な衝撃となる基準衝撃を発生させない程度に設定する。このようにカシメ部Gの衝撃荷重Fに対する強度を、基準衝撃を超えない程度に設定しておけば、スライドヨーク1に衝撃荷重Fが加わっても、カシメ部Gの踏ん張りによる過度な衝撃荷重の上昇を抑えられる。同時に、カシメ部Gを塑性変形させる力とスプライン嵌合部10による抵抗とで衝撃荷重Fを充分に低減することができる。よって、衝撃荷重Fの吸収率に占めるスライドヨーク1のストローク量Sによる割合を少なくでき、スライドヨーク1のストローク量Sを低減できる。このため、スプライン嵌合部10を短かくでき、プロペラシャフトの重量や製造コストを低減できる。これによりプロペラシャフトは、図5(a)に示すように、スリーブ2によって確実に収縮される。仮に、スリーブ2で衝撃荷重Fが吸収しきれない場合には、当接面1dが端面2aに当接することで鋼管4を介して他端4b側に装着したスリーブ2が作用して衝撃荷重Fがさらに吸収緩和されることになる。
【0023】
車体に対して図5(b)に矢印Cで示す後方向から衝突荷重Fが加わると、デファレンシャルギア13を介してその衝突荷重Fがスリーブ2に伝達され、図5(c)に示すように車体に前方向B及び後方向Cから衝突荷重Fが加わると、各衝突荷重がそれぞれスリーブ2,2に伝達されて、上述した形態と同様に各スリーブ2,2の作用によって衝撃荷重が吸収緩和される効果を得られる。
【0024】
このようにプロペラシャフトが突っ張らなることで、車体に設定されたクラッシャブルゾーンを充分に変形させることができ、衝突初期において衝撃荷重Fを確実に低減することができる。また、クラッシャブルゾーンで吸収しきれずに各スライドヨーク1に加えられた衝突荷重Fは、スライドヨーク1の収縮方向への移動が進むほどに各スプライン嵌合部10やカシメ部Gの塑性変形により吸収緩和されることになる。つまり、車体が本来持っている衝撃吸収性能を確実に発揮させながら、同時にプロペラシャフトによる衝撃吸収率が向上し、キャビンの乗員へ及ぶ衝撃を最小限に抑えて安全性が向上する。
【0025】
カシメ部Gは、鋼管4の内部4cに配置され、スライドヨーク1もスリーブ2を介して同じく内部4cに配置されているので、衝突荷重Fの加えられたスライドヨーク1は、鋼管4の内部4cでスライド移動することになり、プロペラシャフトの折れ曲がりがなくなる。このため、プロペラシャフトの折れ曲がりによる図示しないキャビン内への突出や燃料タンクとの干渉を防止でき、より車両の安全性を高めることができる。
【0026】
本実施の形態におけるスプライン嵌合部10は、スライドヨーク1及びスリーブ2に、軸方向に延びる直線状の歯部を周方向に形成して構成したが、スライドヨーク1またはスリーブ2の一方にスライドヨーク1の回転方向に傾斜角(リード)を付けた歯部を形成して構成してもよい。このようにスプライン嵌合部を構成すると、回転方向へのガタをより低減できるとともに、スライドヨーク1に衝撃荷重Fが加わって同スライドヨーク1が移動するときのスプライン嵌合部による抵抗が増え、同嵌合部による衝撃吸収率を高められる。この場合においても、スプライン嵌合部の抵抗は、図示しないキャビンの乗員に対する衝撃が基準衝撃よりも低くなる範囲に設定することは上記の場合と同様である。
【0027】
本実施の形態では、溶接時の熱によるスプライン嵌合部10の熱変形を考慮して、スライドヨーク1の端面1cにシート3を当接させて配置し、このシート3をスリーブ2の延長部2cでかしめて保持したが、溶接部11の位置をスプライン嵌合部10から離れた部位としたり、あるいは熱変形がスライドヨーク1の移動にほとんど影響を与えるおそれがなければ、スライドヨーク1を本形態よりも延出形成し、その先端となる端面1c近傍の縁部1f(図1参照)を直接延長部2cでかしめても無論構わない。
【0028】
スリーブ2,2をそれぞれ鋼管4の両端4a,4bに設けた形態としているが、これに限定されるものではなく、少なくとも何れか一方に装着されていれば良く、FR車や4WD車においては少なくともフロント側に配置するのが好ましいと云える。すなわち、クラッシャブルゾーンを少なくとも適切に変形させることができるスライドヨーク1の移動量を鋼管4の前端4aまたは後端4bの何れか一方で確保できるのであれば、本発明の構成は、鋼管4の前端4aまたは後端4bの何方に設けても良い。図中、プロペラシャフトは分割されていない1本もので説明したが、上述したスリーブ2,2を分割式のプロペラシャフトに採用しても無論構わない。この場合においても、車体での適切な変形量を確保するための衝撃吸収特性を1箇所で確保できるのであれば、スリーブ2は1つで良い。
【0029】
実施の形態では、スリーブ2の延長部2cのカシメ部Gの疎性変形で衝撃荷重Fを吸収緩和している。このため、延長部2cをカシメる時の強さや延長部2cの厚さを変更することで、プロペラシャフトに要求される衝撃吸収特性を容易に調整できる。あるいは、カシメ力が一定であってもスプライン嵌合部10の圧入状態を調整することでもプロペラシャフトによる衝撃吸収特性を容易に調整することができる。
【0030】
上述した実施の形態は、クラッシャブルボディを有する車両に適用した形態で説明したが、これに限定されるものではなく、車両が物体に衝突して衝撃荷重が発生した時に、プロペラシャフトにその衝撃荷重が伝達されるものであればどのようなタイプの車両に適用しても構わない。
【0031】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、プロペラシャフトが収縮することで衝突時の車体の変形量が阻害されなくなるので、衝突時の衝撃荷重を充分に車体変形で吸収できる。またヨーク部材が、中空軸内で移動するので、プロペラシャフトの折れ曲がりがなくなり、燃料タンクの破損やキャビンへの突出などの2次的な不具合の発生を防止できて安全性が向上する。さらにスリーブの延長部のカシメによって被覆されることでヨーク部材の他端側の先端が保持されることでヨーク部材の位置が安定するので、ヨーク部材の移動に伴うかしめ部の塑性変形のバラツキがなくなり、プロペラシャフトの衝撃吸収特性が安定し、乗員にかかる衝撃を確実に抑えられて安全性が向上する。加えて、プロペラシャフトへの衝撃荷重は、ヨーク部材の移動に伴いスプライン嵌合部でも吸収されるので、プロペラシャフトによる衝撃吸収率が向上し、プロペラシャフトの収縮量を低減でき、コスト低減を図りながら安全性を高められる。
【0032】
請求項2記載の発明によれば、プロペラシャフトにかかる衝撃荷重が中空軸部の入出力方向の何方から入力されても、その衝撃荷重が延長部のカシメ部による保持力を上回ると、安定した位置に保持されたヨーク部材がカシメ部を塑性変形しながら荷重方向にそれぞれ移動するので、よりプロペラシャフトの衝撃吸収特性が向上し、より一層安全性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一形態を示すプロペラシャフトの衝撃吸収手段の構成を示す断面図である。
【図2】衝撃吸収手段を備えたプロペラシャフトの一形態を示す全体図である。
【図3】本発明で用いるスリーブと中間部材の一形態を示す拡大斜視図である。
【図4】プロペラシャフトの組み付け工程を示す図である。
【図5】衝撃荷重を受けたときのプロペラシャフトの収縮状態を示す全体図である。
【符号の説明】
1 ヨーク部材
1a 一端
1b 他端
1f,3 他端側の先端
2 スリーブ部
2c 延長部
4 中空軸部
4a,4b 両端
13 被駆動部材
Claims (2)
- 駆動源と被駆動部材とを連結するプロペラシャフトにおいて、
一端側に上記駆動源又は上記被駆動部材が連結されたヨーク部材と、
一方が上記ヨーク部材の他端側にスプライン嵌合し、他方が上記ヨーク部材の挿入方向と同方向に延びた延長部と、
上記ヨーク部材の他端の先端に当接させた中間部材と、
この延長部で上記中間部材をカシメることで同ヨーク部材の他端側を保持するスリーブ部と、
上記カシメ部が内部に位置するように上記スリーブ部に装着された中空軸部とを有することを特徴とするプロペラシャフト。 - 請求項1記載のプロペラシャフトにおいて、
上記スリーブ部は、上記中空軸部の入出力方向に位置する両端に設けられていることを特徴とするプロペラシャフト。
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