JP3721005B2 - 高強度軽量コンクリート床版を備えてなる橋梁 - Google Patents

高強度軽量コンクリート床版を備えてなる橋梁 Download PDF

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Description

【0001】
【産業の利用分野】
本発明は,道路橋,鉄道高架橋,歩道橋等において,事前に工場でプレキャストして仕上げたプレストレストコンクリート版を床版として橋床に布設して構成される各種橋梁に関する。
【0002】
【従来の技術】
普通コンクリート床版を工場でプレキャストする際,必要なプレキャスト力を導入して強度を改善し,各種橋梁の床版として使用することは従来から取り組まれてきた。このオフラインで床版を製作することは,材料の選択,打ち込み施工管理,養生,品質調査など,現場施工では困難な作業を,理想に近い状態で行うことができ,品質的に安定し,かつ経済的にも有利な床版の供給を可能となる。
【0003】
一方,各種の橋梁は,近年厳しい環境にさらされているのが実状である。特に道路橋は,車両の増加と共に,大型化や高速化が進み,その使用条件は日々厳しさを増している。必然的に,舗装面,床版の損傷も激しく,補修や床版取り替えなどの頻度も増加の傾向にある。多くの道路橋において,舗装のアスファルトコンクリート層の摩耗,ひび割れ,剥離などの損傷のために,旧舗装の除去と再舗装が多く行われる。しかし,年月が経過すると,コンクリート床版自体の損傷も進んで,一部又は全面の床版の取り替えが必要になる。
【0004】
舗装の取り替え工事は,まず,重機によるアスファルトコンクリート層のはつり,解体,除去から行われるが,コンクリート床版面への衝撃も避けられず,舗装解体と同時にコンクリート床版の破損がしばしば発生する。特に、従来の軽量コンクリートを使用した鉄筋コンクリート床版はこの影響を受け易い。
また、コンクリート床版の損傷は,この重機による物理的な破損の他に,化学的な経年変化による劣化も避けられない。これはセメントの中性化に起因する現象であり,従来から種々の研究がなされているが,決定的な対策となるものは見出されていない。
【0005】
【発明が解決しょうとする課題】
橋梁は,通常,鉄骨又はコンクリート橋梁の橋床上の車両などの通行面に鉄筋コンクリート床版を布設し,その上面にアスファルトコンクリートなどを舗装して構成されている。従来の橋梁は,普通コンクリートを素材とした床版が採用されてきた。しかし,普通コンクリートの一枚の床版は,巾1m,長さ3.5m,厚さ250mmのプレキャストコンクリート床版を採用したとき,その重量は約2tを越える。これに補強鉄筋やPC鋼材及び継ぎ手金物等を加えると,さらに重量が増えることになる。
【0006】
コンクリート床版の単重が軽減されれば,車輌の大型化による主桁への負担が軽減できるメリットが生じる。これは特に鋼橋の鉄筋コンクリート床版の取替え工事の際に有利となる。それに,新設工事,中間修理の際に,コンクリート床版を取り扱う重機の能力も軽減され,施設用重機自体が橋梁にかかる荷重も緩和されることになり,このことも,橋梁強度の設計上に有利に働くことになる。 以上より,コンクリート床版に軽量コンクリートを採用することにより,単位重量を軽減する効果が大きいことになる。
【0007】
一方,道路橋では,一定の車両通行量以上になると,舗装は車両の輪荷重,衝撃,タイヤとの摩耗などの機械的損傷と,気候の変化や温度の変動がもたらすコンクリート床版の風化や熱的な膨張収縮などにより,ひび割れや損耗が発生してくる。損傷が一定以上になると,アスファルトコンクリート舗装の取り替えが必要になる。舗装の除去には,破砕用重機が使われるが,コンクリート床版を再利用して舗装のみを取り替える際,どうしても床版表面の損傷は避けられない。
特に、軽量コンクリートに対してはこの影響は大きくなる。
また,この重機による床版表面のコンクリート層の破損は,補強鉄筋及びPC鋼材のかぶり量の低減に結びつくことになり,床版の強度上の問題ともなる。さらに,衝撃等でひび割れを促進して,コンクリートの中性化を一層早めてコンクリート床版自体の寿命を短縮してしまうという問題も発生させる。
【0008】
以上のように,軽量コンクリート床版の各種橋梁の橋床への適応は,その軽量化の実現のために,多くの利点をもたらしたが,軽量骨材を使用していることにより,床版の表面をはつりするような重機の動きには,抵抗力が少ない。この課題は,軽量コンクリート床版の普及の足かせになりかねない状況である。
【0009】
次にコンクリート床版自体が保有する課題について説明する。コンクリート構造体は,セメントの水和反応により固化し高強度を発現する。しかしコンクリート構造体の製作過程で,多くの場合,微細な亀裂が内蔵される。この原因は,成型後のコンクリート床版の乾燥時の,構造体内外の温度差や,施工時の表層でのブリージング等である。
【0010】
これらのコンクリート床版が,実際の橋梁において使用されていると,気温の上下による膨張収縮,亀裂からの浸入雨水の凍結解凍サイクルの繰り返しから,次第にひび割れの状態に発展する。その結果,このひび割れ開口部から空気中の炭酸ガスが浸入して,いわゆるコンクリートの中性化現象を誘引して,セメント成分の流出と補強鉄筋及びPC鋼材の発錆に進む。この状態で放置しておくと,コンクリート床版の劣化を早める結果になる。特に,鋼材の発錆は,鋼材表面で体積膨張を伴い,コンクリート構造の内部で引っ張り応力を発生させることから,ひび割れを一層促進させて,中性化の悪循環を引き起こすことになる。
以上の課題に対して,本発明はその解決策を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決する手段】
以上の課題は下記構成の本発明によって解決される。
(1)ポルトランドセメントと人工軽量粗骨材及び人工軽量細骨材の重量配合比が9.5〜10.5:10.5〜11.5:11.5〜12.5からなる水硬化性混合物の養生硬化物であって,硬化後の単位容積重量が1.6〜1.8t/m3のプレキャストプレストレストコンクリート床版の舗装側上面に,ポリマーセメントコンクリート層が10〜25mmの厚さで着層されてなる高強度軽量コンクリート床版により橋床が構成されてなることを特徴とする高強度軽量コンクリート床版を備えてなる橋梁。
(2)ポルトランドセメントと人工軽量粗骨材及び人工軽量細骨材の重量配合比が9.5〜10.5:10.5〜11.5:11.5〜12.5からなる水硬化性混合物の養生硬化物であって,硬化後の単位容積重量が1.6〜1.8t/m3のプレキャストプレストレストコンクリート床版の舗装側上面に,ポリマーセメントモルタル層が5〜10mmの厚さで着層されてなる高強度軽量コンクリート床版により橋床が構成されてなることを特徴とする高強度軽量コンクリート床版を備えてなる橋梁。
(3)前記プレキャストプレストレストコンクリート床版内部のPC鋼材の表面及びその近傍部分に亜硝酸塩が分散されていることを特徴とする前項(1)又は(2)のいずれか1項に記載の高強度軽量コンクリート床版を備えてなる橋梁。
【0013】
【発明の実施の形態】
上記のごとく、本発明の対象となる軽量コンクリート床版の基本的な特性は,単位体積重量が1.6〜1.8t/mであり,通常の普通コンクリートの単位体積重量(約2.35t/m)と比較すると,20〜30%の重量軽減効果が可能である。
通常,このコンクリート床版の軽量化のために,コンクリート配合において,粗骨材,細骨材に人工軽量骨材を使用する。人工軽量骨材には,膨張頁岩や膨張粘土の焼成処理品及び焼成フライアッシュなどで,気孔性,低吸水性,高強度のものが望ましい。また,一部は合成樹脂発泡体などを利用することもできる。
さらに,床版強度の向上のために,床版製作時に補強鉄筋構造とすると共に,橋軸直角方向のプレテンション方式のPC構造とする。また,床版の布設時には,橋軸方向にはポストテンション方式のPC構造あるいは鉄筋コンクリート(RC)構造を採用する。このプレストレス力導入により,軽量コンクリート床版の弱点とされる押し抜きせん断強度は,大幅に向上される(以下では,プレキャストしてプレストレス力導入により強度の改善をした軽量コンクリート床版を高強度軽量コンクリート床版と称す)。
【0014】
高強度軽量コンクリート床版により各種橋梁の橋床を施設して使用している内に,舗装面のアスファルトコンクリートの取り替え作業が行われるが,この際,起用される解体重機により高強度軽量コンクリート床版の表面が損傷される問題のがある。しかし,この解決方法として,高強度軽量コンクリート床版を工場内で製作する際に,アスファルトコンクリート舗装に接する面に,表面保護層を構成することでこの問題は解決される。
この保護層の製作は,高強度軽量コンクリート床版の製作過程において,型枠内に高強度軽量コンクリート材料を打ち込んだ後に,追加層を設けるように保護層材料を打ち込んで高強度軽量コンクリート層に着層するように形成する。保護層に使用される材料は,ポリマーセメントコンクリート又はポリマーセメントモルタルが望ましい。
また,高強度軽量コンクリート床版の保護という目的を確実に達成するためには,ポリマーセメントコンクリートの場合には厚さ10mm以上、好ましくは10〜25mm,ポリマーセメントモルタルでは厚さ5mm以上、好ましくは5〜10mmの着層が必要である。
【0015】
また,この保護層の効果は,舗装材取り替え時の重機によるコンクリート床版の破損防止のみならず,橋床として使用する時に,舗装材の損傷部,継ぎ目部等から浸入する雨水に対する防水層の効果も果たす。
【0016】
次に,高強度軽量コンクリート床版の内部に亜硝酸塩を浸透させ,内部に配設された補強鉄筋及びPC鋼材の腐食を防止する発明について説明する。
コンクリート床版の内部の補強鉄筋及びPC鋼材表面に発生する発錆現象は,電極現象を除けば,殆どがコンクリート床版に発生するひび割れに起因していると考えられている。
【0017】
コンクリート床版の硬化過程で,セメントの水和反応終了後は,コンクリートはアルカリ性を示し,補強鉄筋及びPC鋼材の表面には不働態が形成されて,発錆が妨げられている。しかし,コンクリート打ち込み後の硬化過程で起こるブリージング現象による表面微細亀裂の発生や,気候変動による温度変動や乾燥時の収縮に起因するコンクリート床版の膨張収縮により,次第に大小のひび割れが発生する。このひび割れがもたらす空隙を通じて,大気中の炭酸ガスや雨水が浸入し,コンクリート内部で中性化が進行し,pH値の低減と共に補強鉄筋及びPC鋼材の発錆が起こる。鋼材が発錆する際には,その酸化鉄の生成の過程で,体積膨張を伴い,ひび割れを一層促進するという悪循環を伴って進行する。床版橋のコンクリート床版は,殆どが露天にさらされており,この過程により発錆の進行は避けられない環境下にある。そのために,この高強度軽量コンクリート床版内部の補強鉄筋及びPC鋼材の防錆対策は,コンクリート床版の強度維持のために,不可欠な課題である。
【0018】
本発明では,酸化特性の優れた亜硝酸塩溶液を用いてこの課題を解決した。
亜硝酸イオンが,補強鉄筋及びPC鋼材の表面に被着すると,鋼材と酸化反応を起こし,その結果生成される酸化鉄が不働態となって,一層の発錆の進行を妨げる働きをする。
【0019】
実際の浸透作業は次のように行われる。即ち,高強度軽量コンクリート床版の表面から亜硝酸塩溶液を浸透させ,少なくとも,補強鉄筋及びPC鋼材の表面がこの溶液で被着されるまで,必要に応じて繰り返し浸透を行う。広く採用されている方法は,コンクリート床版の表面に,噴霧器を使って亜硝酸塩溶液を噴霧して付着させ,毛細管現象を利用して浸透させる方法である。
【0020】
この浸透作業を,より均一にかつ効果的に行う為には,真空含浸法が有効である。コンクリート床版を真空容器に入れ,真空状態にするとコンクリート床版内部の微細な空隙が脱気される。そのままの状態で,亜硝酸塩溶液を真空容器内に注入し,コンクリート床版を亜硝酸塩溶液に含浸させると,コンクリート床版内の微細亀裂を通じて浸透が行われ,容易に床版内部までの浸透が可能になる。なお,浸透後,大気圧への復帰してから,含浸した亜硝酸塩が流出するのを防止するために,コンクリート床版表面を,エポキシ樹脂などの密封性塗料を塗布することで流出を効果的に防ぐことができる。
【0021】
【作用】
コンクリート構造体は,一般に,圧縮応力には大きな抵抗力があるが,引っ張り応力には比較的弱い部材である。本発明の対象となる高強度軽量コンクリート床版は,単位重量が大幅に低減して,施工性,経済性など大きな利点を生ずる反面,軽量骨材を使用しているために,そのままでは強度の低下は免れない。そこで,コンクリート床版にプレストレス力を効果的に導入して,この強度低下を補足している。
【0022】
通常,道路橋はコンクリート床版の上部にアスファルトコンクリートを舗装して車両の輪荷重を直接支える構造としている。通行に伴う車輪による摩耗,押し付け荷重,風化等の損傷により,取り替え施工が必要になる。この際,重機によりアスファルトコンクリート層のはつりや除去作業が行われるため,舗装の下層を構成しているコンクリート床版の表層の損傷も避けられない。特に軽量コンクリート床版の場合,粗骨材の硬度が一般的に低く,摩耗抵抗が小さいことから,重機の衝撃,はつり等で損傷を受け易い。さらに,コンクリート床版のプレキャストの過程で,表層部には微粒が集積しやすいブリージング現象から表層の構造は脆弱になりやすいことも問題である。
【0023】
これらの課題の解決のために,プレキャストコンクリート床版を製作する際に,あらかじめ強化層を表面に構成することが有効である。この表面強化層は,コンクリート床版表面に,一定厚さの保護層を着層させ,床版と一体化した状態とする。保護層に要求される特性として,機械的強度,床版との密着度等を考慮して,材料はポリマーセメントコンクリート又はポリマーセメントモルタルが適している。
【0024】
図1は保護層が形成された高強度軽量コンクリート床版の断面図を示す。
高強度軽量コンクリート床版1の上面に保護層2が着層した構造になっている。プレストレス鋼材3の一部が高強度軽量コンクリート床版1を貫通している。図2は保護層の成型工程を示す。(a)は型枠準備工程で,型枠4を設置して補強鉄筋5及びプレストレス鋼材3を反力台6に取り付けた状態を示す。(b)は高強度軽量コンクリート打設工程を示し,所定の配合の高強度軽量コンクリート材料7が型枠内に打設される。(c)は保護層仕上げ工程を示す。保護層材料8が打設後の高強度軽量コンクリート表面に着層され,保護層を形成される。(d)は蒸気養生工程を示す。型枠4全体を養生シート9で覆い,蒸気供給口10から蒸気が供給され,高強度軽量コンクリートと保護層が一体状態で養生される。(e)はプレストレス導入工程で,反力台6から徐々に緊張力が緩和されて,高強度軽量コンクリート床版内にプレストレス力が導入されていく。この後,検査工程を経て,保護層と一体成型された複層床版が完成する。
【0025】
この保護層は,現場施工後はコンクリート床版への雨水防水層としての効果も具備させることができる。通常,ポリマーセメントモルタルの場合で5mm以上,ポリマーセメントコンクリートの場合で10mm以上の層厚が望ましい。
【0026】
次に,亜硝酸塩溶液を使った高強度軽量コンクリート床版の補強鉄筋及びPC鋼材の防錆機構と,付随効果としてコンクリート母体の劣化防止機構について説明する。
一般に,セメントの水和反応後のコンクリート内部のpHは約12の強アルカリ性であり,補強鉄筋又はPC鋼材表面は酸化鉄の不働態が形成されていて,発錆の進行は抑制された状態になっている。しかし時間の経過と共に,微少亀裂が少しずつひび割れとなり,大気中の炭酸ガスが浸入して,コンクリート内部のアルカリ性環境が中性化してpHが11を下回ると,補強鉄筋又はPC鋼材の周辺の不働態層が損傷され,水酸化鉄などの赤錆が発生し始める。
【0027】
この発錆現象は,補強鉄筋及びPC鋼材表面の膨潤を助長し,一層ひび割れを促進するという悪循環を誘引する。しかし,この状態で,亜硝酸イオンが介在すると,鉄筋表面で亜硝酸イオンと二価の鉄イオンとが酸化反応を起こして,酸化鉄の生成という不働態の再生を行われる。この不働態の維持が,発錆による膨潤,ひび割れ,中性化の進行を抑制することとなる。
【0028】
次に,亜硝酸塩として亜硝酸リチウムを含浸したときの,高強度軽量コンクリート床版に対する追加的な効果として,コンクリート母体の劣化防止があり,その機構について説明する。
セメントの水和反応により,骨材間が強固に結合されたコンクリート体は,経年変化と共に,雨水の浸入や,中性化が進んで,骨材のシリカ成分とセメントのアルカリ成分とが反応してアルカリ珪酸ソーダを形成する。この化合物は吸湿して膨潤し,コンクリート内に多数のひび割れを引き起こし,塩害や中性化促進の二次劣化の原因ともなる。しかし,リチウムイオンが介在すると,骨材からの反応性シリカ成分はリチウムと反応して珪酸リチウムを形成する。この珪酸リチウムは不溶性で珪酸ソーダのような吸湿膨潤を起こさず,珪酸の固定化の働きをする。
【0029】
また,リチウムイオンは珪酸ソーダとして水溶性を具備したゲル生成物とも反応して不溶性物質に変換することから,コンクリート成分の流出,劣化の抑制効果が大きい。特に,リチウムイオンのイオン半径は他のアルカリイオンに比べて小さいために,微細なマトリックス内にもよく浸透して,劣化抑制の効果を増大させる。即ち,ナトリウムのイオン半径は0.95Å,カリシウムのイオン半径は0.99Å,カリウムのイオン半径は1.33Åであり,いずれもリチウムのイオン半径0.60Åより大きく,浸透性はリチウムイオンが優れている。
【0030】
【実施例】
以下に実施例により、本発明を具体的に説明する。
本発明の対象となる高強度軽量コンクリート床版の舗装面に,保護層を設けた実物類似のモデルの試作を行い,その特性調査によって実用性を確認した。
母体となる軽量コンクリート床版の製作に使用された軽量骨材の内,粗骨材は表乾比重1.65,絶乾比重1.30の人工軽量骨材を,細骨材としては表乾比重1.65人工軽量骨材を採用した。
設計基準強度500kgf/cm2として,スランプ値12以上,空気量5.0±1.0%となるように試験練りで、上記ポルトランドセメント,粗骨材,細骨材の重量配合比を9.5〜10.5:10.5〜11.5:11.5〜12.5の範囲で配合を決定した。
その結果、軽量化の度合いとなる単位体積重量は1.6〜1.8t/m3で,普通コンクリートに対し20〜30%の重量軽減効果を示した。
【0031】
次に,上記の配合に基づいて,巾1,000mm,長さ3,500mm,厚さ250mmの実物床版規模の供試体をプレキャストしてプレストレス力導入し,更に,この供試体表面に,本発明の保護層をポリマーセメントモルタルでプレキャストして保護層付き高強度軽量コンクリート床版を試作して,乾燥後,強度特性を調査した。その結果,圧縮強度は,材令28日で53.8N/mm2となり,ほぼ設計基準値50N/mm2を達成した。支間3.0mで曲げ強度は9.8kN以上となった。更に,押し抜きせん断耐力を測定した結果,750kN以上を示し,現行の道路橋示方書による床版の設計に用いる輪荷重98kNに対し,充分なせん断力を保有していることが確認できた。即ち,保護層の形成により,高強度軽量コンクリート床版本体の強度特性に,何ら影響を与えないことが判明した。
以上の結果,保護層を設けた高強度軽量コンクリート床版の実用性は充分に立証することができた。
【0032】
【発明の効果】
本発明は,以上説明したように構成されているので,以下に記載されるような効果を奏する。
各種橋梁の橋床を構成する高強度軽量コンクリート床版表面に,ポリマーセメントコンクリート又はポリマーセメントモルタルの保護層を着層したことにより,舗装取り替え工事の際に発生する解体重機等による前記軽量コンクリート床版の損傷や破損を防止することができ、長寿命化を達成することができる。
また,亜硝酸塩溶液を高強度軽量コンクリート床版の内部に浸透させ,補強鉄筋及びPC鋼材の表面及びその近傍部分に分散させることにより,補強鉄筋及びPC鋼材の発錆の進行を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる保護層を設けた高強度軽量コンクリート床版の一部断面斜視図である。
【図2】 本発明に係わる保護層を持つ高強度軽量コンクリート床版の製作工程図である。
【符号の説明】
1 高強度軽量コンクリート床版, 2 保護層,
3 プレストレス鋼材, 4 型枠,
5 補強鉄筋, 6 反力台,
7 高強度軽量コンクリート, 8 保護層材料,
9 養生シート, 10 蒸気配管,

Claims (3)

  1. ポルトランドセメントと人工軽量粗骨材及び人工軽量細骨材の重量配合比が9.5〜10.5:10.5〜11.5:11.5〜12.5からなる水硬化性混合物の養生硬化物であって,硬化後の単位容積重量が1.6〜1.8t/m3のプレキャストプレストレストコンクリート床版の舗装側上面に,ポリマーセメントコンクリート層が10〜25mmの厚さで着層されてなる高強度軽量コンクリート床版により橋床が構成されてなることを特徴とする高強度軽量コンクリート床版を備えてなる橋梁。
  2. ポルトランドセメントと人工軽量粗骨材及び人工軽量細骨材の重量配合比が9.5〜10.5:10.5〜11.5:11.5〜12.5からなる水硬化性混合物の養生硬化物であって,硬化後の単位容積重量が1.6〜1.8t/m3のプレキャストプレストレストコンクリート床版の舗装側上面に,ポリマーセメントモルタル層が5〜10mmの厚さで着層されてなる高強度軽量コンクリート床版により橋床が構成されてなることを特徴とする高強度軽量コンクリート床版を備えてなる橋梁。
  3. 前記プレキャストプレストレストコンクリート床版内部のPC鋼材の表面及びその近傍部分に亜硝酸塩が分散されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の高強度軽量コンクリート床版を備えてなる橋梁。
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