JP3720768B2 - 新生児および乳児の診断装置 - Google Patents

新生児および乳児の診断装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3720768B2
JP3720768B2 JP2002017726A JP2002017726A JP3720768B2 JP 3720768 B2 JP3720768 B2 JP 3720768B2 JP 2002017726 A JP2002017726 A JP 2002017726A JP 2002017726 A JP2002017726 A JP 2002017726A JP 3720768 B2 JP3720768 B2 JP 3720768B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
center
gravity
newborn
infant
gravity position
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002017726A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003210435A (ja
Inventor
正 岡田
治男 前田
圭一 井手
修 羽畑
博文 松野
修治 岡本
聡 茨
康祐 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kawasaki Motors Ltd
Original Assignee
Kawasaki Jukogyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawasaki Jukogyo KK filed Critical Kawasaki Jukogyo KK
Priority to JP2002017726A priority Critical patent/JP3720768B2/ja
Priority to PCT/JP2003/000638 priority patent/WO2003061472A1/ja
Publication of JP2003210435A publication Critical patent/JP2003210435A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3720768B2 publication Critical patent/JP3720768B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/103Detecting, measuring or recording devices for testing the shape, pattern, colour, size or movement of the body or parts thereof, for diagnostic purposes
    • A61B5/11Measuring movement of the entire body or parts thereof, e.g. head or hand tremor, mobility of a limb
    • A61B5/1124Determining motor skills
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/68Arrangements of detecting, measuring or recording means, e.g. sensors, in relation to patient
    • A61B5/6887Arrangements of detecting, measuring or recording means, e.g. sensors, in relation to patient mounted on external non-worn devices, e.g. non-medical devices
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B2562/00Details of sensors; Constructional details of sensor housings or probes; Accessories for sensors
    • A61B2562/02Details of sensors specially adapted for in-vivo measurements
    • A61B2562/0247Pressure sensors
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B2562/00Details of sensors; Constructional details of sensor housings or probes; Accessories for sensors
    • A61B2562/04Arrangements of multiple sensors of the same type
    • A61B2562/046Arrangements of multiple sensors of the same type in a matrix array
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/103Detecting, measuring or recording devices for testing the shape, pattern, colour, size or movement of the body or parts thereof, for diagnostic purposes
    • A61B5/11Measuring movement of the entire body or parts thereof, e.g. head or hand tremor, mobility of a limb
    • A61B5/1126Measuring movement of the entire body or parts thereof, e.g. head or hand tremor, mobility of a limb using a particular sensing technique
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/103Detecting, measuring or recording devices for testing the shape, pattern, colour, size or movement of the body or parts thereof, for diagnostic purposes
    • A61B5/11Measuring movement of the entire body or parts thereof, e.g. head or hand tremor, mobility of a limb
    • A61B5/1126Measuring movement of the entire body or parts thereof, e.g. head or hand tremor, mobility of a limb using a particular sensing technique
    • A61B5/1127Measuring movement of the entire body or parts thereof, e.g. head or hand tremor, mobility of a limb using a particular sensing technique using markers

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Medical Informatics (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Surgery (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Oral & Maxillofacial Surgery (AREA)
  • Physiology (AREA)
  • Dentistry (AREA)
  • Measurement Of The Respiration, Hearing Ability, Form, And Blood Characteristics Of Living Organisms (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新生児または乳児において生じることのある神経学的異常および/または筋疾患の有無を診断する新生児および乳児の診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
新生児および生後6ケ月程度までの乳児には、単純な反射運動とは理解できないGeneral Movement(以後、GMと略称する)と呼ばれる自発運動がある。このGMは、新生児および乳児が、特に仰臥位の状態で機嫌のよいとき、四肢を含む全身に生じる運動であり、脳神経系および筋骨格系のダイナミックを反映していると考えられている。
【0003】
人間に発症することのある神経学的異常および/または筋疾患は、明らかな症状が現出してからでは、効果的な治療を施すことのできないこともあり、早期発見早期治療が望まれている。前述した新生児および乳児のGMは、神経学的異常および/または筋疾患の評価に用いられる可能性を有すると考えられている。このような観点に基づき、新生児および乳児のGMを定量的に計測することを試みる先行技術が、たとえば多賀らによって開示されている(BPSE 2000 第15回生体・生理工学シンポジウム論文集、p165〜168)。この先行技術は、新生児または乳児(以後、被験児と総称することがある)の身体各部に複数個のマーカを貼着し、特定のストロボとフィルタを備える撮影装置によって前記マーカから反射した光のみを予め定められた時間にわたって撮影し、被験児の運動の軌跡を求めるというものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述した先行技術には、次のような問題がある。被験児の運動軌跡を求めるためには、少なくとも複数台のカメラ、ストロボおよびフィルタを備える撮影装置と映像解析装置とを必要とするように大掛かりな装置を準備しなければならないという問題がある。また被験児に貼着したマーカをカメラによって撮影しその軌跡を捉えるので、被験児の運動の状態によってはデータであるマーカの映像が欠損する場合を生じるという問題がある。
【0005】
また人間の運動状態を把握する先行技術には、前述した身体各部に貼着したマーカを撮影する技術以外にも、たとえば特開平7−250822公報に開示される重心揺動計がある。
【0006】
特開平7−250822公報に開示される重心揺動計は、立位姿勢にある被験者の体重である荷重を複数の荷重センサによって検出し、検出される各荷重を用いて被験者の重心位置を演算し、予め定められる時間内における重心移動の軌跡を求めるというものである。この重心揺動計は、主として被験者の重心変動を抑制しようとする意思と、実際の重心変動の軌跡とを比較して被験者自身および医師が運動機能の回復状態を把握するために用いられている。すなわち特開平7−250822公報に開示の技術は、重心揺動の軌跡を単に目視観察して被験者の意思との合致性を問うに過ぎないものであり、そこには運動状態から人間の神経学的な異常および/または筋疾患の判断を行うという技術思想を見出すことはできない。
【0007】
本発明の目的は、簡単な構成で新生児および乳児における神経学的な異常および/または筋疾患の有無を判断することのできる新生児および乳児の診断装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、仰臥位または腹臥位の状態にある新生児または乳児の重量を検出する複数の重量検出センサと、
前記重量検出センサによって予め定められる一定時間t1毎に検出される重量値を用い、前記複数の重量検出センサを含む仮想平面である2次元平面における新生児または乳児の重心位置を、前記一定時間t1毎に演算する重心位置演算手段と、重心位置演算手段の出力に応答し、前記一定時間t1毎に求められる重心位置が、予め定められる時間t2内に前記2次元平面の同一座標上に繰返し出現する回数である重心位置度数を演算する重心位置度数演算手段とを備えるデータ演算手段と、
重心位置度数演算手段の出力に応答し、重心位置度数を予め定められる弁別レベルである度数B1でレベル弁別し、新生児または乳児に異常があるかを判断する判断手段と、
判断手段の出力に応答し、新生児または乳児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を表示する表示手段とを含むことを特徴とする新生児および乳児の診断装置である。
【0013】
本発明に従えば、新生児または乳児の重心位置を一定時間t1毎に演算し、演算される重心位置の予め定められる時間t2内に2次元平面の同一座標上に繰返し出現する回数である重心位置度数を演算し、演算された重心位置の座標と重心位置度数の大小とに基づいて、新生児および乳児の神経学的な異常および/または筋疾患の有無を判断するので、容易に的確な診断をすることが可能になる。
【0014】
また本発明は、仰臥位または腹臥位の状態にある新生児または乳児の重量を検出する複数の重量検出センサと、
前記重量検出センサによって予め定められる一定時間t1毎に検出される重量値を用い、前記複数の重量検出センサを含む仮想平面である2次元平面における新生児または乳児の重心位置を、前記一定時間t1毎に演算する重心位置演算手段と、重心位置演算手段の出力に応答し、予め定められる時間t2内に前記2次元平面内で移動する重心位置の移動速度を前記予め定められる時間t1毎に演算する重心移動速度演算手段と、重心移動速度演算手段の出力に応答し、予め定められる速度間隔で区分される各速度範囲毎の重心移動速度のデータ数である移動速度度数を演算する移動速度度数演算手段とを備えるデータ演算手段と、
移動速度度数演算手段の出力に応答し、移動速度度数を予め定められる弁別レベルである度数C1でレベル弁別し、新生児または乳児に異常があるかを判断する判断手段と、
判断手段の出力に応答し、新生児または乳児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を表示する表示手段とを含むことを特徴とする新生児および乳児の診断装置である。
【0015】
本発明に従えば、新生児または乳児の重心位置を一定時間t1毎に演算し、演算される重心位置が予め定められる時間t2内に2次元平面内で移動する重心位置の移動速度を前記予め定められる時間t1毎に演算し、演算された重心移動速度の大小とその分布とに基づいて、新生児および乳児の神経学的な異常および/または筋疾患の有無を判断するので、容易に的確な診断をすることが可能になる。
【0022】
また本発明は、仰臥位または腹臥位の状態にある新生児または乳児の重量を検出する複数の重量検出センサと、
前記重量検出センサによって予め定められる一定時間t1毎に検出される重量値を用い、前記複数の重量検出センサを含む仮想平面である2次元X−Y平面における新生児または乳児の重心位置を、前記一定時間t1毎に演算する重心位置演算手段と、重心位置演算手段の出力に応答し、前記一定時間t1毎に求められる重心位置が、予め定められる時間t2内に前記2次元平面内で移動した実績に基づいて、回帰直線を演算する回帰演算手段と、回帰演算手段の出力に応答し、回帰直線を新たなXN軸とし、回帰直線に直交する軸を新たなYN軸として重心位置のX−Y座標値をXN−YN座標系の座標値に変換する座標変換手段と、座標変換手段によって変換される新たなXN−YN座標系における重心位置移動実績のXN軸方向の最大値XNmaxと最小値XNminとの差(=XNmax−XNmin)の絶対値Xmxと、重心位置移動実績のYN軸方向の最大値YNmaxと最小値YNminとの差(=YNmax−YNmin)の絶対値Ymxとの比である縦横比(Xmx/Ymx)を演算する縦横比演算手段とを備えるデータ演算手段と、
縦横比演算手段の出力に応答し、前記縦横比(Xmx/Ymx)を予め定められる弁別レベルF1でレベル弁別し、新生児または乳児に異常があるかを判断する判断手段と、
判断手段の出力に応答し、新生児または乳児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を表示する表示手段とを含むことを特徴とする新生児および乳児の診断装置である。
【0023】
本発明に従えば、前記散布図から求められる縦横比(Xmx/Ymx)、すなわち散布図の形状の特徴に基づいて、新生児および乳児の神経学的な異常および/または筋疾患の有無を判断するので、容易に一層的確な診断をすることが可能になる。
【0030】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の一形態である新生児および乳児の診断装置1の構成を簡略化して示す系統図であり、図2は図1の新生児および乳児の診断装置1に備えられるコット9を示す平面図である。
【0031】
本実施の形態の新生児および乳児の診断装置1(以後、単に診断装置1と略称する)は、仰臥位または腹臥位の状態にある新生児または乳児(以後、この両者を総称して被験児2と呼ぶ)の重量を検出する複数の重量検出センサ3a,3b,3c,3d(本実施の形態では4つ、重量検出センサを総称する場合には添字を省いて表す)の設けられる検出部4と、重量検出センサ3によって予め定められる一定時間t1毎に検出される重量値を用いて重量に関するデータを演算するデータ演算手段5と、データ演算手段5の出力に応答し、前記データによって新生児または乳児に異常があるかを判断する判断手段6と、判断手段6の出力に応答し、被験児2の異常の有無を表示する表示手段7とが設けられる制御表示部8とを含む。
【0032】
検出部4は、被験児2を収容するコット9と、コット9を支持するワゴン10とを含む。コット9は、略直方体の外形を有するたとえばアクリル樹脂製の中空容器であり、一面に開口部が形成され、その開口部から被験児2を内部空間に収容することができる。コット9の内部にはマット状の弾性部材で覆われた平板11が設けられ、その平板11上に前述した被験児2が仰臥位または腹臥位の状態で収容される。
【0033】
ワゴン10は、逆J字状に成形された4個の金属製パイプ12が、平面からみて長方形状の台板13の4隅に固着されて形成される。ワゴン10の短辺方向に並立する前記金属製パイプ12同志は、直状パイプ部材14で連結され、長辺方向に並立する前記金属製パイプ12同志は、型鋼部材15で連結される。型鋼部材15の上面(図1紙面上方側に向う面)に、前述した重量検出センサ3が設けられ、重量検出センサ3の上方側から前記コット9がワゴン10に装着される。
【0034】
なお、図2に示すように、コット9の平面図視した状態で、前記4つの重量検出センサ3a,3b,3c,3dは、コット9の4隅を支える形で設けられる。被験児2がコット9内に仰臥位におかれた状態で、右手位置に設けられる重量検出センサ3aをCH1と呼ぶことがあり、同様に左手位置の重量検出センサ3bをCH2、右足位置の重量検出センサ3cをCH3、左足位置の重量検出センサ3dをCH4と呼ぶことがある。重量検出センサ3は、ケーブル19によって制御表示部8に電気的に接続されるので、検出した重量値が制御表示部8に与えられる。
【0035】
制御表示部8に備わるデータ演算手段5および判断手段6は、CPU(Central Processing Unit)を備えるマイクロコンピュータなどによって実現される処理回路16である。表示手段7は、陰極線管または液晶ディスプレイなどによって実現され、処理回路16からの出力に応答してデータ演算結果および判断結果を表示する。
【0036】
また本実施の形態の診断装置1には、撮像装置17がたとえば衝立18などに支持されて設けられることも可能である。撮像装置17は、光学カメラでも良くまたCCD(Charge Coupled Device)でも良い。撮像装置17による映像情報は、ケーブル20を通じて制御表示部8に与えられる。医師は、撮像装置17によって得られる被験児2のGMの視覚データを診断に活用することができる。さらに診断装置1には、生体データ計測装置50が設けられることも可能である。生体データ計測装置50には被験児2の生体データを計測するセンサケーブル51が接続され、計測された生体データはケーブル52を通じて制御表示部8に与えられる。この生体データ計測装置50によって被験児2の一般的な生体データ(体温、動脈血酸素飽和度など)を計測し、診断装置1による判断結果と合わせて、より正確な診断を行うことができる。
【0037】
図3は、診断装置1の電気的構成を示すブロック図である。処理回路16には、重量検出センサ3a,3b,3c,3d、撮像装置17および生体データ計測装置50からの出力が与えられるとともに、後述するデータ演算手段5に備わる各種の演算機能のうちから実行するべき機能を選択する機能選択手段21からの出力が与えられる。機能選択手段21は、制御表示部8と接続されるたとえばキーボードのキーと関連付けて各種の演算機能が選択されるように設定されてもよく、また表示手段7である陰極線管または液晶ディスプレイにタッチパネル方式で各種の演算機能が選択されるように設定されてもよい。
【0038】
処理回路16には、表示手段7およびメモリ22が備えられるとともに、たとえば記録紙に表示手段7に表示内容を印字するプリンタ23が接続される。メモリ22は、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を備える。ROMには、診断装置1が処理回路16によって診断処理を実行するためのプログラムがストアされ、RAMには、データ演算結果および判断結果などが随時書込みおよび読出しされる。
【0039】
まず被験児2の神経学的異常および/または筋疾患の評価の基礎データとされる診断装置1による被験児2の重心位置の演算方法について以下に説明する。コット9上に被験児2が乗載しない状態における各重量検出センサ3a〜3dによってそれぞれ計測される重量を、Wa0〜Wd0で表し、コット9上に被験児2が乗載している状態における各重量検出センサ3a〜3dによってそれぞれ計測される重量を、Wa1〜Wd1で表し、各重量検出センサ3a〜3dによってそれぞれ計測される被験児2の体重のみによる重量を、Wa,Wb,Wc,Wdで表すと、被験児2の重量Wは、式(1)によって求められる。
W=Wa+Wb+Wc+Wd …(1)
ここで、Wa=Wa1−Wa0
Wb=Wb1−Wb0
Wc=Wc1−Wc0
Wd=Wd1−Wd0
【0040】
図4は、コット9の簡略化した平面図である。4つの重量検出センサ3を含む2次元平面を想定し、その2次元平面上においてコット9の長手方向をX軸とし、長手方向に垂直な方向をY軸とし、原点を0とすると、重心の位置(GX,GY)は、前記2次元平面内での位置である。コット9の長手方向の長さをLxとし、長手方向に垂直な幅方向の長さをLyとするとき、重心GのX方向の座標位置GXとY軸の座標位置GYとは、式(2)および式(3)で示される。
GX={(Wa+Wb)/W}・Lx−Lx/2 …(2)
GY={(Wb+Wd)/W}・Ly−Ly/2 …(3)
【0041】
この被験児2の重心位置(GX,GY)の演算は、前述したデータ演算手段5によって実行される。本実施の形態では、予め定められる一定時間t1をたとえば1秒とし、予め定められる時間t2をたとえば60秒(1分)間とし、1秒毎に被験児2の重量を検出するとともに重心位置の演算を実行し、1分間で60個の重心位置データを得た。この重心位置演算結果およびその元データである重量検出センサ3による検出重量値は、前記メモリ22にストアされる。
【0042】
演算結果である重心位置は、前記2次元平面上にマークし重心位置の移動した実績を示す散布図として表示手段7に表示されるとともに、プリンタ23によって記録紙に記録される。図5は、表示手段7によって表示される表示画面の1例を示すイメージ図である。図5では、表示画面24に向って右下方部分に散布図表示部25が設けられ、被験児2の重心位置の移動実績を視認できるように構成される。この表示画面24の例では、重心位置の移動実績のうち、最近の座標位置を大きい直径を有する黒丸26によって、また予め定める複数回の過去の位置を小さい直径を有する黒丸27によって示し、こうして過去になるにつれて黒丸の直径を小さくして表示するので、重心の移動経過を知ることができる。なお重心位置の移動経過は、同一の大きさのマークによって表示することもできる。
【0043】
また表示画面24では、画面に向って右上方には、撮像装置17による被験児2の映像データを表示する映像表示部28が設けられ、画面に向って左方には、各重量検出センサ3a〜3dによる検出重量値および重心位置のX−Y座標値を表示する体重データ表示部29が設けられる。
【0044】
前述したような被験児2の重心位置のデータは、被験児2同志を比較することができるように同一の状態において採取しなければならず、また神経学的異常および/または筋疾患の評価に用いるべきGMの特徴を検知することができるような状態で採取されることが必要とされる。被験対象児である新生児および乳児の状態は、たとえばVolpeらによって表1に示すように分類されているけれども、さらに簡略化して目を開けているすなわち覚醒しているか否か、泣いているか否かおよび特別な運動状態にあるか否かによって類別可能と思われるので、表2に示す状態分類に従う条件1〜5について重量に関するデータ採取に適する状態について検討した。
【0045】
【表1】
Figure 0003720768
【0046】
【表2】
Figure 0003720768
【0047】
表2中に示すモロー反射とは、新生児および乳児に突然手ばたきなどの音響刺激または振動を与えると、驚いて手足や躯幹、頚筋を収縮させる反応のことである。選択された1被験児(被験児番号9)について、表2中に示す条件1〜5の各状態での重心位置を1秒毎に1分間継続して演算し、重心位置の移動実績を示す散布図を作成した。
【0048】
図6は、1被験児の状態別に採取された重心位置散布図を示す。図6(a)は、表2中の条件1の目を開けていて泣いていない状態すなわち覚醒し安静状態における重心位置の散布図である。図6(b)は、表2中の条件2の状態である目を開けていて泣いている状態における重心位置の散布図である。図6(c)は、表2中の条件3の目を閉じていて泣いていない状態すなわち睡眠状態における重心位置の散布図である。図6(d)および図6(e)は、表2中の条件4および5の特別な状態である手足をばたつかせている状態およびモロー反射後の状態におけるそれぞれの重心位置の散布図である。
【0049】
被験児が、睡眠状態およびモロー反射後の筋肉の収縮した状態にあるとき、重心位置はほとんど移動することがないので、GMの特徴を検知することが難しく、神経学的異常および/または筋疾患の評価に用いるデータの採取条件としては適当でない。また目を開けて泣いている状態および手足をばたつかせている状態では、重心位置の移動が甚だしく、不所望に広範囲に散布してしまうので、かえってGMの特徴を検知することが難しく、神経学的異常および/または筋疾患の評価に用いるデータの採取条件としては適当でない。したがって、表2中の条件1の覚醒し安静状態にあるとき、重心位置の移動は適度な範囲に散布し、GMの特徴把握に適すると判断されるので、以後条件1の安静状態において重量に関するデータの採取を行うこととする。
【0050】
本実施の形態のデータ演算手段5には、多種の演算機能が複数併設して備えられ、前記機能選択手段21によって演算機能を選択して実行できるように構成されるので、以下に各演算機能毎にその態様について説明する。
【0051】
データ演算手段5の基本的な態様では、前述した1秒毎に検出される重量値を用いて被験児2の重心位置を演算する重心位置演算手段と、重心位置演算手段の出力に応答し、1秒毎に求められる重心位置が、1分間に前記2次元平面内で移動した面積を演算する重心移動面積演算手段とが備えられる。
【0052】
重心位置演算手段による重心位置の演算は、前述のとおりであり、重心移動面積演算手段による重心位置の移動面積の演算は、次のようにして行われる。図7は重心位置散布のモデル図であり、図8は2次元平面のX軸を幅dの小区間に分割して面積を求める概要を示す図である。移動面積は、図7に示す重心散布図のように重心が2次元X−Y平面内で移動した領域を、図8に示すように、X軸を幅dの小区間に分割した個々の面積を求め、その小区間面積の和を演算することによって求められる。このとき、X軸の分割最小目盛と小分割区間dとを同一にすると演算を容易に行うことができる。
【0053】
図9は、データ演算手段5による重心移動面積演算の動作を説明するフローチャートである。図9を参照して重心移動面積演算の手順を説明する。ステップa1のスタートでは、メモリ22から重心位置の移動実績であるX−Y座標値が読出されている状態である。ステップa2では、読出された重心位置がX座標値の小さい順番に並べ替えられる。ステップa3では、小さい順番に並べ替えられたX座標値の数(n)が計数される。ここでnは自然数である。
【0054】
ステップa4では、i=1に設定される。ステップa5では、並べ替えの順番がi番目のX座標値におけるY座標値の最大値Yma、最小値Ymiが求められる。ステップa6では、並べ替えの順番が(i+1)番目のX座標値におけるY座標値の最大値Yma、最小値Ymiが求められる。なお、ここではi番目のX座標値と(i+1)番目のX座標値との差の絶対値は、小分割値dである。
【0055】
ステップa7では、小分割値dと、各X座標値において求めたY座標値の最大値Ymaおよび最小値Ymiとによって、小分割区間の面積diaを算出する。隣接するX座標値と、各X座標値におけるY座標の最大値Ymaおよび最小値Ymiとによって形成される小区間には種々の形状パターンがあり、個々の形状パターンに応じて面積diaが演算される。
【0056】
図10は幅dの小区間の形状パターン例を示す図であり、図11は図10(b)を座標表示した図であり、図12は図10(c)を座標表示した図であり、図13は図10(d)を座標表示した図である。図10(a)は、Y座標値が1点から1点に変化する区間であり、図10(b)は、Y座標値が1点から2点に変化する区間であり、図10(c)は、Y座標値が2点から2点に変化する区間であり、図10(d)は、Y座標値が2点から1点に変化する区間である。
【0057】
図10(a)に示す区間では、小分割区間の面積は、零と演算される。図10(b)すなわち図11に示す区間では、X座標値x1においてY座標の最大値と最小値とが同一である重心位置31のX−Y座標を(x1,y1)、X座標値x2においてY座標の最大値である重心位置32のX−Y座標を(x2,y2)およびY座標の最小値である重心位置33のX−Y座標を(x2,y3)とするとき、小分割区間diaの面積は、式(4)によって求められる。
dia=d・|y2−y3|/2 …(4)
ここで、d=x2−x1
【0058】
図10(c)すなわち図12に示す区間では、X座標値x1においてY座標の最大値である重心位置34のX−Y座標を(x1,y1)、Y座標の最小値である重心位置35のX−Y座標を(x1,y2)、X座標値x2においてY座標の最大値である重心位置36のX−Y座標を(x2,y3)およびY座標の最小値である重心位置37のX−Y座標を(x2,y4)とするとき、小分割区間diaの面積は、式(5)〜(8)によって求められる。
S1=d・|y3−y1|/2 …(5)
S2=d・|y1−y4| …(6)
S3=d・|y4−y2|/2 …(7)
dia=S1+S2+S3 …(8)
ここで、d=x2−x1
【0059】
図10(d)すなわち図13に示す区間では、X座標値x1においてY座標の最大値である重心位置38のX−Y座標を(x1,y1)およびY座標の最小値である重心位置39のX−Y座標を(x1,y2)、X座標値x2においてY座標の最大値と最小値とが同一である重心位置40のX−Y座標を(x2,y3)とするとき、小分割区間diaの面積は、式(9)によって求められる。
dia=d・|y1−y2|/2 …(9)
ここで、d=x2−x1
【0060】
図9に戻ってステップa8では、算出された小区間面積diaをメモリ22にストアする。ステップa9では、iを(i+1)に置換える。ステップa10では、iが(n−1)と同一であるか否かが判断される。判断結果が否定であるとき、ステップa5に戻り以降のステップに進む。判断結果が肯定であるとき、ステップa11に進む。ステップa11では、メモリ22から算出した小区間面積diaを読出し、その総和すなわち重心移動面積を算出し、一連の動作を完了する。
【0061】
図14は、重心移動面積演算結果の例を示す図である。図14には、予め頭部超音波断層検査、頭部CT(Computed Tomography)検査、頭部MRI(Magnetic Resonance Imaging)および脳波検査などによって、症例を予備診断した被験児(新生児)17人について、前述のようにして重心移動面積を演算した結果を棒グラフで示す。図14中予備診断結果は、被験児である新生児を識別する新生児番号の横に正常児を○印で示し、黄疸および横隔膜ヘルニアなどの症例の被験児を□印、新生児仮死および将来障害予見される症例の被験児を△印、PVL(脳室周囲白質軟化症)、脳梗塞、水頭症などを×印で示す。
【0062】
図14に示すように、神経学的異常および/または筋疾患を有する被験児によってほぼ占められる群と、正常な被験児によってほぼ占められる群との境界は、重心移動面積が35mm2近辺に存在する。神経学的に正常であり、筋疾患のない被験児のGMによる重心位置の移動は、異常を有する被験児に比較して広い範囲に及ぶので、重心移動面積の大小によって神経学的な異常および/または筋疾患の有無を診断することが可能と判断される。したがって、予め弁別レベルA1として面積値35mm2を判断手段6に設定しておくことによって、判断手段6は被験児毎に演算される重心移動面積が弁別レベルA1以上であるか否かによって、被験児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を判断することが可能になる。
【0063】
ただし図14に示すように、弁別レベルA1以上の重心移動面積を有し診断装置1による診断結果が正常と判断されるべき群に含まれる被験児にも、予備診断結果では□印および△印で示される異常症例に該当するものが一部存在する。しかしながら、図14に示す被験児は、複数の種類の異なる異常症例が混在しているので、検出したい神経学的異常および/または筋疾患別に異なる段階の弁別レベルを設定し検出したい神経学的異常および/または筋疾患別の診断をすることによって、さらに診断精度を向上させることが可能であると考える。
【0064】
図15は、診断装置1による被験児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を重心移動面積によって診断する動作を説明するフローチャートである。図15のフローチャートを参照し前述した被験児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を重心移動面積によって診断する一連の動作を説明する。
【0065】
ステップb1では、被験児である新生児または乳児を仰臥位になるようにコット9に乗せる。ステップb2では、重量に関するデータを採取し得る前記条件1すなわち安静状態にあるか否かが判断される。この判断は、たとえば医師によって行われる。判断結果が否定であるとき、安静状態になるまでステップb2を繰返す。判断結果が肯定であるとき、ステップb3に進む。ステップb3では、重量検出センサ3による重量検出のために予め定められる時間t2である1分間のタイマスタートが行われる。このタイマスタートは、たとえば前述した機能選択手段21にデータ演算機能の選択とともに演算を開始する信号として入力できるように構成することによって実現できる。
【0066】
ステップb4では、重量検出センサ3(CH1〜CH4)によって、1秒毎に被験児2の重量を計測する。ステップb5では、データ演算手段5の重心位置演算手段によって重心位置(Xi,Yi)を演算する。ステップb6では、重心位置演算結果をメモリ22にストアする。ステップb7では、1分間の計測時間が経過したか否かが判断される。判断結果が肯定であるとき、ステップb8に進み、判断結果が否定であるとき、ステップb4に戻って以降のステップに進む。
【0067】
ステップb8では、メモリ22から重心位置(Xi,Yi)を読出し、ステップb9では、データ演算手段5の重心移動面積演算手段によって重心移動面積を演算する。ステップb10では、演算結果である重心移動面積が、予め定められる弁別レベルである面積A1以上であるか否かが判断手段6によって判断される。判断結果が肯定であるときステップb11に進み、判断手段6は、出力信号によって表示手段7に判定結果が正常の旨の表示をさせる。判断結果が否定であるときステップb12に進み、判断手段6は、出力信号によって表示手段7に判定結果が異常の旨の表示をさせる。表示手段7による表示後、一連の診断動作が終了する。ここでステップb4〜ステップb10までの動作は、診断装置1の制御表示部8に備わる処理回路16によって実行される。
【0068】
データ演算手段5の本発明に係る第1の態様では、前述した1秒毎に検出される重量値を用いて被験児2の重心位置を演算する重心位置演算手段と、重心位置演算手段の出力に応答し、1秒毎に求められる重心位置が、1分間に2次元平面の同一座標上に繰返し出現する回数である重心位置度数を演算する重心位置度数演算手段とを含む。重心位置度数は、たとえばX軸およびY軸をともに1mm間隔で分割して区画を設定し、1秒毎に1分間すなわち60回演算される重心位置が、同一の区画内に出現する回数を計数することによって求めることができる。
【0069】
図16は、重心位置度数演算結果の例を示す図である。図16には、前述した図14に示す新生児番号10および16の被験児について、重心位置度数を演算した結果を3次元的にグラフ化して示す。図16(b)に示すように、神経学的異常を有する新生児番号16の被験児では、局所的に度数10を超える重心位置の集中が認められる。一方図16(a)に示すように正常な新生児番号10の被験児では、重心位置度数が10を超える場合がなく、前述の新生児番号16の被験児に比較して重心位置がばらついて分布している。
【0070】
このように神経学的に正常であり、筋疾患のない被験児のGMによる重心位置は、異常を有する被験児のように局所的に集中することがないので、重心位置度数によって神経学的な異常および/または筋疾患の有無を診断することが可能と判断される。したがって、予め弁別レベルB1としてたとえば度数10を判断手段6に設定しておくことによって、判断手段6は被験児毎に演算される重心位置度数が弁別レベルB1以下であるか否かによって、被験児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を判断することが可能になる。なお弁別レベル度数B1は、10に限定されるものではなく、検出したい神経学的異常および/または筋疾患によってその値を変更することができる。
【0071】
図17は、診断装置1による被験児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を重心位置度数によって診断する動作を説明するフローチャートである。図17のフローチャートを参照し前述した被験児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を重心位置度数によって診断する一連の動作を説明する。図17に示すフローチャートは、図15に示すフローチャートに類似し、同一の動作を表すステップについては説明を省略する。
【0072】
ステップc9では、データ演算手段5の重心位置度数演算手段によって重心位置度数を演算する。ステップc10では、演算結果である重心位置度数が、予め定められる弁別レベルである度数B1以上であるか否かが判断手段6によって判断される。ここでステップc4〜ステップc10までの動作は、診断装置1の制御表示部8に備わる処理回路16によって実行される。
【0073】
データ演算手段5の本発明に係る第2の態様では、前述した1秒毎に検出される重量値を用いて被験児2の重心位置を演算する重心位置演算手段と、重心位置演算手段の出力に応答し、1秒毎に求められる重心位置が、1分間に2次元平面内で移動する重心位置の移動速度Viを1秒毎に演算する重心移動速度演算手段と、重心移動速度演算手段の出力に応答し、予め定められる速度間隔で区分される各速度範囲毎の重心移動速度のデータ数である移動速度度数を演算する移動速度度数演算手段とを含む。
【0074】
重心移動速度Viは、次のようにして演算することができる。1秒毎に重心位置を演算する1分間の任意の時刻tにおける重心位置(Xi,Yi)を時刻表示に置換えて重心位置(Xt,Yt)とすると、次の重心位置演算時刻である時間t1後の重心位置は(Xt+t1,Yt+t1)で表される。このとき重心位置(Xt,Yt)から時間t1経過後の重心位置(Xt+t1,Yt+t1)への重心移動速度Viは、次式(10)によって求められる。なお本実施の形態では、前述のように時間t1を1秒としているので、重心移動速度Viを1秒あたりの速度で求める場合、式(10)の分母を省くことができる。
Vi=√{(Xt+t1−Xt)2+(Yt+t1−Yt)2}/t1…(10)
【0075】
重心の移動速度度数は、たとえば予め定められる速度間隔を1mm/secで区分し、1秒毎に1分間すなわち60回演算される重心移動速度Viが、同一速度区分内に属する数を計数することによって求めることができる。
【0076】
図18は、移動速度度数演算結果の例を示す図である。図18には、前述した図14に示す新生児番号10および16の被験児について、移動速度度数を演算した結果を棒グラフ化して示す。図18(b)に示すように、神経学的異常を有する新生児番号16の被験児では、重心移動速度Viは、速度0〜1mm/秒(s)の区分範囲に高い度数で集中していることが認められる。一方図18(a)に示すように正常な新生児番号10の被験児では、重心移動速度Viは、速度0〜1mm/秒(s)の区分範囲で最大の度数を示すけれども、その度数は新生児番号16の被験児に比べて小さく、また速度の速い区分範囲にもばらついて分布している。
【0077】
このように神経学的に正常であり、筋疾患のない被験児のGMによる重心移動速度Viは、異常を有する被験児のように特定の速度区分範囲に局所的に集中することがないので、移動速度度数によって神経学的な異常および/または筋疾患の有無を診断することが可能と判断される。したがって、予め弁別レベルC1としてたとえば度数35を判断手段6に設定しておくことによって、判断手段6は被験児毎に演算される移動速度度数が、特定の速度区分範囲において弁別レベルC1を超えることがあるか否かによって、被験児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を判断することが可能になる。なお弁別レベル度数C1は、35に限定されるものではなく、検出したい神経学的異常および/または筋疾患によってその値を変更することができる。
【0078】
図19は、診断装置1による被験児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を移動速度度数によって診断する動作を説明するフローチャートである。図19のフローチャートを参照し前述した被験児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を重心位置度数によって診断する一連の動作を説明する。図19に示すフローチャートは、図15に示すフローチャートに類似し、同一の動作を表すステップについては説明を省略する。
【0079】
ステップd9では、データ演算手段5の重心移動速度演算手段によって重心移動速度Viを演算する。ステップd10では、移動速度度数演算手段によって、重心移動速度Viを予め定められる速度区分に従って分類し、速度区分毎の移動速度度数を計数する。ステップd11では、演算結果である移動速度度数が、予め定められる弁別レベルである度数C1以下であるか否かが判断手段6によって判断される。ここでステップd4〜ステップd11までの動作は、診断装置1の制御表示部8に備わる処理回路16によって実行される。
【0080】
またデータ演算手段5は、前述した1秒毎に検出される重量値を用いて被験児2の重心位置を演算する重心位置演算手段と、重心位置演算手段の出力に応答し、1秒毎に求められる重心位置が、1分間に2次元平面内で移動する重心位置の移動速度Viを1秒毎に演算する重心移動速度演算手段と、重心移動速度演算手段の出力に応答し、1分間における重心移動速度Viの平均値である平均移動速度Vave、重心移動速度Viの最大値である最大移動速度Vmaxおよび重心移動速度Viの最小値である最小移動速度Vminを演算する移動速度データ演算手段とを含む。
【0081】
平均移動速度Vaveは、前述した重心移動速度演算手段による重心移動速度Viを用いて次式(11)によって求められる。
【0082】
【数1】
Figure 0003720768
【0083】
前述したように神経学的に正常であり、筋疾患のない被験児のGMによる重心移動速度Viは、異常を有する被験児のように特定の速度区分範囲すなわち遅い速度区分範囲に局所的に集中することがない。したがって、1分間の重心の平均移動速度Vaveを算出した場合、正常な被験児の平均移動速度Vaveは、異常を有する被験児の平均移動速度Vaveに比べて速いという結果が得られるので、平均移動速度Vaveによって神経学的な異常および/または筋疾患の有無を診断することが可能と判断される。いうまでもなく症例によっては、逆に異常を有する被験児の平均移動速度Vaveの方が速くなる場合も起こりうる。
【0084】
したがって、予め定められる速度値を弁別レベルD1として判断手段6に設定しておくことによって、判断手段6は被験児毎に演算される平均移動速度Vaveが、弁別レベルD1以上であるか否かによって、被験児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を判断することが可能になる。なお弁別レベルD1は、検出したい神経学的異常および/または筋疾患によってその値を変更することができる。
【0085】
図20は、診断装置1による被験児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を重心の平均移動速度Vaveによって診断する動作を説明するフローチャートである。図20のフローチャートを参照し前述した被験児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を重心の平均移動速度Vaveによって診断する一連の動作を説明する。図20に示すフローチャートは、図19に示すフローチャートに類似し、同一の動作を表すステップについては説明を省略する。
【0086】
ステップe10では、データ演算手段5の平均移動速度演算手段によって重心の平均移動速度Vaveを演算する。ステップe11では、演算結果である平均移動速度Vaveが、予め定められる弁別レベルである速度D1以下であるか否かが判断手段6によって判断される。ここでステップe4〜ステップe11までの動作は、診断装置1の制御表示部8に備わる処理回路16によって実行される。
【0087】
上記の事例では、平均移動速度Vaveによって被験児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を判断する例について説明したけれども、データ演算手段5によって演算される最大移動速度Vmaxまたは最小移動速度Vminによっても同様にして判断することができる。また、平均移動速度Vave、最大移動速度Vmaxおよび最小移動速度Vminのうちから選択されるいずれか2つの速度の組合せによって判断しても良く、さらに3つの速度すべてを用いて判断するようにしても良い。
【0088】
またデータ演算手段5は、前述した1秒毎に検出される重量値を用いて被験児2の重心位置を演算する重心位置演算手段と、重心位置演算手段の出力に応答し、1秒毎に求められる重心位置が、1分間に2次元平面内で移動する重心位置の移動加速度αiを1秒毎に演算する重心移動加速度演算手段と、重心移動加速度演算手段の出力に応答し、1分間における重心移動加速度αiの平均値である平均移動加速度αaveを演算する平均移動加速度演算手段、重心移動加速度αiの最大値である最大移動加速度αmaxおよび重心移動加速度αiの最小値である最小移動加速度αminを演算する移動加速度データ演算手段とを含む。
【0089】
重心移動加速度αiは、式(12)によって求められ、平均移動加速度αaveは、式(13)によって求められる。
【0090】
【数2】
Figure 0003720768
【0091】
前述したように神経学的に正常であり、筋疾患のない被験児のGMによる重心移動速度Viは、異常を有する被験児のように特定の速度区分範囲すなわち遅い速度区分範囲に局所的に集中することがない。したがって、1分間の重心の平均移動加速度αaveを算出した場合、正常な被験児の平均移動加速度αaveは、異常を有する被験児の平均移動加速度αaveに比べて速いという結果が得られるので、平均移動加速度αaveによって神経学的な異常および/または筋疾患の有無を診断することが可能と判断される。
【0092】
したがって、予め定められる加速度値を弁別レベルE1として判断手段6に設定しておくことによって、判断手段6は被験児毎に演算される平均移動加速度αaveが、弁別レベルE1以上であるか否かによって、被験児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を判断することが可能になる。なお弁別レベルE1は、検出したい神経学的異常および/または筋疾患によってその値を変更することができる。
【0093】
図21は、診断装置1による被験児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を重心の平均移動加速度αaveによって診断する動作を説明するフローチャートである。図21のフローチャートを参照し前述した被験児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を重心の平均移動加速度αaveによって診断する一連の動作を説明する。図21に示すフローチャートは、図19に示すフローチャートに類似し、同一の動作を表すステップについては説明を省略する。
【0094】
ステップf9では、データ演算手段5の重心移動加速度演算手段によって重心移動加速度αiを演算する。ステップf10では、重心移動加速度演算結果に応答し、重心の平均移動加速度αaveを演算する。ステップf11では、演算結果である平均移動加速度αaveが、予め定められる弁別レベルである加速度値E1以上であるか否かが判断手段6によって判断される。ここでステップf4〜ステップf11までの動作は、診断装置1の制御表示部8に備わる処理回路16によって実行される。
【0095】
上記の事例では、平均移動加速度αaveによって被験児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を判断する例について説明したけれども、データ演算手段5によって演算される最大移動加速度αmaxまたは最小移動加速度αminによっても同様にして判断することができる。また、平均移動加速度αave、最大移動加速度αmaxおよび最小移動加速度αminのうちから選択されるいずれか2つの加速度の組合せによって判断しても良く、さらに3つの加速度すべてを用いて判断するようにしても良い。
【0096】
またデータ演算手段5は、前述した1秒毎に検出される重量値を用いて被験児2の重心位置を演算する重心位置演算手段と、重心位置演算手段の出力に応答し、1秒毎に求められる重心位置が、1分間に前記2次元平面内で移動した実績である各座標値を記憶する重心位置散布記憶手段とを含む。重心位置散布記憶手段は、RAMなどからなるメモリであり、データ演算手段5の中に設けられてもよく、また前記メモリ22を利用するように構成されてもよい。
【0097】
重心位置散布記憶手段から読出される重心位置の移動実績は、X−Y座標系における散布図として表される。この散布図は、前述した表示手段7の表示画面をたとえば機能選択手段21に予め設けられる切換えスイッチによって散布図表示に切換えて表示することによって、また処理回路16に接続されるプリンタ23に印字出力することによって、目視観察可能にすることができる。
【0098】
判断手段6による被験児における異常の有無の判断は、たとえば予め症例別に散布図の典型例を判断手段6に設定しておき、被験児毎に得られる重心位置移動の散布図を典型例と比較照合することによって行う。
【0099】
図22は正常な新生児番号10の被験児の散布図であり、図23は神経学的異常を有する新生児番号16の被験児の散布図である。図22に示すように正常な新生児番号10の被験児では、重心位置は、X軸方向およびY軸方向の両方の広い範囲に散布している。一方図23に示すように、神経学的異常を有する新生児番号16の被験児では、重心位置は、X軸方向およびY軸方向ともにその散布範囲が小さいという特徴を有する。したがって、たとえば被験児のデータとしての散布図と典型例として設定される散布図とを比較照合し弁別することによって、被験児の異常の有無をおおよそ判断することができる。
【0100】
データ演算手段5の本発明に係る第の態様では、前述した1秒毎に検出される重量値を用いて被験児2の重心位置を演算する重心位置演算手段と、重心位置演算手段の出力に応答し、1秒毎に求められる重心位置が、1分間に前記2次元X−Y平面内で移動した実績に基づいて、回帰直線を演算する回帰演算手段と、回帰演算手段の出力に応答し、回帰直線を新たなX軸とし、回帰直線に直交する軸を新たなY軸として重心位置のX−Y座標値を変換する座標変換手段と、座標変換手段によって変換される新たなX−Y座標系における重心位置移動実績のX軸方向の最大値Xmaxと最小値Xminとの差(=Xmax−Xmin)の絶対値Xmxと、重心位置移動実績のY軸方向の最大値Ymaxと最小値Yminとの差(=Ymax−Ymin)の絶対値Ymxとの比である縦横比(Xmx/Ymx)を演算する縦横比演算手段とを含む。
【0101】
以下に縦横比(Xmx/Ymx)の演算方法について説明する。図24は、縦横比の演算方法の概略を示す図である。まず、回帰演算手段によって、1分間に演算される60個の重心位置データの回帰直線(Y=aX+b)を演算する。回帰直線は、最小2乗法によって求められ次の式(14)によって与えられる。
【0102】
【数3】
Figure 0003720768
【0103】
なお、回帰直線の傾きaおよび切片bは、それぞれ式(19)および(20)によって与えられる。
【0104】
【数4】
Figure 0003720768
【0105】
次に、前述のようにして求められる回帰直線(Y=aX+b)を新たなX軸とし、新たなX軸に直交する軸を新たなY軸とするように、座標変換手段によって座標系を変換する。この新たに設定されるX軸とY軸とには、アルファベットNを添えてXN軸、YN軸と呼ぶことにし、前のX−Y軸と区別する。XN−YN座標は、図24上では、X−Y軸を、Y軸方向に切片bだけ平行移動し、その後X軸と回帰直線であるXN軸とのなす角度θだけ回転(角変位)させることによって得ることができる。旧X−Y座標系における座標値は、以下の行列式(21)によって、XN−YN座標系における座標値に変換される。
【0106】
【数5】
Figure 0003720768
【0107】
変換されたXN−YN座標系における重心位置のXN座標値を小さい順番に並替えて、その最大値XNmaxおよび最小値XNminとを求め、次に最大値XNmaxと最小値XNminとの差の絶対値Xmx(=|XNmax−XNmin|)を求める。同様にしてXN−YN座標系における重心位置のYN座標値を小さい順番に並替えて、その最大値YNmaxおよび最小値YNminとを求め、次に最大値YNmaxと最小値YNminとの差の絶対値Ymx(=|YNmax−YNmin|)を求める。
【0108】
図24中では、絶対値Xmxは、重心位置41と重心位置42との間のXN軸方向の距離LXNであり、絶対値Ymxは、重心位置43と重心位置44との間のYN軸方向の距離LYNである。縦横比は、前述した絶対値Xmxと絶対値Ymxとの比(Xmx/Ymx)で求められる。縦横比(Xmx/Ymx)は、前記距離LNXと距離LNYとの比であり、1分間に移動した重心位置の散布の状態を定量的に特徴付けることができる。
【0109】
神経学的に正常であり、筋疾患のない被験児のGMによる重心位置の移動は、異常を有する被験児に比較して広い範囲に及ぶ。一方神経学的異常および/または筋疾患を有する被験児のGMでは、重心位置が局所的に集中するとともに、頭足方向もしくは左右の両手方向に片寄って移動する傾向がある。したがって、縦横比(Xmx/Ymx)でみた場合、神経学的異常および/または筋疾患を有する被験児では、その値は極端に大きいかまたは小さいという特徴を有するけれども、正常な被験児では、その値は異常を有する被験児の中間値付近で大きくばらつかないという特徴がある。
【0110】
このことから、縦横比(Xmx/Ymx)の大小によって神経学的な異常および/または筋疾患の有無を診断することが可能と判断される。予め弁別レベルF1もしくは、弁別レベルの上限値と下限値としてF11およびF12を判断手段6に設定しておくことによって、判断手段6は被験児毎に演算される縦横比(Xmx/Ymx)を弁別レベルF1またはF11およびF12と比較することによって、被験児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を判断することが可能になる。
【0111】
図25は、診断装置1による被験児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を縦横比(Xmx/Ymx)によって診断する動作を説明するフローチャートである。図25のフローチャートを参照し前述した被験児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を縦横比(Xmx/Ymx)によって診断する一連の動作を説明する。図25に示すフローチャートは、図15に示すフローチャートに類似し、同一の動作を表すステップについては説明を省略する。
【0112】
ステップg9では、データ演算手段5の回帰演算手段によって重心データの回帰直線(Y=aX+b)を演算する。ステップg10では、回帰直線の演算結果に応答し、座標変換手段が、回帰直線を新たなXN軸とし、XN軸に直交する軸を新たなYN軸として、重心位置の座標値を新たなXN−YN座標系の座標値に変換する。ステップg11では、縦横比演算手段が、重心位置のXN座標値の最大値XNmax、最小値XNminと、重心位置のYN座標値の最大値YNmax、最小値YNminとから、縦横比(Xmx/Ymx)を演算する。ステップg12では、判断手段6が、縦横比(Xmx/Ymx)が、予め定められる弁別レベルである比F1以上であるか否かが判断手段6によって判断される。なお、予め定められる弁別レベルは、前述したように上限値F11と下限値F12とが設定され、縦横比(Xmx/Ymx)が上下限値F11,F12の間であるか否かが判断されるようにしてもよい。ここでステップg4〜ステップg12までの動作は、診断装置1の制御表示部8に備わる処理回路16によって実行される。
【0113】
またデータ演算手段5は、前記重量検出センサ3によって1秒毎に検出される重量値を用い、前記2次元平面における被験児の重心位置を、1秒毎に演算する重心位置演算手段と、重心位置演算手段によって求められる重心位置または複数設けられる重量検出センサ3のうちの少なくとも1つの重量検出センサ設置位置における重量データの周波数を解析する周波数解析手段とを含む。
【0114】
重心位置または重量検出センサ設置位置における重量データの周波数解析手段は、たとえば高速フーリエ変換(FFT)などの手法によって実現することができる。本実施の態様では、重心位置および重量検出センサ3a(CH1)設置位置における重量データの周波数解析を行い、周波数成分と振幅とを求めた。
【0115】
図26は正常な新生児番号10の被験児の周波数解析結果を示す図であり、図27は神経学的異常を有する新生児番号16の被験児の解析結果を示す図である。正常な被験児と神経学的異常を有する被験児との差異は、特にCH1の周波数解析結果において顕著に認められる。
【0116】
図26に示すように正常な新生児番号10の被験児では、各周波数成分において振幅がある程度均一であり、特別大きく突出した振幅を示す周波数成分を見出すことができない。一方図27に示すように、神経学的異常を有する新生児番号16の被験児では、周波数成分によって振幅の片寄りが認められる。したがって、周波数成分とその周波数成分の振幅の弁別レベルを予め設定しておくことによって、周波数解析結果に基づいて被験児の異常の有無をおおよそ判断することができる。
【0117】
また、新生児または乳児の重量を複数の重量検出センサ3によって検出するステップと、重量検出センサ3によって予め定められる一定時間t1毎に検出される重量値を用いて重量に関するデータを演算するステップと、重量に関するデータの演算結果に応答し、前記データによって新生児または乳児に異常があるかを判断するステップと、新生児または乳児に異常があるかの判断結果を表示手段によって表示するステップとを、コンピュータに実行させるための新生児および乳児の診断プログラムにすることができる。
【0118】
このような新生児および乳児の診断プログラムは、重量に関するデータを演算するステップが多種の態様によって具現化されるので、たとえば、図15のフローチャートに示すステップb4〜ステップb10、図17のフローチャートに示すステップc4〜ステップc10、図19のフローチャートに示すステップd4〜ステップd11、図20のフローチャートに示すステップe4〜ステップe11、図21のフローチャートに示すf4〜ステップf11、図25のフローチャートに示すステップg4〜ステップg12をマイクロコンピュータである処理回路16に実行させるプログラムとして実現される。
【0119】
この新生児および乳児の診断プログラムをコンピュータに実行させることによって、新生児および乳児の重量を測定し、その重量に関するデータを演算した結果によって新生児および乳児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を客観的に判断し、その判断結果の表示が可能になる。
【0120】
さらに新生児および乳児の診断プログラムを、コンピュータによる読取り可能にたとえばフレキシブルディスク(FD)またはコンパクトディスク−レコーダブル(CD−R)などの記録媒体に記録させることができる。このような記録媒体として新生児および乳児の診断プログラムが提供されることによって、汎用コンピュータ、重量検出センサおよび表示手段という簡易な構成で、新生児および乳児の神経学的な異常および/または筋疾患の有無の診断をすることが可能になる。
【0121】
以上に述べたように本実施の形態では、データ演算手段5には、各種の態様で表される演算機能を備えるけれども、これに限定されることなく、データ演算手段5は単独の演算機能を備える構成であってもよく、また選択される2つ以上の演算機能を備える構成であってもよい。また診断装置1に設けられる重量検出センサの数は4つであるけれども、これに限定されることなく、重心位置を求めるに必要な3つ以上が設けられる構成であればよい。また予め定められる一定時間t1を1秒、予め定められる時間t2を1分として重量に関するデータを演算しているけれども、時間はこれらに限定されることなく、より短い時間またはより長い時間がt1およびt2として選択されてもよい。
【0122】
【発明の効果】
本発明によれば、新生児または乳児の重心位置を一定時間t1毎に演算し、演算される重心位置の予め定められる時間t2内に2次元平面の同一座標上に繰返し出現する回数である重心位置度数を演算し、演算された重心位置の座標と重心位置度数の大小とに基づいて、新生児および乳児の神経学的な異常および/または筋疾患の有無を判断するので、容易に的確な診断をすることが可能になる。成人では中枢神経系の発達が完成しているのでMRI(Magnetic Resonance Imaging)、CT(Computed Tomography)などの画像診断における異常所見が、機能異常を相当な確率をもって診断できると考えられる。しかしながら、新生児、乳児においては中枢神経系は発達途上にあり、未発達であるため画像診断上の異常所見は必ずしも成人のように機能異常を診断できない。
【0123】
そこでこの装置は中枢神経系の統御された機能を客観的に評価できるため、MRIなどで正確に診断できない生後まもない時期における神経学的異常および/または筋疾患の有無の客観的判断が可能になるので、早期に効果的な治療を施すことができる。
【0126】
また本発明によれば、新生児または乳児の重心位置を一定時間t1毎に演算し、演算される重心位置が予め定められる時間t2内に2次元平面内で移動する重心位置の移動速度を求め、該重心移動速度の予め定められる速度間隔で区分される各速度範囲毎のデータ数である移動速度度数に基づいて、新生児および乳児の神経学的な異常および/または筋疾患の有無を判断するので、容易に的確な診断をすることが可能になる。
【0129】
また本発明によれば、重心位置の各座標値の散布状態を示す散布図から求められる縦横比(Xmx/Ymx)、すなわち散布図の形状の特徴に基づいて、新生児および乳児の神経学的な異常および/または筋疾患の有無を判断するので、容易に一層的確な診断をすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である新生児および乳児の診断装置1の構成を簡略化して示す系統図である。
【図2】図1の新生児および乳児の診断装置1に備えられるコット9を示す平面図である。
【図3】診断装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】コット9の簡略化した平面図である。
【図5】表示手段7によって表示される表示画面の1例を示すイメージ図である。
【図6】1被験児の状態別に採取された重心位置散布図を示す。
【図7】重心位置散布のモデル図である。
【図8】2次元平面のX軸を幅dの小区間に分割して面積を求める概要を示す図である。
【図9】データ演算手段5による重心移動面積演算手段の動作を説明するフローチャートである。
【図10】幅dの小区間の形状パターン例を示す図である。
【図11】図10(b)を座標表示した図である。
【図12】図10(c)を座標表示した図である。
【図13】図10(d)を座標表示した図である。
【図14】重心位置移動面積演算結果の例を示す図である。
【図15】診断装置1による被験児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を重心移動面積によって診断する動作を説明するフローチャートである。
【図16】重心位置度数演算結果の例を示す図である。
【図17】診断装置1による被験児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を重心位置度数によって診断する動作を説明するフローチャートである。
【図18】移動速度度数演算結果の例を示す図である。
【図19】診断装置1による被験児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を移動速度度数によって診断する動作を説明するフローチャートである。
【図20】診断装置1による被験児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を重心の平均移動速度Vaveによって診断する動作を説明するフローチャートである。
【図21】診断装置1による被験児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を重心の平均移動加速度αaveによって診断する動作を説明するフローチャートである。
【図22】正常な新生児番号10の被験児の散布図である。
【図23】神経学的異常を有する新生児番号16の被験児の散布図である。
【図24】縦横比の演算方法の概略を示す図である。
【図25】診断装置1による被験児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を縦横比(Xmx/Ymx)によって診断する動作を説明するフローチャートである。
【図26】正常な新生児番号10の被験児の周波数解析結果を示す図である。
【図27】神経学的異常を有する新生児番号16の被験児の解析結果を示す図である。
【符号の説明】
1 診断装置
2 被験児
3 重量検出センサ
4 検出部
5 データ演算手段
6 判断手段
7 表示手段
8 制御表示部
9 コット
10 ワゴン
16 処理回路
17 撮像装置
22 メモリ

Claims (3)

  1. 仰臥位または腹臥位の状態にある新生児または乳児の重量を検出する複数の重量検出センサと、
    前記重量検出センサによって予め定められる一定時間t1毎に検出される重量値を用い、前記複数の重量検出センサを含む仮想平面である2次元平面における新生児または乳児の重心位置を、前記一定時間t1毎に演算する重心位置演算手段と、重心位置演算手段の出力に応答し、前記一定時間t1毎に求められる重心位置が、予め定められる時間t2内に前記2次元平面の同一座標上に繰返し出現する回数である重心位置度数を演算する重心位置度数演算手段とを備えるデータ演算手段と、
    重心位置度数演算手段の出力に応答し、重心位置度数を予め定められる弁別レベルである度数B1でレベル弁別し、新生児または乳児に異常があるかを判断する判断手段と、
    判断手段の出力に応答し、新生児または乳児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を表示する表示手段とを含むことを特徴とする新生児および乳児の診断装置。
  2. 仰臥位または腹臥位の状態にある新生児または乳児の重量を検出する複数の重量検出センサと、
    前記重量検出センサによって予め定められる一定時間t1毎に検出される重量値を用い、前記複数の重量検出センサを含む仮想平面である2次元平面における新生児または乳児の重心位置を、前記一定時間t1毎に演算する重心位置演算手段と、重心位置演算手段の出力に応答し、予め定められる時間t2内に前記2次元平面内で移動する重心位置の移動速度を前記予め定められる時間t1毎に演算する重心移動速度演算手段と、重心移動速度演算手段の出力に応答し、予め定められる速度間隔で区分される各速度範囲毎の重心移動速度のデータ数である移動速度度数を演算する移動速度度数演算手段とを備えるデータ演算手段と、
    移動速度度数演算手段の出力に応答し、移動速度度数を予め定められる弁別レベルである度数C1でレベル弁別し、新生児または乳児に異常があるかを判断する判断手段と、
    判断手段の出力に応答し、新生児または乳児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を表示する表示手段とを含むことを特徴とする新生児および乳児の診断装置。
  3. 仰臥位または腹臥位の状態にある新生児または乳児の重量を検出する複数の重量検出センサと、
    前記重量検出センサによって予め定められる一定時間t1毎に検出される重量値を用い、前記複数の重量検出センサを含む仮想平面である2次元X−Y平面における新生児または乳児の重心位置を、前記一定時間t1毎に演算する重心位置演算手段と、重心位置演算手段の出力に応答し、前記一定時間t1毎に求められる重心位置が、予め定められる時間t2内に前記2次元平面内で移動した実績に基づいて、回帰直線を演算する回帰演算手段と、回帰演算手段の出力に応答し、回帰直線を新たなXN軸とし、回帰直線に直交する軸を新たなYN軸として重心位置のX−Y座標値をXN−YN座標系の座標値に変換する座標変換手段と、座標変換手段によって変換される新たなXN−YN座標系における重心位置移動実績のXN軸方向の最大値XNmaxと最小値XNminとの差(=XNmax−XNmin)の絶対値Xmxと、重心位置移動実績のYN軸方向の最大値YNmaxと最小値YNminとの差(=YNmax−YNmin)の絶対値Ymxとの比である縦横比(Xmx/Ymx)を演算する縦横比演算手段とを備えるデータ演算手段と、
    縦横比演算手段の出力に応答し、前記縦横比(Xmx/Ymx)を予め定められる弁別レベルF1でレベル弁別し、新生児または乳児に異常があるかを判断する判断手段と、
    判断手段の出力に応答し、新生児または乳児の神経学的異常および/または筋疾患の有無を表示する表示手段とを含むことを特徴とする新生児および乳児の診断装置。
JP2002017726A 2002-01-25 2002-01-25 新生児および乳児の診断装置 Expired - Fee Related JP3720768B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002017726A JP3720768B2 (ja) 2002-01-25 2002-01-25 新生児および乳児の診断装置
PCT/JP2003/000638 WO2003061472A1 (fr) 2002-01-25 2003-01-24 Appareil de diagnostic pour nouveau-nes ou nourrissons

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002017726A JP3720768B2 (ja) 2002-01-25 2002-01-25 新生児および乳児の診断装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003210435A JP2003210435A (ja) 2003-07-29
JP3720768B2 true JP3720768B2 (ja) 2005-11-30

Family

ID=27606179

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002017726A Expired - Fee Related JP3720768B2 (ja) 2002-01-25 2002-01-25 新生児および乳児の診断装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP3720768B2 (ja)
WO (1) WO2003061472A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11452918B2 (en) * 2019-03-15 2022-09-27 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Balance training system, control method, and program

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4189298B2 (ja) * 2003-10-31 2008-12-03 農工大ティー・エル・オー株式会社 乳児運動解析システム
JP4720615B2 (ja) * 2006-05-25 2011-07-13 パナソニック電工株式会社 バランス計測機能付体重計
WO2008128208A1 (en) * 2007-04-12 2008-10-23 Magneto Inertial Sensing Technology, Inc. Infant sid monitor based on accelerometer
JP6172788B2 (ja) * 2013-02-15 2017-08-02 東洋ゴム工業株式会社 クラスタ分析方法、クラスタ分析装置及びコンピュータプログラム
JP6813206B1 (ja) * 2019-11-20 2021-01-13 株式会社Taos研究所 生体状態判定システム、生体状態判定方法及び生体状態判定プログラム
CN113197570B (zh) * 2021-05-07 2022-10-25 重庆大学 一种辅助诊断脑性瘫痪的婴幼儿膝爬运动姿态分析***

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5392577A (en) * 1977-01-22 1978-08-14 Anima Corp Method of measuring respiration and heart motion
JPH0614919B2 (ja) * 1989-10-31 1994-03-02 新日本工機株式会社 動作検出装置
JPH09120464A (ja) * 1995-08-21 1997-05-06 Matsushita Electric Ind Co Ltd リハビリテーション支援装置
JPH11126326A (ja) * 1997-10-23 1999-05-11 Sony Corp 磁気記録媒体
JP3098997B1 (ja) * 1999-05-06 2000-10-16 川崎重工業株式会社 介護支援装置
JP3820811B2 (ja) * 1999-08-02 2006-09-13 株式会社デンソー 呼吸器系疾患のモニタ装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11452918B2 (en) * 2019-03-15 2022-09-27 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Balance training system, control method, and program

Also Published As

Publication number Publication date
WO2003061472A1 (fr) 2003-07-31
JP2003210435A (ja) 2003-07-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7798981B2 (en) Living body inspection apparatus
KR101736976B1 (ko) 생체 신호를 측정하는 장치 및 방법
US20210022682A1 (en) Advanced play environment for screening and early diagnosis of infant developmental delays and neurological impairments
JP4292247B2 (ja) 動作解析装置およびその利用
US20070038154A1 (en) Living body inspection apparatus
WO2004103176A1 (en) Balance function diagnostic system and method balance function diagnostic system and method
Chen et al. Development of method for quantifying essential tremor using a small optical device
JP2007301003A (ja) 運動機能検査装置および運動波形間の位相比較方法
JP2710223B2 (ja) 重心動揺計
JP3720768B2 (ja) 新生児および乳児の診断装置
JP2015533549A (ja) 睡眠状態を分析するためのモニタリング装置
JP2012000375A (ja) 睡眠状態判定装置
Du et al. A wearable device for evaluation of relative position, force, and duration of fetal movement for pregnant woman care
JP6297385B2 (ja) 就寝者の心拍測定方法および心拍測定装置
Jeong et al. TaG-games: tangible geometric games for assessing cognitive problem-solving skills and fine motor proficiency
CN1718154B (zh) 生物体光测试装置
JP4414739B2 (ja) 重心動揺計
Schoun et al. Non-contact tidal volume measurement through thin medium thermal imaging
JP2005087312A (ja) 重心動揺計
JP3785554B2 (ja) 運動機能評価方法
Gracco Analysis of speech movements: practical considerations and clinical application
TWI727464B (zh) 管路異常風險預測方法、裝置與相關系統
JP2800912B2 (ja) 重心動揺計
French A comparison of finger tremor with the galvanic skin reflex and pulse.
JP3209000B2 (ja) 運動量測定装置

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20041005

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041129

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050524

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050719

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20050809

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050906

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050908

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080916

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080916

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090916

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100916

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110916

Year of fee payment: 6

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110916

Year of fee payment: 6

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110916

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120916

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130916

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees