JP3719776B2 - 紫外線伝送用光ファイバー、その製造方法及びそれを用いた伝送線 - Google Patents

紫外線伝送用光ファイバー、その製造方法及びそれを用いた伝送線 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、170nm〜350nmの紫外線、特に、N2エキシマレーザー(337nm)、XeClエキシマレーザー(308nm)、KrFエキシマレーザー(248nm)、KrClエキシマレーザー(222nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、Xe2エキシマレーザー(172nm)、Nd:YAG第4高調波レーザー(265nm)、Nd:YAG第5高調波レーザー(212nm)等のエネルギー密度の高いレーザー光を好適に伝送することができる光ファイバー、その製造方法並びに紫外線伝送用の伝送線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバーを利用して紫外線、特に、KrFエキシマレーザーまたはArFエキシマレーザーを照射、伝送する際に、光エネルギー(hν)の作用により光ファイバーを構成するガラスは下記の式に従って損傷、劣化し、光ファイバーの透過率のような光学特性が低下することが知られている:
【化1】
Figure 0003719776
【0003】
ところが、水素分子をコア部及びクラッド部にドープした光ファイバーにおいては、この水素分子が、光ファイバーに紫外線、特にエキシマレーザーを照射、伝送する際に下記のように作用して光ファイバーの損傷、劣化を抑制することができる:
【化2】
Figure 0003719776
【0004】
例えば、特開平6−34830号公報には、コアが純粋石英、クラッドがフッ素ドープ石英からなるファイバーと、このファイバーを収容する金属パイプと、この金属パイプ内に封入される高圧の水素ガスと、この水素ガス雰囲気を高温に維持する発熱体とを具備することを特徴とする紫外線伝送用ファイバーが開示されている。
【0005】
また、特開平6−56457号公報には、コアが純粋石英、クラッドがフッ素ドープ石英からなる光ファイバー母材を一端から溶融線引きしてファイバー化するとともに、線引き直後の高温のファイバーを水素雰囲気にさらすことを特徴とする紫外線伝送用ファイバーの製造方法が開示されている。
【0006】
また、光ファイバーは、長期使用中に水素や水分の作用による劣化を生ずることがあり、水素あるいは水分の光ファイバー内への侵入を防ぐために、光ファイバーの表面にハーメチックコーティングを施すことが提唱されている。例えば、特開平4−158311号公報には、光ファイバーのコアの外部に設けられた天然石英製膜よりなる水酸基侵入防止膜、及び該防止膜の外部に設けられたハーメチック被覆膜を具備するハーメチック被覆光ファイバーケーブルが開示されている。
【0007】
また、特開平4−187548号公報には、コア及びクラッドを有する光ファイバーの表面に炭素または炭素化合物を堆積させてハーメチック被覆層を形成させるハーメチック被覆光ファイバーを製造する方法において、前記ハーメチック被覆層形成後、該ハーメチック被覆層の表面に塩素化合物のガスまたは塩素化合物の蒸気を接触させて該ハーメチック被覆層を表面処理することを特徴とするハーメチック被覆光ファイバーの製造方法が開示されている。
【0008】
また、特開平4−285041号公報には、光ファイバー母材から延伸した石英ガラス系光ファイバーを延伸後ただちに反応管内に導入し反応管内を通過させると共に、不活性ガスにより希釈された炭化水素ガスを反応管内に供給し、炭化水素を熱分解して光ファイバー表面に炭素被膜を形成する光ファイバーの製造方法において、炭化水素ガスが15〜35%の範囲の濃度に希釈されていることを特徴とするハーメチックコート光ファイバーの製造方法が開示されている。
【0009】
更に、特開平5−241054号公報には、表面に炭素を被覆してなる通信用ハーメチックコート光ファイバーであって、前記炭素を、300Å以上の膜厚であって、かつ、1nm以下の中心線平均粗さに被覆してあることを特徴とする通信用ハーメチックコート光ファイバーが開示されている。
【0010】
また、DE4034059には、高出力密度の紫外光の伝送のため、コアと、本質的に石英ガラスからなり、コアを囲み、コアよりも小さい屈折率を有するスリーブとを有する可撓性の光学的構造部材であって、伝送される紫外光の入射方向へ見て少なくとも1つの可撓性の円筒形範囲の前に、入射方向へ定常的に縮小する横断面を設け、紫外光を放射する光源に向く端面に入射面を有し、光源とは反対側の端面に放射面を有する形式のものにおいて、コア・ガラス(5)が、50〜1200ppmの範囲のヒドロキシルイオン量及びガラス1g当たり1017よりも小さい酸素イオン・ホール濃度を有し、スリーブ・ガラス(6)が50〜250ppmの範囲のヒドロキシルイオン量を含み、コア・ガラス(5)及びスリーブ・ガラス(6)の水素濃度及び/または重水素濃度が合計で5×106分子/cc〜5×1021分子/ccの範囲にあり、狭搾範囲(3)の長さ(L)が、円筒形範囲(2)のコア径(Dk)の15〜150倍の数値を有し、入射面(15)と円筒形範囲(2)のコア横断面との比が、2〜100の数値を有することを特徴とする構造部材が開示されている。
【0011】
また、光ファイバーを冷却することにより、光ファイバーの劣化並びに光学損失を抑制することも知られており、例えば、特開平1−224702号公報には、160〜300nmの範囲内の波長をもつ光学輻射線を伝送するための伝送線として、金属イオン汚染物に関して高純度のガラス質合成二酸化珪素よりなるコアと硼素酸化物及びフッ素の少なくとも一方を添加したガラス質合成二酸化珪素よりなるクラッディングを備えてなる少なくとも1本の光ファイバー及び160〜300nmの範囲内の波長をもつ光学輻射線を透過させるために、光ファイバーをその長さの実質上全体にわたり−53℃以下の温度へ冷却するための手段よりなる伝送線が開示されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平6−34830号公報に記載された紫外線伝送用ファイバーは、水素ガス雰囲気を常に高温、高圧雰囲気に維持するものであり、その取り扱いには常に危険が伴う。また、特開平6−56457号公報に記載された方法においては、水素雰囲気の温度を1000〜2000℃以上の温度範囲とすることも開示されているが、水素ドープ処理の温度は低ければ低い程、光ファイバーにより多量の水素をドープすることができ、このような高温では、水素ドープ量に限度があると共に、ドープした水素の逸出を防止するための方策が何ら採られていない。
【0013】
また、特開平4−158311号公報、同4−187548号公報、同4−285041号公報、同5−241054号公報には、ハーメチックコートとして炭素被覆を用いた光ファイバーが開示されているが、これらの公報においては、光ファイバーへの水素あるいは水分の光ファイバー内への侵入を防止することを目的としたものであり、水素ドープ済光ファイバーにおいて、ドープした水素分子の逸出を抑制する技術思想については何ら記載されていない。
【0014】
更に、特開平1−224702号公報に記載された伝送線は、光ファイバーを冷却するものであるが、水素ドープ済光ファイバーを冷却すると、ドープした水素分子の光ファイバーからの逸出を抑制することは何ら記載されていない。
【0015】
従って、本発明の目的は、170nm〜350nmの紫外線を好適に伝送することができる光ファイバーを提供することにある。
【0016】
また、本発明の他の目的は、上記光ファイバーの製造方法を提供することにある。
【0017】
更に、本発明の他の目的は、170nm〜350nmの紫外線を好適に伝送することができる光ファイバーを備えてなる伝送線を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、少なくともコア部分及びクラッド部分から構成される170nm〜350nmの紫外線を伝送するための光ファイバーにおいて、コア部分は、不純物金属元素濃度がLi:1質量ppb以下、Na:1質量ppb以下、Mg:1質量ppb未満、K:1質量ppb未満、Ca:1質量ppb未満、Ti:0.1質量ppb以下、Cr:0.1質量ppb未満、Fe:0.1質量ppb以下、Ni:0.1質量ppb未満、Cu:0.1質量ppb未満である高純度シリカガラスまたはフッ素を6000質量ppm添加したシリカガラスからなり、クラッド部分がフッ素またはホウ素のいずれか1種または2種以上を添加したシリカガラスからなり、更に、該高純度シリカガラス及びシリカガラスが1×1016分子/cm以上の濃度の水素分子を含有してなり、且つクラッド部分の外周面に水素拡散防止層を設けてなることを特徴とする紫外線伝送用光ファイバーを提供することにある(以下、第1発明という)。
【0019】
また、本発明の紫外線伝送用光ファイバーは、前記水素拡散防止層の外周面に保護コーティング層を有する構成のものであってもよい(以下、第2発明という)。
【0020】
更に、本発明の紫外線伝送用光ファイバーは、前記水素拡散防止層の外周面に保護コーティング層を有すると共に、前記クラッド部分と前記水素拡散防止層の間に第2の保護コーティング層を有する構成のものであってもよい(以下、第3発明という)。
【0021】
また、本発明は、前記第1発明に係る紫外線伝送用光ファイバーの製造方法において、火炎加水分解法によりケイ素化合物原料から棒状の透明な不純物金属元素濃度がLi:1質量ppb以下、Na:1質量ppb以下、Mg:1質量ppb未満、K:1質量ppb未満、Ca:1質量ppb未満、Ti:0.1質量ppb以下、Cr:0.1質量ppb未満、Fe:0.1質量ppb以下、Ni:0.1質量ppb未満、Cu:0.1質量ppb未満である高純度シリカガラスまたはフッ素を6000質量ppm添加したシリカガラスを合成し、次に、その外側にプラズマ法によりフッ素及び/またはホウ素を添加したケイ素化合物原料からシリカガラスを合成して光ファイバー用プリフォームを製造し;次いで、該プリフォームを電気炉により溶融線引きし、更に、連続して水素拡散防止層の被覆処理を行うことにより光ファイバーを得;次いで、該光ファイバーを圧力容器に装填し、水素含有ガス雰囲気中、1〜2000kgf/cmの圧力範囲、100〜800℃の温度範囲にて水素ドープ処理を行うことを特徴とする光ファイバーの製造方法を提供することにある(以下、第4発明という)。
【0022】
また、本発明は、前記第2発明に係る紫外線伝送用光ファイバーの製造方法において、火炎加水分解法によりケイ素化合物原料から棒状の透明な不純物金属元素濃度がLi:1質量ppb以下、Na:1質量ppb以下、Mg:1質量ppb未満、K:1質量ppb未満、Ca:1質量ppb未満、Ti:0.1質量ppb以下、Cr:0.1質量ppb未満、Fe:0.1質量ppb以下、Ni:0.1質量ppb未満、Cu:0.1質量ppb未満である高純度シリカガラスまたはフッ素を6000質量ppm添加したシリカガラスを合成し、次に、その外側にプラズマ法によりフッ素及び/またはホウ素を添加したケイ素化合物原料からなるシリカガラスを合成して光ファイバー用プリフォームを製造し;次いで、該プリフォームを電気炉により溶融線引きし、更に、連続して水素拡散防止層の被覆処理及び保護コーティング層の被覆処理を行うことにより光ファイバーを得;次いで、該光ファイバーを圧力容器に装填し、水素含有ガス雰囲気中、1〜2000kgf/cmの圧力範囲、100〜400℃の温度範囲にて水素ドープ処理を行うことを特徴とする光ファイバーの製造方法を提供することにある(以下、第5発明という)。
【0023】
また、本発明は、前記第3発明に係る紫外線伝送用光ファイバーの製造方法において、火炎加水分解法によりケイ素化合物原料から棒状の透明な不純物金属元素濃度がLi:1質量ppb以下、Na:1質量ppb以下、Mg:1質量ppb未満、K:1質量ppb未満、Ca:1質量ppb未満、Ti:0.1質量ppb以下、Cr:0.1質量ppb未満、Fe:0.1質量ppb以下、Ni:0.1質量ppb未満、Cu:0.1質量ppb未満である高純度シリカガラスまたはフッ素を6000質量ppm添加したシリカガラスを合成し、次に、その外側にプラズマ法によりフッ素及び/またはホウ素を添加したケイ素化合物原料からシリカガラスを合成して光ファイバー用プリフォームを製造し;次いで、該プリフォームを電気炉により溶融線引きし、更に、連続して第2の保護コーティング層の被覆処理を行うことにより光ファイバーを得;次いで、該光ファイバーを圧力容器に装填し、水素含有ガス雰囲気中、1〜2000kgf/cmの圧力範囲、25〜400℃の温度範囲にて水素ドープ処理を行い;次いで、水素ドープ済光ファイバーに水素拡散防止層の被覆処理及び保護コーティング層の被覆処理を行うことを特徴とする光ファイバーの製造方法を提供することにある(以下、第7発明という)。
【0024】
更に、本発明は、170nm〜350nmの紫外線を伝送するための光ファイバーを備える伝送線において、光ファイバーが少なくとも1本の前記第1発明ないし第3発明の紫外線伝送用光ファイバーからなり、且つ該光ファイバーをその長さの実質上全体にわたり冷却するための手段を備えてなることを特徴とする伝送線を提供することにある(以下、第7発明という)。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の第1発明に係る光ファイバーは、そのコア部分を構成する高純度シリカガラスまたは微量元素添加シリカガラス、及びクラッド部分を構成するシリカガラスに1×1016分子/cm3以上の濃度の水素分子をドープし、一旦ドープした水素分子が光ファイバーから逸出するのを防止するために、光ファイバーのクラッド部分の外周面に水素拡散防止層を設けてなることを特徴とするものである。
【0027】
ここで、コアを構成する不純物金属元素濃度がLi:1質量ppb以下、Na:1質量ppb以下、Mg:1質量ppb未満、K:1質量ppb未満、Ca:1質量ppb未満、Ti:0.1質量ppb以下、Cr:0.1質量ppb未満、Fe:0.1質量ppb以下、Ni:0.1質量ppb未満、Cu:0.1質量ppb未満である高純度シリカガラスまたはフッ素を6000質量ppm添加したシリカガラスは高純度ケイ素化合物を原料とした火炎加水分解法により合成された合成シリカガラスである。主原料としてはSiCl、HSiCl、CHSiCl、(CHSiCl、(CHSiCl、CHSi(OCH、(CHSi(OCH、Si(OCH等が利用可能であり、火炎としては酸水素火炎、プロパン火炎が使用できる。
【0028】
また、クラッド部分を構成するフッ素またはホウ素のいずれか1種または2種を添加したシリカガラスとは高純度ケイ素化合物を主原料としたプラズマ法により合成された合成シリカガラスである。主原料としてはSiCl4、副原料としてはBBr3、BCl3、SiF4、SF6等を使用することができる。ここで、フッ素またはホウ素の添加量は、2〜6mass %、好ましくは3〜5mass %の範囲内である。なお、フッ素の方が屈折率を下げる効果が大きいので、フッ素を使用する方が添加量を少なくすることができる。
【0029】
なお、光ファイバーを構成するコア部分の直径は特に限定されるものではなく、慣用の通信用光ファイバーのそれより大きく、例えば10〜500μm、好ましくは60〜150μmの範囲内とすることができる。また、クラッド部の厚さもまた特に限定されるものではなく、慣用の通信用光ファイバーのそれと同様もしくは薄めであり、例えば2〜100μm、好ましくは5〜20μmの範囲内とすることができる。
【0030】
また、第1発明に係る光ファイバーは、コア部分を構成する高純度シリカガラス及びクラッド部分を構成するシリカガラスが1×1016分子/cm3以上、好ましくは1×1017分子/cm3以上、更に好ましくは1×1018分子/cm3以上の水素分子を含有してなるものであるが、コア部分及びクラッド部分に水素分子をドープすることにより、光ファイバーの耐紫外線性、特に耐エキシマレーザー性を飛躍的に向上させることができる。なお、水素分子の濃度が1×1016分子/cm3未満であると、紫外線照射による光ファイバーの劣化防止に余り効果がないために好ましくない。また、ドープされる水素分子は、H2分子及び/またはD2分子であることができる。
【0031】
上記構成の水素分子をドープした光ファイバーでは、ドープした水素分子が時間の経過と共に逸出し、それによって水素分子濃度の低下を来し、紫外線を伝送する際の光ファイバーの経時劣化が著しくなるため、第1発明の光ファイバーにおいては、クラッド部分の外周面に水素拡散防止層を設け、ドープした水素分子をコア部分及びクラッド部分にできる限り長期間にわたり留めるところが最大の特徴である。
【0032】
該水素拡散防止層は、アルミニウム、クロム、ニッケル、鉛、銀及び金からなる群から選択される1種または2種以上の金属薄膜または炭素、炭化物、酸窒化物及び窒化物から選択される1種または2種以上のセラミック薄膜またはシリカガラス厚膜から構成することができ、その厚さは金属薄膜にあっては、1〜100μm、好ましくは10〜30μmの範囲内であり、また、セラミック薄膜にあっては、0.001〜10μm、好ましくは0.001〜1μmの範囲内であり、シリカガラス厚膜では20〜500μm、好ましくは20〜200μmの範囲内である。ここで、水素拡散防止層の厚さが上記下限未満であると、水素分子の逸出を十分に抑制することができないために好ましくなく、また、上記上限を超えても、コア及びクラッド部分への水素ドープ処理が困難となったり、溶存水素の外部拡散防止効果の増加が認められないために好ましくない。
【0033】
上述のような構成を有する第1発明に係る光ファイバーは、ドープされた水素分子を長期間にわたりコア部分及びクラッド部分に留めることができ、水素分子の作用と相俟って、長期間にわたり紫外線照射に対する光ファイバーの劣化を防止することができるものである。
【0034】
なお、第2発明に係る光ファイバーにおいて、光ファイバーの機械的強度等を確保すると共に水素拡散防止層を保護する目的で保護コーティング層が設けられている。この保護コーティング層には、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素ゴム及びシリコーンゴムよりなる群から選択された1種または2種以上で構成することができるが、後述するように、水素分子のドープ操作は、溶融線引きし、水素拡散防止層及び保護コーティング層を被覆した光ファイバーを加圧並びに加熱条件とするものであるため、第2発明においては、これらの条件に対して耐性を有する保護コーティング層を設けることが好ましく、例えばポリイミド樹脂を使用することが好ましい。なお、保護コーティング層の厚さは特に限定されるものではないが例えば1〜300μm、好ましくは2〜100μm、最適には5〜30μmの範囲内である。ここで、保護コーティング層の厚さが1μm未満では、その被覆効果がないために好ましくなく、また、300μmを超えても被覆効果が向上するわけではなく、かえって光ファイバーでは問題となるために好ましくない。
【0035】
なお、前記保護コーティング層は、水素拡散防止層が金属薄膜よりなるものである場合には、金属薄膜は上述のように比較的厚く被覆されるものであり、また、金属薄膜の材質によっては保護コーティング層の機能を兼備することができるので特に必要はないが、水素拡散防止層がセラミック薄膜よりなるものである場合には、セラミック薄膜は上述のように比較的薄い厚さで被覆されるものであり、また、その特性からも、この保護コーティング層を備えてなる構成とすることが好ましい。
【0036】
次に、第3発明に係る紫外線伝送用光ファイバーは、前記水素拡散防止層の外周面に前記保護コーティング層を有すると共に、前記クラッド部分と前記水素拡散防止層の間に第2の保護コーティング層を備えてなる構成のものである。なお、この第2の保護コーティング層は、コア部分及びクラッド部分からなる光ファイバーの機械的強度等を確保する目的で設けられているものである。この第2の保護コーティング層は、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素ゴム及びシリコーンゴムよりなる群から選択された1種または2種以上で構成することができるが、後述する水素分子のドープ操作においては、溶融線引きし、第2の保護コーティング層を被覆した光ファイバーを加圧並びに加熱条件とするものであるため、第2の保護コーティング層は、これらの条件に対して耐性を有し、且つドープ操作の際に水素分子を自由に透過できる性質を有するコーティング層とすることが好ましく、例えばポリイミド樹脂を使用することが好ましい。なお、第2の保護コーティング層の厚さは特に限定されるものではなく、光ファイバーに通常施される範囲内であれば特に問題はなく、例えば1〜300μm、好ましくは2〜100μmの範囲内である。ここで、保護コーティング層の厚さが1μm未満では、その被覆効果がないために好ましくなく、また、300μmを超えても被覆効果が向上するわけではなく、かえって光ファイバー設計上問題が生じ、特にハンドルファイバーでは問題となるために好ましくない。
【0037】
次に、本発明の第4発明は、上記第1発明に係る光ファイバーの製造方法にある。即ち、第1発明の光ファイバーは、火炎加水分解法によりケイ素化合物原料から棒状の透明高純度シリカガラスまたはフッ素を微量添加したシリカガラスを合成し、次に、その外側にプラズマ法によりフッ素及び/またはホウ素を添加したケイ素化合物原料からシリカガラスを合成して光ファイバー用プリフォームを製造し;次いで、該プリフォームを電気炉により溶融線引きし、更に、連続して水素拡散防止層の被覆処理を行うことにより光ファイバーを得;次いで、該光ファイバーを圧力容器に装填し、水素含有ガス雰囲気中、1〜2000kgf/cm2の圧力範囲、100〜800℃の温度範囲にて水素ドープ処理を行う工程から製造することができる。
【0038】
第4発明に係る製造方法において、光ファイバー用プリフォームを溶融線引きする工程までは、慣用の公知の工程をそのまま適用することができ、次に、クラッド部分の外周面に水素拡散防止層を被覆する。水素拡散防止層としては、上述のようにアルミニウム、クロム、ニッケル、鉛、銀及び金からなる群から選択される1種または2種以上の金属薄膜層、炭素、炭化物、酸窒化物及び窒化物から選択される1種または2種以上のセラミック薄膜層等を用いることができる。ここで、金属薄膜は各種金属ハロゲン化物原料の熱CVD法、各種金属材料のスパッタリング法、各種金属材料のメルトコーティング法等により施すことができる。また、セラミック薄膜層は各種水素化合物、ハロゲン化物原料の熱CVD法、真空蒸着法等により施すことができる。
【0039】
次に、得られた光ファイバーに水素分子をドープするが、この工程は、光ファイバーをリール等に巻き取り、圧力容器に装填し、水素含有ガス雰囲気中、1〜2000kgf/cm2の圧力範囲、100℃〜800℃の温度範囲で処理することにより行うことができる。ここで、水素含有ガス雰囲気としては、100%水素ガス(H2ガス、D2ガス)の他、水素ガスをAr等の不活性ガスで希釈したものを使用することができる。なお、水素ドープ処理の圧力が2000kgf/cm2を超えると圧力容器が大型化してしまい、工業的に意味がなくなるために好ましくない。更に、水素ドープ処理の温度が100℃未満であると水素の拡散係数が小さいため、充分な濃度の水素分子をドープすることが難しくなるために好ましくなく、また、800℃を超えると光ファイバー自体や水素拡散防止層を破損する危険性があるために好ましくない。
【0040】
本発明の第5発明は、第2発明の光ファイバーの製造方法に係るものである。即ち、第2発明の光ファイバーは、火炎加水分解法によりケイ素化合物原料から棒状の透明高純度シリカガラスまたはフッ素を微量添加したシリカガラスを合成し、次に、その外側にプラズマ法によりフッ素及び/またはホウ素を添加したケイ素化合物原料からシリカガラスを合成して光ファイバー用プリフォームを製造し;次いで、該プリフォームを電気炉により溶融線引きし、更に、連続して水素拡散防止層の被覆処理及び保護コーティング層の被覆処理を行うことにより光ファイバーを得;次いで、該光ファイバーを圧力容器に装填し、水素含有ガス雰囲気中、1〜2000kgf/cm2の圧力範囲、100〜400℃の温度範囲にて水素ドープ処理を行う工程から製造することができる。
【0041】
第5発明において、水素拡散防止層の被覆処理までは、上記第4発明と同様の工程にて製造することができ、その後、水素拡散防止層の外周面に保護コーティング層の被覆処理を行う。保護コーティング層は上述のようにフッ素樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素ゴム及びシリコーンゴムよりなる群から選択された1種または2種以上から形成することができ、保護コーティング層は例えばメルトコーティング法等により形成することができる。
【0042】
保護コーティング層を被覆した後に、水素ドープ処理を行うが、第5発明において、水素ドープ処理の圧力は1〜2000kgf/cm2の範囲内である。なお、2000kgf/cm2を超えると圧力容器が大型化してしまい、製造コストが上昇し、工業的に意味がないために好ましくない。更に、水素ドープ処理の温度は100〜400℃の範囲内である。該温度が100℃未満であると水素拡散防止層が存在するために充分な濃度の水素分子を短時間にドープすることが難しいために好ましくなく、また、400℃を超えると保護コーティング層を破損する危険性があるために好ましくない。
【0043】
次に、本発明の第6発明は、第3発明の光ファイバーの製造方法に係るものである。即ち、第3発明の光ファイバーは、火炎加水分解法によりケイ素化合物原料から棒状の透明高純度シリカガラスまたはフッ素を微量添加したシリカガラスを合成し、次に、その外側にプラズマ法によりフッ素及び/またはホウ素を添加したケイ素化合物原料からシリカガラスを合成して光ファイバー用プリフォームを製造し;次いで、該プリフォームを電気炉により溶融線引きし、更に、連続して第2の保護コーティング層の被覆処理を行うことにより光ファイバーを得;次いで、該光ファイバーを圧力容器に装填し、水素含有ガス雰囲気中、1〜2000kgf/cm2の圧力範囲、25〜400℃の温度範囲にて水素ドープ処理を行い;次いで、水素ドープ済光ファイバーに水素拡散防止層の被覆処理及び保護コーティング層の被覆処理を行う工程から製造することができる。
【0044】
第6発明においては、慣用の方法により第2の保護コーティング層を有する光ファイバーを製造した後に、水素ドープ処理を行うが、第6発明において、水素ドープ処理の圧力は1〜2000kgf/cm2の範囲内である。なお、2000kgf/cm2を超えると圧力容器が大型化してしまい、製造コストが上昇し、工業的に意味がないために好ましくない。更に、水素ドープ処理の温度は25〜400℃の範囲内である。該温度が25℃未満であると充分な濃度の水素分子を短時間にドープすることが難しいために好ましくなく、また、400℃を超えると保護コーティング層並びに第2の保護コーティング層を破損する危険性があるために好ましくない。
【0045】
次に、本発明の第7発明に係る170nm〜350nmの紫外線を伝送するための光ファイバーを備える伝送線は、光ファイバーが少なくとも1本の上記第1発明ないし第3発明の紫外線伝送用光ファイバーからなり、且つ該光ファイバーをその長さの実質上全体にわたり冷却するための手段を備えてなることを特徴とするものである。
【0046】
第7発明の伝送線によれば、上記光ファイバーを実質上その長さ全体にわたり0℃以下、好ましくは−20℃以下の温度へ冷却することにより、冷却していない光ファイバーと比較して紫外線の透過率を更に良好なものとすることができる。この理由は、冷却によりファイバー内に溶存する水素の外部拡散が抑制されることにより、ファイバー内での水素と、紫外線ダメージを受けたシリカガラス構造との反応が促進されるためである。
【0047】
第7発明において、冷却手段は光ファイバーの長さの実質上全て(好適には光ファイバーの長さのおよそ90%以上)を冷却できる手段であれば特に限定されるものではなく、例えば、光ファイバーが断熱材よりなる外被により包囲されていることが好都合であり、好適な実施態様においては、該外被は冷却用ジャケットであり、冷却剤を装入するための接続口及び排出するための接続口を備える構成を有するものである。なお、金属薄膜が光ファイバー表面に設定されている場合は、少なくとも1つのヒートシンクが光ファイバー表面の薄膜の少なくとも1部分に冷却用として接続される。これは金属の大きな熱伝導率を有効利用した手法である。例えばペルチュ型冷却素子が活用できるものである。
【0048】
なお、第7発明の伝送線は、光ファイバーと冷却手段よりなるものであるが、使用される光ファイバーは1本に限定されるものではなく、1つの冷却手段に複数の光ファイバーを設置することも本発明の範囲内である。
【0052】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
▲1▼コア材の合成:
酸水素火炎加水分解法のスート再溶融法により高純度四塩化ケイ素(SiCl4)原料からOH基を含有しない高純度合成シリカガラスを合成し、棒状コア材を得た。なお、OH基並びにClの含有量は以下の表1に記載する通りであった。
【0053】
▲2▼クラッド材の合成と光ファイバー用プリフォームの作成:
プラズマ法で四塩化ケイ素原料及び六フッ化イオウ原料からフッ素を所定濃度で含有させたクラッド材を合成し、このクラッド材を前記棒状コア材の外周部分に所定の寸法に成長させて光ファイバー用プリフォームとした。プリフォームの寸法は、φ35mm×L700mm、コア直径に対するクラッド直径の比率(クラッド直径/コア直径)は1.1に設定した。なお、クラッド材のOH基含有量及びF含有量は以下の表1に記載する通りであった。
また、得られたプリフォームのコア部分のプラズマ質量分析法(ICP−MS法)による不純物金属元素の濃度は下記の通りであった:
元素 濃度 ( 単位: mass ppb)
Li 1
Na 1
Mg <1
K <1
Ca <1
Ti 0.1
Cr <0.1
Fe 0.1
Ni <0.1
Cu <0.1
【0054】
また、プリフォームの絶対屈折率は下記の通りであった:
コア部(633nm) 1.4571
コア部(1064nm) 1.4498
クラッド部(633nm) 1.440
クラッド部(1064nm) 1.433
【0055】
▲3▼プリフォームの線引き並びに水素拡散防止層の被覆処理:
上述のようにして得られたプリフォームを線引き用円筒型電気炉により慣用の操作にて溶融線引きし、コア直径200μm、クラッド直径220μmの光ファイバーとし、連続して表層に金属アルミニウムをメルトコーティング法によりクラッド部分の外周面に30μmの厚さで被覆することにより光ファイバー表面に水素拡散防止層を形成した。
【0056】
▲4▼水素ドープ処理:
上述のようにして得られた光ファイバーをステンレススチール製ジャケットのオートクレーブに装填し、所定の水素圧力、温度にて10時間加熱処理することにより光ファイバーに水素をドープした。なお、水素ガスとしては重水素ガス(D2)を使用した。なお、アルゴンレーザラマン法による水素の含有量は以下の表1に記載する通りであった。
【0057】
実施例2
▲1▼コア材の合成:
酸水素火炎加水分解法のダイレクト法により高純度四塩化ケイ素(SiCl4:純度99.9999重量%)原料からOH基を含有する高純度合成シリカガラスを合成し、棒状コア材を得た。なお、OH基並びにClの含有量は以下の表1に記載する通りであった。
【0058】
▲2▼クラッド材の合成と光ファイバー用プリフォームの作成:
プラズマ法で四塩化ケイ素原料及び六フッ化イオウからフッ素を所定濃度で含有させたクラッド材を合成し、このクラッド材を前記棒状コア材の外周部分に所定の寸法に成長させて光ファイバー用プリフォームとした。プリフォームの寸法は、φ35mm×L700mm、コア直径に対するクラッド直径の比率(クラッド直径/コア直径)は1.1に設定した。なお、クラッド材のOH基含有量及びF含有量は以下の表1に記載する通りであった。
また、得られたプリフォームのコア部分のプラズマ質量分析法(ICP−MS法)による不純物金属元素の濃度は下記の通りであった:
元素 濃度 ( 単位: mass ppb)
Li <1
Na <1
Mg <1
K <1
Ca <1
Ti <0.1
Cr <0.1
Fe 0.1
Ni <0.1
Cu <0.1
【0059】
また、プリフォームの絶対屈折率は下記の通りであった:
コア部(633nm) 1.4570
コア部(1064nm) 1.4497
クラッド部(633nm) 1.440
クラッド部(1064nm) 1.433
【0060】
▲3▼プリフォームの線引き並びに水素拡散防止層の被覆処理:
上述のようにして得られたプリフォームを線引き用円筒型電気炉により慣用の操作にて溶融線引きし、コア直径200μm、クラッド直径220μmの光ファイバーとし、連続して表層に炭化水素ガス原料の光CVD法にてカーボン薄膜を0.01μm厚さで被覆することにより光ファイバー表面に水素拡散防止層を形成した。
【0061】
▲4▼保護コーティング層の形成:
上述のようにして得られた水素拡散防止層の外周面に、更に、メルトコーティング法によりポリイミド系レジン薄膜を被覆することにより保護コーティング層を形成した。
【0062】
▲5▼水素ドープ処理:
上述のようにして得られた光ファイバーをステンレススチール製ジャケットのオートクレーブに装填し、所定の水素圧力、温度にて100時間加熱処理することにより光ファイバーに水素分子をドープした。なお、水素ガスとしては重水素ガス(D2)を使用した。なお、アルゴンレーザラマン法による水素の含有量は以下の表1に記載する通りであった。
【0063】
実施例3
上記実施例1と同様の方法により酸水素火炎加水分解法のスート再溶融法により棒状コア材を得た以外は、実施例2と同様の方法にて、光ファイバーを作成した。
【0064】
実施例4
コア材の合成において、酸水素炎加水分解法のスート再溶融法にてフッ素化合物を微量含有する四塩化ケイ素原料から、OH基とFを含有する棒状コア材を得た以外は実施例2と同様の方法にて光ファイバーを作成した。
【0065】
実施例5
水素ドープ処理条件を400℃、1000kgf/cm2とし、それ以外は実施例2と同様の方法にて光ファイバーを作成した。
【0066】
実施例6
実施例1と同様に作成した光ファイバーの外側に更にポリイミド樹脂コーティングを施し、その後水素ドープ処理及びエキシマレーザー伝送実験を行った。
【0067】
実施例7
▲1▼プリフォームの線引き並びに第2の保護コーティングの被覆処理:
上記実施例3〜6と同様のプリフォームを線引き用円筒型電気炉により慣用の操作にて溶融線引きし、コア直径200μm、クラッド直径220μmの光ファイバーとし、連続して外周面にポリイミド系レジンを原料とするメルトコーティング法により厚さ5μmの保護コーティング層を形成した。
【0068】
▲2▼水素ドープ処理:
上述のようにして得られた光ファイバーをステンレススチール製ジャケットのオートクレーブに装填し、所定の水素圧力、温度にて10時間加熱処理することにより光ファイバーに水素分子をドープした。なお、水素ガスとしては重水素ガス(D2)を使用した。なお、アルゴンレーザラマン法による水素の含有量は以下の表1に記載する通りであった。
【0069】
▲3▼水素拡散防止層の被覆処理:
水素ドープ処理後の光ファイバーを1m長に切断し、真空蒸着装置内にセットし、高純度カーボンを原料とする真空蒸着法により光ファイバーの外周面に厚さ0.01μmの水素拡散防止層を形成した。
【0070】
▲4▼保護コーティング層の被覆処理:
水素拡散防止層の外周面にメルトコーティング法によりポリイミド系レジンの保護コーティング層を形成した。
【0071】
上述のようにして得られた光ファイバーにつき、KrFエキシマレーザー及びArFエキシマレーザーを使用して伝送特性を調査した:
(a)KrFエキシマレーザー(248nm)伝送実験
長さ1000mmの光ファイバーを用い、室温(25℃)で、65μJ/shot、200mJ/cm2・shot、10Hz、23nsec、合計1×105shotの条件下での透過率(%)。
(b)KrFエキシマレーザー(248nm)伝送実験
長さ1000mmの光ファイバーを用い、室温(25℃)で、15μJ/shot、50mJ/cm2・shot、100Hz、23nsec、合計1×106shotの条件下での透過率(%)。
(c)ArFエキシマレーザー(193nm)伝送実験
長さ300mmの光ファイバーを用い、室温(25℃)で、3μJ/shot、10mJ/cm2・shot、20Hz、20nsec、合計1×104shotの条件下での透過率(%)。
得られた結果を以下の表1に併記する。
【0074】
実施例
実施例4で得られた光ファイバーを6カ月間室内に放置後、エキシマレーザー伝送実験を行った。得られた結果を以下の表2に併記する。
【0075】
比較例1
水素ドープ処理工程を行わない以外は実施例2と同様にして光ファイバーを得た。得られた光ファイバーにつき、上記と同様にエキシマレーザー伝送実験を行った。得られた結果を以下の表3に併記する。
【0076】
比較例2
水素ドープ処理工程を行わない以外は実施例3と同様にして光ファイバーを得た。得られた光ファイバーにつき、上記と同様にエキシマレーザー伝送実験を行った。得られた結果を以下の表3に併記する。
【0077】
比較例3
水素拡散防止層の被覆工程を行わない以外は実施例3と同様の方法により得られた光ファイバーを6カ月間室内に放置後、実施例1と同様にエキシマレーザー伝送実験を行った。得られた結果を以下の表3に併記する。
【0078】
比較例4
コア材を合成するための原料として普通純度四塩化ケイ素(SiCl4:純度99.9重量%)原料を使用した以外は、実施例1と同様の方法により光ファイバーを得た。なお、本例において使用したプリフォームのコア部分のICP−MS法及び原子発光分析法(ICP−AES法)による不純物金属元素の濃度は下記の通りであった:
元素 濃度 ( 単位: mass ppb)
Li 50
Na 40
Mg 100
K 1
Ca 100
Ti 100
Cr <0.1
Fe 200
Ni <0.1
Cu 4
得られた光ファイバーにつき、上記と同様の方法にてエキシマレーザー伝送実験を行った。得られた結果を以下の表3に併記する。
【0079】
【表1】
Figure 0003719776
【0080】
【表2】
Figure 0003719776
【0081】
【表3】
Figure 0003719776
【0082】
【発明の効果】
本発明によれば、紫外線、特にエキシマレーザーの照射、伝送に対して劣化の少ない紫外線伝送用光ファイバー並びに伝送線を提供することができる。

Claims (14)

  1. 少なくともコア部分及びクラッド部分から構成される170nm〜350nmの紫外線を伝送するための光ファイバーにおいて、コア部分は、不純物金属元素濃度がLi:1質量ppb以下、Na:1質量ppb以下、Mg:1質量ppb未満、K:1質量ppb未満、Ca:1質量ppb未満、Ti:0.1質量ppb以下、Cr:0.1質量ppb未満、Fe:0.1質量ppb以下、Ni:0.1質量ppb未満、Cu:0.1質量ppb未満である高純度シリカガラスまたはフッ素を6000質量ppm添加したシリカガラスからなり、クラッド部分がフッ素またはホウ素のいずれか1種または2種以上を添加したシリカガラスからなり、更に、該高純度シリカガラス及びシリカガラスが1×1016分子/cm以上の濃度の水素分子を含有してなり、且つクラッド部分の外周面に水素拡散防止層を設けてなることを特徴とする紫外線伝送用光ファイバー。
  2. 水素分子が、H及び/またはDである、請求項1記載の紫外線伝送用光ファイバー。
  3. 水素分子の濃度が、1×1018分子/cmないし1×1021分子/cmの範囲内にある、請求項1または2記載の紫外線伝送用光ファイバー。
  4. 水素拡散防止層が、アルミニウム、クロム、ニッケル、鉛、銀及び金からなる群から選択される1種または2種以上の金属薄膜または炭素、炭化物、酸窒化物及び窒化物からなる群から選択される1種または2種以上のセラミック薄膜または厚膜シリカガラス層からなり、膜厚が水素ドープ処理可能な範囲であり、且つ紫外線伝送中に水素の外部拡散を防止するのに充分な膜厚である、請求項1ないし3のいずれか1項記載の紫外線伝送用光ファイバー。
  5. 光ファイバーが、248nmKrFエキシマレーザー、193nmArFエキシマレーザー、265nmNd:YAG第4高調波レーザーまたは212nmNd:YAG第5高調波レーザーを伝送する、請求項1ないし4のいずれか1項記載の紫外線伝送用光ファイバー。
  6. 水素拡散防止層の外周面に保護コーティング層を設けてなる、請求項1ないし5のいずれか1項記載の紫外線伝送用光ファイバー。
  7. 保護コーティング層が、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素ゴム及びシリコーンゴムからなる群から選択される1種または2種以上の薄膜である、請求項6記載の紫外線伝送用光ファイバー。
  8. クラッド部分と水素拡散防止層の間に第2の保護コーティング層を設けてなる、請求項1ないし7のいずれか1項記載の紫外線伝送用光ファイバー。
  9. 第2の保護コーティング層が、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素ゴム及びシリコーンゴムからなる群から選択される1種または2種以上の薄膜である、請求項8記載の紫外線伝送用光ファイバー。
  10. 請求項1ないし5のいずれか1項記載の紫外線伝送用光ファイバーの製造方法において、火炎加水分解法によりケイ素化合物原料から棒状の透明な不純物金属元素濃度がLi:1質量ppb以下、Na:1質量ppb以下、Mg:1質量ppb未満、K:1質量ppb未満、Ca:1質量ppb未満、Ti:0.1質量ppb以下、Cr:0.1質量ppb未満、Fe:0.1質量ppb以下、Ni:0.1質量ppb未満、Cu:0.1質量 ppb未満である高純度シリカガラスまたはフッ素を6000質量ppm添加したシリカガラスを合成し、次に、その外側にプラズマ法によりフッ素及び/またはホウ素を添加したケイ素化合物原料からシリカガラスを合成して光ファイバー用プリフォームを製造し;次いで、該プリフォームを電気炉により溶融線引きし、更に、連続して水素拡散防止層の被覆処理を行うことにより光ファイバーを得;次いで、該光ファイバーを圧力容器に装填し、水素含有ガス雰囲気中、1〜2000kgf/cmの圧力範囲、100〜800℃の温度範囲にて水素ドープ処理を行うことを特徴とする光ファイバーの製造方法。
  11. 請求項1ないし7のいずれか1項記載の紫外線伝送用光ファイバーの製造方法において、火炎加水分解法によりケイ素化合物原料から棒状の透明な不純物金属元素濃度がLi:1質量ppb以下、Na:1質量ppb以下、Mg:1質量ppb未満、K:1質量ppb未満、Ca:1質量ppb未満、Ti:0.1質量ppb以下、Cr:0.1質量ppb未満、Fe:0.1質量ppb以下、Ni:0.1質量ppb未満、Cu:0.1質量ppb未満である高純度シリカガラスまたはフッ素を6000質量ppm添加したシリカガラスを合成し、次に、その外側にプラズマ法によりフッ素及び/またはホウ素を添加したケイ素化合物原料からなるシリカガラスを合成して光ファイバー用プリフォームを製造し;次いで、該プリフォームを電気炉により溶融線引きし、更に、連続して水素拡散防止層の被覆処理及び保護コーティング層の被覆処理を行うことにより光ファイバーを得;次いで、該光ファイバーを圧力容器に装填し、水素含有ガス雰囲気中、1〜2000kgf/cmの圧力範囲、100〜400℃の温度範囲にて水素ドープ処理を行うことを特徴とする光ファイバーの製造方法。
  12. 請求項1ないし9のいずれか1項記載の紫外線伝送用光ファイバーの製造方法において、火炎加水分解法によりケイ素化合物原料から棒状の透明な不純物金属元素濃度がLi:1質量ppb以下、Na:1質量ppb以下、Mg:1質量ppb未満、K:1質量ppb未満、Ca:1質量ppb未満、Ti:0.1質量ppb以下、Cr:0.1質量ppb未満、Fe:0.1質量ppb以下、Ni:0.1質量ppb未満、Cu:0.1質量ppb未満である高純度シリカガラスまたはフッ素を6000質量ppm添加したシリカガラスを合成し、次に、その外側にプラズマ法によりフッ素及び/またはホウ素を添加したケイ素化合物原料からシリカガラスを合成して光ファイバー用プリフォームを製造し;次いで、該プリフォームを電気炉により溶融線引きし、更に、連続して第2の保護コーティング層の被覆処理を行うことにより光ファイバーを得;次いで、該光ファイバーを圧力容器に装填し、水素含有ガス雰囲気中、1〜2000kgf/cmの圧力範囲、25〜400℃の温度範囲にて水素ドープ処理を行い;次いで、水素ドープ済光ファイバーに水素拡散防止層の被覆処理及び保護コーティング層の被覆処理を行うことを特徴とする光ファイバーの製造方法。
  13. 170nm〜350nmの紫外線を伝送するための光ファイバーを備える伝送線において、光ファイバーが少なくとも1本の請求項1ないし9のいずれか1項記載の紫外線伝送用光ファイバーからなり、且つ該光ファイバーをその長さの実質上全体にわたり冷却するための手段を備えてなることを特徴とする伝送線。
  14. 光ファイバーを0℃以下の温度に冷却する、請求項13記載の伝送線。
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