JP3717307B2 - 光ファイバ型光部品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば波長多重伝送される光から光透過阻止波長帯以外の波長の光を選択的に透過させるフィルタ等として用いられる光ファイバ型光部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
情報化社会の発展により、通信情報量が飛躍的に増大する傾向にあり、光ファイバ通信における高速大容量化は、必要かつ、不可欠の課題となっており、近年、この高速大容量化へのアプローチとして、異なる複数の波長の信号光を1本の光ファイバで伝送する波長多重伝送方式の検討が行なわれている。
【0003】
この波長多重伝送方式の光通信システムにおいて、例えば波長多重伝送される光から予め定められた波長帯の光を選択的に反射させることにより、この反射光をシステム監視用の光として用いることが検討されており、前記波長帯の光を選択的に反射させ、この波長帯以外の波長の光を選択的に透過させるフィルタとして、シングルモード光ファイバにファイバグレーティングの形成部を設けた光ファイバ型光部品が注目されている。なお、このような光ファイバ型光部品は、前記光ファイバ通信における高速大容量化実現のための分散補償技術の一手段としても注目されている。
【0004】
前記シングルモード光ファイバは、コアの周りをクラッドで覆って形成される光ファイバであって、例えば図5の特性線aに示すように、光ファイバ径方向に対する屈折率分布(横断面上の屈折率分布)がステップインデックス型を有している。すなわち、コアの屈折率が光ファイバ径方向で一定であり、クラッドの屈折率も前記光ファイバ径方向で一定であり、コアの純石英に対する比屈折率差ΔCが、クラッドの純石英に対する比屈折率差Δ3よりも大きく形成され、コアとクラッドとの境界部において屈折率が大きく(急激に)変化する屈折率分布を有している。
【0005】
なお、本明細書では、純石英(シリカ;SiO2)の屈折率をnO 、クラッドの屈折率をnL 、コアの屈折率をnc としたとき、コアの純石英との比屈折率差ΔC、すなわち、純石英に対するコアの比屈折率差ΔCは、次の(1)式により定義している。
【0006】
ΔC={(nC 2−n0 2)/2nC 2}×100 ・・・・・(1)
【0007】
また、クラッドの純石英との比屈折率差Δ3は、次式(2)により定義している。
【0008】
Δ3={(nL 2−n0 2)/2nL 2}×100 ・・・・・(2)
【0009】
そして、図5には、ΔCが0.3%、Δ3が0のシングルモード光ファイバ(クラッドが純石英により形成されており、nL=n0である)の屈折率分布が、純石英に対する比屈折率差Δの値により示されている。
【0010】
また、前記ファイバグレーティングは、例えばゲルマニウム(Ge)ドープ石英(SiO2)ガラスに強い紫外光を照射することによって、ゲルマニウムの屈折率を高め、それにより、光ファイバのコア内に周期的な屈折率変化を起こさせ、回折格子を形成したものであり、ファイバグレーティングなどのグレーティング形成方法としては、例えば、フェイズマスク法やボログラフィック法が知られている。
【0011】
前記フェイズマスク法は、フェイズマスクの上から紫外光を照射し、回折光を光ファイバなどの光導波路に照射してグレーティングを形成する方法であり、例えば、文献Appl.Phys.Lett.,62,1035.1933等に示されている。また、前記ボログラフィック法は、コヒーレントな2つの紫外光を干渉させて生じた干渉光を光ファイバなどの光導波路に照射してグレーティングを形成する方法である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記波長多重伝送システムにおいて、例えば波長約1550nm帯の光を信号光として使用し、波長約1650nm帯の光を前記監視光として用いることが検討されている。
【0013】
それというのは、光通信における高速大容量化の実現の手段として、システムにおける波長多重化と並行し、エルビウム添加ファイバを用いることにより光信号を光のまま増幅できる光ファイバアンプタイプの光増幅器の開発が盛んに行なわれ、エルビウム添加ファイバの利得領域が波長約1550nmであることから、波長多重伝送システムにおいて、波長約1550nm帯の信号光を信号光として利用し、この信号光波長以外の波長であってシングルモード光ファイバのカットオフ波長(約1700nm)以内の波長の光を監視光と用いるようにしているからである。なお、波長約1700nmを越えると、伝搬光にロスが生じるため、監視光としては使用できない。
【0014】
しかしながら、前記のような、シングルモード光ファイバにファイバグレーティングの形成部を設けた光ファイバ型光部品において、波長約1650nmの光を選択的に反射させる場合、例えば、図6の(a)に示すように、波長約1520nm帯において、透過損失が大きい領域が存在する。
【0015】
なお、このような透過損失が大きい領域は、前記ファイバグレーティングによる光の反射領域(光透過阻止波長帯)に応じて生じるものであり、クラッドモード結合ロスに起因すると考えられている。クラッドモード結合ロスは、光ファイバのファイバグレーティング形成部において、光がコアに閉じこもって伝搬しようとする伝搬モードと、ファイバグレーティングによって反射した光がクラッド側に染み出して伝搬する反射モードとが結合することにより生じるロスである。
【0016】
そのため、光透過阻止波長帯が約1650nm帯のファイバグレーティングの形成部を有する光ファイバ型光部品を、前記波長多重伝送システムにおける監視光反射用(監視光除去用)のフィルタとして用いると、前記監視光を反射できるものの、波長約1550nm帯の信号光の強度レベルも低下してしまうといった問題が生じた。
【0017】
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ファイバグレーティングの形成部を有する光ファイバにおいて生じるクラッドモード結合ロスを抑制することが可能で、例えば波長約1650nm帯の光を確実に反射できると共に、波長約1520nm帯における光透過損失を抑制することができる高アイソレーションの光ファイバ型光部品を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成をもって課題を解決するための手段としている。すなわち、本第1の発明は、センタコアの外周側をサイドコアで覆い、該サイドコアの外周側をクラッドで覆って形成され、前記センタコアの純石英との比屈折率差をΔ1とし、前記サイドコアの純石英との比屈折率差をΔ2とし、前記クラッドの純石英との比屈折率差をΔ3としたときに、Δ1>Δ3>Δ2と成しているW型の屈折率分布を有する光ファイバに、前記センタコアの屈折率が光ファイバ光軸方向に周期的に変化するファイバグレーティングの形成部を設け、前記センタコアの純石英との比屈折率差Δ1の絶対値をサイドコアの純石英との比屈折率差Δ2の絶対値よりも大きく形成し、前記センタコアの純石英との比屈折率差Δ1は0.5%を越え1.5%以下の値とした構成を持って課題を解決する手段としている。
【0019】
また、本第2の発明は、上記本第1の発明の構成に加え、前記サイドコアの純石英との比屈折率差Δ2を−0.35%とし、クラッドの純石英との比屈折率差Δ3を0%とした構成を持って課題を解決する手段としている。
【0021】
さらに、本第3の発明は、上記本第1または第2の発明の構成に加え、前記ファイバグレーティングの形成部はフェイズマスクをかけて1回目の紫外光照射を施した後、前記フェイズマスクを除いて2回目の紫外光照射を施して形成した構成を持って課題を解決する手段としている。
【0022】
さらに、本第4の発明は、上記本第1乃至第3のいずれか一つに記載の発明の構成に加え、前記ファイバグレーティングの形成部による光透過阻止波長帯が約1640nm〜約1660nmと成し、光ファイバの使用波長帯が約1550nm帯である構成を持って課題を解決する手段としている。
【0023】
上記構成の本発明において、光ファイバは、センタコアとサイドコアからなるコアの外周側をクラッドで覆い、センタコアの純石英との比屈折率差をΔ1とし、前記サイドコアの純石英との比屈折率差をΔ2とし、前記クラッドの純石英との比屈折率差をΔ3としたときに、Δ1>Δ3>Δ2と成しているW型の屈折率分布を有する光ファイバ(以下、W型光ファイバと称する)であるために、サイドコアを設けたことによって、コアを伝搬する光がクラッド側に染み出し、本発明の光ファイバ型光部品は、図5の特性線aに示したような屈折率分布を有するシングルモード光ファイバに比べてコアを伝搬する光の伝搬モードが小さくなると推定される。
【0024】
前記の如く、クラッドモード結合ロスは、光ファイバのファイバグレーティング形成部において、光がコアに閉じこもって伝搬しようとする伝搬モードと、ファイバグレーティングによって反射した光がクラッド側に染み出して伝搬する反射モードとが結合することにより生じるロスであるため、本発明のように、前記伝搬モードが小さいと、クラッドモード結合ロスが小さくなると考えられる。
【0025】
そのため、W型光ファイバにファイバグレーティングの形成部を設けた本発明の光ファイバ型光部品は、前記クラッドモード結合ロスを抑制することが可能となり、例えば、ファイバグレーティングの形成部による光透過阻止波長帯を約1640nm〜約1660nmとしたときに、波長約1520nm帯に大きい透過損失領域が生じることが抑制され、使用波長約1550nm帯での波長多重伝送を行なったときに信号光の強度レベルが低下することはなく、上記課題が解決される。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態例の説明において、従来例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略する。図1の(a)には、本発明に係る光ファイバ型光部品の一実施形態例の屈折率分布が示されており、同図の(b)には、この光ファイバ型光部品の斜視構成が模式的に示されている。
【0027】
これらの図に示されるように、本実施形態例の光ファイバ型光部品は、センタコア3の外周側をサイドコア4で覆い、サイドコア4の外周側をクラッド5で覆って形成され、センタコア3の純石英との比屈折率差をΔ1とし、サイドコア4の純石英との比屈折率差をΔ2とし、クラッド5の純石英との比屈折率差をΔ3としたときに、Δ1>Δ3>Δ2と成しているW型の屈折率分布を有する光ファイバ(W型光ファイバ)1に、センタコア3の屈折率が光ファイバ光軸Zに対して周期的に変化するファイバグレーティングの形成部6を設けて構成されている。具体的には、前記Δ1=1.5%、Δ2=−0.35%、Δ3=0である。
【0028】
なお、本明細書では、 センタコア3の屈折率をnCC 、サイドコア4の屈折率をns 、としたとき、センタコア3の純石英との比屈折率差Δ1、すなわち、純石英に対するセンタコア3の比屈折率差Δ1は、次式(3)により定義している。
【0029】
Δ1={(nCC 2−n0 2)/2nCC 2}×100 ・・・・・(3)
【0030】
また、サイドコア4の純石英との比屈折率差Δ2(サイドコア層4の純石英に対する比屈折率差Δ2)は、次式(4)により定義している。
【0031】
Δ2={(nS 2−n0 2)/2nS 2}×100 ・・・・・(4)
【0032】
また、本実施形態例において、クラッド5は純石英(SiO2)により形成されており、センタコア3は、屈折率を高めるゲルマニウムをドープした石英により形成されており、サイドコア4は、屈折率を低くするフッ素をドープした石英により形成されている。センタコア3の純石英に対する比屈折率差Δ1の絶対値(1.5)はサイドコア4の純石英に対する比屈折率差Δ2の絶対値(0.35)よりも大きく形成されている。
【0033】
さらに、本実施形態例では、ファイバグレーティングの形成部6による光透過阻止波長帯を約1640nm〜約1660nmと成し、光ファイバの使用波長帯を約1550nm帯としており、ファイバグレーティングの形成部6は、フェイズマスクをかけて1回目の紫外光照射を施した後、前記フェイズマスクを除いて2回目の紫外光照射を施して形成されている。
【0034】
本実施形態例の光ファイバ型光部品の製造方法は、具体的には以下のような方法である。例えば、まず、光ファイバ1の被覆を除去して裸光ファイバを予め定められた長さ露出させ、露出した裸光ファイバの部分に、光誘起特性の向上を目的とした加圧水素処理を行なう。次に、図4に示すように、フェイズマスク13を通して紫外光のレーザ光Lを照射することにより、1回目の紫外光照射を施してセンタコア3内のゲルマニウムの屈折率を高め、次に、フェイズマスク13を外し、前記レーザ光を照射して2回目の紫外光照射を施して、さらにセンタコア3内のゲルマニウムの屈折率を高め、ファイバグレーティングを形成し、光ファイバ型光部品とする。
【0035】
なお、レーザ光は、例えば、波長248nm、出力350mJのエキシマレーザ等を用いて数分〜数十分照射する。また、フェイズマスク13は、例えば、マスクピッチ1138μm、0次の回折光透過率1%、1次の回折光透過率40%のものを用いると、ファイバグレーティングが非常に的確に形成される。
【0036】
ところで、ファイバグレーティングを有する光ファイバにおいて生じるクラッドモード結合ロスは、前記の如く、光ファイバのファイバグレーティング形成部において、光がコア2に閉じこもって伝搬しようとする伝搬モードと、ファイバグレーティングによって反射した光がクラッド5側に染み出して伝搬する反射モードとが結合することにより生じるロスであるため、本発明者は、前記伝搬モードと反射モードとの結合を減少させるために、前記伝搬モードを小さくすることを考え、この伝搬モードを小さくするために、光ファイバの屈折率分布に着目した。
【0037】
W型光ファイバは、サイドコア4の純石英に対する比屈折率差Δ2がクラッド5の純石英に対する比屈折率差Δ3よりも小さいために、コア2に光が閉じこもって伝搬しようとする伝搬モードが小さくなると考えられる。そこで、本発明者は、ファイバグレーティングの形成部6を設ける光ファイバ1に屈折率の小さいサイドコア4を設け、光ファイバ1の屈折率分布を前記のようなW型の屈折率分布とし、W型光ファイバにファイバグレーティングを設けて本実施形態例の光ファイバ型光部品を形成した。
【0038】
そして、本実施形態例の構成を特定するために、W型光ファイバ1におけるセンタコア3の純石英に対する比屈折率差Δ1とサイドコア4の純石英に対する比屈折率差Δ2の値をパラメータとして、比屈折率差Δ1、Δ2の異なる様々なW型光ファイバ1を形成し、ファイバグレーティングの形成部6による光透過阻止波長帯を約1640nm〜約1660nmとして、この光ファイバにおける透過損失の波長依存性を検討した。
【0039】
その結果、W型光ファイバ1にファイバグレーティングの形成部6を設けた光ファイバ型光部品は、比屈折率差Δ1、Δ2の値によらず、シングルモード光ファイバにファイバグレーティングの形成部を設けた光ファイバ型光ファイバに比べてクラッドモード結合ロスを抑制でき、波長約1520nm帯の透過損失を抑制できることが確認され、特に、比屈折率差Δ1の絶対値が比屈折率差Δ2の絶対値よりも大きいW型光ファイバ1においては、その抑制効果が大きく、その効果を非常に再現性よく発揮できることが確認された。また、比屈折率差Δ1の絶対値を比屈折率差Δ2の絶対値よりも大きくすると、光ファイバ1の光伝搬特性などの光ファイバ特性もよくなる。
【0040】
また、センタコア3の純石英に対する比屈折率差Δ1の値をパラメータとし、Δ1の異なる様々なW型光ファイバ1を形成し、ファイバグレーティングの形成部6による光透過阻止波長帯を約1640nm〜約1660nmとして、この光ファイバ1における波長約1550nmの透過損失を測定することにより、前記クラッドモード結合ロスの抑制効果を検討した。
【0041】
その結果が図3に示されており、同図から明らかなように、比屈折率差Δ1が0.5%を越える値のときに透過損失が小さくなり、さらに、比屈折率差Δ1が約0.8%以上となるとより一層透過損失が小さくなり、さらに、比屈折率差Δ1が約1.3%以上となるとより一層透過損失が小さくなり、クラッドモード結合ロスを著しく低減できることが分かった。そこで、本実施形態例では、センタコア3の純石英に対する比屈折率差Δ1を、0.5%を越える値である1.5%とした。
【0042】
なお、紫外光照射によってファイバグレーティングを形成し、ファイバグレーティングの形成部6による光透過阻止波長帯の光透過損失を、例えば40dBといった予め定められた値にするのに要する時間は、比屈折率差Δ1が小さいW型光ファイバ1に比べて比屈折率差Δ1が大きいW型光ファイバ1の方が短い。この時間とクラッドモード結合ロスの抑制効果の大きさとは比例関係があることから、本発明者は、比屈折率差Δ1が大きいW型光ファイバ1ほどクラッドモード結合ロスを効果的に抑制し、例えば、光透過阻止波長約1640nm〜約1660nmとしたときに、波長1520nmの光透過損失を非常によく抑制することができると推定している。
【0043】
本実施形態例によれば、以上のような検討結果に基づき、Δ1=1.5%、Δ2=−0.35%のW型の光ファイバ1にファイバグレーティングの形成部6を設けて形成したために、クラッドモード結合ロスによる光透過損失を非常によく抑制することが可能となり、光透過阻止波長約1640nm〜約1660nmに応じて生じる、波長約1520nm帯の光透過損失を殆どなくすことができる。
【0044】
また、本実施形態例では、ファイバグレーティングの形成部6は、フェイズマスク13をかけて1回目の紫外光照射を施した後、フェイズマスク13を除いて2回目の紫外光照射を施して形成しており、このように、フェイズマスク13を設けて行なう1回目の紫外光照射とフェイズマスク13を除いて行なう2回目の紫外光照射を行なってファイバグレーティングを形成することにより、本発明者が特願平09―301934号に以前に提案しているグレーティング型光部品の製造方法(未だ公開にはなっていない)と同様に、より一層クラッドモード結合ロスを抑制することができる。
【0045】
図2の(a)には、本実施形態例の光ファイバ型光部品における光透過損失の波長依存性が、波長1450nm〜波長1700nmの範囲について示されており、同図の(b)には、前記波長依存性が、波長1630nm〜波長1670nmの範囲について示されている。また、比較のために、図6の(a)には、従来のシングルモード光ファイバを用いた光ファイバ型光部品おける光透過損失の波長依存性が、波長1450nm〜波長1700nmの範囲について示されており、同図の(b)には、前記波長依存性が、波長1630nm〜波長1670nmの範囲について示されている。
【0046】
これらの図から明らかなように、従来の光ファイバ型光部品において問題であった波長約1520nm帯における光透過損失の大きい領域が、本実施形態例においては殆どなく、本実施形態例では、前記クラッドモード結合ロスに起因する光透過損失を殆ど抑制できることが確認できた。また、波長約1640nm〜波長約1660nmにおける光透過損失は、本実施形態例の光ファイバ型光部品のほうが従来の光ファイバ型光部品よりも大きく、したがって、本実施形態例の光ファイバ型光部品は、この波長帯の光を従来の光ファイバ型光部品よりも確実に透過阻止することができることが確認され、非常に高アイソレーションの光部品であることが確認された。
【0047】
そして、本実施形態例によれば、ファイバグレーティングの形成部6による光透過阻止波長帯を約1640nm〜約1660nmとし、波長約1520nm帯にクラッドモード結合ロスによる透過損失領域が生じることを抑制できるために、使用波長約1550nm帯での波長多重伝送を行なったときに信号光の強度レベルを低下させることなく、前記光透過阻止波長帯の光を反射することができる。そのため、例えばエルビウム添加ファイバを用いた使用波長約1550nm帯の波長多重伝送システムに本実施形態例を適用することにより、信号光の強度レベルを低減させることなく、監視光を確実に反射することが可能となり、非常に優れた波長多重伝送システムの構築を図ることができる。
【0048】
なお、本発明は上記実施形態例に限定されることはなく様々な実施の態様を採り得る。
【0049】
例えば、上記実施形態例では、サイドコア4の純石英に対する比屈折率差Δ2を−0.35%としたが、サイドコア4の比屈折率差Δ2の値は特に限定されるものではなく、適宜設定されるものである。ただし、比屈折率差Δ1の絶対値を比屈折率差Δ2の絶対値よりも大きくすれば、クラッドモード結合ロス抑制や、その他の光ファイバ特性をよくすることができるために、比屈折率差Δ1の絶対値を比屈折率差Δ2の絶対値よりも大きくすることが好ましい。
【0050】
さらに、上記実施形態例では、ファイバグレーティングの形成部6は、フェイズマスク13をかけて1回目の紫外光照射を施した後、フェイズマスク13を除いて2回目の紫外光照射を施して形成したが、ファイバグレーティングの形成部6は、このような2回の紫外光照射により形成するとは限らず。従来のフェイズマスク法のように、1回の紫外光照射により形成してもよいし、フェイズマスク法の代わりに、ホログラフィック法により形成してもよい。
【0051】
さらに、上記実施形態例では、ファイバグレーティングの形成部6による光透過阻止波長帯を約1640nm〜約1660nmと成し、光ファイバの使用波長帯を約1550nm帯としたが、ファイバグレーティングの形成部6による光透過阻止波長帯や光ファイバの使用波長帯は特に限定されるものではなく、適宜設定されるものである。
【0052】
さらに、上記実施形態例では、センタコア3を、ゲルマニウムをドープした石英により形成し、サイドコア4を、フッ素をドープした石英により形成し、クラッド5を純石英により形成したが、センタコア3やサイドコア4、クラッド5を形成する材質は特に限定されるものではなく、適宜設定されるものであり、例えば、センタコア3を、リン(P)やアルミニウム(Al)等の屈折率を高めるドーパントをドープした石英により形成してもよい。なお、この場合、屈折率を高めるドーパントの屈折率を紫外光照射などによってさらに高めることによりファイバグレーティングが形成される。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、光ファイバは、センタコアとサイドコアからなるコアの周りをクラッドで覆い、センタコアの純石英との比屈折率差をΔ1とし、前記サイドコアの純石英との比屈折率差をΔ2とし、前記クラッドの純石英との比屈折率差をΔ3としたときに、Δ1>Δ3>Δ2と成しているW型の屈折率分布を有する光ファイバとしたものであるから、サイドコアを設けたことにより、コアを伝搬する光がクラッド側に染み出し、シングルモード光ファイバに比べてコアを伝搬する光の伝搬モードを小さくすることが可能となると考えられ、光ファイバのファイバグレーティング形成部において、光がコアに閉じこもって伝搬しようとする伝搬モードと、ファイバグレーティングによって反射した光がクラッド側に染み出して伝搬する反射モードとが結合することにより生じるクラッドモード結合ロスを低減させることができる。
【0054】
特に、本発明においては、前記比屈折率差Δ1の絶対値を前記比屈折率差Δ2の絶対値よりも大きく形成したので、クラッドモード結合ロスの抑制効果が大きく、その効果を非常に再現性よく発揮できるし、光伝搬特性などの光ファイバ特性も良くすることができる。
【0055】
さらに、センタコアの純石英に対する比屈折率差Δ1は0.5%を越える値としているので、ファイバグレーティングによる光透過阻止波長領域が予め定められた光透過阻止機能を有するものとなるようにする時間が短くてすむし、クラッドモード結合ロスは、この時間と比例関係にあることから、クラッドモード結合ロスをより一層効果的に抑制することができる。
【0056】
さらに、前記ファイバグレーティングの形成部はフェイズマスクをかけて1回目の紫外光照射を施した後、前記フェイズマスクを除いて2回目の紫外光照射を施して形成した構成のものにあっては、前記クラッドモード結合ロスをより一層確実に抑制することができる。
【0057】
さらに、前記ファイバグレーティングの形成部による光透過阻止波長帯を約1640nm〜約1660nmと成し、光ファイバの使用波長帯を約1550nm帯とした本発明によれば、シングルモード光ファイバにファイバグレーティングの形成部を設けた従来の光ファイバ型光部品と異なり、波長約1520nm帯に大きい透過損失領域が生じることを抑制できるために、使用波長約1550nm帯での波長多重伝送を行なったときに信号光の強度レベルが低下することはなく、信号光強度レベルを高く保持することが可能で、かつ、例えば、光透過阻止波長帯の光を監視光として用いることによって監視光を確実に透過阻止できるようになり、優れた波長多重伝送システムの構築を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光ファイバ型光部品の一実施形態例の構成を、屈折率分布(a)と、斜視構成の模式図により示す要部構成図である。
【図2】上記実施形態例の光透過損失の波長依存性を示すグラフである。
【図3】W型光ファイバにおいて、センタコアの純石英に対する比屈折率差Δ1と光透過損失との関係を示すグラフである。
【図4】上記実施形態例のファイバグレーティング形成部形成方法を断面図により示す説明図である。
【図5】シングルモード光ファイバの屈折率分布の一例を光ファイバの径方向に対して示すグラフである。
【図6】シングルモード光ファイバにファイバグレーティングの形成部を設けて形成した従来の光ファイバ型光部品における光透過損失の波長依存性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 光ファイバ
2 コア
3 センタコア
4 サイドコア
5 クラッド
6 ファイバグレーティングの形成部
13 フェイズマスク
Claims (4)
- センタコアの外周側をサイドコアで覆い、該サイドコアの外周側をクラッドで覆って形成され、前記センタコアの純石英との比屈折率差をΔ1とし、前記サイドコアの純石英との比屈折率差をΔ2とし、前記クラッドの純石英との比屈折率差をΔ3としたときに、Δ1>Δ3>Δ2と成しているW型の屈折率分布を有する光ファイバに、前記センタコアの屈折率が光ファイバ光軸方向に周期的に変化するファイバグレーティングの形成部を設け、前記センタコアの純石英との比屈折率差Δ1の絶対値をサイドコアの純石英との比屈折率差Δ2の絶対値よりも大きく形成し、前記センタコアの純石英との比屈折率差Δ1は0.5%を越え1.5%以下の値としたことを特徴とする光ファイバ型光部品。
- サイドコアの純石英との比屈折率差Δ2を−0.35%とし、クラッドの純石英との比屈折率差Δ3を0%としたことを特徴とする請求項1記載の光ファイバ型光部品。
- ファイバグレーティングの形成部はフェイズマスクをかけて1回目の紫外光照射を施した後、前記フェイズマスクを除いて2回目の紫外光照射を施して形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の光ファイバ型光部品。
- ファイバグレーティングの形成部による光透過阻止波長帯が約1640nm〜約1660nmと成し、光ファイバの使用波長帯が約1550nm帯であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の光ファイバ型光部品。
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