JP3716890B2 - 真空用モ−タの冷却装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空チャンバ内において、半導体製造装置や液晶製造装置などの試料搬送やハンドリングを行うアクチュエータに用いる真空用モータに係り、特に真空用モータの冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば真空環境中での半導体製造工程において、ウェハ搬送用の動力伝達装置に用いられる真空用モータは、固定子鉄心に巻装された電機子巻線の発熱による温度上昇が大気中に比べて激しいため、真空環境を汚すことなく十分な冷却が行われることが要求されている。
従来の回転形の真空用モータの冷却装置について説明する。図3は第1の従来例を示す同装置の断面図である。真空用モータ1は、円筒形状をしたフレーム2と、フレーム2の内側に設けた電機子巻線31を有する固定子鉄心3と、フレーム2の内側に軸受6を介して支持され一端に負荷11を接続した回転軸5と、この回転軸5の外側に嵌着され固定子鉄心3と空隙を介して設けた回転子4とで構成されている。また、真空用モータ1は、図示しない真空排気装置と接続された真空チャンバ8内に置かれ、真空チャンバ8の内周壁面上に水平に固定された熱伝導部材からなるベ−スを介して設置されている。このような構成の真空用モータ1は固定子鉄心3に巻装された電機子巻線31や軸受6などで発生した熱がフレーム2へ伝わり、フレーム2に取り付けであるベース7を介して真空チャンバ8の外周壁面へ伝熱して冷却されるものである。
また、第2の従来例として、真空チャンバの外の大気側に接続しているパイプをフレーム部に設けた水冷ジャケットに埋設して、そのパイプ中に水などの液体を流すことにより、モータの電機子巻線から発生した熱を液体を媒介とし、その液体をチラー等で循環させることで熱伝達により放熱する冷却装置が提案されている。
また、第3の従来例として、フレーム部内に作動流体を封入して、モータの電機子巻線での発生熱を作動流体の蒸発により離れた位置にある凝縮部まで運び、凝縮部で蒸発潜熱を外部へ放出する冷却装置が提案されている(例えば、特開平7ー236256号公報)。
図4は第3の従来例を示す真空用モータの冷却装置の断面図である。図において、第1の従来例と異なる点を説明する。発熱する固定子鉄心3の周囲を囲むフレーム2の内部に作動流体が蒸発する蒸発部となる環状の空洞部12を形成しており、フレーム2には、その上下に間隔を置いて蒸気通路用パイプ13及び液流通路用パイプ14の一端部を接続し、空洞部12と連通する。蒸気通路用パイプ13及び液通路用パイプ14の他端部は真空チャンバ8の外壁部を貫通して外部まで延び、外部において凝縮部15に連通しており、接続具16、17により凝縮部15と着脱自在に接続されている。また、空洞部12、蒸気通路用パイプ13及び液通路用パイプ14、凝縮部15内に水やフロン等の作動流体を封入する。なお、空洞部12の内周壁には毛細管作用を行う金網等からなるウイック12aが張設されている。ここで、13a、14aはそれぞれモータ側の蒸気通路用、液通路用パイプで、13b、14bはそれぞれ凝縮部側の蒸気通路用、液通路用パイプである。
このような構成において、真空用モータ1の作動により電機子巻線31が発熱すると、この熱はフレーム2の内壁部を介して空洞部12に伝達され、空洞部12内でウイック12aの作動流体の蒸発によって取り去られる。この作動流体の蒸発により、空洞部12内の気圧が凝縮部15内の気圧よりも高くなり、両部間で圧力差が生じ、上記の蒸発した作動流体の蒸気は、フレーム2の空洞部12から蒸気通路用パイプ13を経て凝縮部15内へ移動せしめられ、凝縮部15を通じて蒸発潜熱が外部へ放出されて凝縮し、それから凝縮により液化した作動流体は液通路用パイプ14を経て空洞部12へ戻るようにしてある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、第1の従来例の真空用モータの冷却装置において、回転軸端部に負荷11を取り付けた真空用モータ1を回転させると、真空用モータ1の主要な発熱部位である電機子巻線31のジュール熱や軸受の摩擦熱などの影響を受けて、その熱がフレーム2が固定されているベース7を介して真空チャンバ8の外周壁面から放熱されるが、この伝熱経路以外には、電機子巻線31あるいは固定子鉄心3からの輻射熱として、固定子鉄心3と空隙を介している回転子4、回転子4を嵌合する回転軸5に伝熱される経路がある。このような伝熱経路を通った熱で回転子4および回転軸5の温度が上昇して変形を起こしたり、回転軸5の温度上昇に伴ってその接触要素である軸受6が変形を生じて破損を起こすという問題があった。
また、第2の従来例および第3の従来例に示した冷却装置では、固定子鉄心3側の熱を真空チャンバ8の外部へ強制的に熱伝達し放熱することができるが、電機子巻線31あるいは固定子鉄心3の輻射熱により回転子4へ伝熱したり、あるいは回転軸5の負荷11により発生する熱が回転軸5に伝わったりして、回転子4および回転軸5の温度上昇する問題があった。
また、第3の従来例は冷却用配管で接続されているため熱輸送経路が長くなり構造が複雑化し、メンテナンス等の分解、組立時においてモータ本体に接続する冷却用配管を真空チャンバ8から取り外して作業を行わなくてはならず作業性が悪く、コストがかかるという問題もあった。
そこで、本発明は第1の目的は、真空中において、電機子巻線や軸受で発生した熱を効率良く真空チャンバ外へ放熱し、回転軸の変形あるいは軸受の破損などの問題を解消することのできる真空用モータの冷却装置を提供することにある。
また、第2の目的は、冷却装置のメンテナンス等の分解、組立時の作業を解消し、作業コストのかからない構造が簡単な真空用モータの冷却装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、本発明は真空チャンバと、この真空チャンバの内周壁面上に固定されたベ−スと、このベ−スを介して設置された真空用モータと、を備え、前記真空用モータが、前記ベ−スと垂直方向に設けたフレームと、このフレームの内側に設けた電機子巻線を有する固定子鉄心と、前記フレームの内側に軸受を介して支持され一端に負荷を接続した回転軸と、この回転軸の外側に嵌着され前記固定子鉄心と空隙を介して設けた回転子とで構成される真空用モータの冷却装置において、前記回転軸は、反負荷側から負荷側に向かって穿設された中空部を有するカップ状に形成されたものからなり、前記フレームは、反負荷側の端面に前記回転軸の軸径より大きな穴部を有するベ−ス取付け面が形成されるとともに、前記ベ−スの上面には、前記ベ−ス取付け面の間に設けた穴部から前記中空部の負荷側の端面に向かって前記回転軸と僅かな空隙を介して同軸状の伝熱用固定軸を設けたものである。
また、前記伝熱用固定軸は、冷却流体を流通させる冷却用通路を配設してあるものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明を図に示す実施例について説明する。
図1は本発明の第1の実施例を示す真空用モータの断面図である。従来例と同じ構成要素については同一符号を付し、その説明は省略する。
真空用モータ1が真空チャンバ8内のベース7に固定された構成は第1の従来例と同じである。従来例と異なる点は、真空用モータ1において、回転軸5が、反負荷側から負荷側に向かって穿設された中空部51を有するカップ状のものからなり、フレーム2は、反負荷側の端面に回転軸5の軸径より大きな穴部21を有するベ−ス取付け面22が形成されるとともに、ベ−ス7の上面には、ベ−ス取付け面22の間に設けた穴部21から中空部51の負荷側の端面に向かって回転軸5と僅かな空隙を介して同軸状の伝熱用固定軸9を設けたものである。なお、伝熱用固定軸9は高熱伝導性の材料からなるものである。
このような構成において、動作について説明する。
真空チャンバ8の内部で回転軸端部に負荷11を取り付けた真空用モータ1を回転させると、電機子巻線31や軸受6からの発生熱がフレーム2へ伝熱し、フレーム2からベース7を介して真空チャンバ8の外周壁面から放熱されることになる。また、電機子巻線31あるいは固定子鉄心3からの輻射熱として固定子鉄心3と空隙を介している回転子4に熱が伝わる。この回転子4に伝わった熱は、回転子4の内周を嵌着している回転軸5に熱伝導し、回転軸5と僅かな空隙を介して設けた伝熱用固定軸9へ輻射により伝熱した後、伝熱用固定軸9からベース7、真空チャンバ8の外周壁面へと熱を伝える。真空チャンバ8は真空用モータ1に比べて熱容量が大きいうえ、真空チャンバ8の外周壁面は、大気に接しているため自然対流により放熱がおこなわれ、真空用モータ1の温度上昇は抑制される。
したがって、真空用モータ1の運転による電機子巻線31等からの発熱は、固定子鉄心3のフレーム2から真空チャンバ8へと伝熱する以外に、回転軸5の内側から伝熱用固定軸9へ輻射熱により伝熱されるため、回転子4および回転軸5ならびに軸受6で発生した熱を効率良く真空チャンバ8外へ放熱し、さらに回転軸4の温度上昇に伴う変形あるいは軸受6の破損などの問題を解消することもできる。
【0006】
図2は第2の実施例を示す真空用モータの断面図である。第1の実施例と異なる点は、伝熱用固定軸9の内部に冷却用通路10を配設したものである。冷却用通路10の両端口は、図示していないチラーへと接続されている。
このような構成において、チラー(図示せず)から冷却用通路10に冷却水を流通させることによって伝熱用固定軸9の内部に冷却水が循環するので、真空用モータ1の電機子巻線からの発熱で回転軸に伝熱された熱は伝熱用固定軸9の内部に循環する冷却水と熱交換されるようにしてある。
したがって、回転子4および回転軸5ならびに軸受6で発生した熱による温度上昇をさらに抑制することができ、効率良く真空チャンバ8外へ放熱することができる。
また、ベース7に固定した伝熱用固定軸9の内部に冷却用通路10を配設した簡単な構造のため、冷却装置としてのメンテナンス等の分解、組立時の作業をなくし、作業コストがかからない真空用モータの冷却装置を得る効果がある。
【0007】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、真空用モータの運転で発生した熱を従来のようにフレームなどの固定側から熱伝導をおこなう以外に、中空部を有する回転軸の内側から僅かな空隙を介して設置している伝熱用固定軸へ、輻射熱として伝熱する経路を考慮した構成を設けてあるため、真空中において、電機子巻線や軸受で発生した熱を効率良く真空チャンバ外へ放熱することのできる真空用モータの冷却装置を得る効果がある。これにより回転軸の変形あるいは軸受の破損の問題も解消することができる。
また、冷却装置のメンテナンス等の分解、組立時の作業をなくすことができるため、作業コストがかからず、構造を簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例を示す真空用モータの冷却装置の断面図である。
【図2】 本発明の第2の実施例を示す真空用モータの冷却装置の断面図である。
【図3】 第1の従来例を示す真空用モータの冷却装置の断面図である。
【図4】 第3の従来例を示す真空用モータの冷却装置の断面図である。
【符号の説明】
1: 真空用モータ
2:フレーム
21:穴部
22:フレ−ム取付け面
3:固定子鉄心
31:電機子巻線
4:回転子
5:回転軸
51:中空部
6:軸受
7:ベース
8:真空チャンバ
9:伝熱用固定軸
10:冷却用通路
11:負荷
Claims (2)
- 真空チャンバと、この真空チャンバの内周壁面上に固定されたベ−スと、このベ−スを介して設置された真空用モータとを備え、前記真空用モータが、前記ベ−スと垂直方向に設けたフレームと、このフレームの内側に設けた電機子巻線を有する固定子鉄心と、前記フレームの内側に軸受を介して支持され一端に負荷を接続した回転軸と、この回転軸の外側に嵌着され前記固定子鉄心と空隙を介して設けた回転子とで構成される真空用モータの冷却装置において、
前記回転軸は、反負荷側から負荷側に向かって穿設された中空部を有するカップ状に形成されたものからなり、前記フレームは、反負荷側の端面に前記回転軸の軸径より大きな穴部を有するベ−ス取付け面が形成されるとともに、前記ベ−スの上面には、前記ベ−ス取付け面の間に設けた穴部から前記中空部の負荷側の端面に向かって前記回転軸と僅かな空隙を介して同軸状の伝熱用固定軸を設けたことを特徴とする真空用モータの冷却装置。 - 前記伝熱用固定軸は、冷却流体を流通させる冷却用通路を配設してある請求項1に記載の真空用モータの冷却装置。
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