JP3716423B2 - 導電性樹脂チューブおよび導電性ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアミドをベースとする導電性樹脂組成物およびそれを用いた成形体に関する。さらに詳しくいえば、耐熱老化性および耐劣化ガソリン性が改善され、耐燃料油性、帯電防止、伸び、柔軟性等の物性バランスが良好でチューブ内管材として有用なポリアミドをベースとした導電性樹脂組成物およびそれを用いたチューブに関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂に導電性を付与した材料は、静電防止成形品、面発熱体、CVケーブル、導電性塗料、導電性インク、IC包装材、電磁波シールド材、その他非常に広範囲にわたって使用されている。また、燃料の搬送の際には、摩擦により静電気が発生するが、この静電気を除去するために導電性を付与した樹脂チューブが用いられている。
樹脂に導電性を付与する手段としては、例えば、カーボンブラックを初めとする炭素質材料を樹脂に添加する方法がもっとも一般的であり(特開平7-286103号、特公平8-43902号)、ポリアミド樹脂においても導電性カーボンブラックを配 合することにより、導電性ポリアミド樹脂が得られることは周知である。しかし、導電性カーボンブラックを混合すると耐熱老化性が低下するという欠点がある。さらに、燃料用チューブとして使用する場合、耐劣化ガソリン性が著しく劣ってしまう。
【0003】
一般にポリアミド樹脂の耐熱老化性を向上させるためにフェノール系あるいは有機リン酸系の耐熱安定剤を加えることが知られているが、導電性カーボンブラックを配合したポリアミド樹脂ではその効果が小さく、ほとんど改善されない。特公平3-61701号には、導電性カーボンブラックを含むポリアミドにヨウ化銅 とヨウ化カリウムを配合して耐熱老化性を改善することが記載されているが、ヨウ化銅およびヨウ化カリウムはポリアミド樹脂と相溶しないため均一に分散させることが困難である。また、チューブ状に押出した際の成形肌(ホース押出し成形肌)が悪くなるという問題点がある。さらに、劣化ガソリン性はほとんど改善されない。
また、ナイロン6のモノマー(6−へキサンラクタム)にフェノール系、2級アミン系、ヒンダードアミン系老化防止剤を添加し酸化防止効果を研究した報告があるが、これはカーボンブラックの添加とは関係なく、老化防止剤のナイロンにおける物理的特性の老化防止効果を検討したものでもない(Lanska, B., Polym. Degrad. Stab., 53 (1996) 99-109)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、導電性、耐熱老化性および耐劣化ガソリン性に優れた樹脂組成物を得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、導電性カーボンブラックを配合した導電性ポリアミド樹脂の耐熱老化性および耐劣化ガソリン性の両者を向上させるための添加剤について検討した結果、芳香族二級アミンがこの導電性ポリアミド樹脂の耐熱老化性および耐劣化ガソリン性の両者を向上させることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の導電性ポリアミド樹脂組成物およびこれを用いたチューブを提供する。
【0006】
(1) ポリアミド樹脂100重量部に対し、導電性カーボンブラック6〜15重量部および芳香族二級アミン0.3〜5重量部を含有せしめた導電性ポリアミド 樹脂組成物で形成されていることを特徴とする導電性樹脂チューブ。
(2) 最内層が前記(1)に記載の導電性ポリアミド樹脂組成物で形成されている多層導電性樹脂チューブ。
(3) ポリアミド樹脂がナイロン11またはナイロン12である前記(1)または(2)に記載の導電性樹脂チューブ。
(4) 燃料用である前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の導電性樹脂チューブ。
(5) 前記(1)乃至(4)のいずれかに記載のチューブの外周の一部または全部に、ゴムまたは熱可塑性エラストマーにより形成された保護部材を配設して成る構造体。
(6) ポリアミド樹脂100重量部に対し、導電性カーボンブラック6〜15重量部および芳香族二級アミン0.3〜5重量部を含有せしめたことを特徴とする 導電性ポリアミド樹脂組成物。
(7) 前記(6)に記載のポリアミド樹脂組成物からなる成形体。
【0007】
【発明の実施の形態】
(I)樹脂組成物
本発明の導電性樹脂組成物は、ポリアミド樹脂、導電性カーボンブラックおよび芳香族二級アミンを必須成分とし、必要に応じその他の成分を含む。以下、各成分について詳述する。
【0008】
(a)ポリアミド
本発明の導電性組成物においては、幅広い範囲のポリアミドを用いることが可能である。例えば、ε−カプロラクタム(すなわち、6−へキサンラクタム)、6−アミノカプロン酸、ω−エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、ω−ラウロラクタム、12−アミノドデカン酸、α−ピロリドン、α−ピペリドンの重合体;へキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどのジアミンとテレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、シクロヘキサンジカルボン酸などのジカルボン酸とを重縮合して得られる重合体;上記の二種以上のモノマーからなる共重合体などが挙げられる。また、これら(共)の重合体の混合物も用いることができる。
さらに、これらの(共)重合体成分と上記のポリアミド鎖を含む共重合体も用いることができる。このような共重合体の例としてはポリカプロラクトンやポリテトラメチレングリコールなどのソフトセグメントとの共重合体であるポリエーテルアミドやポリエステルアミドなどのエラストマーが挙げられる。
【0009】
これらのポリアミドの中でも、柔軟性とガソリン不透過性の良好な、脂肪族鎖を主体とするポリアミド、すなわちナイロンが好ましく、柔軟性とガソリン不透過性および耐衝撃性バランスに優れ、吸湿による物性変化の少ない、ナイロン11、ナイロン12あるいはこれらのモノマー(11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸)を主成分としたポリアミドが特に好適に用いられる。
ポリアミドの数平均分子量は、耐衝撃性、押出し加工性の点から10,000以上であることが好ましい。
【0010】
(b)導電性カーボンブラック
一般に導電性カーボンブラックは、ストラクチャーが高度に発達し、粒子表面に不純物が少なく、比表面積が大きいことが必要条件とされるが、本発明においては、JIS K-6221(1970)により測定したDBΡ吸油量が好ましくは300ml/100g以上で、BET式(N2)の比表面積が好ましくは500m2/g以上の導電性カーボンブラックが好適に用いられる。DBΡ吸油量あるいは比表面積が上記の範囲外であると十分な導電性が得られない場合がある。
本発明にて使用することができる上述の如き導電性カーボンブラックの例としては、例えばオランダ国アクゾ社よりケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックEC600JDの商品名で販売されているものが挙げられる。
本発明ポリアミド樹脂組成物中の導電性カーボンブラックの量は、ポリアミド樹脂100重量部に対し6〜15重量部を用いる。6重量部より少ないと導電性が安定しない。15重量部より多い場合、導電性は安定するがチューブ成形肌が著しく悪化する。好ましくは7〜13重量部添加する。
【0011】
(c)芳香族二級アミン
本発明においては、芳香族二級アミンの添加により、導電性ポリアミド樹脂の耐熱老化性および耐劣化ガソリン性の両者を同時に改善する。
本発明で用いることができる芳香族二級アミンは、窒素原子に1〜2個の芳香族基が結合したアミン類である。このような芳香族二級アミンの例としては、以下のような化合物群が挙げられる。それぞれについて化合物例を示す(但し、これは例示であり本発明で使用できる化合物を限定するものではない。)。
【0012】
(i)ナフチルアミン類:
フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミンなど。
(ii)ジフェニルアミン類:
N−フェニル−N′−(p−トルエン−スルフォニル)−p−フェニレンジアミン、4,4′−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、4,4′−ジオクチル−ジフェニルアミンなどの置換ジフェニルアミン;
アセトンとジフェニルアミンの反応生成物、アセトンとアニリンとジフェニルアミンの反応生成物、ジイソブチレン等とジフェニルアミンの反応物;
オクチル化ジフェニルアミンなどのアルキル化ジフェニルアミン;
アルキル化ジフェニルアミン類の混合物、アルキルおよびアラルキルで置換されたフェノールとアラルキル化されたジフェニルアミンとの混合物;
その他のジフェニルアミン誘導体など。
【0013】
(iii)p−フェニレンジアミン類:
N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−ヘプチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−オクチル−p−フェニレンジアミン、N−クロロヘキシル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−(3−メタクリロイルオキシ−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミンなどの窒素原子の少なくとも1つに芳香族基が結合したp−フェニレンジアミン;
N,N′−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N′−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−ペンチル−p−フェニレンジアミンなどの窒素原子の少なくとも1つに炭素数5個以上のアルキル基が結合したp−フェニレンジアミン;
ジオクチル化フェニレンジアミンなどのアルキル化されたフェニレンジアミン;
N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミンとアセトンの反応物などのp−フェニレンジアミン類とケトンの反応物;
N,N′−ジアリル−p−フェニレンジアミン類の混合物、ジオクチル化フェニレンジアミンおよびジフェニル−p−フェニレンジアミンの混合物、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミンおよび6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの混合物などのp−フェニレンジアミンの混合物。
【0014】
これらの芳香族二級アミンの中でも、ガソリンに対して溶解度が小さいフェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン;N−フェニル−N′−(p−トルエン−スルフォニル)−p−フェニレンジアミン、4,4′−ビス(α,α−ジメチルべンジル)ジフェニルアミンなどの置換ジフェニルアミン、アセトンとジフェニルアミンの反応生成物、アセトンとアニリンとジフェニルアミンの反応生成物、オクチル化ジフェニルアミン;N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミンなどが好適に用いられる。
【0015】
本発明組成物中の芳香族二級アミンの添加量はポリアミド樹脂100重量部に対し、0.3〜5重量部である。0.3重量部より少ないと耐熱老化性および耐劣化ガソリン性の効果が小さく、5重量部より多いとブルームの発生が著しく好ましくない。好ましくは0.5〜3重量部添加する。
【0016】
(d)その他の成分
本発明のポリアミド樹脂組成物は、その柔軟性を改良するために、例えば、芳香族スルホンアミド系あるいはp−ヒドロキシ安息香酸系等の可塑剤あるいはアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化NBR、マレイン化エチレン−プロピレンゴム(EPR)、マレイン化エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等のゴム成分を必要に応じて混合することができる。
【0017】
(II)成形体
本発明の導電性ポリアミド樹脂は通常のポリアミド樹脂と同様に種々の成形加工に供することができる。例えば、射出成形、押出成形、ブロー成形、圧縮成形、回転成形、注型成形あるいは粉末加工、溶液コーティング、接合、機械加工などによる成形、加工が挙げられる。成形品の形状は限定されず、チューブ、シート、任意形状の成形体とすることできる。その用途としては、静電防止成形品、面発熱体、CVケーブル、導電性塗料、導電性インク、IC包装材、電磁波シールド材などが含まれる。特に、本発明の導電性ポリアミド樹脂は、柔軟性、耐燃料油性に優れることから、ガソリンや軽油などの炭化水素系流体の搬送のために用いるチューブ材料として有用である。
従って、本発明によれば、上述の導電性ポリアミド樹脂を用いた、柔軟性、耐熱特性に優れた樹脂チューブが提供される。このようなチューブは、公知の押出し機で形成される。
また、本発明によれば、このようなチューブを少なくとも2層以上のチューブの最内層として帯電した流体、主に燃料油によって発生する静電気を除去する目的で使用した多層燃料チューブが提供される。チューブの構造や寸法は用途によるが、例えば、車両などにおいてガソリンあるいは軽油タンクから燃料を送るチューブでは、通常、0.05〜0.6mm程度の厚みの本発明の樹脂組成物層を内層と し、その外側に0.4〜0.95mm程度の厚みの外層を設ける。もっとも、これら各 層、特に外層の厚みは任意に変更可能である。
【0018】
外層には前記の各種ポリアミド、エピクロルヒドリンゴム、NBR、NBRとポリ塩化ビニルの混合物、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、アクリルゴム(ACM)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、NBRとEPDMの混合物ゴム、塩化ビニル系、オレフィン系、エステル系、アミド系等の熱可塑性エラストマー等を用いることができる。また、最内層材との接着を考慮して同種のポリアミド、ゴムを外層または中間層に用いることができる。必要であれば、中間層と最外層との間にさらに本発明の樹脂層を設けてもよい。あるいは最内層と最外層を本発明の樹脂層とし、中間層に強度付与材料を用いてもよい。
このような多層チューブは、慣用の手法、例えば、多層押出などにより一時に製造してもよいし、本発明のチューブを製造し、その外周に塗布、巻き付けなどにより他の材料層を形成してもよい。
【0019】
このように成形した多層チューブの外周の全部または一部には、石ハネ、他部品との摩耗、耐炎性を考慮してエチレン−プロピレンゴムや塩化ビニル系、オレフィン系等の熱可塑性エラストマーから構成するソリッドまたはスポンジ状の保護部材(プロテクター)を配設することができる。保護部材は既知の手法によりスポンジ状の多孔体としてもよい。多孔体とすることにより、軽量で断熱性に優れた保護部を形成できる。また、材料コストも低減できる。あるいは、ガラス繊維などを添加してその強度を改善してもよい。保護部材の形状は特に限定されないが、通常は、筒状部材または多層チューブを受け入れる凹部を有するブロック状部材である。筒状部材の場合は、予め作製した筒状部材に多層チューブを後で挿入したり、あるいは多層チューブの上に筒状部材を被覆押出しして両者を密着して作ることができる。両者を接着させるには、保護部材内面あるいは前記凹面に必要に応じ接着剤を塗布し、これに多層チューブを挿入または嵌着し、両者を密着することにより、多層チューブと保護部材の一体化された導電性樹脂チューブ構造体を形成する。
【0020】
【実施例】
以下、本発明による実施例およびこれに対比される比較例を挙げる。なお、これらの例で用いた材料および試験法は以下の通りである。
(I)材料
(a)ポリアミド:
(a−1)ナイロン11
RILSAN BESN O P40TL(エルフアトケム社製)
(a−2)ナイロン12
RILSAN AESN O P40TL(エルフアトケム社製)
(b)導電性カーボンブラック:
(b−1)ケッチェンブラックEC〔アクゾ社製〕
比表面積:1000m2/g;吸油量:350ml/100g
(b−2)ケッチェンブラックEC600JD〔アクゾ社製〕
比表面積:1270m2/g;吸油量:495ml/100g
(c)芳香族二級アミン
(c−1)芳香族二級アミン−A:N−フェニル−N’−(p−トルエン−スルフォニル)−p−フェニレンジアミン〔大内新興化学工業株式会社製ノクラックTD〕
(c−2)芳香族二級アミン−B:4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン〔大内新興化学工業株式会社製ノクラックCD〕
(c−3)芳香族二級アミン−C:フェニル−1−ナフチルアミン〔大内新興化学工業株式会社製ノクラックPA〕
(c−4)芳香族二級アミン−D:オクチル化ジフェニルアミン〔大内新興化学工業株式会社製ノクラックAD−F〕
(c−5)芳香族二級アミン−E:N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン〔大内新興化学工業株式会社製ノクラックDP〕
(c−6)芳香族二級アミン−F:N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン〔大内新興化学工業株式会社製ノクラックホワイト〕
(c−7)芳香族二級アミン−G:N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン〔大内新興化学工業株式会社製ノクラック810NA〕
(c−8)芳香族二級アミン−H:N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)フェニレンジアミン〔大内新興化学工業株式会社製ノクラック6C〕
【0021】
(II)試験法
(i)表面抵抗(GM213法)
チューブ状に成形した長さLの試料の両端に、チューブの内径dより0.1mm大きな直径を有する銅製の円柱をそれぞれ深さaだけ挿入して円柱間の抵抗値Rを測定し、次式により表面抵抗Rsを算出した。
【数1】
Rs(Ω/sq)=R・πd/(L−2a)
(ii)耐燃料油性
チューブ状試験材内に疑似劣化ガソリン〔ラウロイルパーオキサイドを5wt%を含む試験燃料油C(JIS K-6258)Fuel C(トルエン50vol%+イソオクタン50vol%)〕を60℃で360時間循環した後、チューブを半割し内層側を外側に180℃折り曲げ後クラックの有無を確認した。
(iii)機械的強度および耐熱老化性
射出成形機により1mmシートを成形し、ASTM D-638タイプIV試験片を打ち抜きにより成形し,破断伸びを測定した。また、この試験片を120℃で168時間熱老化させ、同様に破断伸びを測定した。
【0022】
実施例1〜15
表1および表2に示す量比で、ポリアミド、導電性カーボンブラックおよび芳香族二級アミンを2軸押出機に投入し、設定温度200℃、スクリュー回転数320rpmで混練押出してペレット化した。
2層押出チューブ成形機を用いて、前記ポリアミド・導電性カーボンブラック・芳香族二級アミン組成物を内層(厚さ:0.2〜0.25mm)とし、同種類のポリ アミド(但し、導電性カーボンブラックと二級アミンは加えない。)を外層とした2層チューブを作成した。この2層チューブについて、チューブ成形性(肉眼による目視検査)、上記の試験法によるチューブ内層の表面抵抗および耐劣化ガソリン性を測定した。
また、前記ポリアミド・導電性カーボンブラック・芳香族二級アミン組成物からなる試験片について、上記の試験法により機械的強度および耐熱老化性を測定した。
結果を表1および表2に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
比較例1〜5
表3に示す量比で、ポリアミド、導電性カーボンブラックおよび芳香族二級アミンを用い、実施例1〜6と同様に2層チューブを作成し、この2層チューブについて、チューブ成形性(肉眼による目視検査)、上記の試験法によるチューブ内層の表面抵抗および耐劣化ガソリン性を測定した。また、前記ポリアミド・導電性カーボンブラック・芳香族二級アミン組成物からなる試験片について上記の試験法により機械的強度および耐熱老化性を測定した。
【0026】
【表3】
【0027】
上記の結果に示されるように、ポリアミド樹脂は本来耐熱老化性に優れた材料であるが(比較例1)、導電性カーボンブラックの添加によりこの特長は大きく損なわれる(比較例2〜4)。しかるに、本発明に従い芳香族二級アミンを添加することにより、耐熱老化性の低下は著しく抑制される(実施例1〜15)。また、本発明で規定する範囲の量で添加剤を加えることにより、成形性にも優れたバランスの採れた特性を得ることができる。
【0028】
比較例6
芳香族二級アミンに代えてフェノール系老化防止剤(1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−ベンゼン(SEENOX 326M(シプロ化成))を用いた他は実施例2と同様(量比は表1の実施例2における値と同様。)にポリアミド・導電性カーボンブラック・フェノール系老化防止剤からなる組成物を製造し、上記の耐熱老化性試験を行なった。結果(破断伸び)は、初期値が250%であるのに対し、老化後が80%と大きく劣化した。また、前記の疑似劣化ガソリン中60℃で360時間保持して、劣化燃料油中での老化を行なった後、同様に破断伸びを測定したところ、老化後の破断伸びは70%と劣化が顕著であることが確認された。
【0029】
実施例16
外層のポリアミドをNBRと塩化ビニルのブレンド物に変更した他は実施例1と同様にして、内層にポリアミド・導電性カーボンブラック・芳香族二級アミン組成物を有する外径14mmの二層チューブを形成した。これを径15mmの孔を有するEPDM製チューブ(厚み2mm)の孔内に挿入し、本発明の二層チューブ−プロテクター構造体を形成した。
プロテクターを備えたこの管状構造体は、外部からの機械的あるいは熱的な衝撃に長期に亘って耐える燃料搬送管として有用であることが確認された。
【0030】
【発明の効果】
本発明に従い、ポリアミドに導電性カーボンブラックと芳香族二級アミンとを含有させた組成物を用いることにより、成形性、導電性、耐燃料油性、機械的強度および耐熱老化性に優れた成形体を得ることができる。従って、本発明の組成物をチューブの最内層として用いることにより、燃料などの炭化水素流体の搬送に適したチューブを得ることができる。
Claims (4)
- ポリアミド樹脂100重量部に対し、導電性カーボンブラック6〜15重量部および芳香族二級アミン0.3〜5重量部を含有せしめた導電性ポリアミド樹脂組成物で形成されていることを特徴とする燃料チューブ。
- 最内層が請求項1に記載の導電性ポリアミド樹脂組成物で形成されている多層燃料チューブ。
- ポリアミド樹脂がナイロン11またはナイロン12である請求項1または2に記載の燃料チューブ。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載のチューブの外周の一部または全部に、ゴムまたは熱可塑性エラストマーにより形成された保護部材を配設して成る構造体。
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