JP3715701B2 - 切削加工用超音波ホーン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被加工物に対して超音波切削加工を行なう切削加工用超音波ホーンに係り、特に、かかる超音波切削加工を、優れた切削加工精度をもって、良好に行なうことが出来、とりわけ、軟質部材から成るパイプ部材等に対する内径切削加工を行なう際に、該パイプ部材の内径が所定の寸法となるように、確実に加工し得る切削加工用超音波ホーンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、被加工物に対して所定の切削加工を行なう際には、加工作業の種類等に応じて、各種の工作機械が用いられているが、その中でも、種々の切削加工を行ない得るNC旋盤が、多用されている。
【0003】
ところが、かかるNC旋盤においては、被加工物に対して所定の切削加工を行なう際に、細かい粉状の切屑が不可避的に且つ多量に発生することから、そのような切屑を除去するために、面倒で、手間のかかる作業が必要となるといった欠点を有していた。
【0004】
このため、特に、かかるNC旋盤を用いて、所定のパイプ部材の端部に対して、その内径の切削加工を行なう際には、細かい粉状の切屑が、パイプ部材の内部に生ぜしめられることになるところから、そのような切屑をパイプ部材内から完全に除去することが困難であった。
【0005】
また、被加工物であるパイプ部材が、オレフィン系エラストマー等の軟質材料にて構成されている場合には、切削刃の切れが悪くなって、切削面に肌荒れが生ずるといった、極めて大きな問題も惹起されていたのである。
【0006】
一方、近年では、被加工物に対する切削加工として、超音波加工機等を用いた切削加工、所謂超音波切削加工も、行なわれている。この超音波切削加工は、よく知られているように、先端部に切削刃が設けられて成る切削加工用超音波ホーンが超音波加工機等に取り付けられ、該加工機に備えられた超音波発振器によって、該超音波ホーンが超音波振動せしめられることにより、該切削刃にて、被加工物に対して所定の切削加工が行なわれ得るようになっている。
【0007】
このような超音波切削加工においては、切屑が一つの塊状物として得られ、切屑の除去が簡単に、且つ完全に為され得るばかりでなく、被加工物が、オレフィン系エラスマー等の軟質材料にて構成されていても、良好な切削面が得られるのであり、しかも、NC旋盤を用いる場合に比して、加工時間が約半分で済むといった極めて大きなメリットを得ることが出来るのである。
【0008】
従って、そのような超音波切削加工を利用して、パイプ部材の端部の内径切削加工を行なう場合、NC旋盤を用いた際に惹起される問題が悉く解消され得るのであるが、実際には、超音波加工機に取り付けられる超音波ホーンの構造に起因して、幾つかの問題が、新たに生ぜしめられることとなる。
【0009】
すなわち、図12に示される如く、切削加工用超音波ホーン48は、一般に、ホーン本体12と、該ホーン本体12の端部に一体的に設けられた、所定の肉厚を有する筒状の切削刃14とを有しており、またその切削刃14の先端部には、筒形の内側角部が切除されて成る鋭利な刃先部22が形成されている。それによって、該切削刃14における刃先部22の内周面が、刃先部先端からホーン本体12の方向に向かって内方に傾斜する内側案内面部50として構成されているのである。
【0010】
そのため、そのような構成とされた超音波ホーン48を用いて、前記した如きオレフィン系エラスマー等の軟質材料から成るパイプ部材の端部の内径切削加工を行なう場合には、図13からも明らかなように、超音波ホーン48の切削刃14が、パイプ部材52の端部における内周部42を切削しつつ、その内孔内に徐々に挿入せしめられる際に、該切削刃14の刃先部22の内側に形成された内側案内面部50により、該パイプ部材52の切除部分たる前記内周部42に対して、かかる部位を内方に向かって斜め下方(図13中、矢印方向)に押圧する押圧力が加えられ、それによって、該パイプ部材52における、切削刃14の進行方向の前方部分45に対して、該前方部分45を内方に引き込む作用力が及ぼされて、該前方部分45が、くびれるように撓まされ、その結果、該パイプ部材52の端部が、その軸心方向に沿って真っ直ぐに切削されずに、図14に示される如く、断面ハの字状に切削されて、切除されるべき内周部42ではなく、残存せしめるべき外周部44が切除されてしまうようになるのである。
【0011】
また、そのようなパイプ部材52の端部の内径切削加工を行なう際には、切削スピードが遅いと、切削刃14やホーン本体12に与えられる超音波振動によって、該パイプ部材52の、切削刃14により切除される内周部42とその残存部分たる外周部44との分割面、即ち該パイプ部材52の切削面46と切削刃14との接触部位が高温となり、該切削面46において「溶け」が発生するといった問題も惹起せしめられることとなるのである(図13参照)。
【0012】
このように、超音波切削加工を利用して、パイプ部材52、特に軟質材料からなるパイプ部材52の端部の内径切削加工を行なっても、従来の超音波ホーン48では、良好な切削が為され得ず、また場合によってはパイプ部材52の切削面に「溶け」が生じて、所定の内径を有する良質な製品を得ることが極めて困難であったのである。
【0013】
また、そのようなパイプ部材52の端部の内径切削加工に限らず、各種の形状を有する被加工物に対して、種々の超音波切削加工を行なう際にも、該パイプ部材52の端部の内径切削加工時と同様にして、従来の超音波ホーン48の構造に起因して、切削面に「溶け」が生じたり、或いは被加工物が軟質材料からなるものであると、加工工程中に被加工物が変形して、切削加工精度が損なわれたりする場合があり、その場合には、最終的に得られる製品の品質が著しく低下するといった、大きな問題が惹起せしめられていたのである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、被加工物に対して超音波切削加工を行なう際に生ぜしめられる、該被加工物における切削加工精度乃至は寸法上の問題を有利に解消し得る切削加工用超音波ホーンを提供することにあり、特に、超音波切削加工を利用して、軟質材料からなるパイプ部材の端部の内径切削加工を行なう際に、該パイプ部材を、その軸心方向に沿って真っ直ぐに切削することが出来、以て該パイプ部材の内径が所定の寸法となるように確実に加工され得るようにした切削加工用超音波ホーンの改良された構造を提供することにある。また、本発明にあっては、被加工物に対して超音波切削加工を行なう際に、該被加工物の切削面に「溶け」が生ずるようなことが効果的に防止され得る切削加工用超音波ホーンを提供することをも、その課題とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
そして、本発明にあっては、そのような課題の解決のために、ホーン本体の端部に、筒形形状を呈し、先端が鋭利な刃先部とされた切削刃を一体的に設け、該ホーン本体に対して超音波振動を与えることにより、該切削刃にて、被加工物を超音波切削加工し得るように構成した切削加工用超音波ホーンにおいて、かかる切削刃における前記刃先部の内周面を、刃先部先端からホーン本体方向に向かって内方に傾斜して延びる内側案内面にて構成すると共に、該刃先部の外周面を、刃先部先端からホーン本体方向に向かって外方に傾斜して延びる外側案内面にて構成したことを、その特徴とするものである。
【0016】
要するに、このような本発明に従う切削加工用超音波ホーンにあっては、切削刃の刃先部の内周面が、刃先部先端からホーン本体方向に向かって内方に傾斜して延びる内側案内面部として、また該刃先部の外周面が、刃先部先端からホーン本体方向に向かって外方に傾斜して延びる外側案内面部として、それぞれ、構成されているところから、超音波加工機や超音波溶着機等に取り付けられて、被加工物に対する所定の切削加工を行なう場合、該被加工物の切削されるべき部位において、前記切削刃の刃先部における内側案内面部との当接部位が、該内側案内面部にて内方に向かって斜め下方に押圧されるようになる一方、前記外側案内面部との当接部位が、該外側案内面部にて外方に向かって斜め下方に押圧されるようになるのであり、それによって、被加工物における、切削刃の進行方向の前方部分に対して、該前方部分を内方に引き込む作用力とそれを外方に押し出す作用力とが同時に及ぼされて、それらの作用力が互いに打ち消し合い、以て被加工物が軟質材料から成るものであっても、かかる前方部分が、内方に引き込まれたり、或いは外方に押し出されたりして、変形せしめられるようなことが極めて良好に回避され得、その結果として、被加工物が寸法精度良く、切削加工され得るのである。
【0017】
そして、特に、そのような本発明に従う切削加工用超音波ホーンを用いて、パイプ部材の端部の内径切削加工を行なう場合には、切削刃が、パイプ部材の内周部を軸方向に切削しつつ、その内孔内に挿入せしめられる際に、前記内側案内面部により、該切削刃にて切除されるパイプ部材の内周部に対して、該内周部を内方に向かって斜め下方に押圧する押圧力が加えられる一方、前記外側案内面部により、パイプ部材の残存部分たる外周部に対して、該外周部を外方に向かって斜め下方に押圧する押圧力が加えられることとなるのであり、以て前述の場合と同様に、パイプ部材が軟質材料から成るものであっても、切削の進行につれて、パイプ部材の切削加工部分が、内方に引き込まれたり、外方に押し出されたりして、くびれたり、膨らんだりするようなことが、極めて良好に回避され得、その結果として、パイプ部材が、切削刃によって、該パイプ部材の軸心に沿って真っ直ぐに切削され得るのである。
【0018】
従って、このような本発明に従う切削加工用超音波ホーンを用いれば、被加工物に対して超音波切削加工を行なう際に生ぜしめられる、該被加工物における切削加工精度乃至は寸法上の問題が、極めて有利に解消され得るのであり、特に、超音波切削加工を利用して、パイプ部材の端部の内径切削加工を行なう際にも、該パイプ部材の材質に拘わらず、該パイプ部材の内径が所定の寸法となるように確実に加工され得、それによって、良好な品質を有する製品が簡単に且つ確実に生産され得ることとなるのである。
【0019】
なお、本発明に従う切削加工用超音波ホーンの好ましい態様によれば、前記切削刃の外周面が、前記刃先部における外方に傾斜して延びる外側案内面部と、該外側案内面部のホーン本体側端部からホーン本体方向に向かって延びる、内方に後退した内方後退外周面部とを含んで構成され、且つ該内方後退外周面部の少なくとも一部が、前記刃先部先端よりも内方に位置せしめられて、構成されることとなる。
【0020】
すなわち、そのような構成とされた切削加工用超音波ホーンにあっては、切削刃における刃先部の外周面が、外方に傾斜して延びる外側案内面部とされている一方、切削刃のそれ以外の部位の外周面が、内方に後退した内方後退外周面部とされているところから、超音波加工機等に取り付けられて、被加工物の切削加工を行なう場合、該被加工物の切削されるべき部位において、残存せしめられる部分が、前記外側案内面部により、外方に向かって斜め下方に押圧されて、該残存部分における、切削刃の進行方向の後方部分が、外方に傾斜するように撓ませられ、それによって、該残存部分と切削刃にて切除される部分との分割面、即ち被加工物の切削面と、切削刃の内方後退外周面部との間に、所定の隙間が有利に形成され得るようになっているのである。
【0021】
しかも、かかる切削加工用超音波ホーンにおいては、そのような内方後退外周面部の少なくとも一部が、前記刃先部先端よりも内方に位置せしめられていることから、被加工物が軟質材料から成り、前記外側案内面部にて前記残存部分に加えられる押圧力が、該残存部分の厚さ方向の弾性変形によって吸収されて、該残存部分における、切削刃の進行方向における後方部分の外方への撓み変形が小さくなっても、切削刃の内方後退外周面部と前記被加工物の切削面との間に形成される隙間が、確実に確保され得るのである。
【0022】
特に、そのような本発明に従う切削加工用超音波ホーンを用いて、パイプ部材の端部の内径切削加工を行なう場合にあっても、前述の場合と同様にして、パイプ部材の材質に拘わらず、該パイプ部材の端部において、残存せしめられるべき部分たる外周部と切除されるべき部分たる内周部との分割面にて構成された切削面と、前記切削刃の内方後退外周面部との間に、所定の隙間が、確実に形成され得るのである。
【0023】
従って、そのような本発明に従う切削加工用超音波ホーンを用いれば、被加工物に対して超音波切削加工を行なう際に、被加工物の材質に拘わらず、該被加工物と切削刃との接触面積が可及的に小さく為され得、それによって、被加工物の切削面において、「溶け」が生ずるようなことが、効果的に阻止され得るのであり、その結果として、より優れた品質を有する製品が、効率的に生産され得るのである。
【0024】
【発明の実施の形態・実施例】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の代表的な実施例について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0025】
先ず、図1乃至図4には、本発明に従う構造を有する切削加工用超音波ホーンが概略的に示されている。それらの図からも明らかなように、切削加工用超音波ホーン10は、ホーン本体12と、該ホーン本体12に一体的に設けられた略薄肉円筒状の切削刃14とを含んで、構成されている。
【0026】
より具体的には、この超音波ホーン10を構成するホーン本体12は、従来と同様に、軟鋼や各種の合金等、所定の金属材料から成るものであって、全体として、上部側の小径部と下部側の大径部とそれらを連結するテーパ部とを有する略段付円柱形状を呈している。そして、その上部側の小径部における端面の中央部には、該ホーン本体12を超音波加工機等に取り付けるための取付ボルト16が、上方に所定寸法突出する状態で、取り付けられている。
【0027】
また、ホーン本体12にあっては、その下部側の大径部における端面に、下方に向かって開口する凹所18が形成されている。そして、この凹所18は、開口部形状が円形形状を呈すると共に、ホーン本体12の高さにおいて、かかる大径部の半分以上の高さにまで達する深さと、ホーン本体12の大径部の外径よりも所定寸法小さな開口径とを有している。
【0028】
そして、そのような凹所18の側壁部20から、下方に所定寸法突出し、且つ該側壁部20の周方向に連続して延び出すようにして、切削刃14が一体的に形成されている。即ち、切削刃14が、ホーン本体12の下部側の端部に、略薄肉円筒形状をもって、一体的に形成されているのであり、また、そのような切削刃14の内側部分と前記凹所18とによって、後述する如きコネクターパイプ40の端部の内径切削加工において、該コネクターパイプ40の切除部分(切屑)たる内周部42が収容せしめられる、深さの深い凹部形状を呈する切屑収容部21が、形成されているのである。
【0029】
ところで、この切削刃14にあっては、その先端部分において、内側角部と外側角部とが、それぞれ、周方向に連続して、直線的に切除され、該先端部分の内周面が、先端に向かうに従って次第に大径となるテーパ面形状とされていると共に、その外周面が、先端に向かうに従って次第に小径となるテーパ面形状とされている。また、かかる切削刃14においては、その先端部分を除いた部位が、ホーン本体12に向かうに従って徐々に薄肉化されるように、その外周部分において除肉され、その外周面が、ホーン本体12方向に向かって次第に小径となるテーパ面形状とされている。更に、かかる切削刃14においては、そのホーン本体12側の端部の外径(図4において、r1 にて示される距離)が、切削刃14の先端の径(図4において、r2 にて示される距離)よりも小さくなるように構成されている。なお、ここでは、特に、この切削刃14の先端の径が、後述する如き内径切削加工に供されるコネクターパイプ40の仕上げ内径と同一寸法となるように構成されている。
【0030】
これによって、切削刃14の先端部分が、鋭利な刃先部22とされているのであり、また該刃先部22の内周面が、刃先部先端24からホーン本体12方向に向かって内方に傾斜して延びる直線的な傾斜面からなる内側案内面部26とされている一方、該刃先部22の外周面が、刃先部先端24からホーン本体12方向に向かって外方に直線的に傾斜して延びる傾斜面からなる外側案内面部28とされているのである。また、かかる切削刃14において、刃先部22を除いた部位の外周面が、外側案内面部28のホーン本体12側端部からホーン本体12方向に向かって内方に直線的に傾斜して延びる、内方に後退した内方後退外周面部30とされているのであり、更に、該内方後退外周面部30の少なくとも一部(ここではホーン本体12側の端部)が、前記刃先部先端24よりも内方に位置せしめられた状態とされているのである。
【0031】
ところで、かかる構成とされた切削加工用超音波ホーン10を用いて、軟質材料からなるコネクターパイプ等、所定のパイプ部材の内径切削加工を行なう際には、例えば、以下の如き手順に従って、その操作が進められることとなる。
【0032】
すなわち、先ず、図5に示される如く、互いに電気的に接続された超音波発振器32とコンバータ34とブースタ36とを備えた、従来より公知の超音波加工機38を用い、超音波ホーン10を、ホーン本体12に設けられた前記取付ボルト16にて、該超音波加工機38のブースタ36に取り付ける。
【0033】
次いで、図6に示される如く、被加工物たるコネクターパイプ40と超音波ホーン10の切削刃14とを対向せしめた状態で、それらコネクターパイプ40と超音波ホーン10とを同軸的に配置する。また、それと共に、前記超音波加工機38を作動させて、ホーン本体12を介して、切削刃14に超音波振動を与え、その後、その状態から、超音波ホーン10を下方(コネクターパイプ40に接近する方向)に移動させる。
【0034】
そして、図7に示される如く、切削刃14にて、コネクターパイプ40の内周部42を、その軸心方向に切削せしめつつ、超音波ホーン10を、該コネクターパイプ40の内孔内に、徐々に挿入せしめるのである。
【0035】
なお、その際、コネクターパイプ40にあっては、図8に示される如く、その切除部分たる内周部42が、超音波ホーン10の切削刃14における前記内側案内面部26から、該内周部42を内方に向かって斜め下方(図8中、右側の矢印方向)に押圧する押圧力を加えられる一方、残存部分たる外周部44が、前記外側案内面部28により、該外周部44を外方に向かって斜め下方(図8中、左側の矢印方向)に押圧する押圧力を加えられ、それによって、コネクターパイプ40における、切削刃14の進行方向の前方部分45に対して、該前方部分45を内方に引き込む作用力とそれを外方に押し出す作用力とが同時に及ぼされて、それらの作用力が互いに打ち消し合い、その結果として、かかる前方部分45が、内方に引き込まれたり、外方に押し出されたりして、くびれたり、膨らんだりするようなことが、良好に回避され得るようになっている。
【0036】
また、切削刃14の外側案内面部28により、コネクターパイプ40の残存部分たる外周部44に及ぼされる前記押圧力によって、該外周部44の、切削刃14の進行方向の後方部分47が、外方に所定角度傾斜するように撓ませられることに加えて、切削刃14の刃先部22を除いた部位の外周面が、ホーン本体12方向に向かって次第に小径となるテーパ面形状を呈する内方後退外周面部30とされていることによって、前記残存部分たる外周部44と切除部分たる内周部42との分割面としての切削面46と、切削刃14の内方後退外周面部30との間に隙間49が、確実に形成され得るようになっている。
【0037】
そして、図9に示される如く、切削刃14により、コネクターパイプ40の内周部42が完全に切除された後、超音波ホーン10は上方(コネクターパイプ40から離隔する方向)に移動せしめられるのである。
【0038】
なお、図9からも明らかなように、その際、コネクターパイプ40から切除された内周部42は、一つの塊状物として構成されて、超音波ホーン10の切削刃14の内側案内面部26に係合せしめられた状態で、該超音波ホーン10の内部に形成された切屑収容部21内に収容せしめられて、超音波ホーン10の上方への移動と共に、コネクターパイプ40内から引き抜かれるようになっている。これによって、コネクターパイプ40の切除部分、換言すれば切屑としての内周部42が、コネクターパイプ40内から容易に除去され得るようになっているのであり、更には超音波ホーン10の切屑収容部21内からも、簡単に離脱せしめられ得るようになっているのである。
【0039】
このように、本実施例に係る切削加工用超音波ホーン10にあっては、超音波加工機38等に取り付けられて、コネクターパイプ40等の内径切削加工を行なう際に、該コネクターパイプ40が軟質材料から成るものであっても、該コネクターパイプ40がくびれたり、膨らんだりして、変形することが良好に回避せしめられ得るのであり、それによって、コネクターパイプ40の内周部42を、その軸心方向に沿って真っ直ぐに切削することが出来るのである。
【0040】
従って、かかる切削加工用超音波ホーン10を用いれば、超音波切削加工によって、コネクターパイプ40等が、その材質に拘わらず、所定の内径となるように確実に加工され得るのであり、以て良好な品質を有する製品を、極めて効率的に且つ容易に生産することが可能となるのである。
【0041】
また、本実施例に係る切削加工用超音波ホーン10においては、超音波切削加工によるコネクターパイプ40等の内径切削加工を行なう際に、コネクターパイプ40の切削面46と、切削刃14の内方後退外周面部30との間に、隙間49が、確実に形成され得るようになっているところから、それらコネクターパイプ40の切削面46と、切削刃14の外周面との接触が可及的に回避され得、それによって、加工後の製品面となるコネクターパイプ40の切削面46における「溶け」の発生が効果的に阻止され得るのであり、その結果として、更に一層良質な製品が有利に得られるのである。
【0042】
以上、本発明の代表的な実施例について、詳細に説明してきたが、これは文字通りの例示であって、本発明は、それら例示のものにのみ限定して解釈されるものではない。
【0043】
例えば、前記実施例では、切削刃14における刃先部22の外周面を構成する外側案内面部28が、刃先部先端24に向かうに従って次第に小径となるテーパ面形状とされて、該刃先部先端24からホーン本体12方向に向かって外方に傾斜して延びる直線的な傾斜面にて構成されていたが、そのような刃先部22の外周面を構成する外側案内面部28は、刃先部先端24からホーン本体12方向に向かって外方に傾斜して延びるように形成されておれば、その傾斜形態が、特にこれに限定されるものではなく、例えば、図10に示される如く、かかる外側案内面部28が外方に凹なる状態で、湾曲して傾斜する形態をもって構成されていても、何等差し支えないのである。
【0044】
また、かかる切削刃14における刃先部22の内周面を構成する内側案内面部26の傾斜形態も、前記実施例における如きものに、決して限定されるものではなく、刃先部先端24からホーン本体12方向に向かって内方に傾斜して延びるのであれば、湾曲して傾斜する形態とされていても良いのである。
【0045】
さらに、前記実施例では、刃先部22を除いた部位が、該刃先部22からホーン本体12に向かうに従って徐々に薄肉化されるように、かかる部位の外周部分が除肉されて、その外周面が、前記外側案内面部28のホーン本体12側端部からホーン本体方向に向かって内方に傾斜して延びる、内方に後退した内方後退外周面部30として、構成されていたが、そのような内方後退外周面部30の形態は、何等これに限定されるものではなく、例えば、図11に示される如く、切削刃14の刃先部22を除いた部位を同一の肉厚を有する薄肉部として構成し、その外周面を、前記内方後退外周面部30として構成することも可能である。
【0046】
また、そのような内方後退外周面部30を、切削刃14の刃先部22を除いた部位の外周面のみでなく、ホーン本体12の端部部位(側壁部20)にも延長して形成するようにしても良く、それによって、被加工物(前記実施例においては、コネクターパイプ40)の切削面46における「溶け」の発生が、より確実に阻止され得ることとなる。
【0047】
さらに、前記実施例では、切削刃14が円筒形状をもって構成されていたが、かかる切削刃14は、筒形形状を有するものであれば、如何なる形状のものも採用され得るのである。
【0048】
また、ホーン本体12の形状も、前記実施例における如きものに、決して限定されるものでないことは、言うまでもないところである。
【0049】
さらに、外側案内面部28や内方後退外周面部30、更には内側案内面部26の傾斜角度も、特に限定されるものではない。
【0050】
更にまた、前記実施例では、超音波切削加工を行なうに際して、超音波加工機38が用いられていたが、それに代えて、超音波溶着機等を使用することも、勿論、可能である。
【0051】
加えて、本発明は、例示の如きパイプ部材の内径切削加工の他、超音波切削加工を利用して、各種の形状を有する被加工物に対して、切欠き加工等、種々の切削加工を行なう際にも、適用可能であることは、勿論である。
【0052】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【0053】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う切削加工用超音波ホーンにあっては、切削刃の刃先部の内周面が、刃先部先端からホーン本体方向に向かって内方に傾斜して延びる内側案内面部として、また該刃先部の外周面が、刃先部先端からホーン本体方向に向かって外方に傾斜して延びる外側案内面部として、それぞれ、構成されているところから、超音波加工機や超音波溶着機等に取り付けられて、被加工物の切削加工を行なう場合、その加工工程中に、被加工物が変形するようなことが極めて良好に回避され得て、切削加工精度が有利に確保され得るのであり、また、特に、パイプ部材の内径切削加工を行なう場合、該パイプ部材が、くびれたり、膨らんだりするようなことが、極めて有利に回避され得て、パイプ部材が、切削刃によって、該パイプ部材の軸心に沿って真っ直ぐに切削され得るのである。
【0054】
従って、そのような本発明に従う切削加工用超音波ホーンを用いれば、被加工物に対して超音波切削加工を行なう際に、従来、生ぜしめられていた該被加工物における切削加工精度乃至は寸法上の問題が極めて有利に解消され得るのであり、そして、特に、超音波切削加工を利用して、軟質材料からなるパイプ部材の端部の内径切削加工を行なう際にも、該パイプ部材の材質に拘わらず、該パイプ部材の内径が所定の寸法となるように確実に加工され得、それによって、良好な品質を有する製品が簡単に且つ効率的に生産することが出来るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う切削加工用超音波ホーンの一例を示す正面説明図である。
【図2】図1に示される切削加工用超音波ホーンの上面説明図である。
【図3】図1に示される切削加工用超音波ホーンの底面説明図である。
【図4】図1に示される切削加工用超音波ホーンの縦断面説明図である。
【図5】図1に示される切削加工用超音波ホーンを用いたパイプ部材の内径切削加工の工程の一例を示す説明図であり、超音波加工機に切削加工用超音波ホーンを取り付けた状態を示している。
【図6】図1に示される切削加工用超音波ホーンを用いたパイプ部材の内径切削加工の工程の一例を示す説明図であり、加工を行なうに際して、パイプ部材と切削加工用超音波ホーンを所定の位置に配置せしめた状態を示している。
【図7】図1に示される切削加工用超音波ホーンを用いたパイプ部材の内径切削加工の工程の一例を示す説明図であり、パイプ部材が切削加工用超音波ホーンにより切削される途中の状態を示している。
【図8】図7における要部拡大説明図である。
【図9】図1に示される切削加工用超音波ホーンを用いたパイプ部材の内径切削加工の工程の一例を示す説明図であり、パイプ部材を切削加工用超音波ホーンにて切削した後の状態を示している。
【図10】本発明に従う切削加工用超音波ホーンの別の例を示す部分拡大断面説明図である。
【図11】本発明に従う切削加工用超音波ホーンの更に別の例を示す部分拡大断面説明図である。
【図12】従来の切削加工用超音波ホーンを示す図4に対応する図である。
【図13】図12に示された切削加工用超音波ホーンを用いたパイプ部材の内径切削加工の工程の一例を示す、図7に対応する図である。
【図14】図12に示された切削加工用超音波ホーンを用いて内径切削加工を行なったパイプ部材の加工後の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
10 切削加工用超音波ホーン 12 ホーン本体
14 切削刃 22 刃先部
24 刃先部先端 26 内側案内面部
28 外側案内面部 30 内方後退外周面部
38 超音波加工機 40 コネクターパイプ
42 内周部 44 外周部
46 切削面
Claims (2)
- ホーン本体の端部に、筒形形状を呈し、先端が鋭利な刃先部とされた切削刃を一体的に設け、該ホーン本体に対して超音波振動を与えることにより、該切削刃にて、被加工物を超音波切削加工し得るように構成した切削加工用超音波ホーンにおいて、
かかる切削刃における前記刃先部の内周面を、刃先部先端からホーン本体方向に向かって内方に傾斜して延びる内側案内面にて構成すると共に、該刃先部の外周面を、刃先部先端からホーン本体方向に向かって外方に傾斜して延びる外側案内面にて構成したことを特徴とする切削加工用超音波ホーン。 - 前記切削刃の外周面を、前記刃先部における外方に傾斜して延びる外側案内面部と、該外側案内面部のホーン本体側端部からホーン本体方向に向かって延びる、内方に後退した内方後退外周面部とを含んで構成し、そして該内方後退外周面部の少なくとも一部を、前記刃先部先端よりも内方に位置せしめた請求項1に記載の切削加工用超音波ホーン。
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