JP3715518B2 - 非接触応答装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁誘導を用いて非接触状態で電力供給とデータ通信を行う質問装置と非接触応答装置とからなる非接触通信システムに係り、特に通信状態に応じて内部回路の特性を動的に変化させることにより、電力伝送の効率を向上させることができる非接触応答装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ICカード、RFタグ、データキャリア等の携帯可搬電子データ担体を非接触応答装置として使用し、0.1MHz〜数10MHz程度のキャリア周波数を用いた電磁誘導を利用して、非接触で非接触応答装置へ電力を供給するとともに、キャリア波に変調をかけることによりデータを重畳してデータ通信を行う、非接触通信システムが盛んに検討され、商用化がすすみつつある。このような非接触通信システムには、1つの質問装置の電磁界によって複数の非接触応答装置が同時に給電を受け、各非接触応答装置が動作可能なアクティブ状態をとることができ、質問装置は各非接触応答装置と通信が可能であるという特徴がある。
【0003】
しかし、このような非接触通信システムでは、その電磁界の出力特性が電波法等の法規により制限を受け、また例えば、情報処理装置等電波障害自主規制協議会、通称VCCIと呼ばれる協議会によって制定された「情報処理装置および電子事務機器等から発生する妨害波の自主規制運用規程」などの自主規制運用規程によっても、種々の制限を受けている。このような制限により、質問装置の送信出力を低く設定する結果、非接触応答装置が受信可能な電力も低く設定せざるを得なくなり、非接触応答装置のデータ処理機能を抑える必要が生じる。また、質問装置の送信出力を抑えなければならないため、非接触通信システムの特徴である、質問装置と複数の非接触応答装置との通信機能を損なう結果となっているのが実情である。
【0004】
このような問題の背景にある技術的問題の1つが、非接触応答装置の電力消費の特性である。電磁誘導によって質問装置から給電を受けつつ安定したデータ通信の変復調を行うために、通常、非接触応答装置内の電源回路は定電力設計がなされており、回路全体の動作による内部信号ノイズを抑えるように設計されている。非接触応答装置の内部の処理が簡単で消費電力が小さい場合、電源回路は、余剰電力を抵抗成分で熱に変化させる。その結果、非接触応答装置は、内部処理の状態に関わらず、一定の電力を消費することになる。
【0005】
このような非接触応答装置の複数個が質問装置の送信電磁界の中に入ってアクティブ状態をとれば、質問装置との通信状態や内部の処理状態に関わらず、各々が一定の受信電力を確保しようとする。非接触通信システムの電力消費の観点から見ると、ある時間においては、質問装置と応答を行う装置は一つであって、他の非接触応答装置は質問を待機する状態にしかすぎないため、エネルギー効率上、待機状態の非接触応答装置の多大な電力消費は問題であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来の非接触通信システムでは、質問装置の送信電磁界内に入った全ての非接触応答装置が、質問装置との通信状態や内部の処理状態に関わらず、一定の電力を消費してしまうという問題点があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、質問装置からの受信電力量の効率的な制御を実現し、非接触通信システムにおける電力消費の効率を向上させることができる非接触応答装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の非接触応答装置は、質問装置からのキャリア波を受信すると共に、前記質問装置への応答波を送信するアンテナ回路(20,21)と、このアンテナ回路で受信した前記キャリア波から自装置の駆動用電力を得る整流回路(22)と、前記キャリア波から自装置に対する質問データを取得したとき、この質問データに対する応答データを生成して、前記アンテナ回路から応答波として送信させる内部ロジック回路(25)と、前記質問装置から見た自装置のインピーダンスを変化させるインピーダンス制御回路(33)とを有し、このインピーダンス制御回路は、自装置が前記質問装置からの質問データを待つ待機状態になったとき、前記質問装置からの受信電力量が前記質問データの認識に最低限必要な電力量PLとなるよう前記アンテナ回路の受電効率を低下させ、自装置に対する前記質問データを受信したとき、前記受信電力量が前記応答波の生成・送信に最低限必要な電力量PH(PL<PH)となるよう前記アンテナ回路の受電効率を増大させるものであり、前記受信電力量をPL又はPHにするとき、前記整流回路の出力電圧を検出して、この出力電圧が前記PL又はPHに対応する電圧設定値VL又はVH(VL<VH)となるよう前記自装置のインピーダンス制御を行い、前記受信電力量を制御するようにしたものである。このように、本発明では、非接触応答装置が質問装置から電力供給を受けつつ質問装置と通信する状態において、非接触応答装置が待機状態になったとき、質問装置から見た自装置のインピーダンスを変化させて受電効率を低下させ、質問装置からの受信電力量をPLとし、非接触応答装置が質問装置からの質問データを受信してコマンド処理状態になるとき、質問装置から見た自装置のインピーダンスを変化させて受電効率を増大させ、質問装置からの受信電力量をPHとするので、待機状態における非接触応答装置の電力消費量を低減することができる。
【0008】
また、本発明の非接触応答装置は、質問装置からのキャリア波を受信すると共に、前記質問装置への応答波を送信するアンテナ回路と、このアンテナ回路で受信した前記キャリア波から自装置の駆動用電力を得る整流回路と、前記キャリア波から自装置に対する質問データを取得したとき、この質問データに対する応答データを生成して、前記アンテナ回路から応答波として送信させる内部ロジック回路と、前記質問装置から見た自装置のインピーダンスを変化させるインピーダンス制御回路とを有し、このインピーダンス制御回路は、自装置が前記質問装置からの質問データを待つ待機状態になったとき、前記質問装置からの受信電力量が前記質問データの認識に最低限必要な電力量PLとなるよう前記アンテナ回路の受電効率を低下させ、自装置に対する前記質問データを受信したとき、前記受信電力量が前記応答波の生成・送信に最低限必要な電力量PH(PL<PH)となるよう前記アンテナ回路の受電効率を増大させ、自装置が前記質問装置の送信電磁界領域内に入って前記質問装置からの電力供給を受け始めたとき、前記内部ロジック回路による初期化処理の前に、前記質問装置からの受信電力量が前記初期化処理に最低限必要な電力量PH2(PL<PH2≦PH)となるよう前記アンテナ回路の受電効率を増大させるものであり、前記受信電力量をPL,PH又はPH2にするとき、前記整流回路の出力電圧を検出して、この出力電圧が前記PL,PH又はPH2に対応する電圧設定値VL,VH又はVH2(VL<VH2≦VH)となるよう前記自装置のインピーダンス制御を行い、前記受信電力量を制御するようにしたものである。このように、本発明では、非接触応答装置の初期化処理において、質問装置から見た自装置のインピーダンスを変化させて受電効率を増大させ、質問装置からの受信電力量を電力量PH2とするので、初期化処理の際の電力消費量を適切な量に設定することができる。また、本発明では、整流回路の出力電圧に基づいて質問装置からの受信電力量を容易に制御することができる。
【0009】
また、本発明の非接触応答装置の1構成例として、前記インピーダンス制御回路は、容量素子(Cv1〜Cvi)と電子スイッチ(S1〜Si)とを直列に接続した容量切替回路を前記アンテナ回路と並列に複数個配置した容量調整回路(31)と、整流回路の出力電圧を検出する受信電力検出回路(29)と、前記整流回路の出力電圧が所望の前記電圧設定値になるように、前記容量調整回路の各電子スイッチの状態を決定するプログラム回路(30)と、このプログラム回路の決定に従って前記容量調整回路の各電子スイッチのオン/オフを制御するスイッチ制御回路(32)とを含むものである。容量調整回路を設けることにより、質問装置から見た自装置のインピーダンスを容易に変化させることができる。
また、本発明の非接触応答装置の1構成例として、前記インピーダンス制御回路は、前記電子スイッチのスイッチングクロックを生成するスイッチングクロック生成回路(28)を含み、前記プログラム回路による前記電子スイッチの状態決定と、前記スイッチ制御回路による前記電子スイッチの制御と、前記受信電力検出回路による前記整流回路の出力電圧検出とを1スイッチングクロック毎に繰り返し行うことにより、前記インピーダンスを段階的に変化させて、前記整流回路の出力電圧を所望の前記電圧設定値に漸近させるものである。
【0010】
また、本発明の非接触応答装置の1構成例として、前記プログラム回路は、前記整流回路の出力電圧が所望の前記電圧設定値になったときに、前記電子スイッチの状態を固定し、前記インピーダンス制御を停止したことを示すステータスを前記内部ロジック回路に出力するものである。
また、本発明の非接触応答装置の1構成例として、前記内部ロジック回路は、前記初期化処理が終了したことを示す通信ステータス、前記待機状態になったことを示す通信ステータス又は自装置に対する前記質問データを受信したことを示す通信ステータスを前記プログラム回路に出力するものである。
また、本発明の非接触応答装置の1構成例において、前記容量切替回路の個数は、3個以上100個以下である。
また、本発明の非接触応答装置の1構成例において、前記スイッチングクロックの周波数は、1kHz以上1MHz以下である。
また、本発明の非接触応答装置の1構成例として、前記整流回路の後段に、シャント型レギュレータからなる定電圧回路を有するものである。
また、本発明の非接触応答装置の1構成例において、前記非接触応答装置は、ICカードである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、インピーダンス制御回路を搭載した非接触応答装置を用いて、伝送状態においてインピーダンス制御を動的に行い、非接触応答装置の電力消費量を制御することを特徴とする。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態となる非接触通信システムの構成を示すブロック図である。
【0012】
図1の非接触通信システムは、質問装置1と非接触応答装置2とから構成される。質問装置1は、非接触応答装置2への電力供給のためにデータ送信時以外のときにも無変調のキャリア波を送信している。そして、質問装置1と非接触応答装置2は、データを送信するとき、キャリア波を変調してデータを重畳する。
【0013】
質問装置1は、無変調のキャリア波を発生するキャリア波発生回路10と、キャリア波発生回路10から出力された無変調のキャリア波または変調されたキャリア波を送信したり、非接触応答装置2から送信された応答波を受信したりするためのアンテナ11と、アンテナ11の共振状態を得るための共振回路12とを有している。なお、図1では、データの送信時にキャリア波を変調する変調回路、非接触応答装置2からの応答波を受信して復調する復調回路、非接触応答装置2へのデータを生成したり、復調回路で復調されたデータを処理したりする制御回路等の回路については記載を省略している。アンテナ11と共振回路12はアンテナ回路を構成している。
【0014】
非接触応答装置2は、質問装置1から送信されたキャリア波を受信したり、応答波を送信したりするためのアンテナ20と、アンテナ20の共振状態を得るための共振回路21と、アンテナ回路20,21で受信されたキャリア波を整流して非接触応答装置2の各回路駆動用の電力を得る整流回路22と、整流回路22の出力電圧を定電圧化する定電圧回路23と、アンテナ回路20,21で受信された変調されたキャリア波を復調する復調回路24と、キャリア波から自装置に対する質問データを取得したとき、この質問データに対する応答データを生成して、アンテナ回路20,21から応答波として送信させる内部ロジック回路25と、内部ロジック回路25から出力された応答データでキャリア波を変調する変調回路26と、アンテナ回路20,21で受信されたキャリア波からクロック成分を抽出してクロック信号を生成するクロック生成回路27と、クロック生成回路27によって生成されたクロック信号を基にスイッチングクロック信号を生成するスイッチングクロック生成回路28と、整流回路22の出力電圧を検出することにより非接触応答装置2の受信電力量を検出する受信電力検出回路29と、受信電力検出回路29の検出結果と所定のインピーダンス制御アルゴリズムに従って、質問装置1から見た自装置のインピーダンスを変化させるインピーダンス制御を行い、非接触応答装置2の受信電力量を制御するプログラム回路30と、容量素子と電子スイッチとを直列に接続した容量切替回路をアンテナ回路20,21と並列に複数個配置した容量調整回路31と、プログラム回路30の出力に応じて容量調整回路31の電子スイッチを制御するスイッチ制御回路32とを有している。アンテナ20と共振回路21はアンテナ回路を構成している。
【0015】
内部ロジック回路25は、CPU25aと、ROM25bと、RAM25cと、不揮発メモリ25dとを有している。
スイッチングクロック生成回路28、受信電力検出回路29、プログラム回路30、容量調整回路31及びスイッチ制御回路32は、インピーダンス制御回路33を構成している。
【0016】
図2はインピーダンス制御回路33の詳細な構成を示すブロック図である。
スイッチングクロック生成回路28は、クロック生成回路27によって生成されたクロック信号を分周してスイッチングクロック信号を生成する分周回路28aからなる。
受信電力検出回路29は、1スイッチングクロック毎に整流回路22の出力電圧の変動を検出して、検出結果をプログラム回路30に出力する受信電力変動検出部29aと、整流回路22の出力電圧を所定のしきい値と比較して比較結果をプログラム回路30に出力する受信電力比較部29bとから構成される。
【0017】
受信電力変動検出部29aは、プログラム回路30から出力されるスイッチングクロック信号に同期して整流回路22の出力電圧をサンプルホールドするサンプルホールド回路29a−1と、サンプルホールド回路29a−1によって保持された1サンプル前の整流回路22の出力電圧と現在の整流回路22の出力電圧とを比較して、この比較結果をプログラム回路30に出力するコンパレータ29a−2とを有している。
【0018】
受信電力比較部29bは、第1のシュミットトリガ29b−1と、この第1のシュミットトリガ29b−1としきい値が異なる第2のシュミットトリガ29b−2と、この第2のシュミットトリガ29b−2の出力を論理反転させるインバータ29b−3と、シュミットトリガ29b−1の出力とインバータ29b−3の出力の論理和をとるOR回路29b−4とを有している。
【0019】
質問装置1から非接触応答装置2へ供給される電力は、両者のインピーダンスの整合状態の関数となり、整合すると高効率で給電が行われ、整合がミスマッチになると、電力が反射されるために、非接触応答装置2が受ける電力は低下する。通常、アンテナ回路20,21のインピーダンスの制御は、受信電力を高めるためのインピーダンス整合に用いるが、本発明においては、非接触応答装置2の余分な消費電力を削減するために、逆にインピーダンス整合をミスマッチさせる制御にも用いることを特徴とする。
【0020】
質問装置1と複数の非接触応答装置2との通信の例として、非接触応答装置2が3つある場合を例にとって本発明を説明する。図3は、質問装置1からの質問と非接触応答装置2からの応答のタイミング、及びその際の非接触応答装置2の受信電力量を時系列的に表したタイミングチャート図である。
【0021】
非接触応答装置2の受信電力量は、インピーダンス制御回路33によって制御される。図3のPHは非接触応答装置2が質問装置1からのコマンドを処理するのに最低限必要な電力レベル、PLは非接触応答装置2が質問装置1からコマンドを正常に受信してコマンドを認識するのに最低限必要な電力量に適当なマージンを付加した電力レベルとする。
【0022】
質問装置1から非接触応答装置2への質問は、一般的には識別番号(以下、IDと略する)を用いて、質問のコマンドフレームにIDを付加することにより、非接触応答装置2を一意に指定して行われる。非接触応答装置2のIDは、質問装置1が非接触応答装置2を認識する初期応答の手順に際して非接触応答装置2に付与されるか、あるいは予め非接触応答装置2に付与されている固有のIDであることが多いが、本発明はIDの付与方法にはこだわらない。ここでは、非接触応答装置2−1,2−2,2−3に対して、それぞれID1,ID2,ID3が対応するものとする。
【0023】
アンテナ回路20,21が質問装置1からの無変調のキャリア波を受信した場合、各非接触応答装置2−1〜2−3の整流回路22は、このキャリア波を全波整流し、定電圧回路23は、整流回路22から出力された電圧を定電圧化する。また、クロック生成回路27は、キャリア波からクロック成分を抽出してクロック信号を生成する。そして、復調回路24は、キャリア波を復調する。ただし、ここでは無変調のキャリア波を復調しているので、復調で得られるデータはない。
【0024】
各非接触応答装置2−1〜2−3の内部ロジック回路25は、定電圧回路23から電力供給を受け、クロック生成回路27から出力されたクロック信号に同期して動作する。そして、インピーダンス制御回路33は、質問装置1からの質問を受信する前段階(無変調のキャリア波を受信している待機状態)では、インピーダンス整合をミスマッチ状態にさせている。これにより、各非接触応答装置2−1〜2−3は、PLレベルの消費電力で待機状態となっている。
【0025】
次に、図3に示すように、質問装置1から質問Q−1,Q−2,Q−3が順に発せられ、それに付加されるIDがそれぞれID1,ID3,ID2であるとすると、質問Q−1,Q−2,Q−3に対して、それぞれ非接触応答装置2−1、非接触応答装置2−3、非接触応答装置2−2が反応する。
すなわち、質問装置1の図示しない変調回路は、キャリア波発生回路10から出力された無変調のキャリア波をIDが付加されたコマンドで変調する。これにより、変調されたキャリア波(質問波)が質問装置1のアンテナ回路11から送信される。
【0026】
各非接触応答装置2−1〜2−3の内部ロジック回路25のCPU25aは、復調回路24によって復調されたコマンドからIDを抽出して、抽出したIDと不揮発メモリ25dに予め記憶された自装置のIDとを比較し、抽出したIDが自装置のIDであるかどうかを判定する。CPU25aは、抽出したIDが自装置のIDである場合、復調装置24によって復調されたコマンドが自装置への質問であると認識する。質問装置1からの質問を受信した場合、インピーダンス制御回路33は、インピーダンス整合を整合状態にさせる。これにより、IDで指定された非接触応答装置2は、PHレベルの消費電力となり、コマンド処理状態となる。
【0027】
また、CPU25aは、抽出したIDが自装置のIDである場合、質問装置1から送信された質問(コマンド)に対する内部演算処理を行う。質問に対する内部演算処理としては、CPU25aもしくは図示しないコプロセッサによる演算、不揮発メモリ25dからのデータ読み出し、不揮発メモリ25dへのデータ書き込みもしくは消去、応答データの生成などがある。
【0028】
そして、CPU25aは、生成した応答データを変調回路26に出力する。変調回路26は、キャリア波を応答データで変調する。これにより、変調されたキャリア波(応答波)が非接触応答装置2のアンテナ回路20,21から送信される。
応答の返送後、インピーダンス制御回路33は、インピーダンス整合をミスマッチ状態にさせ、非接触応答装置2の消費電力をPHレベルからPLレベルへと遷移させる。
【0029】
以上のような質問と応答のシーケンスにおいて、質問装置1は、質問Q−1,Q−2,Q−3を時系列的に発する。そして、質問装置1は、各々の質問Q−1〜Q−3に対する応答を受信するまでは、他の非接触応答装置2への質問を発しないものとする。これにより、各非接触応答装置2−1〜2−3において、ある瞬間に質問を受信して消費電力がPHレベルになるのは1つしかなく、他の非接触応答装置2はPLレベルの待機状態のままとなる。
【0030】
これに対して、従来は、質問装置からのキャリア波を受信してアクティブ状態にある全ての非接触応答装置がPHレベルの状態を保持しようとしていた点が本発明と異なる。したがって、本発明は、システム全体で見た電力の分配効率を従来よりも向上させることができる。
また、質問装置1から複数の非接触応答装置2に対して質問を同時に発するようにすれば、従来よりも多くの非接触応答装置2をコマンド処理状態にすることができる。これは、質問装置1の送信出力が規制値で制限されている場合に、特に有効である。
【0031】
なお、図3の例では、非接触応答装置2の個数を3としたが、これに限るものではなく、本発明の原理上、他の個数でも差し支えないことは明白である。
また、電力消費量のPHレベル、PLレベルは、非接触応答装置2内の内部回路の電力消費特性によって予め設定できる性質の値である。ここで、整流回路22から見た定電圧回路以降の回路全体の負荷が基本的には内部ロジック回路25の動作状態に関わらず一定となるような、シャントレギュレータなどの回路を定電圧回路23に用いると、整流回路22の出力電圧をもって電力消費量を評価することができ、PHレベル、PLレベルの制御が容易に可能となる。
【0032】
また、定電圧回路23にシリーズレギュレータを用いても本発明を適用することは可能である。ただし、内部ロジック回路25の動作に伴って整流回路22の出力電圧が変化するため、電圧設定値VH(電力消費量がPHレベルのときの整流回路22の出力電圧)、及び電圧設定値VL(PLレベルのときの整流回路22の出力電圧)を、整流回路22の出力電圧変化分を考慮して設定しなければならず、制御が難しくなる。
【0033】
いずれにしろ、非接触応答装置2の電力消費量(質問装置1からの受信電力量)をそのまま評価検出するよりも、電圧制御の方が容易なため、本実施の形態においては、受信電力量を制御する具体的方法として、整流回路22の出力電圧の制御を行うものとする。すなわち、受信電力検出回路29で整流回路22の出力電圧を検出して、この検出結果を基に受信電力量を制御する。
【0034】
非接触応答装置2が質問装置1から電力供給を受けつつ質問装置1と通信する状態においては、図3に示すようなシーケンスの非接触通信システムが有用であるが、最初に非接触応答装置2が質問装置1の送信電磁界内に入って初期化され、質問装置1と初期応答を行う場合には、受信電力が0の状態から開始されるため、必ずしも図3と同じ方法をとれるわけではない。
【0035】
そこで、インピーダンス制御回路33は、非接触応答装置2が質問装置1の送信電磁界内に入って質問装置1からの電力供給を受け始めたとき、内部ロジック回路25による初期化処理の前に、インピーダンス制御により、質問装置1からの受信電力量が初期化処理に最低限必要な電力量PH2となるよう受電効率を増大させる。
【0036】
以下、非接触応答装置2の活性化プロセスを典型的な例を用いて順に説明する。非接触応答装置2が質問装置1からのキャリア波を受けて給電を受け、整流回路22の内部の平滑容量素子(不図示)が充電され、整流回路22の出力電圧が所定のしきい値を超えると、内部ロジック回路25のリセットが働く。リセットされた内部ロジック回路25のCPU25aは、不揮発メモリ25dより所定のデータ読み出しを行って、非接触応答装置2の初期化処理を行う。
【0037】
この初期化処理では、非接触応答装置2の内部回路の多くが動作するものの、例えば暗号処理などの電力を消費するプロセスを実行するわけでは無く、また所定のルーチンが動作するだけのため電力マージンも少なくて済むので、必ずしもPHレベルと同じ受信電力量が必要とは限らない。このため、初期化処理に必要な電力レベルPH2をPHと同等にする必要は無く、通常はPH以下に設定可能である。
【0038】
したがって、図4に示すように、受信電力量が0の段階で質問装置1からの給電を受けたとき、インピーダンス制御回路33内のプログラム回路30は、内部ロジック回路25による初期化処理が実行される前に、受信電力量をPH2レベルにする。図4は初期化モードにおける非接触応答装置の受信電力量を時系列的に表したタイミングチャート図である。
【0039】
初期化処理が終了した後、CPU25aは、質問装置1から初期応答のための質問コマンドを受信して、初期応答処理を実行する。通常、質問装置1と非接触応答装置2との間の初期応答処理は、複数の非接触応答装置2の存在を想定して、衝突防止のためのプロセスを含むことが多いので、その迅速な処理速度を満たすためには、初期化処理の完了時点から初期応答処理の開始時点までの区間で受信電力量を下げることなく、PH2レベルのまま保持、あるいはPHレベルへ変化させてもよい。
【0040】
しかしながら、ポーリングと通常呼ばれる送信方法で非接触応答装置検出用のコマンドが送信される時間間隔は、特に他の伝送通信の処理がある場合は、長くならざるを得ないため、初期化処理の完了時点から初期応答処理の開始時点までの時間も、長くならざるを得ない。
【0041】
そこで、初期化処理が終了した時点で、図4に示すように、いったん受信電力量をPH2レベルからPLレベルまで落とした方がより好ましい。初期化応答処理は図3で説明した通常の伝送モードと同様であるので、初期化応答処理における受信電力量はPHレベルで差し支えない。本発明において、これらを実際に制御するには、前述の説明と同様、PH2レベルの制御を整流回路22の出力電圧VH2によって行う。
【0042】
次に、インピーダンス制御回路33の動作をより詳細に説明する。図5は容量調整回路31の構成を示す回路図である。容量調整回路31は、容量素子Cv(Cv1〜Cvi)と例えばトランジスタ等からなる電子スイッチS(S1〜Si)とを直列に接続した容量切替回路をアンテナ回路20,21と並列に複数個配置したものである。
【0043】
プログラム回路30は、所定のインピーダンス制御アルゴリズムに従って容量調整回路31の各電子スイッチSのオン/オフ状態を決定する。スイッチ制御回路32は、プログラム回路30の決定を受けて、容量調整回路31の電子スイッチSをオン/オフさせるための制御信号CTLをスイッチングクロック生成回路28からのスイッチングクロック信号に同期して出力する。
容量調整回路31の電子スイッチSは、制御信号CTLに応じてオンまたはオフ状態となる。電子スイッチSがオン/オフすることにより、アンテナ回路20,21と並列に挿入される容量値が変化するので、これによりインピーダンス整合の状態が変化する。
【0044】
そして、本実施の形態にかかる非接触応答装置2は、プログラム回路30による電子スイッチSの状態決定と、スイッチ制御回路32による電子スイッチSの制御と、受信電力検出回路29による整流回路22の出力電圧検出とを1スイッチングクロック毎に繰り返し行うことにより、アンテナ回路20,21のインピーダンスを段階的に変化させて、整流回路22の出力電圧を所望の電圧設定値に漸近させることを特徴とする。
【0045】
共振回路21には、アンテナ20と並列に容量素子C1が配置され、アンテナ20と直列に容量素子C2が配置されている。素子数を減らすために、容量素子C1もしくはC2の1つを取り除いて、この容量素子を取り除いた箇所に容量調整回路31を挿入することも可能であるが、アンテナ回路20,21に近づくに従って、電子スイッチSに印加される電圧が高くなり、電子スイッチSの耐圧を上回る可能性が高くなる。したがって、容量調整回路31は、共振回路21の後段に配することが好ましい。
【0046】
図6は、プログラム回路30及びスイッチ制御回路32による容量調整回路31のスイッチ制御(インピーダンス制御)と整流回路22の出力電圧との関係の1例を示す図である。ここでは、図5に示す容量調整回路31において、容量素子Cvと電子スイッチSとからなる容量切替回路の数を10個と仮定し、容量素子CvにCv1〜Cv10、容量素子Cv1〜Cv10と接続された電子スイッチSにそれぞれS1〜S10の符号を付与するものとする。
【0047】
また、プログラム回路30は、自装置に対する質問データを受信したことを示す、内部ロジック回路25からの通信ステータスを受けて、整流回路22の出力電圧をVLからVHに漸近させるプログラムを実行させるものとする。さらに、図6の時刻t0において、電子スイッチSはS1〜S3がオン状態になっていて、整流回路22の出力電圧は電圧設定値VLの近傍で安定している状態と仮定する。また、図6に示す時刻t0,t1,t2,t3,t4,t5の間隔は、スイッチングクロック信号の周期と等しい。
【0048】
ここで、時刻t1において、プログラム回路30がプログラムに従って動作を開始すると、まず受信電力検出回路29が整流回路22の出力電圧を検出して、その検出結果をプログラム回路30に出力する。
プログラム回路30は、まず時刻t1において容量調整回路31の電子スイッチS4をオンさせるようスイッチ制御回路32に指示を出す。この指示に応じて、スイッチ制御回路32は、電子スイッチS4をオンさせる制御信号CTLを出力する。
【0049】
電子スイッチS4がオン状態になると、アンテナ回路20,21と並列に容量素子Cv4が付加されてインピーダンスが変化し、図6のように整流回路22の出力電圧が上昇して、ある時間を経過した後に出力電圧がほぼ安定化する。
時刻t2において、受信電力検出回路29は、整流回路22の出力電圧を検出し、出力電圧が上昇して電圧設定値VHに近づいたことをプログラム回路30に知らせる。
【0050】
この通知を受けて、プログラム回路30は、電子スイッチS4をオン状態に固定し、次の電子スイッチS5をオンさせるようスイッチ制御回路32に指示を出し、スイッチ制御回路32は、電子スイッチS5をオンさせる。
時刻t3において、受信電力検出回路29は、整流回路22の出力電圧が上昇して電圧設定値VHに近づいたことをプログラム回路30に知らせる。
【0051】
この通知を受けて、プログラム回路30は、電子スイッチS5をオン状態に固定し、次の電子スイッチS6をオンさせるようスイッチ制御回路32に指示を出す。以下、同様にして、受信電力検出回路29による整流回路22の出力電圧検出とプログラム回路30による電子スイッチ制御とを繰り返し、時刻t5において、整流回路22の出力電圧が電圧設定値VHを超えると、プログラム回路30は、ここで電子スイッチS1〜S10の状態を現在の状態に固定し、インピーダンス制御を停止する。
【0052】
インピーダンス制御の停止時、内部ロジック回路25に通知しなくても差し支えないが、インピーダンス制御を停止したことを示すステータスを内部ロジック回路25に出力する方がより好ましい。このステータスを受けることにより、内部ロジック回路25は、十分な電力供給を受けていると判断でき、動作不良を起こすことなく、処理を行うことができる。
【0053】
なお、容量調整回路31の各電子スイッチSの初期状態はノーマリーオフが好ましいのものの、ノーマリーオンであっても差し支えない。この場合には、電子スイッチSのオン/オフが、オフを優先して評価していくことになる。
また、容量調整回路31の各容量素子Cvの値は共振回路21の容量素子C1,C2の値の設定によっても影響を受けるが、通常は容量調整回路31全体として数pF〜数100pFの容量値を変化させることができれば、機能上十分である。
【0054】
図7は、インピーダンス制御と整流回路22の出力電圧との関係の他の例を示す図である。図7の例は、図6と逆に、整流回路22の出力電圧を電圧設定値VHからVLに変化させる場合である。ここでは、時刻t0において、電子スイッチS1〜S7がオン状態になっていると仮定する。
図7の時刻t1において、まず受信電力検出回路29が整流回路22の出力電圧を検出して、その検出結果をプログラム回路30に出力する。
【0055】
プログラム回路30は、時刻t1において容量調整回路31の電子スイッチS7をオフさせるようスイッチ制御回路32に指示を出し、スイッチ制御回路32は、電子スイッチS7をオフさせる制御信号CTLを出力する。
電子スイッチS7がオフ状態になると、アンテナ回路20,21と並列に付加されていた容量素子Cv7が外されてインピーダンスが変化し、図7のように整流回路22の出力電圧が低下する。
【0056】
時刻t2において、受信電力検出回路29は、整流回路22の出力電圧が低下して電圧設定値VLに近づいたことをプログラム回路30に知らせる。
この通知を受けて、プログラム回路30は、次の電子スイッチS6をオフさせるようスイッチ制御回路32に指示を出し、スイッチ制御回路32は、電子スイッチS6をオフさせる。
【0057】
以下、同様にして、受信電力検出回路29による整流回路22の出力電圧検出とプログラム回路30による電子スイッチ制御とを繰り返し、時刻t6において整流回路22の出力電圧が電圧設定値VLを下回ったとき、プログラム回路30は、直前にオフした電子スイッチS3をオン状態に戻す。そして、プログラム回路30は、次の時刻t7で整流回路22の出力電圧が電圧設定値VLを超えたことを確認した上で、インピーダンス制御を停止する。
【0058】
ただし、電圧設定値VLの設定の方法と容量調整回路31内の容量切替回路の個数にもよるが、電圧設定値VLを非接触応答装置2内の内部回路の動作限界近傍に設定すると、電圧設定値VLを下回った段階で動作不良を起こす可能性がある。そこで、電圧設定値VLを下回るステップを含む制御を行うよりも、より好ましくは、次に評価する電子スイッチSのオン/オフによる整流回路22の出力電圧低下分を予想して電圧設定値VLを下回らない段階でインピーダンス制御を停止するか、あるいは本来の電圧設定値VLに1つの電子スイッチ変化による出力電圧低下分以上のマージンを加えたVL’という値を電圧設定値として、この電圧設定値VL’を下回ったらインピーダンス制御を停止させるようにした方がよい。
【0059】
また、インピーダンス制御の停止時には、インピーダンス制御を停止したことを示すステータスを内部ロジック回路25に出力する方がより好ましい。このステータスを受けることにより、内部ロジック回路25は、いわゆるスリープモードに入ったことを認識でき、質問装置1から次に質問を受信したときに、インピーダンス制御を要求する通信ステータスをプログラム回路30に確実に出力することができる。
【0060】
図8はインピーダンス制御と整流回路22の出力電圧との関係の他の例を示す図である。図8の例は、質問装置1と非接触応答装置2との距離が大きい等の理由により、非接触応答装置2がインピーダンス制御を行っても受信電力量が十分に得られない場合を示している。受信電力量が十分でなく、整流回路22の出力電圧が電圧設定値VHを下回る場合、図8に示すように、インピーダンス制御によって整流回路22の出力電圧を最大化した後に、周回動作を行うことになる。
【0061】
周回動作が行われるのは、容量調整回路31の電子スイッチSを順次オンしていったとき、容量値が最適値を超えて整流回路22の出力電圧が逆に低下したとき、受信電力検出回路29が整流回路22の出力電圧低下をステータスとしてプログラム回路30に通知し、このステータスを受けてプログラム回路30が直前にオンした電子スイッチS(図8の例では時刻t5でオンした電子スイッチS)をオフにするためである。
【0062】
この場合、電子スイッチSをオフにしても、整流回路22の出力電圧は電圧設定値VHに達しないので、プログラム回路30は、オフにした電子スイッチSを再びオンにする。したがって、上記周回動作が繰り返されることになる。このような周回動作をそのまま継続させても差し支えないが、質問装置1への通信や内部ロジック回路25の処理を辛うじて行える場合もあるため、周回動作を停止させて電源変動を抑えるほうがより好ましい。
【0063】
そこで、下限値VL及び上限値VHの電圧許容範囲をあらかじめ設定し、整流回路22の出力電圧がこの電圧許容範囲内である場合に制御を停止する動作停止手段をプログラム回路30に設けることで、周回動作を停止させることができる。ただし、制御の停止後に、質問装置1と非接触応答装置2との間の距離や角度が変化したり、非接触応答装置2の内部回路の駆動に必要な電力量が変化したりして、整流回路22の出力電圧が変動する場合がある。よって、プログラム回路30は、制御の停止後も、整流回路22の出力電圧の変動を検知して、整流回路22の出力電圧が前記電圧許容範囲を外れたときは、制御を再開するのがよい。
【0064】
また、質問装置1がキャリア波を振幅変調して信号を送信するなどして、送信電力が時間経過に伴って等価的に変動する場合には、この変動に合わせて整流回路22の出力電圧も変動する。したがって、プログラム回路30に動作停止手段を設けたとき、整流回路22の出力電圧がVHまたはVLの近傍にある場合には、送信電力の変動に伴って、制御動作の停止と再開とが繰り返され、通信エラーを起こす可能性がある。
【0065】
そこで、インピーダンス制御回路31が制御動作を停止するときのしきい値と制御動作を再開するときのしきい値とを変えることで、通信エラーを防ぐことができる。このような通信エラーの防止には、前述の受信電力比較部29bを用いる。第1のシュミットトリガ29b−1の2つのしきい値としては、整流回路22の出力電圧が低下するときのしきい値としてVL−ΔV2が設定され、整流回路22の出力電圧が上昇するときのしきい値としてVLが設定される。また、第2のシュミットトリガ29b−2の2つのしきい値としては、整流回路22の出力電圧が低下するときのしきい値としてVHが設定され、整流回路の出力電圧が上昇するときのしきい値としてVH+ΔV1が設定される。
【0066】
図9は、シュミットトリガ29b−1の出力X、シュミットトリガ29b−2の出力Y、インバータ29b−3の出力Z及びOR回路29b−4の出力OUTと整流回路22の出力電圧との関係を示す図である。図2のような回路構成とすることで、整流回路22の出力電圧が下限値VL及び上限値VHの第1の電圧許容範囲内に入った場合(VL<整流回路の出力電圧<VH)、受信電力比較部29b(OR回路29b−4)の出力OUTは「H」レベルから「L」レベルに変わり、整流回路22の出力電圧が下限値VL−ΔV2及び上限値VH+ΔV1の第2の電圧許容範囲から外れた場合(整流回路22の出力電圧>VH+ΔV1または整流回路22の出力電圧<VL−ΔV2)、受信電力比較部29bの出力OUTは「L」レベルから「H」レベルに変わる。
【0067】
プログラム回路30は、制御動作中に受信電力比較部29bの出力OUTが「L」レベルに変わったとき、制御動作を停止し、動作停止後に出力電圧比較部29bの出力OUTが「H」レベルに変わったとき、制御動作を再開する。上記ΔV1およびΔV2を、質問装置1が振幅変調することで変動する整流回路22の出力電圧の変動幅より大きくなるように適切に設定することで、整流回路22の出力電圧がVHまたはVLの近傍で変動しても、制御動作の停止と再開とが繰り返されることがなくなる。
【0068】
本発明は、容量調整回路31の電子スイッチSを高速にオンまたはオフし、その結果の整流回路22の出力電圧を評価してアンテナ回路20,21のインピーダンス(質問装置1から見た非接触応答装置2のインピーダンス)を高速に調整することが特徴である。電子スイッチSのスイッチング周期を指定するスイッチングクロック信号は、スイッチングクロック生成回路28によって生成される。スイッチングクロック信号は、独立した自立発振回路によって生成されるクロック信号でもよいし、プログラム回路30に別途クロックが供給されて、それからカウンタ等によって生成されるクロック信号であっても差し支えない。
【0069】
しかし、通常の非接触通信システムの非接触応答装置2では、クロック生成回路27で生成される内部クロック信号は、キャリア周波数を抽出し、場合によっては分周することで生成される。したがって、このクロック信号を入力とし、分周してスイッチングクロック信号を生成する方が簡便でより好ましい。本実施の形態では、図2に示すように、スイッチングクロック生成回路28内の分周回路28aによってクロック信号を分周してスイッチングクロック信号を生成している。
【0070】
プログラム回路30は、受信電力検出回路29による出力電圧検出の結果を踏まえて電子スイッチSの制御を行うため、スイッチングクロック信号と同期して動作することが望ましい。スイッチングクロック信号の上限は、整流回路22に含まれる平滑容量素子の充電に要する時間によって制限される。平滑容量素子が充電に要する時間は、主として容量の値によって左右されるので一概に言えないものの、概略1μs程度である。
【0071】
したがって、スイッチングクロック信号の周波数が1MHzを超えると、整流回路22内の平滑容量素子が十分に充電しないうちに、受信電力検出回路29及びプログラム回路30による出力電圧評価のプロセスが始まることになるため、インピーダンス制御が不正確になって好ましくない。また、逆にスイッチングクロック信号が低速になると、インピーダンス制御に要する時間が長くなって、応答のオーバーヘッドが長くなる。
【0072】
非接触通信システムの通信速度は、例えば近接型ICカードの場合で106〜212kbps、近傍型ICカードの場合で6〜26kbpsである。応答に対するオーバーヘッドは相対的なものであるため、システムの通信速度に応じてスイッチングクロック信号の周波数の下限を決めればよいが、このような通信速度と比較して著しく遅くなることは好ましくない。
【0073】
電子スイッチSのスイッチング動作が所定の電圧状態になるまで繰り返し行われることも考慮すると、スイッチングクロック信号の周波数は1kHz以上であることが望ましい。そして、整流回路22内の平滑容量素子の充電が終了したときに直ちに整流回路22の出力電圧を評価することが好ましく、したがって100kHz以上、500kHz以下がより好ましい。
【0074】
また、容量調整回路31内の容量切替回路の個数は、あまり少ないと、1つの電子スイッチSの状態変化による整流回路22の出力電圧変化が大きくなって動作が不安定になるという理由と、整流回路22の出力電圧を電圧設定値VHに低下させるときにオーバーシュートが生じて出力電圧が非接触応答装置2の各構成回路の最低必要電圧を下回って動作不良を起こす危険性があるという理由と、図8のような周回動作を考慮すると3個以上がよいという理由から、3個以上がよい。
【0075】
また、容量切替回路の個数が、あまり多くなると、1つの電子スイッチSによる整流回路22の出力電圧変化がノイズと同等レベルになって、最適化が困難になるため、最大100個以下がよい。より好ましくは5個以上、30個以下である。
【0076】
本発明は、非接触で通信を行う携帯可搬の電子非接触応答装置なら、どのようなものであっても差し支えなく、RFタグ、携帯情報端末などにも利用できる。しかし、より有用な適用領域はICカードであり、その中でも近接型ICカードおよび近傍型ICカードはもっとも有用である。そこで、以降は、質問装置1をISO/IEC14443に記述されているタイプBのリーダーライタとし、非接触応答装置2を同タイプBの近接型ICカードとして、本実施の形態の非接触通信システムをより詳細に説明する。
【0077】
図10はプログラム回路30の制御アルゴリズムを示すフローチャート図、図11はインピーダンス制御回路33によるインピーダンス制御の動作を示すフローチャート図である。ここでは、容量調整回路31内の容量切替回路の個数を20個とする。また、定電圧回路23の出力電圧を2Vとし、電圧設定値VH2を6V、VHを7V、VLを4Vとし、スイッチングクロック信号の周波数を333kHzとする。
【0078】
質問装置(リーダーライタ)1には非接触応答装置(カード)2を固定するスロットがあり、そこに非接触応答装置2を挿入することで、質問装置1と非接触応答装置2の相対的な位置関係が固定される。
このような非接触通信システムを用いると、非接触応答装置2を質問装置1のスロットに挿入したとき、受信電力量が0の段階で質問装置1からの給電を受けることになるので、プログラム回路30は、初期化状態と認識して(図10ステップ101)、インピーダンス制御を開始し(ステップ102)、受信電力量をPH2レベルにする。
【0079】
このときのインピーダンス制御を図11を用いて説明すると、プログラム回路30は、ターゲットとする電圧設定値VsをVH2とし(図11ステップ201)、現在の容量調整回路31の電子スイッチSの状態を認識して(ステップ202)、スイッチングクロック信号の周期分待機する(ステップ203)。以上の動作は、図4で説明したキャリア波受信時の動作に相当する。
【0080】
次に、受信電力検出回路29は、整流回路22の出力電圧V(i)を検出する(ステップ204)。プログラム回路30は、スイッチングクロックの周期分待機した後、受信電力検出回路29の検出結果に基づいて、出力電圧V(i)が電圧設定値Vs以上で、かつ電圧設定値Vsに電圧制御マージンαを加えた電圧以下かどうかを判定する(ステップ205)。
【0081】
ステップ205で判定YESの場合、プログラム回路30は、インピーダンス制御を停止したことを示すステータスを内部ロジック回路25に出力し(ステップ216)、容量調整回路31の現在の電子スイッチSの状態を固定して(ステップ217)、インピーダンス制御を停止する。
【0082】
一方、ステップ205で判定NOの場合、プログラム回路30は、次に制御する電子スイッチSを選択して(ステップ206)、選択した電子スイッチSをオンさせるようスイッチ制御回路32に指示を出す。この指示に応じて、スイッチ制御回路32は、選択された電子スイッチSをオンさせる制御信号CTLを容量調整回路31に出力する(ステップ207)。そして、プログラム回路30は、スイッチングクロックの周期分待機する(ステップ208)。
【0083】
次に、受信電力検出回路29は、整流回路22の出力電圧V(i+n)を検出し(ステップ209)、スイッチングクロックの周期分待機したプログラム回路30は、受信電力検出回路29の検出結果に基づいて、現在の出力電圧V(i+n)から1スイッチングクロック前の出力電圧V(i)を引いた値が0以上かどうかを判定する(ステップ210)。
【0084】
ステップ210において判定YESの場合、プログラム回路30は、電圧設定値Vsから出力電圧V(i+n)を引いた値が0以上かどうかを判定する(ステップ211)。ステップ211において判定YESの場合、プログラム回路30は、ステップ205に戻る。すなわち、整流回路22の出力電圧が1スイッチングクロック前よりも上昇して、かつ出力電圧が電圧設定値Vs=VH2に達していない場合には、ステップ205〜212の処理が繰り返されることになる。
【0085】
一方、ステップ210において判定NOの場合、プログラム回路30は、電圧設定値Vsから出力電圧V(i+n)を引いた値が0以上かどうかを判定する(ステップ213)。ステップ213においてNOの場合、プログラム回路30は、ステップ212に進む。
【0086】
また、ステップ213において判定YESの場合、プログラム回路30は、ステップ215でn=n×(−1)を実行した後に、ステップ205に戻る。ステップ215は、直前にオンした電子スイッチSをステップ206でオフにするための処理であり、図8における時刻t6の処理を実行するためのものである。
【0087】
以上のインピーダンス制御により、整流回路22の出力電圧が電圧設定値Vs=VH2=6V以上になると(図10ステップ103、図11ステップ205)、プログラム回路30は、インピーダンス制御を停止して、容量調整回路31の現在の電子スイッチSの状態を固定し(図10ステップ104、図11ステップ217)、インピーダンス制御を停止したことを示すステータスを内部ロジック回路25に出力する(ステップ105)。
【0088】
そして、プログラム回路30は、内部ロジック回路25のCPU25aからの通信ステータスを待つ待機状態となる(ステップ106)。
整流回路22の出力電圧が0の状態から、6Vになるまでに本実施の形態では200μs要した。
【0089】
次に、プログラム回路30からのステータスを受けたCPU25aは、衝突防止プロトコルに対応するために、不揮発メモリ25dの所定のアドレスから、必要なデータを読み出して、所定のレジスタに格納して、初期化処理を実行する。CPU25aは、初期化処理の終了後、初期化処理が終了したことを示す通信ステータスをプログラム回路30に出力し、以後はアイドル状態となって、質問装置1からの質問を待つ待機状態となる(ステップ107)。
【0090】
CPU25aからの通信ステータスを受けたプログラム回路30は、インピーダンス制御を開始し(ステップ108)、受信電力量をPLレベルにする。すなわち、プログラム回路30は、整流回路22の出力電圧が低下するように容量調整回路31の電子スイッチSを制御し、出力電圧が電圧設定値Vs=VL=4Vを下回らない範囲で設定値Vs付近になったとき(ステップ109)、インピーダンス制御を停止して、容量調整回路31の現在の電子スイッチSの状態を固定し(ステップ110)、インピーダンス制御を停止したことを示すステータスを内部ロジック回路25に出力する(ステップ111)。
【0091】
そして、プログラム回路30は、内部ロジック回路25からのステータスを待つ待機状態となる(ステップ112)。
整流回路22の出力電圧が6Vから4Vに低下するまでに、本実施の形態では100μsを要しなかった。
【0092】
次に、内部ロジック回路25のCPU25aは、復調回路24によって復調されたコマンドから抽出したIDが自装置のIDである場合、前記コマンドが自装置への質問であると認識して、質問に対する内部演算処理を開始する前に、自装置への質問を受信したことを示す通信ステータスをプログラム回路30に出力する(ステップ113)。
【0093】
CPU25aからの通信ステータスを受けたプログラム回路30は、インピーダンス制御を開始し(ステップ114)、受信電力量をPHレベルにする。すなわち、プログラム回路30は、整流回路22の出力電圧が上昇するように容量調整回路30の電子スイッチSを制御し、出力電圧が電圧設定値Vs=VH=7V以上、Vs+α以下の範囲で設定値Vs付近になったとき(ステップ115)、インピーダンス制御を停止して、容量調整回路31の現在の電子スイッチSの状態を固定し(ステップ116)、インピーダンス制御を停止したことを示すステータスを内部ロジック回路25に出力する(ステップ117)。
【0094】
そして、プログラム回路30は、内部ロジック回路25からのステータスを待つ待機状態となる(ステップ118)。
整流回路22の出力電圧が4Vから7Vに上昇するのに要した時間は、100μs以内であった。
プログラム回路30からのステータスを受けたCPU25aは、質問に対する内部演算処理を開始して、応答波を質問装置1に送信した後、応答処理が終了して待機状態になったことを示す通信ステータスをプログラム回路30に出力する(ステップ119)。
【0095】
CPU25aからのステータスを受けたプログラム回路30は、インピーダンス制御を開始し(ステップ120)、整流回路22の出力電圧が低下するように容量調整回路31の電子スイッチSを制御し、出力電圧が電圧設定値Vs=VLを下回らない範囲で設定値Vs付近になったとき(ステップ121)、インピーダンス制御を停止して、容量調整回路31の現在の電子スイッチSの状態を固定し(ステップ122)、インピーダンス制御を停止したことを示すステータスを内部ロジック回路25に出力する(ステップ123)。そして、プログラム回路30は待機状態となる(ステップ124)。
以後、ステップ113〜124の処理が繰り返される。
【0096】
質問装置1との初期応答処理においては、アトリビュートコマンドにより質問装置1からIDが付与される。IDが付与された後は、通常の伝送モードとなる。ICカードでは、アトリビュートを完了して、カードがアクティブになってからを伝送モードと呼ぶが、応答の高速性が要求されるのは、リクエスト信号に対する応答の部分だけであり、アトリビュートコマンドに対する応答の時間的制限は、伝送モードと同等になるので、本発明の電力制御の観点からは、アトリビュート以降においては伝送モードと同様な制御を行うことで差し支えない。
【0097】
【発明の効果】
本発明によれば、質問装置から見た自装置のインピーダンスを変化させるインピーダンス制御回路を設け、このインピーダンス制御回路が、自装置が質問装置からの質問データを待つ待機状態になったとき、質問装置からの受信電力量が質問データの認識に最低限必要な電力量PLとなるようアンテナ回路の受電効率を低下させ、自装置に対する質問データを受信したとき、受信電力量が応答波の生成・送信に最低限必要な電力量PH(PL<PH)となるようアンテナ回路の受電効率を増大させることにより、非接触応答装置の伝送モードにおける電力消費量を適切な量に設定することができ、待機状態における非接触応答装置の電力消費量を低減することができるので、非接触通信システムにおける電力消費の効率を向上させることができる。また、待機状態における非接触応答装置の電力消費量を低減させる結果、非接触応答装置の発熱を抑制することができる。また、電力の分配を効率良く行えることから、質問装置から複数の非接触応答装置に対して質問を同時に発するようにすれば、従来よりも多くの非接触応答装置をコマンド処理状態にすることができる。
【0098】
また、自装置が質問装置からの電力供給を受け始めたとき、インピーダンス制御回路が、内部ロジック回路による初期化処理の前に、質問装置からの受信電力量が初期化処理に最低限必要な電力量PH2(PL<PH2≦PH)となるようアンテナ回路の受電効率を増大させることにより、非接触応答装置の初期化処理の際の電力消費量を適切な量に設定することができ、非接触通信システムにおける電力消費の効率を向上させることができる。
【0099】
また、インピーダンス制御回路が、受信電力量をPL,PH又はPH2にするとき、整流回路の出力電圧を検出して、この出力電圧がPL,PH又はPH2に対応する電圧設定値VL,VH又はVH2(VL<VH2≦VH)となるよう自装置のインピーダンス制御を行うことにより、整流回路の出力電圧に基づいて質問装置からの受信電力量を検出することができ、インピーダンス制御回路による受信電力量の制御を容易に実現することができる。
【0100】
また、インピーダンス制御回路を、容量素子と電子スイッチとを直列に接続した容量切替回路をアンテナ回路と並列に複数個配置した容量調整回路と、整流回路の出力電圧を検出する受信電力検出回路と、整流回路の出力電圧が所望の電圧設定値になるように、容量調整回路の各電子スイッチの状態を決定するプログラム回路と、このプログラム回路の決定に従って容量調整回路の各電子スイッチのオン/オフを制御するスイッチ制御回路とから構成することにより、質問装置から見た自装置のインピーダンスを容易に変化させることができ、インピーダンス制御を動的に行って、質問装置からの受信電力量を制御するインピーダンス制御回路を容易に実現することができる。
【0101】
また、電子スイッチのスイッチングクロックを生成するスイッチングクロック生成回路をインピーダンス制御回路に設け、プログラム回路による電子スイッチの状態決定と、スイッチ制御回路による電子スイッチの制御と、受信電力検出回路による整流回路の出力電圧検出とを1スイッチングクロック毎に繰り返し行うことにより、インピーダンスを段階的に変化させて、整流回路の出力電圧を所望の電圧設定値に漸近させることにより、整流回路の出力電圧を所望の電圧設定値に正確、かつ容易に設定することができる。
【0102】
また、プログラム回路が、整流回路の出力電圧が所望の電圧設定値になったときに、電子スイッチの状態を固定し、インピーダンス制御を停止したことを示すステータスを内部ロジック回路に出力することにより、内部ロジック回路は、受信電力量が現在の状態に必要な電力量になったことを認識することができる。
【0103】
また、内部ロジック回路が通信ステータスをプログラム回路に出力することにより、プログラム回路は、整流回路の出力電圧が通信ステータスに応じた電圧設定値となるようインピーダンス制御を行うことができる。すなわち、内部ロジック回路が、初期化処理が終了したことを示す通信ステータス又は待機状態になったことを示す通信ステータスを出力することにより、プログラム回路は、整流回路の出力電圧が初期化処理の終了時点または待機状態にとって望ましい電圧設定値VLとなるようインピーダンス制御を行うことができる。また、内部ロジック回路が、自装置に対する質問データを受信したことを示す通信ステータスを出力することにより、プログラム回路は、整流回路の出力電圧が応答波の生成・送信にとって望ましい電圧設定値VHとなるようインピーダンス制御を行うことができる。
【0104】
また、容量切替回路の個数を3個以上100個以下とすることにより、1つの電子スイッチの状態変化による整流回路の出力電圧変化を適切な量にすることができ、整流回路の出力電圧を低下させるときに出力電圧が非接触応答装置の各回路の最低必要電圧を下回って動作不良を起こすという危険性を回避することができる。
【0105】
また、スイッチングクロックの周波数を1kHz以上1MHz以下とすることにより、質問装置から見た自装置のインピーダンスを変化させるインピーダンス制御とこれに付随する整流回路の出力電圧検出とを正確に実行でき、かつインピーダンス制御に要する時間を短くして、質問装置に応答を返すまでの時間を短くすることができる。
【0106】
また、シャント型レギュレータからなる定電圧回路を整流回路の後段に設けることにより、整流回路から見た定電圧回路以降の回路全体の負荷が内部ロジック回路の動作状態に関わらず一定となるので、整流回路の出力電圧に基づいて質問装置からの受信電力量を検出することができ、インピーダンス制御回路による受信電力量の制御が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態となる非接触通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明の実施の形態における非接触応答装置のインピーダンス制御回路の詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】 伝送モードにおける質問装置と非接触応答装置との通信及び非接触応答装置の受信電力量を時系列的に表したタイミングチャート図である。
【図4】 初期化モードにおける非接触応答装置の受信電力量を時系列的に表したタイミングチャート図である。
【図5】 本発明の実施の形態における非接触応答装置の容量調整回路の構成を示す回路図である。
【図6】 プログラム回路及びスイッチ制御回路による容量調整回路のスイッチ制御と整流回路の出力電圧との関係の1例を示す図である。
【図7】 プログラム回路及びスイッチ制御回路による容量調整回路のスイッチ制御と整流回路の出力電圧との関係の他の例を示す図である。
【図8】 プログラム回路及びスイッチ制御回路による容量調整回路のスイッチ制御と整流回路の出力電圧との関係の他の例を示す図である。
【図9】 受信電力検出回路の受信電力比較部内の各回路の出力と整流回路の出力電圧との関係を示す図である。
【図10】 プログラム回路の制御アルゴリズムを示すフローチャート図である。
【図11】 インピーダンス制御回路によるインピーダンス制御の動作を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
1…質問装置、2…非接触応答装置、10…キャリア波発生回路、11…アンテナ、12…共振回路、20…アンテナ、21…共振回路、22…整流回路、23…定電圧回路、24…復調回路、25…内部ロジック回路、26…変調回路、27…クロック生成回路、28…スイッチングクロック生成回路、29…受信電力検出回路、30…プログラム回路、31…容量調整回路、32…スイッチ制御回路、33…インピーダンス制御回路、25a…CPU、25b…ROM、25c…RAM、25d…不揮発メモリ、28a…分周回路、29a…受信電力変動検出部、29b…受信電力比較部、29a−1…サンプルホールド回路、29a−2…コンパレータ、29b−1、29b−2…シュミットトリガ、29b−3…インバータ、29b−4…OR回路、C1、C2、Cv1〜Cvi…容量素子、S…電子スイッチ。
Claims (9)
- 質問装置からのキャリア波を受信すると共に前記質問装置への応答波を送信するアンテナ回路と、このアンテナ回路で受信した前記キャリア波から自装置の駆動用電力を得る整流回路と、前記キャリア波から自装置に対する質問データを取得したとき、この質問データに対する応答データを生成して、前記アンテナ回路から応答波として送信させる内部ロジック回路とを備え、電磁誘導を用いて非接触状態で前記質問装置から電力供給を受けると共に前記質問装置との間でデータ通信を行う非接触応答装置において、
前記質問装置から見た自装置のインピーダンスを変化させるインピーダンス制御回路を有し、
このインピーダンス制御回路は、自装置が前記質問装置からの質問データを待つ待機状態になったとき、前記質問装置からの受信電力量が前記質問データの認識に最低限必要な電力量PLとなるよう前記アンテナ回路の受電効率を低下させ、自装置に対する前記質問データを受信したとき、前記受信電力量が前記応答波の生成・送信に最低限必要な電力量PH(PL<PH)となるよう前記受電効率を増大させるものであり、前記受信電力量をPL又はPHにするとき、前記整流回路の出力電圧を検出して、この出力電圧が前記PL又はPHに対応する電圧設定値VL又はVH(VL<VH)となるよう前記自装置のインピーダンス制御を行い、前記受信電力量を制御することを特徴とする非接触応答装置。 - 質問装置からのキャリア波を受信すると共に前記質問装置への応答波を送信するアンテナ回路と、このアンテナ回路で受信した前記キャリア波から自装置の駆動用電力を得る整流回路と、前記キャリア波から自装置に対する質問データを取得したとき、この質問データに対する応答データを生成して、前記アンテナ回路から応答波として送信させる内部ロジック回路とを備え、電磁誘導を用いて非接触状態で前記質問装置から電力供給を受けると共に前記質問装置との間でデータ通信を行う非接触応答装置において、
前記質問装置から見た自装置のインピーダンスを変化させるインピーダンス制御回路を有し、
このインピーダンス制御回路は、自装置が前記質問装置からの質問データを待つ待機状態になったとき、前記質問装置からの受信電力量が前記質問データの認識に最低限必要な電力量PLとなるよう前記アンテナ回路の受電効率を低下させ、自装置に対する前記質問データを受信したとき、前記受信電力量が前記応答波の生成・送信に最低限必要な電力量PH(PL<PH)となるよう前記受電効率を増大させ、自装置が前記質問装置の送信電磁界領域内に入って前記質問装置からの電力供給を受け始めたとき、前記内部ロジック回路による初期化処理の前に、前記質問装置からの受信電力量が前記初期化処理に最低限必要な電力量PH2(PL<PH2≦PH)となるよう前記アンテナ回路の受電効率を増大させるものであり、前記受信電力量をPL,PH又はPH2にするとき、前記整流回路の出力電圧を検出して、この出力電圧が前記PL,PH又はPH2に対応する電圧設定値VL,VH又はVH2(VL<VH2≦VH)となるよう前記自装置のインピーダンス制御を行い、前記受信電力量を制御することを特徴とする非接触応答装置。 - 請求項1又は2記載の非接触応答装置において、
前記インピーダンス制御回路は、
容量素子と電子スイッチとを直列に接続した容量切替回路を前記アンテナ回路と並列に複数個配置した容量調整回路と、
前記整流回路の出力電圧を検出する受信電力検出回路と、
前記整流回路の出力電圧が所望の前記電圧設定値になるように、前記容量調整回路の各電子スイッチの状態を決定するプログラム回路と、
このプログラム回路の決定に従って前記容量調整回路の各電子スイッチのオン/オフを制御するスイッチ制御回路とを含むことを特徴とする非接触応答装置。 - 請求項3記載の非接触応答装置において、
前記インピーダンス制御回路は、前記電子スイッチのスイッチングクロックを生成する スイッチングクロック生成回路を含み、
前記プログラム回路による前記電子スイッチの状態決定と、前記スイッチ制御回路による前記電子スイッチの制御と、前記受信電力検出回路による前記整流回路の出力電圧検出とを1スイッチングクロック毎に繰り返し行うことにより、前記インピーダンスを段階的に変化させて、前記整流回路の出力電圧を所望の前記電圧設定値に漸近させることを特徴とする非接触応答装置。 - 請求項3記載の非接触応答装置において、
前記プログラム回路は、前記整流回路の出力電圧が所望の前記電圧設定値になったときに、前記電子スイッチの状態を固定し、前記インピーダンス制御を停止したことを示すステータスを前記内部ロジック回路に出力することを特徴とする非接触応答装置。 - 請求項3記載の非接触応答装置において、
前記内部ロジック回路は、前記初期化処理が終了したことを示す通信ステータス、前記待機状態になったことを示す通信ステータス又は自装置に対する前記質問データを受信したことを示す通信ステータスを前記プログラム回路に出力することを特徴とする非接触応答装置。 - 請求項3記載の非接触応答装置において、
前記容量切替回路の個数は、3個以上100個以下であることを特徴とする非接触応答装置。 - 請求項4記載の非接触応答装置において、
前記スイッチングクロックの周波数は、1kHz以上1MHz以下であることを特徴とする非接触応答装置。 - 請求項1又は2記載の非接触応答装置において、
前記整流回路の後段に、シャント型レギュレータからなる定電圧回路を有することを特徴とする非接触応答装置。
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