JP3713525B2 - 消毒剤及び/又は創傷治癒促進剤の外用製剤 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、消毒剤及び/又は創傷治癒促進剤の外用製剤に関する。詳細には、本製剤はヒト及び動物の創面、皮膚、粘膜及び粘膜様非角化上皮組織に適用される。
【0002】
【従来の技術】
感染症の局所治療用に多数の様々な抗生物質及び消毒剤が既知である。抗生物質の決定的な欠点は、感染菌が抗生物質に対して一次耐性を示し、二次耐性を獲得することである。更に、抗生物質が患者に感作をもたらすことがよくある。ポリビドンヨウ素又はPVPヨウ素、即ちポリ(1−ビニル−2−ピロリジン−2−オン)−ヨウ素複合体としても知られるポビドンヨウ素のような消毒剤を使用すると耐性を防止することができる。消毒剤は抗生物質に比べてアレルゲンとなることもめったにない。
科学文献において、リポソームは薬剤キャリヤとしてかなり開示されている。最近発表のものに下記文献が含まれている:
Hoekstra, H. J., Van Baare, J., Dutrieux, R.P.: Evaluation of topical therapy and wound healing. 第5回欧州熱傷学会,ブライトン,英国,1993。
Neuhann, T., Sommer, G.: Erfahrungen mit Jod-Povidon zur Behandlung der Keratokon-junctivitis epidemica. Z. prakt. Augenh. 1 (1980), 65 wm:pk:sf。
Pleyer, U., Schmidt, K., Thiel, H. J. (eds.): Liposomes in Ophthalmologyand Dermatology. Hippokrates Verlag Stuttgart, 1993 。
【0003】
Pruefer, K., Sternberg, B.: Liposomen in der Medizin - Eine aktuelle Bestandsaufnahme. Z. aerzt. Fortbildung 88 (1994), 257-256 。
Rubas, W., Schreier, H.: Liposonmen: Fortschritt in Herstellungs-Technologie und Therapie, Pharmazie in unserer Zeit, 6 (1991) 255-270。
Schreier, H., Bouwstra, J.: Liposomes as topical drug carriers: dermal and transdermal drug delivery (投稿中) 。
Shell, J.W.: Ophthalmic drug delivery systems. Surv. Opthalmol. 29 (19984), 117 。
更に、オランダ BeverwijkのHoekstraらのチームにより、リポソーム内に封入され実験創傷に適用された化学療法剤スルファダイアジン銀を用いた動物実験について報告されている。結果は、慣用のスルファダイアジン銀軟膏に比べて創底部に薬剤濃縮が示されかつ銀吸収が減少している。
しかしながら、薬剤キャリヤとしてのリポソームに長い間かなり留意されてきたが、外用消毒剤又は創傷治癒促進剤のキャリヤとしてのリポソームに関する従来技術はないと思われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、活性剤の放出が持続され局所作用が持続される十分に許容された容易に適用できる消毒剤又は創傷治癒促進剤を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、独立クレイムに定義されるように、製剤が少なくとも1種の消毒剤及び/又は創傷治癒促進剤をリポソーム調製物として含む本技術的目的が達成される。
従属クレイムは、本発明の更に有利な実施態様を定義するものである。
本発明は、リポソームが消毒剤、特にポビドンヨウ素及び創傷治癒促進剤のキャリヤとして非常に適しているという驚くべき事実を前提とするものである。
本発明のリポソーム調製物は、薬剤の持続した放出が可能であり、細胞面との相互作用によって所望の作用位置に延長した局所活性を与えるものである。
本発明者らによって行われた実験及び研究は、更に予想外に、本発明の製剤がリポソーム内に封入されたポビドンヨウ素のような活性剤を単に含有するものではないことを示している。リポソーム内部に含有されない薬剤の若干量もあると考えられる。本発明の製剤は、リポソームからの活性剤の緩慢な持続した放出の他に顕著な初期効果が見られることをしばしば示している。理論的な説明に縛られることを望まないが、リポソーム内部に封入された活性剤の他に、リポソームの外部に活性剤が若干存在し、恐らくリポソームの外面にゆるく結合されていると考えられる。これは、活性剤分子とリポソーム膜との会合によるか又は層がリポソームを外部から部分的にあるいは完全に被覆するリポソーム表面上に層を形成する活性剤分子によるものである。この薬剤初期効果の種類及び量は、例えば、濃度パラメーターの選択によって影響される。
【0006】
即ち、本発明のリポソーム調製物は液剤、軟膏剤等の慣用の製剤によって示されるはずのない効果を得ることを可能にするものである。
好ましい消毒剤は、効果が速く、活性範囲が広く、全身性毒性が低く、組織適合性が良好である周知の医薬物質を含み、例えば、金属化合物、フェノール化合物、清拭剤、ヨウ素及びヨウ素複合体を含む群より選ばれる。特に好ましい消毒剤はポビドンヨウ素である。
創傷の治癒を促進する好ましい薬剤は、そのような適用に対して文献に記載されている物質を含んでいる。好ましい薬剤としては、上皮形成を促進することが知られる物質を包含し、ビタミン、特にビタミンB群、アラントイン、アズレン等が挙げられる。
好ましい実施態様においては、消毒剤及び/又は創傷治癒促進剤を含有するリポソーム調製物は、更に麻酔剤のような薬剤を含むことができる。本発明の製剤は、また、補助剤及び添加剤、保存剤又は稠度形成剤、例えば粘度調節添加剤、エマルゲーター等を包含する慣用の物質を含有することもできる。
【0007】
リポソーム膜を形成する従来技術において一般に知られる両親媒性物質は、企図される適用に薬学的に許容しうるものである限り本発明に使用することができる。レシチンを含むリポソーム形成系が好ましい。この系はコレステロール及びコハク酸二ナトリウム6水和物の他に水素化大豆レシチンを含むことができ、単一膜形成剤として水素化大豆レシチンを用いることが特に好ましい。
リポソーム構造を形成する従来技術の既知の方法は、一般的には本発明に用いることができる。一般に、これらの方法は被膜形成物質及び水を含有する適切な混合液又は水溶液を機械的に攪拌することを含んでいる。実質的に均一なリポソームサイズを形成する際には、適切な膜によるろ過が好ましい。
リポソームサイズは広範囲にわたって、通常約20〜約20,000nmに変動させることができる。直径50〜4,000nmを有するリポソームが好ましく、直径約1,000nmのリポソームが最も好ましい。
1つの好ましい適用分野は、眼科、例えば細菌性及びウイルス性角結膜炎の治療及び手術前の消毒的予防である。
【0008】
本発明のリポソーム調製物の非常に好ましい用途は、特にリポソーム調製物がポビドンヨウ素を含有する場合、眼の前面部の感染症の局所治療である。またこの適応症においては、本発明の消毒剤、特にPVPヨウ素を含有するものは、耐性を生じないという大きな利点を有しかつアレルギー反応をほとんど生じることがなく、広範囲の効果を有する非常にコスト効率の良い治療も可能である。本発明のポビドンヨウ素リポソーム調製物は、例えば、ウイルス性結膜炎の最も頻繁な原因であるアデノウイルスに対して有効である。この効果は、抗生物質では示されない。更に、ポビドンヨウ素のような殺菌剤のリポソーム調製物は、眼の前面部についたリポソームから薬剤を持続的に放出する。これは、殺菌剤の延長した効果をもたらすので、慣用の点眼消毒剤に比べて適用頻度が少なくなる。
本発明の製剤は、液剤、分散液剤、ローション剤、クリーム剤、軟膏剤及びゲル剤のような種々の剤形を用いることができる。
通常、本発明の製剤における活性剤の量は、一方では所望の効果、もう一方ではリポソーム調製物の薬剤に対する担持容量により決定される。
【0009】
一般に、本発明のリポソーム調製物における活性剤の溶液又は分散液は、薬剤の有効性の下限と各溶媒又は分散媒中薬剤の溶解性又は分散性限度との間の範囲にあるはずである。
同様の考慮により、ローション剤、クリーム剤、軟膏剤もしくはゲル剤又はそのような他の製剤における薬剤量が一般に限定される。
更に詳細には、ポビドンヨウ素のような消毒剤の場合、本発明のリポソーム調製物における溶液又は分散液は、製剤100g中薬剤0.1〜10gを含有することができる。更にその製剤は、典型的には、製剤100g当たりリポソーム膜形成剤、特にレシチン1〜5gを含有する。
親水性又は親油性ローションとすることができるローションにおいては、活性剤の典型的範囲は、ローション100g当たり薬剤0.5〜10g及びリポソーム膜形成剤、例えば水素化大豆レシチン3〜8g、好ましくは約5gである。親水性ローションの場合には、ローションを含有するリポソームを調製する際に電解質液がよく用いられる。親油性ローションは、たいてい薬剤、被膜形成剤及び親油性形成剤、例えば中鎖長トリグリセリド等から調製される。
【0010】
本発明のリポソーム調製物を含む親水性クリームは、通常、クリーム100g当たり薬剤、例えばポビドンヨウ素0.1〜10gを被膜形成剤約1〜10g及び典型的なO/Wクリーム形成添加剤と共に含んでいる。
匹敵する本発明の親油性クリームは、薬剤及び被膜形成剤、例えばレシチンの同様の内容物を有し、更に親油性クリームの典型的添加剤を有する。
本発明の親水性軟膏は、一般に、軟膏100g中薬剤0.1〜10g及びリポソーム膜形成剤、例えばレシチン1〜10gを従来技術の典型的な軟膏基剤、例えば Macrogol(登録商標)及び水と共に含むことができる。
本発明の非アルコール性ヒドロゲルは、一般に、ヒドロゲル100gを形成するために薬剤、例えばポビドンヨウ素1〜5g、レシチン約2g及びゲル形成剤、例えば Carbopol(登録商標)をpH調整剤及び水と共に含んでいる。
更に実施例の個々の処方が注目される。
本発明の特徴及び利点は、下記の好ましい実施例の記述からより詳細に注目されるであろう。最良の方法を包含するこれらの実施例においては、消毒剤としてポビドンヨウ素が例示されている。しかしながら、そのような製剤は特に好ましいものであるが、消毒剤に対して又は消毒剤の中でポビドンヨウ素に対して本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0011】
本発明のリポソームを作製する好ましい1方法は、一般に次のように記載される。
脂質膜形成成分、例えばレシチンをクロロホルム又はメタノールとクロロホルムの2:1混合液のような適切な溶媒に溶解し、無菌条件下でろ過する。次いで、溶媒の蒸発を制御することによりガラスビーズのような強い滅菌表面基質上に脂質膜を作製する。ある場合には、表面を増大させる特定の基質を用いないで、溶媒を蒸発する際に用いられる容器の内面に被膜を十分に形成することができる。
電解質成分とリポソーム調製物に取込まれるべき(1種以上の)活性剤から水性系が調製される。かかる水性系は、例えば、10ミリモル/リットルリン酸水素ナトリウム及び0.9%塩化ナトリウム、pH7.4を含むことができ、この水性系は更に所望量の活性剤を含み、これは実施例においてはポビドンヨウ素である。たいてい、水性系は過剰量の薬剤を含む。
【0012】
リポソームは、一般的には、脂質成分によって形成された該被膜の存在下に該水性系を攪拌することにより形成される。この段階で更に添加剤を加えてリポソーム形成を改善することができ、例えば胆汁酸ナトリウムが添加される。また、リポソーム形成は例えばポリカーボネート膜による加圧ろ過又は遠心分離のような機械的作用により影響される。通常、粗リポソーム分散液は、例えば上記活性剤溶液を調製する際に用いられる電解質液で洗浄される。
要求されたサイズ分布を有するリポソームを得て洗浄した場合、サッカロースのような糖又は適切な糖代替物をたいてい含む上記電解質液に再分散することができる。この分散液は凍結乾燥することができる。使用前に、水を添加するとともに水素化大豆レシチンの場合は例えば55℃である脂質成分の転移温度で適切に機械的攪拌することにより再構成することができる。
下記実施例においては、水素化大豆レシチン (Lukas Meyer,ドイツから入手できる EPIKURON(登録商標) 200 SH又は Nattermann Phospholipid GmbH,ドイツから入手できる PHOSPOLIPON (登録商標) 90 H) を用いた。しかしながら、代わりに他の薬学的に許容しうるリポソーム膜形成剤を用いることもでき、当業者は従来技術において記載されているものから適切な他のリポソーム形成系を容易に選ぶことができる。
【0013】
【実施例1】
表面増加用ガラスビーズの入った1000mlのガラスフラスコで、51.9mgのコレステロールと213mgの水素化大豆レシチンをメタノールとクロロホルムの2:1混合液の十分量に溶解した。次いで、被膜がフラスコの内面とガラスビーズ上に形成されるまで溶媒を減圧下で蒸発した。
2.4gのPVPヨウ素(約10%の有効ヨウ素を含有する)を12mlの水に別々に溶解した。
また、別の容器で、8.77gの塩化ナトリウムと1.78gのNa2 HPO4 ・2H2 Oを400mlの水に溶解した。更に水を全量980mlまで加え、次に約12mlの1N 塩酸を加えてpH7.4に調整した。次いで、この溶液に水を正確に1000mlまで加えた。
4つ目の容器で、900mgのサッカロースと57mgのコハク酸二ナトリウムを12mlの水に溶解した。
【0014】
次いで、PVPヨウ素液をフラスコ中の脂質膜に加え、被膜が溶解するまで混合液を振盪した。これによりフラスコ中で水和脂質からリポソームが形成された。この生成物を遠心し、上清を捨てた。サッカロース溶液を12mlまで加え、生成物を再び遠心した。その後、上清を再び捨てた。この段階で、サッカロース溶液又は塩化ナトリウム緩衝液を用いて更に洗浄することができる。
最後の遠心工程及び上清を捨てた後、塩化ナトリウム緩衝液を12mlまで加え、リポソームを均等に分配した。次いで、生成物をバイアルに分配することにより各々が2mlのリポソーム分散液を含有し、次いでバイアルを凍結乾燥工程に供した。
凍結乾燥後、各バイアルは約40mgの固形分を含んでいた。
実施例1の方法は、高割合の固形分により使用したPVPヨウ素液がむしろ粘稠であるので、取扱いが困難である点で多少の欠点がある。
【0015】
【実施例2】
表面増加用ガラスビーズの入った2000mlのガラスフラスコで、173mgの水素化大豆レシチンと90mgのコハク酸二ナトリウムを約60mlの2:1メタノール/クロロホルム混合液に溶解した。被膜が形成されるまで溶媒を減圧下で除去した。
4gのPVPヨウ素(約10%有効ヨウ素)を実施例1で記載した40mlの塩化ナトリウム緩衝液に溶解し、フラスコ中の脂質膜に加えた。次いで、被膜が溶解しかつリポソームが形成されるまでフラスコを振盪した。
生成物を遠心し、上清を捨てた。
得られたリポソーム沈降物に更に塩化ナトリウム緩衝液を40mlまで加え、遠心工程を繰り返した。上清を再び捨てた。この段階で、場合によってはこの洗浄工程を繰り返すことができる。
最後の遠心及び傾瀉工程後、沈降リポソームに塩化ナトリウム緩衝液を40mlまで再び加えた。均等な分散液をバイアルに分配することにより、各バイアルは約2mlのリポソーム分散液を含有し、次いでバイアルを凍結乾燥工程に供した。これにより1バイアル当たり約200mgの凍結乾燥固形分が得られた。
【0016】
実施例1及び2の凍結乾燥固形分から、次の実施例及び試験に記載されているように更に製剤を調製した。
実施例1のように、上記方法は被膜形成後の水和工程を有機溶媒の存在下に用い、封入率5〜15%を目標にするものである。これらの方法は、通常大きなたいてい多重ラメラリポソームを作製するものである。
上記方法は、粗リポソームが形成された後あるいは任意のその後の洗浄工程後ポリカーボネート膜のような適切な膜による高圧ろ過工程又は直接高圧ホモジェナイゼーションを用いることにより変更することができる。これにより、かなり小さな単ラメラリポソームが増加した封入薬剤量で作製される。
高圧ホモジェナイゼーションの代わりに、均一なサイズの小さなリポソームを供給する従来技術の他の方法を用いることができる。
【0017】
【実施例3】
実施例2に記載される10gの水素化大豆レシチン/PVPヨウ素リポソームから親水性(O/W)クリームを調製した;これらを4gの Polysorbate 40(登録商標) 、8gのセチルステアリルアルコール、8gのグリセロール、24gの白色ワセリン及び適量の水と全量100gに混合した。
【0018】
【実施例4】
実施例2に記載される10gの水素化大豆レシチン/ポビドンヨウ素リポソーム;7.5gの中鎖長トリグリセリド、7gのポリオキシエチレングリセロールモノステアレート、6gのセチルステアリルアルコール、8gのプロピレングリコール、25gの白色ワセリン及び適量の水から親油性クリーム全量100gを調製した。
【0019】
【実施例5】
水で洗い流すことができる親水軟膏を、10gの実施例2に記載されるリポソームPVPヨウ素、55gの Macrogol 400(登録商標) 、25gの Macrogol 4000 (登録商標) 及び適量の水全量100gを用いて調製した。
【0020】
【実施例6】
4gの実施例2に記載されるリポソームPVPヨウ素、0.5gの Carbopol 980 NF (登録商標) 、pH7までの水酸化ナトリウム、適量の水からヒドロゲル全量100gを調製した。
更に上記実施例の変更が予想される。
即ち、実施例3及び4のクリームは、アラントインのような創傷治癒を促進することが知られる薬剤の追加量を含むことができる。その薬剤は薬学的に有効な濃度、アラントインの場合クリーム100g当たり0.1〜0.5gで添加される。創傷治癒剤は、大部分がリポソームの外部にある場合には、クリーム基剤に混合される。しかしながら、リポソーム調製法の適切な対応する段階で加える場合には、リポソームに一部又は大部分取込まれる。
更に実施例を基準として同様の変法を予想することは容易である。
上記実施例で開示した例えばポビドンヨウ素のような消毒剤の代わりに更に加えてでなく創傷治癒を促進することができる薬剤を含む上記実施例に類似のものを調製することも可能である。しかしながら、消毒剤に加えて創傷治癒促進剤(存在する場合)を使用することが好ましい。
【0021】
本発明の製剤を患者に適用する場合、既知の系、例えば空気ポンプアプリケーター、2室ガス圧パック等を用いることができる。
空気ポンプアプリケーターにおいては、上流弁と下流弁との間にベロー装置を設け、弁は共に同じ向きで1方向に作用する。軟膏又はゲルのような医薬製剤の供給物は、弁及びベロー装置の上流の貯蔵器内に含有される。
ベローを圧縮すると、下流弁が開いて製剤の用量が適用のために装置から出る。ベローを伸ばすと、弁が閉じて製剤が再び入ることを防止する。同時に、上流弁が開いて貯蔵器からの製剤がベロー内に入り、次のベロー圧縮段階で下流弁を通って放出する。
貯蔵器は、シリンダー内のピストン運動のように貯蔵器を移動することができる閉鎖部材によって密閉される。貯蔵器の段階的放出により、この閉鎖部材は貯蔵器内に吸引されるので、貯蔵器内の医薬製剤の残りの量は常に密閉され、同時に貯蔵器をからにすることができる。
この装置は、ペースト状製剤、クリーム剤、軟膏剤に有効である。
【0022】
2室ガス圧パックにおいては、医薬製剤は可撓性プラスチックフィルム材料の袋に含まれる。たいてい、これは高圧ポリエチレンである。
袋は、加圧ガス、たいてい窒素又は空気のような圧縮不活性ガスの供給を更に含む耐ガス圧容器内部に含まれる。
プラスチックフィルム袋は出口が1つだけあり、その単一の口をとりまく圧力容器の内壁に耐ガス接続される。容器内の加圧ガスは袋を圧縮する傾向があり、袋内部の医薬製剤が袋の口を通って、即ち容器の口を通って押し出される。弁、場合によっては噴霧口装置が容器の口に設けられる。弁を操作すると、噴霧、液体噴射又はクリームのような流動性固体の一部を放出する。このような系を用いると、液剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤及びゲル剤を用量に分けて適用することができる。
次いで、本発明の製剤を用いて効率及び許容性試験を次のように行った。
【0023】
試験1
これは、本発明のポビドンヨウ素リポソーム調製物によって得られた殺菌作用の試験管内試験である。本試験は、『Richtlinien der Deutschen Gesellschaft fuer Hygiene und Mikrobiologie 』,1989 に記載されている懸濁液定量試験に基づいたものである。本試験においては、病院衛生上の主な課題であるスタフィロコッカスアウレウス(ATCC 29213)を死滅させるために殺菌剤を用いる。
使用したリポソーム調製物は、実施例1のものとした。1〜120分の種々の接触時間において、スタフィロコッカスを死滅することができる水中製剤の最小濃度を求めた。
結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
表1
接触時間(分) 殺菌濃度
1、 2、 3、 4 ≧ 0.060 %
5、30、60 ≧ 0.015 %
120 ≧ 0.007 %
【0025】
結果は、短い接触時間(1〜4分)において殺菌濃度0.06%のように低く、長い接触時間(120分)において殺菌濃度0.007%のように低くすることができることを示している。
【0026】
試験2
第2試験は、本発明のポビドンヨウ素リポソーム調製物の局所許容性(眼における)のプラセボ対照臨床実験とした。実施例1のリポソームを用いて点眼処方を調製した。15人の男性に試験を試みた。本発明の製剤を常に被験者の一方の眼に用い、もう一方の眼には比較として各々生理食塩液を加えた。
詳細には、各被験者の右眼にPVPヨウ素リポソーム調製物1滴、左眼に生理食塩液1滴を投与し、これを1時間間隔で2回繰り返した。1回目の適用の5、30、65、95、125及び150分並びに24時間後、症状を求めた。これらの症状には細隙灯顕微鏡で測定した充血;灼熱;そう痒;及び涙液量を含めた。各症状を4点評価で測定し、症状なしを0、症状出現の程度の低いものを1、中程度のものを2及び程度の強いものを3とした。
【0027】
4症状の全部の評点と7測定時点から合計点を計算した。即ち合計点は0(=0×0×0)〜84(=4×3×7)に変動する。
被験者は21〜36才で平均年齢30才であった。被験者は全員健康で試験中投薬を受けていなかった。詳細には、眼病と甲状腺病を排除した。
1人の被験者は、150分後の症状の制御がないので合計点を計算しなかった。
結果は表2から注目される。
全体として、両眼の合計点は非常に低かった。平均してポビドンヨウ素リポソーム調製物で処理した眼の合計点が生理食塩液を投与されている眼よりなお低いことは驚くべきことである。
【0028】
【表2】
【0029】
本発明のポビドンヨウ素リポソーム調製物で処理した11人の被験者は、何の症状も示さなかった。3人の被験者はわずかに充血し、1人が非常にわずかな灼熱の感じがあった(これは評点を計算することができなかった上記被験者である)。これに対して、6人の被験者だけが生理食塩液の投与後症状を示さなかった。4人の被験者は灼熱を示し、その中の1人はその後の2時点で示した。1人の被験者は、左眼にわずかな灼熱とそう痒を示した。4人の被験者全員が充血を若干示した。
Claims (14)
- ヨウ素複合体から選ばれる消毒剤の外用医薬製剤であって、該消毒剤の少なくとも1種をリポソーム調製物として含有することを特徴とする製剤。
- 消毒剤がポビドンヨウ素であることを特徴とする請求項1記載の製剤。
- リポソームが直径20〜20,000nmのサイズを有することを特徴とする請求項1または2に記載の製剤。
- リポソームが直径50〜4,000nmのサイズを有することを特徴とする請求項3に記載の製剤。
- リポソームが直径500〜2,500nmのサイズを有することを特徴とする請求項4に記載の製剤。
- 製剤が保存剤及び稠度形成添加剤のような添加剤及び補助剤を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の製剤。
- リポソームを含む溶液又は分散液である請求項1〜6のいずれか1項に記載の製剤。
- 点滴医薬製剤である請求項7に記載の製剤。
- 親水性又は両親媒性クリーム基剤中にリポソーム剤処方を含む親水性又は両親媒性クリームである請求項1〜7のいずれか1項に記載の製剤。
- O/W又はW/O医薬ローションである請求項1〜7のいずれか1項に記載の製剤。
- 医薬軟膏基剤中にリポソーム剤を含有する医薬軟膏である請求項1〜7のいずれか1項に記載の製剤。
- 医薬ゲルである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製剤。
- 薬学的に許容しうるヒドロゲル基剤中にリポソーム剤を含有する非アルコール性ヒドロゲルである請求項12に記載の製剤。
- 点眼医薬処方として、a)薬学的に許容しうるリポソーム膜形成物質を含むリポソーム;及びb)0.1〜2%PVPヨウ素液(PVPヨウ素複合体中10%有効ヨウ素);を含み、該リポソームが50〜4,000nmのサイズを有し、該処方が場合によっては更に慣用の添加剤、補助剤及び点眼医薬処方の補助物質を含む請求項1〜13のいずれか1項に記載の製剤。
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