JP3712604B2 - 植物体育成用保水材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物の育成に際して植物体を支持ないし担持するとともに、前記植物体への水の供給源としての機能を発揮することが可能な植物体育成用保水材に関し、より具体的には、造園芸緑化工事、法面緑化工事、ポット苗栽培、流体播種、圃場栽培、露地栽培等に保水用担体として使用される植物体育成用保水材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、造成や道路の整備等によって山肌が露出した場合や、堤防等の護岸壁等においては、土砂の流出や崩壊を防止したり、景観を整えるために法面に客土を行いその上に種子や肥料を吹き付けたり、種子、肥料を混入した客土を法面に直接吹き付け、植物の根により客土の流出を押さえるとともに、法面の補強及び緑化を行う方法が取られている。しかし、この方法は、法面が乾燥しやすいことから、保水性が乏しく種子が巧く発芽しない等、植裁効率が悪いと言う問題がある。そこで、上記のような従来の植裁基材の保水性を改良するために腐葉土やピートモス等が混合・実用化されている。しかし、これらの材では保水能が不充分であるという欠点があり、その為、近年、新しい植物栽培用基材として水に不溶で水に接して多量の水を吸収する各種の吸水性樹脂が提案され利用されている。
しかしながら、法面に吹き付ける種子、肥料を混入した客土は、通常水を多く含んだ泥状で供給されており、この泥状基材に吸水性樹脂を添加すると、吸水性樹脂が、泥状基材中の水分を吸収・膨潤するため、泥状基材の粘度が上昇し、法面に吹き付けることが出来ない等の不都合が生じる等の問題点があった。本発明は、上記のような泥状基材中では粘度上昇を起こさず、且つ法面に吹き付け後には良好な保水能を有する植物体育成用保水材を提供することにある。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記問題点を改善した植物体育成用保水材を得るべく鋭意検討した結果、吸水性樹脂を被覆剤で被覆することにより、吸水性樹脂が泥状基材中に存在する間水分吸収を抑制し、泥状基材の粘度上昇を起こさず、且つ法面に吹き付け乾燥後には良好な保水性能を有する植物体育成用保水材となることを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は、吸水性樹脂(A)又は該(A)と植物体育成用担体(B)からなる成形体(C)が、吸水性樹脂(A)又は成形体(C)100質量部に対して、ウレタン系樹脂、下記エステル系樹脂、エポキシ系樹脂、下記ビニル樹脂からなる群から選ばれる1種以上からなり水に対して不溶〜難溶性である被覆剤(D)1〜40質量部で被覆されてなる植物体育成用保水材。
エステル系樹脂:芳香族ポリエステル−ポリエーテルブロック共重合体、芳香族ポリエステル−脂肪族ポリエステルブロック共重合体
ビニル樹脂:次のモノマー(3)〜(7)を共重合した樹脂、グリシジル(メタ)アクリレートとモノマー(3)〜(5)との共重合体、及びモノマー(3)〜(7)とモノマー(8)とを共重合した樹脂
モノマー(3):モノ(メタ)アクリル酸及びそのアルキルエステル又はヒドロキシアルキルエステル(炭素数4〜24)、
モノマー(4):分子量62〜5,000のポリエチレングリコール及び/又はポリプロピレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル、
モノマー(5):分子量62〜5,000の多官能(2〜6価)アルコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル、
モノマー(6):ニトリル基含有ビニル系モノマー、
モノマー(7):ビニルエステル
モノマー(8):アクリル系樹脂(e2)の構成モノマー
【0004】
【発明の実施の形態】
本発明において吸水性樹脂(A)としては、例えば下記の(1)〜(5)が挙げられる。
(1)デンプンまたはセルロース(イ)等の多糖類と水溶性単量体及び/又は加水分解により水溶性となる単量体から選ばれる1種以上の単量体(ロ)と、架橋剤(ハ)とを必須成分として重合させ、必要により加水分解を行うことにより得られる吸水性樹脂。(イ)としてはペンタエリスリトール、ジグリセリン、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、ジペンタエリスリトール、グルコース、フルクトース、ショ糖、セルロース、CMC、デンプン等が挙げられる。
(ロ)としては例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基を有するラジカル重合性水溶性単量体及びそれらの塩が挙げられる。カルボキシル基を有するラジカル重合性水溶性単量体としては、例えば不飽和モノまたはポリ(2価〜6価)カルボン酸[(メタ)アクリル酸(アクリル酸及びまたはメタクリル酸をいう。以下同様の記載を用いる)、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル(炭素数1〜9)エステル、フマル酸、フマル酸モノアルキル(炭素数1〜9)エステル、クロトン酸、ソルビン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキル(炭素数1〜9)エステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、ケイ皮酸、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキル(炭素数1〜9)エステル等]及びそれらの無水物[無水マレイン酸等]等が挙げられる。
【0005】
スルホン酸基を有するラジカル重合性水溶性単量体としては、例えば、脂肪酸または芳香族ビニルスルホン酸(ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸等)、(メタ)アクリルアルキルスルホン酸[(メタ)アクリル酸スルホエチル、(メタ)アクリル酸スルホプロピル等]、(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸[2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等]等が挙げられる。
リン酸基を有するラジカル重合性水溶性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルリン酸モノエステル[2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイルロキシエチルホスフェート等]等が挙げられる。
上記カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基を含有する水溶性単量体の塩[例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アミン塩もしくはアンモニウム塩等]等が挙げられる。
アミド基含有モノマー[例えば(メタ)アクリルアミド等]、3級アミノ基含有モノマー[例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等]、第4級アンモニウム塩基含有モノマー[例えば上記3級アミノ基含有モノマーの4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)等]、エポキシ基含有モノマー[例えばグリシジル(メタ)アクリレート等]、その他モノマー[4−ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン等]等が挙げられる。
これらは2種以上併用してもよい。これらの内で好ましい水溶性単量体は、カルボキシル基を有するラジカル重合性水溶性単量体およびその塩であり、更に好ましくは不飽和モノまたはポリカルボン酸およびその塩、特に好ましくは(メタ)アクリル酸およびその塩である。
【0006】
(ハ)としては、例えば、ラジカル重合性不飽和基を2個以上有する架橋剤、ラジカル重合性不飽和基と反応性官能基とを有する架橋剤、反応性官能基を2個以上有する架橋剤等が挙げられる。
ラジカル重合性不飽和基を2個以上有する化合物の具体例としては、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリン(ジまたはトリ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル等が挙げられる。
【0007】
(イ)、(ロ)の官能基と反応し得る官能基を少なくとも1個有し、且つ少なくとも1個のラジカル重合性不飽和基を有する化合物[例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、等]が挙げられる。
(イ)、(ロ)の官能基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物の具体例としては、多価アルコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン等)、アルカノールアミン(例えば、ジエタノールアミン等)、及びポリアミン(例えば、ポリエチレンイミン等)などが挙げられる。
これらの架橋剤は2種類以上を併用しても良い。これらのうち好ましいものは、ラジカル重合性不飽和基を2個以上有する共重合性の架橋剤であり、更に好ましくはN,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラアリロキシエタン、ペンタエリスルトールトリアリルエーテル、トリアリルアミンである。
(イ)、(ロ)及び(ハ)の割合、吸水性樹脂の製造法は特に限定されない。吸水性樹脂の具体例としては特開昭52−25886号、特公昭53−46199号、特公昭53−46200号及び特公昭55−21041号公報に記載されているものが挙げられる。
【0008】
(2)上記(イ)と(ロ)とを重合させたもの(デンプン−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、セルロース−アクリロニトリルグラフト重合物の加水分解物等);
(3)上記(イ)の架橋物(カルボキシメチルセルロースの架橋物等);
(4)上記(ロ)と(ハ)との共重合体(架橋されたポリアクリルアミドの部分加水分解物、架橋されたアクリル酸−アクリルアミド共重合体、架橋されたポリスルホン酸塩(架橋されたスルホン化ポリスチレン等)、架橋されたポリアクリル酸塩/ポリスルホン酸塩共重合体、ビニルエステル−不飽和カルボン酸共重合体ケン化物(特開昭52−14689号及び特開昭52−27455号公報に記載されているもの等)、架橋されたポリアクリル酸(塩)、架橋されたアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、架橋されたイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、架橋されたポリビニルピロリドン、及び架橋されたカルボン酸変性ポリビニルアルコール);並びに、
(5)自己架橋性を有する上記(ロ)の重合物(自己架橋型ポリアクリル酸塩等);が挙げられる。
【0009】
以上例示した吸水性樹脂は2種以上併用してもよい。
これらの吸水性樹脂のうち、好ましいものは、(1)、(4)として例示したもののうち、架橋ポリアクリルアミド共重合体、架橋されたポリアクリル酸(塩)、架橋されたアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、及び架橋されたカルボン酸変性ポリビニルアルコール、架橋されたN−ビニル化合物であり、さらに好ましいものは、架橋アクリルアミド共重合体、架橋されたポリアクリル酸(塩)、架橋されたN−ビニル化合物である。
中和塩の形態の吸水性樹脂である場合の塩の種類および中和度については特に限定はないが、塩の種類としては好ましくはアルカリ金属塩、さらに好ましくはナトリウム塩及びカリウム塩であり、酸基に対する中和度は好ましくは50〜90モル%、さらに好ましくは60〜80モル%である。
【0010】
上記(1)、(4)として例示したものの場合、架橋剤の使用量は、水溶性単量体と架橋剤の合計質量に基づいて、好ましくは0.001〜5%であり、さらに好ましくは0.05〜2%、特に好ましくは0.1〜1%である。架橋剤の量が0.001%より少ない場合は、吸水性樹脂の重要な機能である吸水・保水能力が小さくなり、吸水後のゲルはゾル状となりやすい。更に、重合後の含水ゲル状重合体の乾燥性が低下し、生産性が非効率的である。一方5質量%を超える場合、逆に架橋が強くなりすぎ、吸水・保水能力が低下する。更に、吸収速度も遅くなる。
【0011】
吸水性樹脂の製造に当たり、重合方法については特に限定されず、水溶液重合法、逆相懸濁重合法、噴霧重合法、光開始重合法、放射線重合法等が例示される。
好ましい重合方法は、ラジカル重合開始剤を使用して水溶液重合する方法である。この場合のラジカル重合開始剤の種類と使用量、ラジカル重合条件についても特に限定はなく、通常と同様にできる。なお、これらの重合系に、必要により各種添加剤、連鎖移動剤(例えばチオール化合物等)等を添加しても差し支えない。
【0012】
重合して得られる吸水性樹脂の含水ゲル状重合体を乾燥後、粉砕し、さらに必要により粒度調整して得られる吸収剤粒子の表面近傍を、カルボキシル基等の酸基及び/又はその塩基と反応しうる官能基を少なくとも2個有する架橋剤で表面架橋して吸水性樹脂とすることもできる。
このような表面架橋型の吸水性樹脂は、常圧下だけでなく加圧下においても吸収性能と吸収速度に優れ、かつゲル強度も大きくなるので、本発明に好適である。
表面架橋に使用する架橋剤としては、従来から使用されている公知の架橋剤が適用できる。具体的な例としては、1分子中にエポキシ基を2〜10個有するポリグリシジルエーテル化合物[エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリン−1,3−ジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール(重合度2〜100)ジグリシジルエーテル、ポリグリセロール(重合度2〜100)ポリグリシジルエーテル等];2価〜20価のポリオール化合物[グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール(重合度2〜100)等];2価〜20価のポリアミン化合物(エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等);分子量200〜500,000のポリアミン系樹脂(ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミンエピクロルヒドリン樹脂等)、アルキレンカーボネイト[エチレンカーボネイト等]、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物、ポリイミン化合物等が挙げられる。
これらのうちで好ましいものは、比較的低い温度で表面架橋を行わせることができるという点で、ポリグリシジルエーテル化合物、ポリアミン系樹脂及びアジリジン化合物である。
【0013】
表面架橋における架橋剤の量は、架橋剤の種類、架橋させる条件、目標とする性能等により種々変化させることができるため特に限定はないが、吸水性樹脂に対して好ましくは0.001〜3重量%、さらに好ましくは0.01〜2重量%、特に好ましくは0.05〜1重量%である。架橋剤の量が0.001重量%以上であると表面架橋効果が発現する。一方、3重量%以下であると吸収性能も低下せず好ましい。
【0014】
(A)の質量に対する水の吸水倍率は、好ましくは10〜1500倍であり、より好ましくは100〜1000倍である。又、(A)は、粉末及び/又は粒状として使用する。粉末及び/又は粒状の形態、大きさ等は特に限定はないが、その平均粒径は好ましくは5〜6000μmであり、特に好ましくは10〜5000μmである。粒度分布は特に限定はないが、好ましくは5〜6000μmの範囲の粒子が95質量%以上であり、特に好ましくは平均粒径が10〜5000μmの範囲の粒子が95質量%以上である。
吸水性樹脂の吸水倍率は次に示す方法により測定して得られる値とする。
<吸水性樹脂の吸水倍率>ナイロン製の網袋(250メッシュ)に吸水性樹脂の試料(サンプル量;Xg)を入れ、これを袋ごと過剰の水に浸した。浸漬60分後に袋ごと空中に引き上げ、静置して15分間水切りした後、質量(Yg)を測定して下式より吸水倍率を求めた。[網袋のみを用いて上記と同様の操作を行い、この分の質量(Zg)をブランクとして差し引いた。]
吸収水率=(Y−Z)/X
【0015】
また、上記(A)のうち、カルシウムイオン吸収量が乾燥重量1g当たり好ましくは0〜100mgであり、塩素イオンの含有量が乾燥重量1g当たり好ましくは0.07〜7mmolであり、且つ、25℃のイオン交換水中での吸水倍率が好ましくは10〜1,000倍である吸水性樹脂(A1)が特に好ましい。
カルシウムイオン吸収量は例えば以下の方法により好適に測定可能である。
(カルシウムイオン吸収量の測定)
1gの乾燥保水用担体を、カルシウムイオン濃度200mg/Lの塩化カルシウム水溶液1Lに添加し、時々撹拌しながら25℃で48時間、恒温槽中で放置して、上記の保水用担体を膨潤させつつカルシウムイオンを吸収させる。膨潤した保水用担体を分離し、残存する上清(上記塩化カルシウム水溶液の過剰分)中のカルシウムイオン濃度を原子吸光分析により定量する(a mg/L)。
【0016】
この際、上記原子吸光分析法によるカルシウムイオン分析においては、下記の条件が使用可能である。
<原子吸光分析の測定条件>
原子吸光分析装置:島津製作所社製、商品名:AA−6500オートシステム
点灯条件:Ca#8
電流:10mA/0mA
波長:422.7nm
スリット幅:0.5μm
このようにして測定したカルシウムイオン濃度の定量値(a)に基づき、(A)1g当たりのカルシウムイオン吸収量は、次式により求められる。(A)と上清の分離に際し、未架橋の水溶性高分子が上清中に溶解している可能性があるため、必要に応じて、重量平均分子量1,000〜 3,000程度の限外濾過膜を用いた限外濾過による分離を行う。
(A)1gあたりのカルシウムイオン吸収量(mg/g)=200−a
上記方法により測定された「カルシウムイオン吸収量」が(A)の乾燥重量1gあたり100mgを越える場合では、前記保水材に接触する植物体に「カルシウムイオン欠乏症」が生じ易くなる。本発明においては、この「カルシウムイオン吸収量」は、(A)の乾燥重量1gあたり0〜100mgであり、好ましくは0〜80mgである。
【0017】
塩素イオン含有量は例えば、以下の方法で測定できる。
(塩素イオン含有量の測定)
0.2gの乾燥状態の(A)を200mlのイオン交換水に浸漬し、2日間放置する。この上清をフィルターで濾過し、濾液中の塩素イオン濃度をイオン分析計(Ion AnalyzerIA−100、東亜電波工業)により分析する。このようにして求めた塩素イオン濃度に基づき、上記イオン交換水200ml中の塩素イオン量を計算により求め、該計算値を「(A)0.2g」中の塩素イオン量とする。
この際、上記イオン分析計による塩素イオン分析においては、下記の条件が使用可能である。
<イオン分析計の測定条件>
カラム:陰イオン用カラムPCI−201S(東亜電波工業社製)、およびカードカラムPCI−201SG(東亜電波工業社製)
溶媒:陰イオン用溶離液(東亜電波工業社製)
カラム槽温度:40±4℃
上記方法により測定された「塩素イオン含有量」が(A)の乾燥重量1gあたり0.07〜7mmolの範囲内であれば、後述する実施例に示すように「カルシウムイオン欠乏症」を抑制することが可能となる。好ましくは0.5〜6.5mmol、特に好ましくは1.0〜6.0mmolである。
塩素イオンのカウンター陽イオンの種類に特に制限はないが、Na,K,Ca,NH4イオンであることが好ましい。中でも、Naイオンであることが特に好ましい。
【0018】
(A)に塩素イオンを含有する水溶液を吸収させることによって(A)に塩素イオンを含有させることができる。また、(A)を水中で合成する場合には、この水溶液に塩素イオンを含有させておく方法がより好ましい。この時、塩素イオンの添加量は得られる(A)の乾燥重量1gあたり0.07〜7mmolとなるように設定する。
また、既に(A)が塩素イオンを乾燥重量1gあたり7mmol以上含有している場合は、これを塩素イオンを含まない(あるいは低塩素イオン濃度の)水で洗浄することにより、塩素イオンの含有量を所望の設定値まで低減させることもできる。
これらの製造方法及び吸水性樹脂の具体例は、特願平10−316440号公報に記載されている。
【0019】
本発明において植物体育成用担体(B)としては、植物体育成に適する物質として一般的に使用されているものでよく特に制限されないが、植物体育成に適する物質としては、例えば無機物質及び/又は有機物質の粉末、多孔体、ペレット状、繊維状及び発泡体からなる群から選ばれる1種以上の水不溶性の固状のものが使用できる。後述する各種添加剤は除く。
無機物質としては、無機質粉体(土壌、砂、フライアッシュ、珪藻土、クレー、タルク、カオリン、ベントナイト、ドロマイト、炭酸カルシウム、アルミナ等);無機質繊維(ロックウール、ガラス繊維等);無機質多孔体[フィルトン(多孔質セラミック、くんたん)、焼成バーミキュライト、軽石、火山灰、ゼオライト、シラスバルーン等];無機質発泡体(パーライト等)等が挙げられる。
【0020】
有機物質としては、有機質粉末[ヤシガラ、モミガラ、ピーナッツの殻、ミカンの殻、木くず、木粉、ヤシの実乾燥粉体、合成樹脂又はゴムの粉末(ポリエチレン粉末、ポリプロピレン粉末、エチレン−酢酸ビニル共重合体粉末等)等];有機質繊維[天然繊維〔セルロース系のもの(木綿、オガクズ、ワラ等)およびその他、草炭、羊毛等〕、人造繊維(レーヨン、アセテート等のセルロース系等)、合成繊維(ポリアミド、ポリエステル、アクリル等)、パルプ〔メカニカルパルプ(丸太からの砕木パルプ、アスプルンド法砕木パルプ等)、ケミカルパルプ(亜硫酸パルプ、ソーダパルプ、硫酸塩パルプ、硝酸パルプ、塩素パルプ等)、セミケミカルパルプ、再生パルプ(たとえばパルプを一旦製紙して作った紙の機械的破砕または粉砕物、または故紙の機械的破砕または粉砕物である再生故紙パルプ等)等〕、その他廃材(紙オムツの製造より出る廃材等)等];有機質多孔体(ヤシ殻活性炭等);有機質発泡体[穀物、合成樹脂又はゴムの発泡体(ポリスチレン発泡体、ポリビニルアセタール系スポンジ、ゴムスポンジ、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、ウレタンフォーム等)等];有機質ペレット[ゴム及び合成樹脂のペレット等]等が挙げられる。上記の植物体育成用担体は、単独で、あるいは必要に応じて2種類以上の併用が挙げられる。これらのうち好ましいものは、無機質粉体、無機質多孔体、無機質発泡体、有機質粉体、有機質繊維、有機質発泡体であり、特に好ましくは、無機質粉体、無機質多孔体、無機質発泡体、有機質粉体、有機質繊維である。発泡体の密度は0.01〜1g/cm3である。
(B)の形態の大きさについては制限がないが、形態によって適する大きさは異なり、これらの粉末の粒子径(長径)は好ましくは1〜800μm、さらに好ましくは5〜200μmであり、多孔体、繊維および発泡体の大きさは好ましくは0.001〜20mm、さらに好ましくは0.01〜10mmである。ペレットは好ましくは1〜1000mmである。
【0021】
本発明において成形体(C)は(A)及び(B)からなる。(A)と(B)との質量比率は、(A)の種類、(B)の種類、植物の最適水分量により種々変化しうるが、好ましくは0.1:99.9〜99.9:0.1であり、より好ましくは1:99〜99:1であり、さらに好ましくは5:95〜95:5、特に好ましくは10:90〜90:10である。(A)が0.1以上であると保水材の保水能力が十分となり好ましい。
(C)を成形する際に、必要に応じて結合剤(E)を使用してもよい。
結合剤(E)としては、一般的に使用されている高分子がよく、水溶性、非水溶性を問わず、いずれであっても使用することができるが、好ましくは水溶性高分子である。(A)は通常の状態では含水しており、それ自身接着性を有するものであるが、(A)の水分状態、形状、比重等により(A)と(B)との造形効果を高めるために必要により(E)を用いるのである。(E)の分子量としては、好ましくは1,000〜2,000,000であり、さらに好ましくは2,000〜1,000,000であり、特に好ましくは5,000〜500,000である。
【0022】
水溶性高分子として使用できるものは天然高分子、半合成高分子、合成高分子が挙げられる。天然高分子としては、例えば、デンプン質(デンプン等);動物タンパク質(ゼラチン、カゼイン、コーラゲン等);動物タンパク質(大豆タンパク質、小麦タンパク質等);繊維素(木材セルロース等);海藻抽出物(寒天、カラギーナン等);植物種子粘質物(グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム等);植物樹葉粘質物(アラビアゴム、トラガントガム等);植物果実粘質物(ペクチン等);微生物生産粘質物(キサンタンガム、プルラン、カードラン、デキストラン、ジュランガム等);植物地下茎粘質物(コンニャクナンマン等)等が挙げられる。
半合成高分子としては、セルロース誘導体(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース等);デンプン誘導体(可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン等);並びに、アルギン酸誘導体(アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコール等)等が挙げられる。
合成高分子としては、ポリオキシアルキレン化合物(e1)、ビニル系樹脂[アクリル系樹脂(e2)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー]、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
【0023】
合成高分子の内でポリオキシアルキレン化合物(e1)としては、例えばポリエチレングリコール、多価アルコール類のアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド等)付加物、ポリオキシエチレン・オキシプロピレングリコール(エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロック及び/又はランダム共重合体)等の後記するウレタン樹脂製造に使用されるポリエーテルと同じものが挙げられる。
【0024】
合成高分子の内でアクリル系樹脂(e2)としては、例えば(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸(塩)[例えばアクリル酸ソーダ等]、2−アルキル−2−アクリルアミドプロパンスルホン酸(塩)[2−アルキル−2−アクリルアミドプロパンスルホン酸ソーダ等]、(メタ)アクリロイロキシアルキルアンモニウム4級塩[例えばメタアクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド等]、(メタ)アクリロイロキシアルキルジアルキルアミン塩[例えば、ジエチルアミノエチルメタクリレートの3級もしくは4級塩等]からなる群より選ばれるビニル系モノマーの少なくとも1種を構成単位とするポリマーであり、この具体例として、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)、(メタ)アクリル酸(塩)と(メタ)アクリルアミドとの共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、ポリ(メタ)アクリルアミドの部分加水分解物、(メタ)アクリル酸(塩)と(メタ)アクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)もしくはビニルスルホン酸(塩)との3元共重合体、ポリ(メタ)アクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウム4級塩との共重合物等が挙げられる。上記の塩としてはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニア、トリメチルアミン等のアミン塩等が好ましい。
上記の(E)の内で好ましくは木材セルロース、グアーガム、キサンタンガム、ジュランガム、セルロース誘導体、アルギン酸誘導体、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンオキサイド、(メタ)アクリル酸(塩)、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体であり、特に好ましくはセルロース誘導体、アルギン酸誘導体、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンオキサイド、(メタ)アクリル酸(塩)、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体である。
【0025】
用いる(E)はそのままでもよいし、水に溶解又は分散して用いてもよい。水に溶解する場合の濃度は好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは95質量%以上である。この場合使用時の粘度は特に制限はないが、好ましくは25℃における粘度が100万以下、さらに好ましくは10万以下の流動性を有する状態である。粘度を下げるために必要により溶剤を用いてもよい。溶剤としてはメタノール、エタノール等のアルコール;アセトン等のケトン等の水溶性溶剤が好ましい。又、成形方法によって適時結合剤を選択使用できる。(但し、後述する添加剤は除く)
本発明において必要により使用する結合剤(E)の量は、固形分で(C)に対し通常0.05〜20質量%、好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.2〜10質量%である。
【0026】
(C)の成形方法としては、例えば下記の方法が挙げられる。
(c-1)(A),(B)及び必要により(E)の撹拌混合物を加圧成形し、適度な大きさに裁断・粉砕する方法、
(c-2)上記混合物をシート状、棒状或いはブロック状に加熱成形した後、裁断又は粉砕する方法、
(c-3)上記混合物を適当な形、大きさの型の中でペレット状に加熱成形する方法、
(c-4)上記混合物をシート状、棒状或いはブロック状に発泡した後、裁断又は粉砕する方法
(c-5)上記混合物を適当な形、大きさの型の中でペレット状に加圧成形する方法、
(c-6)上記(c-5)で得られた裁断・粉砕物の表面に吸水性樹脂及び必要により結合剤をまぶした後に再度加圧成形し、裁断・粉砕する方法、
(c-7)上記(c-6)の加圧成形前の物を適当な形、大きさの型の中でペレット状に加圧成形する方法、
(c-8)一旦シート状、棒状あるいはブロック状に加圧成形した後、適当な大きさに裁断又は粉砕する方法
等が挙げられる。これらの方法の中で好ましくは、(c-1)、(c-2)、(c-3)、(c-4)である。上記方法の中でさらに必要により発泡させても良い。又、(A)、(B)及び必要により(E)の混合の際に(A)〜(E)の合計量の1〜50%の水を加えハイドロゲルを増粘させて混合させても良い。
【0027】
上記において(C)の発泡体を得る際に、上記(B)が熱可塑性樹脂及びゴムの場合、(A)、(B)に発泡剤、さらに必要ならば発泡促進剤または発泡抑制剤を調合した後、加熱発泡することにより製造される。使用される発泡剤としては、ジアゾアミノ誘導体、アゾニトリル、アゾジカルボン酸誘導体、ジニトロペンタメチレンテトラミン(DPT)、ベンゼンモノヒドラゾール、オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBBH)、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、プロパン、石油エーテル等が挙げられ、発泡体の発泡倍率により、または用途により異なるが、(B)100質量部に対して1〜80質量部の範囲が望ましい。尚、発泡は通常の一段発泡又は二段発泡によって行われる。得られる発泡体の密度は、特に限定されるものではない。
又、(A)と(B)との混合物を調製する際に必要ならば、可塑剤、安定剤、滑剤、充填剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤又は防カビ剤等を混合してもよい。(B)としてゴムを用いる場合には加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤あるいは活性剤等のゴム薬品、ゴム補強剤、粘着賦与剤、加工助剤、酸化防止剤、赤外線吸収剤、(オゾン)老化防止剤等を混合してもよい。
【0028】
上記(B)が熱硬化性樹脂の場合、例えば、(A)を含有するウレタン樹脂の発泡は、通常のウレタンフォームを製造する際に予め(A)と(B)が混合されていればよく、通常のウレタンフォームを製造するのと同様の操作で製造できる。通常のポリウレタンフォームは、ポリイソシアネートとポリオールとを発泡剤及び適当な助剤の存在下に一段階に反応せしめるワンショット法によって、或いは過剰量のポリイソシアネートとポリオールとを反応せしめて得られるプレポリマーと水とを適当な助剤の存在下に反応せしめるトータルプレポリマー法によって、或いは過剰量のポリイソシアネートとポリオールとを反応せしめて得られるプレポリマーと追加量のポリオールとを発泡剤及びその他の適当な助剤の存在下に反応せしめるセミプレポリマー法等によって得られる。ここに発泡剤とは水の如き反応性の発泡剤の他、低沸点ハロゲン化炭化水素の如き非反応性の発泡剤を含む。その他の助剤とは架橋剤、触媒、発泡調整剤(泡安定剤)、着色剤等を意味する。
【0029】
ポリイソシアネートとしては、ポリウレタンに通常使用できるものが用いられ、例えば、炭素数(NCO基中の炭素数を除く)6〜20の芳香族ポリイソシアネート[2,4−、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI、ポリアリールポリイソシアネート(PAPI)等];炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート[ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等];炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート[イソフォロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネート等];炭素数8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネート[キシリレンジイソシアネート等];これらのポリイソシアネートの変性物[ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビュウレット基、ウレトジオン基、ウレトンイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物等]およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。これらのうち好ましいものは、TDI、MDI、粗製MDI、カルボジイミド基含有変性MDIおよびこれらの2種以上の併用である。
【0030】
ポリオールとしては、ポリウレタンに通常使用できるものが用いられ、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ひまし油(以下ポリオールと略記)、およびこれらのポリオールの中でビニルモノマーを重合させて得られる重合体ポリオールが挙げられる。
【0031】
ポリエーテルポリオールとしては、多価アルコール類、多価フェノール類、アミン類、ポリカルボン酸類等のアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。多価アルコール類としては、例えば、2価アルコール類[エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等];並びに、3〜8価またはそれ以上のアルコール類[グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ショ糖等]が挙げられる。多価フェノール類としては、例えば、ハイドロキノン、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF等)、フェノール化合物のホルマリン低縮合物(ノボラック樹脂、レゾールの中間体)が挙げられる。アミン類としては、アンモニア;アルカノールアミン類[モノ−、ジ−もしくはトリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、アミノエチルエタノールアミン等];炭素数1〜20のアルキルアミン類[メチルアミン、エチルアミン、オクチルアミン等];炭素数2〜6のアルキレンジアミン類[エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等];アルキレン基の炭素数が2〜6のポリアルキレンポリアミン類[ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等];炭素数6〜20の芳香族アミン類[アニリン、フェニレンジアミン、ジアミノトルエン、キシリレンジアミン、メチレンジアニリン、ジフェニルエーテルジアミン等];炭素数4〜15の脂環式アミン類[イソホロンジアミン、シクロヘキシレンジアミン等];並びに炭素数4〜15の複素環式アミン類[ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン等]等が挙げられる。ポリカルボン酸類としては、脂肪族ポリカルボン酸類[コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸等];芳香族ポリカルボン酸類[フタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸等]が挙げられる。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(以下EOと略記)、プロピレンオキサイド(以下POと略記)、1,2−、1,4−、2,3−ブチレンオキサイド等およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0032】
ポリエステルポリオールとしては、低分子ポリオール類[前記の2価アルコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等]と前記ポリカルボン酸類とを反応させて得られる縮合ポリエステルポリオール、ラクトン類[ε−カプロラクタム等]の開環重合により得られるポリエステルポリオールおよびポリエステル成形品をグリコール分解して得られる回収ポリエステルポリオールが挙げられる。
【0033】
重合体ポリオールとしては、上記に例示したポリオールの少なくとも一種中で、ラジカル開始剤存在下、アクリロニトリル、スチレン等のビニルモノマーを重合し安定分散させたものが挙げられる。重合体ポリオール中のビニルポリマーの含量は、通常5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%である。
ポリオールとして例示したもののうち好ましいものは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびこれらの2種の併用である。
【0034】
架橋剤としては、ポリエーテルポリオールの原料として挙げた、多価アルコール類、多価フェノール類、アルカノールアミン類、ポリアミン類、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコールなどの多価アルコール;トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカノールアミンが挙げられ、これらの架橋剤は、単独または混合して使用することができる。架橋剤の使用量は、架橋剤の種類によっても異なるが、通常、ポリオール100質量部に対して、2〜20質量部、好ましくは、3〜10質量部である。架橋剤の量が2質量%以上ではポリウレタンフォームの硬度が十分得られ、20質量%以下であると硬度が高くなりすぎることがなく、成形品内部にワレが発生しない。
【0035】
触媒としては、ポリウレタンに通常使用される公知のものが使用される。例えば3級アミン類[トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、N−メチルモルホリン、ジメチルアミノメチルフェノール、N−メチル−N−ジメチルアミノエチルピペラジン、ピリジン等]およびこれらの酸ブロック化合物;カルボン酸の金属塩(酢酸ナトリウム、オクチル酸鉛、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、スタナスオクトエート、ジブチルスズジラウレート等);アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のアルコキシドもしくはフェノキシド(ナトリウムメトキシド、ナトリウムフェノキシド等);4級アンモニウム塩(テトラエチルヒドロキシルアンモニウム等);イミダゾール類(イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等);並びに、スズ、アンチモン等の金属を含有する有機金属化合物(テトラフェニルスズ、トリブチルアンチモンオキサイド等)等が挙げられる。これらの触媒は、単独または混合して使用することができる。これらのうち好ましいものは、3級アミン類の酸ブロック化合物およびこれらと3級アミン類および/またはスズを含有するカルボン酸の金属塩との併用である。触媒の使用量は、触媒の種類によっても異なるが、通常、ポリオール100質量部に対して、0.5〜10質量部である。触媒の使用量が0.5質量部以上では成形品の樹脂化が十分で膨れ等の問題が発生せず、10質量部以下であると反応性が適度である。
【0036】
プレポリマーは、過剰のポリイソシアネートとポリオールとを加温下(好ましくは40〜100℃)で反応させて得られる。プレポリマー中のイソシアネート(NCO基)含量は通常4〜28質量%、好ましくは10〜25%である。イソシアネート含量が4質量%以上では強度物性が良好である。
発泡剤は前記のものと同じものが使用できる。
【0037】
上記の(A)及び(B)を混合する装置は、混合物を均一に混合できるものであればいかなる装置でも良く、例えばヘシェルミキサー、リボンブレンダー、プラネタリーミキサー、タンブラー、万能混合機などが挙げられる。又、混合物を混練するには、例えば2軸押出機、単軸押出機、コニーダー、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロール等の加熱しながら剪断力下混練できる装置がある。
加圧成形方法の場合は、例えば乾式加圧成形法、直接粉末加圧成形法、湿式加圧成形法等が挙げられる。加圧成形はロール式加圧成型機(ブリケットマシーン等)、ピストン式加圧成型機、スクリュー式加圧成型機、目皿押し出し式成型機(ディスクペレッター等)等を用いて行うことができる。上記加圧成型機のうち好ましいのはロール式加圧成型機、スクリュー式加圧成型機及び目皿押し出し式成型機である。又、加圧成形時の加圧は通常常温下で行うが、加熱(例えば30〜300℃)下で行っても差し支えない。加圧成形時の圧力は基材の種類、大きさ(粒度)、性質などに合わせて適当に選ぶことができるが、通常1〜3000kg/cm2、好ましくは10〜2000kg/cm2である。
得られた加圧成形物の形状は任意でよく、たとえばシート状、球状、円筒状、板状、塊状、直方体状、円錐状、角錐状、棒状等の種々の形状が挙げられる。これらの大きさは例えばシート状の場合は厚さ0.1〜30mm、球状〜棒状の場合は最大径0.1〜30mmである。裁断物の大きさは任意でよく、又、粉砕物の大きさは通常0.001〜20mm、好ましくは0.01〜10mmである。裁断は公知の方法で良く例えばカッター、ペレタイザー等を使用して行い、粉砕も公知の方法で良く、例えば衝撃粉砕機(ピンミル、カッターミル、スキレルミル、ACMパルペライザー、遠心粉砕機等)や空気粉砕機(ジエットミル等)等を用いて行う。
【0038】
加温及び/又は乾燥成形方法の場合は、例えば押し出し成形、プレス成形、押し出し成形とプレス成形の併用、遠心成形等各種の方法が適用でき、特に制限はない。代表例として、押し出し成形方法の場合は、本発明の混合物を用い、スクリュー型真空押し出し成型機、スクリュー型押し出し成型機、プランジャー型押し出し成型機等で、その先端に付けたダイス等を通して所望の形に押し出し成形し、切断機又は粉砕機を用いて所望の長さ、大きさに切断、粉砕する。押し出し成形された混合物は、その後加熱及び/又は乾燥を行って目的の成形物が得られる。上記乾燥方法は公知の方法でよく、例えば透気乾燥(バンド乾燥等)や通気乾燥(循風乾燥等)、接触乾燥(ドラムドライヤー乾燥等)、減圧乾燥を行う方法などを例示することができる。又、加温及び/又は乾燥成形時の温度は基材の種類、大きさ(粒度)、性質などに合わせて適当に選ぶことができるが、通常30〜300℃、好ましくは50〜200℃である。上記において乾燥は通常大気圧下で行うが、減圧(750〜5mmHg)下で行っても差し支えない。得られた加熱及び/又は乾燥成形物の形状は加圧成形の場合と同じである。乾燥物の含水量は10%以下であり、好ましくは7%以下である。
上記の方法で得られる成形体(C)は、成形体がペレット状の加圧成形体(C1)、該シート状、棒状若しくはブロック状の加圧成形体の裁断物又は粉砕物(C2)、該シート状、棒状若しくはブロック状の加熱成形体の裁断物又は粉砕物、ペレット状の加熱成形体(C3)、該シート、棒状若しくはブロック状の発泡体の裁断物又は粉砕物(C4)からなる群より選ばれる1種以上である。これらの内で好ましくは(C1)、(C−3)である。
である。
【0039】
本発明の被覆剤(D)としては、水に対して不溶〜難溶性の有機物質であれば本発明の被覆物として使用可能であり、又、(i)非反応性のものでも(ii)被覆時又はその後に反応して水に対して不溶〜難溶性となる反応性のものでもよい。
【0040】
具体的には下記のものが挙げられる。
(i)非反応型
▲1▼ゴム;
天然ゴム(NR)のほか、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレン非共役ジエンゴム、ポリクロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム、アクリロニトリルーブタジエンゴム等;
▲2▼熱可塑性樹脂;
A.スチレン系樹脂(例えば、スチレン重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体等);
B.塩化ビニル系樹脂(例えば、高重合度塩化ビニル樹脂、部分架橋塩化ビニル樹脂、ニトリルゴム(NBR)、ウレタン樹脂あるいはポリエステル樹脂等と塩化ビニル樹脂とのブレンド物、ウレタン−塩化ビニル共重合体、ニトリルゴム(NBR)−塩化ビニル共重合体等);
C.オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンゴムとポリオレフィンとの混合物、エチレン−プロピレンゴムにポリオレフィンをグラフト化した重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン等);
【0041】
D.ウレタン系樹脂(ポリオール、ジイソシアネート、鎖延長剤をバルク重合あるいは溶液重合することにより得られる直鎖状のポリウレタン);
E.エステル系樹脂(芳香族ポリエステル−ポリエーテルブロック共重合体、芳香族ポリエステル−脂肪族ポリエステルブロック共重合体等);
F.アミド系樹脂(ポリエーテル−ポリアミドブロック共重合体、ポリエステル−ポリアミドブロック共重合体等);
G.その他(エチレン−酢酸ビニル共重合体若しくはそのケン化物、エチレン−アクリル酸塩共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等);
▲3▼天然ワックス;
ミツロウ、牛脂等の天然ワックス等;
▲4▼長鎖脂肪酸;
ベヘン酸等;
▲5▼長鎖アルコール;
ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール等;
非反応型は熱可塑性であり、この樹脂の軟化点としては通常30〜300℃であり、好ましくは40〜200℃であり、特に好ましくは50〜150℃である。これらはそれぞれ単独、もしくは2種以上混合して用いることができる。
上記非反応型▲1▼▲2▼の重量平均分子量は、好ましくは1万以上であり、好ましくは2〜100万である。
【0042】
(ii)反応型
▲1▼ホルマリン縮合樹脂;
尿素樹脂(尿素とホルマリンとの反応物)、メラミン樹脂(メラミンとホルマリンとの反応物、フェノール樹脂(フェノールとホルマリンとの反応物)、レゾシノール樹脂(レゾシノールとホルマリンとの反応物等;
【0043】
▲2▼エポキシ樹脂;
末端に反応性のエポキシ基を持つ分子量62〜10000の化合物と適当な硬化剤と組み合わせ、硬化させることで製造され、例えば、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂(エポキシ当量;65〜1000)と硬化剤(ポリアミン、酸無水物、ポリイソシアネート、ポリオール、ポリメルカプタン類等)との反応物(エポキシ基と各官能基との比率はモル比で1:10〜10:1)等が挙げられる。具体的には下記のものが挙げられる。
(1)グリシジルエーテル型
(i)2価フェノール類のジグリシジルエーテル
炭素数6〜30の2価フェノール類のジグリシジルエーテル例えば、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ハロゲン化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラクロロビスフェノールAジグリシジルエーテル、カテキンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、1,5−ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、オクタクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フロオレンジグリシジルエーテル、ビスフェノールA2モルとエピクロロヒドリン3モルの反応から得られるジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0044】
(ii)3価〜6価又はそれ以上の、多価フェノール類のポリグリシジルエーテル
炭素数6〜50又はそれ以上で、分子量110〜5,000の3価〜6価又はそれ以上の多価フェノール類のポリグリシジルエーテル例えば、ピロガロールトリグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフチルクレゾールトリグリシジルエーテル、トリス(ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル、ジナフチルトリオールトリグリシジルエーテル、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、トリスメチル−tert−ブチル−ブチルヒドロキシメタントリグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)テトラクレゾールグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)フェニルグリシジルエーテル、ビス(ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル、フェノール又はクレゾールノボラック樹脂(分子量400〜5,000)のグリシジルエーテル、リモネンフェノールノボラック樹脂(分子量400〜5,000)のグリシジルエーテル、フェノールとグリオキザール、グルタールアルデヒド、又はホルムアルデヒドの縮合反応によつて得られるポリフェノール(分子量400〜5,000)のポリグリシジルエーテル、及びレゾルシンとアセトンの縮合反応によって得られる分子量400〜5,000のポリフェノールのポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0045】
(iii)脂肪族2価アルコールのジグリシジルエーテル
炭素数2〜100、分子量62〜5,000のジオールのジグリシジルエーテル例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール(分子量150〜4,000)ジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール(分子量180〜5,000)ジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコール(分子量200〜5,000)ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのアルキレンオキシド〔エチレンオキシド又はプロピレンオキシド(1〜20モル)〕付加物のジグリシジルエーテル等が挙げられる。
(iv)3価〜6価又はそれ以上の脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル
炭素数3〜50又はそれ以上で、分子量76〜10,000の3価〜6価又はそれ以上の多価アルコール類のグリシジルエーテル例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールヘキサグリシジルエーテル、ポリ(n=2〜5)グリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0046】
(2)グリシジルエステル型
炭素数6〜20又はそれ以上で、2価〜6価又はそれ以上の芳香族ポリカルボン酸のグリシジルエステル、及び炭素数6〜20又はそれ以上で、2価〜6価又はそれ以上の脂肪族もしくは脂環式ポリカルボン酸のグリシジルエステルが挙げられる。
(i)芳香族ポリカルボン酸、例えばフタル酸類のグリシジルエステルとしては、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステル等;
(ii)脂肪族もしくは脂環式ポリカルボン酸のグリシジルエステルとしては、上記フェノール系のグリシジルエステルの芳香核水添加物、ダイマー酸ジグリシジルエステル、ジグリシジルオキサレート、ジグリシジルマレート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルグルタレート、ジグリシジルアジペート、ジグリシジルピメレート、グリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体(重合度は例えば2〜10)、トリカルバリル酸トリグリシジルエステル等が挙げられる。
【0047】
(3)グリシジルアミン型
炭素数6〜20又はそれ以上で、2〜10又はそれ以上の活性水素原子をもつ芳香族アミン類のグリシジルアミン及び脂肪族、脂環式若しくは複素環式アミン類のグリシジルアミンが挙げられる。
(i)芳香族アミン類のグリシジルアミンとしては、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジエチルジフェニルメタン、N,N,O−トリグリシジルアミノフェノール等;
(ii)脂肪族アミン類のグリシジルアミンとしては、N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミン等;
(iii)脂環式アミン類のグリシジルアミンとしては、N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミンの水添化合物等が挙げられる。
複素環式アミンのグリシジルアミンとしてはトリスグリシジルメラミン等が挙げられる。
【0048】
(4)鎖状脂肪族エポキシド
炭素数6〜50又はそれ以上で2〜6価又はそれ以上の鎖状脂肪族エポキシド、例えばエポキシ当量130〜1,000のエポキシ化ポリブタジエン(分子量90〜5,000)、エポキシ化大豆油(分子量130〜5,000)等が挙げられる。
(5)脂環式エポキシド
炭素数6〜50又はそれ以上で、分子量98〜5,000、エポキシ基の数1〜4又はそれ以上の脂環式エポキシド例えば、ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエーテル、3,4エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル3’、4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、及びビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミン等が挙げられる。また、前記フェノール類のエポキシ化合物の核水添化物も含む。
なお(1)〜(5)以外のものでも、活性水素と反応可能なグリシジル基をもつエポキシ樹脂であれば使用できる。又、これらのポリエポキシド二種以上併用できる。
【0049】
エポキシ樹脂の架橋剤としては、アミン系硬化剤、ポリアミノアミド系硬化剤、カルボン酸およびカルボン酸無水物系硬化剤、レゾール型フェノール樹脂(フェノール−ホルマリン樹脂等)、ユリア樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート(TDI、IPDI等)、ブロックイソシアネート、ジシアンジアミド、有機酸ヒドラジド(味の素社製のアミキュア等)、イミダゾール(2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等)、ポリメルカプタン系硬化剤(メルカプトプロピオン酸エステル等)が挙げられる。
これらのうちで好ましくはイミダゾール、カルボン酸およびカルボン酸無水物系硬化剤であり、特に好ましくはカルボン酸およびカルボン酸無水物系硬化剤である。
アミン系硬化剤としては次の(i)〜(v)が挙げられる。
(i)脂肪族ポリアミン類(炭素数2〜18、アミノ基数2〜7):脂肪族ポリアミン〔炭素数2〜6のアルキレンジアミン(エチレンジアミン,プロピレンジアミン,トリメチレンジアミン,テトラメチレンジアミン,ヘキサメチレンジアミンなど)など〕,ポリアルキレン(炭素数2〜6)ポリアミン〔ジエチレントリアミン,イミノビスプロピルアミン,ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン,テトラエチレンペンタミン,ペンタエチレンヘキサミンなど〕,これらのアルキル(炭素数1〜4)またはヒドロキシアルキル(炭素数2〜4)置換体〔ジアルキル(炭素数1〜3)アミノプロピルアミン,トリメチルヘキサメチレンジアミン,アミノエチルエタノールアミン,メチルイミノビスプロピルアミンなど〕、脂環または複素環含有脂肪族ポリアミン〔3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど〕;芳香環含有脂肪族ポリアミン類(炭素数8〜15)〔キシリレンジアミン,テトラクロル−p−キシリレンジアミンなど〕;
【0050】
(ii)脂環式ポリアミン(炭素数4〜15、アミノ基数2〜3)、〔例えば1,3−ジアミノシクロヘキサン,イソホロンジアミン,メンタンジアミン,4,4´−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)等〕;
(iii)ポリアミドポリアミン〔例えばジカルボン酸(ダイマー酸等)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン類(上記アルキレンジアミン,ポリアルキレンポリアミンなど)との縮合により得られる分子量80〜2,000のポリアミドポリアミン〕;
(iv)ポリエーテルポリアミン〔ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコールなど)のシアノエチル化物の水素化物〕;
(v)上記アミンの、エポキシド、不飽和化合物の付加物(アクリロニトリル等)、メチロ−ル化合物との反応物;
【0051】
ポリアミノアミド系硬化剤としては、高分子量ポリアミノポリアミド、低分子量ポリアミノポリアミドが使用できる。例えば市販のトーマイド(富士化成社製)、バーサミド(ヘンケル白水社製)、ラーカーマイド(大日本インキ社製)、サンマイド(三和化学社製)、ポリマイド(三洋化成工業社製)等が挙げられる。
カルボン酸およびカルボン酸無水物系硬化剤としては、ドデセニルコハク酸、ドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物(重量平均分子量;750〜850)、ポリアゼライン酸無水物(重量平均分子量;1200〜1300)、ポリセバシン酸無水物(重量平均分子量;1600〜1700)等の脂肪族カルボン酸及びその無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸等の脂環式カルボン酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸等の芳香族カルボン酸無水物、無水ヘット酸、テトラブロモ無水フタル酸等のハロゲン系カルボン酸無水物等が挙げられる。
これら硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂を100質量部として、好ましくは5〜50質量部、さらに好ましくは10〜40質量部である。
これらを混合した後、後記の方法によって被覆を行った後反応させる。反応条件は好ましくは20〜200℃であり、さらに好ましくは50〜150℃であり、特に好ましくは80〜120℃である。反応時間は好ましくは1〜15時間であり、さらに好ましくは3〜12時間である。
【0052】
▲3▼ウレタン樹脂;
発泡剤を除いて前記のポリウレタンフォームを製造する際に使用されるものとおなじものが使用出来る。製造法においても、例えばNCO末端プレポリマー(NCO%:1〜10%)を作り、鎖延長剤により高分子化し、熱又は適当な架橋剤により硬化せしめるプレポリマー法およびポリオール、ジソシアネート、鎖延長剤、架橋剤を同時に混合して反応せしめるポリウレタンを得るワンショット法(イソシアネート/ポリオール等の活性水素=0.8/1〜10/1)により製造され、注型法、混練法で成形される。鎖延長剤は架橋剤の一種で二官能のものであり、二官能アミンが好ましい。プレポリマー法、ワンショット法においても反応条件は好ましくは40〜150℃であり、さらに好ましくは50〜100℃である。
【0053】
▲4▼ビニル樹脂;
前記(e2)で挙げられた水溶性のものは含まれない。
ビニル樹脂はモノマーが共重合した樹脂であり、共重合可能なモノマーが共重合した樹脂であり結果として水不溶〜難溶性であれば原料モノマーとしては前記(e2)の構成モノマーを使用してもよいし、使用しなくてもよい。(e2)以外のモノマーの具体的な例としては、以下の(3)〜(5)のものがあげられる。
【0054】
(3)モノ(メタ)アクリル酸及びそのアルキルエステル又はヒドロキシアルキルエステル(炭素数4〜24)
((メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、アルキルの炭素数4〜21の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等);
(4)分子量62〜5,000のポリエチレングリコール及び/またはポリプロピレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル(エチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、重合度4〜16のポリエチレングリコールの(メタ)アクリレート等;
【0055】
(5)分子量62〜5,000の多官能(2〜6価)アルコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル(エチレングリコール(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジグリセリン(メタ)アクリレート、α−メチルグルコシド(メタ)アクリレート、グルコース(メタ)アクリレート、フルクトース(メタ)アクリレート、キシリット(メタ)アクリレート、マンニット(メタ)アクリレート、ソルビトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート等;
(6)ニトリル基含有ビニル系モノマー
(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン等;
【0056】
(7)ビニルエステル
酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニル(メタ)アクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート等;
等が挙げられる。
これらのモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。また、共重合体は、ブロック型でもランダム型でもかまわない。
【0057】
また、グリシジル(メタ)アクリレートと(1)〜(5)との共重合体もビニル樹脂の中に含まれる。重合比率は特に制限は無いが、耐熱性の観点から、グリシジル(メタ)アクリレートがポリマー全体を100質量部として20〜80質量部の比率が好ましく、被膜樹脂強度の観点から、グリシジル(メタ)アクリレートが30〜65質量部の比率がさらに好ましい。▲4▼の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)により測定できる。重量平均分子量以下は好ましくは1,000〜100万であり、被膜樹脂強度の観点から2,500〜100万がさらに好ましい。また、樹脂粘度の観点から、2,500〜40万が特に好ましい。
【0058】
▲4▼は上記モノマーと下記の反応溶剤、重合開始剤を混合して後記の被覆方法によって被覆した後、例えば加熱重合する。
反応溶剤としては反応を阻害せず原料及び生成物を溶解するものであれば特に制限はないが、例えばトルエン、キシレン、メチルエチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン等が用いられる。
重合開始剤としては特に制限はないが、例えばパーオキシド系ラジカル開始剤[ベンゾイルパーオキシド、ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシドなど]、アゾ系ラジカル開始剤[2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)など]などが用いられる。重合開始剤の量は、モノマー100質量部に対して通常0.01〜1質量部、好ましくは0.05〜0.5質量部である。
反応温度は、通常0〜150℃、好ましくは50〜120℃である。また、熟成時間は、通常0〜30時間、好ましくは4〜15時間である。
これら(ii)の反応型もそれぞれ単独、もしくは2種以上混合して用いることができる。
【0059】
これらの被覆剤のうち、好ましいのはゴム、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂(反応型、非反応型)、エステル系樹脂、アミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニル系樹脂であり、特に好ましくはウレタン系樹脂(反応型、非反応型)、エステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニル系樹脂である。(ii)の反応型の樹脂は主剤と硬化剤その他の添加剤を混合した後、後記の方法により被覆しその後前記の条件により硬化するものである。
また、(D)による被膜は1層だけでなく2層以上にしてもよい。初期吸水速度の抑制面では好ましくは2層以上であるが、3層以上にしてもその面では際だった面がなく経済面を考慮すると1〜2層が好ましい。
形態としては無溶剤系、溶剤系、水系(水溶性、エマルション、デイスパージョン等)等のいずれでもよいが、固形の場合は溶剤に溶解したり、エマルション、デイスパージョン等にして用いるのが好ましい。
【0060】
前記(A) 又は(C)と(D)との固形分比は、(A) 又は(C)100質量部に対して(D)は好ましくは0.05〜50質量部であり、さらに好ましくは0.5〜45質量部である。特に好ましくは1〜40質量部である。
上記被膜の製造に当たって、必要によりその他の添加剤として前記したものと同じ無機及び/若しくは有機質充填剤、界面活性剤(ソルビタン脂肪族エステル、ステアリル乳酸カルシウム等)、壁膜形成助剤(ジメチルポリシロキサン等)等をここでも併用することが出来る。また、本発明の植物体育成用保水材に、必要に応じて、肥料、農薬、殺虫剤、殺菌剤、消臭剤、芳香剤、防かび剤、防腐剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤等の薬剤を併用することができる。これらの薬剤は本発明の植物体育成用保水材中に存在していればよく、あらかじめ植物体育成用担体及び/又は吸水性樹脂に添加しておいてもよく、あるいは成形工程の前後及び被覆剤の中に添加してもよい。
本発明の植物体育成用保水材は、着色されていても着色されていなくてもよいが、視覚的な効果から顔料及び/又は染料により着色されていることが好ましい。
【0061】
上記の被覆剤(D)を被膜形成する方法として、例えば(イ)水に対して疎水性の物質を有機溶剤(アルコール系、ケトン系、脂肪族または芳香族炭化水素系、エステル系などの溶剤およびこれらの混合溶剤または含水溶剤など)に通常0.1〜30質量%の濃度で溶解し、この溶液中に被覆される粒子を浸漬して乾燥する方法、(ロ)被覆される粒子表面に上記物質溶液をスプレー又は塗布して乾燥する方法、(ハ)被覆される粒子表面に上記物質の非水系又は水系エマルジョンをスプレー又は塗布して乾燥する方法、(ニ)コートマイザー等の装置を用いてジェットコーティングする方法、(ホ)被覆される粒子表面に溶融状態の上記物質を直接被覆して冷却する方法等が挙げられる。この様にして得られる被覆された粒子の水に対する膨潤を抑制する時間は、被覆する物質の種類、被覆量、膜厚、吸水性樹脂の粒子径及び/又は成形体の粒子径を変化させるか、下記のその他の添加剤を添加することにより適宜コントロールすることが出来る。被覆時又は後に必要であれば加熱して前記の反応を完結させることができる。
【0062】
本発明の植物体育成用保水材を構成する(D)で被覆された(A)及び/又は(C)の下記で示される吸水倍率(1)は好ましくは12以下であり、且つ下記で示される吸収比が2.5以上である。さらに好ましくは吸水倍率(1)が10以下であり、且つ吸収比が3.0以上である。吸水倍率(1)が12以下であると保水材を泥状基材中では粘度上昇を起こさず安定であり、吸収比が2.5以上であると保水材を法面に吹き付け後良好な保水能を有する。
【0063】
<植物体育成用保水材の吸水倍率(1)、吸水倍率(2)、吸収比>
ナイロン製の網袋(250メッシュ)に植物体育成用保水材の試料(サンプル量;W1g)を入れ、過剰量(例えば、前記保水材の予想吸水量の1.5倍以上の重量)のイオン交換水(電気伝導度5μS/cm以下)に浸漬し、25℃で2、24時間恒温槽中に放置して、前記保水材を膨潤させる。各時間浸漬した後に袋ごと空中に引き上げ、静置して15分間水切りした後、質量(W2g)を測定して下式より吸水倍率を求めた。[網袋のみを用いて上記と同様の操作を行い、この分の質量(質量(W3g)をブランクとして差し引いた。]
吸水倍率=(W2−W3)/W1
浸漬2時間後の吸水倍率を吸水倍率(1)、浸漬24時間後の吸水倍率を吸水倍率(2)、[吸水倍率(2)]/[吸水倍率(1)]を吸収比とする。
この吸水倍率の測定に際しては、重量W1、W2、W3の測定は、例えば、精密な電子天秤(島津製作所製、LIBROR AEG-220; LIBROR EB−3200−D等)を用いて測定することが好ましい。
【0064】
本発明の植物体育成用保水材の使用方法としては、法面の植生工等の泥状基材の吹き付けに好適に利用出来る。その他の例としては、栽培床材料として単独で使用してもよいし、土壌などの栽培床材料と混合する方法、植物に対して離れた特定箇所に投入する方法、栽培床の適当な深さに層状に埋没する方法が挙げられるが、一般的に播種周辺部、根系発達部、土壌表層部に投入することができる。即ち、本発明の植物体育成用保水剤を用いて、保水層又は保水塊を形成させ栽培植物に保持された水分が有効に利用されるならば、土壌のいかなる場所でも良い。又、本発明の植物体育成用保水剤を植生帯、植生マット、植生袋、植生盤等の資材に組み込んで使用することもできる。また、天然土壌に比べ軽量な基材を使用するため、植え込み材料の重量を大幅に軽量化することができるので、施設園芸において生産、流通が吸速に伸びているセル成型苗、コミニュニティーポット苗、ポット苗等の「鉢物」用の植え込み材料としても利用できる。
【0065】
以下製造例及び使用例を示す実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下部は質量部を示す。
【0066】
(吸水性樹脂の製造)
製造例1
1リッターのビーカーに、アクリル酸230g、48%の水酸化ナトリウム水溶液133g、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル1.0g、および水636gを添加し10℃に冷却した。この溶液を、断熱重合槽に入れ、窒素を通じて溶液の溶存酸素を0.1ppm(オリエント電気社製、商品名溶存酸素計 DO220PBで測定)とした後、35%の過酸化水素水0.023g、L−アスコルビン酸0.00575g、および過硫酸カリウム0.23gを添加した。該添加後、約30分で重合反応が開始し、約2時間後に最高温度72℃に到達した。更に、この温度で5時間熟成させて重合を完結させた。得られた重合体は、含水ゲル状を有していた。この重合体をニーダー(入江商会社製、商品名BENCH KNEADERPNV−1;回転数70rpm)で約2時間撹拌して細断し、更に50%の塩化カルシウム水溶液35.5gを配合し、ニーダーで約2時間撹拌して混合した。引き続き110℃で加熱乾燥した後、粉砕して平均粒径450ミクロン(日機装社製、商品名:マイクロトラックFRA粒度分析計で測定)であって、カルシウムイオン吸収量85.4(mg/g)、塩素イオン含有量1.6(mmol/g)、吸水倍率309(g/g)の吸水性樹脂Aを得た。
【0067】
(成形体の製造)
製造例2
「天然硅砂4号」65部、「吸水性樹脂A」15部および「粉砕パルプ」20部を粉体混合した後、これに水30部を噴霧しながら均一に混合し、ついでこの混合物を口径4mmの成形孔を多数有するチョッパー内に入れ、棒状に押し出した。この棒状物を長さ5mmに裁断した後、110℃×2時間乾燥してペレット状の成形体Aを作成した。
製造例3
天然ゼオライト「ZO#2070」(サイズ0.8〜0.2mm、日東粉化工業社製)84部、「吸水性樹脂A」15部、およびカルボキシメチルセルロース「CMCダイセル1160」(ダイセル化学工業社製)1部を粉体混合した後、これに水30部を噴霧しながら均一に混合し、ついでこの混合物を口径4mmの成形孔を多数有するチョッパー内に入れ、棒状に押し出した。この棒状物を長さ5mmに裁断した後、110℃×2時間乾燥してペレット状の成形体Bを作成した。
【0068】
実施例1
吸水性樹脂Aの表面に、「パーマリンUA−200」(ウレタン樹脂エマルジョン、固形分30%、三洋化成工業社製)をスプレードライ法により被覆・乾燥して、成形体Bと「パーマリンUA−200」の固形分との重量比が100/30の植物育成用保水材を得た。
実施例2
成形体Aの表面に、「パーマリンUA−200」をスプレードライ法により被覆・乾燥して、成形体Bと「パーマリンUA−200」の固形分との重量比が100/6の植物育成用保水材を得た。
実施例3
実施例2において「成形体A」に代えて「成形体B」に代えた以外は実施例2と同様にして植物育成用保水材を得た。
【0069】
実施例4
成形体Aの表面に、「モビニールDM772」(アクリル酸エステル共重合樹脂水性エマルジョン、固形分 約46%、クライアントポリマー社製)をスプレードライ法により被覆・乾燥して、成形体Aと「モビニールDM772」の固形分との重量比が100/6の植物
育成用保水材を得た。
実施例5
成形体Bの表面に2液硬化型ウレタン樹脂をスプレードライ法により被覆・乾燥して、成形体Aと2液硬化型ウレタン樹脂の固形分との重量比が100/6の植物育成用保水材を得た。
2液硬化型ウレタン樹脂:主剤[「ヒマシ油」(分子量1000,水酸基価161)700部とペンタエリスルリトールのプロピレンオキサイド付加体(分子量400)300部の混合物(水酸基価280)]480部と硬化剤[ヒマシ油とジフェニルメタンイソシアネートの反応物(NCO%19.1)]520部を配合して被覆剤を作成した。
【0070】
比較例1
製造例1で作成した吸水性樹脂Aを植物体用保水材として使用した。
比較例2
製造例2で作成した成形体Aを植物体用保水材として使用した。
比較例3
製造例3で作成した成形体Bを植物体用保水材として使用した。
上記実施例1〜5、比較例1〜3の吸水倍率、吸収比を表1に示した。
【0071】
【表1】
【0072】
<無灌水試験>
300ccプラスチックス容器に予め植物育成用保水材(実施例1〜5、比較例1〜3)を配合した川砂(吸水性樹脂量0.5g/・)を200cc投入し、土の表面に種子別に種子(メドハギ、トールフェスク)を15粒づつ播種した。2回(朝、夕)/日の灌水と日当たりの良い屋内で約3ヵ月育成した。その後に灌水を中止し、経日による植物のしおれ状態を目視観察により下記の評価基準に従って評価した。得られた結果を表−3に示す。
【0073】
<泥状基材の吹き付け試験>
泥状基材の固形分の容量に対する吸水性樹脂の質量を0.5g/・になるように以下の表2の配合をした。
【0074】
【表2】
【0075】
吹き付け機:ハイドロシーダー HS−1 営林 (彩光社製)
ジェットソイル:植壌土+有機堆肥(彩光社製)
ジェットシード:植物性短繊維;化成肥料(彩光社製)
マクゾールD:天然植物性油脂(彩光社製)
吹き付け機内に下記の配合比の泥状基材溶液と植物育成用保水材(実施例1〜5、比較例1〜3)を吸水性樹脂分0.3部が添加されるように計算して仕込み・混合した後、2時間後に低速攪拌下で吹き付けを行った。吹き付け状態を下記の評価で採点した。得られた結果を表3に示す。
【0076】
【表3】
【0077】
【発明の効果】
本発明の植物体育成用保水材は、以下の効果を奏する。
(1)吹き付け時泥状基材の粘度の上昇を起こさないので、吹き付け操作に支障を起こすことがない。
(2)吹き付け後、吸水性能が優れているので、植物に十分な水分を補給することが出来る。
(3)天然土壌に比べ軽量な基材を使用するため、植え込み材料の重量を大幅に軽量化することができる。特に、施設園芸において生産、流通が吸速に伸びているセル成型苗、コミニュニティーポット苗、ポット苗等の「鉢物」用の植え込み材料として有効に利用できる。
Claims (7)
- 吸水性樹脂(A)又は該(A)と植物体育成用担体(B)からなる成形体(C)が、吸水性樹脂(A)又は成形体(C)100質量部に対して、ウレタン系樹脂、下記エステル系樹脂、エポキシ系樹脂、下記ビニル樹脂からなる群から選ばれる1種以上からなり水に対して不溶〜難溶性である被覆剤(D)1〜40質量部で被覆されてなる植物体育成用保水材。
エステル系樹脂:芳香族ポリエステル−ポリエーテルブロック共重合体、芳香族ポリエステル−脂肪族ポリエステルブロック共重合体
ビニル樹脂:次のモノマー(3)〜(7)を共重合した樹脂、グリシジル(メタ)アクリレートとモノマー(3)〜(5)との共重合体、及びモノマー(3)〜(7)とモノマー(8)とを共重合した樹脂
モノマー(3):モノ(メタ)アクリル酸及びそのアルキルエステル又はヒドロキシアルキルエステル(炭素数4〜24)、
モノマー(4):分子量62〜5,000のポリエチレングリコール及び/又はポリプロピレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル、
モノマー(5):分子量62〜5,000の多官能(2〜6価)アルコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル、
モノマー(6):ニトリル基含有ビニル系モノマー、
モノマー(7):ビニルエステル
モノマー(8):アクリル系樹脂(e2)の構成モノマー - 前記植物体育成用保水材の下記に示される吸水倍率(1)が12以下であり、かつ下記に示される吸収比が2.5以上であることを特徴とする請求項1記載の植物育成用保水材。
吸水倍率(1):25℃、イオン交換水浸漬2時間後の吸水倍率
吸水倍率(2):25℃、イオン交換水浸漬24時間後の吸水倍率
吸収比:[吸水倍率(2)/吸水倍率(1)] - 前記(A)が下記に示す吸水性樹脂(A1)である請求項1又は2記載の植物体育成用保水材。
吸水性樹脂(A1):カルシウムイオン吸収量が乾燥重量1gあたり0〜100mgであり、塩素イオンの含有量が乾燥重量1gあたり0.07〜7mmolであり、且つ25℃のイオン交換水中での吸水倍率が10〜1,000倍である吸水性樹脂。 - さらに結合材(E)が含まれてなる請求項1〜3の何れか記載の植物体育成用保水材。
- 前記(E)が水溶性及び/若しくは水分散の可能な天然高分子、半合成高分子、合成高分子からなる群から選ばれるものである請求項4記載の植物体育成用保水材。
- 前記(B)が粉末、多孔体、ペレット状、繊維状及び発泡体からなる群から選ばれる1種以上の水不溶性の固状のものである請求項1〜5の何れか記載の植物体育成用保水材。
- 前記(C)がペレット状の加圧成形体(C1)、シート状、棒状若しくはブロック状の加圧成形体の裁断物又は粉砕物(C2)、シート状、棒状若しくはブロック状の加熱成形体の裁断物又は粉砕物、ペレット状の加熱成形体(C3)、シート状、棒状若しくはブロック状の発泡体の裁断物又は粉砕物(C4)からなる群より選ばれる1種以上である請求項1〜6の何れか記載の植物体育成用保水材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000322335A JP3712604B2 (ja) | 2000-10-23 | 2000-10-23 | 植物体育成用保水材 |
Applications Claiming Priority (1)
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