JP3708552B2 - 内視鏡バイオプトーム及び顎部組立体 - Google Patents

Description

技術分野
本発明は内視鏡外科用器具に関する。特に本発明は複数の生検組織サンプルを取り出すための器具に関する。
従来の技術
内視鏡生検手順は内視鏡と内視鏡生検鉗子装置（バイオプトーム）とを使用して行うのが典型的である。内視鏡はファイバレンズを担持すると共にバイオプトームが挿入される狭い内腔を有する長い可撓性チューブである。このバイオプトームは長い可撓性コイルを含むのが典型的であり、このコイルは先端に一対の対向する顎部を有し、手前側端に手動式作動手段を有する。作動手段を操作すると顎部が開閉する。生検組織のサンプリング時において、外科医は内視鏡のファイバレンズを介して生検場所を見ながら内視鏡を生検場所へ案内する。バイオプトームはその対向する顎部が生検場所に到達するまで内視鏡の狭い内腔を介して挿入される。内視鏡のファイバレンズを介して生検場所を見ながら、外科医はサンプルとすべき組織周りに顎部を位置せしめて顎部が組織周りで閉じるように作動手段を操作する。次いで組織のサンプルはバイオプトームの顎部間に捕捉されつつ生検場所から切り取られかつ／または引き裂かれる。顎部を閉じた状態で、外科医はバイオプトームを内視鏡から引き出して顎部を開き、生検組織サンプルを収集する。
生検組織のサンプリング手段は往々にして同じか或いは異なる生検場所から数個の組織サンプルの収集を必要とする。残念ながら、ほとんどのバイオプトームは単一の組織サンプルの取り出しに限定されており、単一の組織サンプルの取り出し後、再度別の組織サンプルを取り出すべく使用するのに先立って、この装置を内視鏡から一度引き出さねばならない。ほとんどのバイオプトームが単一サンプルの取り出しに限定されているのは生検鉗子の顎部間の空間が限定されているからである。この器具を一度引き出さなければならなくなる前に数個の組織サンプルを取り出すことができるような器具を提供するための試みが幾度かなされている。このような器具を提供する際の問題点は内視鏡の内腔が狭いためにサイズを極めて小さくしなければならないこと、及びこの器具を内視鏡の内腔に挿入するためにこの器具が可撓性を備えていなければならないことである。従って、幾つかの公知の複数サンプル生検器具はそのサイズと硬さのために内視鏡での実用から除外されている。これらはＨａｌｐｅｒｎらに付与された米国特許第３９８９０３３号及びＷｈｉｐｐｌｅらに付与された米国特許第４５２２２０６号に開示されている「押抜き吸引式」器具を含む。これら装置は双方とも、先端に押抜き部を備えた中空チューブと、中空チューブの手前側端に連結した真空源とを有する。組織サンプルは押抜き部で切り取られて生検場所から中空チューブを介し吸引される。しかしながら、長くかつ狭い可撓性バイオプトームを介し組織サンプルを吸引することは事実上不可能であると、一般的には認識されている。
内視鏡の狭い内腔を通過せねばならない器具に複数のサンプリング能力を付与するための努力が為されてきている。これらの努力は筒状の蓄積空間を器具の先端に設け、この器具が内視鏡から引き出される前に数個の組織サンプルが蓄積されるようにすることに集中されている。例えば、Ｌｉｆｔｏｎに付与された米国特許第４６５１７５３号は硬質の筒状部材を第１の可撓性チューブの先端に装着することを開示している。この筒状部材は横方向の開口を有し、同心筒状のナイフ刃がこの筒状部材の内部に摺動可能に装着されている。第１のチューブに対し同心の第２の可撓性チューブが前記ナイフ刃に連結されてこのナイフ刃を筒状部材の内部で前記横方向の開口に対し移動させる。プランジャ端を有する第３の可撓性チューブが第２の可撓性チューブの内部に装着され、真空源（注射器）がこの第３のチューブの手前側端に連結される。組織サンプルの取り出しは、筒状部材の横方向開口を生検場所に位置せしめ、注射器で真空を付与して組織を横方向開口内に引き込み、第２の可撓性チューブを前方へ押してナイフ刃を横方向開口を横切って移動させることにより為される。その結果、組織サンプルは切り取られて筒状部材の内部において筒状ナイフの内側に捕捉される。次いで第３の可撓性チューブが前方へ押されてそのプランジャ端を組織サンプルに対して移動せしめ、この組織サンプルを前方へ押して筒状部材の先端の筒状蓄積空間内に入れる。約６個のサンプルを筒状部材に蓄積することができ、次いでこの器具が内視鏡から引き出される。筒状部材上の先端プラグを取り外し、第３の可撓性チューブを押してそのプランジャ端がサンプルを排出することにより６個のサンプルが収集される。
このＬｉｆｔｏｎ特許の装置には幾つかの明らかな短所がある。第１に、組織サンプルをこの装置に対し横方向で得るのは往々にして困難である。第２に、横方向のサンプルの取得を促進するには、注射器は横方向開口への組織の引き込みを助長するように使用される。しかしながら、これは元来２ステップの手順（位置決め及びカット）を３ステップ（位置決め、吸引、カット）とすることとなる。更に、注射器の使用は追加の人手を必要とする。第３として、Ｌｉｆｔｏｎ特許は組織サンプルを蓄積空間に押し込むことを必要とするので生検手順に第４のステップを追加する。このように、Ｌｉｆｔｏｎ特許は結局、外科医及び助手に実質的負担を要求し、その負担の多くはチューブを押すことであり、古典的生検サンプリングに逆行する発想の作業である。事実上、すべての内視鏡器具の好ましい動作様式はこの器具の先端の把持作用がこの器具の手前側端の把持作用により効果的とされることである。古典的生検鉗子の顎部は注射器のような方法で手動の作動部材を圧搾することにより閉ざされる。
これよりも便利な内視鏡複数サンプル生検装置はＲｙｄｅｌｌに付与された米国特許第５１７１２５５号に開示されている。Ｒｙｄｅｌｌは先端部にナイフ状の切断用筒を有する可動性内視鏡器具を提供している。同軸状の金敷が引張ワイヤに連結されて従来の生検鉗子と同じ方法で作動される。この金敷が筒内に引き込まれると、金敷と筒間に位置する組織が切断されて筒の内部の蓄積空間に押し込まれる。この装置が内視鏡から引き出される前に数個のサンプルが取られて蓄積空間内に保持される。このＲｙｄｅｌｌの装置は各サンプルが従来の２ステップ手順（位置決め及びカット）で取得される複数サンプル器具を提供する点では効果的であるが、それでもなお往々にして問題となっている横方向の切断手法に限定される。従来の生検鉗子は組織を前方で又は側方で把持することができる顎部を備えている。これでさえも、顎部を収集されるべき組織周りに位置決めすることは困難である。横方向サンプリングは更に困難である。
親出願である米国特許願第０８／１８９９３７号は、中空の外側部材と、これを介して延びて軸線方向に変位可能な内側部材とを有する内視鏡複数サンプルバイオプトームを開示している。この外側及び内側部材の手前側端はアクチュエータに連結されて一方が他方に対し軸線方向に変位できるようになっている。外側部材の先端部は鋭い先端エッジを有する筒と、顎部組立体とのうちの一方に連結され、内側部材の先端部はその他方に連結される。この顎部組立体は一対の対向する、好ましくは歯付きの顎カップを含み、各顎カップは弾性アームによりベース部材に連結されている。この弾性アームは屈曲されて顎部を互いに離間する方向へ押圧する。ベース部材は筒の内部に装着され、顎部組立体と筒とが他に対し互いに軸線方向移動することにより弾性アームを筒内に引き込んでこれら顎カップ双方にバイト作用を行わせる。しかしながら、弾性アームの形状に依り、筒がアーム上で動くときにこれらアームが内方へ曲がって顎部の完全な閉鎖を妨げる傾向がある。その結果、最適なバイト作用が得られない。
発明の概要
従って、本発明の目的は横方向の組織サンプリングに限定されない内視鏡複数サンプルバイオプトームを提供することである。
また、本発明の目的は操作が容易な内視鏡複数サンプルバイオプトームを提供することである。
本発明の別の目的は製造経費が高額とならない内視鏡複数サンプルバイオクトームを提供することである。
本発明の更に別の目的は従来の生検鉗子のすべての利点を備え、これに加えて複数サンプルを収集することができる内視鏡複数サンプルバイオプトームを提供することである。
本発明の更に別の目的は完全に閉鎖する顎部を備えた内視鏡バイオプトームを提供することである。
本発明の更に別の目的は高度なバイト作用を有する内視鏡バイオプトームを提供することである。
下記に詳細に説明するこれら目的によれば、本発明の内視鏡バイオプトームは内腔を有する比較的長い可撓性部材を含み、この可撓性部材は内腔を介し延びる軸線方向の可撓性ワイヤを備えている。この可撓性部材およびワイヤの手前側端は手動作動手段に連結されて可撓性部材とワイヤとのうちの一方を他方に対し軸線方向に変位可能にする。可撓性部材の先端は顎部組立体に連結されている。ワイヤの先端は顎部組立体上を摺動可能な筒に連結されている。この顎部組立体は互いに対向する一対の顎カップを含み、各顎カップは細いアームによりベース部材に連結され、また、各顎カップは鋭い切断用エッジを有する。各顎部の細いアームは弾性部材であり、顎カップを互いに実質的に離して位置させるために筒の長手方向軸線から離れる方向に屈曲された部分を含む。顎部組立体のベース部材は筒の内部に装着され、顎部組立体と筒とのうちの一方の他方に対する軸線方向移動により顎部のアームが筒内に引き込まれ、或いは筒が顎部のアーム上で移動せしめられ、それにより顎カップが合致されてバイト作用状態にされる。顎部が完全に閉じてバイト作用状態となることを確実ならしめるために、顎部カップに閉鎖用カムが設けられている。この閉鎖用カムは好ましくは、顎部カップの外面の傾斜面であり、この傾斜面は筒により係合されて顎部カップを更に閉鎖状態へと移動せしめる。更に顎カップの完全閉鎖を促進するために、閉鎖用カムは筒が顎カップ上で先端方向へ動き過ぎないようにする。更にこの完全閉鎖を促進するために、各顎カップには好ましくは、切断用エッジが、顎部アームの屈曲部が位置する面と交差する面内に位置するよう設けられる。顎カップの完全閉鎖の促進に加えて、このように切断用エッジを配列すると閉鎖状態の顎部の外面が、内視鏡の内側が良好に許容する滑らかな外面を呈するようになる。
本発明のその他の目的並びに利点は添付の図面に関連した詳細な説明により当業者には明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
図１は本発明の第１実施例の手前側端の部分断面側面図、
図２は顎部が開いた状態の本発明の第１実施例の先端部の部分透視拡大側面図、
図３は本発明の実施例の先端部の拡大透視頂面図、
図４は顎部が閉じた状態を示す、図２と同様の図、
図５は第１の顎部組立体の開いた状態を示す概略図、
図５ａは図５の顎部組立体の閉じた状態を示す概略図、
図６は第２の顎部組立体の開いた状態を示す概略図、
図６ａは図６の顎部組立体の閉じた状態を示す概略図、
図７は本発明の顎部組立体の第２実施例の開いた状態を示す概略図、
図７ａは図７の顎部組立体の閉じた状態を示す概略図である。
好ましい実施例の詳細な説明
図１から図４を参照すると、複数サンプルバイオプトーム１０の第１実施例は手前側ハンドル１２と先端作用体１４とを含む。軸線方向に変位可能な制御ワイヤ１８が貫通して延びる長い可撓性コイル１６はハンドル１２と先端作用体１４とを連結する。コイル１６は好ましくは、実質的にその長さ全体にわたってＰＴＦＥ、ＦＥＰ又はポリオレフィン外装１５と、ハンドル１２から延長するコイル部分を覆うひずみ緩和スリーブ１７とで覆われている。制御ワイヤ１８は好ましくは、適度に可撓性を備えているが、軸線方向には非弾力的であり、理想的には３０４鋼から形成され、外径が約０．０１８インチ（約０．４６ｍｍ）とされる。手前側ハンドル１２は中心軸２０と変位可能なスプール２２とを含む。軸２０の手前側端にはつまみリング２４が設けられており、軸２０の先端部には長手方向の腔２６が設けられている。長手方向のスロット２８が腔２６の手前側端からつまみリング２４の先端へ延びている。変位可能なスプール２２には中心軸２０のスロット２８を貫通するクロス部材３０が設けられる。クロス部材３０には中心貫通穴３２と、半径方向に係合する止めねじ３４とが設けられる。本発明の第１実施例によれば、短腔３６と、半径方向に係合する止めねじ３８とがつまみリング２４の先端の軸２０内に設けられており、腔３６は長手方向のスロット２８と連通する。この実施例においては、コイル１６の手前側端はクロス部材３０の中心貫通穴３２内を延び、そこで止めねじ３４により固定される。制御ワイヤ１８の手前側端はスロット２８を貫通して短腔３６内に挿入され、そこで止めねじ３８により保持されている。上記記載から、軸２０とスプール２２間の相関移動により制御ワイヤ１８がコイル１６に対し相対移動することが当業者には理解されるであろう。このような動作は以下に詳細に説明するように、先端作用体１４を作動させることとなる。
図２から図４を参照すると、先端作用体１４は筒状スリーブ４０（鋭い先端ナイフエッジ４２を有することが好ましい）と顎部組立体４４とを含む。顎部組立体４４は互いに対向する一対の顎カップ４６ａ、４６ｂを含み、各顎カップは好ましくは半径方向に配列された複数の鋭い歯４８ａ、４８ｂを有する。弾性を備え、好ましくは細いアーム５０ａ、５０ｂは各顎カップ４６ａ、４６ｂから手前側方向へ延びる。筒状のベース部材５２はアーム５０ａ、５０ｂの手前側端を接続する。図２に最もよく示されるように、細い弾性アーム５０ａ、５０ｂは筒状ベース部材５２と各顎カップ４６ａ、４６ｂ間の点５１ａ、５１ｂにおいて相互に離れる方向に屈曲されて顎カップ４６ａ、４６ｂを相互に離れる方向に位置せしめ、それにより各アームの先端部をベース部材の軸線と交差する面内に位置せしめる。筒状ベース部材５２は可撓性コイル１６の先端に溶着、半田付け、クリンプあるいはその他の適当な方法で連結される。筒状スリーブ４０に制御ワイヤ１８の屈曲端１８ａと係合する横穴を設けることによりスリーブ４０を制御ワイヤ１８の先端に連結する。図２から図４に示すように、制御ワイヤ１８の屈曲端１８ａはスリーブ４０の側面の穴４５に溶着される。しかし、親出願において詳細に説明されているように、スリーブに対する制御ワイヤの連結はこれ以外の方法でも可能である。筒状スリーブ４０は図２及び図３に示されように筒状ベース部材５２上に、摺動可能に装着されて図４に示されように弾性アーム５０ａ、５０ｂ上を軸線方向に移動可能となっている。
本発明によれば、好ましくは顎カップ４６ａ、４６ｂにはその外面にそれぞれ閉鎖用カム４７ａ、４７ｂが設けられる。各閉鎖用カムは好ましくは、顎カップの表面から先端方向へ***する傾斜当接部である。更に、各顎カップの歯部４８ａ、４８ｂ（即ち、頂点又は谷部）は好ましくは、顎部を閉鎖したときに図４に示されるようにかつ図５から図７を参照しつつ以下に更に詳細に説明されるように、アームの屈曲部の面に対し角度をなす面内に配列されて各歯部が相互に完全に係合するようにされる。
図３に見られるように、顎カップ４６ａ、４６ｂの断面は偏心しており、断面の最も幅広の位置は線分４９で示される。線分４９の先端側においては顎カップは実質的に半球形状であり、線分４９の手前側においては顎カップは半楕円形状である。閉鎖用カム又は***部４７ａ、４７ｂは顎部の最も幅広の部分の手前側、即ち線分４９の手前側に位置するのが好ましい。また、顎カップ４６ａ、４６ｂの側壁はアーム５０ａ、５０ｂの方向に傾斜して顎カップからアームに滑らかな接続部が提供される。
以上の説明から、また図１から図４を参照すると、スプール２２と軸２０とが相互に軸線方向に変位したときに筒状スリーブ４０と顎部組立体４４とが同様に相互に軸線方向に変位すること、即ち図２に示す位置から図４に示す位置へ、またその逆へ変位することは当業者の理解するところであろう。また、スプール２２と軸２０とが図１に示すような位置にあるときには筒状スリーブ４０と顎部組立体４４とが概ね図２に示す位置に位置し、即ち顎部が開いた状態になることが理解されるであろう。したがって、スプール２２がつまみリング２４の方向へ、或いは逆の方向へ移動せしめられると筒状スリーブ４０と顎部組立体４４とが概ね図４に示す位置に移動せしめられ、即ち顎部が閉まる状態となることは当業者の更に理解するところであろう。更に、つまみリング２４をスプール２２に対し移動せしめることはその逆よりも好ましいことが理解されるであろう。何故なら、この場合には逆の場合と違って、筒状スリーブ４０を顎部組立体４４に対し移動せしめることになるからである。これが望ましいのは、顎部が閉じている間は顎部組立体は組織サンプルから動いて離れないようにするためである。いずれの場合でも、アーム５０ａ、５０ｂが共に筒状スリーブ４０により引き抜かれるときに、アームは図４に見られるように、それぞれの屈曲部においてよりもむしろ筒状ベース部材５２との連結部において可撓性動作をする傾向がある。アームのこの形状は下記の説明から理解されうるように、顎部の歯部の特別な配列により補償される。
次に、図５及び図５ａを参照すると、顎部組立体１０１は第１の顎カップ１０２ａと第２の顎カップ１０２ｂとを含む。各顎カップはそれぞれ対応する弾性アーム１０３ａ、１０３ｂにより筒状ベース部材１０４に連結されている。アーム１０３ａ、１０３ｂはこれらアームがベース部材１０４に到る点１０４ａ、１０４ｂにおいて互いに離間する方向（ベース部材の長手方向軸線から離れる方向）へ屈曲されている。顎カップ１０２ａ、１０２ｂにはそれぞれ切断用エッジ１０５ａ、１０５ｂが設けられており、これらエッジは一列の歯部を含んでもよく、或いは単なる鋭いエッジであってもよい。スリーブ（図示せず）が顎部組立体上で移動せしめられるとアーム１０３ａ、１０３ｂが点１０４ａ、１０４ｂにおいて可撓性動作をして顎部１０２ａ、１０２ｂが図５ａに示されるように合致せしめられ、それにより切断用エッジが相互に係合する。この配列において、顎部が閉じたときにアーム１０３ａ、１０３ｂが実質的に平行となる位置へ移動することは当業者の理解するところであろう。従って、切断用エッジが顎部のアームに対し実質的に平行な面内に位置するように、各顎部の切断用エッジを配列すべきである。
図２から図４を再度参照すると、先端作用体１４の形状と、先端作用体１４がコイル１６及び引張ワイヤ１８とを連結していることとのために、ベース部材５２と合致する点において、顎部アーム５０ａ、５０ｂに必要な屈曲５１ａ、５１ｂを設けることは困難である。というのは、ベース部材とアーム屈曲部間には引張ワイヤ１８と筒状スリーブ４０との連結部（１８ａ、４５）を収容するための一定量の空間が必要であるからである。
次いで、図６および図６ａを参照すると、上記と同じ顎部組立体１０１にはそのアーム１０３ａ、１０３ｂ上に、筒状ベース部材１０４に対し先端側の点において屈曲部１０４ａ’、１０４ｂ’が設けられる。これら屈曲部の位置に係わりなく、スリーブ（図示せず）が顎部組立体上で移動せしめられるとアームはこれらアームの弾性により、ベース部材１０４との連結部において屈曲せしめられる。図６ａに示すように、アーム１０３ａ、１０３ｂがたわむと顎カップ１０２ａ、１０２ｂは閉じるが、その切断用エッジ１０５ａ、１０５ｂは完全に係合しない。その理由は、切断用エッジ１０５ａ、１０５ｂがアーム１０３ａ、１０３ｂの先端部分に対し実質的に平行な面内に位置するように配置され、一方、屈曲部１０４ａ’、１０４ｂ’のためにアーム１０３ａ、１０３ｂが互いに平行の整列状態とならないからである。切断用エッジが完全に係合しないと２つの短所が生ずる。即ち、不完全な切断作用と、露出した鋭いエッジが内視鏡の内部に損傷を与えうることとである。従って、顎部の切断用エッジを完全に係合可能とするには切断用エッジの形状を変えなければならない。
図７及び図７ａは本発明による顎部組立体１４４を示すものである。顎部組立体１４４は第１の顎カップ１４６ａと第２の顎カップ１４６ｂとを含む。各顎カップはそれぞれ対応する弾性アーム１５０ａ、１５０ｂにより筒状ベース部材１５２に連結されている。これらアームはベース部材１５２に対し先端側の点１５１ａ、１５１ｂにおいて互いに離間する方向（ベース部材の長手方向軸線から離れる方向）に屈曲されている。顎カップ１４６ａ、１４６ｂには切断用エッジ１４８ａ、１４８ｂが設けられており、これらエッジはそれぞれのアーム１５０ａ、１５０ｂの先端部分に対し平行でない（屈曲されている）面内に位置するように配列されている。特に、各切断用エッジは顎部アームの先端部分が位置する面と交差する面内に位置するように配列されている。スリーブ（図示せず）が顎部組立体上で移動せしめられるとアーム１５０ａ、１５０ｂがベース部材１５２との連結部においてたわみ、顎部１４６ａ、１４６ｂが図７ａに示されように互いに合致してその切断用エッジ１４８ａ、１４８ｂが実質的に完全に相互に係合する。
図２及び図４を再度参照すると、顎部アセンブリ４４には切断用歯部４８ａ、４８ｂが設けられており、これら歯部は今述べた面内に配列されているので顎部が閉じられたときに歯部は実質的に完全に噛み合うということが理解されるであろう。更に、閉鎖用カム４７ａ、４７ｂは特に顎部の先端部分において顎歯部の完全な噛み合いを補強することが判るであろう。更に、これら閉鎖用カムはスリーブ４０が顎カップ上で先端方向へ移動し過ぎないように作用する。このことはスリーブ４０が引張ワイヤ１８から離脱すべき場合における重要な安全上の利点である。何故なら、この閉鎖用カムは、スリーブがこのバイオプトームから落下して患者の体内で所在不明となることを防止するからである。
本発明のバイオプトームは本明細書において上述した親出願において説明されたと実質的に同様の方法で使用されることは当業者の理解するところであろう。なお、親出願は本明細書と一体のものとして参照される。しかし、本発明のバイオプトームは高度化されたバイト作用を有する。親出願のバイオプトームと同様、顎部組立体は引張ワイヤと、コイルに連結された筒状スリーブとに連結することができ、しかしながらその逆ではない。この連結作用は幾つかの相異なる方法で行うことができる。幾つかの相異なるタイプの作動手段（例えば、鉗子のグリップ）を、本明細書において示すスプールおよびつまみリングの配列とは異なる方法で使用することができる。顎部を、型打ち加工、レーザカット等を含む幾つかの方法により製造することができる。現在好ましい実施例としては、顎部はダイス型打抜き具を使用して４１０ステンレス鋼シートから平坦なブランクとして形成される。形成されたブランクは、顎カップの外面に対応する凹面と閉鎖用カムに対応する凹面内のへこみを有する型内に置かれる。顎カップの内面に対応する凸面と閉鎖用カムの内側に対応する凸面とを有する打抜き具が平坦なブランクに対し押圧され、顎カップが平坦ブランクから冷間形成される。
本明細書においては内視鏡複数サンプルバイオプトームの幾つかの実施例が説明及び図示されている。本発明に関する特定の実施例が説明されてはいるが、本発明がこれら実施例に限定されることを意図するものではない。本発明はこの技術が許す限りの範囲の広いものであり、また明細書もそのように読まれることを意図するものである。従って、顎部の切断用エッジの特定の形状が開示されてはいるが、別のタイプのものも利用できることが理解されるであろう。特に、切断用エッジは歯部でも、歯部のない鋭いエッジでも、或いはこの両者の組合せでもよい。歯部は半径方向でも又は別の方式でも配列することができる。また、筒状スリーブの先端はナイフ状の鋭いエッジを有するものとして図示され説明されているが、鋭いエッジを持たないスリーブでも本発明の顎部組立体と共に使用することができる。更に、閉鎖用カムに関して特定の形状を説明したが、別の形状も使用できることが判るであろう。例えば、顎部の表面から外方へ***した閉鎖用カムの代わりに、顎部自体を、カムが設けられるべき位置において閉じた顎カップの外径が筒の内径よりも大きくなるように、その直径を増大するようにして配置することもできる。換言すると、顎カップは、筒によるカップの閉鎖を高めると共に顎部上での筒の動き過ぎを防止するために、球根状の形状として配置することができる。更に、本発明は手術場所から除去することなしに複数の生検ができる利点を説明したが、所望の場合には、本発明の装置を、一度に一つの生検を実行するように使用することもできる。本発明の精神及び請求の範囲から逸脱することなく、ここに開示された発明に対し種々の修正は可能であることは当業者の理解するところであろう。

Claims (20)

1. 内視鏡バイオプトームにおいて、
   ａ）手前側端および先端を有する中空外側部材と、
   ｂ）手前側端および先端を有し、前記中空外側部材を介し延びる内側制御部材と、
   ｃ）長手方向軸線を有し、前記中空外側部材と前記内側制御部材とのうちの一方の前記先端に連結された筒と、
   ｄ）ベース部材と、該ベース部材から先端方向へ延びる一対の弾性アームとを含む顎部組立体であって、前記各弾性アームの先端に切断用エッジを有する顎カップが設けられ、各弾性アームは前記筒の長手方向軸線から離れる方向へ屈曲した部分を有し、前記ベース部材が前記中空外側部材と前記内側制御部材のうちの他方の前記先端に連結されている顎部組立体と、
   ｅ）前記中空外側部材の手前側端と前記内側制御部材の手前側端とに連結されて前記中空外側部材と前記内側制御部材とのうちの一方を前記中空外側部材と前記内側制御部材とのうちの他方に対し軸線方向に変位させ、それにより前記筒が前記一対の弾性アーム周りを延びて前記顎カップを閉じるようにする作動手段と、
   を具備し、
   前記顎カップの前記外側のうちの少なくとも一方が、前記顎カップが閉じられるときに前記筒により係合せしめられる***部を含む内視鏡バイオプトーム。
2. 前記顎カップのうちの少なくとも一方が、前記顎カップが閉じられるときに前記筒が前記顎カップを完全に越えて延びるのを防止するように配列された外面を有する請求項１に記載の内視鏡バイオプトーム。
3. 前記***部が閉鎖用カムであり、前記顎カップの両者の外面に閉鎖用カムが設けられ、各顎カップが前記切断用エッジを画定する内面を有する請求項１に記載の内視鏡バイオプトーム。
4. 前記各顎カップが切断用エッジを有し、該エッジが、前記筒の長手方向軸線から離れる方向に屈曲されている前記弾性アームの前記部分が位置する面と交差する面内に位置している請求項１に記載の内視鏡バイオプトーム。
5. 前記筒が鋭い先端エッジを有する請求項１に記載の内視鏡バイオプトーム。
6. 前記弾性アームの各部分が前記ベース部材よりも先端側の点において前記筒の長手方向軸線から離れる方向に屈曲され、前記弾性アームの各手前側部分が前記筒の長手方向軸線に対し実質的に平行な内面に位置する請求項１に記載の内視鏡バイオプトーム。
7. 内視鏡バイオプトームにおいて、
   ａ）手前側端および先端を有する中空外側部材と、
   ｂ）手前側端および先端を有し、前記中空外側部材を介し延びる内側制御部材と、
   ｃ）長手方向軸線を有し、前記中空外側部材と前記内側制御部材とのうちの一方の前記先端に連結された筒と、
   ｄ）ベース部材と、該ベース部材から先端方向へ延びる一対の弾性アームとを含む顎部組立体であって、前記各弾性アームの先端に切断用エッジを有する顎カップが設けられ、各弾性アームが前記筒の長手方向軸線から離れる方向へ屈曲され、前記ベース部材が前記中空外側部材と前記内側制御部材とのうちの他方の前記先端に連結されている顎部組立体と、
   ｅ）前記中空外側部材の手前側端と前記内側制御部材の手前側端とに連結されて前記中空外側部材と前記内側制御部材とのうちの一方を前記中空外側部材と前記内側制御部材とのうちの他方に対し軸線方向に変位させ、それにより前記筒が前記一対の弾性アーム周りを延びて前記顎カップを閉じるようにする作動手段と、
   を具備し、
   前記筒が鋭い先端エッジを有する内視鏡バイオプトーム。
8. 前記顎カップのうちの少なくとも一方が、前記顎カップが閉じられるときに前記筒が前記顎カップを完全に越えて延びるのを防止するように配列された外面を有する請求項７に記載の内視鏡バイオプトーム。
9. 前記顎カップの前記外面のうちの少なくとも一方が、前記顎カップが閉じられるときに前記筒により係合せしめられる***部を含む請求項７に記載の内視鏡バイオプトーム。
10. 前記***部が閉鎖用カムであり、前記顎カップの両者の外面に閉鎖用カムが設けられ、各顎カップが前記切断用エッジを画定する内面を有する請求項９に記載の内視鏡バイオプトーム。
11. 前記顎カップの各切断用エッジが、前記筒の長手方向軸線から離れる方向に屈曲されている前記対応する弾性アームの前記部分が位置する面と交差する面内に位置している請求項７に記載の内視鏡バイオプトーム。
12. 前記弾性アームの各部分が前記ベース部材よりも先端側の点において前記筒の長手方向軸線から離れる方向に屈曲され、前記弾性アームの各手前側部分が前記筒の長手方向軸線に対し実質的に平行な面内に位置する請求項７に記載の内視鏡バイオプトーム。
13. 内視鏡バイオプトームにおいて使用される顎部組立体において、
    ａ）長手方向軸線を有するベース部材と、
    ｂ）該ベース部材から先端方向に延びる一対の弾性アームであって、各先端に切断用エッジを有する顎カップが設けられている一対の弾性アームと、を具備し、
    前記顎カップのうちの少なくとも一方に閉鎖用カムが設けられている
    顎部組立体。
14. 前記顎カップの両者が閉鎖用カムを有し、各顎カップが外面と、前記切断用エッジを画定する内面とを有し、前記閉鎖用カムが前記外面上の傾斜した***部である請求項13に記載の顎部組立体。
15. 前記各顎カップが切断用エッジを有し、エッジが、前記弾性アームの前記屈曲部が位置する面と交差する面内に位置する請求項13に記載の顎部組立体。
16. 前記弾性アームの各部分が前記ベース部材よりも先端側の点において前記ベース部材の長手方向軸線から離れる方向に屈曲され、前記弾性アームの各手前側部分が前記ベース部材の長手方向軸線に対し実質的に平行な面内に位置する請求項13に記載の顎部組立体。
17. 内視鏡バイオプトームにおいて使用される顎部組立体において、
    ａ）長手方向軸線を有するベース部材と、
    ｂ）該ベース部材から先端方向に延びる一対の弾性アームであって、各弾性アームが前記ベース部材の長手方向軸線から離れる方向に屈曲されて前記ベース部材の長手方向軸線と交差する内面に位置する部分を有し、弾性アームの各先端に切断用エッジを有する顎カップが設けられ、エッジが、前記弾性アームが位置する面と交差する面内に位置する一対の弾性アームと、
    を具備し、
    前記顎カップのうちの少なくとも一方に閉鎖用カムが設けられている
    顎部組立体。
18. 前記顎カップに、閉じられたときに外径を増大せしめる部分が設けられている請求項17に記載の顎部組立体。
19. 前記顎カップの両者が閉鎖用カムを有し、各顎カップが外面と、前記切断用エッジを画定する内面とを有し、前記閉鎖用カムが前記外面上の傾斜した***部である請求項18に記載の顎部組立体。
20. 前記弾性アームの各部分が前記ベース部材よりも先端側の点において前記ベース部材の長手方向軸線から離れる方向に屈曲され、前記弾性アームの各手前側部分が前記ベース部材の長手方向軸線に対し実質的に平行な面内に位置する請求項17に記載の顎部組立体。

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