JP3707473B2 - 鋼管の超音波探傷方法及びその装置 - Google Patents

鋼管の超音波探傷方法及びその装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼管の内部に存在する欠陥を検出する欠陥検出手法に係わり、特に、鋼管溶接部の内部に発生する径方向(肉厚方向)と軸方向とを含む面内に存在する面状欠陥を、前記鋼管の外周面に取付けられた斜角探触子を用いて超音波探傷する鋼管の超音波探傷方法及び鋼管の超音波探傷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、外径が1mを越える鋼管は、帯状の鋼板を筒状に曲げ形成して、その後、鋼板の側面どうしを溶接することによって製造される。なお、このような手法で製造された鋼管を溶接鋼管と称することもある。したがって、図10(a)に示すように、製造された鋼管1の外周面2には、軸方向に延びる線状の溶接部3が存在する。
【0003】
このような鋼管1においては、製造時における溶接不良に起因する面状欠陥4が溶接部3の内部に発生する確率が高くなる。当然、この面状欠陥4は、径方向(肉厚方向)と軸方向とを含む接着面内に発生する。
【0004】
このような鋼管1の溶接部3内に発生する面状欠陥4を探傷する方法として、図10(b)、図10(b)に示すような斜角超音波探傷法が実用化されている。
【0005】
図10(b)は、鋼管1の外周面2に取付けられた斜角探触子5から発生させた超音波6を0.25スキップで溶接部3の内部の面状欠陥4に入射させる探傷法であり、図10(c)は、同じく超音波6を0.75スキップで面状欠陥4に入射させる探傷法である。
【0006】
斜角探触子5から鋼管1内に入射された超音波6の伝搬方向と入射面の垂線とのなす角度を探傷の屈折角θと称するが、一般に鋼板の探傷に使用される斜角探触子5の有する屈折角θは公称70°である。
【0007】
しかし、肉厚tと外径Dの比、即ちt/Dが、3%より大きい断面形状4を有する鋼管1の場合は、鋼管1内に入射した超音波6が底面において屈折角θ=70°で反射を起こさないため、図10(c)に示す0.75スキップでは、公称屈折角70°より小さい屈折角(例えば、65°、60°、55°)の探傷を行うことになる。
【0008】
その結果、検査対象の鋼管1のt/Dが約6%で図10(b)に示す0.25スキップ・屈折角70°の探傷を行う場合以外の図10(c)に示す0.75スキップの探傷においては、検出対象となる面状欠陥4に超音波6が垂直に入射しない。そのため、面状欠陥4による超音波6の反射のほとんどが斜角探触子5の方向でないために、斜角探触子5は面状欠陥4のエコーを受信できないので欠陥検出能力が低下する。
【0009】
また、近年では溶接鋼管の母材にTMCP鋼板のような制御圧延した鋼板を用いるため、被検査体が音響異方性を有する場合が大多数である。このような音響異方性を有する材料は、超音波6の横波音速が3230m/sとは限らず、音速は伝播方向に依存して異なる。
【0010】
このため、被検査体の横波音速を基準速度である3230m/sと仮定して製作した斜角探触子5では、仕様に表記された公称屈折角が実際の屈折角θと異なり、この公称屈折角の値はもはや信用できない。被検査体の音響異方性の度合いによっては、公称屈折角70°のものを用いても実際の探傷屈折角は63°程度になることもある。
【0011】
したがって、鋼溶接部の超音波探傷試験法の規格JIS Z 3060では、音響異方性を有する材料の探傷は、公称屈折角と実際の探傷屈折角のズレが小さくなるように斜角探触子5の屈折角θを小さめに選ぶことが記されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述したJIS規格においては、鋼管製造工程中の継ぎ手溶接部は適用外となっていて、溶接鋼管における溶接部3内に存在する面状欠陥4に対する自動探傷では音響異方性に対する対策はほとんどなされていない。
【0013】
例えば、アーク溶接鋼管を例にあげると一般に製造される鋼管1のt/Dは0.7〜7%であり、従来の探傷法では特別な場合を除き、面状欠陥4に対して超音波6が斜めに入射することから、斜角探触子5の方向(超音波の入射方向)に反射される超音波6は弱く欠陥検出能が低い。
【0014】
さらに、従来法において、溶接部3付近から反射され、斜角探触子5に戻ってくるエコーは、面状欠陥4からのものだけでなく溶接部3の余盛からのエコーも多く含む。そのため、欠陥検出能を上げるために増幅器等を使用すると面状欠陥4からのエコーは増幅されるが、溶接部3の余盛からのエコーや溶接金属からの組織エコーも増幅されるし、また電気ノイズも増加することから、欠陥エコーのみを高いS/N比で検出できない。
【0015】
一方、図10(b)に示す0.25スキップでの探傷では、0.75スキップの探傷に比べて面状欠陥4と斜角探触子5との位置が近いことから斜角探触子5は欠陥信号を比較的強く検出できる。しかし、強い超音波6が溶接部3における溶接金属部に入射することから、この溶接金属内で反射されるエコーが林状エコーとなって観測され、斜角探触子5から出力されるエコー信号に含まれる欠陥エコーのS/N比はほとんど向上しない。
【0016】
また、肉厚の薄い鋼管1においては、図10(b)に示すように、斜角探触子5を支持するホルダーが溶接部3に接触する懸念があるために、0.25スキップの探傷法で溶接部3内を探傷部位とする探傷できなくなる。
【0017】
また、被検査体である鋼管1の材質が音響異方性を有する場合、手動による従来の探傷法では、公称屈折角と実際の探傷屈折角θのズレが比較的小さく、公称屈折角が70°より小さな斜角探触子5を用いた探傷を行っていた。しかし、面状欠陥4に対する超音波6の入射角は、70°屈折角の探傷に比べて、いっそう垂直から離れた角度になり、一探触子探傷法では、探触子方向へ反射はいっそう少なくなる。
【0018】
他方、鋼管溶接部の自動探傷の場合では、上述のように音響異方性の対策はほとんどなされておらず、公称屈折角70°の斜角探触子5を用いて実際の探傷屈折角θが63°になった場合は、63°の探傷を行い、公称屈折角70°の斜角探触子5を用いて、実際の探傷屈折角θが76°になった場合は76°の探傷を行っている。
【0019】
このため、70°の探傷を行うように製作された斜角探触子5で、63°の探傷を行う時は、超音波6のビームの指向性が小さくなって探傷範囲が狭くなる問題がある。また、76°で探傷を行うときは、超音波6のビームの指向性が大きくなって探傷範囲は広くなる。これに伴い感度も変わり、探傷結果の解析が非常に複雑になるという問題があった。
【0020】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、鋼管内に入射された超音波の探傷屈折角を公称屈折角ではなく所定の手順で決定することにより、欠陥からの探触子方向への超音波の反射強度を高めるこができ、また斜角探触子から出力されたエコー信号に含まれる溶接部の余盛からのエコー及び溶接金属からの林状エコー等の材料に起因するノイズを減らすことができ、かつ接近限界距離等の機械的制限を受けない位置での探傷が実現でき、さらに音響異方性を有する材料でも所定の屈折角で探傷ができて、見かけの振動子幅の変動がなく、超音波における一定のビーム拡がりで探傷ができる鋼管の超音波探傷方法及び鋼管の超音波探傷装置を提案することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は、帯状の鋼板を筒状に曲げ形成して製造された鋼管の軸方向に存在する溶接部における径方向(肉厚方向)と軸方向とを含む面内に存在する面状欠陥を、鋼管の外周面に取付けられた斜角探触子を用いて超音波探傷する鋼管の超音波探傷方法に適用される。
【0022】
そして、上記課題を解消するために、本発明の鋼管の超音波探傷方法においては、斜角探触子から鋼管内に入射された超音波が面状欠陥に対して垂直に入射するように、鋼管における肉厚対外径の比に基づいて、斜角探触子から鋼管内に入射される超音波の探傷屈折角を設定し、超音波の伝搬方向における速度特性と設定した探傷屈折角に基づいて、斜角探触子における超音波の鋼管に対する入射角を設定する。そして、設定された入射角と探傷屈折角との関係から求められた振動子の縮小率に基づいて、斜角探触子における振動子の幅を決定する。
また、鋼管の音響異方性における超音波の伝搬方向に対応する方向の速度特性と探傷屈折角に基づいて、斜角探触子における超音波の鋼管に対する入射角を求めてもよい。
【0023】
具体的には、超音波の探傷屈折角θを、鋼管における肉厚tと外径Dとを用いて(1) 式で算出している。
【0024】
θ=Sin-1[1−(t/D)] …(1)
このように構成された鋼管の超音波探傷方法においては、斜角探触子によって鋼管内に入射された超音波は、溶接部の面状欠陥に垂直に入射するため、面状欠陥からの反射波の伝播方向も入射方向と等しくなり、斜角探触子によって欠陥エコーは最も効率よく検出できる。さらに、この方向から探傷することにより溶接部の余盛による超音波の反射が減り、ノイズ低減の効果もある。
【0027】
このような方法で超音波の鋼管に対する入射角及び振動子の幅を設定する理由を説明する。
【0028】
先に説明したように、被検査体である鋼管の肉厚tと外径Dの比、即ちt/Dで鋼管内に入射された超音波の探傷屈折角θが決まるため、超音波がその角度に屈折を起こすような鋼管表面に対する入射角を有する斜角探触子で、かつ屈折した後における超音波のビームの大きさ(見かけの振動子幅)が探傷対象の面状欠陥の大きにあった振動子を有する斜角探触子を用いる必要がある。
【0029】
一般に、鋼内を伝搬する超音波の横波音速は、3230m/sであるため、スネルの法則を用いれば、容易に探傷に用いるべき入射角を有する斜角探触子を選ぶことができる。入射角iと屈折角θとの関係から斜角探傷における振動子の縮小率Fも計算できるため、探傷に必要な見かけの振動子幅から実際の振動子幅も算出できる。
【0030】
しかし、低温での靭性を持たせた制御圧延鋼板は音響異方性を持つため、超音波の全ての伝搬方向において音速は一様に3230m/sであるとは限らない。音響異方性を有する被検査体内では、圧延方向と直角な方向の面内(C方向:鋼管においては軸方向に直交する面内)に伝搬する超音波(横波)の音速分布が図2に示す音速分布となる。すなわち、超音波の伝搬方向を示す屈折角θの値によって速度が異なる。
【0031】
この超音波の速度V(θ)は(2) 式で近似できる。
【0032】
V(θ)=[(V0 +V45)/2]+[(V0 ―V45)/2]cos( 4θ)…(2)
但し、V0 、V45はそれぞれ屈折角0°、45°の時の音速である。
【0033】
式(2) は、未知変数が2つのため異なる2屈折角での音速を測定することにより決定することができる。ここで、音速分布V(θ)が決定できれば探傷屈折角θは鋼管のt/Dから決定されるため、探傷方向に伝播する超音波の音速V(θ)を決定できる。その結果、スネルの法則により振動子から鋼管表面に入射される超音波の入射角iを算出できる。
【0034】
したがって、先述のように入射角iと屈折角θの値から斜角探傷による振動子の縮小率Fが計算できるため、探傷に必要な振動子幅が決定でき、探傷に最適な条件の斜角探触子を選定することができる。
【0035】
以上のように、探傷対象である鋼管がたとえ音響異方性を有する材質で構成されていたとしても、溶接部内に存在する面状欠陥を精度よく探傷できる。
【0036】
また、本発明は、帯状の鋼板を筒状に曲げ形成して製造された鋼管の軸方向に存在する溶接部における径方向と軸方向とを含む面内に存在する面状欠陥を、鋼管の外周面に取付けられた斜角探触子を用いて超音波探傷する鋼管の超音波探傷装置に適用される。
【0037】
そして、上記課題を解消するために、本発明の鋼管の超音波探傷装置においては、斜角探触子から鋼管内に入射された超音波が前記面状欠陥に対して垂直に入射するように、鋼管における肉厚対外径の比に基づいて、斜角探触子から鋼管内に入射される超音波の探傷屈折角を算出する探傷屈折角算出手段と、超音波の伝搬方向における速度特性と前記算出した探傷屈折角に基づいて、斜角探触子における超音波の前記鋼管に対する入射角を算出する入射角算出手段と、算出された入射角と探傷屈折角との関係から求められた振動子の縮小率に基づいて、斜角探触子における振動子の幅を算出する振動子幅算出手段とを備えている。
また、入射角算出手段は、鋼管の音響異方性における超音波の伝搬方向に対応する方向の速度特性と探傷屈折角に基づいて、斜角探触子における超音波の鋼管に対する入射角を算出するようにしてもよい。
【0038】
このように構成された鋼管の超音波探傷装置においては、前述した鋼管の超音波探傷方法と同様に、(1) 式で、超音波の探傷屈折角θが求まる。
【0039】
θ=Sin-1[1−(t/D)] …(1)
さらに、鋼管の肉厚tと外径Dとの比t/Dが例えば3%程度と小さいので、溶接部における面状欠陥と斜角探触子との間の溶接部探触子間距離PWDは、簡単な幾何学的考察により、(3) 式で求まる。
【0040】
PWD=[(90−θ(度))/360]Dπ …(3)
このようにして算出された探傷屈折角θ、溶接部探触子間距離PWDを満たすように斜角探触子が位置決めされることによって、鋼管内に入射された超音波が面状欠陥に対して垂直に入射されるので、斜角探触子から出力されるエコー信号に含まれる欠陥エコーのS/Nを向上できる。
【0042】
また、前述した手法で入射角iが求まり、さらに、この入射角iと屈折角θの値から斜角探傷による振動子の縮小率Fが求まる。この縮小率Fから振動子の幅Wが求まる。よって、探傷に必要な振動子幅Wが決定でき、探傷に最適な条件の斜角探触子を選定することができる。
【0043】
さらに別の発明においては、上述した発明における鋼管の超音波探傷装置に対して、さらに、所定のパルス幅内で周波数が掃引されるチャープパルス信号を一定周期で斜角探触子に印加する探触子駆動手段と、斜角探触子から出力されたエコー信号をA/D変換するA/D変換器と、このA/D変換されたエコー信号に対して、チャープパルス信号を用いて相関演算を行い、演算結果を新たなエコー信号として出力するデジタルフィルタとを備えている。
【0046】
ここで、チャープパルス信号を用いたデジタルフィルタ処理を実施する技術的理由を説明する。
【0047】
斜角探触子においては、超音波を検査対象表面に対して傾斜させて入射させるために、振動子と検査対象表面との間に例えばアクリルで形成された楔を挿入している。図4に示すように、アクリルと鋼との間における超音波の往復透過率TS が屈折角θ又は入射角iに依存して大きく変化する。
【0048】
したがって、アクリル製の楔を用いて斜角探傷すると、超音波の屈折角θに応じて探傷感度が変化する。そして、屈折角θが大きくなると探傷感度が下がるため、斜角探触子から出力されるエコー信号に対して電気的に増幅する必要性が生じる。
【0049】
しかし、一般に検出されたエコー信号を電気的な増幅回路に通すと、電気的なノイズが増えるため、被検査体からのエコー信号の強度はもちろん増幅されるが、前述した溶接部における溶接金属からの林状エコー等の材料ノイズに先述の電気的なノイズが加わり、信号とノイズの比(S/N)が低くなる。
【0050】
このため、従来は70°以上の大きい屈折角θで探傷することは、たとえ欠陥エコーが強くなるとしても、S/N比の点から不利と考えられていた。
【0051】
そこで、斜角探触子から出力される一定周期で出力されるチャープパルス信号に同期するエコー信号、すなわち一定周期で欠陥エコーが存在するエコー信号に対して、デジタルフィルタで例えば自己相関演算を実施することによって、欠陥エコー以外の周期性を有していない材料ノイズや電気的なノイズを除去できる。
【0052】
よって、電気的なノイズをほとんど増幅することなくエコー信号を電気的な増幅回路で増幅することができるため、70°以上の大きい屈折角θでの探傷においても十分高いS/N比を維持した状態で超音波探傷が実施できる。
【0053】
同期加算平均化回路においても、エコー信号をチャープパルス信号の出力周期に同期して複数周期に亘って平均化することによって、ランダムな周期性を有しない材料ノイズや電気的なノイズの信号レベルが低下し、高い周期性を有する欠陥エコーの信号レベルは上昇する。
【0054】
よって、上述したデジタルフィルタと同様に、電気的なノイズをほとんど増幅することなくエコー信号を電気的な増幅回路で増幅することができるため、十分高いS/N比を維持した状態で超音波探傷が実施できる。
さらに別の発明は、帯状の鋼板を筒状に曲げて形成して、その後、鋼板の側面どうしを溶接することによって鋼管を製造する第1の工程と、上述した鋼管の超音波探傷方法によって、第1の工程で製造された鋼管を探傷する第2の工程とを有する鋼管の製造方法である。
【0055】
【発明の実施の形態】
以下本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。
【0056】
図1は実施形態の鋼管の超音波探傷方法が適用される鋼管の超音波探傷装置の概略構成図である。図10示す従来の超音波探傷法と同一部分には同一符号が付してある。したがって、重複する部分の詳細説明は省略されている。
【0057】
この実施例の鋼管の超音波探傷装置は、例えば、肉厚t=22.2ミリ、外径D=1320.8ミリであるUOE鋼管における溶接部内の中央に発生する溶込不良に起因する面状欠陥を超音波で探傷する。
【0058】
図1において、探触子選定演算装置11は、上位コンピユータ13から取得した被検査体である鋼管1の肉厚t、外径Dに応じて、溶接部3内において肉厚方向と管軸方向に広がる面状欠陥4を探傷するための適切な探傷屈折角θを演算し、さらにその屈折角θでの探傷を可能にするための使用する斜角探触子5の選定、即ち超音波6の鋼管1の外周面2に対する入射角iの演算を行う。なお、入射角iの算出においては、鋼管1の材質が音響異方性を有する場合、それも考慮して行う。
【0059】
探触子選定演算装置11において、探傷屈折角θを、肉厚tと外径Dとから前述した(1) 式を用いて算出する。
【0060】
θ=Sin-1[1−(t/D)] …(1)
また、その探傷屈折角θで探傷を行うための斜角探触子5内での超音波6の伝搬方向、即ち鋼管1の外周面2に対する入射角iは、スネルの法則から(4) 式を用いて算出する。
【0061】
sini/Vw =sinθ/V …(4)
但し、Vw 、Vは、それぞれ楔内の超音波の縦波音速、鋼板(鋼管1)内の横波音速である。
【0062】
しかし、鋼管2の材質が音響異方性を有する場合、被検査体(鋼板)の横波音速は、一様にVで表されることはなく、伝搬方向によって変わるため、図2で説明したように屈折角θの関数V(θ)で表される。そのため、入射角iの演算は(4) 式の代りに(5) 式を用いる。
【0063】
sini/Vw =sinθ/V(θ) …(5)
必要な入射角i及び屈折角θが算出されると、次に探傷に必要な振動子の幅Wを計算する。
【0064】
探傷に必要な振動子の幅Wは、超音波6の指向性をどのぐらい拡げるかで決まるが、鋼管2内から斜角探触子5内の振動子をみると実際の振動子の幅Wではなく、見かけの振動子の幅Waで見えるため、鋼管2内での超音波6の拡がりは見かけの振動子の幅Waで計算しなければならない。
【0065】
見かけの振動子の幅Waと実際の振動子の幅Wは、振動子の縮小率Fを用いると次の(6) 式の関係を待たす。
【0066】
Wa=F・W …(6)
また、入射角iと屈折角θとの関係から振動子の縮小率Fが(7) 式によって計算できる。
【0067】
F=cosθ/cosi …(7)
一方、鋼管2内で超音波6は見かけの幅Waの振動子から発生したかのように回折を起こし、次式で表される指向角をもつ。
【0068】
φ-6=Sin-1[0.433λ/Wa] …(8)
但し、φ-6は、1探触子法で検出されたエコー信号が最大値の半分になる方向(指向角)である。また、λは波長である。
【0069】
これらを逆に考えることによって、探傷に必要な超音波ビームの拡がりを持たすための実際の振動子幅Wを算出することができる。
【0070】
図3は、鋼管2内での最大値から−6dB指向角φ-6を4.6°にするのに必要な振動子幅を図にしたものである。横軸には屈折角θをとり、100m/s毎の音速で図示した。
【0071】
探触子選定演算装置11は、算出した屈折角θ、入射角i、実際の振動子幅Wを表示部12へ表示出力すると共に、PWD(溶接部探触子間距離)演算装置14へ送出する。
【0072】
本実施形態の検査対象の鋼管1は、t=22.2、D=1320.8であるから、探傷屈折角θ=79.5°となる。また、図2に示すように、音響異方性による鋼管1内の屈折角θ方向に伝搬する超音波6の音速V(79.5°)=3100m/sである。斜角探触子5に組込まれている楔(アクリル製)の音速が2730m/sなので入射角i=60°となる。さらに、指向角φ-6が4.6°になるための振動子の幅Wは、図3から約12mmとなる。
【0073】
そして、検査員は、表示部12に入射角i=60°、振動子幅W=12mmが表示されると、予め用意しておいた種々の入射角iを有した複数の斜角探触子5のうち、入射角i=60°で振動子幅Wが12mmのものを選択し、斜角探触子5のホルダー17に装着する。
【0074】
この入射角iを選択して装着する作業は、斜角探触子5に自動可変角探触子を採用することにより自動化することも考えられる。
【0075】
次に、PWD演算装置14は、探触子選定演算装置11から転送された探傷屈折角θと肉厚t、外径Dの値から斜角探触子5の位置を次のように決定する。
【0076】
UOE材で形成された鋼管1の溶接部3内の溶込不足に起因する面状欠陥4を斜角探触子5で探傷する場合の斜角探触子5の位置は、溶接部探触子間距離PWDで表され、前述した(3) 式となる。
【0077】
PWD=[(90−θ(度))/360]Dπ …(3)
この式に本実施形態における検査対象の鋼管1の各値、D=1320.8、θ=79.5°を代入するとPWD=121ミリになる。
【0078】
PWD演算装置14で算出されたPWDの値は、マニピュレータ15に転送される。このマニピュレータ15は、溶接シーム検出器15によって検出される溶接部3の中心位置からPWD=121ミリの位置で斜角探触子5から鋼管1に超音波6が進入するようにホルダー17を位置決めして固定する。
【0079】
このようにして、溶接部3に対する斜角探触子5の位置を決定することによって、鋼管1内を伝搬される超音波6が溶接部3内に存在する面状欠陥4に垂直に入射する。
【0080】
図4に示した往復透過率特性図から理解できるように、本実施形態の検査対象の鋼管1では探傷屈折角はθ=79.5°と大きいために、従来の70°斜角探傷より−3dBの感度低下がある。
【0081】
そのため、実施形態装置においては、チャープパルス信号を用いた相関演算技術と同期加算平均技術とを使用して、ノイズを増加させることなくエコー信号を増幅回路で増幅して感度低下を防止した。
【0082】
次に、これらの信号処理技術を説明する。
【0083】
図1において、同期信号発生器18は、送信周期T0 を有する送信タイミング信号aを送信用メモリ19、FIRフィルタ26及び同期加重平均化回路27へ送出する。波形演算器20は、図5に示すように、所定のパルス幅T内で周波数を掃引させるチャープ波を発生させて、送信用メモリ19及びFIRフィルタ26へ供給する。このチャープ波は、コンピユータを用いて算出され、(9) 式で示される。
【0084】
Figure 0003707473
但し、fC は中心周波数、Bは周波数掃引帯域幅、Tはパルス幅である。
【0085】
送信用メモリ19に記憶されたチャープ波は、同期信号発生器18からの送信周期T0 を有する送信タイミング信号aに同期して読出されて、D/A変換器21でアナログ信号に変換され、さらに送信用増幅器22で増幅されて、周期T0 を有するチャープパルス信号bとして、ダイプレクサ23を経由して斜角探触子5へ印加される。
【0086】
斜角探触子5から水などの音響接触媒質を介して被検査体としての鋼管1の内部に入射された超音波6は、溶接部3内の面状欠陥4等で反射され再び斜角探触子5で受信される。斜角探触子5から出力されたエコー信号cは、ダイプレクサ23を経由して受信用増幅器24で増幅され、A/D変換器25でデジタル信号に変換され、デジタルフィルタとしてのFIRフィルタ(有限インパルス応答フィルタ)26を通り、同期加算平均化回路27に入力される。
【0087】
FIRフィルタ26は、図6に示すように、128個の乗算器26aと、128個の加算器26bと、128個の遅延器26cとで構成されている。FIRフィルタ26の各乗算器26aに印加される各係数Co 〜C127 には、波形演算器20で発生させたチャープ波形の信号が参照信データとして設定されている。また、各遅延器26cは入力信号に対して送信周期To に相当する時間の遅延を行い出力する。
【0088】
このような構成のFIRフィルタ26においては、デジタル信号に離散化されたエコー信号cの波形x(τ)と相関演算を行うための参照波形は、ある一定のサンプリング周波数でサンプリングされ(離散化され)る。この例では各離散化データ値は、128個の係数Co 〜C127 として、それぞれ乗算器26a一方に入力される。
【0089】
一方、入力端から送信周期T0 毎に入力される離散化受信データx(τ)は、各乗算器26aの他方に入力に直接供給され、前記参照データ(係数)Co 〜C127とそれぞれ個別に乗算される。先頭の係数C127との乗算結果を除く各乗算結果はそれぞれ127個の遅延器26cと加算器26bとが交互に直列接続された該当加算器の入力の一方に供給される。
【0090】
そして、先頭の係数C127との乗算結果のみが前記交互に直列接続された先頭の遅延器26cに直接供給され、この遅延器26cの後段に直列接続される加算器26bの入力の他方に係数C126 との乗算結果が供給されている。そして、前記直列結合における最後の加算器26bの出力が相関演算出力y(τ)となる。
【0091】
いま入力信号をxi(j)、係数(参照データ)をC(k)、出力信号をyi(j)、タップ数をvc ,探傷信号の繰り返しをi、一周期の探傷信号データ点数をnとすると、出力信号yi(j)は(10)式の畳み込み演算を行うことで得られる。
【0092】
【数1】
Figure 0003707473
【0093】
(10)式において参照信号を逆順にすると次の(11)式となる。
【0094】
【数2】
Figure 0003707473
【0095】
この結果、FIRフィルタ26を用いてエコー信号(受信信号)cに対する相関演算を行うことができる。この相関の動作は、参照信号と受信信号をjだけずらしながら相互相関を計算していくものである。
【0096】
このFIRフィルタ26の具体的動作を図7示す波形図を用いて説明する。
【0097】
図7において、時間τ1 の点は式でj=0の位置に相当する。まず、τi の位置で、受信信号(エコー信号)と参照信号との相関演算を0〜Nc-1 のデータ分だけ行う。ここでNc は、FIRフィルタ26のタップ長であり、すなわち係数Co 〜C127 の数である。相関の結果は、図中一番下の信号、すなわち新たなエコー信号dとして出力される。このτi の時点では参照信号と受信信号(エコー信号)は類似していないため、出力はほとんど零である。
【0098】
次に、jを一つずつ増やし、図中τ2 ,τ3 ,…のように順次演算を行っていく。この結果、受信信号(エコー信号)中のエコーと参照信号の位相が一致した点(図中の時間軸のほぼ中央)で、最大のピークの相関信号が得られる。この結果、チャープ波のパルス幅は圧縮され、参照信号と相関のない電気的なノイズ信号は、大幅に低減される。
【0099】
FIRフィルタ26における相関処理によりパルス圧縮されたエコー信号dは次の同期加算平均化回路27で同期加算平均処理が実施される。
【0100】
図8は同期加算平均化回路27の詳細構成図である。
【0101】
この同期加算平均化回路27は、大きく分けて、第一のメモリ28、加算器29、第一のメモリ28の書込・読出アドレス発生器30a、30b、減算器31、第二のメモリ32、第二のメモリ32の書込・読出アドレス発生器33a、33b、減算器34とで構成されている。
【0102】
なお、第一のメモリ28は、同期信号発生器18からの送信タイミング信号aの送信周期T0 毎にFIRフィルタ26から受信した受信信号(エコー信号d)のN+1周期分以上のデータを格納できる容量を有し、この例では各周期毎の受信信号(エコー信号d)はM個のデータを含み、各データは8ビットで構成されているとしている。
【0103】
また第2のメモリ32は、各受信周期T0 におけるM個の各データをそれぞれ個別にN周期分加算したM個の和データを格納できる容量を有し、この例ではそれぞれ16ビットのデータをM個分格納するものとする。
【0104】
次に各部の動作を説明する。最初、FIRフィルタ26から受信信号(エコー信号d)が全く入力されてない初期状態においては、第一のメモリ28及び第二のメモリ32には何も記憶されてない。1回目の周期T0 の受信信号(エコー信号d)が入力されると、この受信信号は第一のメモリ28の先頭の領域に記憶されると共に、加算器29の入力の一方に加えられる。この1回目の周期では、第一のメモリ28の信号読出アドレスRA1 が指定する領域及び第二のメモリ32には何も記憶されていないので、加算器29の入力の一方に加えられた受信信号(エコー信号d)は、そのまま加算器29を通り、さらに減算器31を素通りし、第二のメモリ32に格納される。
【0105】
2回目の周期T0 の受信信号(エコー信号d)が入力されると、この2回目の周期の受信信号と第二のメモリ32に記憶されている前回の周期の受信信号(エコー信号d)とが加算器29で加算される。この加算結果は、減算器31を素通りし、第二のメモリ32に格納される。なおこの2回目の受信信号(エコー信号d)は、第一のメモリ28における第二の領域にも記憶される。
【0106】
以後平均回数N周期分の受信信号(エコー信号d)が入力されるまでは、このように第2のメモリ32に受信信号(エコー信号d)が順次加算されるのと、第一のメモリ28に該当領域に順次受信信号が格納される動作が続く。
【0107】
平均回数N周期以上の受信信号(エコー信号d)が入力されると、新たに入力された受信信号(エコー信号d)のN周期前の受信信号(エコー信号d)が第一のメモリ28の信号読出アドレスRAi が指定する領域から読み出され、減算器31に減算信号として供給される。
【0108】
このため加算器29により、第二のメモリ32に記憶されている信号と新たに入力された受信信号(エコー信号d)が加算され、その加算結果が出力されると、この加算結果より第一のメモリ28から読出されたN周期前の受信信号が減算器31によって減算されるので、減算器31の出力信号は常にN周期分の受信信号を加算したものとなる。
【0109】
このN周期分の受信信号の加算結果が、第二のメモリ32に格納されると共に、除算器34に入力されてNで除算されるので、除算器34の出力は、超音波パルスの送信周期T0 毎に、N周期分の受信信号(エコー信号d)の同期加算平均結果が新たなエコー信号eとして、次の表示部35へ出力される。
【0110】
ここで受信信号(エコー信号d)を記憶し、また読出すための書込アドレス発生器30a、33a、読出アドレス発生器30b、33bに供給するタイミング信号は、同期信号発生器18から供給される送信タイミング信号aを用いる。
【0111】
このように構成された同期加算平均化回路27を採用することにより、エコー信号をチャープパルス信号の出力周期に同期して複数周期に亘って平均化することによって、ランダムな周期性を有しない材料ノイズや電気的なノイズの信号レベルが低下し、周期性を有する欠陥エコーの信号レベルは上昇する。
【0112】
より具体的の説明すると、この実施形態の超音波探傷装置においては、チャープ波のパルス圧縮を用いているため広い周波数帯の超音波6の送受信を可能にする広帯域の斜角探触子5を用いている。広帯域の斜角探触子5は一般に感度が悪いが、チャープ波のパルス圧縮を用いているため送信パルス幅は短いため、表面性状に起因して反射・干渉しているノイズエコーの1パルス毎の変化をより大きくすることができる。
【0113】
その結果、この信号を同期加算平均することによりイズエコーを狭帯域探触子の場合よりも低減することができる。よって、エコー信号に含まれる欠陥エコーのS/N比を大幅に向上できる。
【0114】
図9は、表面性状に起因するノイズエコーの波形を拡大したものであり、図9の(a)〜(d)は、探傷位置を1〜4と変えたときに、狭帯域探触子と広帯域探触子によるそれぞれの波形例を示している。また図9の(c)は、(a)〜(d)の4つの波形を平均化処理した波形である。このように、エコー信号dを平均化することにより、S/N比を向上させることができる。
【0115】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の鋼管の超音波探傷方法及び鋼管の超音波探傷装置においては、鋼管の溶接部内における面状欠陥に対し超音波が垂直に入射するように斜角探触子を配設している。
【0116】
したがって、欠陥からのエコーを強く検出でき、かつ溶接部の余盛からのエコーを発生しづらくし、また、鋼管内を伝搬する超音波の路程が比較的長いことより、溶接金属からの組織エコーも少なく、斜角探触子から出力されるエコー信号に含まれる欠陥エコーのS/N比を向上できる。
【0117】
さらに、鋼管の肉厚対外径比(t/D)が小さいと大屈折角の探触子を用いる必要があるが、その際の超音波の往復透過率の低下もデジタルフィルタで実現されるチャープパルス圧縮技術を用いて斜角探触子から出力されるエコー信号に対する信号処理を実施している。
【0118】
よって、電気的ノイズを増加させることなくエコー信号の信号レベルを増幅回路で回復できる。
【0119】
さらに、検査対象の鋼管の材料に音響異方性が認められる場合でも、音速分布を求めて必要な探傷屈折角を満たす斜角探触子を選定し探傷するために正常に探傷できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る鋼管の超音波探傷方法が適用される鋼管の超音波探傷装置の機器構成図
【図2】音響異方性材料の超音波の速度分布特性を示す図
【図3】屈折角と斜角探触子における必要な振動子幅との関係を示す図
【図4】超音波の斜め入射時の往復透過率を示す図
【図5】斜角探触子に印加されるチャープパルス信号を示す波形図
【図6】FIRフィルタの概略構成を示すブロック図
【図7】同FIRフィルタの動作を説明するための図
【図8】同期加算平均化回路の構成構成を示すブロック図
【図9】狭帯域と広帯域の探触子によるノイズエコー波形とその平均化波形の例を示す図
【図10】斜角探触子を用いた鋼管の一般的欠陥探傷方法を示す図
【符号の説明】
1…鋼管
3…溶接部
4…面状欠陥
5…斜角探触子
6…超音波
11…探触子選定演算装置
12,35…表示部
13…上位コンピューター
14…PWD演算装置
15…マニュピレータ
16…溶接シーム検出器
17…ホルダー
18…同期信号発生器
19…送信用メモリ
20…波形演算器
21…D/A変換器
22…送信用増幅器
23…ダイプレクサ
24…受信用増幅器
25…A/D変換器
26…FIRフィルタ
27…同期加算平均化回路
16マニピュレーター
28…第一のメモリ
29…加算器
30a…第一のメモリの書込アドレス発生器
30b…第一のメモリの読出アドレス発生器
31…減算器
32…第二のメモリ
33a…第二のメモリの書込アドレス発生器
33b…第二のメモリの読出アドレス発生器
34…除算器

Claims (6)

  1. 帯状の鋼板を筒状に曲げ形成して製造された鋼管の軸方向に存在する溶接部における径方向と軸方向とを含む面内に存在する面状欠陥を、前記鋼管の外周面に取付けられた斜角探触子を用いて超音波探傷する鋼管の超音波探傷方法において、
    前記斜角探触子から鋼管内に入射された超音波が前記面状欠陥に対して垂直に入射するように、前記鋼管における肉厚対外径の比に基づいて、前記斜角探触子から鋼管内に入射される超音波の探傷屈折角を設定し、
    前記超音波の伝搬方向における速度特性と前記設定した探傷屈折角に基づいて、前記斜角探触子における超音波の前記鋼管に対する入射角を設定し、
    前記設定された入射角と探傷屈折角との関係から求められた振動子の縮小率に基づいて、前記斜角探触子における振動子の幅を決定する
    ことを特徴とする鋼管の超音波探傷方法。
  2. 前記鋼管の音響異方性における前記超音波の伝搬方向に対応する方向の速度特性と前記探傷屈折角に基づいて、前記斜角探触子における超音波の前記鋼管に対する入射角を求めることを特徴とする請求項1に記載の鋼管の超音波探傷方法。
  3. 帯状の鋼板を筒状に曲げ形成して製造された鋼管の軸方向に存在する溶接部における径方向と軸方向とを含む面内に存在する面状欠陥を、前記鋼管の外周面に取付けられた斜角探触子を用いて超音波探傷する鋼管の超音波探傷装置において、
    前記斜角探触子から鋼管内に入射された超音波が前記面状欠陥に対して垂直に入射するように、前記鋼管における肉厚対外径の比に基づいて、前記斜角探触子から鋼管内に入射される超音波の探傷屈折角を算出する探傷屈折角算出手段と、前記超音波の伝搬方向における速度特性と前記算出した探傷屈折角に基づいて、前記斜角探触子における超音波の前記鋼管に対する入射角を算出する入射角算出手段と、
    前記算出された入射角と探傷屈折角との関係から求められた振動子の縮小率に基づいて、前記斜角探触子における振動子の幅を算出する振動子幅算出手段と
    を備えたことを特徴とする鋼管の超音波探傷装置。
  4. 前記入射角算出手段は、前記鋼管の音響異方性における前記超音波の伝搬方向に対応する方向の速度特性と前記探傷屈折角に基づいて、前記斜角探触子における超音波の前記鋼管に対する入射角を算出することを特徴とする請求項3に記載の鋼管の超音波探傷装置。
  5. 所定のパルス幅内で周波数が掃引されるチャープパルス信号を一定周期で前記斜角探触子に印加する探触子駆動手段と、
    前記斜角探触子から出力されたエコー信号をA/D変換するA/D変換器と、このA/D変換されたエコー信号に対して、前記チャープパルス信号を用いて相関演算を行い、演算結果を新たなエコー信号として出力するデジタルフィルタと
    を備えたことを特徴とする請求項3又は4に記載の鋼管の超音波探傷装置。
  6. 帯状の鋼板を筒状に曲げて形成して、その後、鋼板の側面どうしを溶接することによって鋼管を製造する第1の工程と、
    請求項1又は2に記載の鋼管の超音波探傷方法によって、前記第1の工程で製造された鋼管を探傷する第2の工程と
    を有することを特徴とする鋼管の製造方法。
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