JP3707255B2 - 電子写真用感光体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真用感光体に係り、詳しくは有機系の光導電性物質を含有する感光層を有する、非常に高感度で高性能の電子写真用感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真用感光体の感光層には、セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛等の無機系の光導電性物質が広く用いられていた。しかしながら、セレン、硫化カドミウムは使用後回収する必要があり、また、セレンは耐熱性に劣り、硫化カドミウム、酸化亜鉛は耐湿性に劣り、酸化亜鉛は耐刷性がないなど、いずれも欠点を有することから、新規な感光材料の開発が行われている。そして、近年、有機系の光導電性物質を電子写真用感光体の感光層に用いる研究が進み、一部が実用化されている。
【0003】
有機系の光導電性物質は、無機系のものに比し、軽量である、成膜が容易である、感光体の製造が容易である、種類によっては透明な感光体を製造できる、材料が無公害である等の利点を有する。
【0004】
最近では、電荷キャリヤーの発生機能と電荷移動の機能とを別々の化合物に分担させる、所謂機能分離型の感光体が、高感度化に有効であることから、開発の主流となっており、この機能分離型の有機系感光体の実用化も行なわれている。
【0005】
この機能分離型の有機感光体において、電荷キャリヤー輸送媒体としては、ポリビニルカルバゾールなどの高分子光導電性化合物を用いる場合と、低分子光導電性化合物をバインダーポリマー中に分散溶解して用いる場合とがある。
【0006】
これらのうち、特に、有機系の低分子光導電性化合物を用いる場合には、バインダーとして皮膜性、可撓性、接着性等に優れたポリマーを選択することで、容易に機械的特性に優れた感光体を得ることができるという利点がある(例えば、特開昭63−269160号公報、特公平3−39306号公報、特公平4−53308号公報等)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、低分子光導電性化合物を用いたより高感度な電子写真用感光体が望まれている。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、低分子光導電性化合物を電荷輸送剤として用いた電子写真用感光体であって、高感度、低残留電位で、繰り返し使用による残留電位の上昇の問題もない電子写真用感光体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子写真用感光体は、導電性基体上に感光層が形成された電子写真用感光体において、前記感光層中に下記一般式(1)で表されるエナミン系化合物を含有することを特徴とする。
【0010】
【化3】
Figure 0003707255
【0011】
(一般式(1)中、R,R,R及びRは、それぞれ、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアラルキル基、置換基を有しても良いアリール基、置換基を有しても良いシクロアルキル基、置換基を有しても良い複素環基、又は、置換基を有しても良い縮合多環基を表し、これらは互いに同一でも異なっていても良く;
Ar,Ar,Ar及びArは、それぞれ、水素原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアラルキル基、置換基を有しても良いアリール基、置換基を有しても良い複素環基、または、置換基を有しても良い縮合多環基を表し、これらは互いに同一でも異なっていても良く;
Xは、−CR11=CR12−Y−CR13=CR14
であり、R 11,R12,R13及びR14は、それぞれ、水素原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアラルキル基、置換基を有しても良いアリール基、置換基を有しても良い複素環基、又は、置換基を有しても良い縮合多環基を表し、これらは互いに同一でも異なっていても良く、Yは、置換基を有しても良い二価のアルキレン基、置換基を有しても良い二価のアリーレン基、置換基を有しても良い二価の複素環基又は置換基を有しても良い二価の縮合多環基を表す。)
上記一般式(1)で表されるエナミン系化合物は、有機光導電性化合物として極めて優れた性能を示し、特に電荷輸送剤として用いた場合、高感度で耐久性に優れた電子写真用感光体を得ることができる。
【0012】
本発明の電子写真用感光体は、具体的には次のような構成とされる。
▲1▼ 感光層は電荷発生剤と電荷輸送剤とを含有し、該電荷輸送剤として前記一般式(1)で表されるエナミン系化合物を含有する。
▲2▼ 感光層は電荷輸送剤を含む電荷輸送層と、電荷発生剤とバインダー樹脂を含む電荷発生層とを有し、該電荷輸送層中の電荷輸送剤として前記一般式(1)で表されるエナミン系化合物を含有する。この場合において、電荷輸送層は、電荷輸送剤とバインダー樹脂とを含むことが好ましい。
【0013】
また、本発明において、電荷発生剤としては、一般式(A)で表されるカップラー成分を分子内に有するアゾ顔料、或いはフタロシアニン系化合物が好ましい。
【0014】
【化4】
Figure 0003707255
【0015】
(一般式(A)中、Bは窒素を含む二価の複素環基、又は、二価の芳香族炭化水素基を表し、これらは置換基を有していても良い。)
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0017】
まず、本発明の電子写真用感光体の感光層中に含有される前記一般式(1)で表されるエナミン系化合物について説明する。
【0018】
前記一般式(1)において、R1,R2,R3及びR4はそれぞれ、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等のアルキル基;ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;チエニル基、フリル基、ピリジル基等の複素環基;ピレニル基、アントラセニル基、フルオレニル基等の縮合多環基を表し、これらのうち特に、アリール基、縮合多環基が好ましい。これらは、互いに同一でも異なっていても良く、またこれらは置換基を有しても良い。置換基としては、水酸基;塩素原子、臭素原子、沃素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基;アリル基;アリルオキシ基;ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基;フェノキシ基、トリロキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等アラルキルオキシ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;チエニル基、フリル基等の複素環基;スチリル基、ナフチルビニル基等のアリールビニル基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基等のジアリールアミノ基;ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基等のジアラルキルアミノ基;ジチエニルアミノ基、ジフリルアミノ基等のジ複素環アミノ基;ジアリルアミノ基;上記のアミノ基を組み合わせたジ置換アミノ基;ニトロ基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基等が挙げられる。
【0019】
Ar1、Ar2,Ar3及びAr4は、それぞれ、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等のアルキル基;ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;チエニル基、フリル基、ピリジル基等の複素環基;ピレニル基、アントラセニル基、フルオレニル基等の縮合多環基を表し、これらのうち特に、水素原子、アルキル基、アリール基が好ましい。これらは、互いに同一でも異なっていても良く、また、これらは、置換基を有しても良い。置換基としては、R1等の置換基として例示した上述のものが挙げられる。
【0020】
Xは、−CR11=CR12−Y−CR13=CR14
であり、R 11,R12,R13及びR14は、それぞれ、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等のアルキル基;ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;チエニル基、フリル基、ピリジル基等の複素環基;ピレニル基、アントラセニル基、フルオレニル基等の縮合多環基を表し、これらのうち特に、水素原子、アルキル基、アリール基が好ましい。これらは、互いに同一でも異なっていても良く、これらは置換基を有しても良い。置換基としては、R等の置換基として例示した上述のものが挙げられる。
【0021】
Yは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の二価のアルキレン基;フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基等の二価のアリーレン基;チエニレン基、フリレン基、ピリジレン基等の二価の複素環基;アントラセニレン基、ピレニレン基、フルオレニレン基等の二価の縮合多環基を表し、これらのうち特に、アリーレン基、縮合多環基が好ましい。これらは、互いに同一でも異なっていても良く、これらは置換基を有しても良い。置換基としては、R1等の置換基として例示した上述のものが挙げられる。
【0022】
以下に一般式(1)で表されるエナミン系化合物の代表的な具体例を挙げるが、以下に示す化合物は本発明に係るエナミン系化合物の一例であって、何ら本発明を限定するものではない。
【0025】
【化7】
Figure 0003707255
【0026】
【化8】
Figure 0003707255
【0027】
【化9】
Figure 0003707255
【0028】
前記一般式(1)で表されるエナミン系化合物は、公知の方法を用いて製造することができる。例えば、公知のエナミン系化合物をカルボニル化してカルボニル化合物とした後、還元的に縮合するか、ホスホン酸ジエステル又はWittig試薬との縮合反応を行い目的の化合物を得る方法で製造することができる。
【0029】
この製造方法を以下に説明する。なお、以下の一般式(2)、(3)、(4)、(5A)、(5B)、(6A)、(6B)において、R〜R 、Ar,Ar、X等は、一般式(1)におけると同意義であり、R は一般式(1)におけるR 11 〜R 14 と同意義である。
【0030】
[カルボニル化]
(1) 11=水素原子の場合は、下記のように一般式(2)で表されるエナミン系化合物を、オキシ塩化リンの存在下に、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド等のホルミル化剤と反応させることにより、一般式(3)で示されるアルデヒド体を得る。
【0031】
【化10】
Figure 0003707255
【0032】
この場合、ホルミル化剤を大過剰に用いて反応溶媒を兼ねることもできるが、o−ジクロロベンゼン、ベンゼン等の反応に不活性な溶媒を用いることもできる。
【0033】
(2) 11≠水素原子の場合は、下記のように一般式(2)で表されるエナミン系化合物を、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化亜鉛等のルイス酸の存在下、ニトロベンゼン、ジクロロメタン、四塩化炭素等の溶媒中、一般式Cl−CO−Rで表される酸塩化物と反応させることにより、一般式(4)で表されるケトン体を得る。
【0034】
【化11】
Figure 0003707255
【0040】
[縮合反応]
ittig反応の場合は、上記のように一般式(4)で表されるカルボニル化合物を、下記一般式(5A)、(5B)、(6A)又は(6B)(これらの一般式においてR15、R16、R17及びR18はアルキル基を表し、Zはハロゲン原子を表す。)で表されるホスホン酸ジエステル又はWittig試薬と、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒中で、ポタシウムアルコキシド、水素化ナトリウム、ソディウムアルコキシド等の塩基の存在下に反応させることにより、一般式(1)(X:−CR11=CR12−Y−CR13=CR14−)で表されるエナミン系化合物を得ることができる。
【0041】
【化13】
Figure 0003707255
【0042】
この反応において、1種類のカルボニル化合物を用いれば対称体のエナミン系化合物が、2種類以上のカルボニル化合物を用いれば非対称のエナミン系化合物を得ることができる。
【0043】
また、この時、二重結合部において、シス体、トランス体及びシス体とトランス体の混合物のいずれかが得られる(一般式(1)では、二重結合部において、シス体、トランス体、又はシス体とトランス体の混合物のいずれかを表す。)。
【0044】
上記反応において、場合によっては、各工程終了後、或いは全工程終了後に、再結晶精製、カラム精製等の公知の方法により精製を行っても良く、これにより高純度体を得ることが可能である。
【0045】
本発明の電子写真用感光体は、このようなエナミン系化合物の1種又は2種以上を含有する感光層を有するものである。
【0046】
一般に、電子写真用感光体の感光層(光伝導層)の形態としては、電荷発生層、電荷輸送層をこの順で或いは逆に積層した積層型、或いは電荷輸送剤(電荷輸送媒体)中に電荷発生剤(電荷発生物質)の粒子を分散した所謂分散型など種々の形態のものが知られているが、本発明の電子写真用感光体の感光層はそのいずれの形態であっても良い。
【0047】
積層型感光層としては、例えば、電荷輸送剤としてのエナミン系化合物とバインダーからなる電荷輸送層と、光を吸収すると極めて高い効率で電荷キャリヤーを発生する電荷発生剤、或いはこの電荷発生剤とバインダーからなる電荷発生層とを積層した感光層が挙げられる。
【0048】
このような積層型感光体は、一般に、導電性支持体上に電荷発生剤を直接蒸着することにより又はバインダーとの分散液として塗布することにより電荷発生層を形成し、その上に、エナミン系化合物を含む有機溶剤溶液をキャストするか、或いはエナミン系化合物をバインダー、他の低分子化合物等とともに溶解ないし分散させて塗布液を調製して塗布するなどして、このエナミン系化合物を電荷輸送剤として含有する電荷輸送層を形成することにより製造することができる。なお、前述の如く、この積層型感光体において、電荷発生層と電荷輸送層の積層順序は逆であっても良い。
【0049】
また、単層型感光層としては、例えば、エナミン系化合物と、必要に応じて増感剤となる色素や電子吸引性化合物を添加した感光層や、電荷発生剤とエナミン系化合物を適当なバインダー中に分散させた感光層等が挙げられる。
【0050】
このような単層型感光体は、電荷発生剤と電荷輸送剤としてのエナミン系化合物とをバインダー中に分散ないし溶解させた塗布液を導電性支持体上に塗布することにより製造することができる。
【0051】
本発明においては、エナミン系化合物を、電荷発生層と電荷輸送層(電荷移動層)との2層からなる積層型感光層の電荷輸送層中に用いる場合に、特に感度が高く、残留電位が小さく、かつ繰り返し使用した場合に表面電位の変動や感度の低下、残留電位の蓄積等が少なく、耐久性に優れた感光体を得ることができ、好ましい。
【0052】
本発明に係るエナミン系化合物と共に用いる電荷発生剤としては、セレン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、硫化カドミウム、アモルファスシリコン等の無機光導電性粒子;無金属フタロシアニン、金属含有フタロシアニン、ペリノン系顔料、チオインジゴ、キナクリドン、ペリレン系顔料、アントラキノン系顔料、アゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料、テトラキス系アゾ顔料、シアニン系顔料等の有機光導電性粒子が挙げられる。また、多環キノン、ピリリウム塩、チオピリリウム塩、インジゴ、アントアントロン、ピラントロン等の各種有機顔料や染料も使用できる。これらのうち、特に無金属フタロシアニン、或いは、銅,塩化インジウム,塩化ガリウム,錫,オキシチタニウム,亜鉛,バナジウム等の金属又はその酸化物,塩化物の配位したフタロシアニン類、モノアゾ,ビスアゾ,トリスアゾ,ポリアゾ類等のアゾ顔料が好ましい。
【0053】
特に、下記▲1▼〜▲3▼の金属含有フタロシアニン、又は下記一般式(A)で表されるカップラー成分を分子内に有するアゾ顔料とエナミン系化合物とを組合せると、レーザー光に対する感度が向上し、残留電位の小さい優れた感光体を得ることができる。
【0054】
▲1▼ X線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.2°)9.7°,14.2°,27.3°に回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン
▲2▼ X線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.2°)9.3°,13.2°,26.2°,27.1°に回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン
▲3▼ X線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.3゜)9.2°,14.1°,15.3°,19.7°,27.1°にピークを有するジヒドロキシシリコンフタロシアニン
【0055】
【化14】
Figure 0003707255
【0056】
以下に、本発明の電子写真用感光体の構成について詳細に説明する。
【0057】
本発明において、感光層が形成される導電性支持体としては周知の電子写真用感光体に採用されているものがいずれも使用できる。具体的には、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料からなるドラム、シート又はこれらの金属箔のラミネート物、蒸着物、或いは表面にアルミニウム、銅、パラジウム、酸化すず、酸化インジウム等の導電性層を設けたポリエステルフィルム、紙等の絶縁性支持体が挙げられる。更に、金属粉末、カーボンブラック、ヨウ化銅、高分子電解質等の導電性物質を適当なバインダーと共に塗布して導電処理したプラスチックフィルム、プラスチックドラム、紙、紙管等が挙げられる。また、金属粉末、カーボンブラック、炭素繊維等の導電性物質を配合することで導電性を付与したプラスチックのシートやドラム、更には酸化スズ、酸化インジウム等の導電性金属酸化物で導電処理したプラスチックフィルムやベルトが挙げられる。
【0058】
これらのうち、特に好ましい支持体はアルミニウム等の金属のエンドレスパイプである。
【0059】
単層型の電子写真用感光体は、本発明に係るエナミン系化合物を適当な溶剤中に溶解し、必要に応じ、適当な電荷発生剤、増感染料、エナミン系化合物と電荷移動錯体を形成する電子吸引性化合物、他の電荷輸送剤、或いは、成膜性、可撓性、機械的強度等を改良するための公知の可塑剤、架橋剤、残留電位を抑制するための添加剤、分散安定性向上のための分散補助剤、塗布性を改善するためのレベリング剤、流動性付与剤、界面活性剤、例えばシリコーンオイル、フッ素系オイル、顔料、その他の周知の添加剤を添加して得られる塗布液を、上記の導電性支持体上に塗布、乾燥し、通常、数μm〜数十μm、好ましくは10〜40μm、特に好ましくは25μm以上の膜厚の感光層を形成することにより製造することができる。
【0060】
なお、単層の感光層に電荷発生剤の粒子を分散させた分散型感光層の場合の電荷発生剤の粒子径は充分小さいことが必要であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下とされる。また、感光層内に分散される電荷発生剤の量は例えば0.5〜50重量%の範囲であるが、この含有量が少なすぎると充分な感度が得られず、多すぎると帯電性の低下、感度の低下などの弊害がある。電荷発生剤のより好ましい含有量は1〜20重量%であり、分散型感光層の膜厚は通常5〜50μm、好ましくは10〜45μmとされる。
【0061】
ここで、マトリックスとして使用されるバインダー樹脂としては、エナミン系化合物との相溶性が良く、塗膜形成後に相分離することのないポリマーが好ましく、例えば、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ブタジエン等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリイミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロースエステル、セルロースエーテル、フェノキシ樹脂、けい素樹脂、エポキシ樹脂等の各種ポリマーが挙げられ、また、これらの部分的架橋硬化物も使用できる。バインダーの使用量は通常エナミン系化合物に対し、0.5〜30重量倍、好ましくは0.7〜10重量倍の範囲である。
【0062】
電荷発生層と電荷輸送層との2層からなる積層型の電子写真用感光体の場合は、電荷発生層の上に上記単層感光層形成用の塗布液を塗布するか、或いはこの塗布液を塗布して得られる電荷輸送層の上に電荷発生層を形成させることにより、製造することができる。なお、この場合、電荷輸送層を形成するためのエナミン系化合物含有塗布液は、前記組成のものでも良いが、光導電性粒子、染料色素、電子吸引性化合物等は除くか、少量の添加で良い。
【0063】
この場合の電荷発生層としては上記光導電性粒子と必要に応じバインダーや他の有機光導電性物質、染料色素、電子吸引性化合物等の溶媒に溶解ないし分散させて得られる塗布液を塗布乾燥した薄層、或いは前記光導電性粒子を蒸着等の手段により成膜した層が挙げられる。積層型感光層の場合の電荷輸送層には、必要に応じて酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤並びに他の電荷輸送剤を含んでいても良い。電荷輸送層の膜厚は通常10〜60μm、好ましくは10〜45μm、更に好ましくは25〜40μmである。
【0064】
一方、電荷発生層は、前記電荷発生剤と必要に応じバインダーや他の有機光導電性物質、染料色素、電子吸引性化合物等を溶媒に溶解ないし分散させて得られる塗布液を塗布乾燥することにより、或いは前記電荷発生剤を蒸着等の手段により直接成膜することにより形成することができる。
【0065】
積層型感光層における電荷発生層を塗布法により形成する場合は、電荷発生剤の微粒子を、例えばポリエステル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテルなどの各種バインダー樹脂で結着した形の分散層として形成しても良い。更に、バインダー樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリアミド、けい素樹脂等も用いることができる。
【0066】
この場合の電荷発生剤の使用比率は、バインダー樹脂100重量部に対して通常20〜2000重量部、好ましくは30〜500重量部、より好ましくは33〜500重量部の範囲とされ、電荷発生層の膜厚は通常0.05〜5μm、好ましくは0.1〜2μm、より好ましくは0.15〜0.8μmが好適である。
【0067】
また、電荷発生層は必要に応じて塗布性を改善するためのレベリング剤や酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤を含んでいても良い。
【0068】
前述の如く、電荷発生層は上記電荷発生剤の蒸着膜であっても良い。
【0069】
このような積層型電子写真用感光体の場合、通常は、電荷発生層の上に電荷移動層を形成するが、電荷移動層の上に電荷発生層を形成しても良い。
【0070】
本発明の電子写真用感光体の感光層において、成膜性、可撓性、機械的強度を向上させるために前記塗布液中に添加する可塑剤としては、フタル酸エステル、りん酸エステル、エポキシ化合物、塩素化パラフィン、塩素化脂肪酸エステル、メチルナフタレンなどの芳香族化合物などが挙げられる。
【0071】
また、場合により添加される染料色素としては、例えばメチルバイオレッド、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレット等のトリフェニルメタン染料、メチレンブルー等のチアジン染料、キニザリン等のキノン染料及びシアニン染料やピリリウム塩、チアピリリウム塩、ベンゾピリリウム塩等が挙げられる。
【0072】
また、エナミン系化合物と電荷移動錯体を形成する電子吸引性化合物としては、例えばクロラニル、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン、1−ニトロアントラキノン、1−クロロ−5−ニトロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、フェナントレンキノン等のキノン類;4−ニトロベンズアルデヒド等のアルデヒド類;9−ベンゾイルアントラセン、インダンジオン、3,5−ジニトロベンゾフェノン、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、3,3′,5,5′−テトラニトロベンゾフェノン等のケトン類;無水フタル酸、4−クロロナフタル酸無水物等の酸無水物;テトラシアノエチレン、テレフタラルマロノニトリル、9−アントリルメチリデンマロノニトリル、4−ニトロベンザルマロノニトリル、4−(p−ニトロベンゾイルオキシ)ベンザルマロノニトリル等のシアノ化合物;3−ベンザルフタリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)フタリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等のフタリド類等の電子吸引性化合物が挙げられる。
【0073】
塗布液調製用の溶剤としてはテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;酢酸エチル、蟻酸メチル、メチルセロソルブアセテート等のエステル類;ジクロロエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素などのエナミン系化合物及びバインダーを溶解させる溶剤が挙げられる。
【0074】
本発明において、感光層には、エナミン系化合物と共に、有機光伝導体として優れた性能を有する公知の他のアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物を混合しても良い。
【0075】
また、本発明の電子写真用感光体の感光層は、電気特性或いは繰り返し使用における耐久性を向上させるために、他の周知の添加剤を含有していても良い。そのために、上記塗布液中に添加する添加剤としては、フェノール系化合物、アミン系化合物、有機リン系化合物、有機イオウ系化合物等が挙げられる。フェノール系化合物、アミン系化合物、有機リン系化合物、有機イオウ系化合物の具体例としては、次のようなものが挙げられる。
【0076】
[フェノール系化合物]
ジブチルヒドロキシトルエン、2,2′−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4′―ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4′−チオビス(6−t−ブチルー3−メチルフェノール)、2,2′−ブチリデンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、α−トコフェロール、β−トコフェロール、2,2,4−トリメチルー6―ヒドロキシ−7−t−ブチルクロマン、ペンタエリスチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2′−チオエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシアニソール、1−[2−{(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−4−[3−(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−4−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等。
【0077】
[アミン系化合物]
N−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジメチル−N,N′−ジ−ブチル−p−フェニレンジアミン、トリベンジルアミン等。
【0078】
[有機リン系化合物]
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等。
【0079】
[有機イオウ系化合物]
ジラウリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3′−チオジプロピオネート等。
【0080】
感光層の塗布方法としては、スプレー塗布法、スパイラル塗布法、リング塗布法、浸漬塗布法等がある。
【0081】
スプレー塗布法としては、エアスプレー、エアレススプレー、静電エアスプレー、静電エアレススプレー、回転霧化式静電スプレー、ホットスプレー、ホットエアレススプレー等があるが、均一な膜厚を得るための微粒化度、付着効率等を考えると回転霧化式静電スプレーにおいて、再公表平1−805198号公報に開示されている搬送方法、即ち円筒状ワークを回転させながらその軸方向に間隔を開けることなく連続して搬送することにより、総合的に高い付着効率で膜厚の均一性に優れた電子写真用感光体を得ることができる。
【0082】
スパイラル塗布法としては、特開昭52−119651号公報に開示されている注液塗布機又はカーテン塗布機を用いた方法、特開平1−231966号公報に開示されている微小開口部から塗料を筋状に連続して飛翔させる方法、特開平3−193161号公報に開示されているマルチノズル体を用いた方法等がある。
【0083】
浸漬塗布法による場合には、まず、本発明に係るエナミン系化合物、バインダー、溶剤等を用いて全固形分濃度が好ましくは25〜40重量%で、粘度が通常50〜300センチポアーズ、好ましくは100〜200センチポアーズの電荷輸送層形成用の塗布液を調製する。ここで実質的に塗布液の粘度はバインダーの種類及びその分子量により決まるが、過度に分子量が低い場合にはバインダー自体の機械的強度が低下するため、これを損わない程度の分子量を持つバインダーを使用することが好ましい。そして、調製された塗布液を用いて浸漬塗布法により電荷輸送層を形成し、その後塗膜を乾燥させる。
【0084】
本発明において、塗布液の塗布後の乾燥は、塗膜を十分に乾燥できるように乾燥温度時間を調整して行う。乾燥温度は通常100〜250℃、好ましくは110〜170℃、さらに好ましくは120〜140℃の範囲である。乾燥方法としては、熱風乾燥機、蒸気乾燥機、赤外線乾燥機及び遠赤外線乾燥機等を用いることができる。
【0085】
このようにして導電性支持体上に感光層を形成してなる本発明の電子写真用感光体にはまた、必要に応じ、バリアー層、接着層、ブロッキング層等の中間層、透明絶縁層、或いは保護層など、電気特性、機械特性の改良のための層が形成されていても良いことはいうまでもない。ここで、バリアー層、中間層としては、例えばアルミニウム陽極酸化被膜、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等の無機層、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等の有機層が使用される。更に、最表面層として従来公知の例えば熱可塑性或いは熱硬化性ポリマーを主体とするオーバーコート層を設けても良い。各層の成形方法としては、層に含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を順次塗布するなどの公知の方法が適用できる。
【0086】
【実施例】
以下に製造例及び実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0087】
製造例1
本発明に係るエナミン系化合物の製造を行った。
【0088】
[カルボニル化]
下記構造式で表されるエナミン系化合物3.1gのN,N−ジメチルホルムアミド(21ml)溶液に、室温攪拌下、オキシ塩化リン(1.6ml)を加え、その後、同温度にて1時間30分攪拌した。その後、反応液を蒸留水(50ml)に注加し、常法により抽出、濃縮処理を行い、黄色結晶4.1g(融点:170〜172℃)を得た。
【0089】
【化15】
Figure 0003707255
【0090】
得られた化合物は、質量分析測定及び1H核磁気共鳴スペクトル測定により、下記構造式のカルボニル化合物であることが判明した。
【0091】
【化16】
Figure 0003707255
【0092】
Figure 0003707255
[縮合反応]
上記カルボニル化で合成したカルボニル化合物5.0gと下記構造式のWittig試薬2.9gのテトラヒドロフラン(50ml)溶液に、室温(25℃)攪拌下、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(28重量%)3.9gを加え、同温度にて、50時間攪拌した。その後、更に、Wittig試薬1.6g、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(28重量%)2.0gを加え、室温で13時間攪拌した。その後、常法により反応処理、精製処理を行い、橙色結晶0.8g(融点:165〜175℃)を得た。
【0093】
【化17】
Figure 0003707255
【0094】
この化合物は、質量分析測定及び赤外吸収スペクトル測定により、下記構造式の本発明のエナミン系化合物であることが判明した。
【0095】
【化18】
Figure 0003707255
【0096】
Figure 0003707255
(赤外吸収スペクトル測定結果) 図1に示す。
【0097】
実施例1
製造例1で製造したエナミン系化合物を電荷輸送剤として用い、電子写真用感光体を製造した。
【0098】
下記構造式で表されるナフタル酸系ビスアゾ顔料1.0重量部をジメトキシエタン14重量部に加え、サンドグラインダーで分散処理をした後、ジメトキシエタン14重量部と4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン(三菱化学(株)社製)14重量部を加えて希釈した。これに、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)社製)、商品名「デンカブチラール」#6000−C)0.5重量部と、フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド(株)社製、商品名「UCAR」(商標登録)PKHH)0.5重量部を、ジメトキシエタンが6重量部、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンが6重量部の混合溶液に溶解した液を混合して分散液を得た。この分散液を75μmの膜厚のポリエステルフィルムに蒸着されたアルミ蒸着層の上に乾燥後の重量が0.4g/m2になるようにワイヤーバーで塗布した後、乾燥して電荷発生層を形成した。
【0099】
【化19】
Figure 0003707255
【0100】
この電荷発生層の上に製造例1で製造したエナミン系化合物110重量部と下記構造式で示されるポリカーボネート樹脂100重量部をテトラヒドロフラン900重量部の混合溶液に溶解した塗布液を塗布、乾燥し、膜厚29μmの電荷輸送層を形成した。
【0101】
【化20】
Figure 0003707255
【0102】
このようにして得た二層からなる感光層を有する電子写真感光体に対して、感度(半減露光量)を測定したところ1.558lux・secであった。なお、半減露光量は、まず、感光体を暗所で−700Vに帯電させ、次いで2ルックスの白色光で露光し、表面電位が−550Vから−275Vまで減衰するのに要する露光量を測定することにより求めた。また、露光時間を10秒とした時の表面電位を残留電位として測定したところ、−16Vであった。
【0103】
実施例2
実施例1において、ナフタル酸ビスアゾ顔料の代わりに、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.3°,13.2°,26.2°,27.1°に主たる回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン顔料を用いたこと以外は同様にして電荷発生層を形成した。その後、この電荷発生層の上に製造例1で製造したエナミン系化合物70重量部と下記構造式で示されるポリカーボネート樹脂100重量部をテトラヒドロフラン900重量部の混合溶液に溶解した塗布液を塗布、乾燥し、膜厚21μmの電荷輸送層を形成した。
【0104】
【化21】
Figure 0003707255
【0105】
このようにして得た二層からなる感光層を有する電子写真用感光体を780nmの光(光量500nW)で露光して半減露光量を測定したところ、0.451μJ/cm2であった。また、実施例1と同様にして求めた残留電位は−16Vであった。
【0106】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の電子写真用感光体は感度が非常に高く、かつ、かぶりの原因となる残留電位が小さく、特に光り疲労が少ないために繰り返し使用や強露光による残留電位の蓄積や、表面電位及び感度の変動が小さく、耐久性に優れており、PPC用に適しているだけでなく、性能の安定性、信頼性が特に要求されるレーザープリンタ、液晶シャッタープリンタ、LEDプリンタ等のプリンタ用感光体にも適した高性能電子写真用感光体である。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造例1で製造された本発明に係るエナミン系化合物の赤外吸収スペクトル図である。

Claims (6)

  1. 導電性基体上に感光層が形成された電子写真用感光体において、前記感光層中に下記一般式(1)で表されるエナミン系化合物を含有することを特徴とする電子写真用感光体。
    Figure 0003707255
    (一般式(1)中、R,R,R及びRは、それぞれ、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアラルキル基、置換基を有しても良いアリール基、置換基を有しても良いシクロアルキル基、置換基を有しても良い複素環基、又は、置換基を有しても良い縮合多環基を表し、これらは互いに同一でも異なっていても良く;
    Ar,Ar,Ar及びArは、それぞれ、水素原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアラルキル基、置換基を有しても良いアリール基、置換基を有しても良い複素環基、または、置換基を有しても良い縮合多環基を表し、これらは互いに同一でも異なっていても良く;
    Xは、−CR11=CR12−Y−CR13=CR14
    であり、R 11,R12,R13及びR14は、それぞれ、水素原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアラルキル基、置換基を有しても良いアリール基、置換基を有しても良い複素環基、又は、置換基を有しても良い縮合多環基を表し、これらは互いに同一でも異なっていても良く、Yは、置換基を有しても良い二価のアルキレン基、置換基を有しても良い二価のアリーレン基、置換基を有しても良い二価の複素環基又は置換基を有しても良い二価の縮合多環基を表す。)
  2. 前記感光層は電荷発生剤と電荷輸送剤とを含有し、該電荷輸送剤として前記一般式(1)で表されるエナミン系化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真用感光体。
  3. 前記感光層は、電荷輸送剤を含む電荷輸送層と電荷発生剤とバインダー樹脂を含む電荷発生層とを有し、該電荷輸送層中の電荷輸送剤として前記一般式(1)で表されるエナミン系化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真用感光体。
  4. 前記電荷輸送層が、電荷輸送剤とバインダー樹脂とを含むことを特徴とする請求項3に記載の電子写真用感光体。
  5. 前記感光層中に電荷発生剤として、一般式(A)で表されるカップラー成分を分子内に有するアゾ顔料を含有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子用写真感光体。
    Figure 0003707255
    (一般式(A)中、Bは窒素を含む二価の複素環基、又は、二価の芳香族炭化水素基を表し、これらは置換基を有していても良い。)
  6. 前記感光層中に電荷発生剤として、フタロシアニン系化合物を含有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電子写真用感光体。
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