JP3704829B2 - 携帯用小型電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、現在の脈拍と生理的に快適な標準温度における脈拍との偏差を表示することができる携帯用小型電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、被測定者の体調状態および運動能力を非観血的にチェックできる装置として、例えば、実公昭59−133988号公報に示される脈拍計測機能を有する携帯用小型電子機器が知られている。
また、特開昭59−91389号公報、特開平5−22034号公報には、年齢および最大運動強度から、目標脈拍数を求め、これと運動時の脈拍とを比較する装置が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、運動時や日常の活動時において、人体では血液の循環が体温調節に重要な役割を果たしており、例えば、寒冷環境においては体温の放散が進み脈拍数は減少する。すなわち、脈拍数は外部環境温度の影響を受け変動してしまう。このため、体調状態や運動状態が同じであっても、外部環境温度の違いによって脈拍数が異なってくる。また、同様にして体温の違いがあっても、脈拍数は異なってくる。
【0004】
これに対し、従来の脈拍計測装置は、温度あるいは体温の変化にともなう脈拍変動を考慮していないため、単純に現時点の脈拍数を示すだけであり、体温や体調状態を正確には判断できないという問題があった。
また、最適な運動を行うために、最大運動強度から目標脈拍数を示す従来装置においても、環境温度や体温による脈拍数の変動を考慮していないため、適切な目標脈拍数を示すことができないという問題があった。
【0005】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、脈拍数に対する体温や環境温度の影響の度合いを被測定者に知らせることができる携帯用小型電子機器を提供することを目的としている。
また、この発明の他の目標は、運動を行うに際し、体温や環境温度に応じた目標脈拍数を指示することができる携帯用小型電子機器を提供するところにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1記載の携帯用小型電子機器は、脈拍測定手段を内蔵する携帯用小型電子機器において、
温度を測定し温度データを得る温度測定手段と、
測定対象となるユーザの動きを検出する体動検出手段と、
前記体動検出手段の検出結果に基づいて前記ユーザの活動量を測定する活動量測定手段と、
前記活動量測定手段によって測定された活動量と、前記脈拍測定手段によって測定された脈拍データと、前記温度測定手段によって測定された温度データとに基づいて、前記活動量が前記ユーザの体調に及ぼす負担感の大きさを求める体調状態測定手段とを具備したことを特徴としている。
【0007】
請求項2記載の携帯用小型電子機器は、請求項1記載のものにおいて、前記温度測定手段によって測定された温度データに基づいて温度を表示する温度表示手段と、前記脈拍測定手段で測定された脈拍データと前記温度測定手段で測定された温度データとを用いて、前記脈拍データを予め設定された温度での脈拍数に換算し、当該脈拍数に対する前記測定された脈拍データの偏差を算出する偏差算出手段と、前記偏差を告知する偏差告知手段とを具備することを特徴としている。
【0008】
請求項3記載の携帯用小型電子機器は、請求項1記載のものにおいて、前記ユーザの活動量の基準データを記憶した記憶手段を備え、前記体調状態測定手段は、前記基準データを加味して前記活動量が前記ユーザの体調に及ぼす負担感の大きさを求めることを特徴としている。
請求項4記載の携帯用小型電子機器は、請求項1または3記載のものにおいて、前記体調状態測定手段によって求められた、前記活動量が前記ユーザの体調に及ぼす負担感の大きさを該ユーザに指示することを特徴としている。
【0009】
請求項5記載の携帯用小型電子機器は、請求項3または4記載のものにおいて、前記基準データは、最大酸素消費量、基礎代謝時の脈拍あるいは心拍数、負荷度に対する脈拍あるいは心拍数の変化率、身長、体重、歩幅のうち少なくとも一つを含むことを特徴としている。
請求項6記載の携帯用小型電子機器は、請求項3ないし5いずれかに記載のものにおいて、外部機器から供給される情報を基準データとして前記記憶手段に記憶させる手段を具備することを特徴としている。
【0010】
請求項7記載の携帯用小型電子機器は、請求項2記載のものにおいて、
環境温度を測定し温度データを得る環境温度測定手段と、
前記脈拍測定手段で測定された脈拍データと前記環境温度測定手段で測定された温度データとを用いて、前記脈拍データを予め設定された環境温度での脈拍数に換算し、当該脈拍数に対する前記測定された脈拍データの偏差を算出する環境偏差算出手段とを具備し、
前記温度表示手段は、前記環境温度測定手段によって測定された温度データに基づいて環境温度を表示し、前記偏差告知手段は、前記環境偏差算出手段で算出された偏差を告知することを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態による携帯用小型電子機器は、使用者が自らの体調状態を把握できるようにするものであり、特にランニング時の体調状態の把握に適した構成となっている。図1および図2は本発明の一実施形態による携帯用小型電子機器の構成を示すブロック図および外観図であり、図1に示す装置は図2に示される腕時計構造の装置本体1の内部に組み込まれている。
【0012】
図1において、脈波検出部2は使用者の指の付け根における脈波を常時測定するもの、体温検出部3は使用者の橈骨動脈近傍の皮膚の温度(体温)を常時測定するもの、環境温度検出部4は被測定者(使用者)がおかれる環境の温度(以後、環境温度)を常時測定するもの、加速度センサ5は本装置の使用者の体動を捉える体動検出手段の一例であり、それぞれ、測定結果をアナログ信号で出力する。A/D変換器6,7,8,および9は、それぞれ、脈波検出部2、体温検出部3、環境温度検出部4、および加速度センサ5から出力されるアナログ信号を量子化してデジタル信号へ変換してバスへ出力する。なお、CPU10にA/D変換機能がある場合にはこれらのA/D変換器を設ける必要はない。
【0013】
CPU10は本装置内の各回路を制御する中枢部であり、各種演算処理を行うとともに、バスを介してデジタル信号を送受することにより後述する各種機能を実現する。また、ROM11には、CPU10が実行する制御プログラムや制御データ等が格納されている。一時記憶メモリ12はRAMの一種であって、CPU10が演算を行う際の作業領域として使用される。データメモリ13はバッテリーバックアップされたRAM等で構成される不揮発性メモリであって、後述する各種データを格納する。
【0014】
時計回路14は時刻を生成するものであり、この時刻は腕時計による表示やCPU10による処理に使用される。なお、CPU10に時刻を生成する機能があれば、時計回路14を設ける必要はない。また、操作部15には装置本体1に設けられた各種ボタンが設けられており、これらのボタンが押下されたことを検出して当該ボタンの種類を出力する。ブザー16は、市販のデジタル式腕時計に付属したアラーム機構であり、CPU10からの鳴動開始,鳴動停止の指示に基づいてアラーム音を発する。
【0015】
I/Oインターフェイス17は、装置の外部に設けられた機器との間で通信(例えば、光通信)を行うための手段である。このI/Oインターフェイス17を用いることで、例えば、データメモリ13に格納された各種データを外部機器へ転送することができる。18は現在時刻や日付を表示する液晶パネル等の表示部であり、図2に示されるように、腕時計構造を有する装置本体1の上面部に、一般のデジタル腕時計と同様に設けられている。
【0016】
図2に示すように、本装置は、装置本体1,この装置本体1に接続されたケーブル19,このケーブル19の先端側に設けられたセンサユニット20から構成されている。装置本体1には、腕時計の12時方向から使用者の腕に巻き付いて、腕時計の6時方向で固定されるリストバンド21が取り付けられている。この装置本体1は、このリストバンド21によって使用者の腕から着脱自在となっている。なお、図示を略すが、リストバンド21において、装着時に橈骨動脈近傍の皮膚に接触する位置には、体温検出部3の温度センサが設けられている。
【0017】
また、装置本体1表面には皮膚から遠ざかるように立ち上がった台座4aが形成されており、この台座4aの先端部には、環境温度検出部4に接続された温度センサ4bが固着されている。このように温度センサ4bを皮膚から遠ざけるのは、環境温度の測定において皮膚からの熱伝導による影響を除外するためである。したがって、台座4aを熱伝導率の低い素材から形成することが望ましい。また、台座4aを光ファイバ等の形状を柔軟に変化させ得る素材から形成し、皮膚から十分な距離を保ちつつ、運動等の邪魔にならないよう構成してもよい。なお、装置本体1表面における台座4aおよび温度センサ4bの取り付け位置は任意であるが、本実施形態では、より正確な環境温度の測定を実現できるよう、例えば、衣服に覆われ易い位置を避ける等の工夫を施している。
【0018】
また、センサユニット20は、センサ固定用バンド22によって遮光されており、使用者の人指し指の付け根〜第2指関節の間に装着されている。なお、このセンサユニットは20は、装着位置をずらすことが可能であり、例えば、使用者の人指し指の指尖部に装着することも可能である。
センサユニット20は、例えば、赤外線発光ダイオード等の発光素子とフォトトランジスタ等の光センサとからなる光電式脈波センサとして機能するものであり、発光素子から放射された光は、光電式脈波センサが接触する皮膚直下を通る血管内の赤血球のヘモグロビンにより吸収されつつ皮下組織などから反射され、光センサによって受光されて光電変換される。こうして得られた信号は、所定の吸光特性を有するヘモグロビンの量の変化、すなわち血流脈波を表している。なお、信号対雑音(SN)比を考慮すると、発光素子に用いる発光ダイオードとしては青色光のものが好適である。
【0019】
一方、腕時計の6時の方向の表面側には、コネクタ部23が設けられている。このコネクタ部23にはケーブル19の端部に設けられたコネクタピース24が着脱自在に取り付けられており、コネクタピース24をコネクタ部23から外すことにより、本装置を通常の腕時計やストップウオッチとして用いることができる。
【0020】
なお、コネクタ部23を保護する目的から、ケーブル19とセンサユニット20をコネクタ部23から外した状態では所定のコネクタカバーを装着する。このコネクタカバーは、コネクタピース24と同様に構成された部品から電極部などを除いたものが用いられる。
【0021】
次に、図2におけるその他の部品について図3を参照して説明する。図3は、本実施形態における装置本体1の詳細を、ケーブル19やリストバンド21を外した状態で示したものである。ここで、同図において、図2と同一の部品には同一の符号を付してありその説明を省略する。
【0022】
図3において、装置本体1は樹脂製の時計ケース25を具備している。時計ケース25の表面には、現在時刻や日付に加えて、脈拍数などの脈波情報をデジタル表示するための表示部18が設けられている。この表示部18は、表示面の左上側に位置する第1のセグメント表示領域18-1,右上側に位置する第2のセグメント領域18-2,右下側に位置する第3のセグメント領域18-3,左下側に位置するドット表示領域18-Dから構成されている。
【0023】
ここで、第1のセグメント領域18-1には日付,曜日,現在時刻などが表示される。また、第2のセグメント領域18-2には各種の時間測定を実施するにあたって経過時間などが表示される。また、第3のセグメント領域18-3には後述する偏差や、温度、ピッチ等の各種の計測値または目標値などが表示される。さらに、ドット表示領域18-Dには各種の情報をグラフィック表示することが可能であるとともに、ある時点において装置がどのようなモードにあるかを表すモード表示、棒グラフ表示などの様々な表示が可能である。
【0024】
なお、本装置が有するモードとしては、普通の腕時計およびストップウォッチとして使用する「通常使用モード」と、標準の脈拍数に対する現在の脈拍数の偏差を求めて使用者に知らせる「監視モード」と、適正なランニングのピッチを使用者に知らせる「調整モード」と、標準の脈拍数の基準となる基準データを設定するための「設定モード」との4つのモードを有する。これらのモードにおける機能ついては後述する。
【0025】
時計ケース25の外周部と表面部には、各種ボタンスイッチ26〜32が設けられている。腕時計の4時の方向にあるボタンスイッチ27は、装置が有する各種モードの切り換えを指示するためのものであり、このボタンを押す度に、CPU10(図1参照)が各回路を制御して上記各モードを巡回的に切り替える。なお、電源投入時は通常使用モードに初期化される。また、表示部18の上側に位置するボタンスイッチ32は、測定動作の開始/停止の指示を行うために使用される。
【0026】
また、この腕時計の電源として用意されているのは、時計ケース25に内蔵されたボタン形の電池33であって、図2に示すケーブル19は電池33からセンサユニット20に電力を供給し、センサユニット20の検出結果を脈波検出部2に送出する役割を果たしている。また、時計ケース25の内部には、電池33に対して9時の方向に、ブザー16として用いられる偏平な圧電素子34が配置されている。なお、図示を略すが、環境温度検出部4の温度センサは装置本体1上の皮膚に接触しない位置に設けられている。
【0027】
次に、CPU10の機能を設定モードにおける機能と監視モードにおける機能と調整モードにおける機能とに分けて説明する。なお、通常使用モードにおける機能は通常のデジタル腕時計およびストップウォッチにおける機能と同様であるため、その説明を省略する。
【0028】
A.設定モードにおけるCPU10の機能
設定モードにおいて、CPU10は、操作部15の操作によって入力される基準データをデータメモリ13に格納する。ここでいう基準データとは、個人差のあるデータであり、具体的には、使用者の体重、歩幅(あるいは身長)、最大酸素消費量、基底状態(基礎代謝状態)における脈拍数(以後、基底脈拍数)、体調状態が正常な場合の最大酸素消費量に対するエネルギー消費量の割合(活動量:運動強度)に対する脈拍数の変化率(以後、負荷−脈拍変化率)などである。
【0029】
ところで、脈拍数はエネルギー消費量のみならず、環境温度および体温に応じて変動する(なお、人間は恒温動物であるので、その深部体温は基本的に変動しない。しかしながら、特に体表(例えば、橈骨動脈付近)において測定される体温には環境温度に応じた少なからぬ変動があり得るので、ここでは、体温が変動し得るものとして説明する)。例えば、図4に示すように、酸素消費量(エネルギー消費量)が同一であっても環境温度の上昇に伴って心拍数(脈拍数)が高くなる。
また、環境温度あるいは体温が異なると、運動強度に対する脈拍数の変化率も異なることが知られている。
【0030】
したがって、CPU10は、各環境温度毎および各体温毎に基底脈拍数および負荷−脈拍変化率を設定する機能を備えている。なお、本実施形態では、図5(a),図5(b)に示されるように、環境温度については10℃間隔で代表値(例えば、10℃、20℃、30℃)を設定し、体温については1℃間隔で代表値(例えば、35.5℃、36.5℃、37.5℃)を設定し、当該代表値に対して基底脈拍数および負荷−脈拍変化率を設定するようにしている。もちろん、各間隔は適宜設計すべき事項である。
【0031】
上述した基底脈拍数および負荷−脈拍変化率の設定は環境温度と体温とで独立して行うようにしてもよいし、実質的に同一となる環境温度および体温について同時に行うようにしてもよい。また、基準データのモデルとなる複数のモデルデータをデータメモリ13に予め記憶させ、これらのモデルデータから使用者が任意のモデルデータを選択して基準データとするようにしてもよい。
【0032】
また、データメモリ13に、環境温度に対する基底脈拍数および負荷−脈拍変化率の関係を表す情報と、体温に対する基底脈拍数および負荷−脈拍変化率の関係を表す情報とを格納し、ある温度における基底脈拍数および負荷−脈拍変化率が設定された場合には、CPU10が当該情報を利用し、他の温度における基底脈拍数および負荷−脈拍変化率を近似的に求めて、あるいは複数のモデルデータから最適なモデルデータを選択して、基準データとして設定するようにしてもよい。
【0033】
基底脈拍数は、例えば、体温が最も低下した時の測定値とする。この測定は、被測定者(使用者)が深い睡眠状態にある時に行われるのが望ましく、レム睡眠状態における測定は避けるべきである。また、負荷−脈拍変化率は既知の統計データをデータメモリ13に記憶させておくようにしてもよいし、より好適には、使用者に対する負荷試験(図5(a)および図5(b)に示されるグラフを得るための試験)の試験結果を用いるようにしてもよい。
【0034】
ところで、図4に示されるように、環境温度に対する心拍数(脈拍数)の変動の仕方は、酸素消費量(エネルギー消費量)によらずほぼ同じである(それぞれの酸素消費量における曲線の傾向がほぼ同じである)。したがって、測定された環境温度と測定時の脈拍数とが既知であれば、当日の環境標準温度(後述する)に換算した脈拍数(以後、環境標準脈拍数)を求めることができる。
【0035】
また、図5(a)および図5(b)に示されるように、環境温度が一定であれば、エネルギー消費量に対する心拍数(脈拍数)の変化率は一定であるので、当該環境温度における基底脈拍数および負荷−脈拍変化率と測定されたエネルギー消費量および最大酸素消費量とから、当該環境温度において期待される脈拍数(以後、期待脈拍数)を求めることができる。
よって、上記標準脈拍数に対する脈拍数の偏差と、上記期待脈拍数に対する脈拍数の偏差を求めることができる。これらの偏差は、体調状態の指標となり得る。なお、上述したことは、体温についても同様にあてはまる。以後、環境標準温度に対応する体温を標準温度と称す。
【0036】
前述の環境標準温度および標準温度は生理的に快適な環境温度および体温であり、統計的手法によって得られる。本実施形態においては、これらの環境標準温度および標準温度を、一年を一周期として経日変動するよう設定するが、以下、その理由について、図6および図7を参照して説明する。
図6(a)〜(d)は複数の被測定者の直腸温の一日における変動を示すグラフであり、それぞれ、春、夏、秋、冬における測定結果を示している。図6(a)〜(d)から明らかなように、人間の体温は一年を通じて変動している。また、図7は被測定者の直腸温の一日における変動を環境温度別に示すグラフであり、この図から、環境温度に応じて体温が変動することが分かる。したがって、季節の移り変わりに伴った環境温度(気温)の変化に応じて、体温が一年を一周期として経日変動すること、すなわち体温が年内変動を伴うことが明らかである。このように、体温は年内変動を伴うので、生理的に快適な環境温度および体温は当該年内変動に応じて変動することが予測される。これが、環境標準温度および標準温度を、一年を一周期として経日変動するよう設定する理由である。
【0037】
ここで、環境標準温度の設定手順の一例について具体的に説明する。
まず、一日平均の環境温度が最も高くなる日(夏)と最も低くなる日(冬)において環境標準温度(例えば、26℃および22℃)を統計的に特定する。次に、上記両日の中間となる日(両日との間の日数が等しい日、あるいは環境温度が両日の環境温度の平均値となる日)において環境標準温度(例えば、24℃)を統計的に特定する。なお、上記中間となる日は、春と秋とでそれぞれ有り得るが、いずれの日においても標準環境温度は同一となることが予測されるので、いずれか一方の環境標準温度を特定すれば、それを他方の環境標準温度とすることができる。次に、上記各日において対応する標準環境温度となり、かつ、年間の環境温度と同様に推移する曲線の式を求めれば、これを環境標準温度の算出式として使用することができる。
なお、標準温度についても上述した環境標準温度の設定手順と同様な指針で設定することができる。
【0038】
B.監視モードにおけるCPU10の機能
監視モードにおいて、CPU10は、脈波検出部2からA/D変換器6を介して出力されるデジタル信号をパルス信号として捉え、その計数を一定時間だけ行い、1分間あたりの計数値、すなわち脈拍数を求めるとともに、体温検出部3からA/D変換器7を介して出力されるデジタル信号に基づいて体温、環境温度検出部4からA/D変換器8を介して出力されるデジタル信号に基づいて環境温度(例えば、25℃)を求め、表示部18のセグメント領域18-3に表示する。
また、CPU10は、求めた環境温度および体温と測定時の脈拍数とに基づいて、当日の環境標準温度および標準温度に換算した環境標準脈拍数および標準脈拍数を求め、これらの環境標準脈拍数および標準脈拍数に対する測定された脈拍数の各偏差(例えば、15および7)を算出し、表示部18のセグメント領域18-3に表示する。
【0039】
ところで、使用者は、自らの運動強度(エネルギー消費量/最大酸素消費量)を把握し、当該運動に対する負担感(主観的運動強度)を感じているため、表示部18に表示された偏差を視認することにより、自らの体調状態を概ね把握することができる。例えば、実感に一致して偏差が正の方向に大きくなる場合には体調状態が悪いこと、実感に一致して偏差が負の方向に大きくなる場合には体調状態が向上したこと(例えば、運動に慣れてきた場合など)を判断できる。
【0040】
ところで、上記体調状態の把握は、偏差を表示することによって可能となるものである。例えば、偏差を表示するのではなく、単に、測定された脈拍数を特定の環境温度または体温に換算した脈拍数を表示するだけでは、当該特定の環境温度または体温における適正な脈拍数を使用者が知っている必要がある。仮に、当該特定の環境温度または体温における適正な脈拍数を併せて表示するようにしても、使用者自らが両者を見比べなければならない。
これに対して、偏差を表示するようにすれば、使用者は当該偏差のみを読みとり、これを自身の主観的運動強度と照らし合わせるだけでるだけ体調状態を把握することができるので、運動中の使用者であっても容易に自らの体調状態を把握することができる。
【0041】
また、上記偏差に応じて、主観的運動強度を表示部18に表示するようにしてもよい。主観的運動強度としては、「非常にきつい」、「かなりきつい」、「きつい」、「ややきつい」、「楽である」、「かなり楽である」、「非常に楽である」といったグレードが考えられ、上記偏差が正の方向に大であれば「非常にきつい」、負の方向に大であれば「非常に楽である」とグレード分けすることで主観的運動強度を表すことができる。実際の表示は、上記グレードを表す数値を用いて行うのが一般的であると考えられるが、この際、表示される数値は人間の実感に線形に対応していることが望まれる。なお、グレードを表す数値の例としては、「非常にきつい」が19、「かなりきつい」が17、「きつい」が15、「ややきつい」が13、「楽である」が11、「かなり楽である」が9、「非常に楽である」が7、といったものが挙げられるが、統計に基づいて他のグレード分けおよび数値化を採用してもよい。
【0042】
また、CPU10は、加速度センサ5からA/D変換器9を介して出力されるデジタル信号から、使用者の挙動、具体的にはランニング中の使用者の腕の振りの周波数を求め、当該周波数からランニングのピッチを求め、このピッチと、データメモリ13に格納された使用者の基準データ、具体的には使用者の体重および歩幅とから、エネルギー消費量を求め、このエネルギー消費量とデータメモリ13に格納されている最大酸素消費量から運動強度を算出する。
なお、腕の振りの周波数は、通常、ピッチの周波数の1/2となることから、2倍して単位時間あたりの数に換算することにより、単位時間あたりの歩数(ピッチ)が得られる。したがって、このピッチに使用者の体重(質量)を乗算することによりエネルギー消費量が得られるのである。
【0043】
さらに、CPU10は、求めた運動強度、脈拍数、および環境温度または体温と、当該環境温度または体温に対応してデータメモリ13に格納された基底脈拍数および負荷−脈拍変化率とに基づいて、当該環境温度または体温における期待脈拍数を求め、当該期待脈拍数に対する測定された脈拍数の偏差を求める。なお、期待脈拍数を求める場合には、公知の補間手法を用いて、代表値でない温度(例えば、25℃の環境温度)における期待脈拍数を求めるようにしてもよいし、当該温度が含まれる温度幅の代表値をそのまま採用して期待脈拍数を求めるようにしてもよい。
【0044】
これらの偏差は、当該偏差が得られた時点の運動強度に対応付けてデータメモリ13に格納されるとともに、表示部18の所定領域に表示される。また、CPU10は、操作部15の操作に応じて、データメモリ13に格納された偏差および運動強度を読み出し、これらを関連付けて表示部18の所定セグメント領域に表示する機能を有する。
【0045】
さらに、CPU10は、期待脈拍数に対する偏差に応じて、体調状態のグレードを判定する機能を有する。具体的には、予め設定された複数(例えば、5個)の閾値に基づいて数段階(例えば、6段階)にグレード分けする。ROM11には、例えば、図8に示されるようなフェイスチャートの各図形データ(例えば、ビットマップデータ)が上記グレードに対応して格納されており、CPU10は、判定したグレードに対応する図形をROM11から読み出し、偏差と併せて表示部18のセグメント領域18-Dに表示する。
【0046】
C.調整モードにおけるCPU10の機能
調整モードにおいて、CPU10は、監視モードと同様の機能に加えて、求めた偏差が所定の閾値を超過した場合にはランニングのピッチを調整するための情報を使用者に知らせる機能を有する。
【0047】
CPU10は、期待脈拍数に対する偏差を求める際に、加速度センサ5による測定結果からランニングのピッチを求めており、当該偏差が上記所定の閾値を超過した場合には、当該偏差が上記所定の閾値を超過した度合い(差)に対応する割合で当該ピッチより低い(遅い)ピッチを目標ピッチとして設定し、当該目標ピッチでブザー16を鳴動させる。あるいは、当該目標ピッチで表示部18の全領域あるいは所定の領域を点滅させる。
【0048】
以上説明したように、上述した実施形態の携帯用小型電子機器によれば、使用者は、環境温度を考慮した環境標準脈拍数に対する現在の脈拍数の偏差を知ることができる。したがって、使用者は、正確かつ直感的に体調状態を評価することができるとともに、運動能力の変化、向上を評価することができる。また、使用者は、体温の変動を考慮した偏差と、反応が体温よりも遥かに速い環境温度を考慮した偏差との両方を知ることができるので、正常な体調状態からのズレを的確に把握することができるとともに、実感に即した情報を即座に取得することができる。
【0049】
ところで、生体の状態、特に循環器系の状態はストレス等の負荷によって変動するのみならず、一定のリズムによって変動することがわかってきている。この変動周期が一日となる変動を日内変動というが、データメモリ13に使用者の体温や脈拍あるいは心拍数などの日内変動を表す情報を格納し、この情報に基づいて時刻に応じた日内変動による変動量(例えば、「+0.3」等)を表示部18の所定セグメント領域に表示するようにしてもよい。ここで表示される変動量は、脈拍数および体温の不自然な変動(使用者の実感を伴わない変動)が日内変動によるものなのか他の要因(例えば、情動)によるものなのかを使用者が判断する指標となり得る。
【0050】
なお、環境温度および体温に加えて、体温に比較して環境温度の影響をより受けやすい末梢の皮膚温を測定するようにしてもよい。この場合には、図5(a)または図5(b)に相当する、末梢の皮膚温に対応した基底脈拍数および負荷−脈拍変化率に基づいた処理が行われる。
【0051】
さらに、音声合成ICおよび発音手段(例えば、アンプおよびスピーカ)を付加し、当該音声合成ICおよび発音手段を用いて偏差やグレード、ピッチの指示等を使用者に知らせるようにしてもよい。また、図9に示すように、装置本体1の下面内側の一部に70μm程度の厚さの凹部を形成し、ここにピエゾ素子PZTを取り付けても良い。このピエゾ素子PZTに適切な周波数の交流電圧を印加すると、ピエゾ素子PZTが振動して携帯機器を装着している使用者に伝達される。したがって、ピエゾ素子PZTの振動周期をピッチに応じた周期とするよう回路を構成すればよい。なお、ピエゾ素子PZTの厚みは1μm,その直径は凹部の直径の80%程度にすると良い。このように、ピエゾ素子PZTの直径を凹部のそれの80%程度とすると、告知音の音圧を大きくすることができる。さらに、アナログ針を用いて偏差やグレードを表すことも可能である。
【0052】
また、脈波から脈拍数を求めるのではなく、心電から心拍数を求めるようにし、この心拍数の変化に基づいて上述と同様の処理を行うようにしてもよい。もちろん、この場合には、心臓を挟んで対向するよう胸部に2つの電極を配し、これらの電極に接続されたアンプ等の回路を用いて、心電を測定し、心電から心拍数を求める必要がある。
【0053】
<変形例1>
上述した実施形態の変形例として、腕時計構造の装置本体のみで上記実施形態による装置と同様の機能を有する構成を、図10を参照して説明する。なお、この図に示す携帯用小型電子機器35は、図1に示される構成を全て有している。携帯用小型電子機器35には、モード切替ボタン36が取り付けられている。モード切替ボタン21は通常使用モードと監視モードと設定モードとを切り替えるためのボタンであって、このボタンを押す度に、CPU10(図1参照)が各回路を制御して前述の各モードを巡回的に切り替える。なお、電源投入時は通常使用モードに初期化される。また、図示を略すが、携帯用小型電子機器35には、測定動作の開始/停止の指示を行うために使用されるスイッチが設けられている。
【0054】
図8において、脈波センサと温度センサとを兼ねたセンサ37は、取り付け具38によって時計のバンド39に取り付けられている。取り付け具38の取り付け位置は、腕時計の装着時にセンサ37が使用者の橈骨動脈近傍に位置するよう設定される。センサ37の脈波センサ部分は図1の脈波検出部2に、温度センサ部分は体温検出部3に包含されている。
【0055】
なお、脈波センサとしては、光電式(光学式)や圧力式などの任意の構造の脈波センサ、およびこれらの組み合わせを使用することができる。また、携帯用小型電子機器35の表面には、環境温度検出部4に包含されるサーミスタ等の温度センサが、皮膚からの熱伝導による影響を除外するための台座を介して設けられている。このような構成によれば、腕時計構成の装置本体のみで前述の作用効果が得られる。
【0056】
<変形例2>
また、前述の実施形態の携帯用小型電子機器から加速度センサ5およびA/D変換器9を取り除き、エネルギー消費量の検出をしない構成としてもよい。もちろん、この際、基準データに使用者の負荷−脈拍変化率、体重、および歩幅(身長)を含めなくても、環境標準脈拍数および標準脈拍数に対する現在の脈拍数の各偏差を求めることができる。すなわち、使用者は自らの実感と上記各偏差とに基づいて自身の体調状態を把握することができる。
【0057】
さらに、上述した実施形態の携帯用小型電子機器から、適正なランニングのピッチを知らせる機能を取り除いた態様や、環境温度を検出しない態様も考えられる。環境温度を検出しない場合、標準脈拍数からの偏差や体調状態の判断結果等が即座に変動することはないので、使用者の実感に即した結果を即座に出すことはできない。しかしながら、体温もある程度の範囲でゆっくりと環境温度に追従していくので、タイムラグはあるものの、使用者の実感に即した結果を出すことができる。
【0058】
<変形例3>
他の変形例について図11を参照して説明する。図11に示す携帯用小型電子機器は腕時計ではなく、ネックレスを使用した態様を示す図であり、この図において、40はセンサパッドであって、たとえばスポンジ状の緩衝材で構成される。センサパッド40の中には、前述した光電式脈波センサとしての機能と接触している皮膚の温度を測定する温度センサとしての機能とを有するセンサ41が皮膚面に接触するように取り付けられている。これにより、このネックレスを首にかけると、光電式脈波センサ41が首の後ろ側の皮膚に接触して脈波および接触している皮膚の温度を測定することができる。
【0059】
また、中空部を有する本体42の表面には、皮膚からの熱伝導による影響を除外するための台座を介して環境温度を測定するための温度センサが設けられている。さらに、本体42の中空部には、CPUやROM、RAM、各種検出部等の本装置の主要部分が組み込まれている。この本体42はブローチ様の形状をしたケースであって、その前面には例えばグラフィック表示部やボタンが設けられている。また、センサ41と本体42はそれぞれ鎖43に取り付けられており、この鎖43の中に埋め込まれたリード線(図示略)を介して電気的に接続されている。なお、センサ41に隣接して加速度センサが取り付けられている。
【0060】
<変形例4>
その他の変形例について図12を参照して説明する。図12は眼鏡を使用した態様を示す図であり、この図に示すように、装置本体は本体44aと本体44bに分かれ、それぞれ別々に眼鏡の蔓45に取り付けられており、これら本体が蔓45内部に埋め込まれたリード線を介して互いに電気的に接続されている。
【0061】
本体44aは表示制御回路を内蔵しており、この本体44aのレンズ46側の側面には全面に液晶パネル47が取り付けられ、また、該側面の一端には鏡48が所定の角度で固定されている。さらに本体44aには、光源(図示略)を含む液晶パネル47の駆動回路と、表示データを作成するための回路が組み込まれている。この光源から発射された光は、液晶パネル47を介して鏡48で反射されて、眼鏡のレンズ46に投射される。また、本体44bには、装置の主要部が組み込まれており、その上面には各種のボタンが設けられている。なお、これらボタン49,50の機能は装置毎に異なる。
【0062】
一方、光電式脈波センサを構成する青色光を発する赤外線発光ダイオードおよび光センサはパッド51,52に内蔵されると共に、パッド51,52を耳朶へ固定するようになっている。これらのパッド51,52は、本体44bから引き出されたリード線53,53によって電気的に接続されており、少なくとも一方のパッドには耳朶の温度を測定する温度センサが内蔵されている。また、眼鏡のフレーム表面(皮膚と相対する面の裏面)には、環境温度を測定するための温度センサが設けられており、この温度センサはフレームおよび蔓45内部に埋め込まれたリード線を介して本体44bに接続されている。なお、本変形性において熱伝導による影響を除外するための台座を使用していないのは、温度センサの位置が皮膚から十分に離れているためである。
なお、図示を略すが、本体44bには加速度センサおよび環境温度検出部が組み込まれている。
【0063】
<応用例>
次に、前述した実施形態による携帯用小型電子機器をコンピュータシステムと組み合わせた応用例について、図13を参照して説明する。
図13において、パーソナルコンピュータは本体54,ディスプレイ55,キーボード56,プリンタ57などから構成されており、以下の点を除いて通常のパーソナルコンピュータから構成されているため、その内部構成の説明の詳細は省略する。
【0064】
すなわち、本体54は、光信号によるデータを送受信するための図示しない送信制御部及び受信制御部を内蔵しており、これら送信制御部と受信制御部は、それぞれ光信号を送信するためのLED58と光信号を受信するためのフォトトランジスタ59を有する。これらLED58,フォトトランジスタ59は何れも近赤外線用のもの(例えば中心波長が940nmのもの)が用いられ、可視光を遮断するための可視光カット用のフィルタ60を介し、本体54の前面に設けられた光通信用の通信窓61から光通信を行う。
【0065】
一方、パーソナルコンピュータと接続される装置側では、以下のような構成となっている。ここでは、図1ないし図3に示される腕時計構造の携帯用小型電子機器を例に挙げて説明するが、ネックレスや眼鏡等の各種の携帯機器であっても何ら問題ない。前述したように、腕時計の装置本体1では、コネクタ部23が着脱可能に構成されている。したがって、コネクタ部23が取り外されたコネクタ部分に対して、コネクタカバーの代わりに、図13に示すように通信コネクタ62を取り付けるようにすれば良い。この通信コネクタ62には、パーソナルコンピュータ側と同様にLEDとフォトトランジスタ及び光通信用のインターフェイスとが組み込まれている。また、腕時計の装置本体1の内部には光通信のための光インターフェイス部(図示略)が設けられている。
【0066】
パーソナルコンピュータ側のRAMやハードディスク等に格納された各種の情報を、当該パーソナルコンピュータ側から腕時計側へ転送するには、例えば、キーボード56から転送コマンドを投入する。これにより、パーソナルコンピュータ側の情報が、LED58及び通信窓61を介して近赤外光で出力される。一方、腕時計側ではこの近赤外光が通信コネクタ62を介して腕時計の光インターフェイス部へ送られる。
【0067】
他方、腕時計側からパーソナルコンピュータ側へ生体状態の計測値などの各種の情報を転送する場合は、通信方向が上記と逆になる。すなわち、携帯機器の使用者は、腕時計に設けられたボタンスイッチを操作するなどして、携帯機器をデータ転送のためのモードに設定する。これにより、装置に内蔵されたプロセッサ等が転送すべき情報をRAM等から読み出して、これらを光インターフェイス部へ送出する。これにより、計測値が光信号へ変換されて通信コネクタ62から送出され、通信窓61及びフォトトランジスタ60を介してパーソナルコンピュータ側へ転送される。
【0068】
ところで、上記のような光通信を行う場合には、何れの機器が情報を発信したかどうかを識別できないと、本来は他の機器が受け取るべき情報を誤って受信してしまうことが起こりうる。そこで、本発明に係るI/Oインターフェイス手段には、情報を送信或いは受信するにあたって、何れの装置が情報を発信したかを示す識別情報を用いている。
【0069】
以上のように外部機器と通信可能とすることで、携帯用小型電子機器側の情報を外部機器側へ転送することができると共に、外部機器から携帯用小型電子機器側に対して各種の設定や指示を行うことが可能になる。したがって、例えば、各温度毎の基底脈拍数や負荷−脈拍変化率等の設定を容易に行うことができるという利点がある。また、携帯用小型電子機器と外部機器との間を圧縮情報を用いた通信で実現するように構成すれば、転送すべき情報量を削減することができる。なお、このような圧縮情報を用いた通信は、外部機器側から携帯機器側へ情報を転送する場合であっても全く同様である。
なお、携帯用小型電子機器と外部機器との通信は、光通信に限定されるものではなく、無線電波を用いた通信や有線通信であってもよい。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、使用者(被測定者)が感じている負担感や活動状態と標準脈拍数からの偏差とを比べて、体調状態を自己判断することができる。この判断は、例えば、測定した脈拍数を所定の温度に換算した脈拍数と当該温度の標準的な脈拍数とを比較するよりも、遥かに容易となる。
また、活動状態を測定し、測定した活動状態を加味して体調状態を自らが判断するので、例えば、体調状態に応じて使用者に警告することも可能となる。
【0071】
さらに、使用者の活動量の基準データに基づいて体調データを求めるので、各人毎に適切な体調状態の判定を行うことができる。
また、使用者の体調状態に応じて運動強度(ランニングのピッチなど)を指示できるので、使用者は安全で効率のよい運動を行うことができる。
さらに、使用者の基準データとして様々な値の組み合わせを許容しているので、基準データを使用者が入力する際には、使用者の要望に即した体調状態の判定、および運動強度の指示を得ることができる。
【0072】
また、外部機器からの情報を基準データとして使用できるため、小さな形態用小型電子機器を用いて基準データを入力するよりも効率よく基準データを入力することができる。
さらに、体温のみならず、体温に比較して著しく応答速度が速い環境温度をも測定するようにしたので、使用者の実感を即座に反映した偏差の測定、体調状態の判断、運動強度の指示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態による携帯用小型電子機器の構成を示すブロック図である。
【図2】 同携帯用小型電子機器の外観構成を示す斜視図である。
【図3】 同携帯用小型電子機器の一部外観構成を示す図である。
【図4】 環境温度に対する心拍数の変化に酸素摂取量が与える影響を示すグラフである。
【図5】 運動強度に対する心拍数の変化を表しており、(a)は当該変化に環境温度が与える影響、(b)は当該変化に環境温度が与える影響を示す図である。
【図6】 複数の被測定者の直腸温の一日における変動を示すグラフであり、(a)〜(d)はそれぞれ、春、夏、秋、冬における測定結果を示す。
【図7】 被測定者の直腸温の一日における変動を環境温度別に示すグラフである。
【図8】 本発明の一実施形態において使用されるフェイスチャートの一例を示す図である。
【図9】 ランニングピッチを振動にて知らせる手段の一例を示す一部断面図である。
【図10】 本発明の一実施形態による携帯用小型電子機器の変形例を示す外観斜視図である。
【図11】 同携帯用小型電子機器の他の変形例を示す外観斜視図である。
【図12】 同携帯用小型電子機器の他の変形例を示す外観斜視図である。
【図13】 同携帯用小型電子機器の応用例を示す外観図である。
【符号の説明】
1 装置本体
2 脈波検出部
3 体温検出部
4 環境温度検出部
4a 台座
4b 温度センサ
5 加速度センサ
10 CPU
11 ROM
12 一時記憶メモリ
13 データメモリ
15 操作部
16 ブザー
18 表示部
Claims (7)
- 脈拍測定手段を内蔵する携帯用小型電子機器において、
温度を測定し温度データを得る温度測定手段と、
測定対象となるユーザの動きを検出する体動検出手段と、
前記体動検出手段の検出結果に基づいて前記ユーザの活動量を測定する活動量測定手段と、
前記活動量測定手段によって測定された活動量と、前記脈拍測定手段によって測定された脈拍データと、前記温度測定手段によって測定された温度データとに基づいて、前記活動量が前記ユーザの体調に及ぼす負担感の大きさを求める体調状態測定手段と
を具備することを特徴とする携帯用小型電子機器。 - 前記温度測定手段によって測定された温度データに基づいて温度を表示する温度表示手段と、
前記脈拍測定手段で測定された脈拍データと前記温度測定手段で測定された温度データとを用いて、前記脈拍データを予め設定された温度での脈拍数に換算し、当該脈拍数に対する前記測定された脈拍データの偏差を算出する偏差算出手段と、
前記偏差を告知する偏差告知手段と
を具備することを特徴とする請求項1記載の携帯用小型電子機器。 - 前記ユーザの活動量の基準データを記憶した記憶手段を備え、
前記体調状態測定手段は、前記基準データを加味して前記活動量が前記ユーザの体調に及ぼす負担感の大きさを求めることを特徴とする請求項1記載の携帯用小型電子機器。 - 前記体調状態測定手段によって求められた、前記活動量が前記ユーザの体調に及ぼす負担感の大きさを該ユーザに指示する
ことを特徴とする請求項1または3記載の携帯用小型電子機器。 - 前記基準データは、最大酸素消費量、基礎代謝時の脈拍あるいは心拍数、負荷度に対する脈拍あるいは心拍数の変化率、身長、体重、歩幅のうち少なくとも一つを含む
ことを特徴とする請求項3または4記載の携帯用小型電子機器。 - 外部機器から供給される情報を基準データとして前記記憶手段に記憶させる手段を具備することを特徴とする請求項3ないし5いずれかに記載の携帯用小型電子機器。
- 環境温度を測定し温度データを得る環境温度測定手段と、
前記脈拍測定手段で測定された脈拍データと前記環境温度測定手段で測定された温度データとを用いて、前記脈拍データを予め設定された環境温度での脈拍数に換算し、当該脈拍数に対する前記測定された脈拍データの偏差を算出する環境偏差算出手段とを具備し、
前記温度表示手段は、前記環境温度測定手段によって測定された温度データに基づいて環境温度を表示し、
前記偏差告知手段は、前記環境偏差算出手段で算出された偏差を告知する
ことを特徴とする請求項2記載の携帯用小型電子機器。
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