JP3699225B2 - 多孔質吸水性架橋重合体およびその製法 - Google Patents

多孔質吸水性架橋重合体およびその製法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、親水化により著しく吸水速度および吸水倍率の改善された、多孔質吸水性架橋重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
水性液体を多量に含有する多孔質架橋ポリマー材料として、90%までの内部水相を含む油中水滴型エマルジョンの硬化物が知られている(英国特許第1458203号公報)。そしてこのような油中水滴型エマルジョンの応用として、特開昭62−250002号公報には弾性を有する低密度多孔質架橋ポリマー材料が開示され、特開平6−510076号公報には高吸収容量の低密度フォームが開示されている。
【0003】
一般的に、これらの高吸収容量の低密度フォームは、界面活性剤の存在下で9:1を越える水相対油相の重量比の高分散相油中水滴型エマルジョンを形成させた後重合させることによって製造される。しかしながら、高分散相油中水滴型エマルジョン形成後に得られる重合体は実質的に疎水性のもので、吸水剤として使用するためにはその親水化が必須である。
【0004】
例えば、特開平6−509834号公報には、界面活性剤をその内部に含有するフォームの表面に塩化カルシウムなどの無機残査を残す方法が開示されている。なるほどこの方法により得られる重合体の初期の水への濡れ性は改善されるものの、その吸水速度、吸水倍率は満足できるものではなく、特に長期間保存した後の吸水特性が低下するという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、改良された吸水速度および吸水倍率を長期間保存後も発揮する多孔質吸水性架橋重合体を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、改良された吸水速度を有する多孔質吸水性架橋重合体を得る方法について鋭意検討した結果、油中水滴型高分散相エマルジョンを用いて製造された多孔質疎水性架橋重合体そのものを親水化することにより、著しく吸水速度および吸水倍率に優れた多孔質吸水性架橋重合体が得られることを見いだし、本発明に到達した。
【0007】
すなわち本発明は、
)一般式−COOR(但し、Rは炭素原子数が1〜30の置換または非置換の1価の炭化水素基である。)で表されるカルボン酸エステル基を含む多孔質疎水性架橋重合体を、加水分解することにより親水化する多孔質吸水性架橋重合体の製法;
)多孔質吸水性架橋重合体の加水分解を、水酸化アルカリの水溶液を用いて行う、上記()に記載の多孔質吸水性架橋重合体の製法;
)一般式−COOR(但し、Rは炭素原子数が1〜30の置換または非置換の1価の炭化水素基である。)で表されるカルボン酸エステル基を含む前記多孔質疎水性架橋重合体が、溶解度パラメーター(SP値)が9以下の単量体および分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する架橋性単量体を主成分とする単量体成分を含む油中水滴型エマルジョンを60℃未満の温度で硬化させて得られたものである、上記()または()に記載の多孔質吸水性架橋重合体の製法;
(4) 上記(1)〜(3)のいずれかに記載の製法で得られた多孔質吸水性架橋重合体であって、生理食塩水(0.9% 食塩水)の吸水速度が5秒〜21秒である多孔質吸水性架橋重合体;
(5) 上記(4)の多孔質吸水性架橋重合体を含んでなる吸水物品;
を提供するものである。
【0008】
以下に本発明を詳しく説明する。
【0009】
本発明で使用される多孔質疎水性架橋重合体は、例えば疎水性のビニルモノマーと分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する架橋性単量体を使用して、油中水滴型高分散相エマルジョンを形成後、重合することで得ることができる。好ましい疎水性の単量体は、溶解度パラメーター(SP値)が9以下の単量体を主成分とする単量体である。
【0010】
本発明で用いられる溶解度パラメーター(SP値)が9以下の単量体としては、例えば、スチレン、α一メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、オクチルスチレン及びビニルトルエンのような、モノアルケニルアレンモノマー:メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2ーエチルヘキシル(メタ)アクリレート、n一ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニルフェニル(メタ)アクリレート、ジノニルフェニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ジブチルマレエート、ジドデシルマレエート、ドデシルクロトネート、ジドデシルイタコネートのような不飽和カルボン酸エステル:(ジ)ブチル(メタ)アクリルアミド、(ジ)ステアリル(メタ)アクリルアミド、(ジ)ドデシル(メタ)アクリルアミド、(ジ)ブチルフェニル(メタ)アクリルアミド、(ジ)オクチルフェニル(メタ)アクリルアミドなどの炭化水素基を有する(メタ)アクリルアミド:ブタジエン、イソプレン、1−ヘキセン、1−オクテン、イソオクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセンなどのα−オレフィン:ビニルシクロヘキセンなどの脂環式ビニル化合物:ドデシルアリルエーテルなどの脂肪族炭化水素基を有するアリルエーテル:カプロン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、パルミチン酸ビニルなどの脂肪族炭化水素基を有するビニルエステル:エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテルなどのビニルエーテル:およびこれらの混合物を挙げることができる。
【0011】
本発明で用いられる分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する架橋性単量体としては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールーポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジメタアクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレートやジビニルベンゼンなどを挙げることができる。
【0012】
また、本発明において使用される分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する架橋性単量体の全単量体成分に対する割合は、全単量体成分中の1〜50重量%、好ましくは5〜45重量%、より好ましくは10〜40重量%の範囲である。架橋性単量体の使用量が1重量%未満では、得られる多孔質架橋重合体の強度が不足し、50重量%よりも多い場合には得られる多孔質架橋重合体が硬くなりすぎることがある。
【0013】
本発明において油中水滴型エマルジョンを形成するために使用される界面活性剤としては、例えばソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート等のソルビタン誘導体:グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエートなどのグリセリン誘導体:ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル類などを例示できる。これら油溶性界面活性剤は単独でもしくは2種以上を混合して使用され、その使用量は単量体成分100重量部に対し1〜40重量部の範囲、好ましくは5〜30重量部の範囲である。1重量部よりも少ない場合には油中水滴型エマルジョンが不安定となり、40重量部よりも多い場合には得られる多孔質架橋重合体が脆くなりすぎることがある。
【0014】
更に本発明では、重合時の油中水滴型エマルジョンを安定化せしめる目的で、各種の安定化剤を上記界面活性剤に加えて添加することもできる。安定化剤として好適なものは水溶性の無機塩であり、このものを水相中に添加しておくことが好ましい。このような水溶性無機塩としては、例えばカリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等の水溶性塩が挙げられ、特に多価金属塩が好ましい。水溶性無機塩の添加量は水100重量部に対し0.1〜20重量部、特に0.5〜15重量部の範囲が好ましい。
【0015】
本発明において、疎水性多孔質架橋重合体を親水化するための方法としては、重合体自体を親水化させることができるのであれば特に限定されない。好ましい親水化方法は、重合体中にカルボン酸(塩)などの陰イオン基を共有結合で導入する方法である。より好ましくは、一般式−COOR(但し、Rは炭素原子数が1〜30の置換または非置換の1価の炭化水素基である。)で表されるカルボン酸エステル基を含む多孔質疎水性架橋重合体を予め形成しておき、その後該重合体を加水分解することによりカルボン酸(塩)を重合体中に生成せしめ親水化する方法である。
【0016】
本発明において、一般式−COORで表されるカルボン酸エステル中のRは、炭素原子数1〜30の置換又は非置換の1価の炭化水素基であり、該置換基は、反応を阻害しないものであれば特に限定されるものではない。Rの具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基などの飽和脂肪族炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基等のシクロアルキル基などの脂環式炭化水素基;ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等のアルケニル基などの脂肪族不飽和炭化水素基;フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、あるいは2−ブロモフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−ヨードフェニル基、3−ヨードフェニル基、4−ヨードフェニル基、2,4−ジブロモフェニル基、2,5−ジブロモフェニル基、2,6−ジブロモフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリブロモフェニル基、2,3,4−トリクロロフェニル基、2,4,5−トリクロロフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基等のフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子や低級アルコキシ基で置換されたアリール基などの置換又は非置換のアリール基;並びにベンジル基、2−フェニルエチル基、4−メチルベンジル基等のアラルキル基などが挙げられる。
【0017】
本発明の多孔質疎水性架橋重合体を得るためには、まず疎水性のビニルモノマーと、分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する架橋性単量体からなる油相成分1〜10重量%と水99〜90重量%とを単量体100重量部に対し1〜40重量部の界面活性剤の存在下に混合し、多量の水を内部不連続相として有する油中水滴型エマルジョンを形成せしめる。油相成分と水の混合割合は油相成分1〜10重量%に対し水99〜90重量%の範囲が好ましく、さらに好ましくは油相成分1〜5重量部に対し水99〜95重量%の範囲である。油相成分の量が1重量%未満では、得られた多孔質疎水性架橋重合体の強度が低下して取扱い性に問題が生じる場合がある。また油相成分の量が10重量%よりも多い場合には、得られる多孔質吸水性架橋重合体の吸水速度が不十分となる場合がある。
【0018】
本発明において、油相成分を油溶性界面活性剤の存在下に水と混合し油中水滴型エマルジョンを形成する方法としては、多量の水を内部不連続相として有する油中水滴型エマルションを形成できるのであれば特にこだわらない。例えば、1)油溶性界面活性剤を溶解した油相を攪拌下に水中に添加する方法、2)油溶性界面活性剤を溶解した油相に水を攪拌下に添加する方法、3)油溶性界面活性剤を溶解した油相に水を加え攪拌する方法、4)水に油溶性界面活性剤を溶解した油相を加え攪拌する方法、5)油溶性界面活性剤を溶解した油相と水とをそれぞれ連続的にフィードしながら混合する方法などを挙げることができる。またそれぞれの方法において、油溶性界面活性剤は前記のように油相に予め溶解していてもよいが、水に予め分散させておいたり、油相成分と水と油溶性界面活性剤を別々に供給混合することもできる。経済的観点から好ましい方法は予め油溶性界面活性剤を油相成分に溶解させておく方法である。油中水滴型エマルジョンを形成するために使用できる混合あるいは攪拌装置としては、従来公知のものを使用でき、例えば、各種攪拌翼を装備した槽型攪拌装置、スタティックミキサー、二一ダー、ホモジナイザー、マグネットスターラー等を例示できる。
【0019】
本発明で使用できる多孔質疎水性架橋重合体は、例えば前記手法により形成された油中水滴型エマルジョンをレドックス開始剤存在下で好ましくは60℃未満の温度に加熟重合され得ることができる。重合に際し、油中水滴型エマルジョンは、その内部水相が破壊されない条件下で静置重合するのが好ましく、例えば油中水型エマルジョンをバッチ毎にあるいは連続的にフィードしながら、キャスト重合することができる。重合にあたり、重合容器を任意の形状とすることで、重合により得られる多孔質疎水性架橋重合体を任意形状、例えば粒子状、繊維状、マット状、シート状、ブロック状等に成形重合することも可能である。もちろん重合法として連続重合法を採用することも可能である。硬化温度は好ましくは60℃未満の範囲、より好ましくは20〜50℃の範囲である。硬化を20〜50℃の温度範囲で行ない、硬化後に重合を50〜90℃の温度範囲で完結することが最も好ましい。重合硬化時間は1〜30時間程度が適切である。重合温度が15℃未満では、重合に長時間を要し工業的に好ましくない、硬化温度が60℃を越える場合、得られる多孔質疎水性架橋重合体の孔径が不均一となることがあり、また最終的に得られる本発明の多孔質吸水性架橋重合体の吸水倍率が低下する。
【0020】
レドックス重合開始剤として使用される水溶性酸化剤としては、例えば過酸化水素のような水溶性過酸化物:過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性過硫酸塩:過酢酸ナトリウム、過酢酸カリウム等の水溶性過酢酸塩:過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウムなどの水溶性過炭酸塩などを挙げることができる。水溶性酸化剤の使用量は総単量体成分の総モル数に対し、0.001モル%〜80モル%の範囲が好ましい。
【0021】
重合の際、酸化剤と共に使用される還元剤としては、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウムなどの亜硫酸水素塩:チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウムなどのチオ硫酸塩:トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアニリンなどのアミン類:などの多価金属塩:L−アスコルビン酸などを挙げることができる。より好ましくは、水溶性酸化剤/還元剤のモル比が1以下となるような量の還元剤を使用することがより好ましい。
【0022】
本発明において最も好ましい形態は、一般式−COOR(但し、Rは炭素原子数が1〜30の置換または非置換の1価の炭化水素基である。)で表されるカルボン酸エステル基を含む疎水性単量体を必須成分として含む単量体成分を、油中水滴型エマルジョン形態で重合することにより得られる多孔質疎水性架橋重合体を、加水分解することにより該重合体中にカルボン酸(塩)を生成せしめ、該重合体を親水化する方法である。
【0023】
加水分解は、例えば、水酸化アルカリ(例えばNaOHまたはKOH)の水溶液、好ましくは0.5%〜飽和濃度までの水溶液を用いて行うことができる。本発明において、加水分解は50〜150℃の温度範囲で行われ、加水分解反応中に生じるカルボキシル基の中和の程度は適当な量の鉱酸、例えばHClを加えることにより変えることができる。必要な反応時間は反応温度および所望の加水分解の程度により任意に選択可能である。また、加水分解後の本発明の多孔質吸水性架橋重合体は必要により水洗の後、圧縮処理されて乾燥される。
【0024】
このようにして得られる本発明の多孔質吸水性架橋重合体は重合体そのものが親水化処理されているため、従来の界面活性剤や無機塩添加処理品に比べ、以下の優れた点を有する。
【0025】
1)著しく吸水速度および吸水倍率が向上される。
【0026】
2)残留界面活性剤、無機塩などがなく安全である。
【0027】
3)界面活性剤の変質などに起因する長期間保存後での吸水特性の変質がない。
【0028】
4)架橋重合体そのものが親水化されるため、架橋重合体の一部も水による膨潤が可能で、そのため加圧状態での吸水・保水能力が格段にアップする等。
【0029】
本発明の多孔質吸水性架橋重合体は、必要によりさらに裁断するなどして任意の形状、例えばシート状、ブロック状、繊維状、フィルム状、粉末状などの目的に応じた形態とすることができ、しかも、水性液体と接触した際に液体が成形体内部へ浸透してゆく連続した多数の孔を有している。本発明の多孔質吸水性架橋重合体をそのまま吸水材として用いてもよいが、多孔質吸水性架橋重合体を少なくとも一部が液透過性を有するフィルムで挟持したり、多孔質吸水性架橋重合体を液透過性材料からなる容器に充填したりして、吸水物品として使用することも可能である。
【0030】
【実施例】
次に、本発明について実施例をあげて詳細に説明するが、本発明はこれだけに限定されるものではない。なお、例中特にことわりのない限り、部は重量部を表すものとする。
【0031】
本発明における多孔質架橋重合体の吸水倍率および吸水速度は以下の方法で測定した。
【0032】
(吸水倍率)
1cm角の大きさに裁断した予め秤量した試料を用い、温度10℃の生理食塩水(0.9%食塩水)にこの試料を浸した。生理食塩水を吸収し膨張した試料を、直径120mm高さ5mmのガラスフィルター(#0:Duran社製)の上に30秒間放置して液切りを行なった後、吸水した試料の重量を測定し、以下の式で吸水倍率(g/g)を求めた。
【0033】
吸水倍率=(吸水後の試料重量−吸水前の試料重量)/吸水前の試料重量
(吸水速度)
吸水倍率測定時に、試料が生理食塩水を吸収し終えるまでの時間を測定し、吸収に要する時間を吸水速度とした。
【0034】
参考例
1000mlの円筒形ポリプロピレン製容器に、水相として塩化カルシウム50部、過硫酸ナトリウム0.7部および純水450部を仕込んだ。ついで、油相としてスチレン1.73部、2−エチルヘキシルアクリレート5.21部、55%ジビニルベンゼン1.73部、およびソルビタンモノラウレート(商品名レオドールスーパーSP−L10、花王株式会社製)1.31部からなる溶液を室温で攪拌下に容器中へ添加した。混合物がヨーグルト状になり良好なエマルジョンが得られたのを確認して、亜硫酸水素ナトリウム0.7部を純水10部に溶かした溶液を加え、再びエマルジョンが均一になるまで攪拌した。攪拌終了後、容器を40℃に保って3時問重合硬化を行ない重合を完結させ、多孔質疎水性架橋重合体(a)を得た。
【0035】
実施例1
厚さ10mmにスライスした多孔質疎水性架橋重合体(a)を60℃の純水で膨潤、圧縮脱水を2回行い洗浄せしめた。次いで、この洗浄した多孔質架橋重合体10部を、48%水酸化ナトリウム水溶液100部に浸漬し、還流冷却器を備えた500mLのセパラブルフラスコ中で1時間130℃で加熱処理した。処理終了後、フラスコより親水化処理された多孔質架橋重合体を取り出し、アルカリを純水で洗浄して除去し、60℃の熱風乾燥器中で1時間乾燥して、本発明の多孔質吸水性架橋重合体(1)を得た。本発明の多孔質吸水性架橋重合体(1)の吸水倍率は67g/gで吸水速度は5秒であった。またこのものは、60℃の熱風乾燥器中で2週間エージングした後もその吸水速度・吸水倍率は変わらなかった。
【0036】
実施例2
厚さ10mmにスライスした多孔質疎水性架橋重合体(a)を60℃の純水で膨潤、圧縮脱水を2回行い洗浄せしめた。次いで、この洗浄した多孔質架橋重合体10部を、48%水酸化ナトリウム水溶液100部に浸漬し、還流冷却器を備えた500mLのセパラブルフラスコ中で30分間120℃で加熱処理した。処理終了後、フラスコより親水化処理された多孔質架橋重合体を取り出し、アルカリを純水で洗浄して除去し、60℃の熱風乾燥器中で1時間乾燥して、本発明の多孔質吸水性架橋重合体(2)を得た。本発明の多孔質吸水性架橋重合体(2)の吸水倍率は60g/gで吸水速度は7秒であった。またこのものは、60℃の熱風乾燥器中で2週間エージングした後もその吸水速度・吸水倍率は変わらなかった。
【0037】
実施例3
厚さ10mmにスライスした多孔質疎水性架橋重合体(a)を60℃の純水で膨潤、圧縮脱水を2回行い洗浄せしめた。次いで、この洗浄した多孔質架橋重合体10部を、48%水酸化ナトリウム水溶液100部に浸漬し、還流冷却器を備えた500mLのセパラブルフラスコ中で2時間130℃で加熱処理した。処理終了後、フラスコより親水化処理された多孔質架橋重合体を取り出し、アルカリを純水で洗浄して除去し、60℃の熱風乾燥器中で1時間乾燥して、本発明の多孔質吸水性架橋重合体(3)を得た。本発明の多孔質吸水性架橋重合体(3)の吸水倍率は75g/gで吸水速度は5秒であった。またこのものは、60℃の熱風乾燥器中で2週間エージングした後もその吸水速度・吸水倍率は変わらなかった。
【0038】
実施例4
厚さ10mmにスライスした多孔質疎水性架橋重合体(a)を60℃の純水で膨潤、圧縮脱水を2回行い洗浄せしめた。次いで、この洗浄した多孔質架橋重合体10部を、40%水酸化ナトリウム水溶液100部に浸漬し、還流冷却器を備えた500mLのセパラブルフラスコ中で5時間130℃で加熱処理した。処理終了後、フラスコより親水化処理された多孔質架橋重合体を取り出し、アルカリを純水で洗浄して除去し、60℃の熱風乾燥器中で1時間乾燥して、本発明の多孔質吸水性架橋重合体(4)を得た。本発明の多孔質吸水性架橋重合体(4)の吸水倍率は57g/gで吸水速度は13秒であった。またこのものは、60℃の熱風乾燥器中で2週間エージングした後もその吸水速度・吸水倍率は変わらなかった。
【0039】
実施例5
厚さ10mmにスライスした多孔質疎水性架橋重合体(a)を60℃の純水で膨潤、圧縮脱水を2回行い洗浄せしめた。次いで、この洗浄した多孔質架橋重合体10部を、20%水酸化ナトリウム水溶液100部に浸漬し、還流冷却器を備えた500mLのセパラブルフラスコ中で5時間130℃で加熱処理した。処理終了後、フラスコより親水化処理された多孔質架橋重合体を取り出し、アルカリを純水で洗浄して除去し、60℃の熱風乾燥器中で1時間乾燥して、本発明の多孔質吸水性架橋重合体(5)を得た。本発明の多孔質吸水性架橋重合体(5)の吸水倍率は47g/gで吸水速度は21秒であった。またこのものは、60℃の熱風乾燥器中で2週間エージングした後もその吸水速度・吸水倍率は変わらなかった。
【0040】
比較例1
厚さ10mmにスライスした多孔質疎水性架橋重合体(a)を60℃の純水で膨潤、圧縮脱水を4回行い洗浄せしめた。次いで、60℃の熱風乾燥器中で1時間乾燥して、比較多孔質吸水性架橋重合体(1)を得た。比較多孔質吸水性架橋重合体(1)の吸水倍率は42g/gで吸水速度は120秒であった。
【0041】
比較例2
厚さ10mmにスライスした多孔質疎水性架橋重合体(a)を60℃の1%塩化カルシウム水溶液で膨潤、圧縮脱水を2回行い洗浄せしめた。次いで、60℃の熱風乾燥器中で1時間乾燥して、比較多孔質吸水性架橋重合体(2)を得た。比較多孔質吸水性架橋重合体(2)の吸水倍率は34g/gで吸水速度は1時間であった。
【0042】
比較例3
厚さ10mmにスライスした多孔質疎水性架橋重合体(a)を60℃の純水で膨潤、圧縮脱水を2回行い洗浄せしめた。次いで、0.5%ソルビタンモノラウレート水溶液で更に膨潤、圧縮脱水を2回行い、60℃の熱風乾燥器中で1時間乾燥して、比較多孔質吸水性架橋重合体(3)を得た。比較多孔質吸水性架橋重合体(3)の吸水倍率は42g/gで吸水速度は20分であった。
【0043】
【発明の効果】
本発明により、著しく吸水速度、吸水倍率などの吸水特性が向上し、長時間保存後もその吸水特性を維持できる新規な多孔質吸水性架橋重合体を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】多孔質疎水性架橋重合体(a)のIRである。
【図2】加水分解後の本発明の多孔質吸水性架橋重合体(1)のIRである。

Claims (5)

  1. 一般式−COOR(但し、Rは炭素原子数が1〜30の置換または非置換の1価の炭化水素基である。)で表されるカルボン酸エステル基を含む多孔質疎水性架橋重合体を、加水分解することにより親水化する多孔質吸水性架橋重合体の製法。
  2. 多孔質吸水性架橋重合体の加水分解を、水酸化アルカリの水溶液を用いて行う、請求項に記載の多孔質吸水性架橋重合体の製法。
  3. 一般式−COOR(但し、Rは炭素原子数が1〜30の置換または非置換の1価の炭化水素基である。)で表されるカルボン酸エステル基を含む前記多孔質疎水性架橋重合体が、溶解度パラメーター(SP値)が9以下の単量体および分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する架橋性単量体を主成分とする単量体成分を含む油中水滴型エマルジョンを60℃未満の温度で硬化させて得られたものである、請求項またはに記載の多孔質吸水性架橋重合体の製法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製法で得られた多孔質吸水性架橋重合体であって、生理食塩水(0.9% 食塩水)の吸水速度が5秒〜21秒である多孔質吸水性架橋重合体。
  5. 請求項4の多孔質吸水性架橋重合体を含んでなる吸水物品。
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