JP3697436B2 - 核酸配列の解析方法、プローブ固定化基体、アッセイキットおよびプローブセット - Google Patents

核酸配列の解析方法、プローブ固定化基体、アッセイキットおよびプローブセット Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、核酸配列、特定の配列を持った核酸鎖、特に、一塩基多型や点変異を有する核酸を、特異的に解析する方法、プローブ固定化基体、アッセイキット、プローブセットに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、特定の核酸配列を持った核酸鎖を検出するために、ガラスやシリコンなどの基板に検出対象の配列に相補的な核酸プローブを固定化したDNAチップが用いられている。例えば、遺伝子の発現解析などでは変性させたPCR産物をプローブとして基板に固定化する。発現解析のように高感度が要求される場合は、長鎖のほうが感度的に有利なことから、このような数百塩基からなる比較的長鎖のプローブが用いられることが多い。
【0003】
一方、一塩基多型(以下、SNPまたはSNPsと記す)や点変異の検出などの様に非常に高い特異性が要求される場合は15〜20塩基程度の比較的短い合成オリゴヌクレオチドからなるプローブが使用される(非特許文献1および非特許文献2を参照されたい)。
【0004】
。通常SNPsの型判定では、SNPsの型に応じた塩基配列からなるプローブを基板上に固定化し、ターゲットとのハイブリダイゼーション反応を行なう。特定の条件では、一塩基でもミスマッチがあるとハイブリッド形成を起こさない。よって、ハイブリッド形成の有無を蛍光などを指標に検出することで、SNPsの型が判定できる。しかしながら、実際にはハイブリダイゼーション反応に基づく方法のみでは一塩基の違いを識別することは困難とされている。特に、G−AやG−TやG−Uの結合からなるミスマッチはA−Tフルマッチと非常に区別し難い。これを解決するために、ヌクレアーゼやリガーゼ等の酵素反応を組み合わせたり、PNAプローブを用いる方法等が報告されているが、▲1▼検出系が複雑になる、▲2▼解析費用が高くなる、▲3▼時間がかかる、などの問題点が指摘されていた。
【0005】
【非特許文献1】
Nature Biotechnology 18, 438(2000)
【0006】
【非特許文献2】
Science 274, 610(1996)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決するものであり、高い特異性で核酸配列を検出するための核酸配列の解析方法、プローブ固定化基体、アッセイキットおよびプローブセットを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するための手段を提供する。即ち、本発明は、
(1)第1の標的部位と第1の配列を含む第1のプローブと、第1の配列よりも1塩基だけ短く、第1の標的部位の位置に対応する第2の標的部位の1塩基を除いて相同な配列を含む第2のプローブとに対して、試料中の核酸を適切なハイブリダイゼーションの生じる条件下で反応させることを具備する核酸配列の解析方法;
(2)第1の配列部位を含む第1の核酸プローブと、第1の配列よりも1塩基だけ短く、第1の標的部位の位置に対応する第2の標的部位の1塩基を除いて相同な配列を含む第2の核酸プローブとを具備するプローブ固定化基体;
(3)前記(2)に記載のプローブ固定化基体、および第1の配列部位を含む第1の核酸プローブと、第1の配列よりも1塩基だけ短く、第1の標的部位の位置に対応する第2の標的部位の1塩基を除いて相同な配列を含む第2の核酸プローブとのプローブセットからなる群より選択される構成要素を少なくとも具備する核酸配列解析用のアッセイキット;および
(4)第1の配列を含む第1の核酸プローブと、第1の配列よりも1塩基だけ短く、第1の標的部位の位置に対応する第2の標的部位の1塩基を除いて相同な配列を含む第2の核酸プローブとのプローブセット
である。
【0009】
【発明の実施の形態】
1.解析方法
一般的に、ターゲットとプローブにおける標的部位の塩基がG−AまたはG−TまたはG−Uであるミスマッチは、それらがA−TまたはA−Uのフルマッチの場合と区別し難いと言われている。本発明者らは、G−TあるいはG−AあるいはG−Uミスマッチが可能性として考えられるターゲットの場合、プローブの長さを変化させることにより、特異的な検出が可能になることを見出した。本発明の態様に従うと、このような原理を利用する核酸配列の解析方法、プローブ固定化基体、アッセイキットおよびプローブセットが提供される。
【0010】
本発明を図1を用いて説明する。例えば、図1には、基体1に固定化された複数のプローブ2から9を具備するプローブ固定化基体を示す。
【0011】
左から二番目に示される第1のプローブ3は、その塩基が「T」である第1の標的部位と、直線で示される第1の配列を含む。第2のプローブ2は、その塩基が「G」である第2の標的部位と、直線で示される配列を含む。ここで、第2のプローブ2は、第1のプローブ3よりも1塩基分だけ短い。第1の標的部位と第2の標的部位は、基体に固定されているプローブ末端から数えて同じ位置に配置される。また、第1のプローブ3と第2のプローブ2の配列は標的部位を除いて互いに相同である。
【0012】
更なる、第1のプローブと第2のプローブの例は、次の通りである。即ち、第1のプローブ5は、その塩基が「A」である第1の標的部位と、直線で示される第1の配列を含む。第2のプローブ4は、その塩基が「G」である第2の標的部位と、直線で示される配列を含む。ここで、第2のプローブ4は、第1のプローブ5よりも1塩基分だけ短い。第1の標的部位と第2の標的部位は、基体に固定されているプローブ末端から数えて同じ位置に配置される。また、第1のプローブ5と第2のプローブ4の配列は標的部位を除いて互いに相同である。
【0013】
同様に、更なる例の場合では、第1のプローブ7は、その塩基が「C」である第1の標的部位と、直線で示される第1の配列を含む。第2のプローブ6は、その塩基が「A」である第2の標的部位と、直線で示される配列を含む。ここで、第2のプローブ6は、第1のプローブ7よりも1塩基分だけ短い。第1の標的部位と第2の標的部位は、基体に固定されているプローブ末端から数えて同じ位置に配置される。また、第1のプローブ7と第2のプローブ6の配列は標的部位を除いて互いに相同である。
【0014】
更なる例も同様である。即ち、第1のプローブ9は、その塩基が「C」である第1の標的部位と、直線で示される第1の配列を含む。第2のプローブ8は、その塩基が「A」である第2の標的部位と、直線で示される配列を含む。ここで、第2のプローブ8は、第1のプローブ9よりも1塩基分だけ短い。第1の標的部位と第2の標的部位は、基体に固定されているプローブ末端から数えて同じ位置に配置される。また、第1のプローブ9と第2のプローブ8の配列は標的部位を除いて互いに相同である。
【0015】
ターゲットとなる核酸鎖がG/T型からなる一塩基多型(即ち、SNP)を有する場合、G型検出用プローブ(標的部位の塩基はC)、T型検出用プローブ(標的部位の塩基はA)が用いられる。その場合、プローブとターゲットの標的部位の塩基の組み合わせとしては、C−G、C−T、A−G、A−Tが考えられる。この組み合わせではC−GとC−Tは区別しやすいが、A−GとA−Tの識別が非常に難しくなる。そこで、A−Gのミスマッチが起こらないようにプローブを極力短く設定する。しかしながら検出感度を考えるとプローブ長は長い方が好ましい。従って、結果として、T型検出用のプローブ(標的部位の塩基はA)をG型検出用のプローブより短くする。即ち、第2のプローブを第1のプローブよりも短くする。そうすると、ハイブリダイゼーション反応のみでもS/Nを低下させることなく特異的にSNPや点突然変異の検出が可能になる。このようなSNPs判別や点変異検出でプローブの長さを変えて特異性をコントロールする方法は、本発明により初めて提案されるものである。
【0016】
第1および第2のプローブにおける標的部位の位置は、当該プローブの何れの位置でもよい。しかしながら、第1および第2のプローブの最も基板から離れた位置に配置することは望ましくない。
【0017】
ここで使用される「核酸」の語は、DNAおよびRNA、S-オリゴ、メチルホスホネートオリゴ、PNA(即ち、ペプチド核酸)およびLNA(即ち、ロック核酸)などの何れの核酸類似体など、一般的に、その一部の構造を塩基配列によって表すことが可能な物質を総括的に示す語である。また、そのような核酸は、天然に存在するものであっても、人工的に合成されたものであって、それらの混合物であってもよい。本発明の態様に従うプローブは、上述の何れかの核酸であればよく、更に、本発明の方法の実施を妨げないものであれば標識物質、タグおよび/またはその他の配列などを有してもよい。
【0018】
ここで使用される「適切なハイブリダイゼーションの生じる条件下」とは、互いに相補的である適切な組み合わせでターゲットとプローブが反応した場合にハイブリダイゼーションが生じるような条件であり、例えば、ストリンジェントな条件であればよい。
【0019】
本発明の態様に従うと、例えば、上述した本発明の態様に従うプローブ固定化基体に対して、試料核酸を添加し、適切なハイブリダイゼーションの生じる条件下で反応させ、反応後、生じた二本鎖を検出することにより、試料中に含まれる核酸について、核酸配列の解析を行うことが可能である。
【0020】
或いは、基体に固定化されていないプローブを使用してもよい。即ち、本発明の態様に従う第1および第2のプローブと試料中の核酸を適切なハイブリダイゼーションの生じる条件下で反応させ、反応後、生じた二本鎖を検出することにより、試料中に含まれる核酸について、核酸配列の解析を行うことが可能である。
【0021】
遊離したプローブまたはプローブ固定化基体の何れを使用する場合であっても、本発明において使用される二本鎖の検出手段は、それ自身公知の手段を用いてよい。例えば、試料中の核酸を予め蛍光物質などにより標識しておいてもよく、抗原抗体反応を利用して検出してもよい。また、インタカレータを使用して二本鎖核酸を検出してもよい。
【0022】
2.プローブ固定化基体
本発明の態様において使用されるプローブ固定化基体は、一般的に使用される基体、例えば、シリコン基板、ガラス基板および樹脂製などの種々の基板、ビーズなどの担体、マイクロタイタープレートおよびマルチウェルプレートなどの容器など、に対してそれ自身公知の方法により、プローブを固定化した装置である。基体の形状は特に限定されるものではない。また、1つの基体に固定化されるプローブの種類は、第1のプローブと第2のプローブをどちらのプローブに試料中の核酸が結合したのかを識別し、検出することが可能であるように固定化することが望ましい。例えば、異なる固相化領域に固相化してもよく、或いは、同じ固相化領域に固相化して競合的にハイブリダイゼーションを行ってもよい。
【0023】
また、1つの基体に第1のプローブと第2のプローブの組み合わせを複数で固定化してもよく、更に、本発明の態様に従う第1のプローブおよび第2のプローブのセット以外のプローブを同時に固定化してもよい。
【0024】
本発明の態様に従うプローブ固定化基体の例を以下に説明する。
【0025】
(A)第1の例
図2に本発明の態様に従い使用され得るプローブ固定化基体の第1の例を模式的に示した。第1の例であるプローブ固定化基体は、基体16とその表面に存在する1以上の固定化領域15に夫々1以上で固定化されたプローブ11から14を具備する(図2)。本発明の態様に従うと、少なくとも、例えば、プローブ11として第1のプローブを固定化し、プローブ12として第2のプローブを固定化すればよい。
【0026】
このようなプローブ固定化基体は、例えば、それ自身公知の手段によりシリコン基板などの基体に対してプローブを固定化することにより製造することが可能である。
【0027】
本発明の態様に従うと、1つの基体に配置する固定化領域15の数も、そこに固定化されるプローブの数もこれに限定するものではなく、所望に応じて変更してよい。また、複数種類の塩基配列をプローブとして1つの基体に配置してもよい。複数および/または複数種類のプローブの基体への固相パターンは、当業者が必要に応じて適宜設計変更することが可能である。このようなプローブ固定化基体は本発明の範囲内である。
【0028】
(B)第2の例
図3を用いて、本発明の態様において使用され得るプローブ固定化基体の第2の例を説明する。第2例であるプローブ固定化基体は、基体22に具備された1以上の電極23に夫々1以上で固定化されたプローブ17から20を具備する(図3)。電極23は、電気的情報を取り出すためのパット24に接続されている。
【0029】
このようなプローブ固定化基体は、例えば、それ自身公知の手段によりシリコン基板などの基体に電極を配置し、その電極表面に対してプローブを固定化することにより製造することが可能である。本発明の態様に従うと、少なくとも、例えば、プローブ17として第1のプローブを固定化し、プローブ18として第2のプローブを固定化すればよい。
【0030】
本態様においては、電極の数を5としたが1つの基体に配置する電極の数はこれに限定するものではない。また、電極の配置パターンも図3に示したものに限定されるものではなく、当業者が必要に応じて適宜設計変更することが可能である。必要に応じて参照電極および対極を設けてもよい。そのようなプローブ固定化基体も本発明の範囲内である。
【0031】
上記の例に記載するような蛍光検出を行うためのプローブ固定化基体の場合は、上記の何れかの基体に対してプローブを固定化すればよい。また、上記の第1の例に記載するような電気化学的検出を行うためのプローブ固定化基体の場合は、上記の何れかの基体に電気化学的な検出が可能であるように電極を配置し、その電極上にプローブを固定化すればよい。
【0032】
本発明において使用され得る電極は、特に限定されるものではないが、例えば、グラファイト、グラシーカーボン、パイロリティックグラファイト、カーボンペースト、カーボンファイバーのような炭素電極、白金、白金黒、金、パラジウム、ロジウムのような貴金属電極、酸化チタン、酸化スズ、酸化マンガン、酸化鉛のような酸化物電極、Si、Ge、 ZnO、 CdS、 TiO2 、GaAsのような半導体電極、チタン等が挙げられる。これらの電極は導電性高分子によって被覆しても、単分子膜によって被覆してもよく、所望に応じてその他の表面処理剤を処理してもよい。
【0033】
また、異なる塩基配列を有するプローブは、それぞれ、異なる電極に対して固定化されてもよく、異なる塩基配列を有する複数種類のプローブが混合された状態で1つの電極に対して固定化されてもよい。
【0034】
(C)検出
本発明の態様に従うプローブ固定化基体を用いる場合、前記基体に固定化されたプローブと標的核酸との間のハイブリダイゼーション反応の結果生じた二本鎖の存在を検知するための手段として、電気化学的方法および蛍光検出法を利用することが可能である。
【0035】
(a)電気化学的検出
電気化学的による二本鎖核酸の検出は、例えば、それ自身公知の二本鎖認識物質を用いて行えばよい。
【0036】
ここで用いられる二本鎖認識体は特に限定されるものではないが、例えば、ヘキスト33258、アクリジンオレンジ、キナクリン、ドウノマイシン、メタロインターカレーター、ビスアクリジン等のビスインターカレーター、トリスインターカレーターおよびポリインターカレーター等を用いることが可能である。更に、これらのインターカレーターを電気化学的に活性な金属錯体、例えば、フェロセン、ビオロゲン等で修飾しておくことも可能である。また、その他の公知の何れの二本鎖認識物質も本発明において好ましく使用される。
【0037】
本発明の態様に従うプローブ固定化基体では、プローブが電極に対して固定化されている。このような電極を用いての二本鎖核酸の検出は他の一般的な電気化学的検出法と同じように、更に対極や参照極を使用してもよい。参照極を配置する場合、例えば、銀/塩化銀電極や水銀/塩化水銀電極などの一般的な参照極を使用してよい。
【0038】
続いて、適切なハイブリダイゼーションが可能な条件下で反応を行う。そのような適切な条件は、標的配列に含まれる塩基の種類、プローブ固定化基体に具備されるプローブの種類、試料核酸の種類およびそれらの状態などの諸条件に応じて、当業者であれば適宜選択することが可能である。これに限定されるものではないが、例えば以下のような条件下で反応を行ってもよい。
【0039】
例えば、ハイブリダイゼーション反応溶液は、イオン強度0.01〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液中で行う。この溶液中にはハイブリダイゼーション促進剤である硫酸デキストラン、並びに、サケ***DNA、牛胸腺DNA、EDTAおよび界面活性剤などを添加してもよい。ここに得られた試料核酸を添加し、90℃以上で熱変性させる。熱変性された試料核酸へのプローブ固定化基体の挿入は、変性直後、あるいは0℃に急冷後に行ってもよい。また、基体上に液を滴下することでハイブリダイゼーション反応を行うことも可能である。
【0040】
反応中は、撹拌、あるいは振とうなどの操作で反応速度を高めてもよい。反応温度は、例えば、10℃〜90℃の範囲で、反応時間は1分以上1晩程度で行えばよい。ハイブリダイゼーション反応後、電極を洗浄する。洗浄には、例えば、イオン強度0.01〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液を用いればよい。試料核酸中に標的配列を含む標的核酸が存在した場合、プローブとハイブリダイズし、それにより二本鎖核酸が生じる。
【0041】
続いて、電気化学的手段により、以下のような手順で生じた二本鎖核酸の検出を行う。一般的には、ハイブリダイゼーション反応の後に、基体を洗浄し、電極表面に形成された二本鎖部分に二本鎖認識体を作用させて、それにより生じる信号を電気化学的に測定する。
【0042】
二本鎖認識体の濃度は、その種類によって異なるが、一般的には1ng/mL〜1mg/mLの範囲で使用する。この際には、イオン強度0.001〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液を用いればよい。
【0043】
例えば、電気化学的な測定は、二本鎖認識体が電気化学的に反応する電位以上の電位を印加し、二本鎖認識体に由来する反応電流値を測定してよい。この際、電位は定速で掃引するか、あるいはパルスで印加するか、あるいは、定電位を印加してもよい。測定の際に、例えば、ポテンショスタット、デジタルマルチメーターおよびファンクションジェネレーター等の装置を用いて電流、電圧を制御してもよい。例えば、得られた電流値を基に、検量線から標的核酸の濃度を算出してもよい。
【0044】
また、それ自体公知の電気化学的検出手段、例えば、以下の文献に開示されている(Hashimoto et al. 1994, Wang et al. 1998)手段なども本発明の方法において好ましく使用できる。当該文献において、橋本らは、DNAプローブで修飾された金電極と電気化学的に活性な色素を用いる配列特異的遺伝子検出を報告した。色素に由来する陽極の電流は、標的DNAの濃度に相関する。また、ワンらは、インディケーターフリーの電気化学的なDNAのハイブリダイゼーションを報告した。このバイオセンサーの構成は、カーボンペースト電極へのイノシン置換プローブ(グアニンを含まない)の固定化と、当該標識のグアニン酸化ピークの存在による二重鎖の形成のクロノポテンショメトリック検出を含む。これらの文献に記載される検出手段は好ましく本発明において使用されてよい。
【0045】
(b)蛍光検出法
蛍光標識物質を用いる方法の場合には、標的核酸を、FITC、Cy3、Cy5若しくはローダミンなどの蛍光色素などの蛍光学的な活性が得られる物質で標識しておいてもよい。或いは、そのような標識の代わりに前述の物質で標識したセカンドプローブを用いてもよい。また、複数の標識物質を同時に使用してもよい。
【0046】
幾つかの態様においては、試料から抽出した核酸成分とプローブ固定化チップに固定化されたプローブとのハイブリダイゼーション反応は、例えば、以下のように行う。例えば、ハイブリダイゼーション反応溶液は、イオン強度0.01〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液中で行う。この溶液中にはハイブリダイゼーション促進剤である硫酸デキストラン、並びに、サケ***DNA、牛胸腺DNA、EDTAおよび界面活性剤などを添加してもよい。ここに抽出した核酸成分を添加し、90℃以上で熱変性させる。プローブ固定化チップの挿入は、変性直後、あるいは0℃に急冷後に行ってよい。また、基体上に液を滴下することでハイブリダイゼーション反応を行うことも可能である。反応中は、撹拌、あるいは振とうなどの操作で反応速度を高めてもよい。反応温度は、例えば、10℃〜90℃の範囲で、反応時間は1分以上1晩程度で行えばよい。ハイブリダイゼーション反応後、洗浄を行う。洗浄には、例えば、イオン強度0.01〜5の範囲で、pH5〜10の範囲の緩衝液を用いる。
【0047】
蛍光検出の場合、ハイブリダイゼーション反応の検出は、標識の種類に応じた適宜の検出装置を用いて、試料中の標識された塩基配列又は2次プローブ中の標識を検出することによって行う。標識が蛍光物質の場合には、例えば、蛍光検出器を用いて標識を検出すればよい。
【0048】
3.プローブセット
上述した本発明の態様に従う第1のプローブおよび第2のプローブは、検出したいターゲットに応じたプローブセットとして提供されてもよい。
【0049】
4.アッセイキット
上述の本発明の態様に従うと、上述のプローブ固定化基体および/またはプローブセットがアッセイキットとして提供されてもよい。例えば、使用目的に応じて選択し、組み合わせ、適切なアッセイキットとして提供されてもよい。更に、それらに加えて、緩衝液用塩類、その他の必要な試薬、標識物質および/または反応容器などを組み合わせてアッセイキットとして提供されてもよい。また、基体に固定化されていないプローブと基体とをアッセイキットに具備させてもよい。
【0050】
例えば、本発明に従う第1および第2のプローブおよび/またはプローブ固相化基体は、反応容器、緩衝液用塩類および/またはその他の必要な試薬、例えば、標識物質など、と組み合わせてアッセイキットとして提供されてもよい。
【0051】
【実施例】
実施例1
ヒトのMxA遺伝子のプロモーター領域にあるSNP(−123位)の検出を行なった。ターゲットの遺伝子はモデルとして5’末端をCy5で標識した配列番号1および配列番号2の合成オリゴヌクレオチドを用いた。SNPの型は−123位が「C」または「A」の2パターンである。従って、それぞれに15mer(即ち、配列番号3および配列番号4)と14mer(即ち、配列番号5および配列番号6)のプローブを合成した。プローブの3’末端にはチオール基を導入した。プローブを固定化する基板にはスライドガラスを用い、次の通りにプローブ固定化基体を製造した。
【0052】
まず、スライドガラスを硫酸:過酸化水素水=2:1の溶液で処理し、正常な表面を作り出した。次に、1%のγ−アミノプロピルトリエトキシシランで1時間処理した後、水洗し、0.3mg/mlのEMCS(同仁研究所)と2時間反応させた。洗浄後、基板を乾燥させ、50μg/mLの濃度のプローブ溶液をスポット固定した。
【0053】
それぞれ2種類のプローブを固定化した基板上でハイブリダイゼーション反応を行い、蛍光強度を測定した。その結果、15merのプローブを用いた際はミスマッチでもかなり信号強度が高く、S/Nは1.5程度であったが(図4)、プローブを14merにすると蛍光強度はほぼそのままで、S/Nは約5程度まで改善された(図5)。
【0054】
以上の結果から明かであるように、本発明の方法に従うと、高い特異性でSNPを検出することが可能であった。本発明に従う核酸配列の解析方法、プローブ固定化基体、アッセイキットおよびプローブセットを用いると、簡便に且つ短時間に目的とする核酸配列の解析が可能である。
【0055】
実施例2
ヒトのMxA遺伝子のプロモーター領域にあるSNP(−88位)の検出を行なった。ターゲットの遺伝子はモデルとして配列番号7、配列番号8の合成オリゴヌクレオチドを用いた。SNPの型は−88位が「G」あるいは「T」の2パターンである。従って、検出し難いG−Aミスマッチが形成されることが考えられた。そこで、G型検出用プローブは14mer(配列番号9)、A型検出用プローブは15mer(配列番号11)として、その5’末端にチオール基を導入した。G型検出用プローブに関してはコントロールとして、15merの合成も行なった(配列番号10)。
【0056】
全てのプローブの5’末端にはチオール基を導入して、金電極上に固定化した。金電極は、ガラス基板上にチタン/金の薄膜を形成し、フォトリソグラフィーでパターニングして作製した。プローブ固定化電極上でハイブリダイゼーション反応を行い、洗浄後、ヘキスト33258の酸化電流値を測定した。その結果、全て15merのプローブを用いると、G−Aミスマッチの信号が大きくなってしまい、S/Nは1.5程度であった(図6)。これに対し、G型検出用プローブを14merに変えたチップではG−Aのミスマッチも良く抑制できており、SNPの型判定が可能である事が示された(図7)。
【0057】
以上の結果から明かであるように、本発明の方法に従うと、高い特異性でSNPを検出することが可能であった。本発明に従う核酸配列の解析方法、プローブ固定化基体、アッセイキットおよびプローブセットを用いると、簡便に且つ短時間に目的とする核酸配列の解析が可能である。
【0058】
【発明の効果】
本発明に従う核酸配列の解析方法、プローブ固定化基体、アッセイキットおよびプローブセットを用いると、SNPsや点突然変異が、高い特異性で検出することが可能である。
【0059】
【配列表】
Figure 0003697436
Figure 0003697436
Figure 0003697436
Figure 0003697436

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の態様に従うプローブの例を示す模式図。
【図2】本発明の態様に従うプローブ固定化基体の例を示す模式図。
【図3】本発明の態様に従うプローブ固定化基体の例を示す模式図。
【図4】実施例1の結果を示すグラフ。
【図5】実施例1の結果を示すグラフ。
【図6】実施例2の結果を示すグラフ。
【図7】実施例2の結果を示すグラフ。
【符号の説明】
1.基体 2,4,6,8.第2のプローブ 3,5,7,9.第1のプローブ 11,12,13,14,17,18,19,20.プローブ 15.固定化領域 16.基体 22.基体 23.電極 24.パット

Claims (6)

  1. 第1の標的部位と第1の配列を含む第1のプローブと、第1の配列よりも1塩基だけ短く、第1の標的部位の位置に対応する第2の標的部位の1塩基を除いて相同な配列を含む第2のプローブとに対して、試料中の核酸を適切なハイブリダイゼーションの生じる条件下で反応させることを具備し、
    前記第1の標的部位と第2の標的部位の塩基の組み合わせが、チミンとグアニン、アデニンとグアニン、シトシンとアデニン、シトシンとチミン、ウラシルとグアニン、シトシンとウラシルからなる群より選択されることを特徴とする核酸配列の解析方法。
  2. 前記反応後に、第1の核酸プローブおよび第2の核酸プローブに対する前記試料中の核酸の結合の存在を検出することにより、前記核酸の一塩基多型の遺伝子型を判定することを更に具備することを特徴とする請求項1に記載の核酸配列の解析方法。
  3. 前記反応後に、第1の核酸プローブまたは第2の核酸プローブに対する前記試料中の核酸の結合の存在を検出することにより、前記核酸の点変異を検出することを更に具備することを特徴とする請求項1に記載の核酸配列の解析方法。
  4. 第1の標的部位と第1の配列を含む第1の核酸プローブと、第1の配列よりも1塩基だけ短く、第1の標的部位の位置に対応する第2の標的部位の1塩基を除いて相同な配列を含む第2の核酸プローブとを具備し、
    前記第1の標的部位と、第2の標的部位の塩基の組み合わせが、チミンとグアニン、アデニンとグアニン、シトシンとアデニン、シトシンとチミン、ウラシルとグアニン、シトシンとウラシルからなる群より選択されることを特徴とするプローブ固定化基体
  5. 請求項に記載のプローブ固定化基体、および第1の標的部位と第1の配列を含む第1の核酸プローブと、第1の配列よりも1塩基だけ短く、第1の標的部位の位置に対応する第2の標的部位の1塩基を除いて相同な配列を含む第2の核酸プローブとのプローブセットであって、第1の標的部位と第2の標的部位の塩基の組み合わせがチミンとグアニン、アデニンとグアニン、シトシンとアデニン、シトシンとチミン、ウラシルとグアニン、シトシンとウラシルからなる群より選択されることを特徴とするプローブセットからなる群より選択される構成要素を少なくとも具備する核酸配列解析用のアッセイキット。
  6. 第1の標的部位と第1の配列を含む第1の核酸プローブと、第1の配列よりも1塩基だけ短く、第1の標的部位の位置に対応する第2の標的部位の1塩基を除いて相同な配列を含む第2の核酸プローブとのプローブセットにおいて、
    前記第1の標的部位と第2の標的部位の塩基の組み合わせがチミンとグアニン、アデニンとグアニン、シトシンとアデニン、シトシンとチミン、ウラシルとグアニン、シトシンとウラシルからなる群より選択されること特徴とするプローブセット
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