JP3696959B2 - 正方晶安定化ジルコニア/ランタンヘキサフェライト系複合焼結体 - Google Patents
正方晶安定化ジルコニア/ランタンヘキサフェライト系複合焼結体 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は強磁性体であるランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体を、二酸化ジルコニウム中に、酸化セシウム、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、または酸化カルシウムを2〜15モル%の量で固溶させた正方晶安定化ジルコニア中でin−situ生成させて得られる、機械的強度が向上され、構造材料としても利用可能な、強磁性の正方晶安定化ジルコニア/ランタンヘキサフェライト系複合焼結体、例えば強磁性のセリア安定化ジルコニア/ランタンヘキサフェライト系複合焼結体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
焼結体の粒子形状に異方性を持たせることにより焼結体の強度および破壊靭性値を向上させることはこれまでに知られており、例えば高畑らはアルミナまたはアルミナ−ジルコニア中でランタン−β−アルミナの柱状晶を発達させることによりこれらの性質の向上を図っている〔特開昭63−139044号公報、第25回窯業基礎討論会講演要旨集(1987年)3A03〕。また同様な着想から、二酸化ジルコニウム中に酸化セリウムを固溶させて得られる、破壊靭性値が高く、熱水中での劣化のない優れた材料であることが知られているセリア安定化ジルコニアについて、その曲げ強度が低いという欠点を改良するために、焼結体とした場合の粒子形状に異方性を持たせるためにアルミナおよびランタン系β−アルミナの存在下にセリア安定化ジルコニアを焼結し、もってセリア安定化ジルコニアの強度および破壊靭性値を向上さようとする試みがなされている(特開平4−238861号公報)。
【0003】
ところで強磁性体としてランタンヘキサフェライト(LaFe12O19)がこれまでに知られている。このものは板状結晶であり、したがってこれをセリア安定化ジルコニアと混合して焼結することにより前記のような効果が生じてセリア安定化ジルコニアの強度と破壊靭性値が向上し、しかも強磁性を持つ焼結体の得られることが期待される。しかしながらかかる観点からセリア安定化ジルコニアとランタンヘキサフェライト複合焼結体を得るために、ランタン塩と酸化鉄およびセリア安定化ジルコニアとを適量づつ混合して焼結したところ、ランタンヘキサフェライトはジルコニア焼結体を焼結するための最低温度である1300℃程度で分解してしまい、所望の焼結体を得ることができない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、強磁性を示す材料であるランタンヘキサフェライトを強磁性を失わせることなく、且つジルコニア系セラミックスの焼結温度である1300℃以上で分解しないで生成させる方法、およびジルコニア焼結体中に生成するランタンヘキサフェライト系の化合物の結晶構造が板状晶であることに由来して、強磁性を有しそして、高い破壊靭性値および曲げ強度をも有するセリア安定化ジルコニア/ランタンヘキサフェライト系複合焼結体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究の結果上記した課題が、強磁性を有するランタン−ヘキサフェライトにランタン−β−アルミナを固溶させて形成されるランタンヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体を、正方晶安定化ジルコニア中でin−situ生成させることによって、構造材料として利用可能な、機械的強度が向上された強磁性のセリア安定化ジルコニア/ランタンヘキサフェライト系複合焼結体とすることにより達成されることを見出して本発明を完成させた。
【0006】
すなわち本発明は、
(a) 二酸化ジルコニウム中に、酸化セシウム、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、または酸化カルシウムを2〜15モル%の量で固溶させた正方晶安定化ジルコニア60〜90重量%と
(b) 式
La(Fex,Al1-x)12O19
(式中、xは0.5〜0.9の数を表す)で表されるランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体40〜10重量%
とからなる、強磁性の正方晶安定化ジルコニア/ランタンヘキサフェライト系複合焼結体に関するものである。
【0007】
さらに又本発明は、
(a) 二酸化ジルコニウム中に、酸化セシウム、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、または酸化カルシウムを2〜15モル%の量で固溶させた正方晶安定化ジルコニア60〜90重量%と、
(b)i) あらかじめランタン塩、酸化鉄、およびγ−アルミナを混合し、仮焼して得られるランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体の前駆体、ii) 酸化鉄、および iii) α−アルミナを混合し、得られた混合物を焼成したときに式
La(Fex,Al1-x)12O19
(式中、xは0.5〜0.9の数を表す)で表されるランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体が形成される割合の、上記i)〜iii) の混合物40〜10重量%
とを混合し、この(a)および(b)の混合物を成形したのちに焼結することを特徴とする、強磁性の正方晶安定化ジルコニア/ランタンヘキサフェライト系複合焼結体の製造方法にも関する。
【0008】
本発明に於いて用いられる正方晶安定化ジルコニアとは、二酸化ジルコニウム中に、酸化セシウム、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、または酸化カルシウムを2〜15モル%の量で固溶させて得られる正方晶系の物質である。
【0009】
すなわち本発明においては、正方晶安定化ジルコニアとしては、セリア安定化ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア、マグネシア安定化ジルコニア、酸化カルシウム安定化ジルコニアなどの、ジルコニア中に正方晶安定化剤として有効量の、二酸化セリウム(CeO2)を安定化剤として10モル%以上、二酸化イットリウム(Y2O3)を安定化剤として2モル%以上、酸化マグネシウム(MgO)および酸化カルシウム(CaO)を安定化剤としてそれぞれ16モル%以上固溶体として含有する、結晶相として正方晶のジルコニアが用いられる。
【0010】
そしてこの正方晶安定化ジルコニアは、複合焼結体の全組成中60〜90重量%となる範囲で用いられる。そしてこの正方晶安定化ジルコニアが60重量%未満では複合焼結体の曲げ強度が低くなり、また90重量%を越えると複合焼結体の磁性が保てなくなるので、これらの組成では高強度で且つ磁性を持つ優れた焼結体材料は得られない。
【0011】
本発明に於いて用いられるランタン−ヘキサフェライト−ランタン−β−アルミナ固溶体とは、式
La(Fex,Al1-x)12O19
で表されるものであって、xが0.5〜0.9の範囲のものは強磁性を示す。すなわち、x=0.5未満では(アルミナの量が多い)強磁性を示さず、x=0.9を超える(アルミナの量が少ない)とセリア安定化ジルコニアの焼結温度である1300℃では分解してしまい複合焼結体を作成できない。
【0012】
このランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体は、ランタンのカルボン酸塩、例えばギ酸ランタン、酢酸ランタン、シュウ酸ランタンなど、およびランタンの無機酸塩、例えば硝酸ランタン、炭酸ランタンなどと、酸化鉄と、γ−アルミナとを、例えばモル比で1:0.75:0.25(x=0.75の場合)で混合し、そして約1000〜1300℃、好ましくは1100〜1200℃の温度で仮焼して、式
La(Fey,Al1-y)O3
(式中、yは0.5〜0.9の数を表す)で表されるランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体の前駆体を生成させる。この生成したランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体の前駆体に酸化鉄およびα−アルミナを添加し正方晶安定化ジルコニアと共に1300〜1400℃の温度で焼結することによって正方晶安定化ジルコニア中に式
La(Fex,Al1-x)12O19
(式中、xは0.5〜0.9の数を表す)で表されるランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体が生成する。
【0013】
このようにランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体の前駆体を最初に作りこれにさらに必要量のアルミナおよび酸化鉄を添加し、正方晶安定化ジルコニアと混合焼結させる二段階を経ることによって所望の焼結体が得られるのである。
【0014】
このようにして本発明によれば新規な正方晶安定化ジルコニア/ランタンヘキサフェライト系複合焼結体が得られるが、この正方晶安定化ジルコニア中に複合されて存在する、ランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体も、本発明者らが初めて見出した新規な物質である。
【0015】
上記したように、ランタンフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体の前駆体と、酸化鉄と、α−アルミナとを、正方晶安定化ジルコニアと一緒に焼成するにあたっては、これらをまず所定量計量し、好ましくはアルコールのような溶媒の存在下に、ボールミル、ペブルミル、ニーダー、その他の適宜の混合機で混合し、乾燥し、得られた粉末を単軸プレスおよび静水圧等方プレス(CIP)により成形し、得られた成形体を1300〜1400℃の温度で焼成することにより本発明の複合焼結体が得られる。
【0016】
この焼成温度において、ランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体は正方晶安定化ジルコニア中で板状に結晶が成長し、複合材料としてフェライトに基づく磁性が保持されることになると共に、複合焼結体中に亀裂が進展した場合、その亀裂が板状のランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体により偏向させられるため、複合焼結体の強度および破壊靭性値が向上するものと考えられる。もっとも、この複合焼結体の破壊靭性値及び曲げ強度が高い理由は後述する実施例で得られた複合焼結体の電子顕微鏡写真からも証明されるところであるが、この理由はなお仮説に基づくものに過ぎない所から、この妥当性の如何が本発明の特許性に影響を及ぼすものではない。
【0017】
【発明の効果】
本発明の複合焼結体は構成成分のランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体の強磁性体としての特徴に加えて、機械的強度、殊に破壊靭性値及び曲げ強度が優れており、また切削加工性に優れていることから、強磁性を有する構造材料、例えば磁気シールド材料、破壊センサーなどの用途が期待できる。
【0018】
【実施例】
次に本発明を実施例によって更に具体的に説明する。
【0019】
実施例 1
焼結体組成:12Ce−TZP/20重量%La(Fe0.75,Al0.25)12O19
蓚酸ランタン(La2(C2O4)・10H2O)83.25g、酸化鉄(III)13.81gおよびγ−アルミナ2.94gを混合し、これにエタノール400mlを加えてボールミル中で24時間混合した。得られた混合物をステンレスバットに取り出し、ホットプレート上で乾燥させた後、電気炉で1100℃で4時間仮焼した。このようにして式 La(FeO0.75Al0.25)O3 で表されるランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体の前駆体を得た。その後、セリア安定化ジルコニア80g、上記で得られたランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体の前駆体3.76g、酸化鉄(III)12.89gおよびα−アルミナ2.49gを混合し、これにエタノール400mlを加えてボールミル中で24時間混合した。得られた混合物をステンレスバットに取り出し、ホットプレート上で乾燥させた後、単軸プレス機で50kg/cm2の圧力で成形後、静水圧等方プレス(CIP)を用いて2000kg/cm2の圧力で成形し、得られた成形物を電気炉中で1350℃の温度で12時間焼結した。得られた焼結体についてその物性を測定したところ、機械強度については、曲げ強度740MPa、破壊靭性値11MPa・m0.5の値が得られた。また磁気特性については保磁力の測定により1.5KOeの値を示した。またこのこの焼結体を研磨しその表面を1300℃−15分間の熱エッチングにより処理し、この研磨面の結晶構造を走査電子顕微鏡で観察した。得られた走査電子顕微鏡写真を図1に示す。この写真からセリア安定化ジルコニアマトリックス中において板状のランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体が成長していることが分かる。
【0020】
実施例 2
焼結体組成:12Ce−TZP/20重量%La(Fe0.90,Al0.10)12O19
蓚酸ランタン(La2(C2O4)・10H2O)82.42g、酸化鉄(III)16.41gおよびγ−アルミナ1.17gを混合し、これにエタノール400mlを加えてボールミル中で24時間混合した。得られた混合物をステンレスバットに取り出し、ホットプレート上で乾燥させた後、電気炉で1100℃で4時間仮焼した。このようにして式 La(FeO0.90Al0.10)O3 で表されるランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体の前駆体を得た。その後、セリア安定化ジルコニア80g、上記で得られたランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体の前駆体4.44g、酸化鉄(III)14.62gおよびα−アルミナ0.94gを混合し、これにエタノール400mlを加えてボールミル中で24時間混合した。得られた混合物をステンレスバットに取り出し、ホットプレート上で乾燥させた後、単軸プレス機で50kg/cm2の圧力で成形後、静水圧等方プレス(CIP)を用いて2000kg/cm2の圧力で成形し、得られた成形物を電気炉中で1350℃の温度で12時間焼結した。得られた焼結体についてその物性を測定したところ、機械強度については、曲げ強度715MPa、破壊靭性値10.5MPa・m0.5の値が得られた。また磁気特性については保磁力の測定により2.0KOeの値を示した。
【0021】
比較例
焼結体組成:12Ce−TZP/20重量%La(Fe0.45,Al0.55)12O19
蓚酸ランタン(La2(C2O4)・10H2O)84.95g、酸化鉄(III)8.45gおよびγ−アルミナ6.60gを混合し、これにエタノール400mlを加えてボールミル中で24時間混合した。得られた混合物をステンレスバットに取り出し、ホットプレート上で乾燥させた後、電気炉で1100℃で4時間仮焼した。このようにして式 La(FeO0.45Al0.55)O3 で表されるランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体の前駆体を得た。その後、セリア安定化ジルコニア80g、上記で得られたランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体の前駆体5.17g、酸化鉄(III)8.68gおよびα−アルミナ6.15gを混合し、これにエタノール400mlを加えてボールミル中で24時間混合した。得られた混合物をステンレスバットに取り出し、ホットプレート上で乾燥させた後、単軸プレス機で50kg/cm2の圧力で成形後、静水圧等方プレス(CIP)を用いて2000kg/cm2の圧力で成形し、得られた成形物を電気炉中で1350℃の温度で12時間焼結した。得られた焼結体についてその物性を測定したところ、磁性を示さなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合焼結体の研磨面の結晶構造の走査電子顕微鏡写真である。
【発明の属する技術分野】
本発明は強磁性体であるランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体を、二酸化ジルコニウム中に、酸化セシウム、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、または酸化カルシウムを2〜15モル%の量で固溶させた正方晶安定化ジルコニア中でin−situ生成させて得られる、機械的強度が向上され、構造材料としても利用可能な、強磁性の正方晶安定化ジルコニア/ランタンヘキサフェライト系複合焼結体、例えば強磁性のセリア安定化ジルコニア/ランタンヘキサフェライト系複合焼結体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
焼結体の粒子形状に異方性を持たせることにより焼結体の強度および破壊靭性値を向上させることはこれまでに知られており、例えば高畑らはアルミナまたはアルミナ−ジルコニア中でランタン−β−アルミナの柱状晶を発達させることによりこれらの性質の向上を図っている〔特開昭63−139044号公報、第25回窯業基礎討論会講演要旨集(1987年)3A03〕。また同様な着想から、二酸化ジルコニウム中に酸化セリウムを固溶させて得られる、破壊靭性値が高く、熱水中での劣化のない優れた材料であることが知られているセリア安定化ジルコニアについて、その曲げ強度が低いという欠点を改良するために、焼結体とした場合の粒子形状に異方性を持たせるためにアルミナおよびランタン系β−アルミナの存在下にセリア安定化ジルコニアを焼結し、もってセリア安定化ジルコニアの強度および破壊靭性値を向上さようとする試みがなされている(特開平4−238861号公報)。
【0003】
ところで強磁性体としてランタンヘキサフェライト(LaFe12O19)がこれまでに知られている。このものは板状結晶であり、したがってこれをセリア安定化ジルコニアと混合して焼結することにより前記のような効果が生じてセリア安定化ジルコニアの強度と破壊靭性値が向上し、しかも強磁性を持つ焼結体の得られることが期待される。しかしながらかかる観点からセリア安定化ジルコニアとランタンヘキサフェライト複合焼結体を得るために、ランタン塩と酸化鉄およびセリア安定化ジルコニアとを適量づつ混合して焼結したところ、ランタンヘキサフェライトはジルコニア焼結体を焼結するための最低温度である1300℃程度で分解してしまい、所望の焼結体を得ることができない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、強磁性を示す材料であるランタンヘキサフェライトを強磁性を失わせることなく、且つジルコニア系セラミックスの焼結温度である1300℃以上で分解しないで生成させる方法、およびジルコニア焼結体中に生成するランタンヘキサフェライト系の化合物の結晶構造が板状晶であることに由来して、強磁性を有しそして、高い破壊靭性値および曲げ強度をも有するセリア安定化ジルコニア/ランタンヘキサフェライト系複合焼結体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究の結果上記した課題が、強磁性を有するランタン−ヘキサフェライトにランタン−β−アルミナを固溶させて形成されるランタンヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体を、正方晶安定化ジルコニア中でin−situ生成させることによって、構造材料として利用可能な、機械的強度が向上された強磁性のセリア安定化ジルコニア/ランタンヘキサフェライト系複合焼結体とすることにより達成されることを見出して本発明を完成させた。
【0006】
すなわち本発明は、
(a) 二酸化ジルコニウム中に、酸化セシウム、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、または酸化カルシウムを2〜15モル%の量で固溶させた正方晶安定化ジルコニア60〜90重量%と
(b) 式
La(Fex,Al1-x)12O19
(式中、xは0.5〜0.9の数を表す)で表されるランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体40〜10重量%
とからなる、強磁性の正方晶安定化ジルコニア/ランタンヘキサフェライト系複合焼結体に関するものである。
【0007】
さらに又本発明は、
(a) 二酸化ジルコニウム中に、酸化セシウム、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、または酸化カルシウムを2〜15モル%の量で固溶させた正方晶安定化ジルコニア60〜90重量%と、
(b)i) あらかじめランタン塩、酸化鉄、およびγ−アルミナを混合し、仮焼して得られるランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体の前駆体、ii) 酸化鉄、および iii) α−アルミナを混合し、得られた混合物を焼成したときに式
La(Fex,Al1-x)12O19
(式中、xは0.5〜0.9の数を表す)で表されるランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体が形成される割合の、上記i)〜iii) の混合物40〜10重量%
とを混合し、この(a)および(b)の混合物を成形したのちに焼結することを特徴とする、強磁性の正方晶安定化ジルコニア/ランタンヘキサフェライト系複合焼結体の製造方法にも関する。
【0008】
本発明に於いて用いられる正方晶安定化ジルコニアとは、二酸化ジルコニウム中に、酸化セシウム、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、または酸化カルシウムを2〜15モル%の量で固溶させて得られる正方晶系の物質である。
【0009】
すなわち本発明においては、正方晶安定化ジルコニアとしては、セリア安定化ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア、マグネシア安定化ジルコニア、酸化カルシウム安定化ジルコニアなどの、ジルコニア中に正方晶安定化剤として有効量の、二酸化セリウム(CeO2)を安定化剤として10モル%以上、二酸化イットリウム(Y2O3)を安定化剤として2モル%以上、酸化マグネシウム(MgO)および酸化カルシウム(CaO)を安定化剤としてそれぞれ16モル%以上固溶体として含有する、結晶相として正方晶のジルコニアが用いられる。
【0010】
そしてこの正方晶安定化ジルコニアは、複合焼結体の全組成中60〜90重量%となる範囲で用いられる。そしてこの正方晶安定化ジルコニアが60重量%未満では複合焼結体の曲げ強度が低くなり、また90重量%を越えると複合焼結体の磁性が保てなくなるので、これらの組成では高強度で且つ磁性を持つ優れた焼結体材料は得られない。
【0011】
本発明に於いて用いられるランタン−ヘキサフェライト−ランタン−β−アルミナ固溶体とは、式
La(Fex,Al1-x)12O19
で表されるものであって、xが0.5〜0.9の範囲のものは強磁性を示す。すなわち、x=0.5未満では(アルミナの量が多い)強磁性を示さず、x=0.9を超える(アルミナの量が少ない)とセリア安定化ジルコニアの焼結温度である1300℃では分解してしまい複合焼結体を作成できない。
【0012】
このランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体は、ランタンのカルボン酸塩、例えばギ酸ランタン、酢酸ランタン、シュウ酸ランタンなど、およびランタンの無機酸塩、例えば硝酸ランタン、炭酸ランタンなどと、酸化鉄と、γ−アルミナとを、例えばモル比で1:0.75:0.25(x=0.75の場合)で混合し、そして約1000〜1300℃、好ましくは1100〜1200℃の温度で仮焼して、式
La(Fey,Al1-y)O3
(式中、yは0.5〜0.9の数を表す)で表されるランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体の前駆体を生成させる。この生成したランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体の前駆体に酸化鉄およびα−アルミナを添加し正方晶安定化ジルコニアと共に1300〜1400℃の温度で焼結することによって正方晶安定化ジルコニア中に式
La(Fex,Al1-x)12O19
(式中、xは0.5〜0.9の数を表す)で表されるランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体が生成する。
【0013】
このようにランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体の前駆体を最初に作りこれにさらに必要量のアルミナおよび酸化鉄を添加し、正方晶安定化ジルコニアと混合焼結させる二段階を経ることによって所望の焼結体が得られるのである。
【0014】
このようにして本発明によれば新規な正方晶安定化ジルコニア/ランタンヘキサフェライト系複合焼結体が得られるが、この正方晶安定化ジルコニア中に複合されて存在する、ランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体も、本発明者らが初めて見出した新規な物質である。
【0015】
上記したように、ランタンフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体の前駆体と、酸化鉄と、α−アルミナとを、正方晶安定化ジルコニアと一緒に焼成するにあたっては、これらをまず所定量計量し、好ましくはアルコールのような溶媒の存在下に、ボールミル、ペブルミル、ニーダー、その他の適宜の混合機で混合し、乾燥し、得られた粉末を単軸プレスおよび静水圧等方プレス(CIP)により成形し、得られた成形体を1300〜1400℃の温度で焼成することにより本発明の複合焼結体が得られる。
【0016】
この焼成温度において、ランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体は正方晶安定化ジルコニア中で板状に結晶が成長し、複合材料としてフェライトに基づく磁性が保持されることになると共に、複合焼結体中に亀裂が進展した場合、その亀裂が板状のランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体により偏向させられるため、複合焼結体の強度および破壊靭性値が向上するものと考えられる。もっとも、この複合焼結体の破壊靭性値及び曲げ強度が高い理由は後述する実施例で得られた複合焼結体の電子顕微鏡写真からも証明されるところであるが、この理由はなお仮説に基づくものに過ぎない所から、この妥当性の如何が本発明の特許性に影響を及ぼすものではない。
【0017】
【発明の効果】
本発明の複合焼結体は構成成分のランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体の強磁性体としての特徴に加えて、機械的強度、殊に破壊靭性値及び曲げ強度が優れており、また切削加工性に優れていることから、強磁性を有する構造材料、例えば磁気シールド材料、破壊センサーなどの用途が期待できる。
【0018】
【実施例】
次に本発明を実施例によって更に具体的に説明する。
【0019】
実施例 1
焼結体組成:12Ce−TZP/20重量%La(Fe0.75,Al0.25)12O19
蓚酸ランタン(La2(C2O4)・10H2O)83.25g、酸化鉄(III)13.81gおよびγ−アルミナ2.94gを混合し、これにエタノール400mlを加えてボールミル中で24時間混合した。得られた混合物をステンレスバットに取り出し、ホットプレート上で乾燥させた後、電気炉で1100℃で4時間仮焼した。このようにして式 La(FeO0.75Al0.25)O3 で表されるランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体の前駆体を得た。その後、セリア安定化ジルコニア80g、上記で得られたランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体の前駆体3.76g、酸化鉄(III)12.89gおよびα−アルミナ2.49gを混合し、これにエタノール400mlを加えてボールミル中で24時間混合した。得られた混合物をステンレスバットに取り出し、ホットプレート上で乾燥させた後、単軸プレス機で50kg/cm2の圧力で成形後、静水圧等方プレス(CIP)を用いて2000kg/cm2の圧力で成形し、得られた成形物を電気炉中で1350℃の温度で12時間焼結した。得られた焼結体についてその物性を測定したところ、機械強度については、曲げ強度740MPa、破壊靭性値11MPa・m0.5の値が得られた。また磁気特性については保磁力の測定により1.5KOeの値を示した。またこのこの焼結体を研磨しその表面を1300℃−15分間の熱エッチングにより処理し、この研磨面の結晶構造を走査電子顕微鏡で観察した。得られた走査電子顕微鏡写真を図1に示す。この写真からセリア安定化ジルコニアマトリックス中において板状のランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体が成長していることが分かる。
【0020】
実施例 2
焼結体組成:12Ce−TZP/20重量%La(Fe0.90,Al0.10)12O19
蓚酸ランタン(La2(C2O4)・10H2O)82.42g、酸化鉄(III)16.41gおよびγ−アルミナ1.17gを混合し、これにエタノール400mlを加えてボールミル中で24時間混合した。得られた混合物をステンレスバットに取り出し、ホットプレート上で乾燥させた後、電気炉で1100℃で4時間仮焼した。このようにして式 La(FeO0.90Al0.10)O3 で表されるランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体の前駆体を得た。その後、セリア安定化ジルコニア80g、上記で得られたランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体の前駆体4.44g、酸化鉄(III)14.62gおよびα−アルミナ0.94gを混合し、これにエタノール400mlを加えてボールミル中で24時間混合した。得られた混合物をステンレスバットに取り出し、ホットプレート上で乾燥させた後、単軸プレス機で50kg/cm2の圧力で成形後、静水圧等方プレス(CIP)を用いて2000kg/cm2の圧力で成形し、得られた成形物を電気炉中で1350℃の温度で12時間焼結した。得られた焼結体についてその物性を測定したところ、機械強度については、曲げ強度715MPa、破壊靭性値10.5MPa・m0.5の値が得られた。また磁気特性については保磁力の測定により2.0KOeの値を示した。
【0021】
比較例
焼結体組成:12Ce−TZP/20重量%La(Fe0.45,Al0.55)12O19
蓚酸ランタン(La2(C2O4)・10H2O)84.95g、酸化鉄(III)8.45gおよびγ−アルミナ6.60gを混合し、これにエタノール400mlを加えてボールミル中で24時間混合した。得られた混合物をステンレスバットに取り出し、ホットプレート上で乾燥させた後、電気炉で1100℃で4時間仮焼した。このようにして式 La(FeO0.45Al0.55)O3 で表されるランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体の前駆体を得た。その後、セリア安定化ジルコニア80g、上記で得られたランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体の前駆体5.17g、酸化鉄(III)8.68gおよびα−アルミナ6.15gを混合し、これにエタノール400mlを加えてボールミル中で24時間混合した。得られた混合物をステンレスバットに取り出し、ホットプレート上で乾燥させた後、単軸プレス機で50kg/cm2の圧力で成形後、静水圧等方プレス(CIP)を用いて2000kg/cm2の圧力で成形し、得られた成形物を電気炉中で1350℃の温度で12時間焼結した。得られた焼結体についてその物性を測定したところ、磁性を示さなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合焼結体の研磨面の結晶構造の走査電子顕微鏡写真である。
Claims (2)
- (a) 二酸化ジルコニウム中に、酸化セシウム、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、または酸化カルシウムを2〜15モル%の量で固溶させた正方晶安定化ジルコニア60〜90重量%と
(b) 式
La(Fex,Al1-x)12O19
(式中、xは0.5〜0.9の数を表す)で表されるランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体40〜10重量%
とからなる、強磁性の正方晶安定化ジルコニア/ランタンヘキサフェライト系複合焼結体。 - (a) 二酸化ジルコニウム中に、酸化セシウム、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、または酸化カルシウムを2〜15モル%の量で固溶させた正方晶安定化ジルコニア60〜90重量%と、
(b)i) あらかじめランタン塩、酸化鉄およびγ−アルミナを混合し、仮焼して得られるランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体の前駆体、ii) 酸化鉄、および iii) α−アルミナを混合し、この混合物を焼成したときに、式
La(Fex,Al1-x)12O19
(式中、xは0.5〜0.9の数を表す)で表されるランタン−ヘキサフェライト/ランタン−β−アルミナ固溶体が形成される割合の、上記i)〜iii) の混合物40〜10重量%
とを混合し、そしてこの(a)および(b)の混合物を成形した後に焼結することを特徴とする、強磁性の正方晶安定化ジルコニア/ランタンヘキサフェライト系複合焼結体の製造方法。
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