JP3695621B2 - 車両用乗員拘束保護装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両に装備される車両用乗員拘束保護装置に関し、特に、乗員を保護するためのシートベルトの巻き取り及び引き出しを行う電動リトラクタを用いた車両用乗員拘束保護装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
シートベルトを引き出す又は巻き取るための電動リトラクタを備えた車両用乗員拘束保護装置は、従来より知られており、この電動リトラクタはシートベルトの非装着を検知するとシートベルトの巻き取りを完了するまでシートベルトの巻き取りを行なっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このため、一旦シートベルトのタングをバックルから解除し、シートベルトを非装着状態にした後に、すぐにシートベルトのタングをバックルに装着する場合には、電動リトラクタのシートベルトを巻き取る力に逆らって、シートベルトの引き出しを行わなければならないので、高齢者等の非力で運動能力の減衰した乗員にはシートベルトの装着が困難であった。
【0004】
本発明は、上記点に着目してなされたものであり、快適なシートベルト装着環境を提供することができる車両用乗員拘束保護装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の車両用乗員拘束保護装置は、シートベルトの巻き取り及び引き出しを行う電動リトラクタと、前記電動リトラクタを駆動させる駆動手段と、前記シートベルトが引き出しされたことを検知するシートベルト引き出し検知手段と、前記シートベルトが解除されたことを検出する検出手段とを備えている車両用乗員拘束保護装置において、前記検出手段により前記シートベルトの解除が検出された時に、前記駆動手段により前記電動リトラクタを駆動させて前記シートベルトの巻き取りを開始させ、該巻き取り開始からその完了までの間の少なくとも一つの所定期間は前記駆動手段による前記電動リトラクタの駆動を停止させ、当該所定期間内に前記シートベルト引き出し検知手段により前記シートベルトの引き出しが検知された場合には、前記駆動手段により前記電動リトラクタを駆動させて前記シートベルトの引き出しを行うように制御する制御手段を備えていることを特徴とする。
【0006】
本発明の構成によれば、検出手段によりシートベルトの解除が検出された時に、駆動手段により電動リトラクタを駆動させてシートベルトの巻き取りを開始させ、該巻き取り開始からその完了までの間の少なくとも一つの所定期間は駆動手段による電動リトラクタの駆動を停止させ、当該所定期間内にシートベルト引き出し検知手段によりシートベルトの引き出しが検知された場合には、駆動手段により電動リトラクタを駆動させてシートベルトの引き出しを行うように制御されるので、電動リトラクタのシートベルトを巻き取る力に逆らって、シートベルトの引き出しを行う必要がなくなり、快適なシートベルト装着環境を提供することができる。
【0007】
前記制御手段は、さらに当該所定期間内に前記シートベルト引き出し検知手段により前記シートベルトの引き出しが検知されなかった場合には、前記電動リトラクタにより前記シートベルトの巻き取りを行うように制御してもよい。
【0008】
この構成によれば、駆動手段による電動リトラクタの駆動を停止させた時に、シートベルトの引き出しが検出されればシートベルトの引き出しが行われ、シートベルトの引き出しが検出されなければシートベルトの巻き取りが行われるので、電動リトラクタのシートベルトを巻き取る力に逆らって、シートベルトの引き出しを行う必要がなくなると共に、シートベルトが引き出されたまま放置されることがなくなる。従って、シートベルトをドアに挟み、破損することを未然に防止することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施の形態に係る車両用乗員拘束保護装置が備えている電動リトラクタ100の構成を示す図である。
【0011】
電動リトラクタ100はフレーム1を備えている。このフレーム1にはシートベルトを巻き取るリールシャフト3が回転自在に設置され、車両に所定の減速度が作用したとき又はシートベルトが所定の加速度で引き出されたときにシートベルトの引き出しをロックする公知のシートベルトロック機構2が固定されている。
【0012】
次いで、リールシャフト3の中心軸3aはリールシャフト用プーリ5の中心軸に連結されており、このリールシャフト用プーリ5は動力伝達ベルト7を介して直流モータ用プーリ6に連結している。リールシャフト用プーリ5の内部には渦巻きばね等の付勢力付与手段が形成されており、常にシートベルトを巻き取る方向に付勢力が働いている。
【0013】
リールシャフト用プーリ5及び直流モータ用プーリ6の外周にはそれぞれ所定数の外歯が形成され、また動力伝達ベルト7の内周にも所定数の内歯が形成されており、リールシャフト用プーリ5及び直流モータ用プーリ6の外歯と動力伝達ベルト7の内歯とは過不足なくかみ合っている。
【0014】
直流モータ用プーリ6の中心軸は直流モータ10に連結されている。従って、直流モータ10の回転は直流モーター用プーリ6を介してリールシャフト3に伝達される。
【0015】
直流モータ10は、フレーム1に少なくとも2点以上で固定されており、また直流モータ駆動部11を介してMPU(Micro Processing Unit)14に接続されている。
【0016】
直流モータ駆動部11はMPU14からの制御信号に基づいて直流モータ10の回転を制御する。
【0017】
図2は直流モータ駆動部11の回路図である。図2中の回路C1は、抵抗r1に流れる電流から直流モータ10に流れる電流を検出する回路であり、回路C2は直流モータ10の端子間電圧を測定する回路である。また、図2中の複数のトランジスタ及びFET等は、MPU14からの制御信号により直流モータ10の回転を正転又は反転駆動させるためのものである。
【0018】
図1に戻り、MPU14は、シートベルトのタングがバックルに装着されたか否かを検出する及びシートベルトのタングがバックルから解除されたか否かを検出するバックル接続有無検出部16に接続されている。また、MPU14は時間を計測するタイマー15を備えている。尚、MPU14は直流モータ10の端子間電圧の極性によりシートベルトが引き出されたか否かを判断し、直流モータ10に流れる電流からシートベルトの巻き取りが終了したか否かを判断する。
【0019】
バックル接続有無検出部16はシートベルトのタングがバックルに装着されたか否かを検出し又はシートベルトのタングがバックルから解除されたか否かを検出し、それに対応した制御信号をMPU14に出力する。
【0020】
図3は、シートベルトを巻き取る時にMPU14が行うシートベル格納制御の詳細を説明するフローチャートである。尚、このシートベル格納制御はMPU14が行うメイン制御の一部を成すものである。
【0021】
まず、シートベルトのタングがバックルから解除されたことがバックル接続有無検出部16によって検出されたか否かを判別し(ステップS31)、シートベルトのタングがバックルから解除されたことが検出されなかった場合には本制御を終了する一方、シートベルトのタングがバックルから解除されたことが検出された場合には、リールシャフト3をシートベルトの巻き取り側に回転させるために直流モータ10を駆動させる制御信号を直流モータ駆動部11に出力する(ステップS32)。これにより、シートベルトは巻き取られる。尚、この時、タイマー15は前記制御信号を直流モータ駆動部11に出力した時からの経過時間を計測する。
【0022】
次いで、前記制御信号を直流モータ駆動部11に出力してから所定時間、例えば、3秒経過したか否かを判別し(ステップS33)、3秒経過後に、直流モータ10の駆動をOFFさせる制御信号を直流モータ駆動部11に出力する(ステップS34)。これにより、直流モータ10の駆動がOFFされ、リールシャフト3によるシートベルトの巻き取りは停止する。尚、この時、シートベルトロック機構2によるシートベルトのロックはない。また、この時、タイマー15は直流モータ10の駆動をOFFさせる制御信号を直流モータ駆動部11に出力した時からの経過時間を計測する。
【0023】
次に、シートベルトが引き出されたか否かを判別し(ステップS35)、シートベルトが引き出された場合には、後述するシートベル引き出し制御を行った後に、本制御を終了する。
【0024】
ステップS35で、シートベルトが引き出されなかった場合には、直流モータ10の駆動をOFFさせる制御信号を直流モータ駆動部11に出力してから所定時間、例えば、10秒経過したか否かを判別し(ステップS36)、10秒経過していない場合にはステップS35に戻る一方、10秒経過した場合には、再びリールシャフト3をシートベルトの巻き取り側に回転させるために直流モータ10を駆動させる制御信号を直流モータ駆動部11に出力する(ステップS37)。これにより、シートベルトは巻き取られる。
【0025】
次いで、シートベルトの巻き取りが完了したか否かを判別し(ステップS38)、シートベルトの巻き取りが完了した後に、直流モータ10の駆動をOFFさせる制御信号を直流モータ駆動部11に出力し(ステップS39)、後述するシートベル引き出し制御を行った(ステップS40)後に、本制御を終了する。
【0026】
図4は、シートベルトを引き出す時にMPU14が行うシートベル引き出し制御の詳細を説明するフローチャートである。尚、このシートベルト引き出し制御はMPU14が行うメイン制御の一部を成すものである。
【0027】
まず、シートベルトのタングがバックルに装着されたことがバックル接続有無検出部16によって検出されたか否かを判別し(ステップS41)、シートベルトのタングがバックルに装着されたことが検出された場合には、シートベルトの引き出しが完了したものとして直流モータ10の駆動をOFFさせる制御信号を直流モータ駆動部11に出力して(ステップS48)、本制御を終了する。一方、シートベルトのタングがバックルに装着されたことが検出されなかった場合には、シートベルトの引き出し補助を行うべく直流モータ10の駆動を一旦OFFさせる制御信号を直流モータ駆動部11に出力する(ステップS42)。
【0028】
次に、直流モータ駆動部11の前記回路C2により直流モータ10の端子間電圧及び該端子間電圧の極性を測定し(ステップS43)、直流モータ10の端子間電圧が0.3V以上、且つ該端子間電圧の極性がシートベルトの引き出し側に対応する極性であるか否かを判別する(ステップS44)。ここで、直流モータ10の端子間電圧が0.3V以上、且つ該端子間電圧の極性がシートベルトの引き出し側に対応する極性である場合とは、例えば、乗員がシートベルトを軽く引き出す場合である。
【0029】
ステップS44で、直流モータ10の端子間電圧が0.3V以上でなく、又は該端子間電圧の極性がシートベルトの引き出し側に対応する極性でない場合には、ステップS43に戻る一方、直流モータ10の端子間電圧が0.3V以上、且つ該端子間電圧の極性がシートベルトの引き出し側に対応する極性である場合には、リールシャフト3をシートベルトの引き出し側に回転させるために直流モータ10を駆動させる制御信号を直流モータ駆動部11に出力する(ステップS45)。これにより、シートベルトは引き出しやすくなる。
【0030】
このステップS41〜ステップS45の制御によれば、直流モータ10の端子間電圧が0.3V以上、且つ該端子間電圧の極性がシートベルトの引き出し側に対応する極性である場合には、シートベルトは引き出しやすくなるので、シートベルトの引き出しに従来のような力を必要とせず、高齢者等の非力で運動能力の減衰した乗員でも容易にシートベルトの装着をすることができる。
【0031】
次に、シートベルトのタングがバックルに装着されたことがバックル接続有無検出部16によって検出されたか否かを判別し(ステップS46)、シートベルトのタングがバックルに装着されたことが検出された場合には、上述のステップS48に進む。一方、シートベルトのタングがバックルに装着されたことが検出されなかった場合には、直流モータ10を駆動させる制御信号が直流モータ駆動部11に出力されてから、例えば7秒経過したか否かを判別する(ステップS47)。
【0032】
ステップS47で、7秒経過していない場合にはステップS45に戻る一方、7秒経過している場合には、シートベルトが引き出されたが、シートベルトのタングがバックルに装着されず、シートベルトがたるんだままであるので、直流モータ10の駆動をOFFさせる制御信号を直流モータ駆動部11に出力し(ステップS48)、本制御を終了する。
【0033】
上述したように、本実施の形態によれば、シートベルトのタングがバックルから解除されたことがバックル接続有無検出部16によって検出された場合に、シートベルトの巻き取りを開始し(ステップS32)、シートベルトの巻き取りが完了する前に、所定時間直流モータ10の駆動を停止することによりシートベルトの巻き取りを停止し(ステップS34〜ステップS36)、当該所定時間の間にシートベルトが引き出された場合には、シートベル引き出し制御を行う一方、当該所定時間の間にシートベルトが引き出されない場合には、シートベルトの巻き取りが行われる(ステップS37)ので、従来のように、一旦シートベルトのタングをバックルから解除し、すぐにシートベルトのタングをバックルに装着する場合に、電動リトラクタのシートベルトを巻き取る力に逆らって、シートベルトの引き出しを行う必要がなくなり、快適なシートベルト装着環境を提供することができる。
【0034】
尚、本実施の形態では、シートベルトの巻き取りが完了する前に、所定時間シートベルトの巻き取りを1回停止したが(ステップS34〜ステップS36)、1回に限らず複数回でもよい。
【0035】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、請求項1の車両用乗員拘束保護装置によれば、検出手段によりシートベルトの解除が検出された時に、駆動手段により電動リトラクタを駆動させてシートベルトの巻き取りを開始させ、該巻き取り開始からその完了までの間の少なくとも一つの所定期間は駆動手段による電動リトラクタの駆動を停止させ、当該所定期間内にシートベルト引き出し検知手段によりシートベルトの引き出しが検知された場合には、駆動手段により電動リトラクタを駆動させてシートベルトの引き出しを行うように制御されるので、電動リトラクタのシートベルトを巻き取る力に逆らって、シートベルトの引き出しを行う必要がなくなり、快適なシートベルト装着環境を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両用乗員拘束保護装置が備えている電動リトラクタ100の構成を示す図である。
【図2】直流モータ駆動部11の回路図である。
【図3】シートベルトを巻き取る時にMPU14が行うシートベル格納制御の詳細を説明するフローチャートである。
【図4】シートベルトを引き出す時にMPU14が行うシートベル引き出し制御の詳細を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 フレーム
2 シートベルトロック機構
3 リールシャフト
5 リールシャフト用プーリ
6 直流モータ用プーリ
7 動力伝達ベルト
10 直流モータ
11 直流モータ駆動部
14 MPU(シートベルト引き出し検知手段、制御手段)
16 バックル接続有無検出部(検出手段)
100 電動リトラクタ
Claims (1)
- シートベルトの巻き取り及び引き出しを行う電動リトラクタと、前記電動リトラクタを駆動させる駆動手段と、前記シートベルトが引き出しされたことを検知するシートベルト引き出し検知手段と、前記シートベルトが解除されたことを検出する検出手段とを備えている車両用乗員拘束保護装置において、
前記検出手段により前記シートベルトの解除が検出された時に、前記駆動手段により前記電動リトラクタを駆動させて前記シートベルトの巻き取りを開始させ、該巻き取り開始からその完了までの間の少なくとも一つの所定期間は前記駆動手段による前記電動リトラクタの駆動を停止させ、当該所定期間内に前記シートベルト引き出し検知手段により前記シートベルトの引き出しが検知された場合には、前記駆動手段により前記電動リトラクタを駆動させて前記シートベルトの引き出しを行うように制御する制御手段を備えていることを特徴とする車両用乗員拘束保護装置。
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