JP3694866B2 - 油脂の組成を変化させる方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、根のついた生きた状態の樹木を用いる油脂の組成を変化させる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
油脂の加水分解や再合成は、油脂と酵素とを水の系において効率的に接触させて行うのが一般的な方法であるが、最近では水の代わりに有機溶剤を用いて行う方法もあり、また、酵素を固定化して半連続的に作用させる方法もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、天然の樹木を用い、樹に注加された油脂が移動する間に樹木間の生体酵素によって油脂の組成が変化することを見いだした極めて新規な方法である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、根のついた生きた状態の樹木を横に切断し、その上部から油脂を注加すると、油脂は移動、降下するので、降下後の油脂を採取するものである。
【0005】
樹木を横断した切断面の外側に樹皮があり、それから内部(芯部)に向かって形成層、辺材、心材がある。形成層は細胞***の活性の高い部分であるといわれ、辺材は白味がかった部分で養分に富み栄養分の貯蔵庫となっている。心材は死化細胞の集団といわれている。樹木は、その横断面の外側へは師部細胞を、内側へは木部細胞を同心円的に増殖するといわれている。師部は葉で生成された養分を師管を通して運び、木部は広葉樹の場合は道管、針葉樹の場合は仮道管により根からの水分、養分を運んでいる。
【0006】
本発明で用いる樹木は、根のついた生きた樹木が好ましく、切られた状態の樹材では、その組成の変化が余り進まない。油脂の移動距離は、10cm移動しても油脂組成に変化が見られることがわかっており、油脂の移動は形成層と辺材の部分を降下することが確認され、心材の部分は移動に関与していないことがわかった。
【0007】
本発明の規模を大きく連続的に行うとすれば、上部の切断面の油脂の供給は医療の点滴、下部の油脂の採取は天然ゴムの樹液の採取のように行うことが考えられる。以上のようにして油脂の組成(脂肪酸)に変化が見られるが、その機構は定かではない。植物細胞には、いろいろな加水分解酵素例えばスクラーゼ、ホスファターゼ、ヌクレアーゼ等及びペルオキシダーゼ等があるが、その役割についてはまだよくわかっていない。成熟した植物細胞では、細胞壁は細胞間物質、第1細胞壁、第2細胞壁の3つに分類できる。最も外側はペクチン質から構成され、第1細胞壁はセルロース、ヘミセルロース、リグニン、ペクチンからなり、第2細胞壁は主としてセルロースから構成されている。植物細胞が***するときは、ゴルジ体が細胞間物質と第1細胞壁の生成に関係があり、ゴルジ体には関与する酵素が多いと言われている。
【0008】
【実施例】
根のついた生きたならの樹を地面から60cmの所で切断し、その切断面を粘土質で周囲を1cmの高さに囲い油脂の液だめとし、なたね油を注加した。7日間放置後に上から30cmの所を手のこぎりで切断した。コントロールとして、地面から60cmの所で切断し、上から30cmの所を切断した樹材に同様に油脂の液だめをつくり、なたね油を加え7日間放置した。各々の樹は、中央を含むように縦に切断して、1%2,7−フルオレセインエタノール溶液を噴霧し、紫外線ランプを照射し、いずれも下部まで油脂は降下していて形成層部及び辺材部に油脂が存在していることを確認した。両方の切断片の上部、中部、下部を切り取り、エーテルで油脂分を抽出し、その油脂組成をガスクロマトグラフィー(装置:島津GC−6APF)で調べた。カラムは50cmのステンレスカラムをジュアル方式で用いた。液相はDiasolidZT(日本クロマト)である。カラムの昇温は180℃から340℃まで10℃/分で行った。注入口温度は300℃である。油脂0.3gに対してヘキサン5mlで溶解させ、その1μlをガスクロマトグラフィー装置に注入した。根のついた生きた樹木では、上部、中部、下部とガスクロマトグラムの変化は明らかで、切られた状態の樹材では、上部、中部、下部とガスクロマトグラムの変化は少なかった。表1は、根のついた生きた樹木(なら)になたね油を降下させたトリグリセライドの組成を、スタート、上部、中部、下部の各々の脂肪酸の炭素数48、50、52、54について示したものであり、表2はコントロール(切られた状態の樹木を用いた)について同様に調べた結果である。これらの数値からも、本発明(表1)の組成の変化は明らかである。
【0009】
【表1】
【0010】
【表2】
【0011】
【発明の効果】
油脂の組成を変化させる一手段として,天然の樹木を用いる新技術であって、今後役立つものと思われる。
【産業上の利用分野】
本発明は、根のついた生きた状態の樹木を用いる油脂の組成を変化させる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
油脂の加水分解や再合成は、油脂と酵素とを水の系において効率的に接触させて行うのが一般的な方法であるが、最近では水の代わりに有機溶剤を用いて行う方法もあり、また、酵素を固定化して半連続的に作用させる方法もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、天然の樹木を用い、樹に注加された油脂が移動する間に樹木間の生体酵素によって油脂の組成が変化することを見いだした極めて新規な方法である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、根のついた生きた状態の樹木を横に切断し、その上部から油脂を注加すると、油脂は移動、降下するので、降下後の油脂を採取するものである。
【0005】
樹木を横断した切断面の外側に樹皮があり、それから内部(芯部)に向かって形成層、辺材、心材がある。形成層は細胞***の活性の高い部分であるといわれ、辺材は白味がかった部分で養分に富み栄養分の貯蔵庫となっている。心材は死化細胞の集団といわれている。樹木は、その横断面の外側へは師部細胞を、内側へは木部細胞を同心円的に増殖するといわれている。師部は葉で生成された養分を師管を通して運び、木部は広葉樹の場合は道管、針葉樹の場合は仮道管により根からの水分、養分を運んでいる。
【0006】
本発明で用いる樹木は、根のついた生きた樹木が好ましく、切られた状態の樹材では、その組成の変化が余り進まない。油脂の移動距離は、10cm移動しても油脂組成に変化が見られることがわかっており、油脂の移動は形成層と辺材の部分を降下することが確認され、心材の部分は移動に関与していないことがわかった。
【0007】
本発明の規模を大きく連続的に行うとすれば、上部の切断面の油脂の供給は医療の点滴、下部の油脂の採取は天然ゴムの樹液の採取のように行うことが考えられる。以上のようにして油脂の組成(脂肪酸)に変化が見られるが、その機構は定かではない。植物細胞には、いろいろな加水分解酵素例えばスクラーゼ、ホスファターゼ、ヌクレアーゼ等及びペルオキシダーゼ等があるが、その役割についてはまだよくわかっていない。成熟した植物細胞では、細胞壁は細胞間物質、第1細胞壁、第2細胞壁の3つに分類できる。最も外側はペクチン質から構成され、第1細胞壁はセルロース、ヘミセルロース、リグニン、ペクチンからなり、第2細胞壁は主としてセルロースから構成されている。植物細胞が***するときは、ゴルジ体が細胞間物質と第1細胞壁の生成に関係があり、ゴルジ体には関与する酵素が多いと言われている。
【0008】
【実施例】
根のついた生きたならの樹を地面から60cmの所で切断し、その切断面を粘土質で周囲を1cmの高さに囲い油脂の液だめとし、なたね油を注加した。7日間放置後に上から30cmの所を手のこぎりで切断した。コントロールとして、地面から60cmの所で切断し、上から30cmの所を切断した樹材に同様に油脂の液だめをつくり、なたね油を加え7日間放置した。各々の樹は、中央を含むように縦に切断して、1%2,7−フルオレセインエタノール溶液を噴霧し、紫外線ランプを照射し、いずれも下部まで油脂は降下していて形成層部及び辺材部に油脂が存在していることを確認した。両方の切断片の上部、中部、下部を切り取り、エーテルで油脂分を抽出し、その油脂組成をガスクロマトグラフィー(装置:島津GC−6APF)で調べた。カラムは50cmのステンレスカラムをジュアル方式で用いた。液相はDiasolidZT(日本クロマト)である。カラムの昇温は180℃から340℃まで10℃/分で行った。注入口温度は300℃である。油脂0.3gに対してヘキサン5mlで溶解させ、その1μlをガスクロマトグラフィー装置に注入した。根のついた生きた樹木では、上部、中部、下部とガスクロマトグラムの変化は明らかで、切られた状態の樹材では、上部、中部、下部とガスクロマトグラムの変化は少なかった。表1は、根のついた生きた樹木(なら)になたね油を降下させたトリグリセライドの組成を、スタート、上部、中部、下部の各々の脂肪酸の炭素数48、50、52、54について示したものであり、表2はコントロール(切られた状態の樹木を用いた)について同様に調べた結果である。これらの数値からも、本発明(表1)の組成の変化は明らかである。
【0009】
【表1】
【0010】
【表2】
【0011】
【発明の効果】
油脂の組成を変化させる一手段として,天然の樹木を用いる新技術であって、今後役立つものと思われる。
Claims (1)
- 根のついた生きた状態の樹木を用い、横に切断し、その上部から油脂を移動させて樹木中の酵素により油脂の組成が変化した生成物を採取する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07317492A JP3694866B2 (ja) | 1992-02-25 | 1992-02-25 | 油脂の組成を変化させる方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07317492A JP3694866B2 (ja) | 1992-02-25 | 1992-02-25 | 油脂の組成を変化させる方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0698784A JPH0698784A (ja) | 1994-04-12 |
JP3694866B2 true JP3694866B2 (ja) | 2005-09-14 |
Family
ID=13510518
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP07317492A Expired - Fee Related JP3694866B2 (ja) | 1992-02-25 | 1992-02-25 | 油脂の組成を変化させる方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3694866B2 (ja) |
-
1992
- 1992-02-25 JP JP07317492A patent/JP3694866B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0698784A (ja) | 1994-04-12 |
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A521 | Written amendment |
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