JP3694790B2 - パラレルメカニズムのキャリブレーション法 - Google Patents

パラレルメカニズムのキャリブレーション法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パラレルメカニズムにおいてエンドエフェクタ部の位置・姿勢を制御する機構パラメータのキャリブレーション法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ICなどの電子部品の加工組立等、種々の分野で高精度の位置決め技術が必要とされており、その一つとしてパラレルメカニズムを用いた位置決め技術が提案されている。パラレルメカニズムは、支持基盤であるベース部と作動部分であるエンドエフェクタ部とが複数のリンクにより並列に結合された機構であり、従来のシリアルメカニズム等の関節機構と比較して高剛性で制御性がよく、しかも多自由度の運動を小型の機構で実現できるため、高精度の位置決め機構として注目を集めている。
【0003】
上記のように高精度の位置決めを実現するためには、リンクの長さ、リンクの位置等の機構パラメータを正確に求める必要がある。これらの機構パラメータは、設計時に予め決定されているものであるが、部品の加工や取付誤差により、実際のものは、初期設計値に対して誤差を有していることがある。したがって正確な制御を行うためには実際の機構パラメータの値を求める必要があり、このためにキャリブレーションが行われる。
【0004】
一般的に、機構パラメータの値を求めるためには、機構パラメータと同じ数の多元連立方程式を解く必要があるが、そのためには、当該連立方程式の数と同じ複数の位置・姿勢でのエンドエフェクタ部の並進変位と姿勢角度とを計測する必要がある。例えば、推定すべき機構パラメータが36個である場合には、1つの位置・姿勢で、並進変位の3つの情報(X,Y,Z)と、姿勢角度の3つの情報(θ,φ,ψ)との計6つの情報が得られるため、最低6つの異なる位置・姿勢での並進変位と姿勢角度とが必要となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した位置・姿勢情報を計測する際に、並進変位はレーザ測距やレーザ干渉計等により高精度の計測が容易に可能である一方、姿勢角度の計測は非常に困難であった。そのため、計測値に誤差が含まれることがあり、正確なキャリブレーションができないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、多自由度のパラレルメカニズムのキャリブレーション法において、計測が困難な姿勢情報等の計測を最低限に抑えることが可能なキャリブレーション法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、複数のリンクを介してベース部とエンドエフェクタ部とが連結され、該エンドエフェクタ部がn自由度(n≧2)で変位しm個の機構パラメータに基づき制御可能に構成されたパラレルメカニズムのキャリブレーション法であって、前記エンドエフェクタ部は、並進変位及び姿勢角度から選ばれるn個の運動要素で構成されたn自由度で変位し、当該n個の運動要素は、計測の難易に応じて計測しにくいn 個の第1運動要素群と計測しやすいn 個(n +n =n)の第2運動要素群とに分離されており、前記パラレルメカニズムの運動学をモデル化した非線形連立方程式を、 個の前記第1運動要素群と前記機構パラメータとの関係を示す第1方程式、及び 個の前記第2運動要素群と前記機構パラメータとの関係を示す第2方程式に分離するステップと、s個(s<m’、m’≧m)の前記第1方程式と、前記s個以上の(m’−s)個の第2方程式とを組み合わせた組合せ連立方程式を得るステップと、前記エンドエフェクタ部の位置姿勢を変化させ、s個の前記第1運動要素群に該当する情報と、(m’−s)個の前記第2運動要素群に該当する情報とを計測するステップと、計測した前記各情報と、前記組合せ連立方程式とから前記機構パラメータを推定してキャリブレーションを行うステップとを備えたことを特徴とするパラレルメカニズムのキャリブレーション法を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、上記目的を達成するため、複数のリンクを介してベース部とエンドエフェクタ部とが連結され、該エンドエフェクタ部がn自由度(n≧2)で変位しm個の機構パラメータに基づき制御可能に構成されたパラレルメカニズムのキャリブレーション法であって、前記エンドエフェクタ部は、並進変位及び姿勢角度から選ばれるn個の運動要素で構成されたn自由度で変位し、当該n個の運動要素は、計測の難易に応じて計測しにくいn 個の第1運動要素群と計測しやすいn 個(n +n =n)の第2運動要素群とに分離されており、前記パラレルメカニズムの運動学をモデル化した非線形連立方程式を微分して、微小変位線形連立方程式を得るステップと、前記微小変位線形連立方程式を、 個の前記第1運動要素群と前記機構パラメータとの関係を示す第1方程式、及び 個の前記第2運動要素群と前記機構パラメータとの関係を示す第2方程式に分離するステップと、s個(s<m’、m’≧m)の前記第1方程式と、前記s個以上の(m’−s)個の前記第2方程式とを組み合わせた組合せ連立方程式を得るステップと、前記エンドエフェクタ部の位置姿勢を変化させ、s個の第1運動要素群に該当する情報と、(m’−s)個の第2運動要素群に該当する情報とを計測するステップと、計測した前記情報と、前記組合せ連立方程式とから前記機構パラメータを推定してキャリブレーションを行うステップとを備えたことを特徴とするパラレルメカニズムのキャリブレーション法を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、上記目的を達成するため、複数のリンクを介してベース部とエンドエフェクタ部とが連結され、該エンドエフェクタ部が6自由度で変位しm個の機構パラメータに基づき制御可能に構成されたパラレルメカニズムのキャリブレーション法であって、前記パラレルメカニズムの運動学をモデル化した非線形連立方程式を微分して、微小変位線形連立方程式を得るステップと、前記微小変位線形連立方程式を、前記エンドエフェクタ部の姿勢と前記機構パラメータとの関係を示す姿勢方程式、及び前記エンドエフェクタ部の位置と前記機構パラメータとの関係を示す位置方程式に分離するステップと、s個(s<m’、m’≧m)の前記姿勢方程式と前記s個以上の(m’−s)個の前記位置方程式とを組み合わせた組合せ連立方程式を得るステップと、前記エンドエフェクタ部の位置姿勢を変化させ、s個の姿勢情報と、(m’−s)個の位置情報とを計測するステップと、計測した前記情報と、前記組合せ連立方程式とから前記機構パラメータを推定してキャリブレーションを行うステップとを備えたことを特徴とするパラレルメカニズムのキャリブレーション法を提供するものである。
【0010】
上記キャリブレーション法は、s=3とし、1つの位置姿勢における姿勢情報と、(m’−3)個の位置情報とを計測するものとすることができる。
【0011】
また、上記キャリブレーション法は、治具により、前記エンドエフェクタ部を既知の姿勢に保持した状態で、前記エンドエフェクタ部の姿勢を計測するものとすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るキャリブレーション法を直動固定型パラレルメカニズムに適用した場合の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、直動固定型パラレルメカニズムの一例の概略図、図2はこのパラレルメカニズムの機構パラメータを説明する図である。
【0013】
まず、キャリブレーションの対象となる直動固定型パラレルメカニズムについて説明する。図1に示すように、このパラレルメカニズム1では、三角形のベースプレート(ベース部)3上に3組のリンク体(リンク)5を介して三角形のエンドプレート(エンドエフェクタ部)7が取り付けられている。各リンク体5は、第1リンク5aと、その中間部に回転ジョイント9を介して取り付けられた第2リンク5bとから構成されている。
【0014】
第1リンク5aは、一端部がボールジョイント11を介してエンドプレート7の各頂部に回転自在に取り付けられるとともに、他端部がユニバーサルジョイント13を介して直動スライダ15に取り付けられている。この直動スライダ15はベースプレート3の各辺に配設されたレール17上を移動可能となっている。また、第2リンク5bは、回転ジョイント9と反対側の端部が第1リンク5aと同様に直動スライダ19にユニバーサルジョイント21を介して取り付けられている。この直動スライダ19は、第1リンク5aの直動スライダ15と同一のレール17上を移動する。3組のリンク体5は各々この構成を備え、各直動スライダ15,19がレール17上を移動することで、エンドプレート7の位置及び姿勢が変化する。以下、これをデルタ型パラレルメカニズムと称する。
【0015】
次に、このパラレルメカニズムのモデル化について説明する。このパラレルメカニズムでは、図2に示すようなベースプレート3を基準とするベース座標系(原点O)及びエンドプレート7を基準とするエンドプレート座標系(原点Oh)が定義され、以下の表1に示すパラメータが設定されている。この表1に示すように、本実施形態のデルタ型パラレルメカニズム1では、1つのリンク体5につき12個、3つのリンク体で計36個の機構パラメータが定義されている。
【0016】
【表1】
Figure 0003694790
【0017】
図2から以下のように、パラレルメカニズムの幾何学的関係がモデル化される。まず、ベース座標系におけるリンク体とエンドプレートとの接点の位置ベクトルは、
【0018】
【数1】
Figure 0003694790
【0019】
と2つの方向から表すことができるので、これらから以下の関係が成り立つ。
【0020】
【数2】
Figure 0003694790
【0021】
同様にリンク5a,5bの接点を2つの方向から表し、等号で結ぶと、以下の関係が成り立つ。
【0022】
【数3】
Figure 0003694790
【0023】
これら式(1),(2)がデルタ型パラレルメカニズムの機構の非線形連立方程式となる。
【0024】
次に、上記非線形連立方程式(1),(2)を全微分し、エンドプレートの位置・姿勢X、リンク変位θ、機構パラメータPそれぞれの微小変位δX,δθ,δPの関係を求める。つまり、式(1),(2)の二式を両辺とも全微分することで、次のような線形連立方程式を得ることができる。
【0025】
【数4】
Figure 0003694790
【0026】
このように、全微分して線形の関係式を求めることで、微小変位δX,δθ,δPの関係を一度に解析することが可能となる。
【0027】
次に、本実施形態のパラレルメカニズムの運動学について説明する。この運動学とは、逆運動学、微小運動学、順運動学をいう。まず、逆運動学について説明する。ここでいう逆運動学とは、ベース座標系におけるエンドプレート7の位置ベクトルと姿勢行列とを与えたときのリンク変位を求める計算をいう。以下、デルタ型パラレルメカニズムにおける逆運動学を導出する。式(1)において、
【0028】
【数5】
Figure 0003694790
【0029】
とおくと、
【0030】
【数6】
Figure 0003694790
【0031】
これより、
【0032】
【数7】
Figure 0003694790
【0033】
と表される。同様に、式(2)において、
【0034】
【数8】
Figure 0003694790
【0035】
とおくと、
【0036】
【数9】
Figure 0003694790
【0037】
これより、
【0038】
【数10】
Figure 0003694790
【0039】
となり、逆運動学(4)(5)が得られる。
【0040】
次に、微小運動学について説明する。微小運動学とは、リンク体5とエンドプレート7との微小変位の関係を求める計算のことである。以下、微小運動学を導出する。式(3)より、機構パラメータを定数として扱うと、
【0041】
【数11】
Figure 0003694790
【0042】
となる。したがって、
【0043】
【数12】
Figure 0003694790
【0044】
となり、次の関係式が求められる。
【0045】
【数13】
Figure 0003694790
【0046】
続いて、順運動学について説明する。順運動学とは、リンク変位からベース座標系におけるエンドプレート7の位置ベクトル及び姿勢行列を求める計算をいう。しかし、デルタ型パラレルメカニズムにおける順運動学は、複雑な非線形方程式となるため、極めて特殊な機構を除いては一般的には求められない。そこで、上記のように導出した逆運動学を用いて、ニュートンラプソン法の繰り返し計算により数値計算的に順運動学を求める。
【0047】
式(6)より
【0048】
【数14】
Figure 0003694790
【0049】
これより、エンドプレートの位置・姿勢を繰り返し計算により求める。具体的には、以下のように計算を行う。
▲1▼ 適当な初期値p0,R0を決める。
▲2▼ p0,R0から逆運動学により、リンク変位の初期値θ0を求める。
▲3▼ δθ=θ−θ0として、微小運動学の式(7)により、δθからδp0,δR0を求める。
【0050】
【数15】
Figure 0003694790
【0051】
▲5▼ ▲2▼に戻る。
▲2▼から▲5▼までの計算を十分微小なεに対して、
【0052】
【数16】
Figure 0003694790
【0053】
になるまで繰り返し、そのときのpn,Rnがリンク変位θのときの位置・姿勢情報となり、順運動学が得られる。
【0054】
次に、上記順運動学に基づくパラレルメカニズムのキャリブレーション法について説明する。一般的なキャリブレーション法では、まず、入力値として適当なリンク変位を与え、この変位に対するエンドプレートの位置・姿勢をレーザ干渉計等の計測手段により計測し、計測値を得る。このとき得られる計測値は、機構パラメータの数が36個であることから、エンドプレートを6つの姿勢・位置にして計36個以上の位置、姿勢を計測する必要がある。
【0055】
そして、リンク変位から機構パラメータの初期値を用い、順運動学により位置・姿勢の計算値を得る。このとき使用される機構パラメータの初期値は、パラレルメカニズム製作用の設計値であるが、加工誤差或いは組立誤差を含んでいる。そして、計測値と計算値との差が最小になるように機構パラメータの各値を変更し、新たに変更された機構パラメータの各値を用いて、さらに順運動学により位置・姿勢を計算する。そして、計測値と計算値との差が十分に小さくなるまで、この計算を繰り返す。
【0056】
しかしながら、微小な動作をするエンドプレートの姿勢を測定することは、非常に困難である。そこで、本実施形態では、順運動学に基づく次のアルゴリズムによりキャリブレーションを行う。
【0057】
まず、式(3)において、リンク変位θを定数と考え、
【0058】
【数17】
Figure 0003694790
【0059】
これを
【0060】
【数18】
Figure 0003694790
【0061】
と表す。続いて、この式(9)を位置情報に相当する部分と、姿勢情報に相当する部分に分離する。つまり、
【0062】
【数19】
Figure 0003694790
【0063】
であるので、式(9)を上半分と下半分とに分離すればよい。このとき、
【0064】
【数20】
Figure 0003694790
【0065】
とすると、
【0066】
【数21】
Figure 0003694790
【0067】
と表すことができる。これらより、
▲1▼姿勢を測定する測定点では、以下の式(姿勢方程式)を使用し、
【0068】
【数22】
Figure 0003694790
【0069】
▲2▼姿勢が測定できない、或いは測定が困難な測定点では、以下の式(位置方程式)を使用する。
【0070】
【数23】
Figure 0003694790
【0071】
すなわち、上記式(10)、(11)を組み合わせ、機構パラメータの数、つまり36個以上の計測値を得るようにする。但し、少なくとも1つの姿勢情報を計測することが必要である。これは、エンドプレートの位置が決まっても、その位置での姿勢がただ一つには決めることができないからである。例えば、エンドプレート7を適当な位置・姿勢状態にして、1箇所の姿勢情報(オイラー角θ,φ,ψ)、つまり3個の情報と、最小11箇所の位置情報(並進変位X,Y,Z)、つまり33個の情報とを計測する場合には、式(10)、(11)を組み合わせ、次のように関係式(組合せ連立方程式)を作ればよい。
【0072】
【数24】
Figure 0003694790
【0073】
ここで、
【0074】
【数25】
Figure 0003694790
【0075】
とすると、
【0076】
【数26】
Figure 0003694790
【0077】
を得る。この式に基づいて以下のニュートンラプソン法により、機構パラメータを更新していく。すなわち、
【0078】
【数27】
Figure 0003694790
【0079】
を用い、繰り返し計算により、
【0080】
【数28】
Figure 0003694790
【0081】
として機構パラメータを更新する。
【0082】
以下、図3のフローチャートにしたがって説明すると、まず、エンドプレートの位置姿勢を変更して1箇所の姿勢情報と、11箇所以上の位置情報を計測する(S1)。次に、上記計測時のリンク変位θから順運動学によりエンドプレート7の位置姿勢を計算する(S2)。この順運動学で使用する機構パラメータPn(n=1)は、予め求められている設計値を用いる。続いて、ニュートンラプソン法により機構パラメータPnを更新し(S3)、この更新された機構パラメータPn+1を用いて順運動学によりエンドプレート7の位置姿勢情報を計算する(S4)。そして、位置姿勢の計算値と、計測値とを比較し(S5)、その差が所定値εより小さい場合には(S5のYES)、計算を終了する。一方、計算値と計測値の差が最終精度を保証する所定値εより大きい場合には(S5のNO)、所定値εより小さくなるまで、上記ステップ3から5を繰り返す。
【0083】
以上のように、本実施形態によれば、パラレルメカニズムの運動学をモデル化した非線形連立方程式を微分し、得られた線形連立方程式を、エンドプレートの位置姿勢情報と機構パラメータとの関係を示す姿勢方程式、および位置情報と機構パラメータのとの関係を示す位置方程式とに分離している。そして、1個の姿勢方程式と11個以上の位置方程式とを組み合わせてキャリブレーションを行っている。すなわち、1個の姿勢情報のみを計測してキャリブレーションを行っているため、従来困難であった姿勢情報の計測を最小限に抑えることができ、その結果、機構パラメータのキャリブレーションを容易に、かつ正確に行うことができる。
【0084】
上記実施形態では、1個の姿勢情報のみを計測してキャリブレーションを行っているが、姿勢方程式及び位置方程式を任意に組み合わせて機構パラメータの数と同じ数の連立方程式を作ればよいため、複数個の姿勢情報を計測してキャリブレーションを行うこともできる。この場合、計測が困難な箇所を避けて計測が容易な箇所でのみ姿勢情報を計測すると、キャリブレーションが容易になる。
【0085】
また、姿勢情報を計測する場合、次のようにすると計測がより簡単になる。すなわち、エンドプレート7に任意の姿勢状態をとらせるときに、既知の姿勢状態にエンドプレート7を保持可能な治具を使用する。これにより、エンドプレート7の姿勢状態が既知となり、このときのリンク変位のみを計測すればよいため、キャリブレーションがさらに容易になる。ここで使用される治具は、エンドプレートを既知の姿勢に保持できるものであれば、どのようなものでもよく、例えばプレートでエンドプレートを保持するもの、複数の棒状部材で保持するもの等種々のものを挙げることができる。
【0086】
上記実施形態では、ニュートンラプソン法によりキャリブレーションを行っているが、これ以外の方法でも可能である。
【0087】
また、上記実施形態では、デルタ型パラレルメカニズムに適用した例を示したが、これに限定されるものではなく種々のパラレルメカニズムに適用することができる。例えば図4に示すスチュワートプラットフォーム型、図5に示す回転型、図6に示す直動固定型パラレルメカニズムに適用することができる。この場合、機構パラメータ、パラレルメカニズムのモデル化は、上記したものと異なるものとなるが、上記アルゴリズムを用い任意の数の姿勢情報を計測することで、上記と同様にキャリブレーションを容易に行うことができる。
【0088】
また、上記実施形態では、運動要素が並進変位の3自由度(並進変位X,Y,Z)、姿勢角度の3自由度(オイラー角θ,φ,ψ)の合計6自由度のパラレルメカニズムのキャリブレーションを行っているが、このほか、2から5自由度のパラレルメカニズムに適用することもできる。このとき、連立方程式を分離するステップでは、上記のように位置姿勢と位置の部分で分離を行う以外に、任意の運動要素に分離することができる。以下、図7に示す2自由度のパラレルメカニズムを用いてこれを説明する。
【0089】
このパラレルメカニズム31は、4本のリンク33がボールジョイント(対偶)35を介して接続されたリンク体37を備えており、リンク体37の両端部がベース部39にボールジョイント41を介して取り付けられている。この構成により、エンドエフェクタ部Eは2次元平面上を2自由度で移動するようになっている。機構パラメータは、各リンク33の長さと、リンク体37の端部におけるボールジョイント41の位置との計6個であるため、従来は、エンドエフェクタ部Eを移動させ、3箇所(各箇所でX,Y座標)で計6個の位置情報を計測する必要があった。しかしながら、本発明によれば、すべての箇所でX,Y座標を計測する必要はなく、例えば一箇所でのみX,Y座標を計測するとともに、他の箇所ではX座標のみを計測し、計6個の位置情報を得るようにすればよい。すなわち、この例では、X座標(第1運動要素群)とY座標(第2運動要素群)とに方程式(第1及び第2方程式)を分離してキャリブレーションを行う。こうすることによりキャリブレーションが容易になる。
【0090】
また、上記実施形態では、非線形連立方程式を全微分し、線形連立方程式を得た後に姿勢方程式と位置方程式とに分離しているが、非線形連立方程式の状態で上記のように方程式を分離すれば、キャリブレーションを行うことも可能である。
【0091】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。ここでは、上記図1及び図2に示すデルタ型パラレルメカニズムを用いてキャリブレーションを行う。機構パラメータとしては、以下の表2に示す真の値を準備し、これに対して表3に示す初期誤差を与えた機構パラメータのキャリブレーションを行うこととする。この初期誤差は、真の値に対して1.7%の誤差を含ませている。
【0092】
【表2】
Figure 0003694790
【0093】
【表3】
Figure 0003694790
【0094】
測定点のデータは、以下のように1組の姿勢情報と、20組の位置データを用いた。
【0095】
【表4】
Figure 0003694790
【0096】
上記のようなデータを用い、ε=1.0×10-6として、図3のキャリブレーションを行うと、表5の結果を得た。
【0097】
【表5】
Figure 0003694790
【0098】
この表5は、真の機構パラメータとキャリブレーション後の機構パラメータとの差を示している。この結果、絶対精度が理論値で0.01μmのキャリブレーションを行うことができた。
【0099】
【発明の効果】
以上から明らかなように、請求項1に係る発明によれば、パラレルメカニズムをモデル化した非線形方程式を、任意の第1運動要素群と機構パラメータとの関係を示す第1方程式、及び第2運動要素群と機構パラメータとの関係を示す第2方程式に分離し、これらを組み合わせてキャリブレーションを行っている。このとき、測定点を、機構パラメータと同数だけ計測しなければならないが、上記のように分離することにより、例えば計測しにくい第1運動要素群を少数の箇所で計測し、残りの計測点を計測しやすい第2運動要素群について行うことでキャリブレーションを行うことができる。したがって、キャリブレーションを容易に、かつ正確に行うことができる。
【0100】
また、請求項2に係る発明によれば、上記と同じ効果が得られる上、さらに、非線形連立方程式を微分して線形連立方程式を得て分離を行っているため、方程式の分離を容易に行うことができる。
【0101】
また、請求項3に係る発明によれば、6自由度のパラレルメカニズムについて、上記と同様の効果を得ることができる。このとき、計測しにくい姿勢情報を一箇所だけ計測し、残りの計測点を計測しやすい位置情報について計測することで、従来困難とされてきた姿勢情報の計測を最低限に抑えることができるため、キャリブレーションを容易に、かつ正確に行うことができる。
【0102】
また、請求項5に記載の発明によれば、姿勢情報を計測する際に、エンドプレートを既知の姿勢に保持可能な治具を用いることで、姿勢情報の計測が容易になり、その結果、キャリブレーションがさらに容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のキャリブレーション法が適用されるパラレルメカニズムの一実施形態を示す説明図である。
【図2】図1のパラレルメカニズムにおける機構パラメータの定義を示す説明図である。
【図3】図1のパラレルメカニズムのキャリブレーション法を示すフローチャートである。
【図4】スチュワートプラットフォーム型パラレルメカニズムを示す斜視図である。
【図5】回転型パラレルメカニズムを示す斜視図である。
【図6】直動固定型パラレルメカニズムを示す斜視図である。
【図7】本発明のキャリブレーション法が適用されるパラレルメカニズムの他の例を示す図である。
【符号の説明】
1 デルタ型パラレルメカニズム
3 ベースプレート(ベース部)
5 リンク体(リンク)
7 エンドプレート(エンドエフェクタ部)

Claims (5)

  1. 複数のリンクを介してベース部とエンドエフェクタ部とが連結され、該エンドエフェクタ部がn自由度(n≧2)で変位しm個の機構パラメータに基づき制御可能に構成されたパラレルメカニズムのキャリブレーション法であって、
    前記エンドエフェクタ部は、並進変位及び姿勢角度から選ばれるn個の運動要素で構成されたn自由度で変位し、当該n個の運動要素は、計測の難易に応じて計測しにくいn 個の第1運動要素群と計測しやすいn 個(n +n =n)の第2運動要素群とに分離されており、
    前記パラレルメカニズムの運動学をモデル化した非線形連立方程式を、 個の前記第1運動要素群と前記機構パラメータとの関係を示す第1方程式、及び 個の前記第2運動要素群と前記機構パラメータとの関係を示す第2方程式に分離するステップと、
    s個(s<m’、m’≧m)の前記第1方程式と、前記s個以上の(m’−s)個の第2方程式とを組み合わせた組合せ連立方程式を得るステップと、
    前記エンドエフェクタ部の位置姿勢を変化させ、s個の前記第1運動要素群に該当する情報と、(m’−s)個の前記第2運動要素群に該当する情報とを計測するステップと、
    計測した前記各情報と、前記組合せ連立方程式とから前記機構パラメータを推定してキャリブレーションを行うステップと
    を備えたことを特徴とするパラレルメカニズムのキャリブレーション法。
  2. 複数のリンクを介してベース部とエンドエフェクタ部とが連結され、該エンドエフェクタ部がn自由度(n≧2)で変位しm個の機構パラメータに基づき制御可能に構成されたパラレルメカニズムのキャリブレーション法であって、
    前記エンドエフェクタ部は、並進変位及び姿勢角度から選ばれるn個の運動要素で構成されたn自由度で変位し、当該n個の運動要素は、計測の難易に応じて計測しにくいn 個の第1運動要素群と計測しやすいn 個(n +n =n)の第2運動要素群とに分離されており、
    前記パラレルメカニズムの運動学をモデル化した非線形連立方程式を微分して、微小変位線形連立方程式を得るステップと、
    前記微小変位線形連立方程式を、 個の前記第1運動要素群と前記機構パラメータとの関係を示す第1方程式、及び 個の前記第2運動要素群と前記機構パラメータとの関係を示す第2方程式に分離するステップと、
    s個(s<m’、m’≧m)の前記第1方程式と、前記s個以上の(m’−s)個の前記第2方程式とを組み合わせた組合せ連立方程式を得るステップと、
    前記エンドエフェクタ部の位置姿勢を変化させ、s個の第1運動要素群に該当する情報と、(m’−s)個の第2運動要素群に該当する情報とを計測するステップと、
    計測した前記情報と、前記組合せ連立方程式とから前記機構パラメータを推定してキャリブレーションを行うステップと
    を備えたことを特徴とするパラレルメカニズムのキャリブレーション法。
  3. 複数のリンクを介してベース部とエンドエフェクタ部とが連結され、該エンドエフェクタ部が6自由度で変位しm個の機構パラメータに基づき制御可能に構成されたパラレルメカニズムのキャリブレーション法であって、
    前記パラレルメカニズムの運動学をモデル化した非線形連立方程式を微分して、微小変位線形連立方程式を得るステップと、
    前記微小変位線形連立方程式を、前記エンドエフェクタ部の姿勢と前記機構パラメータとの関係を示す姿勢方程式、及び前記エンドエフェクタ部の位置と前記機構パラメータとの関係を示す位置方程式に分離するステップと、
    s個(s<m’、m’≧m)の前記姿勢方程式と前記s個以上の(m’−s)個の前記位置方程式とを組み合わせた組合せ連立方程式を得るステップと、
    前記エンドエフェクタ部の位置姿勢を変化させ、s個の姿勢情報と、(m’−s)個の位置情報とを計測するステップと、
    計測した前記情報と、前記組合せ連立方程式とから前記機構パラメータを推定してキャリブレーションを行うステップと
    を備えたことを特徴とするパラレルメカニズムのキャリブレーション法。
  4. s=3とし、1つの位置姿勢における姿勢情報と、(m’−3)個の位置情報とを計測することを特徴とする請求項3に記載のパラレルメカニズムのキャリブレーション法。
  5. 治具により、前記エンドエフェクタ部を既知の姿勢に保持した状態で、前記エンドエフェクタ部の姿勢を計測することを特徴とする請求項3または4に記載のパラレルメカニズムのキャリブレーション法。
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