JP3692546B2 - 車両用前照灯装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、車両の前照灯に使用する装置に係り、特に前照灯における光の効率に優れた車両用前照灯装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両がカーブ走行、右左折、進路変更を行う場合に、単にヘッドライトで前方を照らすだけでは、進行予定方向の視界が十分に確保できない場合がある。このため、既に本発明者らは、図11(a)に示す様に、光源P1からの光を受けるヘッドライトレンズP2前にプリズムP3を設置して、光を広角度まで広げる技術を提案した(特開平5−139203号公報参照)。
【0003】
この技術で使用するプリズムP3とは、図11(b)に拡大して示す様に、プリズムP3の一辺が凹状の曲面(入射面)P4とされたものである。従って、光源P1からヘッドライトレンズP2を介してプリズムP3に入射する光は、まず、入射面P4にて曲げられ次いで出射面P5にて曲げられることにより、側方に行くほど曲げられる角度が大きくなって、広角度まで広げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した形状のプリズムP3を使用する場合には、進行予定方向の視界をかなりの程度まで確保できるが、必ずしも十分ではない。
つまり、前記のプリズムP3を使用する場合には、入射光の向きとプリズムP3の入射面P4との角度が小さな部分(図11(b)の下側の稜付近の入射角が大きな部分)では、入射光の多くが入射面P4で反射されてしまい、その結果、プリズムP4内に進入する光の光量が少なくなってしまうという問題がある。このことは、プリズムP3の出射面P5から出射する光についても言え、プリズムP3の図11(b)左端付近では、(出射面P5に対する)入射角が大きいので、同様にプリズムP3から出射する光の光量が少なくなってしまうという問題がある。
【0005】
即ち、上述した従来のプリズムP3を用いる場合には、特にプリズムP3が厚くなっている部分において、(使用する)光の効率が低下するという問題があった。
そこで、本発明は、前照灯において使用する光の効率を向上できる車両用前照灯装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するためになされた請求項1の発明は、
背後から通過する光のうち側方を向く光の角度を連続的に大きくするプリズムを用いて、前照灯の照射方向を変更する車両用前照灯装置であって、該プリズムの背後の入射側端面のうち、光の曲げられる方向の入射側端面に光を反射する反射面を形成したことを特徴とする車両用前照灯装置を要旨とする。
【0007】
請求項2の発明は、
前記プリズムの反射面を、該反射面による光の反射後に反射光が交差するように凹状に形成したことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯装置を要旨とする。
請求項3の発明は、
前照灯の光源の前方に配置された前記プリズムの位置を変更することによって、該プリズムを介して照射される光の方向を側方又は側方下向きに変更するプリズム調節手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用前照灯装置を要旨とする。
【0008】
請求項4の発明は、
前記プリズムを有するすれ違いビーム用前照灯と、走行ビーム用前照灯とを備えた車両用前照灯装置において、前記走行ビーム用前照灯に走行ビームの上方光をカットする可動遮蔽部を設け、前記プリズムを用いてすれ違いビームを調節する際に走行ビームを併用するとともに、前記可動遮蔽部を駆動して走行ビームの上方光をカットすることを特徴とする請求項3に記載の車両用前照灯装置を要旨とする。
【0009】
請求項5の発明は、
前照灯の光源の前方に位置変更可能に設けられ、光の照射方向を側方又は側方下向きに変更可能な光学手段を備えた車両用前照灯装置において、前記光学手段が、背後から照射される光の一部を反射させるとともに、当該光の一部を通過させるハーフミラーであることを特徴とする車両用前照灯装置を要旨とする。
【0010】
請求項6の発明は、
前記ハーフミラーを有するすれ違いビーム用前照灯と、走行ビーム用前照灯とを備えた車両用前照灯装置において、走行ビーム用前照灯中に、走行ビームの上方光をカットする可動遮蔽部を設け、前記ハーフミラーを用いてすれ違いビームを調節する際に走行ビームを併用するとともに、前記可動遮蔽部を駆動して走行ビームの上方光をカットすることを特徴とする請求項5に記載の車両用前照灯装置を要旨とする。
【0011】
請求項7の発明は、
前記走行ビーム用前照灯に、前記走行ビームの一部を側方に向けるプリズム又はハーフミラーを配置したことを特徴とする請求項4又は6に記載の車両用前照灯装置を要旨とする。
【0012】
【作用】
請求項1の発明では、前照灯の照射方向を変更するために用いられるプリズムとして、背後から通過する光のうち側方を向く光の角度を連続的に大きくするプリズムを採用するとともに、このプリズムの光の曲げられる方向の入射側端面に光を反射する反射面を設けている。即ち、プリズム背面の稜の一方の側に、背後側になるほど入射角が大きくなる(入射光と入射面との角が小さくなる)様な入射面を設けるとともに、その稜の他方の側に反射面を設けている。そのため、入射面では、光は殆ど反射することなくプリズムを介して所定方向に曲げられ、一方、反射面では、光が反射することによって所定方向に曲げられる。その結果、光源から照射される光は、入射面及び反射面にて効率よく所定方向に曲げられて照射されることになる。
【0013】
請求項2の発明では、プリズムの反射面を、反射面による光の反射後に反射光が交差するように凹状にしている。そのため、反射面の後部(背後側)で反射した光は反射角が大きいので光の進行方向がそれほど曲げられず、一方、反射面の前部で反射した光は反射角が小さいので光の進行方向が大きく曲げられる。その結果、光の曲げられる状態(分散状態)が連続的になり、いわゆる光の抜けによる照射光量のムラを防止できる。
【0014】
請求項3の発明では、プリズム調節手段によって、前照灯の光源の前方に配置されたプリズムの位置を変更することにより、前照灯の光を効率よく使用するとともに、側方又は側方下方等の所定方向に適宜その照射方向を設定することが可能である。
【0015】
請求項4の発明では、すれ違いビーム用前照灯として前記請求項3の様なプリズムを有する車両用前照灯装置が使用されており、また走行ビーム用前照灯には走行ビームの上方光をカットする可動遮蔽部が配置されている。従って、走行時には、前記プリズムを用いてすれ違いビームを調節して側方及び前方を照らすとともに、可動遮蔽部を駆動して走行ビームの上方光をカットすることによって、すれ違いビームが側方を照らすことにより減少した(前方を照射する)光量を補うことが可能である。
【0016】
請求項5の発明では、前照灯の光の方向を変更する光学手段として、ハーフミラーを採用しているので、背後から照射される光の一部の方向を反射によって変更するとともに、その光の一部を前方に通過させることが可能である。よって、前方だけでなく側方又は側方下方も照らすことができる。
【0017】
請求項6の発明では、すれ違いビーム用前照灯に前記請求項5の様なハーフミラーが配置されており、走行ビーム用前照灯には走行ビームの上方光をカットする可動遮蔽部が配置されている。従って、走行時には、ハーフミラーを用いてすれ違いビームを調節して側方及び前方を照らすとともに、可動遮蔽部を駆動して走行ビームの上方光をカットすることによって、すれ違いビームが側方を照らすことにより減少した(前方を照射する)光量を補うことが可能である。
【0018】
請求項7の発明では、走行ビーム用前照灯に、走行ビームの一部を側方に向けるプリズム又はハーフミラーを配置したので、すれ違いビームが側方を照らすことにより減少したすれ違いビーム用前照灯の前方の光量を補うことが可能である。
【0019】
ここで、前記プリズムとしては、光がプリズム内に進入する入射側端面(入射面)が、例えば多数の平面が凹状に配置されたものや凹状の曲面を採用できる。
特に、入射面が曲面の場合には、側方への光量の変化が連続的であるので望ましい。
【0020】
また、反射面としては、例えば一平面、多数の平面が凹状に配置されたもの、凹状の曲面を採用できる。このうち、反射面が凹状にされたものは、前照灯の光の側方への抜けがなく好適であり、更に、反射面が凹状の曲面の場合は、光量の変化が連続的で、一層光量にムラが無いので好適である。
【0021】
前記プリズム又はハーフミラーの移動方向は、単に側方だけでなく、ひねりを加えた移動を行なうことによって、光を側方下向きに変化させることができる。
具体的には、プリズムの場合は、例えばプリズムを光軸中心側に移動させるとともに回転させることによって、光の拡散方向を変更でき、ハーフミラーの場合は、ハーフミラーを光軸中心側に移動させるとともに下に傾けることによって、光の方向を変更できる。これによって、前照灯の側方におけるまぶしさを一層低減することが可能である。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を四輪自動車に適用した実施例につき図面に基づいて説明する。
(実施例1)
実施例1の車両用前照灯装置は、図1にその平面図を示す様に、すれ違いビーム(Lowビーム)を照射するすれ違い用前照灯1と走行ビーム(Highビーム)を照射する走行ビーム用前照灯3とを、左右に一対づつ備えた4灯式の前照灯装置である。尚、図1では、左側の一対のみを示す。
【0023】
このうち、すれ違い用前照灯1は、光源5、光源5の光を反射する楕円凹状のリフレクタ7、光源5の前方に配設されたレンズ9、及び光源5の第2焦点近傍に配設された遮光板11からなるプロジェクタヘッドライト13と、このプロジェクタヘッドライト13のレンズ9の前方に配設されたプリズム15とを備えている。一方、走行ビーム用前照灯3も、ほぼ同様に、光源17、リフレクタ19、レンズ21、及び遮光板23からなるプロジェクタヘッドライト25を備えている。尚、以下の説明では、各々の光源5,17とリフレクタ7,19とを合わせて、各々光源部8,18と表現する。
【0024】
前記すれ違い用前照灯1の遮光板11は、図2(a)にその側面を示す様に、主光軸の中心より下方に配置され、光源部8からの上方へ向かう光線をカットしてすれ違いビーム配光をするためのものであり、本実施例のすれ違い用前照灯1では固定式とされている。
【0025】
走行ビーム用前照灯3の遮光板23は、図2(b)にその側面を示す様に、主光軸の中心より下方に配置されているが、固定式ではなく、上下方向に移動可能な遮光板(可動遮光板)23である。つまり、通常の走行ビームを照射する場合には、可動遮光板23は下方に移動することにより、光源部18からの光をカットせず遠方をも照射可能な配光とする。一方、後述する様に、すれ違いビームと連動して使用する場合には、可動遮光板23は上方に移動することにより、光源部18からの上方へ向かう光線をカットしてすれ違いビーム配光とする。
【0026】
前記プリズム15は、図3の平面図に示す様に、背後側(受光側)が凸とされ、その左右の斜辺が、光をプリズム内に進入させる入射面15aと光を反射させる反射面15bとから構成されている。
このうち、入射面15aは、凹状に形成された曲面であり、プリズム15の背後から通過する光のうち側方を向く光の角度が連続的に大きくなる様に構成されているので、側方を向く光によるムラのない連続的な照射を行なうことができる。一方、反射面15bは、入射面15aよりややカーブが緩やかな凹状に形成された曲面であり、プリズム15の表面に例えばアルミニウムの蒸着等によって形成された光を反射する反射層15cによって構成されている。この反射面15bで反射した光はその進行方向が側方に曲げられるが、反射面15bの後部(背後側)で反射した光は反射角が大きく、逆に反射面15bの前部で反射した光は反射角が小さいので、光は途中で交差する。つまり、反射面15bの後部で反射した光はその進行方向は小さく変更され、反射面15bの前部で反射した光はその進行方向が大きく変更されるので、この反射面15b全体で反射した光と出射面15dから出射した光との間における光量の変化が少なく、いわゆる抜けのない連続的な光の照射を行なうことができる。
【0027】
このプリズム15は、図4の正面図に示す様に、半円状の支持部33と一体に構成されている。支持部33は、2本のピン35,37を介して、アングル39に設けた円弧状のガイド溝41,43と摺動自在に係合されている。また、支持部33の外周には扇型ギヤ45が刻設されており、アングル39のほぼ中央に取り付けられた回動ギヤ47と係合している。即ち、プリズム15は、支持部33を介してアングル39に3箇所にて係合支持され、回動ギヤ47を回転することでガイド溝41,43に沿った回動を行うように構成されている。一方、このアングル39の下部にはラック49が設けられている。このラック49には車体と固定されたブラケット51に取り付けられたピニオン53が係合している。即ち、アングル39は、ラックアンドピニオン機構によって車体に対して左右方向へ連続的に摺動することができるように構成されている。従って、プリズム15は、アングル39の移動に伴って左右方向へも摺動することができる。
【0028】
上述したプリズム15,可動遮光板23等は、図5に示す様に、周知のCPU,ROM,RAM,バックアップRAM等を備えた制御コンピュータ61を中心に構成された制御系により駆動制御されて、種々の配光パターンを実現する。
つまり、制御コンピュータ61は、車速センサ63と操舵角センサ65とから車速信号SPD及び操舵角信号θを入力し、ROM内の演算処理プログラムに従って配光パターン選択処理を実行し、その配光パターンを実現するための駆動制御信号を、プリズム回動モータ67r,67l及びプリズム移動モータ69r,69lへ出力する。また、すれ違いビームか走行ビームかを選択するビーム選択スイッチ70からの信号に基づいて、走行ビーム用前照灯の可動遮光板23を移動するために、可動遮光板移動モータ71r,71lを駆動する。尚、添字「r」は右側前方の前照灯用を、添字「l」は左側前照灯用のものを意味する。
【0029】
そして、車速SPDと操舵角θを読み込み、これらに応じて配光パターンマップ(図示せず)を検索し、配光パターンを特定したらそれに応じたモータ駆動信号を出力することによって、下記の様に、プリズム15及び可動遮光板23を操作して、光の照射状態を変更する。
【0030】
(1)すれ違いビームを使用した直進走行時
図6(a)に示す様に、走行ビーム用前照灯3は使用せずに、すれ違いビーム用前照灯1のみを点灯させて走行する。この時、プリズム15は、光路から外れる様に、即ち主光軸LLから遠ざけて配置する。
【0031】
(2)すれ違いビーム及び走行ビームを使用した直進走行時
すれ違いビーム用前照灯1とともに走行ビーム用前照灯3も点灯させて走行する。この時、走行ビーム用前照灯3の可動遮光板23は上方に移動させて上方への光をカットするので、(片側で)2つのすれ違いビームを用いることになり、前方に照射する光の光量が増大する。尚、プリズム15は、前記図6(a)と同様に、光路から外れる様に配置する。
【0032】
(4)左折,カーブ走行,進路変更時
左折,カーブ走行,進路変更時等には、側方を一層照らす必要があるので、その時には、図6(b)に示す様に、車速SPDや操舵角θに応じて、プリズム15をすれ違いビーム用前照灯1の光路に入れる様に移動させる。即ち主光軸LLに近づける様に移動させて、入射面15aだけでなく、反射面15bも光路中に位置する様に配置する。これによって、光源部8からの光は、前方に照射されるとともに、一部が(変更される方向の)側方に曲げられて照射される。即ち、プリズム15に照射される光のうち、入射面15aから入力した光は側方に曲げられて照射され、一方、反射面15bにて反射した光は、一層側方に曲げられて照射されることになる。尚、このとき、走行ビーム用前照灯3は、消灯していても点灯していてもいいが、点灯している場合は、前方に照射する光の光量が増大して、視界を明瞭にするので好適である。
【0033】
また、前記制御による配光以外に、下記の配光(4) , (5)も実施できる。
(4)左折時
図7(a)は左折時のプリズム15の左右移動位置を示している。図示の様に、プリズム15をレンズ9の中心近くの主光軸LL寄りに移動させ、かつ図示時計方向へ回転させることで、主光軸LLの側部の照射光を、主光軸LL近傍から遠ざかるに従って下向き及び側方向きの角度が大きくなる光線とし、前方斜め前をも照らしつつ車体近くを中心に広く拡大した左折時用の拡大照射領域AR1を得ることができる。この時、プリズム15が回動されて全体が下向きの光であるから、斜め前方をも照らしているにも拘らず、対向車等に眩惑を生じさせることがない。特に、本実施例では、この様にプリズム15を移動させた場合に、その反射面15bが光源部8からの光の光路に入る様に配設されている。従って、左折時には、光のムラや抜けがなく、かつ効率的に側方下向きを照射することができる。尚、この時、走行ビーム用前照灯3は、その可動遮光板23を上方に移動させて点灯してもよいが、消灯しても良い。
【0034】
(5)カーブ走行,進路変更時
図7(b)はカーブ走行,進路変更時のプリズム15の配置例を示している。図示の様に、プリズム15をレンズ9の端にかかる程度の位置へ移動させることで、主光軸LLの側部の照射光を遠方を中心に拡大した進路変更用の拡大照射領域AR2を得ることができる。尚、この時、走行ビーム用前照灯3は、その可動遮光板23を上方に移動させて点灯してもよいが、消灯しても良い。
【0035】
以上説明した様に、実施例1の車両用前照灯装置では、入射面15aと反射面15bとを備え且つその稜角を連続的に変化させたプリズム15を用い、これを左右方向に連続的に移動させることができるから、主光軸LLの外側の部分の光を、主光軸LLから離れるに従って側方を向く角度を連続的に大きくできる。よって、右左折時などに車両直近の側方広くを照射することができるので、側方の障害物や通行人等を明確に認識することができる。また、プリズム15を回動させることによりひねられた光線とすることができるので、側方下方をも照射することができ、よって、照射される相手のまぶしさを低減することができる。
【0036】
特に本実施例では、プリズム15には入射面15aだけではなく反射面15bも設けてあるので、入射面15aでは光は殆ど反射することなくプリズム15内に進入して所定方向に曲げられ、また反射面15bでは光が反射されるので、光は効率よく所定方向に曲げられて照射されるという顕著な効果を奏する。しかも、この反射面15bを採用することによって、プリズム15自身の厚さを薄くできるので、前照灯内の狭い空間でもプリズム15を容易に配置できる。
【0037】
更に、本実施例では、すれ違いビーム用前照灯1を使用する際には、走行ビーム用前照灯3を使用するとともに、走行ビーム用前照灯3の可動遮光板23を上方に上げて、上方への光をカットするので、すれ違いビームが側方を照らすことにより減少した前方の光量を補うことができる。
【0038】
尚、こうした顕著な効果の一方で、主光軸を変化させないからまっすぐ前の視界がそれほど悪くなるということがない。
(実施例2)
次に、実施例2について説明する。
【0039】
図8に平面を図9に側面を示す様に、本実施例の車両前照灯装置は、前記実施例1と同様に、すれ違い用前照灯81と走行ビーム用前照灯83とを備えた4灯式の前照灯装置である。
すれ違い用前照灯81は、光源85、リフレクタ87、レンズ89、及び固定式遮光板91からなるプロジェクタヘッドライト93と、このプロジェクタヘッドライト93のレンズ89の前方に配設されたプリズム95とを備えている。一方、走行ビーム用前照灯83は、光源97、リフレクタ99、レンズ101、可動遮光板103に加え、可動遮光板103の前方に略板状のプリズム105を備えている。
【0040】
このプリズム105は、すれ違い用前照灯81の側方がやや厚肉とされ、可動遮光板103よりも前方且つ上方に配置されて、光源97からの光を側方に曲げるものであり、可動遮光板103と一体に駆動されて上下方向に移動する。
そして、すれ違いビーム用前照灯81を使用する際には、走行ビーム用前照灯83を使用するとともに、走行ビーム用前照灯83の可動遮光板103と連動してプリズム105を上方に移動させて、上方への光をカットするとともに側方への光量を増加させている。
【0041】
従って、本実施例では、前記実施例1の効果を奏するとともに、この様にプリズム105が移動することによって、すれ違いビームが側方を照らすことにより減少したすれ違いビーム用前照灯81の前方の光量を、一層補うことができるという利点がある。また、プリズム103は、図9(b)に示す様な位置に配置されているので、主として上方に進む光を側方に曲げて、前方のまぶしさを一層低減するという効果もある。
【0042】
尚、このプリズム103に代えて、同様に光を側方に曲げるハーフミラー(図示せず)をプリズム103の位置に配置して使用することもできる。
(実施例3)
次に、実施例3について説明する。
【0043】
図9に平面を示す様に、本実施例の車両前照灯装置は、前記実施例1と同様に、すれ違い用前照灯111と走行ビーム用前照灯113とを備えた4灯式の前照灯装置である。
このうち、すれ違い用前照灯111のレンズ115の前方には、光の一部が通過し一部が反射するハーフミラー117が配置されている。このハーフミラー117は、主光軸LLに対して斜めに配置されて、矢印A,B方向に移動可能である。
【0044】
従って、左折,カーブ走行,進路変更時等に、このハーフミラー117を矢印A方向に移動させることによって、側方に反射される光が増大するので、側方視界が明瞭になる。また、ハーフミラー117を側方に移動させるだけでなく、やや下方に傾けてもよく、その場合は、側方下向きの光量が増大するので、まぶしさを低減できるという利点がある。
【0045】
尚、この時、走行ビーム用前照灯113の可動遮光板119を上げた状態で点灯してもよく、また、前記実施例2で使用したプリズム103(又はハーフミラー)を配置して使用してもよい。その場合は同様な効果を得られる。
以上本発明の一実施例について説明したが、本発明は何等この実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲の種々なる態様にて実施することができる。
【0046】
例えば、使用するプリズムは一つではなく、複数のプリズムを並べて使用することが考えられるが、その場合には、プリズム個々の厚さを低減できるという利点がある。
また、実施例においては右左折とカーブ又は進路変更とで配光パターンを変更するだけであったが、さらに細かく配光パターンを定めておいてもよい。
【0047】
更に、反射面の曲率が部位によって連続的に異なっているリフレクタを用いても構わない。また、ヘッドライトのリフレクタ自体を例えば油圧等によって変形させる機構を用いて部分的に反射面の曲率を変化させる構成としてもよい。
加えて、ヘッドライトの形式についてもプロジェクトタイプのものに限らず、シールドビームタイプでもよいし異形ヘッドライトでもよいことは勿論である。
【0048】
また、前記実施例では、4灯式で説明したが、2灯式でもよい。その場合は、遮光板を上下方向に可動にして、すれ違いビームと走行ビームに切り替える。
尚、入射面及び反射面を備えたプリズムに代えて、凹状の入射面を備えたプリズム(反射面は有しない)をすれ違いビーム用前照灯に使用し、走行ビーム用前照灯には、上述した各実施例の可動遮光板を使用したり、或は可動遮蔽板に加え、プリズム又はハーフミラーを使用して、すれ違いビームの光量を補ってもよい。その場合には、可動遮蔽板,プリズム及びハーフミーによる上述した効果が得られる。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項1の発明では、前照灯の照射方向を変更するために用いられるプリズムとして、背後から出射面を通過する光のうち側方を向く光の角度を連続的に大きくする構成を採用するとともに、プリズムの光の曲げられる方向の入射側端面に光を反射する反射面を形成している。そのため、入射面では光は殆ど反射することなくプリズム内に進入力して所定方向に曲げられ、しかも反射面では光が反射されるので、光源から照射される光は、効率よく所定方向に曲げられて照射されることになる。しかも、この反射面を採用することによって、プリズムの厚さを薄くできるので、前照灯内の狭い空間でもプリズムを好適に配置できることになる。また、プリズムを薄くできるのであるから、プリズムにフレネルレンズの様に複雑な加工を施す必要がないという利点もある。
【0050】
請求項2の発明では、プリズムの反射面を、反射面による光の反射後に反射光が交差するように凹状にしている。そのため、反射面の後部で反射した光はその進行方向がそれほど曲げられず、一方、反射面の前部で反射した光はその進行方向が大きく曲げられる。その結果、光の曲げられる状態が連続的になり、光の抜けによる照射光量のムラを防止できるという効果がある。
【0051】
請求項3の発明では、プリズム調節手段によって、前照灯の光源の前方に配置されたプリズムの位置を変更することにより、前照灯の光を効率よく使用できるとともに、側方又は側方下方等の適宜所定方向にその照射方向を設定することができる。
【0052】
請求項4の発明では、すれ違いビーム用前照灯として前記請求項3の様なプリズムを有する車両用前照灯装置を使用し、また走行ビーム用前照灯には走行ビームの上方光をカットする可動遮蔽部を配置している。従って、走行時には、プリズムを用いてすれ違いビームを調節して側方及び前方を照らすとともに、可動遮蔽部を駆動して走行ビームの上方光をカットすることによって、すれ違いビームが側方を照らすことにより減少した前方の光量を補うことができる。
【0053】
請求項5の発明では、前照灯の光の方向を変更する光学手段として、ハーフミラーを採用しているので、背後から照射される光の一部の方向を反射によって変更するとともに、その光の一部を前方に通過させることができる。よって、前方だけでなく側方又は側方下方も照らすことができる。また、ハーフミラーは厚さが薄いので、前照灯内の狭い空間でも容易に配置できるという利点がある。
【0054】
請求項6の発明では、すれ違いビーム用前照灯に前記請求項5の様なハーフミラーを配置し、走行ビーム用前照灯には走行ビームの上方光をカットする可動遮蔽部を配置している。従って、走行時には、ハーフミラーを用いてすれ違いビームを調節して側方及び前方を照らすとともに、可動遮蔽部を駆動して走行ビームの上方光をカットすることによって、すれ違いビームが側方を照らすことにより減少した前方の光量を補うことができる。
【0055】
請求項7の発明では、走行ビーム用前照灯に、走行ビームの一部を側方に向けるプリズム又はハーフミラーを配置したので、すれ違いビームが側方を照らすことにより減少したすれ違いビーム用前照灯の前方の光量を補うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の車両用前照灯装置の平面から見た概略構成図である。
【図2】 車両用前照灯装置を示し、(a)はすれ違いビーム用前照灯を側面から見た概略構成図であり、(b)は走行ビーム用前照灯を側面から見た概略構成図である。
【図3】 プリズムの説明図である。
【図4】 車両用前照灯装置の平面から見た概略構成図である。
【図5】 車両用前照灯装置の制御系の概略構成図である。
【図6】 プリズムの動作を示し、(a)はプリズムを側方に移動した状態を示す説明図、(b)はプリズムを主光軸側に移動した状態を示す説明図である。
【図7】 プリズムの動作を示し、(a)は左折時にプリズムの移動した状態を示す説明図、(b)はカーブ時等にプリズムが移動した状態を示す説明図である。
【図8】 実施例2の車両用前照灯装置の平面から見た概略構成図である。
【図9】 車両用前照灯装置を示し、(a)はすれ違いビーム用前照灯を側面から見た概略構成図であり、(b)は走行ビーム用前照灯を側面から見た概略構成図である。
【図10】 実施例3の車両用前照灯装置の平面から見た概略構成図である。
【図11】 従来技術を示し、(a)はプリズムの位置を示す説明図、(b)はプリズムの形状を示す説明図である。
【符号の説明】
1,81,111…すれ違いビーム用前照灯、
3,83,113…走行ビーム用前照灯、
5,17,85,97…光源、 9,21,89,101,115…レンズ、
11,91…(固定式)遮光板、 23,103,119…可動遮光板、
15,95,105…プリズム、 117…ハーフミラー、
61…制御コンピュータ、 15a…入射面、 15b…反射面、
15c…反射層、 15d…出射面、 LL…主光軸
Claims (7)
- 背後から通過する光のうち側方を向く光の角度を連続的に大きくするプリズムを用いて、前照灯の照射方向を変更する車両用前照灯装置であって、
該プリズムの背後の入射側端面のうち、光の曲げられる方向の入射側端面に光を反射する反射面を形成したことを特徴とする車両用前照灯装置。 - 前記プリズムの反射面を、該反射面による光の反射後に反射光が交差するように凹状に形成したことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯装置。
- 前照灯の光源の前方に配置された前記プリズムの位置を変更することによって、該プリズムを介して照射される光の方向を側方又は側方下向きに変更するプリズム調節手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用前照灯装置。
- 前記プリズムを有するすれ違いビーム用前照灯と、走行ビーム用前照灯とを備えた車両用前照灯装置において、
前記走行ビーム用前照灯に走行ビームの上方光をカットする可動遮蔽部を設け、前記プリズムを用いてすれ違いビームを調節する際に走行ビームを併用するとともに、前記可動遮蔽部を駆動して走行ビームの上方光をカットすることを特徴とする請求項3に記載の車両用前照灯装置。 - 前照灯の光源の前方に位置変更可能に設けられ、光の照射方向を側方又は側方下向きに変更可能な光学手段を備えた車両用前照灯装置において、
前記光学手段が、背後から照射される光の一部を反射させるとともに、当該光の一部を通過させるハーフミラーであることを特徴とする車両用前照灯装置。 - 前記ハーフミラーを有するすれ違いビーム用前照灯と、走行ビーム用前照灯とを備えた車両用前照灯装置において、
走行ビーム用前照灯中に、走行ビームの上方光をカットする可動遮蔽部を設け、前記ハーフミラーを用いてすれ違いビームを調節する際に走行ビームを併用するとともに、前記可動遮蔽部を駆動して走行ビームの上方光をカットすることを特徴とする請求項5に記載の車両用前照灯装置。 - 前記走行ビーム用前照灯に、前記走行ビームの一部を側方に向けるプリズム又はハーフミラーを配置したことを特徴とする請求項4又は6に記載の車両用前照灯装置。
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