JP3690477B2 - 建物の構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は建物の構造、特に大スパン建物に適用して好適な構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
無柱あるいはごく少数の柱のみで大空間を形成することのできる建物の構造としては、鉄骨造の大スパンのトラス梁を用いるものが広く採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
鉄骨造の大スパンのトラス梁は軽量で施工も比較的容易であるが、外力による変形や振動が生じやすいので、極度に振動を嫌うような特殊用途の建物、たとえばクリーンルームや精密加工を行う工場等に適用する場合にはトラス梁の変形や振動が問題とされ、その制御が必要となる場合もある。
【0004】
本発明は、大スパンのトラス梁を用いる場合と同様に大空間を確保でき、しかもトラス梁を用いる場合よりも変形や振動の影響を受け難い有効な建物の構造を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上弦材と下弦材とを上下に離間させかつ互いに略平行な状態で柱や梁等の構造体間に架設して、それら上弦材と下弦材をそれぞれ独立した梁として機能せしめ、前記下弦材と前記構造体との接合部から斜め上方に向けて設けた斜材により前記上弦材の両端部を下方から支持するとともに、前記上弦材と前記構造体との接合部から斜め下方に向けかつ前記斜材とは非接合状態でX状に交差させて設けた斜材により前記下弦材の両端部を上方から支持することにより、それら斜材によって上弦材と下弦材の両端部をそれぞれ独立に支持してなり、前記上弦材を大スパンの屋根を支持するための梁として設けるとともに、前記下弦材を前記屋根面の下方に設置される天井材を吊るための梁として設けて、それら屋根面と天井面との間に形成される天井裏空間を諸設備を設置するためのプレナムチャンバとしたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1〜図4は本発明の構造を採用した建物の概要を示すものである。本実施形態の建物の用途は半導体製造工場であり、2階に大規模なクリーンルームが設けられ、1階に関連諸室が設けられ、周囲全体にはコア部が配置されている。
【0008】
この建物の1階およびコア部の構造は柱1と梁2からなるラーメン構造であるが、2階および屋根の構造は、桁行方向に架設された長大スパンの主トラス梁3と、その主トラス梁3の両側に架設された多数のダブルビーム4(詳細後述)とによって屋根面5を支持するものとされ、これにより2階は主トラス梁3の中間部を支持する1本の中間柱6を除いて無柱の大空間とされている。
【0009】
上記の主トラス梁3は、図2に示されるように上弦材7、下弦材8、多数の束材9とラチス材10からなる鉄骨造のもので、上弦材7を屋根面5の水勾配にあわせて傾斜させることにより梁成が一端側から他端側にかけて漸次小さくなっている。そして、この主トラス梁3にはPC鋼材を緊張させて定着することでプレストレスが導入されており、これにより比較的低梁成でありながらたとえば150m以上にも及ぶ長大スパンを実現し得るものとなっている。
【0010】
また、上記のダブルビーム4も鉄骨造のもので、図3に示すように、H形鋼からなる上弦材11と下弦材12とを上下に離間させて互いに平行な状態とし、それらの両端をそれぞれ主トラス梁3およびコア部の柱1に対して接合してそれらの間に架設し、かつ、上弦材11の両端部を斜材13によって下方から支持するとともに、下弦材12の両端部を斜材14によって上方から支持するように構成されている。斜材13,14としてはチャンネル形鋼が用いられ、斜材13は下弦材12と主トラス梁3あるいは柱1との接合部から斜め上方に向けて設けられてその先端が上弦材11の下面に接合され、斜材14は上弦材11と主トラス梁3あるいは柱1との接合部から斜め下方に向けて設けられて下弦材12の上面に接合され、これらは互いに接合されることなくX状に単に交差しており、それぞれ主トラス梁3あるいは柱1から上弦材11と下弦材12の両端部を独立に支持するものとされている。これにより上弦材11と下弦材12とはそれぞれが独立した梁として機能するものとなり、本実施形態におけるダブルビーム4はそれら2本の梁を対向状態で組み合わせた形態のものである。
【0011】
そして、上記のようにして架設されている主トラス梁3の上弦材7およびダブルビーム4の上弦材11に支持されて折板等の屋根材が全面的に取り付けられてこの建物の屋根面5が構成され、また、主トラス梁3の下弦材8およびダブルビーム4の下弦材12に支持されてクリーンルームの天井面15となる天井材が全面的に設置され、この天井面15と屋根面5との間に形成される天井裏空間はダクト等の諸設備を設置するための大規模なプレナムチャンバとして確保されている。なお、天井面15はクリーンルーム内の清浄度を維持するためにエアタイトを維持可能な構造とされている。
【0012】
上記構造の建物では、長大スパンの主トラス梁3と多数のダブルビーム4とにより大空間を構成可能であるとともに、特にダブルビーム4の採用により屋根面5の変形や振動による悪影響を受け難いものとなっている。
【0013】
すなわち、上記のダブルビーム4は、屋根面5を支持する上弦材11と天井面15を支持する下弦材12とが独立した梁として機能するとともに、それらの両端部が斜材13,14によって独立に支持されているので、それら斜材13,14がない場合に比較すると両端部おける剛性が高められかつ支点間距離が小さくなっており、そのため自ずと変形や振動が生じ難いものとなっている。そして、屋根面5が風や積雪の影響により変形や振動を生じて図4に示すようにダブルビーム4の上弦材11に振動が励起されたとしても、その振動が下弦材12にまでは直接的に伝達されることがなく、したがって下弦材12に支持されている天井面15が変形したり振動してしまうようなことはない。その結果、天井面15の変形や振動に対する対策を軽減し得て天井面15のエアタイト性能を確保する上で有利となるし、振動を嫌う機器に対する防振対策も軽減することができる。さらに、上記のダブルビーム4は両端部に斜材13,14が設けられているのみで、通常のトラス梁のように全長にわたってラチス材や束材が設けられるようなものではないから、上弦材11と下弦材12との間には大断面のダクト等の諸設備を支障なく通すことができ、したがって上述のように天井面15と屋根面5との間に形成される天井裏空間を大規模なプレナムチャンバとして確保してそこにダクト等の諸設備を設置できる利点もある。
【0014】
なお、本発明の構造は、建物の規模や用途に拘わりなく広く適用できることはもとより、上弦材11や下弦材12、斜材13,14の断面形状や寸法、素材は自由な設計的変更が可能であることは言うまでもない。
【0015】
【発明の効果】
本発明は、独立の梁として機能する上弦材と下弦材の両端部を非接合状態でX状に交差させて設けた斜材によってそれぞれ独立に支持する構造であるので、両端部の剛性が斜材によって高められるとともに支点間距離が小さくなって変形や振動を生じ難いものとなり、しかも一方の変形や振動が他方に直接的に伝達され難いものとなる効果があり、変形や振動を嫌う用途の建物に適用して好適である。
【0016】
しかも、上弦材を大スパンの屋根を支持するための梁として設けるとともに、下弦材を屋根面の下方に設置される天井材を吊るための梁として設けるので、屋根面が風や積雪の影響により変形や振動を生じても天井面にまで悪影響が及ぶことを有効に防止できる効果があるし、天井面と屋根面との間に形成される天井裏空間をプレナムチャンバとしたのでそこにダクト等の諸設備を設置できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の構造による建物の実施形態を示すスパン方向断面図である。
【図2】 同、桁行方向断面図である。
【図3】 同、要部拡大図である。
【図4】 同、作用を説明するための図である。
【符号の説明】
1 柱(構造体)
3 主トラス梁(構造体)
4 ダブルビーム
5 屋根面
11 上弦材
12 下弦材
13,14 斜材
15 天井面
Claims (1)
- 上弦材と下弦材とを上下に離間させかつ互いに略平行な状態で柱や梁等の構造体間に架設して、それら上弦材と下弦材をそれぞれ独立した梁として機能せしめ、前記下弦材と前記構造体との接合部から斜め上方に向けて設けた斜材により前記上弦材の両端部を下方から支持するとともに、前記上弦材と前記構造体との接合部から斜め下方に向けかつ前記斜材とは非接合状態でX状に交差させて設けた斜材により前記下弦材の両端部を上方から支持することにより、それら斜材によって上弦材と下弦材の両端部をそれぞれ独立に支持してなり、
前記上弦材を大スパンの屋根を支持するための梁として設けるとともに、前記下弦材を前記屋根面の下方に設置される天井材を吊るための梁として設けて、それら屋根面と天井面との間に形成される天井裏空間を諸設備を設置するためのプレナムチャンバとしたことを特徴とする建物の構造。
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