JP3689610B2 - リッジフィルタの設計方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透過する粒子線の線量を変化させてターゲット内に所定の線量分布を作るリッジフィルタの設計方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
癌を治療する方法の1つに、粒子線を癌の腫瘍に照射する治療方法がある。この治療方法は、癌腫瘍へ粒子線を照射することにより癌細胞を死滅させるものである。図13は、粒子線10を照射される腫瘍130の例を示す。粒子線10は以下のように照射される。腫瘍130は粒子線10に垂直な平面上にある程度の広がりを持つので、粒子線10は、コリメータ132および補正用媒質134によりその広がりに応じて整形される。腫瘍130以外の正常な組織へ粒子線10を照射しないようにするためである。腫瘍130は深さ方向にも厚みDを持つので、その厚みDの部分に線量が所望の値で一様な粒子線10を照射する必要がある。
【0003】
深さ方向の所定の範囲で線量が一様な粒子線10は、複数の異なるエネルギーを持つ粒子線から得られる。例えば、図2の(b)は、水ターゲットに入射した粒子線の線量分布(ブラッグ曲線)を示すところ、線量が一様な領域SOBP(Spread-Out Bragg Peak)は、ブラッグ曲線22、24’’のそれぞれを重ね合わせることにより得られる。ブラッグ曲線22、24’’のそれぞれは、図2の(a)におけるブラッグ曲線22、24に重みをかけたものである。
【0004】
このようなSOBPを得るための複数の異なるエネルギーを持つ粒子線は、リッジフィルタを用いて生成される。リッジフィルタは、入射したあるエネルギーを持つ粒子線を、それぞれ重みをかけた複数の単色エネルギーの粒子線に変換するフィルタである。すなわちリッジフィルタは、ブラッグ曲線22で表されるエネルギーの粒子線を受け、ブラッグ曲線24’’によって表される複数の単色エネルギーの粒子線に変換する。これらの粒子線が重ね合わされることにより、リッジフィルタから出力された粒子線は、照射対象(ターゲット)に対してブラッグ曲線26で表されるSOBPを持つ粒子線を形成する。図3は、リッジフィルタの例を示す。リッジフィルタの入射面30からの階段の高さhに応じて、粒子線は異なるエネルギーを持つ複数の粒子線に変換される。すなわち、階段の高さhが小さいほどリッジフィルタ内で減衰する量が小さいので、深い位置まで到達できるエネルギーを持つ粒子線が透過される。よって、階段の高さhは図2のグラフにおける横軸方向のブラッグ曲線の位置を規定する。さらに階段の幅wを調整して通過する粒子数を制御することにより、線量レベルを調整することができる。よって、階段の幅wは、図2のグラフにおける縦軸方向のブラッグ曲線の重みに相当する。換言すれば、この階段の幅wは粒子束に相当する。
【0005】
粒子線の進行距離に関して所望の距離で、かつ所望の線量値で一様なSOBPを得るために、適切な階段の高さhおよび幅wを持つリッジフィルタを設計する必要がある。従来のリッジフィルタの設計手順は、例えば「MONTE CARLO SIMULATION OF A PROTONTHERAPY SYSTEM FOR THE CALCULATION OF THE DOSE DISTRIBUTION IN A PATIENT」TERA, 95, No.4, pp25 (1995)に記載されている。図14は、従来のリッジフィルタの設計フローを示す。(1)まず目標とするSOBP幅を決定する。(2)異なるエネルギーの複数のブラッグ曲線(図2のブラッグ曲線24)を、モンテカルロ計算により求める(ステップS142)。(3)目標とするSOBP上の評価点と、その位置での目標値に対して、全てのブラッグ曲線の重みxを、式Ax=bから決定する(ステップS144)。ここで、行列Aには各ブラッグ曲線24上のサンプル値を格納している。その1行目は最大エネルギーの値、第2行は2番目のエネルギーの値等であり、bは目標値である。(4)求めた重みxに基づいてリッジフィルタの階段の幅wを決定する(ステップS146)。このとき、階段の高さの差(階段の各ステップの高さ)は一定である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上の(2)で述べたように、従来は多数回モンテカルロ計算を行い、エネルギーの異なる複数のブラッグ曲線24(図2(a))を得なければならなかった。一般にモンテカルロ計算には時間がかかるため、これでは設計を迅速に行うことができない。
【0007】
さらに、従来の方法では目標とするSOBP上の評価点の位置によっては、平坦度のよいSOBPが得られないという問題がある。例えば、評価点は飛び飛びの位置を採用するため評価点間のSOBP値の挙動が考慮されず、したがって評価点以外の点で目標値との差が大きくなる場合がある。特に最大エネルギーのブラッグ曲線のピークが評価点として採用されない場合には重みの影響が大きく、SOBPグラフの右端に突起が出ることがある(後述する図5の横軸285mm付近の値)。
【0008】
一旦作成したリッジフィルタを使って理論上の値を計算したとき、理論値と実際に必要な値とが一致しない場合は適当な補償方法がなく、再度設計を行わなければならなかった。または実測値に基づいた複数のブラッグ曲線を得て、それに基づいてリッジフィルタを設計する必要があった。
【0009】
本発明の目的は、均一なSOBPを実現するリッジフィルタを迅速に設計する方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のリッジフィルタの設計方法は、粒子線の進行距離と線量との関係を表すブラッグ曲線を用いて前記粒子線が透過する透過部の高さと幅とを調整し、透過後の前記線量が前記進行距離の所定の範囲において所望の値で一様なSOBPを実現するリッジフィルタの設計方法であって、モンテカルロ計算により、前記粒子線の第1のブラッグ曲線を取得するステップと、前記第1のブラッグ曲線をn回(n:自然数)平行移動することにより、n本の第2のブラッグ曲線を取得するステップと、前記SOBPの前記所望の値と、前記第1のブラッグ曲線と、前記第2のブラッグ曲線とに基づいて前記第1のブラッグ曲線と前記第2のブラッグ曲線の各々とにかける重みを計算するステップであって、前記重みをかけた前記第1のブラッグ曲線と前記第2のブラッグ曲線の各々とを重ね合わせると、前記所望の値の前記SOBPが得られるよう重みを計算するステップと、前記重みに基づいて前記透過部の幅を決定するステップと、からなる、リッジフィルタ設計方法であり、これにより上記目的が達成される。
【0011】
前記リッジフィルタ設計方法は、前記重みに基づいてモンテカルロ計算を行い、前記SOBPの理論値を計算するステップと、前記理論値と、前記所望の値との差を計算するステップと、前記差と、前記第1のブラッグ曲線と、前記第2のブラッグ曲線とに基づいて前記差を補正するための前記第1のブラッグ曲線と前記第2のブラッグ曲線の各々とにかける補正重みを計算するステップであって、前記補正重みをかけた前記第1のブラッグ曲線と前記第2のブラッグ曲線の各々とを、さらに前記重みをかけた前記第1のブラッグ曲線と前記第2のブラッグ曲線の各々とに重ね合わせると、前記差に相当する前記線量が最も小さくなるよう前記補正重みを計算するステップと、をさらに含み、前記決定するステップは、さらに前記補正重みに基づいて前記透過部の幅を決定してもよい。
【0012】
前記リッジフィルタ設計方法は、前記重みに基づいてモンテカルロ計算を行い、前記SOBPの理論値を計算するステップと、前記所望の値と、前記理論値との差を計算するステップと、前記所望の値に前記差を加えた値と、前記第1のブラッグ曲線と、前記第2のブラッグ曲線とに基づいて、前記重みを修正した修正重みを計算するステップであって、前記修正重みをかけた前記第1のブラッグ曲線と前記第2のブラッグ曲線の各々とを重ね合わせると、前記所望の値の前記SOBPが得られるよう重みを計算するステップと、をさらに含み、前記決定するステップは、前記修正重みに基づいて前記透過部の幅を修正してもよい。
【0013】
前記リッジフィルタ設計方法は、前記重みと前記補正重みとに基づいて得られるSOBPの値と、前記SOBPの前記所望の値との誤差を計算するステップと、前記誤差が所定の許容範囲を超えている位置を選択するステップと、をさらに含み、選択された前記位置の誤差を小さくするように、前記重みを計算するステップと前記補正重みを計算するステップとを再度実行してもよい。
【0014】
前記リッジフィルタは、前記粒子線の入射方向に平行な高さと前記粒子線の入射方向に垂直な幅とを有する前記透過部を備えたリッジフィルタであってもよい。
【0015】
前記リッジフィルタは、前記入射方向と平行な軸を中心として回転する、少なくとも1つの前記透過部を備えた回転形リッジフィルタであり、前記透過部の幅は、前記透過部の回転方向の幅を変化させることによって調整されてもよい。
【0016】
前記回転形リッジフィルタは複数の前記透過部を有し、前記複数の透過部の各々は、それぞれ異なる高さを有していてもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下では、本発明により設計されるリッジフィルタを利用する装置の説明をした後、そのリッジフィルタを設計するための手順を説明する。本明細書において粒子線とは、例えば陽子線である。また、粒子線を照射する対象は深さ方向に厚みDを持つ腫瘍130(図13)とする。なお「深さ方向」とは粒子線が照射され、進行する方向をいう。
【0018】
図1は、リッジフィルタを用いたワブラー法による粒子線照射装置1の模式図である(「Instrumentation for treatment of cancer using proton and light-iron beams」Rev. Sci. Instrum. Vol. 64 No.8 pp.2055-2091 (1993))。粒子線照射装置1は、腫瘍130(図13)の形状に応じて粒子線10を照射する領域(深さ方向も含む)を調整し、必要な線量の粒子線10を腫瘍130(図13)に照射する装置である。粒子線照射装置1は、1対の水平方向揺動用電磁石11と、1対の垂直方向揺動用電磁石12と、粒子のエネルギーを変えるためのレンジシフタ13と、リッジフィルタ14と、照射ボリューム16とを含む。粒子線源(図示せず)から放射された粒子線10は、1対の水平方向揺動用電磁石11と、1対の垂直方向揺動用電磁石12とを用いて揺動され、照射面積が広げられる。揺動された粒子線10はレンジシフタ13を通り、粒子線10のエネルギーが適当な量だけ小さくされる。その後、粒子線10はリッジフィルタ14に入射する。リッジフィルタ14は、透過した媒質の長さに応じて粒子線のエネルギーが減衰することを利用して、入射した粒子線をそれぞれ重みをかけた複数の単色エネルギーの粒子線に変換するフィルタである。リッジフィルタ14から出力された粒子線は、照射対象(ターゲット)に対してSOBP(Spread-Out Bragg Peak)を持つ粒子線を形成する。SOBPとは粒子線進行距離の所定の範囲で線量が一様な領域であり、例えば、ブラッグ曲線26(図2(a))で表される。図3は、リッジフィルタの例を示す。リッジフィルタ14は、入射面からの高さhが異なる、複数の段差のある透過部を持つものが多く利用されている。リッジフィルタ14の入射面30からの階段の高さhに応じて、粒子線は、異なるエネルギーを持つ複数の粒子線に変換される。すなわち、階段の高さhが小さいほどリッジフィルタでの減衰量が小さいので、深い位置まで到達可能なエネルギーを持つ粒子線が透過される。さらに階段の幅wを調整して通過する粒子数を制御することにより、線量レベルを調整することができる。したがってこの階段の幅wは、各粒子線に対してかける重みであるといえる。重みをかけることにより粒子線(図2の(b)のブラッグ曲線24’’)を得ることができる。なお、リッジフィルタ14の透過部において、各エネルギーの粒子線が出射する部分の形状は任意であるが、本実施の形態では長方形である。リッジフィルタ14の階段は、最終的に得られたブラッグ曲線24’’(図2)の間隔(例えば、ピークの間隔)が狭くなれば、滑らかになる。間隔が狭いことは、すなわちエネルギーレベルが近接するブラッグ曲線24’’(図2)を利用することを意味し、よって隣り合う階段の高さの差dが小さくなるためである。リッジフィルタ14から出力された粒子線10が、揺動され広がった粒子束15として示されている。なお、以下の説明では、揺動され広がった粒子束15についても粒子線10として言及する。
【0019】
粒子線10は、続いて照射ボリューム16によって適切な範囲に絞られ、腫瘍130(図13)に照射される。照射ボリューム16により調整されるのは、図1に示す座標系ではXY平面内の照射領域である。z軸方向、すなわち腫瘍130(図13)の深さ方向に照射すべき量は、リッジフィルタ14によって既に調整されている。すなわち腫瘍130(図13)の厚み方向に一様かつ所望の線量のSOBPが形成されるよう、粒子線の照射量はリッジフィルタ14によって既に調整されている。
【0020】
先に述べたように、リッジフィルタ14(図1)の入射面からの透過部の高さhと階段の幅wとにより透過する粒子線の線量が決定されるので、それらを調整することにより、SOBPを形成することができる。以下、より具体的に説明する。まず、図2の(a)は、水ターゲットに入射した粒子線10(図1)の水の深さに対する線量分布を示す。粒子線の進行距離と線量との関係(線量分布)を表す曲線は、一般に「ブラッグ曲線」と呼ばれる。複数のブラッグ曲線に適当な重みをかけて重ね合わせると、所定の範囲(図2の場合は約100mm〜300mm)で線量が一様な領域、すなわちSOBPを持つブラッグ曲線26を得ることができる。SOBPが腫瘍130(図13)の厚みDに一致するよう、ブラッグ曲線26により表される粒子線を照射することで、厚みDの部分の線量を所望の値で一様にできる。図3を参照してこのようなSOBPを形成するためのリッジフィルタ14をさらに説明する。リッジフィルタ14は、図の奥行き方向に同じ断面を有している。粒子線のエネルギーは透過した媒質の長さに応じて減衰するので、リッジフィルタ14の入射面30からの透過部の高さhによって、異なるエネルギーの粒子線10を複数同時に得ることができる。線量レベルの差は、透過部の各階段の幅wに差異があるために生じる。換言すれば、リッジフィルタ14は、透過部の各階段の幅wを変化させることにより粒子の透過面積を変化させ、透過する粒子数を制御する。これによりブラッグ曲線の線量レベル(図2の縦軸方向のレベル)を調整できる。例えば、各階段の幅wを2倍にして透過部の面積を2倍にすると、透過する粒子数も2倍になり、ブラッグ曲線は図2の縦軸の正方向に平行移動する。したがってリッジフィルタ14の階段の幅wは、ブラッグ曲線22、24を平行移動させる因子である。この因子は、以下、ブラッグ曲線にかける「重み」としても言及される。なお各階段の高さの差dの大きさは特に限定されないが、より小さい方が深さ方向(図2の横軸方向)に密接した複数のブラッグ曲線を得ることができ、より容易にかつ均一なSOBPを得ることができる。
【0021】
続いて、リッジフィルタの入射面30(図3)からの階段の高さhと階段の幅wを決定するための手順を説明する。本発明では、SOBPを持つブラッグ曲線26(図2)(以下、「SOBPブラッグ曲線26」という)を得るために行っていた全てのブラッグ曲線についてのモンテカルロ計算を、最大のエネルギーを持つ粒子線について1回だけ行う。すなわち本発明では、モンテカルロ計算により求めるのはブラッグ曲線22(図2の(a))のみである。続いて、ブラッグ曲線22(図2)を平行移動することによりブラッグ曲線24’が取得される。ブラッグ曲線24’が、SOBPブラッグ曲線26(図2)を得るために必要な別のエネルギーのブラッグ曲線となる。平行移動は、図2の横軸方向に行う。このように、すべてのブラッグ曲線の取得に時間のかかるモンテカルロ計算を採用しないことで、リッジフィルタの設計に要する計算時間を短縮することができる。
【0022】
以下、その手順をより詳しく説明する。図4は、本実施の形態によるリッジフィルタの設計フローを示す。まず初めに、最大エネルギーのブラッグ曲線22(図2)をモンテカルロ計算により求める(ステップS40)。モンテカルロ計算は周知の計算手法であるのでその説明は省略する。次に、得られたブラッグ曲線22(図2)をn回(n:自然数)平行移動して、n本のブラッグ曲線24(図2)を得る(ステップS41)。このステップではブラッグ曲線22(図2)の平行移動をするのみであるから、n本のブラッグ曲線を得るためにモンテカルロ計算を行うよりは短時間ですむ。
【0023】
次に、各ブラッグ曲線22、24’(図2)へかける重みを計算する(ステップS42)。ここで「重み」は、各ブラッグ曲線22、24’に(図2)その重みをかけて重ね合わせると、SOBPの必要な線量レベルと所望の位置での所望の長さが得られるよう求められる。重みは以下のようにして求める。まず、各ブラッグ曲線22、24’(図2)を複数個の点(例えば、各ブラッグ曲線についてm個ずつ)でサンプリングする。次に所望のSOBPを有するSOBPブラッグ曲線26(図2)も複数個(m個)の点でサンプリングする。この点は以下、「評価点」として言及される。評価点の位置は任意であるが、各ブラッグ曲線22、24’(図2)およびSOBPブラッグ曲線26(図2)のk番目の評価点は、いずれも横軸方向の同じ位置pkにおける各ブラッグ曲線22、24’(図2)およびSOBPブラッグ曲線26(図2)上の点が採用される。SOBPブラッグ曲線26(図2)のSOBPの位置以外の位置では、線量レベルを低くする方が好ましい。その位置は腫瘍130(図13)ではない正常な組織がある位置であり、そのような組織に照射される粒子線レベルはより低い方がよいからである。なお、所望のSOBPを得ることだけを考える場合には、SOBPブラッグ曲線26(図2)の所望のSOBP位置ですべてのサンプリングを行えばよい。続いて得られたサンプル値を利用して、ブラッグ曲線22、24’(図2)のサンプル値を成分に持つm×(n+1)行列Aと、重みを表す(n+1)×1重みベクトルxと、SOBPブラッグ曲線26(図2)上のm×1サンプル値列ベクトルbとを作る。ブラッグ曲線22および24’は計(n+1)本であるので、成分も(n+1)行、または列だけ必要となる。これらの行列とベクトルの間には、
Ax=b・・・(1)
の関係が成り立つ。重みベクトルxの各成分の値は、例えば、逐次代入法または最適化手法を利用して求められる。なお、これらの手法は周知であるので詳細な説明は省略する。ここで、行列Aの第1列はブラッグ曲線22(図2)、第2列はブラッグ曲線22、24’(図2)中で2番目のエネルギーを持つブラッグ曲線、・・・(n+1)列目は(n+1)番目のエネルギーを持つブラッグ曲線を表す。この結果、重みベクトルxの第k行(k:1〜n+1の自然数)はブラッグ曲線22、24’(図2)のうちk番目のエネルギーを持つブラッグ曲線の重みとなる。以上のようにして重みが計算される。
【0024】
求めた重みとブラッグ曲線22、24’(図2)とから、実際にSOBPを持つブラッグ曲線を計算する。図5は、本発明の手法により得た重みから計算したSOBPブラッグ曲線のグラフを示す。図2では、横軸は粒子線の進行距離(mm)、縦軸はSOBPが得られているか否かの観点から、線量の最大レベルで正規化している。図5によれば、SOBPが約140mm〜290mmの長さ得られていることがわかる。粒子線のエネルギーは230MeV、ブラッグ曲線のサンプリング間隔は2.5mmである。なお「粒子線の進行距離」とは、先に「水の深さ」として言及した、粒子線照射装置1(図1)から照射された粒子線が進んだ距離である。
【0025】
重みが求められると、リッジフィルタの階段の幅wを決定することができる(ステップS43)。例えば、あるエネルギーのブラッグ曲線に対する重みが0.2である場合を考える。平行移動して得られたブラッグ曲線が、リッジフィルタの幅w1のときに実現されるとすると、重みをかけた後のブラッグ曲線は、リッジフィルタの幅0.2×w1のときに実現される。これは、幅を0.2倍にして面積を0.2倍にすることにより、リッジフィルタを通過する粒子線10(図3)の粒子数を0.2倍したことを意味する。このようにしてリッジフィルタの階段の幅wを決定できる。リッジフィルタの入射面30(図3)からの階段の高さhは、ブラッグ曲線22、24(図2)の位置に基づいて決定すればよいが、例えば、図2の横軸方向への平行移動の移動量により決定してもよい。この場合は、最大エネルギーのブラッグ曲線22(図2)を与える入射面30(図3)からの階段の高さh1が得られれば、他のブラッグ曲線24(図2)を与える入射面30(図3)からの階段の高さhkも容易に得ることができる。なお、幅w1と階段の高さh1は、粒子数および減衰量を考慮して周知の手法により容易に得ることができるので、その説明は省略する。
【0026】
このようにして得られた階段の幅wおよび入射面30(図3)からの高さhを用いることによって、リッジフィルタ14(図3)を設計することができる。この結果、全てのブラッグ曲線についてモンテカルロ計算をしなくとも、SOBPを得るためのリッジフィルタを得ることができる。
【0027】
続いて、以上のようにして求めたSOBP計算結果の評価を行い、より一層精度の高いSOBPを求めるための方法を説明する。本方法では、求めた重みに基づいて設計されたリッジフィルタを、ある粒子線が透過するとしたときのSOBPの理論値b’を計算する(ステップS44の「はい」に分岐)。すなわち、得られた幅wおよび高さhをもつリッジフィルタにある粒子線を通過させたときの、SOBPの理論上の値b’をモンテカルロ計算により計算する(ステップS45)。このモンテカルロ計算は、得られたリッジフィルタと透過させる粒子線のエネルギーとに基づいて行われる計算である。図6は、SOBPブラッグ曲線の理論値のグラフを示す。縦軸および横軸等の説明は図5と同じである。この理論値のグラフは、ブラッグ曲線の平行移動により求めたグラフ(図5)と比較して、一様なレベルのSOBPが得られていないことがわかる。その理由は、エネルギーの低い粒子線はエネルギーの高い粒子線よりも比較的散乱が大きいことが知られているが、ブラッグ曲線の平行移動によって取得された低エネルギー粒子線のブラッグ曲線では粒子線の散乱が考慮されていないからである。これは、実際のブラッグ曲線は、平行移動して得られたブラッグ曲線よりも線量が小さいことを意味する。したがって、より一層精度よく一様なSOBPを得るためには、エネルギーが低い粒子線の散乱をも考慮して重みを計算し、リッジフィルタを設計しなければならない。よって、上で得られた重みを用いてモンテカルロ計算を行い、SOBPの理論値b’と所望のSOBP値bとの差を補償する必要がある。
【0028】
再び図4を参照して、得られたSOBPの理論値b’と、SOBPの所望の値bとの差を計算し(ステップS46)、その差を最も小さくする(補償する)ための補正重みを計算する(ステップS47)。すなわち「補正重み」は、その補正重みをかけた各ブラッグ曲線22、24’(図2)を、前に得られた、重みをかけた各ブラッグ曲線22、24’(図2)にさらに重ね合わせて、その差に相当する線量を最も小さくするよう求められる。具体的には、補正重みは以下のようにして求める。前に述べた行列Aと、補正重みを表す(n+1)×1補正重みベクトルΔxと、SOBPの理論値b’とSOBPの所望の値bとの差を表す、m×1差分サンプル値列ベクトルΔbとを用ると、
AΔx=Δb・・・(2)
が成り立ち、式(1)と同様の周知の計算手法により補正重みベクトルΔxを求められる。評価点の位置に関しては先の説明と同様に、k番目の評価点は、いずれも同じ位置pkにおける各ブラッグ曲線およびSOBPブラッグ曲線上の点が採用される。
【0029】
式(2)から得られた補正重みΔxをブラッグ曲線22、24’(図2)に加重し、モンテカルロ計算により既に得ている、重みxをかけたブラッグ曲線にさらに重ね合わせると、その差を補正したSOBPブラッグ曲線を得ることができる。図7は、先に求めた重みと補正重みとに基づいてモンテカルロ計算で求めたSOBPブラッグ曲線を示す。補正重みを加える前のSOBPブラッグ曲線(図6)と比較して、より平坦かつ十分均一なSOBPブラッグ曲線を得ることができる。したがって、この重みおよび補正重みとをかけたブラッグ曲線22、24’それぞれの形状は、ブラッグ曲線24’’ (図2の(b))の形状にほぼ一致する。このようにして各ブラッグ曲線に対する重みと補正重みとが求められたので、補正重みをさらに考慮してリッジフィルタの階段の幅wを決定することができる(図4のステップS43)。
【0030】
以上、実施の形態1を説明した。本実施の形態によれば、迅速に均一なSOBPを与えるリッジフィルタを設計することができる。また本実施の形態によれば、理論値と実測値が違う場合であっても、補正重みを用いて実測値と理論値を十分等しくできるので、精度のよいリッジフィルタを設計できる。この場合でも、モンテカルロ計算を2回行うだけで十分な精度のSOBPを得ることができる。
【0031】
(実施の形態2)
本実施の形態では、所望のSOBPレベルbを得るための他の方法を説明する。実施の形態1では、SOBPの理論値b’と所望のSOBP値bとの差をΔbとして、A△x=△bから補正重みを決定した。本実施の形態では、所望のSOBP値bからのSOBPの理論値b’の差を所望のSOBP値bに加え、その値を得られるような重みを求める。これは、所望のSOBP値bを求めようとして生じた差を、あらかじめ所望のSOBP値bに加えておいて重みを求めることを意味する。このようにして求めた重みによれば、当初から誤差のない所望のSOBP値を実現できる。
【0032】
図8は、本実施の形態によるリッジフィルタの設計フローを示す。ステップS80〜S86のそれぞれは、図4のステップS40〜S46のそれぞれに対応するので、その説明は省略する。なおステップS86では、所望のSOBP値bからのSOBPの理論値b’の差Δbが計算されている。ステップS87では、この差Δbを本来の所望のSOBP値bに加算し、その値を用いて、既に求めた重みxを修正した修正重みx’を求める。すなわち、修正重みx’は
Ax’=b+Δb・・・(3)
を満たすベクトルとして与えられる。これは、所望のSOBP値bを求めようとして重みxを求めても、モンテカルロ計算を行って得られた理論値b’は所望のSOBP値bからΔbだけ差が生じていたことに基づく。すなわち、所望のSOBP値bにあらかじめΔbを加えた値を実現するような修正重みx’を求めると、その修正重みx’に基づいて計算した理論値は、b+ΔbよりもΔbだけ小さい、もとの所望のSOBP値bになる。なお、x’を求める手法は、実施の形態1で簡単に述べたような逐次代入法または最適化手法を用いればよい。このようにして得られた修正重みx’を新たな重みとすると、この重みは、すでに求めた重みxに代わるものである。よって、この重みx’を各ブラッグ曲線22、24’(図2の(a))に加重すると、各ブラッグ曲線22、24’’(図2の(b))を得ることができ、それらを重ね合わせることによりSOBPブラッグ曲線(図2(b))を得ることができる。
【0033】
このようにして各ブラッグ曲線に対する新たな重みが求められたので、その重みに基づいて、既に求めていたリッジフィルタの階段の幅wを修正することができる(図8のステップS83)。その手順は実施の形態1で既に説明したので、説明は省略する。
【0034】
以上、実施の形態2を説明した。本実施の形態によれば、迅速に均一なSOBPを与えるリッジフィルタを設計することができる。
【0035】
(実施の形態3)
本実施の形態は、より均一な所望のSOBPを得るための方法を説明する。すなわち、所望のSOBPを得る過程で、SOBPの右端にピークが生じる場合がある(図5の285mm付近におけるSOBPブラッグ曲線を参照)。これは、サンプリングした評価位置が連続的でなく離散的であることに起因する。図2の(b)を参照してより具体的に説明する。ブラッグ曲線22は、評価点として通常採用されるピーク以外の位置、例えば、ピークから少しずれた水の深さ300mmの位置でもある線量値を持つ。この位置では、他のブラッグ曲線24’’も何らかの線量値を持つ。このような位置では各ブラッグ曲線にかけられた重みの影響が大きく出ているので、重ね合わされたブラッグ曲線のその位置の線量値の和が所望のSOBPのレベルよりも大きくなる場合がある。この最大値が突出した形でSOBPの右端に出現する(シフトする)。これがSOBPの右端に生じるピークである。これはすなわち複数のブラッグカーブを重ね合わせた結果、ピーク位置が評価点の位置と一致していないことを意味する。計算の都合上、評価点が離散的になることは避けられないが、このような最大値を与える位置が評価点として採用されない場合には、SOBPの均一度が悪化する。
【0036】
そこで、このようなピークが生じたと判断する場合には、新しく生じた突起の位置をSOBPブラッグ曲線26上の評価点の1つとして採用し、重みの計算を再度行う。SOBPの突起部分だけでなく、別の評価点間の誤差を計算してその誤差が大きい点をさらに探してもよい。この誤差を定量的に判断する方法として、本実施の形態では、ある一定の許容誤差範囲を設け、その範囲を超える場合にはその位置の誤差が大きいと判断する。許容誤差範囲は、例えば所望のSOBPレベルbの±0.2%などのように設定できる。したがって一般的には、得られたSOBPと、所望のSOBPレベルbとの誤差を計算し、その誤差が許容誤差範囲を超えている位置を選択して新たな評価位置とし、その位置で再び重みを計算すればよい。それにより、選択された新たな評価位置における誤差を小さくできる。図9は、再度計算した重みに基づいて得られたSOBPブラッグ曲線を示す。突起が生じていた位置(図5の285mm付近)にはピークはなく、より均一なSOBPブラッグ曲線が得られていることがわかる。これは、設計したリッジフィルタが高精度であることを意味する。
【0037】
以上、本発明によるリッジフィルタの設計手順を説明した。続いて、実施の形態1〜3において設計されるリッジフィルタの具体的な例を説明する。以下では、長方形でない、扇形の回転型リッジフィルタを用いても、上述の実施の形態がそのまま適用できることを説明する。
【0038】
図10は、回転型リッジフィルタ100を示す。回転型リッジフィルタ100は、粒子線の入射方向と平行な軸を中心に回転して、粒子線が回転する透過部102を透過する際にエネルギーを変化させ、複数の異なるエネルギーを持つ粒子線に変換するフィルタである。回転型リッジフィルタ100は、複数の扇形の透過部102がねじ等の固定具104で固定されている。複数の扇形の透過部102は積み重ねられ、階段状の透過部を形成している。この構成は、これまでの説明のリッジフィルタ透過部と同様である。回転型リッジフィルタ100では、透過部102の交換により弧の幅w(階段の幅w)を変えることができる。上で述べたように階段の幅wを変化させると粒子の透過面積が変化するので、階段の幅wを変化させることは、所定のエネルギーを持つブラッグ曲線にかける重みを自由に変化させられることをあらわす。すなわち、回転型リッジフィルタも実施の形態1〜3で求めた重みを反映して設計できる。例えば、あるエネルギーのブラッグ曲線に対する重みが0.2である場合を考える。透過する粒子数を0.2倍にするためには、扇形の弧の幅wを0.2倍にすればよい。
【0039】
なお、階段の幅wは、透過部102の交換のみならず回転方向にずらしてもよい。例えば回転方向に透過部102の幅を狭くするようずらすと、回転方向と逆側の透過部102は幅が広くなる。したがってこの場合には、粒子線は、リッジフィルタ100の回転方向に幅を狭く調整した領域にのみ粒子線が透過するよう照射する必要がある。
【0040】
続いて、回転型リッジフィルタ100(図10)とは別の回転型リッジフィルタについて説明する。上で説明したように、この回転型リッジフィルタも上述の実施の形態はそのまま適用できる。
【0041】
図11の(a)は、回転型リッジフィルタ110を示す。回転型リッジフィルタ110は、回転型リッジフィルタ100(図10)とは異なるのは、4つの透過部112、114、116、118から構成されている点である。各透過部内の階段の高さは一定であるが、4種類の階段の高さは異なる。プロペラが回転することによって、4枚の透過部112、114、116、118を持つリッジフィルタ、すなわち4種類の高さを持つリッジフィルタを等価的に実現できる。リッジフィルタは切削で製作するので、各透過部の製作段階では階段を切削する工程を減らすことができ、階段の高さが高いとより容易に製作できる。図12は、4つの透過部をもつ回転型リッジフィルタ120のより具体的な外観を示す。直線の矢印が指す方向が粒子線が入射する方向である。回転型リッジフィルタ120は、粒子線の入射方向に垂直な平面内で回転する。
【0042】
図11の(b)は、透過部112および114の断面図を示す。粒子線の入射面からの高さhは、透過部112と透過部114とでは異なることがわかる。より一般的には、回転型リッジフィルタがそれぞれ高さが異なるn種類の透過部を備えていれば、等価的にn段の階段を持つリッジフィルタとして扱うことができるので、上述した効果を得ることができる。なお各階段の高さの差dはどの透過部で同じであってもよいし、必要に応じて異ならせてもよい。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、迅速にSOBPを与えるリッジフィルタを設計することができる。さらに本発明によれば、理論値と実測値が違う場合であっても、補正重みを用いて、またはあらかじめその差を考慮して実測値を理論値に近づけることができるので、精度のよいリッジフィルタを設計できる。
【0044】
さらに本発明によれば、均一なSOBPを得ることができるので、精度のよいリッジフィルタを設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 リッジフィルタを用いたワブラー法による粒子線照射装置1の模式図である。
【図2】 水ターゲットに入射した粒子線10(図1)の水の深さに対する線量分布を示す図である。(a)はモンテカルロ計算によるブラッグ曲線22および24と、本発明による平行移動したブラッグ曲線24’と、SOBPブラッグ曲線26とを示すグラフである。(b)は重みをかけたブラッグ曲線22および24’’と、SOBPブラッグ曲線26とを示すグラフである。
【図3】 リッジフィルタの例を示す図である。
【図4】 実施の形態1によるリッジフィルタの設計フローを示す。
【図5】 本発明の手法により得た重みから計算したSOBPブラッグ曲線のグラフである。
【図6】 SOBPブラッグ曲線の理論値のグラフである。
【図7】 重みと補正重みとに基づいてモンテカルロ計算したSOBPブラッグ曲線を示す図である。
【図8】 実施の形態2によるリッジフィルタの設計フローを示す図である。
【図9】 再度計算した重みに基づいて得られたSOBPブラッグ曲線を示す図である。
【図10】 回転型リッジフィルタを示す図である。
【図11】 (a)は、回転型リッジフィルタ110を示す図である。(b)は、透過部112および114の断面図を示す図である。
【図12】 4つの透過部をもつ回転型リッジフィルタのより具体的な外観を示す。
【図13】 粒子線を照射される腫瘍の例を示す図である。
【図14】 従来のリッジフィルタの設計フローを示す図である。
【符号の説明】
1 粒子線照射装置、10 粒子線、11 1対の水平方向揺動用電磁石、12 1対の垂直方向揺動用電磁石、13 レンジシフタ、14 リッジフィルタ、16 照射ボリューム

Claims (7)

  1. 粒子線の進行距離と線量との関係を表すブラッグ曲線を用いて前記粒子線が透過する透過部の高さと幅とを調整し、透過後の前記線量が前記進行距離の所定の範囲において所望の値で一様なSOBPを実現するリッジフィルタの設計方法であって、
    モンテカルロ計算により、前記粒子線の第1のブラッグ曲線を取得するステップと、
    前記第1のブラッグ曲線をn回(n:自然数)平行移動することにより、n本の第2のブラッグ曲線を取得するステップと、
    前記SOBPの前記所望の値と、前記第1のブラッグ曲線と、前記第2のブラッグ曲線とに基づいて前記第1のブラッグ曲線と前記第2のブラッグ曲線の各々とにかける重みを計算するステップであって、前記重みをかけた前記第1のブラッグ曲線と前記第2のブラッグ曲線の各々とを重ね合わせると、前記所望の値の前記SOBPが得られるよう重みを計算するステップと、
    前記重みに基づいて前記透過部の幅を決定するステップと、
    からなる、リッジフィルタ設計方法。
  2. 前記重みに基づいてモンテカルロ計算を行い、前記SOBPの理論値を計算するステップと、
    前記理論値と、前記所望の値との差を計算するステップと、
    前記差と、前記第1のブラッグ曲線と、前記第2のブラッグ曲線とに基づいて前記差を補正するための前記第1のブラッグ曲線と前記第2のブラッグ曲線の各々とにかける補正重みを計算するステップであって、前記補正重みをかけた前記第1のブラッグ曲線と前記第2のブラッグ曲線の各々とを、さらに前記重みをかけた前記第1のブラッグ曲線と前記第2のブラッグ曲線の各々とに重ね合わせると、前記差に相当する前記線量が最も小さくなるよう前記補正重みを計算するステップと、をさらに含み、
    前記決定するステップは、さらに前記補正重みに基づいて前記透過部の幅を決定する、請求項1に記載のリッジフィルタ設計方法。
  3. 前記重みに基づいてモンテカルロ計算を行い、前記SOBPの理論値を計算するステップと、
    前記所望の値と、前記理論値との差を計算するステップと、
    前記所望の値に前記差を加えた値と、前記第1のブラッグ曲線と、前記第2のブラッグ曲線とに基づいて、前記重みを修正した修正重みを計算するステップであって、前記修正重みをかけた前記第1のブラッグ曲線と前記第2のブラッグ曲線の各々とを重ね合わせると、前記所望の値の前記SOBPが得られるよう重みを計算するステップと、をさらに含み、
    前記決定するステップは、前記修正重みに基づいて前記透過部の幅を修正する、請求項1に記載のリッジフィルタ設計方法。
  4. 前記重みと前記補正重みとに基づいて得られるSOBPの値と、前記SOBPの前記所望の値との誤差を計算するステップと、
    前記誤差が所定の許容範囲を超えている位置を選択するステップと、をさらに含み、
    選択された前記位置の誤差を小さくするように、前記重みを計算するステップと前記補正重みを計算するステップとを再度実行する、請求項2に記載のリッジフィルタ設計方法。
  5. 前記リッジフィルタは、前記粒子線の入射方向に平行な高さと前記粒子線の入射方向に垂直な幅とを有する前記透過部を備えたリッジフィルタである、請求項1〜4のいずれかに記載のリッジフィルタ設計方法。
  6. 前記リッジフィルタは、前記入射方向と平行な軸を中心として回転する、少なくとも1つの前記透過部を備えた回転形リッジフィルタであり、前記透過部の幅は、前記透過部の回転方向の幅を変化させることによって調整される、請求項5に記載のリッジフィルタ設計方法。
  7. 前記回転形リッジフィルタは複数の前記透過部を有し、前記複数の透過部の各々は、それぞれ異なる高さを有する、請求項6に記載のリッジフィルタ設計方法。
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