JP3687670B2 - 液体噴射ヘッドの製造方法およびこの製造方法により製造された液体噴射ヘッド - Google Patents

液体噴射ヘッドの製造方法およびこの製造方法により製造された液体噴射ヘッド Download PDF

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Description

本発明は、液体噴射ヘッドの製造方法およびこの製造方法により製造された液体噴射ヘッドに関するものである。
液体をノズル開口から噴射させる液体噴射ヘッドの製造方法やそれによって製造された液体噴射ヘッドは、種々な液体を対象にしたものが知られているが、そのなかでも代表的なものとして、インクジェット式記録装置に装着される記録ヘッドをあげることができる。そこで、従来の技術を上記記録ヘッドを例にとって説明する。
下記の特許文献1には、ノズル開口が列設されたノズルプレートと、上記ノズル開口に連通する圧力発生室ならびに上記圧力発生室に供給されるインクを貯留するインク貯留室が形成されている流路形成板と、上記圧力発生室の開口を塞ぐ封止板とを積層させた状態で接合して流路ユニットを形成し、上記圧力発生室に圧力変動を与える圧力発生素子に対応させて上記流路ユニットをヘッドケースに貼着する記録ヘッドの製造方法が開示されている。また、同文献には、上記流路形成板が圧力発生室の列毎に分割されていることが開示されている。
特開2002−144561号公報
しかしながら、上記の従来技術では、流路形成板を圧力発生室の列毎に分割することにより、高湿環境下におかれた合成樹脂製ヘッドケースの膨潤変形に対して、流路形成板が好適な順応性を呈することは開示されているが、流路形成板を分割する方法が、記録ヘッドの一連の製造過程のなかでどのようにして行なわれるのかは開示されていない。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、流路形成板の分割を含んだ液体噴射ヘッドの製造を、すぐれた工程管理や品質管理のもとで遂行できるとともに、良好な動作性能の液体噴射ヘッドの提供をその目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の液体噴射ヘッドの製造方法は、ノズル開口が列設されたノズルプレートと、上記ノズル開口に連通する圧力発生室ならびに上記圧力発生室に供給される液体を貯留する液体貯留室が形成されているとともに上記圧力発生室の列に沿って複数の分割板に分割されている流路形成板と、上記圧力発生室の開口を塞ぐ封止板とを積層させた状態で接合して流路ユニットを形成し、上記圧力発生室に圧力変動を与える圧力発生素子に対応させて上記流路ユニットをヘッドケースに貼着する液体噴射ヘッドの製造方法であって、上記ノズルプレートと上記流路形成板との相対位置を設定した状態で流路形成板を一体的な状態から上記分割板に分割することを要旨とする。
すなわち、本発明の液体噴射ヘッドの製造方法は、上記ノズルプレートと上記流路形成板との相対位置を設定した状態で流路形成板を一体的な状態から上記分割板に分割することを要旨とする。
このように、上記ノズルプレートと流路形成板とを積層した状態で両者の相対位置を確定し、その状況下で流路形成板を一体的な状態から個々の分割板に分割するものであるから、分割後の分割板とノズルプレートとの相対位置関係が、流路形成板の分割以前に設定されている。したがって、分割された分割板を改めてノズルプレートに合致させるような効率の悪い製造工程を採用する必要がなく、生産性向上にとって有効である。さらに、各分割板に形成された形状部分とノズルプレートに形成された形状部分との相対位置、例えば、分割板に列設されている圧力発生室とノズルプレートのノズル開口との相対位置が正しく設定でき、組立て精度の高い液体噴射ヘッドがえられる。
本発明の液体噴射ヘッドの製造方法において、上記分割板が、上記流路形成板に形成した分割スリットによって分割されている場合には、上記圧力発生室の列に沿って配置された分割スリットを境界にして各分割板が形成されるので、各分割板は圧力発生室に正しく適合した状態でえられる。
本発明の液体噴射ヘッドの製造方法において、上記分割スリットが上記流路形成板の外縁部を形成する間欠スリットに連続させてあり、上記間欠スリットに各分割板を周囲に接続する接続部が形成されることにより、分割前の分割板が一体的な状態となっている場合には、上記接続部を分断すれば直ちに分割板が形成されるので、分割板が簡単な工程によって確保できる。そして、分割板は接続部が分断されたときの箇所で相手方のノズルプレートとの相対位置が正しく設定できるので、流路ユニットの組立て精度の向上が行なえる。また、接続部の分断前においては分割板が一体的な状態になっているので、各分割板が正しい位置におかれた状態で流路形成板を一体的な部品として製造工程において取扱うことができ、分割板の位置が狂ったりすることがなく、組立て精度を高めることができる。
本発明の液体噴射ヘッドの製造方法において、上記間欠スリットを、ひとつの素材板に流路形成板の外形に応じて複数設けて、ひとつの素材板から複数の流路形成板を形成する場合には、ひとつの素材板から多数の流路形成板を上記間欠スリットを境界にして製作することができ、生産性向上にとって効果的である。また、隣接する流路形成板のあいだには間欠スリットだけが存在するので、捨てられる素材板が少なくなり、素材板に対する歩留まりが向上する。さらに、ノズルプレートの配置枚数を流路形成板の上記複数枚数に合わせて設定しておくことにより、ノズルプレートと流路形成板との接合が一時に複数行なえて、生産性向上に有効である。
本発明の液体噴射ヘッドの製造方法において、上記分割スリットに素材板の厚さよりも薄い厚さの補助接続部が架設されることにより隣接する分割板が接続されている場合には、上記補助接続部により隣接する分割板が接続されているので、隣合う分割板同士の相対位置が狂うことがなく、分割板の圧力発生室とノズルプレートのノズル開口との位置関係が正確に求められる。そして、補助接続部の厚さは素材板の厚さよりも薄くしてあるので、製造工程での取扱いで流路形成板に曲げ力が作用しても、上記のように薄くされていることにより容易に湾曲して、補助接続部が折損することがない。
本発明の液体噴射ヘッドの製造方法において、上記補助接続部が、屈曲した帯状の形態である場合には、屈曲形状を適宜選定することにより、隣合う分割板が接近したり分割スリットの長手方向に沿って互いに反対側にずれたりする等、種々な分割板の相対変位に順応しながら、補助接続部が折損することのない状態が維持できる。
本発明の液体噴射ヘッドの製造方法において、上記屈曲した帯状の形態が、略Z字状である場合には、隣合う分割板が接近したり分割スリットの長手方向に沿って互いに反対側にずれたりする等、種々な分割板の相対変位に順応することができる。さらに、素材板であるシリコン単結晶板に異方性エッチングを施して分割スリットや間欠スリット等を形成するときには、結晶方位により決まる方向にエッチングが進行するので、この方向にZ字状の傾斜部位を合致させることにより、エッチング工程で簡単にZ字状の形状が確保できる。
本発明の液体噴射ヘッドの製造方法において、上記間欠スリットの接続部が、上記流路ユニットに付着した展延シートに張力を付与することにより分断される場合には、上記展延シートに種々な方向の張力を付与すると、流路形成板に面方向の引張り力が同様な方向にわたって作用するので、上記接続部を引きちぎる方向に引張り力が作用したときに分断される。したがって、流路形成板に封止板とノズルプレートを積層させた状態であっても分割板が形成でき、工程簡素化が図れる。
本発明の液体噴射ヘッドの製造方法において、上記間欠スリットの接続部は、上記封止板と流路形成板とノズルプレートが積層状態で接合されたのち、ノズルプレートに付着した展延シートに張力を付与することにより分断される場合には、上記積層状態の接合が完了してから上記接続部が分断されることにより、個々の流路ユニットが完成する。したがって、封止板,流路形成板,ノズルプレートの接合を高精度のもとで完了してから、接続状態で残っている接続部を分断するものであるから、高精度の品質を維持しつつ工程簡素化が可能となる。
本発明の液体噴射ヘッドの製造方法において、上記分割スリット及び間欠スリットの少なくとも一方は、エッチング処理によって形成される場合には、エッチングにおけるフォトレジスト等のマスクパターンを上記各スリットに適した形態で素材板に配置しておくことにより、分割スリットを分割板の分割にとって最適な形状にしたり、間欠スリットやその接続部の寸法,形状を分割スリットと間欠スリットの連続性や接続部の分断にとって最適なものとすることができる。
本発明の液体噴射ヘッドの製造方法において、上記素材板はシリコン単結晶板であり、上記分割スリット及び間欠スリットの少なくとも一方は、上記シリコン単結晶板に異方性エッチングを施すことにより形成される場合には、上記分割スリットで分割板の分割ラインを正確に設定することができる。あるいは、間欠スリットやその接続部の寸法,形状を分割スリットと間欠スリットの連続性や接続部の分断にとって最適なものとすることができる。例えば、補正パターンを含めたフォトレジストによるエッチング範囲の設定により、間欠スリットの形状そのものを必要最小限のスリット形状とし、しかも接続部を分断に適した寸法や形状とすることができる。また、結晶方位により決まる方向にエッチングが進行する現象を利用して、間欠スリットのエッチング範囲を最適なものとすることも可能である。

本発明の液体噴射ヘッドの製造方法において、治具に設けられた位置決めピンにより、上記封止板と流路形成板とノズルプレートの相対位置を設定したのち流路形成板を分割する場合には、上記位置決めピンにより封止板と流路形成板とノズルプレートの相対位置が設定されたまま流路形成板が分割板に分割されるので、分割後の封止板と分割板とノズルプレートの相対位置も適正に維持される。したがって、組立て精度の良好な液体噴射ヘッドがえられる。
上記目的を達成するために、本発明の液体噴射ヘッドは、ノズル開口が列設されたノズルプレートと、上記ノズル開口に連通する圧力発生室ならびに上記圧力発生室に供給される液体を貯留する液体貯留室が形成されているとともに上記圧力発生室の列に沿って複数の分割板に分割されている流路形成板と、上記圧力発生室の開口を塞ぐ封止板とを積層させた状態で接合して流路ユニットを形成し、上記圧力発生室に圧力変動を与える圧力発生素子に対応させて上記流路ユニットをヘッドケースに貼着した液体噴射ヘッドであって、上記流路形成板の外縁部には、素材板に設けた間欠スリットの接続部を分断することにより形成された分断箇所が存在していることを要旨とする。
すなわち、上記流路形成板の外縁部には、素材板に設けた間欠スリットの接続部を分断することにより形成された分断箇所が存在していることを要旨とする。
上記分断箇所はいわゆる破断面に相当する箇所であり、このような分断箇所が何等仕上げ加工を施されることなく、流路ユニットの外周部近傍に存在して液体噴射ヘッドを構成しているので、仕上げ加工等を行なわない製造原価を少しでも安価にした液体噴射ヘッドが所期の動作品質を確保した状態でえられる。つまり、間欠スリットによって生じる分断箇所なので、その破断面はきわめて微小なものとなり、そのままの状態で流路ユニットに組込んでも何等問題にならないで、経済的な効果がえられるのである。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記流路形成板を分割板に分割する分割スリットに上記素材板の厚さよりも薄い厚さの補助接続部が存在している場合には、上記補助接続部により隣接する分割板が接続されているので、隣合う分割板同士の相対位置が狂うことがなく、分割板の圧力発生室とノズルプレートのノズル開口との位置関係が正確に求められる。したがって、ノズル開口からの液体噴出特性がノズル開口全体にわたって可及的に均一なものとされた安定した液体噴射の液体噴射ヘッドがえられる。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記補助接続部が、屈曲した帯状の形態である場合には、屈曲形状を適宜選定することにより、隣合う分割板が接近したり分割スリットの長手方向に沿って互いに反対側にずれたりする等、種々な分割板の相対変位に順応しながら、補助接続部が折損することのない状態が維持でき、補助接続部で接続された分割板が異常な位置ずれを呈するようなことのない高い精度の組立て品質による液体噴射ヘッドがえられる。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記屈曲した帯状の形態が、略Z字状である場合には、隣合う分割板が接近したり分割スリットの長手方向に沿って互いに反対側にずれたりする等、種々な分割板の相対変位に順応することができる。さらに、素材板であるシリコン単結晶板に異方性エッチングを施して分割スリットや間欠スリット等を形成するときには、結晶方位により決まる方向にエッチングが進行するので、この方向にZ字状の傾斜部位を合致させることにより、エッチング工程で簡単にZ字状の形状が確保できる。上記のような性格の略Z字状の補助接続部を有する流路形成板が液体噴射ヘッドに組込まれているので、この補助接続部で接続された分割板が異常な位置ずれを呈するようなことのない高い精度の組立て品質による液体噴射ヘッドがえられる。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記補助接続部が分断されている場合には、間欠スリットの接続部を分断する過渡期に上記補助接続部を分断することができる。このように補助接続部が分断されていることにより、ヘッドケースに高湿環境下における膨潤で変形が生じたときに、補助接続部が分断されているので、個々の分割板は上記ヘッドケースの変形に忠実に順応して、分割板の圧力発生室とノズルプレートのノズル開口の位置関係に狂いが発生したりしない。なお、分断前の組立て段階においては、分断されていない状態により上述の利点が確保できる。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記封止板と流路形成板とノズルプレートには、流路ユニット組立て用の治具に設けられた位置決めピンが嵌入する位置決め穴が設けられている場合には、位置決めピンにより封止板と流路形成板とノズルプレートの相対位置が設定されたまま流路形成板が分割板に分割されるので、分割後のノズルプレートと分割板との相対位置も適正に維持される。したがって、組立て精度の良好な液体噴射ヘッドがえられ、安定した液体噴射ヘッドの性能が確保できる。
以上のように、本発明の液体噴射ヘッドの製造方法によれば、上記ノズルプレートと流路形成板とを積層した状態で両者の相対位置を確定し、その状況下で流路形成板を一体的な状態から個々の分割板に分割するものであるから、分割後の分割板とノズルプレートとの相対位置関係が、流路形成板の分割と同時に設定される。したがって、分割された分割板を改めてノズルプレートに合致させるような効率の悪い製造工程を採用する必要がなく、生産性向上にとって有効である。
さらに、各分割板に形成された形状部分とノズルプレートに形成された形状部分との相対位置、例えば、分割板に列設されている圧力発生室とノズルプレートのノズル開口との相対位置が正しく設定でき、組立て精度の高い液体噴射ヘッドがえられる。
また、上記製造方法によってえられた液体噴射ヘッドによれば、上記流路形成板の外縁部には、素材板に設けた間欠スリットの接続部を分断することにより形成された分断箇所が存在しており、このような分断箇所が何等仕上げ加工を施されることなく、流路ユニットの外周部近傍に存在して液体噴射ヘッドを構成しているので、仕上げ加工等を行なわない製造原価を少しでも安価にした液体噴射ヘッドが所期の動作品質を確保した状態でえられる。つまり、間欠スリットによって生じる分断箇所なので、その破断面はきわめて微小なものとなり、そのままの状態で流路ユニットに組込んでも何等問題にならないで、経済的な効果がえられるのである。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の液体噴射ヘッドの製造方法によって製造された液体噴射ヘッドは、上述のように種々な液体を対象にして機能させることができ、図示の実施の形態においてはその代表的な事例として、インクジェット式記録装置に採用される記録ヘッドの製造方法およびその方法で製造された記録ヘッドを実施の形態の対象にしている。
図1および図2は、本発明が適用される記録ヘッドの一実施の形態を示す図である。この記録ヘッドは、ヘッドケース10と、このヘッドケース10のユニット固着面13に接着剤等で固着される流路ユニット9とから構成されている。上記流路ユニット9は、図3に示すノズルプレート6と、流路形成板4と、振動板の形態で例示されている封止板8とが積層され接着されて構成されている。
上記ノズルプレート6は、ステンレス板からなり、多数のノズル開口5が複数列(この例では5列)をなすよう穿設されている。上記流路形成板4は、素材板であるシリコン単結晶板4Bからなり、上記ノズル開口5に連通する圧力発生室1と、ノズル開口5から吐出させるインクを一時貯留するインク貯留室2と、上記インク貯留室2から圧力発生室1にインクを供給するインク供給路3とに対応する空間が、異方性エッチングにより形成されている。
上記圧力発生室1は、それぞれ各ノズル開口5と対応する位置に列設され、インク貯留室2は、各圧力発生室1の列ごとに設けられている。そして、一側(図3における左)側の2組と2組は、それぞれ圧力発生室1が向き合うように配置されている。また、インク貯留室2および圧力発生室1の一部は、素材板であるシリコン単結晶板4Bを上下に貫通するよう形成され、インク供給路3と圧力発生室1の他の部分は、流路形成板4の上面と下面にそれぞれ凹設されている。
上記流路形成板4は、圧力発生室1の列毎に分割された分割板4Aとされており、この例では、1つのヘッドケース10に対して5枚の分割板4Aを有している。したがって、それぞれの分割板4Aには、ノズル開口5の列に対応した1列の圧力発生室1の列と、上記列設された各圧力発生室1に連通するひとつのインク貯留室2とが形成されている。このように、シリコン単結晶板から形成された流路形成板4が複数に分割されて分割板4Aが構成されている。
そして、流路ユニット9は、それぞれ1枚づつのノズルプレート6と振動板8の間に、5枚の分割板4Aが並べられた状態で積層されて形成されている。この状態で、分割板4A同士の間には、スリット状の隙間11が形成されている。
上記振動板8は、樹脂フィルムとステンレス板がラミネートされており、各圧力発生室1に対応する部分の下面に、ステンレス板の島部8Aが形成されている。また、上記振動板8は、インク貯留室2にインクを導入するためのインク導入口12が穿設されている。
上記ヘッドケース10は、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂の射出成形品であり、ユニット固着面13の上記インク導入口12に対応する部分に、インク貯留室2にインクを導入するインク供給管14が開口されている。また、インク貯留室2に対応する部分に、インク貯留室2の形状と略一致する形状のダンパ用凹部15が形成されている。このダンパ用凹部15の底面には、インク供給管14の両側に、ノズル開口5の列設方向に延び、底部まで貫通する空気抜き穴17が穿設されている。
図2において、18は圧電振動子7が固定される固定基板、19は上記固定基板18に圧電振動子7が固定されてなる圧電振動子ユニットを収容する収容室である。上記圧電振動子7は、縦振動モードの圧電振動子7であり、駆動信号の入力により長手方向に伸縮振動して圧力発生室1に圧力変動を与えるようになっている。
上記ダンパ用凹部15は、インク貯留室2の下側開口を封止する振動板8の変形空間であり、インク滴吐出時のインク貯留室2内の圧力変動を、振動板8の変形によって吸収するようになっている。この振動板8の変形時には、ダンパ用凹部15内の空気が空気抜き穴17から外部に抜け、ダンパ用凹部15内の圧力上昇を防止するようになっている。
上記構成の記録ヘッドは、例えば、つぎのようにして組立てられる。すなわち、まず、ヘッドケース10のユニット固着面13に、ダンパ用凹部15やインク供給管14に流れ込まないよう接着剤を塗布したり、あるいは所定形状に打ち抜き形成等された接着シートを貼着し、その上に、あらかじめ接着剤等で接合されて組み立てられた流路ユニット9を載置する。ついで、40〜100℃程度の温度に加熱し、必要に応じて押圧等することにより、流路ユニット9とヘッドケース10とを固着する。
一方、圧電振動子7が固定基板18に固定された圧電振動子ユニットを準備し、上記圧電振動子7の先端に接着剤を塗布しておく。つぎに、流路ユニット9が下側になるよう上記ヘッドケース10を反転させ、上記圧電振動子ユニットを収容室28に収容して接着固定する。この状態で、圧電振動子7の先端を流路ユニット9の振動板8に接着固定し、最後に固定基板18をヘッドケース10に固定することにより、記録ヘッドが完成する。
上記記録ヘッドでは、駆動回路(図示せず)で発生させた駆動信号をフレキシブルケーブル(図示せず)を介して圧電振動子7に入力することにより、圧電振動子7を長手方向に伸縮させる。この圧電振動子7の伸縮により、振動板8の島部8Aを振動させて圧力発生室1内の圧力を変化させ、圧力発生室1内のインクをノズル開口5からインク滴として吐出させるようになっている。
上記記録ヘッドでは、ひとつのヘッドケース10に対して複数の分割板4Aを有した流路ユニット9を備えている。このように、従来1枚の板状部材であった流路形成板4を、複数の分割板4Aに分割したことにより、たとえ、高湿環境下に置かれて樹脂製のヘッドケース10が膨潤し膨張したとしても、流路ユニット9がヘッドケース10の変形に沿ってある程度変形する。しかも、分割板4A同士の間に隙間11を形成したため、流路ユニット9が変形しやすい。
このため、接着界面に加わる応力が有効に緩和され、流路ユニット9とヘッドケース10の接着界面の剥離が防止されるうえ、吐出特性の変化も生じにくい。
しかも、この例のように、圧力発生素子として縦振動モードの圧電振動子7を用いた記録ヘッドでは、ヘッドケース10の膨潤による圧電振動子7と流路ユニット9との接着界面の剥離や吐出特性の変化が生じやすいため、それらを有効に防止できる。
流路形成板4すなわち分割板4Aを流路ユニット9として完成させる手順は上述のとおりである。そこで、流路ユニット9乃至は記録ヘッドが製造されて行く過程を、一体的な状態の流路形成板4から分割板4Aに分割されて行く過程をふくめて説明する。
なお、以下の説明において例示されている流路形成板4は、図4に示すように、ひとつの分割板4Aに、圧力発生室1の列とインク貯留室2によって形成された組が2組配置されたものが3枚あり、また、左右両側に上記組が1組ずつ配置された分割板4Aが2枚ある。したがって、この流路形成板4では、ノズル開口5のノズル列が8本配置されている。
図4は、1枚の流路形成板4がシリコン単結晶板4Bに形成された状態を示す平面図である。同図ではエッチングラインが太く図示されている箇所と細く図示されている箇所があるが、これは、シリコン単結晶板4Bの異方性エッチングが、結晶方位により決まる方向に進行するので、この方向性が図示されている。したがって、実際には所要の形状にエッチングで切断されたり、薄肉化がなされたりしている。このようなエッチング処理により、後述の分割スリットやインク貯留室2の箇所が抜けた状態になっている。また、同図では、列設されている圧力発生室1を1本の線で図示してある。
上記流路形成板4の外縁部を形成するために、図4の上下の外縁部19は間欠スリット19Aを、左右の外縁部20は間欠スリット20Aをそれぞれ素材板4Bにエッチング処理で形成している。図5は、各間欠スリットの詳細な形状を示すもので、(A)は間欠スリット19Aを(B)は間欠スリット20Aを示しており、シリコン単結晶板4Bの表面にコーティングされたフォトレジストが露光処理で除去された箇所が符号19B,20Bであり、この部分がエッチング処理で除去される。なお、エッチング処理において、除去される範囲が異常な状態になったり、素材板4Bの厚さ方向でみてアンダーカットに除去されたりするのを防止するために、図5(A)(B)に示す補正パターンが採用されている。
上記間欠スリット19A,20Aは、フォトレジストが除去された箇所19B,20Bがエッチング処理で素材板4Bの板厚を貫通したスリットになるのであるが、このような貫通した各間欠スリット19A,20Aのあいだには接続部19C,20Cが残存させてある。
流路形成板4を各分割板4Aに分割するために、分割スリット21Aが圧力発生室1の列設方向に沿って設けられている。図6は、上記分割スリット21Aや間欠スリット19Aの部分を拡大して示す平面図であり、圧力発生室1の列のあいだに配置されている分割スリット21Aは、圧力発生室1と分割板4Aの端縁との間隔を正確に設定するために広幅のスリットとされ、この広幅の部分から間欠スリット19Aまでは幅の狭いスリットとされている。
上記分割スリット21Aは、間欠スリット19Aに連続させてあり、分割前の分割板4Aは上記接続部19Cを経て周囲すなわち隣の流路形成板4に連なっている。図6(A)に示す2点鎖線は、同図の下側に形成された流路形成板4と上側に形成された流路形成板4との境界を示している。
上記分割スリット21Aに補助接続部22が架設されることにより、隣接する分割板4Aが接続されている。この補助接続部22の厚さは素材板の厚さよりも薄くしてある。補助接続部22を薄くする方法は、図6(D)に示すように、補助接続部22の部分に開口部29を設けたハーフエッチング用の第2パターン30を用いて(D)のハッチング図示の部分だけを薄くしている。符号22Aはこの薄肉部である。また、補助接続部22の形状は屈曲した帯状の形態であるが、ここではZ字状とされている。したがって、隣接する分割板4Aが接続されているので、隣合う分割板4A同士の相対位置が狂うことがなく、分割板4Aの圧力発生室1とノズルプレート6のノズル開口5との位置関係が正確に求められる。
そして、補助接続部22の厚さは素材板4Bの厚さよりも薄くしてあるので、製造工程での取扱いで流路形成板4に曲げ力が作用しても、上記のように薄くされていることにより容易に湾曲して、補助接続部22が折損することがない。
また、屈曲形状を適宜選定することにより、隣合う分割板4Aが接近したり分割スリット21Aの長手方向に沿って互いに反対側にずれたりする等、種々な分割板4Aの相対変位に順応しながら、補助接続部22が折損することのない状態が維持できる。さらに、素材板4Bであるシリコン単結晶板に異方性エッチングを施して分割スリット21Aや間欠スリット19A,20A等を形成するときには、結晶方位により決まる方向にエッチングが進行するので、この方向にZ字状の傾斜部位を合致させることにより、エッチング工程で簡単にZ字状の形状が確保できる。
図7は、ひとつの円形の素材板4Bから多数の流路形成板4を上記間欠スリット19A,20Aを境界にして製作したものであり、いわゆる流路形成板4の多数取りができて生産性向上にとって効果的である。また、隣接する流路形成板4のあいだには間欠スリット19A,20Aだけが存在するので、捨てられる素材板4Bが少なくなり、素材板4Bに対する歩留まりが向上する。さらに、後述の製造工程において封止板8やノズルプレート6の配置枚数を流路形成板4の上記複数枚数に合わせて設定しておくことにより、封止板8と流路形成板4とノズルプレート6の接合が一時に行なえて、生産性向上に有効である。
つぎに、上記流路形成板4を含む流路ユニット9が組立てられて行く工程を、説明する。
図8は、円盤状の組立て用の治具23の上に1枚ずつに成形された多数の封止板8が載置された状態を示す。上記治具23に設けられた位置決めピン24は、各封止板8の隅部分にあけられた位置決め穴(図示していない)を貫通した状態で、封止板8の載置位置が設定される。ここでは、封止板8は10枚である。
ついで、図9および図12に示すように、封止板8に接着剤27により流路形成板4が接合される。このときにも上記位置決めピン24が流路形成板4の位置決め穴(図示していない)を貫通して、封止板8と流路形成板4との正しい位置関係が確保される。流路形成板4は、間欠スリット19A,20Aの接続部19C,20Cを介して複数のものが連なった状態になっていて、封止板8に合致させて接合してある。ここでも、流路形成板4は10枚である。
その後、図10に示すように、流路形成板4に接着剤25により、1枚ずつに形成されたノズルプレート6が接合される。このときにも上記位置決めピン24がノズルプレート6の位置決め穴(図示していない)を貫通して、封止板8と流路形成板4との正しい位置関係が確保される。なお、図10においてはノズル開口5の列が直線で図示されている。
さらに、粘着性と展延性のある展延シート26を、最後に接合されたノズルプレート6を全面的に覆うような状態でノズルプレート6に粘着する。それから、各接続部19C,20Cと展延シート26だけで連なっている一体化された状態の封止板8,流路形成板4,ノズルプレート6,展延シート26を治具23から取外す。そして、上記展延シート26の周囲を間欠スリット19Aや20Aの長手方向に引張ることにより、各接続部19C,20Cが分断される。この分断により、連なっていた10枚の流路形成板4は、接続部19C,20Cの引きちぎれにより、各流路形成板4の境界線が消滅した状態になる。同時に、分割板4Aを一体的な状態にしていた接続部19Cが分断されるので、分割板4Aはそれぞれ独立した分割板4Aとなる。そして、最後に展延シート26が除去される。したがって、封止板8,流路形成板4,ノズルプレート6が接合された状態であっても分割板4Aが形成でき、工程簡素化が図れる。
上記の展延シート26に張力を作用させるときには、流路形成板4に封止板8やノズルプレート6が接着されているが、間欠スリット19A,20Aの接続部19C,20Cは微小な寸法であるため、わずかな引張り応力が作用しただけで接続部19C,20Cが分断され、分断後において分割板4Aとノズルプレート6や封止板8との相対位置を狂わせることがない。
上記展延シート26は、一般に半導体製造に使用されているダイシングテープ(エキスパンドフィルム)であり、例えば、古河電気工業株式会社製の製品番号UC−353EP−110等があげられる。
なお、流路形成板4が分断されるときには、補助接続部22の役割が完了しているので、上記分断時に補助接続部22がちぎれたりしても問題はない。
上記のような製造工程により、分割後の分割板4Aとノズルプレート6との相対位置関係が、流路形成板4の分割と同時に設定される。したがって、分割された分割板4Aを改めてノズルプレート6に合致させるような効率の悪い製造工程を採用する必要がなく、生産性向上にとって有効である。さらに、分割板4Aに列設されている圧力発生室1とノズルプレート6のノズル開口5との相対位置が正しく設定でき、組立て精度の高い記録ヘッドがえられる。
また、接続部19C,20Cの分断前においては分割板4Aが一体的な状態になっているので、各分割板4Aが正しい位置におかれた状態で流路形成板4を一体的な部品として製造工程において取扱うことができ、分割板4Aの位置が狂ったりすることがなく、組立て精度を高めることができる。
上記分割スリット21Aや間欠スリット19A,20Aは、エッチング処理によって形成されるので、エッチングにおけるフォトレジスト等のマスクパターンを上記各スリットに適した形態で素材板4Bに配置しておくことにより、分割スリット21Aを分割板4Aの分割にとって最適な形状にしたり、間欠スリット19A,20Aやその接続部19C,20Cの寸法,形状を分割スリット21Aと間欠スリット19Aの連続性や接続部19C,20Cの分断にとって最適なものとすることができる。
上記素材板4Bはシリコン単結晶板であり、分割スリット21Aおよび間欠スリット19A,20Aは、上記シリコン単結晶板に異方性エッチングを施して形成されるので、上記分割スリット21Aを分割板4Aの分割ラインに沿って正確に設定することができる。あるいは、間欠スリット19A,20Aやその接続部19C,20Cの寸法,形状を分割スリット21Aと間欠スリット19Aの連続性や接続部19C,20Cの分断にとって最適なものとすることができる。例えば、補正パターンを含めたフォトレジストによるエッチング範囲の設定により、間欠スリット19A,20Aの形状そのものを必要最小限のスリット形状とし、しかも接続部19C,20Cを分断に適した寸法や形状とすることができる。また、結晶方位により決まる方向にエッチングが進行する現象を利用して、間欠スリット19A,20Aのエッチング範囲を最適なものとすることも可能である。
さらに、位置決めピン24により封止板8,流路形成板4,ノズルプレート6の相対位置が設定されたまま流路形成板4が分割板4Aに分割されるので、分割後のノズルプレート6や封止板8と分割板4Aとの相対位置も適正に維持される。したがって、組立て精度の良好な記録ヘッドがえられる。
上述の製造方法によってえられた記録ヘッドは、上記流路形成板4の外縁部19,20には、素材板4Bに設けた間欠スリット19A,20Aの接続部19C,20Cを分断することにより形成された分断箇所が存在しているので、このような分断箇所が何等仕上げ加工を施されることなく、流路ユニット9の外周部近傍に存在して記録ヘッドを構成し、仕上げ加工等を行なわない製造原価を少しでも安価にした記録ヘッドが所期の動作品質を確保した状態でえられる。つまり、間欠スリット19A,20Aによって生じる分断箇所なので、その破断面はきわめて微小なものとなり、そのままの状態で流路ユニット9に組込んでも何等問題にならないで、経済的な効果がえられるのである。
上記流路形成板4を分割板4Aに分割する分割スリット21Aに上記素材板4Bの厚さよりも薄い厚さの補助接続部22が存在している。このため、上記補助接続部22により隣接する分割板4Aが接続されているので、隣合う分割板4A同士の相対位置が狂うことがなく、分割板4Aの圧力発生室1とノズルプレート6のノズル開口5との位置関係が正確に求められる。したがって、ノズル開口5からのインク吐出特性がノズル開口5全体にわたって可及的に均一なものとされた安定した作動特性の記録ヘッドがえられる。
上記補助接続部22が屈曲した帯状の形態とされている。この屈曲形状を適宜選定することにより、隣合う分割板4Aが接近したり分割スリット21Aの長手方向に沿って互いに反対側にずれたりする等、種々な分割板4Aの相対変位に順応しながら、補助接続部22が折損することのない状態が維持でき、補助接続部22で接続された分割板4Aが異常な位置ずれを呈するようなことのない高い精度の組立て品質による記録ヘッドがえられる。
上記屈曲した帯状の形態が、略Z字状とされている。それにより、隣合う分割板4Aが接近したり分割スリット21Aの長手方向に沿って互いに反対側にずれたりする等、種々な分割板4Aの相対変位に順応することができる。さらに、素材板4Bであるシリコン単結晶板に異方性エッチングを施して分割スリット21Aや間欠スリット19A,20A等を形成するときには、結晶方位により決まる方向にエッチングが進行するので、この方向にZ字状の傾斜部位を合致させることにより、エッチング工程で簡単にZ字状の形状が確保できる。上記のような性格の略Z字状の補助接続部22を有する流路形成板4が記録ヘッドに組込まれているので、この補助接続部22で接続された分割板4Aが異常な位置ずれを呈するようなことのない高い精度の組立て品質による記録ヘッドがえられる。
上記間欠スリット19A,20Aの接続部19C,20Cを分断する過渡期に上記補助接続部22を分断することができる。このように補助接続部22が分断されていることにより、ヘッドケース10に高湿環境下における膨潤で変形が生じたときに、補助接続部22が分断されているので、個々の分割板4Aは上記ヘッドケース10の変形に忠実に順応して、分割板4Aの圧力発生室1とノズルプレート6のノズル開口5の位置関係に狂いが発生したりしない。なお、分断前の組立て段階においては、分断されていない状態により上述の利点が確保できる。
上記治具23の位置決めピン24により封止板8,流路形成板4,ノズルプレート6の相対位置が設定されたまま流路形成板4が分割板4Aに分割されるので、分割後のノズルプレート6や封止板8と分割板4Aとの相対位置も適正に維持される。したがって、組立て精度の良好な記録ヘッドがえられ、安定したインク吐出性能が確保できる。
尚、上述では流路形成板にシリコン単結晶板を用いたが、例えばSUS鋼等を使用することも可能である。SUS鋼等では、プレス加工により分割スリット、間欠スリットが形成でき、スリット形状も長方形のような単純な形を用いることができる。
SUS鋼等の流路形成板を用いた場合の流路ユニットの組立て工程は、上述したシリコン単結晶板を用いた場合と同様の態様以外に、一体化された封止板8、流路形成板4、及びノズルプレート6を、展延シートを用いずに、刃物、レーザ等により間欠スリット19A,20Aの接続部19C,20Cを切断して分割板4Aを形成しても良い。この場合、展延シートのようにわずかな引張り応力で分断する必要がないため、封止板、ノズルプレートについても流路形成板と同様、間欠スリットにより複数連なった態様とすることができる。複数連なった封止板、及びノズルプレートを用いることで、流路ユニット毎に位置決めをする必要がないため、少ない位置決めピンで、分割板4Aとノズルプレート6や封止板8との相対位置を狂わせることなく流路ユニットの形成が可能である。
ところで、展延シートを用いる場合のノズルプレートの大きさを、封止板より小さい形状にすることにより、治具上での配置を容易にすることも考えられる。
上記のようないずれの製造工程においても、分割後の分割板4Aと封止板8とノズルプレート6との相対位置関係が、流路形成板4の分割と同時に設定されるため、分割された分割板4Aを改めてノズルプレート6に合致させるような効率の悪い製造工程を採用する必要がなく、生産性向上にとって有効である。さらに、分割板4Aに列設されている圧力発生室1とノズルプレート6のノズル開口5との相対位置が正しく設定でき、組立て精度の高い記録ヘッドがえられる。
また、接続部19C,20Cの分断前においては分割板4Aが一体的な状態になっているので、各分割板4Aが正しい位置におかれた状態で流路形成板4を一体的な部品として製造工程において取扱うことができ、分割板4Aの位置が狂ったりすることがなく、組立て精度を高めることができる。
上述の実施の形態は、インクジェット式記録装置を対象にしたものであるが、本発明によってえられた液体噴射ヘッドは、インクジェット式記録装置用のインクだけを対象にするのではなく、グルー,マニキュア,導電性液体(液体金属)等を噴射することができる。
本発明の製造方法が適用されるインクジェット式記録ヘッドの一実施の形態を示す分解斜視図である。 上記インクジェット式記録ヘッドの断面図である。 上記インクジェット式記録ヘッドに用いる流路ユニットを示す図であり、(A)はノズルプレート、(B)は流路形成板、(C)は振動板である。 流路形成板のエッチング形態を示す平面図である。 間欠スリットの態様を示す平面図である。 分割スリットの部分を拡大した流路形成板の平面図(A)および断面図(B)(C)である。 素材板に複数の流路形成板が形成された状態を示す平面図である。 治具上に封止板が載置された状態を示す平面図である。 封止板の上に流路形成板が接合された状態を示す平面図である。 流路形成板の上にノズルプレートが接合された状態を示す背面図である。 ノズルプレートの上に展延シートが粘着された状態を示す平面図である。 封止板,流路形成板,ノズルプレート等が治具上で積層されて行く工程を示す断面図である。
符号の説明
1 圧力発生室
2 インク貯留室
3 インク供給路
4 流路形成板
4A 分割板
4B 素材板,シリコン単結晶板
5 ノズル開口
6 ノズルプレート
7 圧電振動子
8 封止板,振動板
8A 島部
9 流路ユニット
10 ヘッドケース
11 隙間
12 インク導入口
13 ユニット固着面
14 インク供給管
15 ダンパ用凹部
17 空気抜き穴
18 固定基板
19 外縁部
19A 間欠スリット
19B レジスト除去箇所
19C 接続部
20 外縁部
20A 間欠スリット
20B レジスト除去箇所
20C 接続部
21A 分割スリット
22 補助接続部
22A 薄肉部
23 治具
24 位置決めピン
25 接着剤
26 展延シート
27 接着剤
28 収容室
29 開口部
30 ハーフエッチング用の第2パターン

Claims (18)

  1. ノズル開口が列設されたノズルプレートと、上記ノズル開口に連通する圧力発生室ならびに上記圧力発生室に供給される液体を貯留する液体貯留室が形成されているとともに上記圧力発生室の列に沿って複数の分割板に分割されている流路形成板と、上記圧力発生室の開口を塞ぐ封止板とを積層させた状態で接合して流路ユニットを形成し、上記圧力発生室に圧力変動を与える圧力発生素子に対応させて上記流路ユニットをヘッドケースに貼着する液体噴射ヘッドの製造方法であって、上記ノズルプレートと上記流路形成板との相対位置を設定した状態で流路形成板を一体的な状態から上記分割板に分割することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  2. 上記分割板は、上記流路形成板に形成した分割スリットによって分割されている請求項1記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  3. 上記分割スリットが上記流路形成板の外縁部を形成する間欠スリットに連続させてあり、上記間欠スリットに各分割板を周囲に接続する接続部が形成されることにより、分割前の分割板が一体的な状態となっている請求項2記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  4. 上記間欠スリットを、ひとつの素材板に流路形成板の外形に応じて複数設けて、ひとつの素材板から複数の流路形成板を形成する請求項3記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  5. 上記分割スリットに素材板の厚さよりも薄い厚さの補助接続部が架設されることにより隣接する分割板が接続されている請求項2〜4のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  6. 上記補助接続部は、屈曲した帯状の形態である請求項5記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  7. 上記屈曲した帯状の形態は、略Z字状である請求項6記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  8. 上記間欠スリットの接続部は、上記流路ユニットに付着した展延シートに張力を付与することにより分断される請求項4〜7のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  9. 上記間欠スリットの接続部は、上記封止板と流路形成板とノズルプレートが積層状態で接合されたのち、ノズルプレートに付着した展延シートに張力を付与することにより分断される請求項4〜8のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  10. 上記分割スリット及び間欠スリットの少なくとも一方は、エッチング処理によって形成される請求項3〜9のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  11. 上記素材板はシリコン単結晶板であり、上記分割スリット及び間欠スリットの少なくとも一方は、上記シリコン単結晶板に異方性エッチングを施すことにより形成される請求項4〜10のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  12. 治具に設けられた位置決めピンにより、上記封止板と流路形成板とノズルプレートの相対位置を設定したのち流路形成板を分割する請求項1〜11のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  13. ノズル開口が列設されたノズルプレートと、上記ノズル開口に連通する圧力発生室ならびに上記圧力発生室に供給される液体を貯留する液体貯留室が形成されているとともに上記圧力発生室の列に沿って複数の分割板に分割されている流路形成板と、上記圧力発生室の開口を塞ぐ封止板とを積層させた状態で接合して流路ユニットを形成し、上記圧力発生室に圧力変動を与える圧力発生素子に対応させて上記流路ユニットをヘッドケースに貼着した液体噴射ヘッドであって、上記流路形成板の外縁部には、素材板に設けた間欠スリットの接続部を分断することにより形成された分断箇所が存在していることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  14. 上記流路形成板を分割板に分割する分割スリットに上記素材板の厚さよりも薄い厚さの補助接続部が存在している請求項13記載の液体噴射ヘッド。
  15. 上記補助接続部は、屈曲した帯状の形態である請求項14記載の液体噴射ヘッド。
  16. 上記屈曲した帯状の形態は、略Z字状である請求項15記載の液体噴射ヘッド。
  17. 上記補助接続部が分断されている請求項14〜16のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  18. 上記封止板と流路形成板とノズルプレートには、流路ユニット組立て用の治具に設けられた位置決めピンが嵌入する位置決め穴が設けられている請求項13記載の液体噴射ヘッド。
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