JP3687654B2 - ラッピング加工装置およびラッピング加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワークの加工面を砥粒付きのラッピングフィルム(以下単にフィルムと称することもある)によりフィルムラッピング加工(以下単にラッピング加工)するラッピング加工装置およびラッピング加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、カムシャフトのカムロブ部やジャーナル部あるいはクランクシャフトのジャーナル部やピン部等のような断面円弧状外周面を有するワークを仕上げ加工する場合は、最近、一面に砥粒が設けられたラッピングフィルムによりラッピング加工されている。
【0003】
このラッピング加工は、ワークの加工面をラッピングフィルムで覆い、このフィルムを背面からシューで加圧し、フィルムをワークに押付けた状態でワークを回転しながらフィルムの砥粒面でワークを加工する。ラッピング加工装置は、シューをフィルムを介してワークに押付ける機構のほか、ワークおよびラッピングフィルムのうちの少なくとも一方にワークの軸線方向に沿うオシレーションを付与するオシレーション機構を有している(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−237116号公報 (図1、図2参照)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ラッピング加工が施された加工面の形状には、ワークの軸線方向に沿う幾何学形状(以下、「軸方向幾何学形状」とも言う)と、周方向に沿う幾何学形状とがあるが、前者の軸方向幾何学形状が、両端部に比べて中央部が僅かに窪んだいわゆる中凹形状になることがある。これは、オシレーションに伴って移動するワークのエッジ部によって砥粒がダメージを受けるため、中央部での作用砥粒数に比べて両端部で作用砥粒数が相対的に減少し、その結果、加工面の除去量が、両端部に比べて中央部が相対的に増加するためである。軸方向幾何学形状が中凹形状になると、真直度が要求されたレベルに達せず、加工不良になる虞がある。
【0006】
また、ワークの中には、真直度を高精度に仕上げることが要求されるワークの他に、軸方向幾何学形状を積極的に中凸や中凹にすることを意図したワークも存在する。
【0007】
しかしながら、従来のラッピング加工装置では、ラッピング加工中におけるシュー押付け力などの加工条件は一定とされており、加工条件だけで、軸方向幾何学形状が所望の形状となるように制御することは事実上不可能である。
【0008】
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、加工条件だけで、ワークの軸線方向に沿う加工面の幾何学形状を制御し得るラッピング加工装置およびラッピング加工方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記する手段により達成される。
【0010】
本発明は、回転駆動されるワークの加工面に対してラッピング加工を施すラッピング加工装置であって、
薄肉基材の一面に砥粒が設けられたラッピングフィルムと、
前記ラッピングフィルムの背面側に配置されたシューと、
前記シューをワークに向けて押付けて前記ラッピングフィルムの砥粒面を前記ワークに押付けるとともにシュー押付け力を調整自在なシュー押付け手段と、
前記ワークおよび前記ラッピングフィルムのうちの少なくとも一方に前記ワークの軸線方向に沿うオシレーションを付与するオシレーション手段と、
オシレーションによる前記ワークの前記ラッピングフィルムに対する相対的なオシレーション位置を検出する検出手段と、
加工中におけるワークのオシレーション位置に応じてシュー押付け力を可変制御する制御手段と、を有し、
前記ワークの軸線方向に沿う加工面の幾何学形状を制御することを特徴とするラッピング加工装置である。
【0011】
また、本発明は、ワークの加工面に向けてラッピングフィルムの背面側に配置されたシューを押付けて、前記ラッピングフィルムの砥粒面を前記ワークに押付けた状態で、前記ワークを回転駆動するとともに前記ワークおよび前記ラッピングフィルムのうちの少なくとも一方に前記ワークの軸線方向に沿うオシレーションを付与しつつラッピング加工を施すラッピング加工方法であって、
オシレーションによる前記ワークの前記ラッピングフィルムに対する相対的なオシレーション位置を検出手段により検出し、加工中におけるワークのオシレーション位置に応じてシュー押付け力を可変制御し、前記ワークの軸線方向に沿う加工面の幾何学形状を制御することを特徴とするラッピング加工方法である。
【0012】
【発明の効果】
本発明に係るラッピング加工装置およびラッピング加工方法によれば、加工条件だけで、ワークの軸線方向に沿う加工面の幾何学形状を所望の形状(フラット、中凸あるいは中凹)に制御し得るという効果を奏する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係るラッピング加工装置1を示す概略構成図、図2は、ラッピング加工装置1に開閉自在に設けられた上下のアーム22、23の閉状態を示す概略断面図、図3は、上下のアーム22、23の開状態を示す概略断面図、図4は、ラッピング加工装置1の要部を示す断面図である。図5は、オシレーションに伴うカムシャフト位置の説明に供する図、図6は、シュー押付けユニット30の構成と等価の構成を示す概念図、図7は、シュー押付け力Pの変化の説明に供する図である。また、図8(A)は、ラッピング加工されるワークとしてのカムシャフト60の一例を示す斜視図、図8(B)は、ラッピング加工されるワークとしてのクランクシャフト62の一例を示す斜視図である。なお、説明の便宜上、カムシャフト60の軸線方向(図1において左右方向)をX方向と定義し、X方向に対して直交する水平方向(図1において紙面に直交する方向)をY方向と定義し、X方向に対して直交する鉛直方向(図1において上下方向)をZ方向と定義する。
【0015】
図1〜図4を参照して本実施形態のラッピング加工装置1について概説すれば、非伸縮性でかつ変形可能な薄肉基材の一面に砥粒が設けられたラッピングフィルム11と、ラッピングフィルム11の背面側に配置されたシュー21と、シュー21を押付けてラッピングフィルム11の砥粒面をワークWに押付けるシュー押付けユニット30(シュー押付け手段に相当する)と、ワークWを回転駆動する回転駆動ユニット40と、ワークWおよびラッピングフィルム11のうちの少なくとも一方にワークWの軸線方向に沿うオシレーションを付与するオシレーションユニット50(オシレーション手段に相当する)と、を有し、回転するワークWにラッピングフィルム11を押圧しラッピング加工を施している。前記シュー押付けユニット30は、シュー押付け力Pを調整自在に構成されている(図4参照)。ワークWとして、図8(A)(B)に示すように、カムシャフト60や、クランクシャフト62を挙げることができる。カムシャフト60におけるカムロブ部61の外周面や、クランクシャフト62のピン部63の外周面がラッピング加工を施す加工面となる。図1には、カムシャフト60をラッピング加工する例が示され、カムロブ部61の位置に対応して、対をなす上アーム22および下アーム23が複数対配置されている。
【0016】
以下、ラッピング加工装置1について詳述する。
【0017】
図1を参照して、前記回転駆動ユニット40は、主軸41を回転自在に支持するヘッドストック42と、主軸41の先端に連結されカムシャフト60の一端を把持するチャック43と、主軸41にベルト44を介して接続される主軸モータM1と、カムシャフト60の他端を支持するセンタ45を備えるテールストック46と、を有している。カムシャフト60は、主軸モータM1の回転動がベルト44および主軸41を介して伝達されて回転駆動される。主軸モータM1の回転速度を変えることにより、ワーク回転速度Vwが所望の速度に設定される。主軸41には、加工中におけるワークWの回転位置を検出するロータリエンコーダS1が取り付けられている。ヘッドストック42およびテールストック46のそれぞれはY方向に沿ってスライド移動自在なテーブル47、48上に設けられ、これらテーブル47、48は、X方向に沿ってスライド移動自在なテーブル49上に配置されている。カムシャフト60をヘッドストック42とテールストック46との間にセットしたり、カムシャフト60を加工位置に移動したりするために、各テーブル47、48、49が移動される。
【0018】
前記オシレーションユニット50は、テーブル49の端面に当接する偏心回転体51と、偏心回転体51を回転駆動するオシレーション用モータM2と、を有している。オシレーションユニット50には、テーブル49の端面と偏心回転体51とを常時当接させるためにテーブル49を偏心回転体51に向けて押圧する弾発力を付勢するバネなどの弾性手段52が設けられている。オシレーション用モータM2の回転速度を変えることにより、オシレーション速度Voが所望の速度に設定される。オシレーションの振幅は、オシレーション用モータM2の軸心に対する偏心回転体51の偏心量に基づいて定まる。偏心量は約1mmであり、オシレーションの振幅は約2mmである。なお、偏心回転体51の偏心量は、例えば調整プレート(図示せず)の挿入枚数を変えるなどの公知の手段により調整自在となっている。
【0019】
図5に示すように、オシレーションに伴うカムシャフト60のX方向位置は、偏心回転体51の回転位置に応じて変化する。すなわち、偏心回転体51の初期位置(オシレーション角度θc=0度)を、カムシャフト60が中心位置に対して偏心回転体51の偏心量eだけ−X方向に偏位した位置とすると、この初期位置から偏心回転体51が回転してオシレーション角度θcが180度になると、カムシャフト位置は、中心位置に対して偏心量eだけ+X方向に偏位する。偏心回転体51がさらに回転してオシレーション角度θcが360度になると、カムシャフト位置は、再び偏心量eだけ−X方向に偏位した初期位置に復帰する。このようなX方向のオシレーションによるカムシャフト60のラッピングフィルム11に対する相対的なオシレーション位置を検出するために、偏心回転体51の軸には、偏心回転体51の回転位置を検出するロータリエンコーダS2(検出手段に相当する)が取り付けられている(図1参照)。
【0020】
前記ラッピングフィルム11は、種々のタイプがあるが、本実施形態では、基材が非伸縮性の高い材料、例えば、板厚が25μm〜130μm程度のポリエステルなどから構成され、この基材の一面には、数μm〜200μm程度の粒径を有する多数の砥粒(具体的には、酸化アルミニウム、シリコンカーバイト、ダイアモンドなどからなる)が接着剤により取り付けられている。砥粒は、基材の一面に全面にわたって接着してもよく、また、所定幅の無砥粒領域を間欠的に形成したものであってもよい。基材の他面には、シュー21に対する滑り止めのため、ゴムあるいは合成樹脂等からなる抵抗材料(図示せず)を取り付けるバックコーティングか、場合によっては滑り止め加工が施されている。
【0021】
図2および図3を参照して、ラッピングフィルム11は、供給リール15から引き出され、上アーム22の先端に設けられた一対の第1ガイドローラR1と、上アーム22の内方位置に取り付けられている第2ガイドローラR2と、下アーム23の内方位置に取り付けられている第3ガイドローラR3と、下アーム23の先端に設けられた一対の第4ガイドローラR4などにガイドされ、巻取りリール16に巻き取られる。巻取りリール16にはモータM3が接続されている。モータM3を作動し巻取りリール16を回転すると、供給リール15からラッピングフィルム11が順次繰り出される。ラッピングフィルム11の繰り出し量を検出するために、巻取りリール16の軸には、回転量を検出するロータリエンコーダS3が取り付けられている。供給リール15および巻取りリール16の近傍にはロック装置(図示せず)が設けられ、このロック装置の作動によりフィルム11全体に所定のテンションが付与される。
【0022】
前記対をなす上アーム22および下アーム23は、シュー21を配置する先端部がZ方向に相対的に開閉自在なように、支持ピン24を介して回動自在に設けられている。上アーム22の後端部には、油圧あるいは空気圧などにより作動する流体圧シリンダ25の一端がピン連結され、下アーム23の後端部にはピストンロッド26の先端がピン連結されている。ピストンロッド26を収縮状態から伸張すると、上下のアーム22、23は、支持ピン24を中心として先端部が閉じる方向に回動し、図2に示す閉状態となる。一方、ピストンロッド26を伸張状態から収縮すると、上下のアーム22、23は、先端部が開く方向に回動し、図3に示す開状態となる。上下のアーム22、23の回動は、ラッピングフィルム11と共に行なわれ、閉じ回動によりシュー21がラッピングフィルム11を介してカムロブ部61に当接し、開き回動によりカムロブ部61とシュー21との当接を解除する。
【0023】
シュー21は、その先端部の形状から凸シューと凹シューとに分類されるが、図示する実施形態では、前記シュー21は、首振り自在に保持され、ラッピングフィルム11を介してカムロブ部61の加工面に複数箇所(例えば2点)で当接する凹状先端部を有する凹シュー21である。凹シュー21は、先端部はへこ(凹)んでいるものの、ワークWとの当接面自体は断面凸状の円弧面に形成されている。凹シュー21は、フィルム11を介してではあるが、カムロブ部61の加工面とは2点での線接触となる。上下のシュー21によりカムロブ部61は4点支持されることから、当該カムロブ部61を安定的に回転させることができる。なお、本明細書では、シュー21がフィルム11を介してワークWの外周面と間接的に当接することを「接触」、シュー21がフィルム11を介してワークWの外周面と間接的に当接する面積のことを「接触面積」と略称する。
【0024】
図4にも示すように、上下のアーム22、23の先端部に形成した凹部27の中に、シュー21を保持したシューケース28がワークWに対して進退移動自在に収納されている。シューケース28は、その外側面が凹部27の内側面にガイドされながら移動する。シュー21は、シューケース28に設けた中空部28a内に、揺動ピン29を介して首振り自在に保持されている。上下の揺動ピン29はカムシャフト60の軸心Oを通る線上に位置し、シュー押付け力Pが効率的にフィルム11に作用するようにしてある。図4中の符号70は、クーラントを供給するためのノズルを示している。
【0025】
前記シュー押付けユニット30は、上下のアーム22、23の先端部のそれぞれに配置されている。図6にも概念的に示すように、各シュー押付けユニット30は、先端がシューケース28に連結された連結ロッド32と、圧縮コイルバネからなるワーククランプ用バネ33と、連結ロッド32の後端との間でワーククランプ用バネ33を弾性変形させる押圧ロッド34と、押圧ロッド34の頭部に当接するカム形状の偏心回転体35と、偏心回転体35を回転駆動する押付け用モータM4と、を有している。連結ロッド32および押圧ロッド34は、アーム22、23に形成した貫通孔22a、23a内に摺動自在に収納されている。シューケース28を押付けると、当該シューケース28に保持されたシュー21が押付けられ、ラッピングフィルム11の砥粒面がカムロブ部61に押付けられることになる。偏心回転体35のカムリフトhは、カムの全高Hからベースサークル直径を除算したものであるが、このカムリフトhが、押圧ロッド34を最大限移動し得る寸法となる。上述したワーククランプ用バネ33、押圧ロッド34、偏心回転体35および押付け用モータM4により、シュー押付け力Pを調整する調整手段31が構成されている。
【0026】
図7に示すように、シュー押付け力Pは、偏心回転体35の回転位置に応じて変化する。すなわち、偏心回転体35の初期位置(偏心角θe=0度)をベースサークルが押圧ロッド34の頭部に当接した位置とし、この初期位置から偏心回転体35が回転して偏心角θeが180度になると、押圧ロッド34がカムリフトhだけ移動し、ワーククランプ用バネ33がさらに弾性圧縮変形する結果、シュー押付け力Pが最大となる。偏心回転体35がさらに回転して偏心角θeが360度になると、押圧ロッド34が初期位置に復帰し、シュー押付け力Pも初期位置と同じ押付け力に復帰する。このようなシュー押付け力Pの変化を検出するために、偏心回転体35の軸には、偏心回転体35の回転位置を検出するロータリエンコーダS4が取り付けられている(図4参照)。
【0027】
図9(A)は、オシレーションが付与されたワークWの移動状態を、ラッピングフィルム11とともに概念的に示す図、図9(B)は、ワークWのオシレーション位置に拘らずシュー押付け力Pを一定とした対比例において、オシレーションに伴って移動するワークWのエッジ部Weによって砥粒12が受けるダメージDの大きさを概念的に示すとともに、ラッピング加工後のワークWの軸線方向に沿う幾何学形状を誇張して示す図である。また、図10(A)は、ラッピングフィルム11の砥粒12による加工面65の単位時間あたりの除去量とシュー押付け力Pとの関係を概念的に示す図、図10(B)は、オシレーションに伴って移動するワークWのエッジ部Weによって砥粒12が受けるダメージDの大きさとシュー押付け力Pとの関係を概念的に示す図、図10(C)は、シュー押付け力Pを一定とした条件下での、ラッピングフィルム11の砥粒12による加工面65の単位時間あたりの除去量と砥粒ダメージDの大きさとの関係を概念的に示す図である。
【0028】
図9(A)において、ワークWが中心位置にある状態は実線によって示され、ワークWが中心位置に対して−X方向に偏位(最左端)した状態は一点鎖線によって示され、ワークWが中心位置に対して+X方向に偏位(最右端)した状態は二点鎖線によって示されている。図9(A)中、符号「Lw」はワークWの軸線方向に沿う加工面65の幅を、符号「Lo」はワークWのオシレーションの幅を、符号「Ao」はオシレーションの振幅を示している。
【0029】
ラッピングフィルム11の砥粒12は、オシレーションに伴って移動するワークWのエッジ部Weによって、割られたり、ひどい場合には基材から脱落されたりするというダメージを受けている。このため、図9(B)に示すように、ラッピングフィルム11のうちワークWの加工面65に常時圧接している領域においては、ワークWのエッジ部Weによって砥粒12が受けるダメージDは実質的にゼロであるが、ワークWのエッジ部Weが移動する領域においては、砥粒ダメージDが大きくなる。このときの砥粒ダメージDの程度をaとする。
【0030】
ここで、ラッピングフィルム11の砥粒12による加工面65の単位時間あたりの除去量はシュー押付け力Pの増加に伴って増加し(図10(A))、砥粒ダメージDはシュー押付け力Pの増加に伴って大きくなり(図10(B))、シュー押付け力Pを一定とした条件下では、砥粒12による加工面65の単位時間あたりの除去量は砥粒ダメージDが大きくなるのに伴って減少する(図10(C))。
【0031】
したがって、図9(B)に示すように、ワークWのオシレーション位置に拘らずシュー押付け力Pを一定(P=P0)とした対比例においては、加工面65の除去量が、両端部に比べて中央部が相対的に増加するため、軸方向幾何学形状が中凹形状になる。このように軸方向幾何学形状が中凹形状になると、真直度が要求されたレベルに達せず、加工不良になる虞がある。
【0032】
そこで、本実施形態のラッピング加工装置1にあっては、ロータリエンコーダS2で偏心回転体51の回転位置(オシレーション角度θc)を検出し、このオシレーション角度θcからカムシャフト60のオシレーション位置を検出し、加工中におけるカムシャフト60のオシレーション位置に応じてシュー押付け力Pを可変制御し、加工面65の軸方向幾何学形状を制御するようにしてある。
【0033】
上記の制御について、図11および図12を参照しつつ説明する。図11は、本発明に係るラッピング加工装置1の制御系を示す概略ブロック図、図12(A)〜(C)は、加工中におけるワークWのオシレーション位置に応じてシュー押付け力Pを可変制御し、加工面65の軸方向幾何学形状を制御する例を示す図である。
【0034】
図11を参照して、ロータリエンコーダS1、S2、S3、S4は、CPUやメモリを主体とするコントローラ100(制御手段に相当する)に接続され、加工中におけるカムロブ部61の回転位置、シュー押付け力Pを可変とする偏心回転体35の回転位置や、オシレーションを付与する偏心回転体51の回転位置に関する検出信号などがそれぞれコントローラ100に入力される。ワーク回転速度Vwを定める主軸モータM1の回転速度、および、オシレーション速度Voを定めるオシレーション用モータM2の回転速度に関する検出信号のそれぞれもコントローラ100に入力される。コントローラ100は、ロータリエンコーダS2からの偏心回転体51の回転位置に関する信号に基づいて、カムシャフト60のオシレーション位置を判断する。そして、コントローラ100は、加工中におけるカムシャフト60のオシレーション位置に応じてシュー押付け力Pを可変制御する。
【0035】
シュー押付け力Pの可変制御は次のとおりである。図12(A)に示すように、コントローラ100は、ワークWのオシレーション位置がオシレーションの幅方向両端部であるときのシュー押付け力Pが、オシレーションの幅方向中央部であるときのシュー押付け力Pに比べて大きくなるように、偏心回転体35や押付け用モータM4などを含むシュー押付けユニット30の作動を制御する。
【0036】
具体的には、コントローラ100は、カムシャフト60のオシレーション位置が最左端に至ったとき(オシレーション角度θc=0度)に偏心回転体35の偏心角θeが180度となり、オシレーション位置が中央に至ったとき(オシレーション角度θc=90度)に偏心回転体35の偏心角θeが0度となり、オシレーション位置が最右端に至ったとき(オシレーション角度θc=180度)に偏心回転体35の偏心角θeが180度となるように、押付け用モータM4の回転を制御する制御信号を当該モータM4に出力する。偏心角θeが180度になるとシュー押付け力Pが最大となるので(図7参照)、カムシャフト60のオシレーション位置がオシレーションの幅方向両端部であるときのシュー押付け力Pが、オシレーションの幅方向中央部であるときのシュー押付け力Pに比べて大きくなる。
【0037】
シュー押付け力Pを上記のように制御すると、対比例(図9(B)を参照)におけるシュー押付け力P0を基準にして比較すると、図12(A)に示すように、ワークWのエッジ部Weが移動する領域における砥粒ダメージDが小さくなる。このときの砥粒ダメージDの程度をb(a>b)とする。砥粒ダメージDが小さくなるということは、同じシュー押付け力Pの下では、砥粒12による加工面65の単位時間あたりの除去量が増加することを意味する(図10(C)を参照)。しかも、オシレーションの幅方向中央部でのシュー押付け力Pが小さくなるので、加工面65の中央部における単位時間あたりの除去量も減少する。これらの作用が相まって、ワークWの加工面65の両端部と中央部とにおける除去量の不均一さが改善され、軸方向幾何学形状がフラットになり、真直度の低下が抑えられる。
【0038】
なお、図12(A)においては、理解の容易のため、オシレーションの幅方向両端部でのシュー押付け力Pを対比例におけるシュー押付け力P0に合わせてあるが、実際のラッピング加工では加工時間などを考慮してシュー押付け力Pが決定されている。以下に説明する図12(B)(C)においても同様である。
【0039】
ワークの中には、軸方向幾何学形状を積極的に中凸にすることを意図したワークも存在する。例えば、カムロブ部61にあっては、バルブリフタ(図示せず)との接触点を減らすことによりフリクションの低減を図るために、軸方向幾何学形状を中凸にすることがある。
【0040】
軸方向幾何学形状を中凸にする場合のシュー押付け力Pの可変制御は、上述したのと同様になされる。つまり、図12(B)に示すように、コントローラ100は、ワークWのオシレーション位置がオシレーションの幅方向両端部であるときのシュー押付け力Pが、オシレーションの幅方向中央部であるときのシュー押付け力Pに比べて大きくなるように、シュー押付けユニット30の作動を制御する。但し、オシレーションの幅方向両端部でのシュー押付け力Pと、オシレーションの幅方向中央部でのシュー押付け力Pとの間の変化率ΔPは、幾何学形状をフラットにするときよりも、幾何学形状を中凸にするときの方が大きい。図12(B)には、幾何学形状をフラットにするときのシュー押付け力Pの変化を破線で示してある。
【0041】
シュー押付け力Pを上記のように制御すると、ワークWのエッジ部Weが移動する領域における砥粒ダメージDがさらに小さくなる。このときの砥粒ダメージDの程度をc(a>b>c)とする。砥粒ダメージDがさらに小さくなるということは、同じシュー押付け力Pの下では、砥粒12による加工面65の単位時間あたりの除去量がさらに増加することを意味する。しかも、オシレーションの幅方向中央部でのシュー押付け力Pがさらに小さくなるので、加工面65の中央部における単位時間あたりの除去量もさらに減少する。これらの作用が相まって、ワークWの加工面65の両端部での加工が中央部に比べて促進され、軸方向幾何学形状が中凸になる。
【0042】
ワークの中には、軸方向幾何学形状を積極的に中凹にすることを意図したワークも存在する。例えば、クランクシャフト62のピン部63にあっては、軸方向幾何学形状を中凹にすることがある。
【0043】
軸方向幾何学形状を中凹にする場合のシュー押付け力Pの可変制御は、図12(C)に示すように、コントローラ100は、ワークWのオシレーション位置がオシレーションの幅方向両端部であるときのシュー押付け力Pが、オシレーションの幅方向中央部であるときのシュー押付け力Pに比べて小さくなるように、シュー押付けユニット30の作動を制御する。
【0044】
具体的には、コントローラ100は、クランクシャフト62のオシレーション位置が最左端に至ったとき(オシレーション角度θc=0度)に偏心回転体35の偏心角θeが0度となり、オシレーション位置が中央に至ったとき(オシレーション角度θc=90度)に偏心回転体35の偏心角θeが180度となり、オシレーション位置が最右端に至ったとき(オシレーション角度θc=180度)に偏心回転体35の偏心角θeが0度となるように、押付け用モータM4の回転を制御する制御信号を当該モータM4に出力する。偏心角θeが180度になるとシュー押付け力Pが最大となるので(図7参照)、クランクシャフト62のオシレーション位置がオシレーションの幅方向両端部であるときのシュー押付け力Pが、オシレーションの幅方向中央部であるときのシュー押付け力Pに比べて小さくなる。
【0045】
シュー押付け力Pを上記のように制御すると、対比例(図9(B)を参照)におけるシュー押付け力P0を基準にして比較すると、ワークWのエッジ部Weが移動する領域における砥粒ダメージDが大きくなる。このときの砥粒ダメージDの程度をd(d>a)とする。砥粒ダメージDが大きくなるということは、同じシュー押付け力Pの下では、砥粒12による加工面65の単位時間あたりの除去量が減少することを意味する。しかも、オシレーションの幅方向中央部でのシュー押付け力Pが大きくなるので、加工面65の中央部における単位時間あたりの除去量も増加する。これらの作用が相まって、ワークWの加工面65の中央部での加工が両端部に比べて促進され、軸方向幾何学形状が中凹になる。
【0046】
なお、オシレーションの幅方向両端部でのシュー押付け力Pと、オシレーションの幅方向中央部でのシュー押付け力Pとの間の変化率は、ワークの軸方向幾何学形状(フラット、中凸あるいは中凹)、ベースとなる加工条件(シュー押付け力、ワーク回転速度およびオシレーション速度の各ベース値)、要求される面粗度などによって変化するので、一義的に決まるものではなく、トライアンドエラーによって最終的な変化率を決定している。
【0047】
また、シュー押付け力PをワークWのオシレーション位置に同期して変化させるために、偏心回転体35を設計するに際しては、オシレーションサイクルを考慮して、X方向に沿ってはベースサークル半径や稼動開始角が決定され、Z方向に沿ってはカムリフトhや稼動開始角が決定されている。
【0048】
次に、本実施形態の作用を、軸方向幾何学形状をフラットにする場合を例に挙げて説明する。
【0049】
まず、ヘッドストック42とテールストック46との間にカムシャフト60を支持し、カムロブ部61の位置に上下のアーム22、23を移動する。このとき、流体圧シリンダ25は、ピストンロッド26を収縮しており、上アーム22および下アーム23を開位置に保持している。この後、流体圧シリンダ25を作動させてピストンロッド26を伸張し、上下のアーム22、23を閉じる方向に回動する。この閉回動によりラッピングフィルム11は、カムロブ部61の加工面65上にセットされる。
【0050】
上下のアーム22、23を開回動している間に、モータM3を作動して巻取りリール16を回転する。ラッピングフィルム11は、所定量移動し、新規な砥粒面が加工面65上にセットされるようになる。その後、供給リール15近傍に設けられたロック装置をロックして、巻取りリール16を回転すると、ラッピングフィルム11に所定のテンションが付与される。次いで、巻取りリール16近傍のロック装置をロックすると、テンションが付与され弛みのない状態のラッピングフィルム11となる。
【0051】
カムロブ部61をクランプすると、シュー押付けユニット30により両シュー21がカムロブ部61に向けて押付けられ、ラッピングフィルム11の砥粒面が加工面65に押付けられる。
【0052】
そして、オシレーションユニット50を作動させてカムシャフト60に軸方向に沿うオシレーションを付与しつつ、回転駆動ユニット40を作動させてカムシャフト60を軸中心で回転すると、シュー21を保持したシューケース28が凹部27の中でカムロブ部61の回転に倣って進退移動しながら、カムロブ部61の加工面65がラッピング加工される。
【0053】
この加工中においては、コントローラ100は、オシレーションユニット50の動作と、シュー押付けユニット30の動作とを同期させている。コントローラ100は、ロータリエンコーダS2が検出した偏心回転体51の回転位置から、カムシャフト60のオシレーション位置を判断し、加工中におけるカムシャフト60のオシレーション位置に応じてシュー押付け力Pを可変制御する。すなわち、カムシャフト60のオシレーション位置が最左端または最右端に至ったときに偏心回転体35の偏心角θeが180度となるように、押付け用モータM4の作動を制御し、オシレーションの幅方向両端部でのシュー押付け力Pを、オシレーションの幅方向中央部でのシュー押付け力Pに比べて大きくしている(図12(A))。
【0054】
これにより、カムロブ部61の加工面65の両端部と中央部とにおける除去量の不均一さが改善され、軸方向幾何学形状がフラットになり、真直度の低下が抑えられる。もって、加工条件だけで、ワークWの軸線方向に沿う加工面65の幾何学形状を制御できる。
【0055】
カムシャフト60は、多数のカムロブ部61を有しているが、ラッピング加工は、これらカムロブ部61に対し一斉に行なわれる。ラッピング加工が完了すると、流体圧シリンダ25を作動させてピストンロッド26を収縮し、上下のアーム22、23を開く方向に回動し、カムシャフト60を取り出し可能な状態とする。カムシャフト60を取り出した後、他のカムシャフト60をセットすれば、同様のラッピング加工を開始することができる。
【0056】
図13は、軸方向幾何学形状を中凸あるいは中凸にする場合の、押付け力Pとオシレーション角度θoとの関係、ワーク断面形状、形状変化量Δと押付け力Pとの関係を示す図表である。
【0057】
軸方向幾何学形状を中凸にする場合には、上述したのと同様であるが、オシレーションの幅方向両端部でのシュー押付け力Pと、オシレーションの幅方向中央部でのシュー押付け力Pとの間の変化率ΔPを、幾何学形状をフラットにするときよりも大きくしている(図12(B)、図13(A)欄)。
【0058】
これにより、カムロブ部61の加工面65の両端部での加工が中央部に比べて促進され、軸方向幾何学形状が中凸になる。もって、加工条件だけで、ワークWの軸線方向に沿う加工面65の幾何学形状を制御できる。
【0059】
軸方向幾何学形状を中凹にするワークW(例えば、クランクシャフト62)の場合には、コントローラ100は、クランクシャフト62のオシレーション位置が中央に至ったときに偏心回転体35の偏心角θeが180度となるように、押付け用モータM4の作動を制御し、オシレーションの幅方向両端部でのシュー押付け力Pを、オシレーションの幅方向中央部でのシュー押付け力Pに比べて小さくしている(図12(C)、図13(B)欄)。
【0060】
これにより、クランクシャフト62の加工面65の中央部での加工が両端部に比べて促進され、軸方向幾何学形状が中凹になる。もって、加工条件だけで、ワークWの軸線方向に沿う加工面65の幾何学形状を制御できる。
【0061】
以上説明したように、上述した実施形態のラッピング加工装置1によれば、ラッピングフィルム11と、シュー21と、シュー21をワークWに向けて押付けてラッピングフィルム11の砥粒面をワークWに押付けるとともにシュー押付け力を調整自在なシュー押付けユニット30と、ワークWに当該ワークWの軸線方向に沿うオシレーションを付与するオシレーションユニット50と、オシレーションによるワークWのラッピングフィルムに対する相対的なオシレーション位置を検出するロータリエンコーダS2と、加工中におけるワークWのオシレーション位置に応じてシュー押付け力Pを可変制御するコントローラ100と、を有し、ワークWの軸線方向に沿う加工面65の幾何学形状を制御するようにしたので、加工条件だけで、ワークWの軸線方向に沿う加工面65の幾何学形状を所望の形状(フラット、中凸あるいは中凹)に制御し得るという効果を奏する。
【0062】
また、コントローラ100は、ワークWのオシレーション位置がオシレーションの幅方向両端部であるときのシュー押付け力Pが、オシレーションの幅方向中央部であるときのシュー押付け力Pに比べて大きくなるように、シュー押付けユニット30の作動を制御するので、加工条件だけで、ワークWの軸線方向に沿う加工面65の幾何学形状をフラットあるいは中凸にすることができる。
【0063】
また、オシレーションの幅方向両端部でのシュー押付け力と、オシレーションの幅方向中央部でのシュー押付け力との間の変化率を、幾何学形状をフラットにするときよりも中凸にするときの方を大きくすれば、幾何学形状のフラットあるいは中凸を選択できる。
【0064】
また、コントローラ100は、ワークWのオシレーション位置がオシレーションの幅方向両端部であるときのシュー押付け力Pが、オシレーションの幅方向中央部であるときのシュー押付け力Pに比べて小さくなるように、シュー押付けユニット30の作動を制御するので、加工条件だけで、ワークWの軸線方向に沿う加工面65の幾何学形状を中凹にすることができる。
【0065】
また、ラッピングフィルム11は、非伸縮性でかつ変形可能であるので、ワークWに対して、好適なラッピング加工を行い得る。
【0066】
また、本実施形態のラッピング加工装置1は、オシレーションによるワークWのラッピングフィルム11に対する相対的なオシレーション位置をロータリエンコーダS2により検出し、加工中におけるワークWのオシレーション位置に応じてシュー押付け力Pを可変制御し、ワークWの軸線方向に沿う加工面65の幾何学形状を制御するラッピング加工方法を具現化したものであり、上述したように、加工条件だけで、ワークWの軸線方向に沿う加工面65の幾何学形状を所望の形状(フラット、中凸あるいは中凹)に制御し得るという効果を奏する。
【0067】
(他の実施形態)
図14は、他の実施形態に係るシュー押付けユニット30の構成と等価の構成を示す概念図である。図6に示した部材と共通する部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0068】
他の実施形態においては、押圧ロッド34の頭部に当接する偏心回転体135が楕円形状を有する点で、カム形状の偏心回転体35を備える先の実施形態と相違している。図13に示されるように、カム形状の偏心回転体35を使用した場合には、押付け力Pの変化が比較的急峻であるが、楕円形状の偏心回転体135を使用した場合には、同図に一点鎖線で示すように、押付け力Pの変化を比較的緩やかにできる。
【0069】
(改変例)
ワークWの加工面65はカムシャフト60のカムロブ部61やクランクシャフト62のピン部63に限定されるものでもなく、他の種々のワークWに適用できることはいうまでもない。
【0070】
また、シュー押付け力Pを調整自在なシュー押付け手段30として、ワーククランプ用バネ33、偏心回転体35、押付け用モータM4などを使用した形態を例示したが、これに限定されるものではなく、適宜改変可能である。例えば、空気圧などにより作動する流体圧シリンダを用いて、シュー21をワークWに向けて押付けて、ラッピングフィルム11の砥粒面をワークWに押付けてもよい。この場合には、流体圧シリンダに供給する空気圧を調整したり、電磁弁で切り換えたりすることによって、シュー押付け力Pを調整すればよい。
【0071】
また、図示例のオシレーションユニット50ではテーブル49にオシレーションを付与してワークWにオシレーションを付与しているが、ワークWを支持する主軸41にオシレーションを付与してもよい。また、ワークWにオシレーションを付与する場合に限られず、ラッピングフィルム11にオシレーションを付与したり、ワークWおよびラッピングフィルム11の両者にオシレーションを付与したりしてもよい。オシレーションを発生させる機構も偏心回転体51を用いたものに限定されず、例えば、超音波加振機を用いてもよい。
【0072】
また、ロータリエンコーダS2で検出した偏心回転体51の回転位置に基づいてワークWのオシレーション位置を検出する例を示したが、光学的センサなどによりワークWの端部を直接検出して、ワークWのオシレーション位置を検出する形態でもよい。
【0073】
また、シューとして凹シュー21を例示したが、先端部が凸状円弧となった凸シューを使用する場合にも、本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係るラッピング加工装置を示す概略構成図である。
【図2】 ラッピング加工装置に開閉自在に設けられた上下のアームの閉状態を示す概略断面図である。
【図3】 上下のアームの開状態を示す概略断面図である。
【図4】 ラッピング加工装置の要部を示す断面図である。
【図5】 オシレーションに伴うカムシャフト位置の説明に供する図である。
【図6】 シュー押付けユニットの構成と等価の構成を示す概念図である。
【図7】 シュー押付け力の変化の説明に供する図である。
【図8】 図8(A)は、ラッピング加工されるワークとしてのカムシャフトの一例を示す斜視図、図8(B)は、ラッピング加工されるワークとしてのクランクシャフトの一例を示す斜視図である。
【図9】 図9(A)は、オシレーションが付与されたワークの移動状態を、ラッピングフィルムとともに概念的に示す図、図9(B)は、ワークのオシレーション位置に拘らずシュー押付け力を一定とした対比例において、オシレーションに伴って移動するワークのエッジ部によって砥粒が受けるダメージの大きさを概念的に示すとともに、ラッピング加工後のワークの軸線方向に沿う幾何学形状を誇張して示す図である。
【図10】 図10(A)は、ラッピングフィルムの砥粒による加工面の単位時間あたりの除去量とシュー押付け力との関係を概念的に示す図、図10(B)は、オシレーションに伴って移動するワークのエッジ部によって砥粒が受けるダメージの大きさとシュー押付け力との関係を概念的に示す図、図10(C)は、シュー押付け力を一定とした条件下での、ラッピングフィルムの砥粒による加工面の単位時間あたりの除去量と砥粒ダメージの大きさとの関係を概念的に示す図である。
【図11】 本発明に係るラッピング加工装置の制御系を示す概略ブロック図である。
【図12】 図12(A)〜(C)は、加工中におけるワークのオシレーション位置に応じてシュー押付け力を可変制御し、加工面の軸方向幾何学形状を制御する例を示す図である。
【図13】 軸方向幾何学形状を中凸あるいは中凸にする場合の、押付け力Pとオシレーション角度θoとの関係、ワーク断面形状、形状変化量Δと押付け力Pとの関係を示す図表である。
【図14】 他の実施形態に係るシュー押付けユニットの構成と等価の構成を示す概念図である。
【符号の説明】
1…ラッピング加工装置
11…ラッピングフィルム
12…砥粒
21…シュー、凹シュー
28…シューケース
30…シュー押付けユニット(シュー押付け手段)
31…調整手段
32…連結ロッド
33…ワーククランプ用バネ
34…押圧ロッド
35、135…偏心回転体
40…回転駆動ユニット
50…オシレーションユニット(オシレーション手段)
51…オシレーション用の偏心回転体
60…カムシャフト(ワーク)
61…カムロブ部
62…クランクシャフト(ワーク)
65…加工面
100…コントローラ(制御手段)
M2…オシレーション用モータ
M4…押付け用モータ
S2…ロータリエンコーダ(検出手段)
S1、S3、S4…ロータリエンコーダ
W…ワーク
We…ワークのエッジ部
Claims (6)
- 回転駆動されるワークの加工面に対してラッピング加工を施すラッピング加工装置であって、
薄肉基材の一面に砥粒が設けられたラッピングフィルムと、
前記ラッピングフィルムの背面側に配置されたシューと、
前記シューをワークに向けて押付けて前記ラッピングフィルムの砥粒面を前記ワークに押付けるとともにシュー押付け力を調整自在なシュー押付け手段と、
前記ワークおよび前記ラッピングフィルムのうちの少なくとも一方に前記ワークの軸線方向に沿うオシレーションを付与するオシレーション手段と、
オシレーションによる前記ワークの前記ラッピングフィルムに対する相対的なオシレーション位置を検出する検出手段と、
加工中におけるワークのオシレーション位置に応じてシュー押付け力を可変制御する制御手段と、を有し、
前記ワークの軸線方向に沿う加工面の幾何学形状を制御することを特徴とするラッピング加工装置。 - 前記制御手段は、ワークのオシレーション位置がオシレーションの幅方向両端部であるときのシュー押付け力が、オシレーションの幅方向中央部であるときのシュー押付け力に比べて大きくなるように、前記シュー押付け手段の作動を制御し、前記幾何学形状をフラットあるいは中凸にすることを特徴とする請求項1に記載のラッピング加工装置。
- オシレーションの幅方向両端部でのシュー押付け力と、オシレーションの幅方向中央部でのシュー押付け力との間の変化率は、幾何学形状をフラットにするときよりも中凸にするときの方が大きいことを特徴とする請求項2に記載のラッピング加工装置。
- 前記制御手段は、ワークのオシレーション位置がオシレーションの幅方向両端部であるときのシュー押付け力が、オシレーションの幅方向中央部であるときのシュー押付け力に比べて小さくなるように、前記シュー押付け手段の作動を制御し、前記幾何学形状を中凹にすることを特徴とする請求項1に記載のラッピング加工装置。
- 前記ラッピングフィルムは、非伸縮性でかつ変形可能であることを特徴とする請求項1に記載のラッピング加工装置。
- ワークの加工面に向けてラッピングフィルムの背面側に配置されたシューを押付けて、前記ラッピングフィルムの砥粒面を前記ワークに押付けた状態で、前記ワークを回転駆動するとともに前記ワークおよび前記ラッピングフィルムのうちの少なくとも一方に前記ワークの軸線方向に沿うオシレーションを付与しつつラッピング加工を施すラッピング加工方法であって、
オシレーションによる前記ワークの前記ラッピングフィルムに対する相対的なオシレーション位置を検出手段により検出し、加工中におけるワークのオシレーション位置に応じてシュー押付け力を可変制御し、前記ワークの軸線方向に沿う加工面の幾何学形状を制御することを特徴とするラッピング加工方法。
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