JP3687288B2 - 磁性流体を利用した密封装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁性流体を利用した密封装置に関し、密封装置の状態やメンテナンス時期を検出することを可能とする技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、界面活性剤等の流体中に磁性体の粒子を懸濁して存在させ、永久磁石や電磁石等の外部磁場の磁力により、その粒子が磁気吸引されることで流体の位置を保持し得る磁性流体の特性を利用した種々の密封装置がある。
【0003】
(a)は、このような磁性流体を利用した一従来例としての密封装置100の断面構成を説明する図であり、図(b)は、図(a)のD101部の磁場の強さを説明する図、図は、図(a)のD101部の拡大図である。図及び図により密封装置100を説明する。
【0004】
この密封装置100は、圧力差のある高圧側H’(この従来例においては大気側)及び低圧側L’(この従来例においては真空チャンバの容器内)の2領域間にまたがる回転軸101及び回転軸101の軸受部103の間に備えられている。
【0005】
軸受部103は、回転軸101の保持及び密封を行う円筒部103aと、円筒部103aの一方の端部に、内部空間を真空状態(低圧側L’)とする容器102の開口端部102aにボルトにより取り付けられるフランジ部103bを備えている。
【0006】
また、軸受部103の円筒部103aと回転軸101とはベアリングB1,B2により相対回転運動に対する動的な保持が行われている。
【0007】
そして密封性に関しては、軸受部103の円筒部103a内側に備えられた環状の磁石104により形成される磁気回路MC’に介在させた磁性流体ML’により行っている。
【0008】
磁石104は軸方向に異極(N及びSと図示される)が配されており、軸方向両側には磁石104の磁極となる磁極部材105,106(以降の説明においては、磁極部材105を代表させて行う)が備えられている。
【0009】
そして、回転軸101の磁極部材105に対向する部位に複数本の周方向に連続する凹溝107a,107b,・・・を形成し、磁極部材105の内周面105aと各凹溝の間の凸条部108a,108b,・・・の頂面との間隙に磁束が集中するように発生させて(すなわち凸条部108a,108b,・・・の頂面で磁束密度が高まるようにしており、磁性流体ML’が保持される間隙の領域を複数のステージ部とする。)、これらの間隙、すなわちステージ部に磁性流体ML’が保持されて磁性流体シール部を形成するようにしている。
【0010】
そして、このように形成された磁性流体シール部は、低圧側L’と高圧側H’との間に複数の室109a,109b,・・・を形成し、各室の圧力が各ステージ部の耐圧範囲内で変化することにより、密封領域の両側で圧力差がある場合においても効果的な密封性を発揮し得るようになっている。例えば、全ステージ部での耐圧の総和が100KPa(1.0kgf /cm2 )以上になれば、真空シールとして利用することができる。
【0011】
尚、110a,110bはベアリングB1,B2の間での磁石104及び磁極部材105,106の軸方向の位置を定めるスペーサリング、111は円筒部103aの内側に備えられた各構成部材を封止固定する固定環部材、112,113は円筒部103aの内周面側と磁極部材105,106の外周面側との密封性を維持するOリングである。
【0012】
(b)は、密封装置100のD101部の磁場の強さを説明する図である。この図は、図に示す磁極部材105と回転軸101の間の軸方向の隙間G’の磁束の分布を磁場の強さとして模式的に表わしたものである。
【0013】
すなわち、磁石104により形成される磁気回路MC’の磁束は、磁性体である凸条部108a(複数の凸条部全てが該当するが、代表して記載する)に磁束が集中するので、磁束密度の大きい領域と小さい領域とに分かれて存在する。従って、凸条部108aの頂面の磁場の強さ120aはその両側の凹溝107a,107bにおける磁場の強さ121a,121bよりも強く差分Δfが存在することになる。
【0014】
また、磁性流体ML’が凸条部108aに保持される保持力の強さは、この磁場の強さの差分Δfにより定められると共に、保持力の強さがそれぞれのステージ部の耐圧能力に比例することになる。
【0015】
このような密封装置100を、例えば10-7Pa程度の真空度を必要とする機器(例えばスパッタリングを行なう真空チャンバ等)の真空シールとして機能させる場合には、低圧側L’と高圧側H’の圧力がそれぞれ約0及び約1.0kgf /cm2 となる。尚、真空度を必要とする機器としては例えば10-1Pa程度のより低い真空度を必要とする機器においても、低圧側L’の圧力は約0kgf /cm2 となり、同様に適用することが可能である。
【0016】
従って、この使用形態においては、それぞれの磁極部材105,106における各凸条部108a・・・の耐圧能力の総和が1.0kgf /cm2 以上となるように設計されている。
【0017】
例えば、各ステージ部の耐圧能力が0.1kgf /cm2 の場合には、少なくとも10個のステージ部と、これらのステージ部により独立的に分割される9個の室が必要であり、さらに安全係数を考慮した場合にはステージ部と室を複数個追加して備える構成となっている。
【0018】
そして、この従来技術においては片側の磁極部材(磁極部材105または106のいずれか一方)だけでも真空シールとしての耐圧能力を発揮可能な構成としている。
【0019】
密封装置100の作動開始の際には、低圧側L’の圧力を真空ポンプ等で序々に低下させることが行われており、まず低圧側L’と室109aとの間で圧力差が発生し始め、その圧力差が凸条部108aに対応するステージ部に存在する磁性流体ML’の耐圧能力以上の差圧となるとブレーク(圧力均衡化現象)が発生し、隣接する室109bへと低圧側L’の圧力が序々に高圧側H’の室へと伝播されていく。
【0020】
従って、低圧側L’が完全に真空となった状態では磁極部材105の各室(109a・・・)の圧力が段階的に変化して、容器102内と外部(大気側)の約1.0kgf /cm2 の圧力差を維持しつつ低圧側L’を密封することが可能となっている。
【0021】
尚、高圧側H’の磁極部材106は、磁極部材105の密封性能が低下した場合に、高圧側H’の大気が直接容器102へと進入し、低圧側L’の真空度が低下してしまうことを防止可能としている。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
このような密封装置100では、装置の作動にともない磁性流体ML’が消耗及び劣化すると、密封性を維持することができなくなるので、定期的な点検を行い、必要であれば磁性流体ML’の補充や交換(密封装置のメンテナンス)が行われている。
【0023】
特に上記のように内部が真空状態となる容器102内と外部の密封に使用されたり、あるいは高温にさらされる環境で使用されると、磁性流体ML’の劣化が促進されることになり点検時期や頻度には注意が払われ、十分な安全性が確保されるよう密封装置のメンテナンスは行われている。
【0024】
は、真空チャンバの軸受部103に使用された密封装置100の磁性流体ML’の劣化の状態を模式的に示した図である。図において、各磁極部材105,106において、そのステージ部の数はそれぞれ4個とし、各ステージ部の耐圧能力を0.25kgf /cm2と設定してあるが、あくまでも磁性流体ML’の劣化の状態を模式的に説明するために簡単な構成としているものであって、実際の形態を示すものではない。尚、括弧内の数字はその領域あるいは室の気圧(kgf /cm2)が表示されている。
【0025】
磁性流体ML’は、同じ温度でも低圧力環境で使用されると、揮発成分の蒸発が促進され、図の(a)→(b)→(c)→(d)のように低圧側L’より劣化が進む。
【0026】
この場合に、磁極部材105の低圧側L’のステージ部に存在する磁性流体ML’が劣化し、そのステージ部にブレークが発生して耐圧能力が消滅すると、真空度の維持に関係するステージ部は1つ高圧側H’にずれることになり、これが順次繰り返され、各ステージ部の耐圧能力の総和が1.0kgf /cm2 よりも下回ると磁性流体シールの破損が発生し(バースト)、真空度の維持が不可能となる。
【0027】
すなわち、密封装置100では、磁極部材105または106のいずれか一方の磁極部材でも、容器102内と外部(大気側)の約1.0kgf /cm2の圧力差を維持することが可能であるため、図(c)の状態までは、容器102内部の真空度を高真空度(10-7Pa)に保つことができるが、磁極部材106の磁性流体ML’まで劣化が進むと(図(d)の状態)真空度を維持することができず、ステージ部の耐圧能力の総和が1.0kgf /cm2よりも下回り、バーストが発生して真空度が一気に低下する。
【0028】
は、図の磁性流体ML’の劣化状態(図(a),(b),(c),(d)を作動時間に対応させて横軸に表わされている。)に対応する、容器102内部の真空度の低下(図では気圧として縦軸に表わされている。)の関係を示すものである。
【0029】
密封装置100の作動開始T0 からバーストの発生時Tbまでは高真空度が維持されているが、バーストの発生時Tb以後は真空度を維持することができず、高圧側H’から低圧側L’へ大気が移動し、低圧側L’の圧力は不連続的に上昇してしまい、容器102内部は汚染されてしまう。
【0030】
従って、このような磁性流体の消耗や劣化による問題の発生を考慮して、密封装置のメンテナンスは、図におけるTmのタイミング、遅くともTm’のタイミングで行われるように作動時間で管理されている。
【0031】
しかしながら、このTm及びTm’は、密封装置100を特定の条件の下で作動した場合に対して実験的に求めることは可能であるが、異なる条件で密封装置100を作動した場合や、容器102内部での化学反応等により設定したメンテナンスのタイミングよりも早くTm及びTm’の状態となった場合には、密封装置100の作動中にバーストが発生してしまう恐れもある。
【0032】
また、これを防ごうとすると、安全率を高く設定して高い頻度でメンテナンスを行うように設定する必要があり、作業効率の低下やメンテナンスコストの上昇を招くことになる。
【0033】
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、適切なタイミングでメンテナンスを行い、シール破損(バースト)を未然に防止することができるように、密封装置の磁性流体の消耗や劣化の状態を検知させるための圧力変化を生じさせることができる密封装置を提供することにある。
【0034】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明にあっては、密封容器に備えられた軸孔部と該軸孔部に挿通される軸との間の環状隙間に、軸方向に複数段配置され、磁束が通過する環状ステージ部と、前記複数段の環状ステージ部に保持される磁性流体と、前記磁性流体により複数段の環状ステージ部の間に形成され、軸方向に少なくとも1段配置される圧力室と、を備え、密封容器の内部と外部との間に発生する圧力差を、前記圧力室により解消しながら該環状隙間を密封する磁性流体を利用した密封装置において、前記環状隙間の軸孔部または軸のいずれか一方に嵌合する嵌め合い部を有し、該嵌め合い部に対向する側を前記環状ステージ部とする環状磁極部材と、前記嵌め合い部の密封側に設けられる密封側のシール手段と、前記嵌め合い部の反密封側に設けられるシール手段であって、前記密封側のシール手段よりもシール性の劣る反密封側のシール手段と、前記密封側のシール手段と前記反密封側のシール手段との間で前記嵌め合い部と前記圧力室とを連通させる通気経路と、を備え、前記嵌め合い部と、前記反密封側のシール手段と、前記通気経路とが、前記圧力室から装置外部まで流体を疎通可能とする通気手段を形成し、前記密封容器から前記圧力室までの前記磁性流体の保持が滅した場合には、前記磁性流体の保持が滅した部分及び前記通気手段を介して、前記密封容器から装置外部まで流体が疎通することを特徴とする。
【0035】
この構成によると、通気手段の接続する圧力室よりも密封側の圧力室が破損した場合に、通気手段を介して微量の流体が密封容器の内部と疎通可能となる。その結果、密封装置の通気手段の接続する圧力室よりも密封側の圧力室が破損したことを検知することが可能な圧力変化が密封容器の内部に生じることになる。
【0037】
この構成によると、通気手段の接続する圧力室よりも密封側の圧力室が破損した場合に、反密封側のシール手段から通気経路を介して微量の流体が密封容器の内部と疎通可能となり、密封容器の内部の圧力を変化させる。この密封容器の内部の圧力変化を検知することにより、密封装置の通気手段の接続する圧力室よりも密封側の圧力室が破損したことを検知することが可能となる。また、圧力室の破損の発生していない通常状態では、密封側のシール手段が環状磁極部材の嵌め合い部をシールするので、密封容器の圧力を維持することができる。
【0038】
また、軸方向に2分割された前記環状磁極部材と、
この2つの前記環状磁極部材の間に配置され、前記環状ステージ部を通過する磁束を発生させる磁力発生手段と、を備え、
前記通気手段は、接続する圧力室を2つの環状磁極部材の間の領域とすると共に、通気経路を環状磁極部材と磁力発生手段の当接面の隙間とすることも好適である。
【0039】
この構成により簡易な構成で通気経路を備えることが可能となる。
【0040】
また、前記2つの環状磁極部材は、それぞれが真空状態となる密封容器の内部の圧力と大気圧力との圧力差を保持可能であり、前記反密封側のシール手段は、前記密封容器から前記圧力室までの前記磁性流体の保持が滅した場合に前記密封容器の内部の真空度を低下させるために、大気を疎通させることも好適である。
【0041】
この構成によると、密封側の環状磁極部材により形成される圧力室が破損しても反密封側の環状磁極部材により真空状態となる密封容器の内部の圧力を維持することができる。そして、密封側の環状磁極部材により形成される圧力室が破損した際に、反密封側のシール手段から微量の大気が疎通して密封容器の内部の真空度を低下させる。この密封容器の内部の圧力変化を検知することにより、密封装置の状態を検知することが可能となる。
【0042】
また、前記反密封側のシール手段は、気体透過性を備えていることも好適である。
【0043】
微量の大気を疎通させるために、シール手段の気体透過性を利用することが可能であり、シール手段の材質や形状を特定することにより、所望の圧力変化を発生させることができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下に本発明を図示の第1の実施の形態に基づいて説明する。図1は磁性流体を利用した密封装置1の要部断面構成説明図であり、 図2は図1のD1部を拡大した図である。
【0047】
この密封装置1は、密封容器として内部を真空状態にする真空チャンバVCの外部から内部に回転動力を伝達する回転軸2の回転駆動力導入部VC1に備えられている。
【0048】
真空チャンバVCの運転時には、真空ポンプ等により内部の真空引きを行うのでその内部圧力は低下して真空側Lとなり、真空チャンバVCの外部の高圧側である大気側Hとの間に圧力差が発生する。
【0049】
従って、この実施の形態の密封装置1は、その圧力差のある2領域間を隔て、真空側Lの真空度を保持しつつ回転軸2により真空チャンバVC内部に回転動力を導入するために、回転軸2と回転軸2が挿通される軸孔部3との間の環状隙間4に備えられている。
【0050】
軸孔部3は、回転軸2の保持及び密封を行う円筒部3aと、円筒部3aの一方の端部に、真空チャンバVCの回転駆動力導入部VC1に取り付けられるフランジ部3bを備えている。
【0051】
密封装置1において、軸孔部3と回転軸2とはベアリング5a,5bにより相対回転運動に対する動的な保持が行われている。そして密封性に関しては、軸孔部3の円筒部3a内側に備えられた磁力発生手段としての磁石6により形成される磁気回路MCに介在させた磁性流体MLにより行っている。
【0052】
磁石6は軸方向に異極が配されており、軸方向両側には磁石6に当接して磁極となる環状の磁極部材7a,7bが備えられている。
【0053】
回転軸2には、周壁面2aから磁極部材7a,7bに対向するそれぞれの部位に、複数本(この実施の形態では5本)の周方向に連続する環状の凸条8a,8b・・・が突出して形成され、凸条8a,8b・・・の外周面をステージ部9a,9b,・・・としている。
【0054】
ステージ部9a,9b,・・・には、磁気回路MCの磁束が収束しており、磁性流体MLが保持されている。そして、軸方向に複数段(この実施の形態では磁極部材7a,7bのそれぞれに4段)の圧力室PDa,PDb,・・・,PDf,PDg,・・・が形成される。尚、磁極部材7a,7bの間の領域も圧力室PDsとみなしている。
【0055】
10は磁極部材7bとベアリング5bとの間隔を保つスペーサリング、11は円筒部3aの内側に備えられた各構成部材を封止固定する固定環部材である。
【0056】
12,13は、磁極部材7a,7bの嵌め合い部としての外周面側と円筒部3aの内周面側との密封性を維持するシール手段としてのOリングである。
【0057】
14は、磁極部材7aの真空側Lの軸方向端面と軸孔部3のスラスト面部3cを封止するシール手段としての金属シールである。
【0058】
尚、図2において円筒部3aと磁極部材7a,7bの嵌め合い部としての外周面側との間に隙間G1が記載されているが、実際にはこの図のような大きな隙間G1が存在するものではなく、所定の嵌め合い代(すきまばめ)の存在を模式的に表現したものである。
【0059】
従って、円筒部3aの内周面側と円筒部3aに装填される各構成部材との嵌め合い部には微小な隙間G1が通気手段として存在することになるが、Oリング12,13及び金属シール14により密封されている。
【0060】
また、隙間G1と圧力室PDsは、磁石6と磁極部材7a,7bとの当接面の微細な凹凸による隙間G2,G3を通気経路として連通している。
【0061】
ここで、Oリング12,13は、フッ素ゴムを材料とするものであり、金属シール14は銅ガスケットを採用している。従って、磁極部材7a側に備えられたOリング12と金属シール14によるシール性は、磁極部材7bのOリング13単体によるシール性よりも優れていることになる。
【0062】
このような構成を備えた密封装置1によると、磁極部材7a,7bの全てのステージ部に保持されている磁性流体MLが、全く劣化の発生していない状態における通常運転時には、周壁面2a側を磁性流体MLで密封し、隙間G1側をOリング12,13及び金属シール14により密封する。
【0063】
そして、このような磁性流体MLの劣化のない状態では、真空チャンバVCの真空度を高める(10-7〜10-9(Pa)程度)ことができる。
【0064】
真空チャンバVCの稼動時間の経過と共に真空側Lのステージ部9aから、順次磁性流体MLの劣化や蒸発に伴うブレークが発生した場合には、圧力室も圧力室PDa,PDb・・・と順次破損していく。
【0065】
図2は、磁極部材7a側の圧力室が全て破損した状態である。尚、磁極部材7a,7bは、いずれか1つでも真空側Lと大気側Hとの圧力差を維持することが可能であるので、図2のように磁極部材7aの圧力室が破損した状態となっても、磁極部材7bにより、周壁面2a側の密封を維持することができる。
【0066】
しかし、圧力室PDsと真空側Lが連通した状態では、隙間G1を密封するシール手段がOリング13のみとなってしまい、Oリング13を透過した空気が隙間G2,G3を経て真空側Lへと侵入する。そして、真空チャンバVC内部の真空度を通常時の10-7〜10-9(Pa)から磁性流体が劣化したときの10-5〜10-6(Pa)と低下させる。
【0067】
従って、真空チャンバVCに備えられている真空計により、真空度が1〜3桁程度低下したタイミングを検知することにより、密封装置1の劣化状態を知ることが可能となり、このタイミングでメンテナンスや補修・交換を行なうことにより、真空チャンバVCの真空度を大きく低下させるシール破損(バースト)を未然に防止することが可能となる。
【0068】
尚、真空度の低下は、真空計を通常稼動時の真空度よりも1〜2桁低下した場合にアラームがなるようにセットすることで、確実に検知することができる。
【0069】
また、真空度の低下の度合いは、Oリング13の気体透過性により依存するので、Oリングの材質や形状・表面処理等を適宜に選定及び設定することが重要であり、好適な形態とすることで真空度の低下の度合いを所望の値に設定することが可能である。
【0070】
但し、Oリング13の気体透過性が低過ぎたり全くない(気密性能が良好である)と、真空チャンバVCの真空度を1〜3桁程度低下させることができずに、いきなりシール破損(バースト)となってしまうので注意が必要である。
【0071】
Oリング12,13の材質は、フッ素ゴムの他にブチルゴムやニトリルゴムを採用することも可能であるが、フッ素ゴムに比較して耐熱性、耐薬品性に劣ることを考慮する必要がある。
【0072】
また、金属シール14はこの実施の形態では、所定のスラスト荷重を受けることにより非常に高い気密性を発揮すると共に、入手性と取扱性の容易さや量産性、信頼性及び経済性に優れる銅ガスケットを採用した。
【0073】
その他には、無酸素銅ワイヤを圧接によりリング状に形成したメタルOリングや、コイルスプリングを内蔵する金属性Oリング状のガスケットであるヘリコフレックス(CEFILA社の商品名)、金属環を使用したOリングでシール性を高めるために表面に銀やニッケル等の金属を被覆したメタル中空Oリング、金属OリングのO形断面の一部を取り除き「C」形断面としたCシール(イーグル工業の商品名)等も適宜採用することが可能である。
【0074】
(実施の形態2)
図3は、第2の実施の形態を説明する図である。この実施の形態の密封装置21においては、第1の実施の形態の金属シール14に代えて、Oリング12,13より気体透過性の劣る(気密性の高い)ゴム状弾性材からなるOリング14Bを備えた。
【0075】
その他の構成及び作用・効果は第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0076】
(実施の形態3)
図4は、第3の実施の形態を説明する図である。この実施の形態の密封装置31においては、第1の実施の形態から磁極部材の真空側Lのスラスト面部を封止する金属シール14が除かれた構成である。
【0077】
この実施の形態において、Oリング12Bは、磁性流体MLが劣化していない状態の真空度を高めるために、より気密性の高いものを使用する。
【0078】
その他の構成及び作用・効果は第1及び第2の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0087】
【発明の効果】
上記実施の形態により説明された本発明の磁性流体を利用した密封装置によると、通気手段の接続する圧力室よりも密封側の圧力室が破損した場合に、通気手段を介して微量の流体が密封容器の内部と疎通可能となり、密封容器の内部の圧力を変化させる。この密封容器の内部の圧力変化を検知することにより、密封装置の通気手段の接続する圧力室よりも密封側の圧力室が破損したことを検知することが可能となり、密封装置の磁性流体の消耗や劣化の状態を検知でき、適切なタイミングでメンテナンスを行うことにより、シール破損(バースト)を未然に防止可能とする。
【0088】
通気経路とシール手段を備えた通気手段によると、反密封側のシール手段から通気経路をを介して微量の流体が密封容器の内部と疎通可能となり、密封容器の内部の圧力を変化させる。この密封容器の内部の圧力変化を検知することにより、密封装置の通気手段の接続する圧力室よりも密封側の圧力室が破損したことを検知することが可能となる。また、圧力室の破損の発生していない通常状態では、密封側のシール手段が環状磁極部材の嵌め合い部をシールするので、密封容器の圧力を維持することができる。
【0089】
通気経路を環状磁極部材と磁力発生手段の当接面の隙間とすることにより、簡易な構成で通気経路を備えることが可能となる。
【0090】
2つの環状磁極部材のそれぞれが真空状態となる密封容器の内部の圧力と大気圧力との圧力差を保持可能であり、反密封側のシール手段は、密封側の圧力室が破損した場合に前記密封容器の内部の真空度を低下させるための、微量の大気を疎通させることで、密封側の環状磁極部材により形成される圧力室が破損しても反密封側の環状磁極部材により真空状態となる密封容器の内部の圧力を維持することができる。そして、密封側の環状磁極部材により形成される圧力室が破損した際に、反密封側のシール手段から微量の大気が疎通して密封容器の内部の真空度を低下させる。この密封容器の内部の圧力変化を検知することにより、密封装置の状態を検知することが可能となる。
【0091】
微量の大気を疎通させるために、シール手段の気体透過性を利用することが可能であり、シール手段の材質や形状を特定することにより、所望の圧力変化を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明を適用した密封装置の断面構成説明図。
【図2】図2は第1の実施の形態のステージ部近傍の断面構成説明図。
【図3】図3は第2の実施の形態のステージ部近傍の断面構成説明図。
【図4】図4は第3の実施の形態のステージ部近傍の断面構成説明図。
【図5】図5は従来の密封装置の断面構成説明図と磁場の強さを説明する図。
【図6】図6は図5のD101部の拡大図。
【図7】図7は磁性流体の劣化状態を説明する図。
【図8】図8は磁性流体の劣化状態と真空度の低下の関係を示す図。
【符号の説明】
1 密封装置
2 回転軸
2a 周壁面
3 軸孔部
3a 円筒部
3b フランジ部
3c スラスト面
4 環状隙間
5a,5b ベアリング
6 磁石(磁力発生手段)
7a,7b 磁極部材
8a,8b 凸条
9a,9b ステージ部
10 スペーサリング
11 固定環部材
12,13 Oリング(シール手段)
14 金属シール(シール手段)
G1 隙間
G2,G3 隙間(通気経路)
H 大気側
L 真空側
MC 磁気回路
ML 磁性流体
PDa,PDb・・・PDs 圧力室
VC 真空チャンバ(密封容器)
VC1 回転駆動力導入部

Claims (4)

  1. 密封容器に備えられた軸孔部と該軸孔部に挿通される軸との間の環状隙間に、
    軸方向に複数段配置され、磁束が通過する環状ステージ部と、
    前記複数段の環状ステージ部に保持される磁性流体と、
    前記磁性流体により複数段の環状ステージ部の間に形成され、軸方向に少なくとも1段配置される圧力室と、
    を備え、密封容器の内部と外部との間に発生する圧力差を、前記圧力室により解消しながら該環状隙間を密封する磁性流体を利用した密封装置において
    記環状隙間の軸孔部または軸のいずれか一方に嵌合する嵌め合い部を有し、該嵌め合い部に対向する側を前記環状ステージ部とする環状磁極部材と、
    前記嵌め合い部の密封側に設けられる密封側のシール手段と、
    前記嵌め合い部の反密封側に設けられるシール手段であって、前記密封側のシール手段よりもシール性の劣る反密封側のシール手段と、
    前記密封側のシール手段と前記反密封側のシール手段との間で前記嵌め合い部と前記圧力室とを連通させる通気経路と、を備え、
    前記嵌め合い部と、前記反密封側のシール手段と、前記通気経路とが、前記圧力室から装置外部まで流体を疎通可能とする通気手段を形成し、
    前記密封容器から前記圧力室までの前記磁性流体の保持が滅した場合には、前記磁性流体の保持が滅した部分及び前記通気手段を介して、前記密封容器から装置外部まで流体が疎通することを特徴とする磁性流体を利用した密封装置。
  2. 軸方向に2分割された前記環状磁極部材と、
    この2つの前記環状磁極部材の間に配置され、前記環状ステージ部を通過する磁束を発生させる磁力発生手段と、を備え、
    前記通気手段は、接続する圧力室を2つの環状磁極部材の間の領域とすると共に、通気経路を環状磁極部材と磁力発生手段の当接面の隙間とすることを特徴とする請求項1に記載の磁性流体を利用した密封装置。
  3. 前記2つの環状磁極部材は、それぞれが真空状態となる密封容器の内部の圧力と大気圧力との圧力差を保持可能であり、
    前記反密封側のシール手段は、前記密封容器から前記圧力室までの前記磁性流体の保持が滅した場合に前記密封容器の内部の真空度を低下させるために、大気を疎通させること
    を特徴とする磁性流体を利用した密封装置。
  4. 前記反密封側のシール手段は、気体透過性を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の磁性流体を利用した密封装置。
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