JP3686857B2 - 高負荷伝動用vベルト及びそれを用いたベルト伝動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高負荷伝動用Vベルト及びそれを用いたベルト伝動装置に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば実開平1―55344号、実開平6―69490号、特開平5―272595号の各公報等に示されるように、多数のブロックを張力帯にブロック及び張力帯の凹凸噛合構造を利用して係止固定した高負荷伝動用Vベルトがよく知られており、例えば無段変速機の分野で使用されている。この種のVベルトでは、その曲易さを確保するために、各ブロックの張力帯への固定を接着ではなく、物理的な係合状態(噛合状態)により行うようになされている。このベルトは、ベルト幅方向に並んだ左右1対の張力帯を備えており、この各張力帯の上下面にそれぞれベルト長さ方向に並ぶ多数の被噛合部としての上側凹部及び下側凹部が上下に対応して設けられている。一方、各ブロックのベルト幅方向側部にはそれぞれ張力帯を嵌合するための切欠き溝状の左右1対の嵌合部が形成され、この各嵌合部の上面に上側噛合部としての上側凸部が、また下面に下側噛合部としての下側凸部がそれぞれ設けられている。そして、上記各ブロックの左右の嵌合部にそれぞれ張力帯を圧入して嵌合することにより、各ブロックが両張力帯に係合固定されている。
【0003】
ところで、このようなブロックタイプの高負荷伝動用Vベルトにおいては、Vプーリにベルト下面の曲げ径が上面よりも小さくなるように通常の状態(正曲げ状態)で巻き付けられたときに、隣接するブロックの下端部同士が互いに干渉しないように、各ブロックの略中央部から下端部までを厚さが下端に向かって次第に小さくなる先細りテーパ状に形成することが行われている。
【0004】
そして、上記各ブロック下部のテーパ角度は、巻付きの対象となる異なる径の複数種類のVプーリのうちの最小径のVプーリに巻き付けられてもブロック間の干渉が起きないようにするために、その最小径のVプーリよりもさらに所定値(例えば5〜10mm)だけ小径のVプーリに巻き付いた状態で初めてブロック間が干渉するように設定される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、例えばテンションプーリを有する無段変速機等のベルト伝動装置においては、上記ブロックタイプの高負荷伝動用VベルトをVプーリに正曲げ状態に巻き付けるだけではなく、テンションプーリ等の平プーリからなる背面プーリに対し、ベルト上面(背面)で当接させてベルト上面の曲げ径が下面よりも小さくなるように逆曲げ状態により巻き付ける場合がある。
【0006】
その場合、ベルトが走行時に背面プーリに進入する入口側及び背面プーリから出る出口側で各ブロックの重心回りの角加速度が急激に変化するために、各ブロックに捩りモーメントが発生し、この捩りモーメントによりブロックが揺動する。そして、このブロックの揺動に伴い、該ブロックが係合している張力帯の心線に局所的な曲げ応力が生じるようになり、その張力帯の耐屈曲疲労性が大きく損なわれるという問題がある。
【0007】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので、その目的は、ブロックタイプのVベルトにおける各ブロックの構造を、ベルトが逆曲げ状態で巻き付く背面プーリに対し所定の条件をもって関連付けることにより、ベルトが逆曲げ状態で背面プーリに巻き付いて走行するときのブロックの揺動を可及的に抑制して張力帯の良好な耐屈曲疲労性を確保しようとすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明では、各ブロックの上部を厚さ方向で先細りテーパ形状にするとともに、ベルトの逆曲げ状態での背面プーリへの巻付時に隣接するブロックが上端部同士で接触して揺動規制されるように各ブロック上部のテーパ角度を設定した。
【0009】
具体的には、請求項1の発明では、ベルト背面側の上面及び底面側の下面にそれぞれベルト長さ方向に並ぶ多数の上側被噛合部及び下側被噛合部が上下に対応して設けられたエンドレスの張力帯と、この張力帯が圧入して嵌合される嵌合部を有し、該嵌合部の上面に張力帯の上側被噛合部と噛合する上側噛合部が、また下面に張力帯の下側被噛合部と噛合する下側噛合部がそれぞれ形成され、ベルト幅方向の側面にVプーリのベルト溝側面と接触する接触部が設けられた多数のブロックとを備え、この各ブロックの嵌合部に張力帯を嵌合することにより、各ブロックが張力帯に対しベルトの幅方向側面におけるブロック側面の接触部と張力帯側面との両方がVプーリのベルト溝側面と接触するように係合固定され、ブロックの噛合部と張力帯の被噛合部との噛合によって動力授受が行われる高負荷伝動用Vベルトを対象とする。
【0010】
そして、各ブロックの上部は、厚さが上端に向かって次第に小さくなる先細りテーパ状に設けられており、背面プーリに対しブロックの上面で当接して該背面プーリに沿って逆曲げ状態で巻き付けられたときのみに、隣接するブロックの上端部同士がブロック上面を背面プーリに当接させた状態で互いに接触して干渉するよう、隣接するブロックのピッチをp、ベルトがベルト上面で当接して逆曲げ状態となって巻き付けられる平プーリからなる背面プーリのピッチ径をr(単位:mm)、背面プーリの外径をr0(単位:mm)としたとき、各ブロックの上端部の厚さt(単位:mm)は、
t=p(r0+α)/(r+α)
但し、−2≦α≦2(単位:mm)
とする。
【0011】
また、請求項2の発明では、請求項1の発明の対象と同様の高負荷伝動用Vベルトと、このベルトがベルト上面で当接して逆曲げ状態となって巻き付けられる平プーリからなる背面プーリとを組み合わせてなるベルト伝動装置が対象である。
【0012】
そして、上記ベルトの各ブロックの上部は、厚さが上端に向かって次第に小さくなる先細りテーパ状に設けられており、上記ベルトが上記背面プーリに対しブロックの上面で当接して該背面プーリに沿って逆曲げ状態で巻き付けられたときのみに、隣接するブロックの上端部同士がブロック上面を背面プーリに当接させた状態で互いに接触して干渉するよう、隣接するブロックのピッチをp、背面プーリのピッチ径をr(単位:mm)、背面プーリの外径をr0(単位:mm)としたとき、各ブロックの上端部の厚さt(単位:mm)は、
t=p(r0+α)/(r+α)
但し、−2≦α≦2(単位:mm)
とする。
【0013】
さらに、請求項3の発明では、請求項1の発明の対象と同様の高負荷伝動用Vベルトと、このベルトがベルト上面で当接して逆曲げ状態となって巻き付けられる平プーリからなる背面プーリとを組み合わせてなるベルト伝動装置を対象とする。
【0014】
そして、上記ベルトの各ブロックの上部は、厚さが上端に向かって次第に小さくなる先細りテーパ状に設けられており、この各ブロックの上端部の厚さは、ベルトが上記背面プーリに対しブロックの上面で当接して該背面プーリに沿って逆曲げ状態で巻き付けられたときのみに、隣接するブロックの上端部同士がブロック上面を背面プーリに当接させた状態で互いに接触して干渉するように設定されていることとする。
【0015】
これらの各発明の構成によると、ベルトの走行時に背面プーリの入口側及び出口側で各ブロックの重心回りの角加速度が急激に変化して各ブロックに捩りモーメントが発生し、この捩りモーメントによりブロックが揺動しようとしたとき、背面プーリの外周面上では、ベルトの隣接するブロックの上端部同士が互いに接触する。つまり、両ブロックの上端部同士が互いに干渉した状態となり、この干渉によってブロックの揺動が抑制されることとなる。このため、ブロックの揺動に伴う張力帯の心線の局所的な曲げ応力が小さくなり、その張力帯の耐屈曲疲労性が向上維持される。
【0016】
【発明の実施の形態】
図3は本発明の実施形態に係る無段変速機Tを示し、この無段変速機Tは基本的には公知の構造と同様のもので、本発明でいうベルト伝動装置を構成している。すなわち、無段変速機Tは駆動軸1と、この駆動軸1に平行に配置された従動軸2とを備え、駆動軸1上には駆動プーリ3が、また従動軸2上には従動プーリ4がそれぞれ設けられている。これら駆動及び従動プーリ3,4は、図示しないが、いずれも各軸1,2上に回転一体にかつ摺動不能に固定された固定シーブと、各軸1,2上に摺動可能に支持され、固定シーブとの間に断面V字状のベルト溝を形成する可動シーブとを有する変速プーリ(Vプーリ)からなり、可動シーブを固定シーブに対し接離することでプーリ3,4でのベルト巻付け径を可変としている。
【0017】
上記駆動及び従動プーリ3,4のベルト溝間にはブロックタイプの高負荷伝動用Vベルト10が巻き掛けられており、駆動プーリ3の回転をVベルト10を介して従動プーリ4に伝達するとともに、両プーリ3,4のベルト巻付け径を互いに逆方向に変えて変速し、図3(a)に示すように、駆動プーリ3の巻付け径を従動プーリ4よりも大きくしたときには増速状態とし、逆に、図3(b)に示す如く、駆動プーリ3の巻付け径を従動プーリ4よりも小さくしたときには減速状態とする。
【0018】
また、上記駆動及び従動プーリ3,4間には、上記Vベルト10を上面(背面)から押圧してベルト10に張力を付与する平プーリからなるテンションプーリ6(背面プーリ)が配置されている。そして、Vベルト10は、上記駆動及び従動プーリ3,4に対し、ベルト10の下面(内面)の曲げ径が上面よりも小さくなるように正曲げ状態で巻き付けられるのに対し、テンションプーリ6には、ベルト10の上面で当接して該上面の曲げ径が下面よりも小さくなるように逆曲げ状態(図4又は図5参照)により巻き付けられる。
【0019】
上記Vベルト10は、図1及び図2に拡大して示すように、左右1対のエンドレスの張力帯11,11と、この張力帯11,11にベルト長手方向に連続的に一定のピッチで係合固定された多数のブロック17,17,…とからなる。各張力帯11は、硬質ゴムからなる保形層11aの内部にアラミド繊維等の高強度高弾性率の複数の心線11b,11b,…(心体)がスパイラル状に配置されて埋設されたもので、この各張力帯11の上面には各ブロック17に対応してベルト幅方向に延びる一定ピッチの上側被噛合部としての溝状の上側凹部12,12,…が、また下面には上記上側凹部12,12,…に対応してベルト幅方向に延びる一定ピッチの下側被噛合部としての溝状の下側凹部13,13,…がそれぞれ形成されている。また、張力帯11の上下表面には、その耐摩耗性を向上させる等の目的で帆布14,14が接着されている。
【0020】
上記保形層11aをなす硬質ゴムは、例えばメタクリル酸亜鉛を強化されたH−NBRゴムに、さらにアラミド繊維、ナイロン繊維等の短繊維を強化することで、耐熱性に優れかつ永久変形し難い硬質ゴムが用いられる。この硬質ゴムの硬さは、JIS−C硬度計で測定したときに75°以上のゴム硬度が必要である。
【0021】
一方、各ブロック17は、ベルト幅方向左右側部に上記各張力帯11を幅方向から着脱可能に嵌装せしめる切欠き溝状の嵌合部18,18を有する。この各嵌合部18を除いた左右側面は上記駆動及び従動プーリ3,4のベルト溝側面に接触する接触部21,21に構成され、このブロック17の左右の接触部21,21同士がなすベルト角度は、プーリ3,4のベルト溝側面の角度と同じとされている。そして、各ブロック17は、ベルト幅方向(左右方向)に延びる上側及び下側ビーム17a,17bと、該両ビーム17a,17bの左右中央部同士を上下に接続するピラー17cとからなる略H字状のものに形成されており、各ブロック17の嵌合部18,18にそれぞれ張力帯11,11を圧入して嵌合することで、ブロック17,17,…が張力帯11,11にベルト長手方向に連続的に固定されている。
【0022】
すなわち、上記各ブロック17における各嵌合部18の上壁面には上記張力帯11上面の各上側凹部12に噛合する上側噛合部としての凸条からなる上側凸部19が、また嵌合部18の下壁面には張力帯11下面の各下側凹部13に噛合する下側噛合部としての凸条からなる下側凸部20がそれぞれ互いに平行に配置されて形成されており、この各ブロック17の上下の凸部19,20をそれぞれ張力帯11の上下の凹部12,13に噛合せしめることで、ブロック17,17,…を張力帯11,11にベルト長手方向に圧入により係合固定し、この係合状態で各張力帯11の外側側面と各ブロック17の側面である接触部21との双方が駆動又は従動プーリ3,4のベルト溝側面に接触するとともに、ブロック17の上下の凸部19,20(噛合部)と各張力帯11の上下の凹部12,13(被噛合部)との噛合によって動力授受が行われるようになされている。
【0023】
上記各ブロック17は、硬質樹脂中にそれよりも高い弾性率材料である軽量アルミニウム合金等の補強材22をブロック17の略中央部に位置するように埋め込んでなり、この補強材22は、各ブロック17と同様に略H字状のものに形成されている。このことで、ブロック17は、嵌合部18の周囲部分及び接触部21,21を形成する硬質樹脂部と、残りの部分を形成する補強材22とで構成されている。尚、補強材22は、嵌合部18の周囲部分と左右側面の接触部21,21(プーリ3,4のベルト溝側面との摺動接触部分)とにおいてブロック17表面に顕れないようにしておけばよく、その他の部分ではブロック17表面に露出していてもよい。
【0024】
図1に示すように、上記各ブロック17の略下半部、つまりブロック17の上下中央部から下端部までの部分は、ベルト長さ方向(図1で左右方向)に沿った寸法である厚さが下端に向かって次第に小さくなるようにテーパ角θ1で傾斜した先細りテーパ状に形成されており、駆動及び従動プーリ3,4にVベルト10が正曲げ状態で巻き付けられたときに、隣接するブロック17,17の下端部同士が互いに接触により干渉しないようにしている。
【0025】
一方、各ブロック17の略上半部、つまりブロック17の上下中央部から上端部17dまでの部分についても、厚さが上端に向かって次第に小さくなるようにテーパ角θ2で傾斜した先細りテーパ状に形成されている。
【0026】
そして、上記各ブロック17の上端部17dの厚さtは、図4に示すように、Vベルト10が上記テンションプーリ6に対しベルト10上面(背面)で当接して逆曲げ状態となって巻き付いたときに、隣接する両ブロック17,17の上端部17d,17d同士が互いに接触するように設定されている。
【0027】
具体的には、上記隣接する両ブロック17,17のピッチをp、テンションプーリ6のピッチラインLpでのピッチ径をr(単位:mm)、同テンションプーリ6の外径をr0(単位:mm)としたとき、補正係数αを−2≦α≦2(単位:mm)として、各ブロック17の上端部17dの厚さt(単位:mm)は、
t=p(r0+α)/(r+α)
に設定される。
【0028】
したがって、この実施形態においては、無段変速機Tの運転中、駆動及び従動プーリ3,4間でVベルト10が走行し、このVベルト10を介して駆動プーリ3の回転が従動プーリ4に伝達されるとともに、両プーリ3,4のベルト巻付け径を変えて駆動軸1及び従動軸1の間の速比が切り換えられる。また、上記Vベルト10は上面(背面)にてテンションプーリ6により押圧され、このことでベルト10に張力が付与される。
【0029】
そして、上記Vベルト10の走行中、上記テンションプーリ6にVベルト10が入る入口側と、Vベルト10がテンションプーリ6から出る出口側とで各ブロック17の重心回りの角加速度が急激に変化するために、各ブロック17に捩りモーメントが発生し、この捩りモーメントによりブロック17が揺動しようとする。
【0030】
しかし、図4に示すように、テンションプーリ6の外周面上では、ベルト10の隣接するブロック17,17の上端部17d,17d同士が互いに接触して干渉した状態となるので、この隣接ブロック17との干渉によってブロック17の揺動が抑制されることとなる。このため、このブロック17の揺動に伴う各張力帯11の心線11bの局所的な曲げ応力が小さくなり、その張力帯11の耐屈曲疲労性を向上維持することができる。
【0031】
因みに、図4は上記式での補正係数αがα=0の場合を示しており、テンションプーリ6の外周面上でベルト10のブロック17,17,…の上端部17d,17d,…同士が互いに接触している。これに対し、図5は補正係数αがα=−5の場合を示しており、テンションプーリ6の外周面上ではベルト10のブロック17,17,…の上端部17d,17d,…同士は互いに接触せずに隙間が生じている。
【0032】
尚、上記実施形態では、張力帯11の上面に被噛合部としての上側凹部12を、また各ブロック17の嵌合部18の上面に上記張力帯11の上側凹部12に噛合する噛合部としての上側凸部19をそれぞれ形成しているが、その他、例えば張力帯11の上面に被噛合部としての上側凸部を、また各ブロック17の嵌合部18の上面に張力帯11上面の上側凸部に噛合する噛合部としての上側凹部をそれぞれ設けてもよい。さらに、張力帯11の下面に被噛合部としての下側凸部を、また各ブロック17の嵌合部18の下面に張力帯11下面の下側凸部に噛合する噛合部としての下側凹部をそれぞれ設けることもできる。
【0033】
また、上記実施形態では、ベルト伝動装置として無段変速機Tを説明しているが、本発明は、上記の如き無段変速機T以外の他のベルト伝動装置にも適用できるのはいうまでもない。
【0034】
【実施例】
次に、具体的に実施した実施例について説明する。上記実施形態と同様の構成の無段変速機Tに用いられた高負荷伝動用Vベルト10に対し、その各ブロック17の上端部17dの厚さtを設定するための補正係数αを変えたときの張力帯11の心線11bの最大曲げ応力を調べたところ、図6に示す結果が得られた。
【0035】
この結果から、補正係数αを−2≦α≦2(単位:mm)とすれば、張力帯11の心線11bの最大曲げ応力が小さくなり、有効な効果が得られることが判る。
【0036】
また、補正係数αがα=0であるときの本発明例(図4参照)と、α=−5であるときの比較例(図5参照)との各々について、Vベルト10を逆曲げ状態で屈曲させたときの屈曲サイクル数と、張力帯11の強力残存率との関係を試験した。
【0037】
その試験装置としては、図8に示すように、プーリ径147mmの定速プーリからなる駆動プーリ33と、プーリ径65.5mmの定速プーリからなる従動プーリ34との間にVベルト10を巻き掛け、駆動及び従動プーリ33,34間に、上記Vベルト10を上面(背面)から押圧してベルト10に張力を付与するプーリ径80mmの平プーリからなるアイドラプーリ36(背面プーリ)を配置した3軸逆曲げレイアウトのものである。また、駆動プーリ33の入力トルクを80N・mとし、その入力回転数を4547rpmとした(ベルト10の走行速度は略35m/sである)。また、アイドラプーリ36によるVベルト10の押圧力を500Nとし、Vベルト10の最大張力は2800Nとした。その結果を図7に示す。
【0038】
この試験結果を考察するに、比較例では試験の初期に張力帯11の強力残存率が100%であったのが、屈曲サイクル数が増加するのに伴い、張力帯強力残存率が大きく低下している。これに対し、本発明例では、屈曲サイクル数の増加に伴う張力帯強力残存率の100%からの低下度合が比較例に比して小さい。このことから、本発明の効果が有効であることが裏付けられた。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1、2又は3の発明によると、ブロックタイプの高負荷伝動用Vベルトにおける各ブロックの上部を、厚さが上端に向かって次第に小さくなる先細りテーパ状に設け、この各ブロックの上端部の厚さを、ベルトが平プーリからなる背面プーリに対しブロック上面で当接して逆曲げ状態となって巻き付けられたときのみに、隣接ブロックの上端部同士がブロック上面を背面プーリに当接させた状態で互いに接触するように設定したことにより、ベルトの走行時に背面プーリの入口側及び出口側で各ブロックが、その重心回りの角加速度の急激な変化による捩りモーメントに起因して揺動しようとするのを、隣接するブロックの上端部同士の接触による積極的な干渉によって抑制でき、張力帯の心線の局所的な曲げ応力を低減して張力帯の耐屈曲疲労性が向上維持でき、延いては高負荷伝動用Vベルトの高寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る高負荷伝動用Vベルトの要部を拡大して示す側面図である。
【図2】 高負荷伝動用Vベルトの一部分を示す斜視図である。
【図3】 本発明の実施形態に係る無段変速機を概略的に示す図である。
【図4】 隣接するブロックの上端部同士が接触してベルトがテンションプーリに巻き付いた状態(α=0のとき)を示す側面図である。
【図5】 隣接するブロックの上端部が離れてベルトがテンションプーリに巻き付いた状態(α=−5のとき)を示す図4相当図である。
【図6】 補正係数を変えたときに張力帯の心線の最大曲げ応力が変化する状態を示す特性図である。
【図7】 ベルトを逆曲げ状態で屈曲させたときに屈曲サイクル数と張力帯の強力残存率との関係を示す特性図である。
【図8】 ベルトを逆曲げ状態で屈曲させたときに屈曲サイクル数と張力帯の強力残存率との関係を試験するための試験装置の概略図である。
【符号の説明】
T 無段変速機(ベルト伝動装置)
3 駆動プーリ
4 従動プーリ
6 テンションプーリ(背面プーリ)
10 高負荷伝動用Vベルト
11 張力帯
11b 心線
12 上側凹部(上側被噛合部)
13 下側凹部(下側被噛合部)
17 ブロック
17d 上端部
18 嵌合部
19 上側凸部(上側噛合部)
20 下側凸部(下側噛合部)
21 接触部
Claims (3)
- ベルト背面側の上面及び底面側の下面にそれぞれベルト長さ方向に並ぶ多数の上側被噛合部及び下側被噛合部が上下に対応して設けられたエンドレスの張力帯と、
上記張力帯が圧入して嵌合される嵌合部を有し、該嵌合部の上面に張力帯の上側被噛合部と噛合する上側噛合部が、また下面に張力帯の下側被噛合部と噛合する下側噛合部がそれぞれ形成され、ベルト幅方向の側面にVプーリのベルト溝側面と接触する接触部が設けられた多数のブロックとを備え、
上記各ブロックの嵌合部に張力帯を嵌合することにより、各ブロックが張力帯に対しベルトの幅方向側面におけるブロック側面の接触部と張力帯側面との両方がVプーリのベルト溝側面と接触するように係合固定され、ブロックの噛合部と張力帯の被噛合部との噛合によって動力授受が行われる高負荷伝動用Vベルトであって、
上記各ブロックの上部は、厚さが上端に向かって次第に小さくなる先細りテーパ状に設けられており、
背面プーリに対しブロックの上面で当接して該背面プーリに沿って逆曲げ状態で巻き付けられたときのみに、隣接するブロックの上端部同士がブロック上面を背面プーリに当接させた状態で互いに接触して干渉するよう、上記隣接するブロックのピッチをp、ベルトがベルト上面で当接して逆曲げ状態となって巻き付けられる平プーリからなる背面プーリのピッチ径をr(単位:mm)、背面プーリの外径をr0(単位:mm)としたとき、各ブロックの上端部の厚さt(単位:mm)は、
t=p(r0+α)/(r+α)
但し、−2≦α≦2(単位:mm)
にあることを特徴とする高負荷伝動用Vベルト。 - ベルト背面側の上面及び底面側の下面にそれぞれベルト長さ方向に並ぶ多数の上側被噛合部及び下側被噛合部が上下に対応して設けられたエンドレスの張力帯と、該張力帯が圧入して嵌合される嵌合部を有し、該嵌合部の上面に張力帯の上側被噛合部と噛合する上側噛合部が、また下面に張力帯の下側被噛合部と噛合する下側噛合部がそれぞれ形成され、ベルト幅方向の側面にVプーリのベルト溝側面と接触する接触部が設けられた多数のブロックとを備え、上記各ブロックの嵌合部に張力帯を嵌合することにより、各ブロックが張力帯に対しベルトの幅方向側面におけるブロック側面の接触部と張力帯側面との両方がVプーリのベルト溝側面と接触するように係合固定され、ブロックの噛合部と張力帯の被噛合部との噛合によって動力授受が行われる高負荷伝動用Vベルトと、
上記ベルトがベルト上面で当接して逆曲げ状態となって巻き付けられる平プーリからなる背面プーリとを組み合わせてなるベルト伝動装置であって、
上記ベルトの各ブロックの上部は、厚さが上端に向かって次第に小さくなる先細りテーパ状に設けられており、
上記ベルトが上記背面プーリに対しブロックの上面で当接して該背面プーリに沿って逆曲げ状態で巻き付けられたときのみに、隣接するブロックの上端部同士がブロック上面を背面プーリに当接させた状態で互いに接触して干渉するよう、上記隣接するブロックのピッチをp、背面プーリのピッチ径をr(単位:mm)、背面プーリの外径をr0(単位:mm)としたとき、各ブロックの上端部の厚さt(単位:mm)は、
t=p(r0+α)/(r+α)
但し、−2≦α≦2(単位:mm)
にあることを特徴とするベルト伝動装置。 - ベルト背面側の上面及び底面側の下面にそれぞれベルト長さ方向に並ぶ多数の上側被噛合部及び下側被噛合部が上下に対応して設けられたエンドレスの張力帯と、該張力帯が圧入して嵌合される嵌合部を有し、該嵌合部の上面に張力帯の上側被噛合部と噛合する上側噛合部が、また下面に張力帯の下側被噛合部と噛合する下側噛合部がそれぞれ形成され、ベルト幅方向の側面にVプーリのベルト溝側面と接触する接触部が設けられた多数のブロックとを備え、上記各ブロックの嵌合部に張力帯を嵌合することにより、各ブロックが張力帯に対しベルトの幅方向側面におけるブロック側面の接触部と張力帯側面との両方がVプーリのベルト溝側面と接触するように係合固定され、ブロックの噛合部と張力帯の被噛合部との噛合によって動力授受が行われる高負荷伝動用Vベルトと、
上記ベルトがベルト上面で当接して逆曲げ状態となって巻き付けられる平プーリからなる背面プーリとを組み合わせてなるベルト伝動装置であって、
上記ベルトの各ブロックの上部は、厚さが上端に向かって次第に小さくなる先細りテーパ状に設けられており、
上記各ブロックの上端部の厚さは、ベルトが上記背面プーリに対しブロックの上面で当接して該背面プーリに沿って逆曲げ状態で巻き付けられたときのみに、隣接するブロックの上端部同士がブロック上面を背面プーリに当接させた状態で互いに接触して干渉するように設定されていることを特徴とするベルト伝動装置。
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