JP3686588B2 - 光ファイバひずみ計測方法及びその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバひずみ計測方法及びその装置に関し、より詳細には、光ファイバをセンサとして用い、その長さ方向についてひずみを連続的に計測する光ファイバひずみ計測方法及びその装置に関する。より具体的には、コンクリートや鉄鋼構造物、地盤などの計測対象にセンシング用の光ファイバを固定して、計測対象に生じているひずみをそれに固定されているセンシング用光ファイバで計測するのに適用される。
【0002】
【従来の技術】
現在、ひずみの計測に一般的に用いられているのはひずみケージである。ひずみゲージは、空間分解能が数mmから数cm程度のゲージ長と同程度と高く、簡単に局所的なひずみを高精度に計測することができる利点がある。しかしながら、以下のような欠点がある。1)計測はゲージが取り付けられた離散点であり、連続した計測には多くのゲージを密に取り付ける必要がある。2)信号線を兼ねた電力線を介してゲージに給電する必要があり、多点計測ではその電力線の取り扱いが煩雑である。3)落雷などの電磁雑音の影響を受けるなどの欠点がある。これに対して、光ファイバひずみ計測方法では、光ファイバに沿って連続的に数kmから数10kmにわたる長距離計測が可能であるとともに、上述した電磁雑音の影響を受けない利点がある。
【0003】
このようにひずみゲージは、注目すべきひずみの発生位置が既知あるいは予想可能であり、かつ計測範囲が狭い場合に適しており、また光ファイバひずみ計測技術はひずみ発生位置が未知であったり、広範囲の計測が要求される場合に適している。
【0004】
このような特徴から、光ファイバひずみ計測技術は、トンネルなどの大型構造物や堤防などの土木構造物への適用が期待され、最近ではその適用可能性が、道路橋脚支持用杭などの大型コンクリート構造物に対するひずみ計測(H. Naruse,“Distributed fiber optic sensors using Brillouin scattering and their application, ”in Proceedings of OFMC99, pp. 100-105, 1999.)、河川堤防の崩壊検知(H. Naruse, Y. Uchiyama, T. Kurashima, and S. Unno,“River levee change detection using distributed fiber optic strain sensor, ”IEICE Trans. Electron., vol. E83-C, no. 3, pp. 462-467, 2000.)への実験を通して実証されている。
【0005】
また最近では、アメリカズカップ艇の船体損傷検出にも適用されている(H. Murayama, K. Kageyama, I. Kimpara, A. Shimada, and H. Naruse,“Structural health monitoring of IACC yachts using fiber optic distributed strain sensors: a technical challenge for America's cup 2000, ”SPIE's 7th Annual International Symposium on Smart Structures and Materials, vol. 3896, pp. 312-323, 2000.)。
【0006】
従来の光ファイバひずみ計測装置の一例として、光ファイバ歪測定装置(特願平8−243760号、光ファイバ歪測定装置)について説明する。
図1は、この光ファイバ歪測定装置を示すブロック図で、図中符号1は光源、2は光分岐器、3は光周波数シフタ、4はパルス化装置、5は光方向性結合器、6は光合波器、7は光検出器、8は信号処理部、10〜17は光ファイバ、18は信号線である。
【0007】
光源1は一定の光周波数の連続光を発生するもので、単一波長の連続光を出射する光源である。光分岐器2は発生された連続光を信号光と参照光とに分岐するもので、入射端が光源1と光ファイバ11によって接続され、光源1から出射された連続光を2つの出射端に出射するものである。光分岐器2から出射される一方の分岐光を信号光と呼び、もう一方の分岐光を参照光と呼ぶ。
【0008】
光周波数シフタ3は、光ファイバ内で発生する微弱なブリルアン散乱光のパワーを高感度に検出するために、後述する光検出器7でコヒーレント検波を行うために挿入されているもので、その入射端は光分岐器2の一方の出射端と光ファイバ12で接続されている。この光周波数シフタ3は、入射される信号光の光周波数を後述のブリルアン周波数シフト分だけシフトさせる。
【0009】
パルス化装置4は、連続した信号光をパルス光に変換するものであり、その入射端と光周波数シフタ3の出射端とは光ファイバ13で接続されている。このパルス化装置4は、入射光を時間領域において電界包絡線が矩形波になる振幅変調を行い、時間幅10ns〜1μs程度のパルス光に変換する。
【0010】
光方向性結合器5は、パルス光をセンシング用光ファイバ10に入射するとともに光ファイバ10で発生したブリルアン散乱光を出射するものであり、入射端と入出射端と出射端とを有し、入射端から入射された光を入出射端から出射し、入出射端から入射された光を出射端から出射する。光方向性結合器5の入射端は、パルス化装置4と光ファイバ14で接続され、パルス光が入射される。光方向性結合器5から出射されたパルス光は、センシング用光ファイバ10に入射される。この出射されたパルス光によりセンシング用光ファイバ10内で生じた後方散乱光が、この入出射端に入射する。
【0011】
光合波器6は、出射されたブリルアン散乱光と参考光とを合波するものであり、2つの入射端と1つの出射端を有する。この光合波器6の一方の入射端と前述した光分岐器2の出射端とは光ファイバ15によって接続され、もう一方の入射端と光方向性結合器5の出射端とが光ファイバ16で接続されている。これにより光合波器6には、センシング用光ファイバ10から出射される後方散乱光と、光分岐器2から出射される参照光とが入射され、ここでこれらは合波される。
【0012】
光検出器7は、合波光を検出して電気信号に変換しブリルアン散乱光のパワーを計測してそのスペクトルを得るものであり、入射光に対して検波を行い、この入射光パワーを電力に変換して出力する。光検出器7の入射端は、光合波器6の出射端と光ファイバ17で接続されている。
【0013】
信号処理部8は、得られた散乱光パワースペクトルに対して演算処理を行うためのものであり、検出された散乱光パワーに演算処理を行い、センシング用光ファイバ10に生じたひずみを求める。
【0014】
このような構成において、光源1から出射された連続光は光分岐器2に入射され、信号光と参照光とに分岐される。この信号光は光周波数シフタ3に入射され、光周波数がシフトされる。光周波数シフタ3より出射された光はパルス化装置4に入射され、時間幅が10ns〜1μs程度のパルス光に変換される。パルス化装置4から出射されたパルス光は、光方向性結合器5を通過してセンシング用光ファイバ10に入射される。
【0015】
パルス光がセンシング用光ファイバ10に入射されると、このセンシング用光ファイバ10中でレイリー散乱やブリルアン散乱を受け、後方散乱光が生じる。この後方散乱光は光方向性結合器5と光ファイバ16を介して光合波器6の一方の入射端に入射される。前述した光分岐器2から出射された参照光は、光ファイバ15を介して光合波器6へ入射され、前述した後方散乱光と合波される。光合波器6から出射される合波光は、光検出器7に入射されて検波され、受信されたパワーに対応した検出信号が光検出器7から信号処理部8に出力される。
【0016】
ブリルアン散乱光は、物質に入射した光が物質中を伝搬する際に、物質に屈折率の周期的変化を起こしながら散乱されて入射端に戻る光であり、上述した装置を用いるとブリルアン後方散乱光のパワーP(z,ν) は次のように与えられる。
【0017】
【数1】
Figure 0003686588
【0018】
ここで、zは光ファイバに沿ったパルス光入射端からの距離、νはブリルアン後方散乱光の光周波数、cは真空中での光速、nは光ファイバの屈折率、Pは入射パルス光の全パワー、αは光ファイバの減衰係数である。g(ν, ν) はブリルアン利得スペクトルであり、式(2)で表わされるローレンツ関数で与えられる。また、その形状はzに依存しなと仮定している。νはg(ν,ν) がピークパワーhとなるときの光周波数であり、wはg(ν, ν) の半値全幅である。p12、λ、ρ、vはそれぞれ光ファイバの光弾性係数、入射光の波長、光ファイバの密度、光ファイバ中での音速である。tはパルス光を入射してからその散乱光が検出されるまでの時間である。
【0019】
光周波数がfのパルス光を入射し、それによってピークパワー周波数がνのブリルアン散乱光が生じたとする。この差s(=f−ν)はブリルアン周波数シフトと呼ばれ、次式で与えられる。
【0020】
【数2】
=2n0vA/λ (5)
【0021】
ただしv
【0022】
【数3】
Figure 0003686588
【0023】
で与えられる。ここで、Eはヤング率、κはポアソン比である。光ファイバにひずみが発生すると、式(6)の関係にしたがって、vが変化し、その結果式(5)のsも変化する。したがって、fを一定に保つと、ひずみの変化に応じてνが変化することになる。このνの変化は、光ファイバに作用している応力によって生じるひずみの大きさと比例関係があることが見出されている(T. Horiguchi, T. Kurashima, and M. Tateda.“Tensile strain dependence of Brillouin frequency shift in silica optical fibets,”IEEE Photonics Technol. Lett., vol. 1, no. 5, pp. 107-108, 1989.)。
【0024】
そこで、予め、ひずみεの変化Δεと、ブリルアン散乱光パワースペクトルのピークパワー周波数νの変化Δνとの関係を求めておくことにより、得られたνの値からひずみεを求めることができる。ひずみの計測点、すなわちセンシング用光ファイバ10の入射端からの距離zは、パルス光を光ファイバに入射してからブリルアン散乱光を検出するまでの時間tから式(4)より求められる。また空間分解能Δzは、光ファイバに入射するパルス光の幅をτとすると、Δz=cτ/(2n)で与えられる。このようにブリルアン散乱光を利用したひずみ計測技術では、ひずみは散乱光のパワースペクトルのピークパワー周波数νから間接的に求められるので、ひずみ計測精度を向上させるためには、ピークパワー周波数νを高精度に決定しなければならない。
【0025】
次に、図2を参照しながら、具体的にこれまでに提案されたνの算出方法について説明する。
第1工程は、センシング用光ファイバに沿った各計測点について、光周波数を変数として解析を行うための準備をする工程であり、各計測点について光周波数を変数として、計測されたブリルアン散乱光のパワーをソートする工程である。
【0026】
前述したように従来の装置では、光周波数を固定してパルス光を入射し、そのブリルアン散乱光のパワーを計測する。そして次に光周波数をある所定量だけ変化させて再び光周波数を固定し、散乱光パワーを計測することを繰り返す。この処理によって各光周波数について計測点を変数としたパワーが得られるので、これをもとに各計測点毎に、光周波数を変数としたパワーのデータを得る。以下ではこの工程をソートとよぶ。より具体的には、i番目の計測点までの距離をz(i=1〜I、Iは全計測点数)、j番目の光周波数をν(j=1〜J、Jは全計測周波数点数)、その時のパワーの計測値を
【0027】
【外1】
Figure 0003686588
【0028】
とすると、まずνを所定の光周波数値にセットし、zを変化させて
【0029】
【外2】
Figure 0003686588
【0030】
を計測し、zまでの計測が終わったところでνを次の光周波数へと変化させνまで計測を行っていく。
【0031】
本工程では、あるzを選択して固定し、νについて
【0032】
【外3】
Figure 0003686588
【0033】
をソートする工程である。その結果得られた
【0034】
【外4】
Figure 0003686588
【0035】
は、同一のzを有しνを変数としてソートされたものであること、また各zについて独立に処理がなされることから、表記を簡単化するために以下ではこれを
【0036】
【外5】
Figure 0003686588
【0037】
と書くこととする。
【0038】
第2工程は、第1工程において得られたパワー
【0039】
【外6】
Figure 0003686588
【0040】
から、前述のブリルアン散乱光のピークパワーを与えるピークパワー周波数νを算出する工程である。式(2)はνについての非線形関数であるため、解析解は得られない。そこで、以下のように線形化して解く方法が提案されている(C. N. Pannell, J. Dhliwayo, D. J. Webb, “How to estimate the accuracy of a Brillouin distributed temperature sensor, ”in Proceedings of OFS'97, pp. 524-527, 1997.)。この方法では、式(2)の逆数をとることによってνについての2次関数と考え、評価関数Eとして
【0041】
【数4】
Figure 0003686588
【0042】
を考える。ここで、係数a,a,aはそれぞれ、
【0043】
【数5】
Figure 0003686588
【0044】
であり、Wは逆数をとったことによる変化を避けるための重み、σはパワーの計測値に含まれるノイズの標準偏差である。また計測値の全体に対してあてはめ計算を行うのではなく、通常はあるしきい値を設定しそれ以上の値を有するピークパワー周波数近傍に対してあてはめ計算を行うので、その計算に用いる部分をあらためてj(=1〜J)で表わす。簡単のためにσが一定であるとすると、(9),(10)よりνは、
【0045】
【数6】
Figure 0003686588
【0046】
と求められる。式(7)を最小化する条件から、最小2乗法を用いてa,aを求め、この結果を式(11)に代入することによりνを算出する。
【0047】
第3工程は光ファイバに沿った求めるべき全ての計測点について第2工程を繰り返す工程である。すなわち、z変化させながら
【0048】
【外7】
Figure 0003686588
【0049】
から
【0050】
【外8】
Figure 0003686588
【0051】
を得て、zまで第2工程を繰り返す工程である。
【0052】
以上説明した方法では、入射光のパルス幅が十分に長く、散乱光のパワースペクトルが式(2)で表されるローレンツ関数で与えられる場合が想定されている。しかし、空間分解能を上げるために入射パルス幅を短くしていくと、散乱光のパワースペクトルはローレンツ関数とは異なり、パワーが広範囲に分布するようになることが実験的に確認されている(A. Fellay, L. Thevenaz, M. Facchini, M.Nikles, and P. A. Robert,“Distributed sensing using stimulated Brillouin scattering : towards ultimate resolution,”in Proceedings of OFS'97, pp. 324-327, 1997.)。
【0053】
また、このパワースペクトルの広がりは理論的にも示されており、その結果としてパルス幅が10ns程度以下になると、ピークパワー周波数νの決定精度すなわちひずみ計測精度がパルス幅に逆比例して急激に劣化することも明らかにされている(H. Naruse, and M. Tateda, “Trade-off between the spatial and frequency resolution in measuring the power spectrum of the Brillouin backscattered light in an optical fiber,”Appl. Opt., vol. 38, no. 31, pp. 6516-6521, 1999.)。
【0054】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ひずみの計測に最適な入射パルス光の強度形状を提供するとともに、その入射パルス光を用いて計測されたブリルアン散乱光のパワースペクトルに対して、そのピークパワー周波数を精度良く決定する光ファイバひずみ計測方法及びその装置を提供することにある。
【0055】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、光ファイバに発生している長さ方向のひずみを求める光ファイバひずみ計測方法において、一定の光周波数の連続光を信号光と参照光とに分岐する第1の工程と、該分岐された信号光を、任意の1つの光周波数をもち、パルスの半値全幅とパルスの立ち上がり時間とパルスの立下り時間のそれぞれが等しい三角形入射パルス光に変換する第2の工程と、前記三角形入射パルス光を前記光ファイバに入射させる第3の工程と、前記光ファイバにおいて発生したブリルアン後方散乱光と前記分岐された参照光とを合波し、該合波光を検出して電気信号に変換して、前記任意の1つの光周波数におけるブリルアン後方散乱のパワーの計測値を、前記光ファイバに沿った各計測点を変数として計測する第4の工程と、前記任意の1つの光周波数は所定の間隔の複数の光周波数の1つであり、前記第2の工程は、前記信号光を、前記所定の間隔の複数の光周波数の1つをもち、パルスの半値全幅とパルスの立ち上がり時間とパルスの立下り時間のそれぞれが等しい三角形入射パルス光に変換し、前記所定の間隔の複数の光周波数の全ての光周波数について、第2〜第4の工程を行うことにより、前記所定の間隔の複数の光周波数毎に前記各計測点におけるブルリアン後方散乱のパワーの計測値を得る第5の工程と、該得られた前記所定の間隔の複数の光周波数毎の前記各計測点におけるブルリアン後方散乱のパワーの計測値から、前記各計測点毎に、前記所定の間隔の複数の光周波数の各々を変数として前記ブルリアン後方散乱のパワーの計測値を並べる第6の工程と、前記各計測点の1つの計測点について、前記所定の間隔の複数の光周波数の各々を変数として並べられたブルリアン後方散乱のパワーの計測値を多項式で近似し、該多項式の近似によって得られた関数により、ピークパワー周波数を算出する第7の工程と、前記光ファイバに沿って求めるべき全ての計測点のデータについて前記第7工程を繰り返す第8の工程とを有することを特徴とするものである。
【0056】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第7の工程では、前記各計測点の1つの計測点における、前記多項式の近似によって得られた関数と前記所定の間隔の複数の光周波数の1つの光周波数についてのブリルアン後方散乱のパワーの計測値により表された関係式の係数を最小2乗法により求め、該求められた係数により前記ピークパワー周波数を算出することを特徴とするものである。
【0057】
また、請求項3に記載の発明は、光ファイバに発生している長さ方向のひずみを求める光ファイバひずみ計測装置において、一定の光周波数の連続光を発生させる発光手段と、該発光手段により発生された連続光を信号光と参照光とに分岐する分岐手段と、該分岐手段により分岐された信号光を、任意の1つの光周波数をもち、パルスの半値全幅とパルスの立ち上がり時間とパルスの立下り時間のそれぞれが等しい三角形入射パルス光に変換する光変換手段と、該光変換手段により変換された三角形入射パルス光を前記光ファイバに入射するとともに、該光ファイバで発生したブリルアン後方散乱光を出射する光結合手段と、該光結合手段により出射されたブリルアン後方散乱光と前記分岐手段によって分岐された参照光とを合波する合波手段と、該合波手段による合波光を検出して電気信号に変換し、前記任意の1つの光周波数におけるブリルアン後方散乱のパワーの計測値を、前記光ファイバに沿った各計測点を変数として計測する計測手段と前記任意の1つの光周波数は所定の間隔の複数の光周波数の1つであり、前記光変換手段により、前記信号光を、前記所定の間隔の複数の光周波数の1つをもち、パルスの半値全幅とパルスの立ち上がり時間とパルスの立下り時間のそれぞれが等しい三角形入射パルス光に変換して、前記計測を前記所定の間隔の複数の光周波数の全ての光周波数について行い、前記所定の間隔の複数の光周波数毎に前記各計測点におけるブルリアン後方散乱のパワーの計測値を得る手段と、該得られた前記所定の間隔の複数の光周波数毎の前記各計測点におけるブルリアン後方散乱のパワーの計測値から、前記各計測点毎に、前記所定の間隔の複数の光周波数の各々を変数として前記ブルリアン後方散乱のパワーの計測値を並べる手段と、前記各計測点の1つの計測点について、前記所定の間隔の複数の光周波数の各々を変数として並べられたブルリアン後方散乱のパワーの計測値を多項式で近似し、該多項式の近似によって得られた関数により、ピークパワー周波数を算出する手段とを備えることを特徴とするものである。
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記算出手段は、前記各計測点の1つの計測点における、前記多項式の近似によって得られた関数と前記所定の間隔の複数の光周波数の1つの光周波数についてのブルリアン後方散乱のパワーの計測値により表された関係式の係数を最小2乗法により求め、該求められた係数により前記ビークパワー周波数を算出することを特徴とするものである。
【0058】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
まず、ひずみ計測に最適な入射光強度のパルス光形状を数値解析によって求め、次に計測されたブリルアン後方散乱光パワーからそのピークパワー周波数を求める方法について説明する。
【0059】
今、時間領域において、図3に示すように強度P(t) が変化する入射パルス光を考える。この場合、P(t) は以下のようにモデル化される。
1);P(t) はt=0に関して対称である。すなわち、P(t) =P(-t)である。
2);パルス光の強度をその最大値で正規化して表す。すなわち、P(0) =1、P(-∞)=P(∞)=0とする。
3);パルス幅を半値全幅τで定義する。すなわち、P(-τ/2) =P( τ/2)=1/2 である。
4);P(t) が0から1に立上がったり、1から0に下がるのに要する時間、すなわち立上がり/下がり時間をΔτとする。Δτ=0は、強度がステップ的に立上がる/下がる矩形パルス光を与える。また、0≦Δτ≦τである。
5);立上がりの場合には、0≦P(t) ≦1/2 を開始区間、1/2 ≦P(t) ≦1を終了区間と呼び、逆に立下がりの場合には、1≧P(t) ≧1/2 を開始区間、1/2 ≧P(t) ≧0を終了区間と呼ぶ。両区間で強度は、(-τ/2,1/2 )または(τ/2,1/2 )に関して点対称とする。
6);開始と終了区間の急峻さをm次べき乗関数(曲率パラメータm)で与える。
7);P(t) は立上がり開始/下がり終了区間では上に凸でなく、立上がり終了/下がり開始区間では下に凸でない、すなわちm≧1とする。m=1はパワーが直線的に立上がる/下がる台形パルス光、m=∞は矩形パルス光を与える。
8);入射光は、図3に示すような振幅変調のみを受けている。
9);パルスの持続時間中、パルスは一定の光周波数fである。
10);パルス光の位相は滑らかに変化し、その強度は非負である。
【0060】
この場合、P(t) は、
【0061】
【数7】
Figure 0003686588
【0062】
で与えられる。ここで、T,Tはそれぞれ立下がり開始、終了時刻であり、
【0063】
【数8】
=(τ−Δτ)/2 (13)
=(τ+Δτ)/2 (14)
【0064】
である。この強度P(t) をもつパルス光の電界E(t) は
【0065】
【数9】
Figure 0003686588
【0066】
で与えられるので、そのパワースペクトルP(f) は、
【0067】
【数10】
Figure 0003686588
【0068】
で求められる。ここで、fは入射光についての光周波数を表わす変数、iは虚数単位である。一例として、τが1、10、100nsの場合について、曲率パラメータmを1、2、3、∞としてパワースペクトルP(β)を算出した結果を図4に示す。
【0069】
図4(a)はr=0.5、(b)はr=1の場合を示している。これらのパラメータβとrは、それぞれ以下の式(17)、(18)で定義される正規化入射光周波数と正規化立上がり/下がり時間である。
【0070】
【数11】
β=(f−f)/(w/2) (17)
r=Δτ/τ (18)
【0071】
ここで、0≦r≦1であり、r=0は矩形パルス光を表す。また本発明では、式(2)のローレンツ関数の半値全幅wの値として、これまでに報告されている平均的な値である30MHzを用いることとする(例えば T. Horiguchi, K. Shimizu, T. Kurashima, M. Tateda, and Y. Koyamada,“Development of a distributed sensing technique using Brillouin scattering,”J. Lightwave Technol., vol. 13, NO. 7, pp. 1296-1303, 1995.)。
【0072】
図4の縦軸は、算出されたそれぞれのパワースペクトルP(β)を、それと同じパルス幅をもつ矩形パルス光のピークパワー
【0073】
【数12】
(0)m=∞
【0074】
で正規化した値である。図4は、mの値が大きくなるにつれて、入射パルス光のピークパワーは減少すること、また、メインローブのすそは広がり、より大きなサイドローブがメインローブからより離れた周波数に形成されていることを示している。前者の効果はr=1の場合、後者の効果はr=0.5の場合により大きい。
【0075】
図5は、入射パルス幅τとピークパワーP(0) との関係を示した図である。図5では、各ピークパワーP(0) を相対量として示した値である。図5より、ピークパワーはいずれのmとrの組み合わせに対してもパルス幅の2乗に比例していると考えることができる、入射光のパルス幅τとそのパワースペクトルの半値全幅Winとの関係を図6に示す。
【0076】
図6の縦軸は、Winをブリルアン利得スペクトルの半値全幅w(=30MHz)で正規化した値である。図6より、Winはτに逆比例することがわかる。したがって、図4、5、6より、入射パルス光パワースペクトルP(β)はパルス幅τが大きい場合には入射光周波数f(β=0)のまわりの狭いプロファイルとなり、逆にτが小さくなると広い周波数に分布することがわかる。パルス幅τが同じであっても、mが大きくなるほどすなわち立上がり/下がりが急峻になるほどP(β)は広がり、矩形パルス光に対するパワースペクトルが最も広がっている。
【0077】
ここで以下の2つのことを仮定して、ブリルアン後方散乱光のパワースペクトルを求める。
1);ポンプ光の消耗がない、すなわち入射パルス光からブリルアン後方散乱光へのエネルギーの伝達量が無視できる。
2);光ファイバ中の多くの散乱点で発生したブリルアン後方散乱光の電界には互いに位相相関がなく、後方散乱光のパワーに関して重ね合わせの原理が成り立つ。別な言い方をすると、他の場所で生じた後方散乱光によるブリルアン利得への影響は無視でき、このブリルアン利得によってスペクトルが狭くなる効果が無視できる。
【0078】
上述の仮定により、ブリルアン後方散乱光の周波数に依存する因子H(ν)は、
【0079】
【数13】
Figure 0003686588
【0080】
で与えられる(H. Naruse, and M. Tateda, “Trade-off between the spatial and frequency resolution in measuring the power spectrum of the Brillouin backscattered light in an optical fiber,”Appl. Opt., vol. 38, no. 31, pp. 6516-6521, 1999.)。ただし、sはブリルアン周波数シフトであり、fとνの差である。正規化立上がり/下がり時間rが0.5と1の場合について、パワー幅τを1、10、100nsとして、急峻さmを変化させながら式(19)より算出したブリルアン後方散乱光のパワースペクトルを図7に示す。図7の横軸αは次式(20)で定義される正規化周波数である。
【0081】
【数14】
α=(ν−ν)/(w/2) (20)
【0082】
図7の縦軸は、正規化ブリルアン後方散乱光パワー
【0083】
【数15】
H(α)/H(0)m=∞
【0084】
である。
ここで
【0085】
【数16】
H(0)m=∞
【0086】
は、矩形パルス光の最大パワーである。いずれのτとrの組み合わせに対しても、m=1の場合にパワースペクトルは最も狭く、ピークパワーが最も大きくなることがわかる。
【0087】
図8は、いろいろな入射パルス形状について計算したブリルアン後方散乱光パワースペクトルのピークパワーH(0)を示す図である。図8より、パルス幅が同じ場合には、三角形パルス光(m=1かつr=1)が最大のピークパワーを与え、mが大きくなるかrが0に近づくにつれてピークパワーが減少し、矩形パルス光(m=∞またはr=0)で最小になることがわかる。また、入射パルス光パワースペクトルのピークパワーP(0)は図5に示したように常にパルス幅τの2乗に比例するのに対し、図8ではτ=1、100ns付近の曲線の傾きはそれぞれほぼ2、1であるため、ブリルアン後方散乱光パワースペクトルのピークパワーH(0)は、パルス幅が短い場合にはτに比例し、長い場合にはτに比例することがわかる。
【0088】
図9は、ブリルアン後方散乱光パワースペクトルの広がりを示している図である。図9の縦軸は、正規化半値全幅W/wである。Wはブリルアン後方散乱光パワースペクトルから数値的に算出した半値全幅の値である。W/wの値は、パワー幅τが数100ns以上ではほぼ1に収束しており、数10nsまでは緩やかに変化し、数ns以下ではτに逆比例して大きくなっていく。また、パルス幅が同じ場合、mが1に近づくにつれてブリルアン後方散乱光パワースペクトルの半値全幅は小さくなる。また、正規化立上り/下がり時間r=1は0.5より狭いスペクトルをつくる。
【0089】
上述したブリルアン後方散乱光パワースペクトルが得られる理由は、次のように考えることができる。ブリルアン利得スペクトルg(ν,ν) は、そのピークパワー周波数νの両側に分布し、そのパワーはνからの周波数差が大きくなるにつれて急峻に減少していく。したがって、入射パルス光パワースペクトルのピークパワー周波数f0近傍にパワーが、主にブリルアン後方散乱光パワースペクトルのピークパワー周波数νにおけるピークパワー形成に寄与することになる。
【0090】
その結果、入射パルス光パワースペクトルが狭い、すなわち入射パルス幅が長い場合には、ブリルアン後方散乱光パワースペクトルの広がりはこの散乱現象に伴う広がりが支配的要因であるため、ブリルアン利得スペクトルの半値全幅wの値を保つ。また、入射パルス幅に比例する入射光パワーは、スペクトルの広がりがほぼ一定のブリルアン後方散乱光を生じさせるので、ブリルアン後方散乱光のピークパワーはパルス幅に比例することになる。それに対して入射パルス光パワースペクトルが広がるすなわち入射パルス幅が短くなると、この入射パルス光パワースペクトルの広がりがブリルアン後方散乱光パワースペクトルの広がりの支配的要因となる。
【0091】
そのため、ブリルアン後方散乱光パワースペクトルは、入射パルス光パワースペクトルが入射パルス幅に逆比例して広がっていくのを反映して、同様に広がっていく。この場合、入射パルス光のパワーはそのピークパワー周波数νを中心にブリルアン利得スペクトルの半値全幅wの数10倍の広い周波数に分布するので、ブリルアン後方散乱光のピークパワーは、入射パルス光ピークパワーが入射パルス幅の2乗に比例することを反映して、パルス幅の2乗に比例して変化する。パルス幅が同じ場合にはmとrが1に近づくにつれて、入射パルス光パワースペクトルはより大きなピークパワーとより急峻なプロファイルを持つために、ブリルアン後方散乱光パワースペクトルのピークパワーは大きくなっていく。
【0092】
上述した解析に基づいて、観測されたブリルアン後方散乱光に重畳しているノイズによって生じるピークパワー周波数計測誤差について見積る。光電変換によって得られる電気信号パワーは、受信光信号パワーの2乗に比例した値であるので、受信光信号パワースペクトルの最大値H(0)を信号H、電気信号パワーに含まれるノイズの2乗平均値をHとすると、信号対雑音比SNRは(H/Hで与えられる。
【0093】
ピークパワー周波数近傍において、ブリルアン後方散乱光パワースペクトルH(α)が2次関数で近似でき、H(α)+Hの最大値がα=Δα(≠0)で観測されたとする。この場合、ピークパワー周波数計測誤差Δαは、
【0094】
【数17】
Δα=1/{K(SNR)1/4} (21)
【0095】
で与えられる(H. Naruse, and M. Tateda, “Trade-off between the spatial and frequency resolution in measuring the power spectrum of the Brillouin backscattered light in an optical fiber,”Appl. Opt., vol. 38, no. 31, pp. 6516-6521, 1999.)。ここでKは、パルス幅τ、立上がり/下がり時間Δτ、急峻さmによって決まる定数である。
【0096】
いろいろなパルス形状について数値的にΔαを求めることによって、ブリルアン後方散乱光パワースペクトルのピークパワー周波数計測誤差へ与えるmとrの影響について調べる。この計算において、式(21)は、Δαに与えるSNRとパルス形状の影響とが独立であることを示しているので、以下ではSNR=1に固定して考える。
【0097】
ここで、もう一つの仮定、すなわち、ノイズは計測装置に固有で、信号パワーに無関係の小さい一定値である仮定を加える。さらにブリルアン後方散乱光パワースペクトルのピークパワーは入射光強度のパルス形状に依存するので、いろいろなmとrの組み合わせについて、ピークパワーからある一定の小さい値だけパワーが減少する周波数からΔαを計算した。Δαの計算結果は、図9に示したブリルアン後方散乱光パワースペクトルの広がりとほぼ同様な特性を示していた。すなわち、パワー幅が十分長い場合には、rやmの値によらず、
【0098】
【数18】
Figure 0003686588
【0099】
が成り立ち、Δαは一定値をとる。それに対してパルス幅が短くなるにつれて、曲線は傾きが−1の直線に近づき,数ns程度以下のパルス幅に対しては、
【0100】
【数19】
logΔα∝−logτ (23)
【0101】
なる関係がほぼ成り立ち、Δαはパルス幅に逆比例する。図10に正規化ピークパワー周波数計測誤差
【0102】
【数20】
Δα/Δαm=∞
【0103】
を示す
【0104】
【数21】
Δαm=∞
【0105】
は、矩形パルス光のピークパワー周波数計測誤差である。図10より、mが1に近づくにつれてΔαが減少していくことがわかる。また、数100ns以上のτに対して、すべてのΔαは1に収束するが、入射パルス幅が短くなるとそれぞれのパルス形状に対応した値に収束していくこともわかる。この減少の程度は、rが0.5より1の場合の方が大きい。
【0106】
ここで、ピークパワー周波数計測誤差に与える立上がり/下がり時間の影響を詳しく調べるために、mに関して最も高い計測精度を与えるm=1の場合について、rとΔαとの関係を求める。τ=1、10、100nsとして、rを0から1まで0.1刻みで変化させてΔαの値を算出した。図11は、Δαを矩形パルス光(r=0)のピークパワー周波数計測誤差Δαr= 0で正規化した結果を示している。正規化ピークパワー周波数計測誤差Δα/Δαr= 0は、rに関して単調に減少しており、r=1がΔαを最小にすることを示している。三角形パルス光(m=1かつr=1)の場合、τ=1、10、100nsにおけるΔα/Δαr= 0の値はそれぞれ0.46、0.53、0.91である。したがって、例えば三角パルス光の場合、パルス幅が10ns程度以下になるとピークパワー周波数計測誤差は、矩形パルス光の場合の約1/2である。
【0107】
以上の解析は、入射パルス光の急峻さmと正規化立上がり/下がり時間rが1に近づくにつれて、そのパワースペクトルは入射光周波数f(β=0)により多くのパワーが集中するために、ブリルアン後方散乱光パワースペクトルはピークパワー周波数νにおいてより大きなパワーをもち、その半値全幅も小さくなることを示している。その結果、m=1かつr=1の場合にΔαは最小になる。したがって、入射光強度のパルス形状が三角形(m=1かつr=1)の場合に、パルス幅によらずにピークパワー周波数計測精度は最も高くなる。
【0108】
次に、三角形入射パルス光を用いて計測されたブリルアン後方散乱光パワーから、そのピークパワー周波数の求め方について説明する。図7より、ブリルアン後方散乱光のパワーはピークパワー周波数に関して対称に分布し、滑らかに変化することがわかるから、光周波数とその光周波数において観測されたブリルアン後方散乱光パワーとの関係を次の多項式(24)で近似し、その係数からピークパワー周波数を算出する。
【0109】
【数22】
Figure 0003686588
【0110】
例えばブリルアン後方散乱光パワーを2次関数で近似すれば、
【0111】
【数23】
Figure 0003686588
【0112】
となることから、ピークパワー周波数 νは-a/2aより求められる。
【0113】
今、j番目の計測周波数をνにおいて計測されたパワーを
【0114】
【外9】
Figure 0003686588
【0115】
に対して、評価関数Eとして
【0116】
【数24】
Figure 0003686588
【0117】
を考え、最小2乗法を用いて係数を決定する。係数a、a、aは、Erを最小化する条件
【0118】
【数25】
Figure 0003686588
【0119】
より導入かれる。
【0120】
【数26】
Figure 0003686588
【0121】
を連立して解くことによって、つぎのように求められる。
【0122】
【数27】
Figure 0003686588
【0123】
ただし、係数AからBは以下の式で与えられる。
【0124】
【数28】
Figure 0003686588
【0125】
【数29】
Figure 0003686588
【0126】
以下、図12に示されたフローチャートに基づいて本発明の実施例を具体的に説明する。装置構成については、従来技術のパルス化装置4において、連続した信号光を三角形パルス光を発生するものに変えること以外は従来のものと同様である。
【0127】
νを求めるための第1工程は、従来の技術で説明した第1工程と同じで、センシング用光ファイバに沿った各計測点について、光周波数を変数として計測されたブリルアン散乱光のパワー
【0128】
【外10】
Figure 0003686588
【0129】
をソートする工程である。本工程は、各計測点において、光周波数についてソートしたパワー
【0130】
【外11】
Figure 0003686588
【0131】
を得る工程である。
【0132】
第2工程は、光周波数とその光周波数において観測されたブリルアン後方散乱光のパワー
【0133】
【外12】
Figure 0003686588
【0134】
との関係を多項式で近似し、その係数を最小2乗法を用いて求め、それよりピークパワー周波数νを算出する工程である。なお、
【0135】
【外13】
Figure 0003686588
【0136】
は従来の技術で説明したように、jのうちしきい値以上のパワーを有する部分である。
第3工程は、求めるべき全ての計測点のデータについて第2工程を繰り返す工程である。
【0137】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、入射光強度のパワー形状とそれによって生じるブリルアン後方散乱光パワースペクトルとの間の関係を解析し、最適な入射パルス形状を提供するとともに、計測されたブリルアン後方散乱光パワーからピークパワー周波数を算出するあてはめ方法を提供している。これにより、高空間分解能計測の際に、矩形パルス光を入射する場合に比べ、ひずみ計測誤差を約50%に低減できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の光ファイバひずみ計測装置の一例を説明するための図である。
【図2】計測されたブリルアン散乱光のピークパワー周波数を算出するための従来方法を説明するためのフローチャートである。
【図3】入射光強度のパルス形状モデルを説明するための図である。
【図4】いろいろな強度形状をもつ入射パルス光のパワースペクトルを説明するための図である。
【図5】入射光のパルス幅とピークパワーとの関係を説明するための図である。
【図6】入射光のパルス幅と半値全幅との関係を説明するための図である。
【図7】いろいろな入射光強度のパルス形状に対するブリルアン後方散乱光のパワースペクトルを説明するための図である。
【図8】入射光のパルス幅とブリルアン後方散乱光パワースペクトルのピークパワーとの関係を説明するための図である。
【図9】入射パルス幅とブリルアン後方散乱光パワースペクトルの半値全幅との関係を説明するための図である。
【図10】入射パルス幅とピークパワー周波数計測誤差との関係を説明するための図である。
【図11】入射光のパルス立ち上がり/下がり時間とピークパワー周波数計測誤差との関係を説明するための図である。
【図12】本発明の実施例を具体的に説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 光源
2 光分岐器
3 光周波数シフタ
4 パルス化装置
5 光方向性結合器
6 光合波器
7 光検出器
8 信号処理部
10〜17 光ファイバ
18 信号線

Claims (4)

  1. 光ファイバに発生している長さ方向のひずみを求める光ファイバひずみ計測方法において、
    一定の光周波数の連続光を信号光と参照光とに分岐する第1の工程と、
    該分岐された信号光を、任意の1つの光周波数をもち、パルスの半値全幅とパルスの立ち上がり時間とパルスの立下り時間のそれぞれが等しい三角形入射パルス光に変換する第2の工程と、
    前記三角形入射パルス光を前記光ファイバに入射させる第3の工程と、
    前記光ファイバにおいて発生したブリルアン後方散乱光と前記分岐された参照光とを合波し、該合波光を検出して電気信号に変換して、前記任意の1つの光周波数におけるブリルアン後方散乱のパワーの計測値を、前記光ファイバに沿った各計測点を変数として計測する第4の工程と、
    前記任意の1つの光周波数は所定の間隔の複数の光周波数の1つであり、前記第2の工程は、前記信号光を、前記所定の間隔の複数の光周波数の1つをもち、パルスの半値全幅とパルスの立ち上がり時間とパルスの立下り時間のそれぞれが等しい三角形入射パルス光に変換し、前記所定の間隔の複数の光周波数の全ての光周波数について、第2〜第4の工程を行うことにより、前記所定の間隔の複数の光周波数毎に前記各計測点におけるブルリアン後方散乱のパワーの計測値を得る第5の工程と、
    該得られた前記所定の間隔の複数の光周波数毎の前記各計測点におけるブルリアン後方散乱のパワーの計測値から、前記各計測点毎に、前記所定の間隔の複数の光周波数の各々を変数として前記ブルリアン後方散乱のパワーの計測値を並べる第6の工程と、
    前記各計測点の1つの計測点について、前記所定の間隔の複数の光周波数の各々を変数として並べられたブルリアン後方散乱のパワーの計測値を多項式で近似し、該多項式の近似によって得られた関数により、ピークパワー周波数を算出する第7の工程と、
    前記光ファイバに沿って求めるべき全ての計測点のデータについて前記第7工程を繰り返す第8の工程と
    を有することを特徴とする光ファイバひずみ計測方法。
  2. 前記第7の工程では、前記各計測点の1つの計測点における、前記多項式の近似によって得られた関数と前記所定の間隔の複数の光周波数の1つの光周波数についてのブルリアン後方散乱のパワーの計測値により表された関係式の係数を最小2乗法により求め、該求められた係数により前記ビークパワー周波数を算出することを特徴とする請求項1記載の光ファイバひずみ計測方法。
  3. 光ファイバに発生している長さ方向のひずみを求める光ファイバひずみ計測装置において、
    一定の光周波数の連続光を発生させる発光手段と、
    該発光手段により発生された連続光を信号光と参照光とに分岐する分岐手段と、
    該分岐手段により分岐された信号光を、任意の1つの光周波数をもち、パルスの半値全幅とパルスの立ち上がり時間とパルスの立下り時間のそれぞれが等しい三角形入射パルス光に変換する光変換手段と、
    該光変換手段により変換された三角形入射パルス光を前記光ファイバに入射するとともに、該光ファイバで発生したブリルアン後方散乱光を出射する光結合手段と、
    該光結合手段により出射されたブリルアン後方散乱光と前記分岐手段によって分岐された参照光とを合波する合波手段と、
    該合波手段による合波光を検出して電気信号に変換し、前記任意の1つの光周波数におけるブリルアン後方散乱のパワーの計測値を、前記光ファイバに沿った各計測点を変数として計測する計測手段と
    前記任意の1つの光周波数は所定の間隔の複数の光周波数の1つであり、前記光変換手段により、前記信号光を、前記所定の間隔の複数の光周波数の1つをもち、パルスの半値全幅とパルスの立ち上がり時間とパルスの立下り時間のそれぞれが等しい三角形入射パルス光に変換して、前記計測を前記所定の間隔の複数の光周波数の全ての光周波数について行い、前記所定の間隔の複数の光周波数毎に前記各計測点におけるブルリアン後方散乱のパワーの計測値を得る手段と、
    該得られた前記所定の間隔の複数の光周波数毎の前記各計測点におけるブルリアン後方散乱のパワーの計測値から、前記各計測点毎に、前記所定の間隔の複数の光周波数の各々を変数として前記ブルリアン後方散乱のパワーの計測値を並べる手段と、
    前記各計測点の1つの計測点について、前記所定の間隔の複数の光周波数の各々を変数として並べられたブルリアン後方散乱のパワーの計測値を多項式で近似し、該多項式の近似によって得られた関数により、ピークパワー周波数を算出する手段と
    を備えることを特徴とする光ファイバひずみ計測装置。
  4. 前記算出手段は、前記各計測点の1つの計測点における、前記多項式の近似によって得られた関数と前記所定の間隔の複数の光周波数の1つの光周波数についてのブルリアン後方散乱のパワーの計測値により表された関係式の係数を最小2乗法により求め、該求められた係数により前記ビークパワー周波数を算出することを特徴とする請求項3記載の光ファイバひずみ計測装置。
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