JP3684971B2 - 突起付き中空軸およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、突起付き中空軸およびその製造方法に関し、例えば、4サイクルレシプロエンジンの吸気弁および排気弁を開閉するためのカムピースが取り付けられたカムシャフトのような突起付き中空軸およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば4サイクルレシプロエンジンの吸気弁および排気弁を駆動するためのカムを有する回転軸であるカムシャフトは、鋳造や鍛造で粗形状に加工された後に、機械加工により最終形状に仕上げられていた。しかし、この方法では、カムと回転軸とが一体に形成されるため、機械加工を行う部分が増加し、また、カムの硬度を高めて耐摩耗性を向上するには加工後に浸炭や熱処理等を行う必要が生じるため、製造コストが嵩むという問題があった。さらに、この方法では、耐摩耗性が要求されるカムと高強度が要求される回転軸とを、それぞれに最適な材料で製造できないという問題もあった。
【0003】
このため、耐摩耗性を要求されるカムを焼結合金により中空のカムピースとして製造するとともに回転軸を軽量化のために中空軸として製造し、製造後にこれらを、溶接、ろう付けまたは機械的固定によって一体化して組み立ててカムシャフトを製造する技術が開発された。しかし、溶接またはろう付けを行うには、カムピースおよび回転軸それぞれの材質が制限されて最適な材料を用いることができなくなり、一方、機械的固定を行うと、この機械的固定をカムピースの設置数だけ繰り返して行う必要が生じて生産効率が低下するという問題があった。
【0004】
このため、特公昭49−28298号公報には、焼結合金からなるカムピースの内部に中空の回転軸を嵌合し、嵌合されたカムピースおよび回転軸をバルジ型に収容し、回転軸にバルジ加工を行うことによってカムピースおよび中空軸を嵌着することにより、カムピースおよび回転軸を機械的に高能率で一体化する発明が提案された。しかし、この発明では、カムピースの内面形状が連続的に緩やかに変化する形状であるため、バルジ加工を行っても、カムピースおよび回転軸の固定強度が充分ではなかった。
【0005】
そこで、特開昭59−144532号公報には、焼結合金からなるカムピースの内面に固定用突起を設けておき、バルジ加工の際には、この固定用突起をバルジ加工される回転軸の外面に噛み込ませることにより、カムピースおよび回転軸の固定強度を増加させる発明が、また、特開昭60−257933公報には、焼結合金からなるカムピースの内面に固定用溝を設けておき、バルジ加工の際には、この固定用溝に、バルジ加工される回転軸の外面の一部を膨出させて嵌まり込ませることにより、カムピースおよび回転軸の固定強度を増加させる発明が、それぞれ提案されている。
【0006】
さらに、特開昭62−97722号公報には、中空の回転軸にバルジ加工を行う際に用いるバルジ型にカム位置決め機構を設け、このカム位置決め機構によりカムピースの固定位置精度を向上させる発明が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特開昭59−144532号公報、同60−257933公報さらには同62−97722号公報等により提案された従来の発明では、いずれも、カムピースは、耐摩耗性に優れるとともに偏心したプロフィルを有するカムピースの外形を比較的低コストで大量に製造できることから、焼結合金からなる。この焼結合金からなるカムピースは、塑性変形せずに割れてしまうため、バルジ加工による塑性変形を与えることはできない。このため、これらの従来の発明ではカムピースの最終的な寸法精度は焼結時の寸法精度により決定されるが、この焼結時の寸法精度では所望の寸法精度が得られない。したがって、バルジ加工後に、焼結合金からなる高硬度のカムピースに切削加工等の機械加工を行わざるを得なくなり、製造コストが嵩んでしまう。また、カムピースに用いる焼結合金自体もコストが高い。このため、これらの従来の発明では、カムシャフトを高い生産効率で製造することができたとしても、製造コストが大幅に嵩んでしまう。
【0008】
また、これらの従来の発明では、中空の回転軸を用いるために軽量化効果は得られるものの、カムピースは焼結合金からなる重量物であるため、高速回転時のカムシャフトのダイナミックバランスが悪かった。このため、カムピースの重量に起因したカムシャフトの高速回転性能の低下も否めなかった。
【0009】
本発明の目的は、バルジ加工後に寸法精度を確保するための機械加工を必要としないことから低コストで製造できるとともに高速回転時のダイナミックバランスも優れた、例えばカムシャフト等の突起付き中空軸およびその製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため、鋼管のバルジ加工について鋭意検討を重ねた結果、以下に列記する新規な知見(i)〜(iii)を得た。
(i)バルジ加工は、加工後の形状を決定するバルジ型の中に鋼管を収容し、鋼管の内部に高圧流体を導入して張出し成形を行うことにより、鋼管を型に張り付かせて所定の形状に成形するものである。このため、塑性加工を行うことができる鋼管であれば、単管には限らず、二重管以上の複層管や複合部材であっても、バルジ加工を行うことができる。このため、部分的に二重管以上の複層管または複合部材からなる管にバルジ加工を行えば、突起付き中空軸を成形することができる。
(ii)部分的に二重管以上の複層管または複合部材を有する管にバルジ加工を行うことにより、外径が大きく変化する突起付き中空軸を、低い拡管率で高能率および高精度で成形することができる。
(iii)バルジ加工は、管の内面側には工具を用いずに張出し成形を行うため、管の内面形状を自由に変化させることが可能であり、また、バルジ型の形状を適宜設定することにより、鋼管の張出し方向を自在に設定することができる。このため、内側の管と外側の管とが偏心して配置された二重管であっても、充分に成形できる。
【0011】
そこで、本発明者はこれらの新規な知見(i)〜(iii)に基づいてさらに検討を重ねた結果、前述した従来の発明のようにカムピースを焼結合金により構成するのではなく、塑性加工可能な材料により構成し、バルジ加工の際に膨出変形させてカムピースの外形も成形することにより、上述した課題を解決できることを知見して、本発明を完成した。
【0012】
本発明は、中空の回転軸と、この回転軸の外周面に環状に設けられた突起とを備え、この突起が、中空素管にバルジ加工を行って中空素管及び塑性加工可能な材料からなる環状の中空体をともに膨出変形させることにより、中空素管の外周面への中空体の嵌着と、中空体の外形の所定の形状への塑性加工とをいずれも行うことによって、設けられることを特徴とする突起付き中空軸である。
【0013】
別の観点からは、本発明は、塑性加工可能な材料からなる環状の中空体の内部に隙間を有して挿入された中空素管にバルジ加工を行って中空素管及び中空体をともに膨出変形させることにより、中空素管の外周面への中空体の嵌着と、中空体の外形の所定の形状への塑性加工とをいずれも行うことによって、中空の回転軸と、この回転軸の外周面に環状に設けられた突起とを備える突起付き中空軸を製造することを特徴とする突起付き中空軸の製造方法である。
【0014】
具体的には、本発明は、塑性加工可能な材料からなる環状の中空体の内部に隙間を有して挿入された中空素管を、バルジ型の内部に収容し、中空素管にバルジ加工を行って中空素管及び中空体をともに膨出変形させることにより、中空体をバルジ型の内面に張り付かせて中空体の外形を所定の形状に塑性加工するとともに、中空素管と中空体とを嵌着することによって、中空の回転軸と、回転軸の外周面に環状に設けられた突起とを備える突起付き中空軸を製造することを特徴とする突起付き中空軸の製造方法である。
【0015】
これらの本発明にかかる突起付き中空軸の製造方法では、中空体と中空素管との間の隙間の少なくとも一部に偏心部成形部材が配置されることが、突起の形状にかかわらず中空素管の破断を防止しながら突起付き中空軸をバルジ加工により製造することができるため、望ましい。
【0016】
また、これらの本発明にかかる突起付き中空軸の製造方法では、バルジ加工を行う前に中空素管と中空体とを固定する固定部材が配置されることが、中空素管および中空体を極めて高い静許容トルクで固定することができるため、望ましい。
さらに別の観点からは、本発明は、塑性加工可能な材料からなる環状の中空体と、この中空体の内部に挿入された中空素管との隙間に、中空素管と中空体とを固定する固定部材を配置し、中空素管にバルジ加工を行って中空素管を膨出変形させることにより、中空素管の外周面への中空体の嵌着と、中空体の固定部材との接触部の塑性加工とをいずれも行うことによって、中空の回転軸と、この回転軸の外周面に環状に設けられた突起とを備える突起付き中空軸を製造することを特徴とする突起付き中空軸の製造方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明にかかる突起付き中空軸およびその製造方法の実施の形態を、添付図面を参照しながら、詳細に説明する。なお、以降の実施の形態の説明では、突起付き中空軸が4サイクルレシプロエンジン用のカムシャフトである場合を例にとる。
【0018】
図1は、本実施形態において、バルジ型3に収容されてバルジ加工の前の中空素管5を示す縦断面図であり、図2は、本実施形態において、バルジ型3に収容されてバルジ加工により成形されたカムシャフト9を示す縦断面図である。また、図3は、図1におけるA−A断面図であり、図4は、図2におけるB−B断面図である。
【0019】
図1および図2に示すように、本実施形態では、上型1および下型2からなるバルジ型3を用いる。上型1および下型2の内面には、それぞれ、製造されるカムシャフト9の最終仕上げ形状が刻設された孔型1a、2aが刻設される。上型1および下型2は、いずれも、バルジ加工時の内圧による分割力に耐えるために、上下から図示しないプレス機構により押さえられており、このプレス機構のプレスヘッドの上下動によって上型1および下型2も上下動し、これにより、型内への中空素管5の搬入と、型外へのカムシャフト9の搬出とが行われる。
【0020】
なお、上型1および下型2の間には、中空素管の両端部を支持する管端拘束工具4a、4bが配置されており、バルジ加工時の中空素管5またはカムシャフト9を、上型1および下型2の内部の所定の位置に支持する。
【0021】
このバルジ型3の構造や動作については、既に公知であるため、これ以上の説明は省略する。
【0022】
本実施形態では、上型1を上昇させるとともに下型2を下降させて、バルジ型3の内部に中空素管5を収容し、上型1を下降させるとともに下型2を上昇させてバルジ型3を閉じる。中空素管5は、図1に示すように、中空孔を有する中空体6a、6b、6cおよび6dの内部に、それぞれ隙間を有して挿入された状態で、バルジ型3の内部に収容される。
【0023】
中空素管5は、製品であるカムシャフト9の回転軸をなすため、充分な強度が要求される。本実施形態では、中空素管5には一般的なSTKM13Aの鋼管を用いた。
【0024】
本実施形態では、中空体6b、6cは、いずれも、上型1に刻設された孔型1aおよび下型2に刻設された孔型2aに配置するために、図3に示すように、最終形状であるカムピース10b、10cに類似した形状に、予め偏心してプレス成形される。なお、図1に示すように、この中空体6a〜6dと、上型1に刻設された孔型1aおよび下型2に刻設された孔型2aとの間には、後述するバルジ加工時の張出し量に応じた隙間7a、7b、7cおよび7dが存在する。
【0025】
また、この中空体6a〜6dには、塑性加工可能な材料として、短尺の軸受用鋼管を用いた。すなわち、前述した従来の技術では、耐摩耗性に優れるためだけではなくて偏心したプロフィルを有するカムピースの外形を比較的低コストで大量に製造できることから、カムピースに焼結合金を用いるのに対し、本実施形態では、耐摩耗性の要求性能を満足することができ、かつ所定の外形を有するカムピース10b、10cを、後述するバルジ加工により容易に成形することができる塑性加工可能な材料を用いる。そこで、本実施形態では、中空体6a〜6dには、短尺の軸受用鋼管を用いた。
【0026】
次に、本実施形態では、中空体6a、6b、6cおよび6dの内部にそれぞれ隙間を有して挿入された中空素管5に、バルジ加工を行う。
【0027】
このバルジ加工は、中空素管5の内部に、管端拘束工具4a、4bの中心に開けられた管路8a、8bから、高圧のバルジ加工用液体を注入する。これにより、中空素管5は膨出変形して拡管される。この際、中空素管5の膨出変形は、中空素管5の外側に配置された軸受用鋼管からなる中空体6a〜6dにも及び、中空体6a〜6dも膨出変形する。このため、中空素管5と中空体6a〜6dとは互いに当接した状態で、隙間7a、7b、7cおよび7dへ向けて膨出変形する。そして、中空体6a〜6dの外面が、上型1に刻設された孔型1aおよび下型2に刻設された孔型2aにそれぞれ当接することにより、この膨出変形は終了する。
【0028】
本実施形態では、このようにして、中空体6a〜6dの外面を、上型1に製造されるカムシャフト9の最終仕上げ形状が刻設された孔型1a、および下型2にカムシャフト9の最終仕上げ形状が刻設された孔型2aのいずれにも張り付かせることにより、中空体6a〜6dの外形が、製造されるカムシャフト9の最終仕上げ形状通りに成形される。
【0029】
また、本実施形態では、このバルジ加工によって中空素管5を膨出変形させることにより、中空素管5を中空体6a〜6dの内面に高い面圧で接触させて密着させることができる。これにより、中空素管5と中空体6a〜6dとは、実用上充分な固定強度(静許容トルク)で嵌着される。
【0030】
このようにして、図2に示すように、中空の回転軸11と、この回転軸11の外周面にバルジ加工により嵌着されたカムピース10b、10cと、カムシャフト9を、搭載されるエンジンのシリンダヘッドに設けられたベアリングにより軸支するためのジャーナル部10a、10dとを有し、カムピース10b、10cの外形がバルジ加工により成形されたカムシャフト9が提供される
【0031】
そして、上型1を上昇させるとともに下型2を下降させてバルジ型3を開き、バルジ加工されたカムシャフト9を搬出する。
【0032】
なお、バルジ型3から搬出したカムシャフト9に対して、カムピース10b、10cおよびジャーナル部10a、10dそれぞれの表面を高周波で焼き入れすることが望ましい。これにより、所望の硬度が与えられるとともに、バルジ加工による嵌着部であるカムピース10b、10cおよびジャーナル部10a、10dが熱膨張で緩むことが、いずれも防止される。
【0033】
また、ジャーナル部10a、10dには、カムピース10b、10cに比較すると、大きなトルクが作用せず、また大きな拡管率も要求されないため、ジャーナル部10a、10dに対するバルジ加工は、カムピース10b、10cに対するバルジ加工よりも容易である。
【0034】
さらに、本実施形態では、ジャーナル部10a、10dもバルジ加工により成形したが、前述したように、ジャーナル部10a、10dには大きなトルクが作用しないため、バルジ加工により成形するのではなく、バルジ加工後にジャーナル部10a、10dをなす別部品を、例えば溶接、ろう付けまたは機械的固定等の適宜手段により、固定してもよい。
【0035】
この本実施形態では、カムピース10b、10cおよびジャーナル部10a、10dは、いずれも、充分な寸法精度を有するため、バルジ加工後に、切削加工を行う必要がない。また、カムピース10b、10cおよびジャーナル部10a、10dに用いる軸受用鋼は焼結合金よりも安価である。このため、本実施形態によれば、カムシャフト9を高い生産効率で、かつ低コストで製造することができる。
【0036】
また、本実施形態では、カムピース10b、10cは、軸受用鋼管である中空体6b、6cを膨出させて塑性変形させることにより製造されるため、従来の焼結合金からなる中実のカムピースに比較すると、軽量である。このため、高速回転時のカムシャフトのダイナミックバランスが良好となり、カムシャフトの最大許容回転数を従来よりも引き上げることもできる。これにより、4サイクルレシプロエンジンの回転数を引き上げることもできる。
【0037】
このように、本実施形態によれば、バルジ加工後に寸法精度を確保するための機械加工を必要としないことから低コストで製造できるとともに高速回転時のダイナミックバランスも優れたカムシャフト9を提供できた。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を説明する。なお、以降の説明では、前述した第1実施形態と相違する部分を説明し、共通する部分には同一の図中符号を付すことにより、重複する説明を適宜省略する。
【0038】
図5は、本実施形態において、バルジ型3に収容されてバルジ加工により成形されたカムシャフト9−1を示す縦断面図である。また、図6は、図5におけるバルジ加工前のC−C断面図であり、図7は、図5におけるC−C断面図であり、バルジ加工後を示す。
【0039】
第1実施形態では、中空素管5をバルジ加工により膨出変形させることにより、中空体6b、6cと中空素管5とを嵌着させてカムピース10b、10cを形成したが、カムピース10b、10cの形状(プロフィル)によっては、中空素管5の膨出変形量が過大となって中空素管5が破断することが考えられる。
【0040】
そこで、本実施形態では、図6に示すように、中空素管5には横断面が略円形の中空素管5を用いるとともに、バルジ加工を行う前に、この中空素管5と中空体6b、6cとの間に隙間に、偏心部成形部材12を配置しておく。偏心部成形部材12は、中空素管5の膨出変形量を低く押さえた状態で中空体6b、6cの膨出変形量を充分に確保するために配置される。
【0041】
偏心部成形部材12は、中空素管5と中空体6b、6cとの間の隙間を埋めるために、中空素管5の膨出変形により容易に変形するものが望ましい。また、偏心部成形部材12は、カムピース10b、10cの軽量化を図るために軽量のものが望ましい。
【0042】
偏心部成形部材12の材質は、これらの要求、加工工程での扱い易さ、さらには、コスト等を勘案して適宜設定すればよい。本実施形態では、偏心部成形部材12の材質は純アルミニウムとした。
【0043】
また、偏心部成形部材12の形状や寸法等は、中空素管5と中空体6b、6cとの間の隙間に挿入可能であってカムピース10b、10cを成形可能な体積を有していればよく、何ら限定を要さない。すなわち、偏心部成形部材12は、中空素管5と中空体6b、6cとの間の少なくとも一部に配置されていればよい。本実施形態では、中空素管5と中空体6b、6cとの間の隙間への挿入に際して機械加工の必要がないことから、丸棒の切断材を用いた。
【0044】
図6に示すように、中空素管5と中空体6b、6cとの間に隙間に、偏心部成形部材12を配置してからバルジ加工を行うと、図5および図7に示すように、バルジ加工により中空素管5が膨出変形すると、中空素管5および偏心部成形部材12がともに、中空体6b、6cの内面に当接して、中空体6b、6cを膨出変形させる。前述したように、偏心部成形部材12は、中空素管5および中空体6b、6cのいずれよりも軟らかい純アルミニウムからなるため、中空素管5および中空体6b、6cの間の隙間を埋めるように変形し、中空素管5の局部的な膨出変形を抑制する。このため、中空素管5の拡管率が小さくても、大きな偏心量を得ることができる。
【0045】
このようにして、中空体6b、6cの外形が、製造されるカムシャフト9−1の最終仕上げ形状通りに成形されるとともに、中空素管5と中空体6b、6cとは、実用上充分な固定強度(静許容トルク)で嵌着される。
【0046】
このため、本実施形態によれば、カムピース10b、10cの形状(プロフィル)にかかわらず中空素管5の破断を防止しながら、カムシャフト9−1をバルジ加工により製造することができる。
(第3実施形態)
図8は、本実施形態における予成形の際の中空素管5と、中空体6b、6cとを示す説明図である。また、図9はバルジ加工前の中空素管5および中空体6b、6cを示す縦断面図、図10はバルジ加工後の中空素管5および中空体6b、6cを示す縦断面図である。
【0047】
本実施形態では、図8に示すように、中空素管5にバルジ加工を行う前に、中空素管5と中空体6b、6cとを固定する固定部材13が配置される。固定部材13は、後述するように、中空素管5および中空体6b、6cの双方にめり込ませる必要があるため、高硬度の部材を用いることが望ましい。本実施形態では、固定部材13としてCrMo鋼線材を用いた。
【0048】
すなわち、予成形として、図8に示すように、中空素管5と中空体6b、6cとの間に固定部材13を配置して、上型14aおよび下型14bからなるプレス型14により、中空体6b、6cを縮径させる方向へプレスする。これにより、固定部材13は、中空体6b、6cの当接部近傍を塑性変形させ、中空体6b、6cへめり込む。なお、固定用部材13を、後続して行われるバルジ加工により中空素管5にもめり込ませる必要があるため、このプレスでは、固定部材13の直径の半分程度の深さだけ、中空体6b、6cにめり込ませることが望ましい。
【0049】
そして、この予成形を行った後に、図9に示すように、前述した第1実施形態または第2実施形態と同様にバルジ加工を行う。本実施形態によれば、図10に示すように、中空体6b、6cにめり込まされた固定部材13が、中空素管5の膨出変形にともなって中空素管5の当接部近傍を塑性変形させ、中空素管5にもめり込む。
【0050】
このため、固定部材13は、中空素管5と中空体6b、6cとの間でキーと同様の固定作用を奏し、バルジ加工による中空素管5および中空体6b、6cの間における高い面圧での接触と相まって、極めて高い静許容トルクを確保することができる。
【0051】
【実施例】
図1〜図4に示す第1実施形態により4サイクルレシプロエンジン用のカムシャフトを製造した場合を実施例1とし、図5〜図7に示す第2実施形態により4サイクルレシプロエンジン用のカムシャフトを製造した場合を実施例2とし、図8〜図10に示す第3実施形態により4サイクルレシプロエンジン用のカムシャフトを製造した場合を実施例3とするとともに、前述した特開昭60−257933公報により提案された方法により4サイクルレシプロエンジン用のカムシャフトを製造した場合を比較例として、それぞれにより得られたカムシャフトの静許容トルク、カム形状の自由度および製造コストを評価した。
【0052】
なお、実施例1〜実施例3では、中空体6b、6cは球状化焼鈍を行った高炭素Cr軸受鋼からなる短尺鋼管を用い、この短尺鋼管の軸方向長さは必要カム幅に一致させた。また、中空素管5には一般的なSTKM13Aの鋼管を用いた。さらに、実施例3では、固定部材13にCrMo鋼の線材を用いた。
【0053】
また、実施例1〜実施例3では、バルジ加工後のカムシャフトに高周波焼入れを行って表面硬度を所望の値に調整した。
【0054】
製造条件および評価結果を、総合評価とともに表1にまとめて示す。
【0055】
【表1】
Figure 0003684971
【0056】
表1に示すように、実施例1では、中空素管5に加えた内圧でバルジ加工を行うことにより、必要な寸法精度を有するとともに実用上問題の無い固定強度を有するカムピース10b、10cを設けることができた。ただし、カムピース10b、10cは、中空素管5の膨出変形だけにより成形されているため、カムピース10b、10cの外形(プロフィル)によっては成形できないことがある。
【0057】
実施例2では、純アルミニウム材からなる偏心部成形部材12を用いているため、実施例1に比較して偏心量の大きな外形(プロフィル)を有するカムピース10b、10cを製造できた。
【0058】
実施例3では、中空素管5の膨出変形とともに、固定部材13を用いてカムピース10b、10cを中空素管5に固定するため、カムピース10b、10cの固定強度が実施例1および実施例2よりも向上し、大きな静許容トルクが得られた。
【0059】
なお、通常、カムシャフトに要求される静許容トルクは98N・mと言われているが、実施例1〜実施例3のいずれもこの値を越えた良好な値が得られており、充分に実用化が可能である。
(変形形態)
各実施形態および実施例の説明では、突起付き中空軸が4サイクルレシプロエンジン用のカムシャフトである場合を例にとった。しかし、本発明はカムシャフトには限定されず、中空の回転軸と、この回転軸の外周面にバルジ加工により嵌着された突起とを有する突起付き中空軸であれば、等しく適用される。このような突起付き中空軸として、4サイクルレシプロエンジン用のカムシャフト以外に、レシプロタイプのコンプレッサのカムシャフトやカム機構を有する機械部品のカムシャフト等が例示される。
【0060】
また、各実施形態および実施例の説明では、中空体が軸受用鋼からなる場合を例にとった。しかし、本発明における中空体は、軸受用鋼には限定されず、要求される硬度を満足するとともに塑性加工可能な材料であれば、等しく適用される。塑性加工可能な材料としては、軸受用鋼以外に、機械構造用炭素鋼や機械構造用合金鋼さらにはチタン合金鋼等も、同様に用いることができる。
【0061】
さらに、各実施形態および実施例の説明では、カムシャフトが二つのカムピースを有する場合を例にとった。しかし、本発明はカムピースの数には何ら制限されず、カムピースの数が1または3以上であっても、同様に適用される。
【0062】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明により、バルジ加工後の機械加工を必要としないことから低コストで製造できるとともに、カムピースの重量を低減できることから高速回転時のダイナミックバランスも優れた、例えばカムシャフト等の突起付き中空軸およびその製造方法を提供することができた。
【0063】
また、本発明では、カムピースを焼結合金ではなく、塑性加工可能な材料により製造するため、この材料を適宜選定することにより、部品コストを低減でき、突起付き中空軸をさらに低コストで製造することができる。
【0064】
かかる効果を有する本発明の意義は、極めて著しい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態において、バルジ型に収容されてバルジ加工の前の中空素管を示す縦断面図である。
【図2】第2実施形態において、バルジ型に収容されてバルジ加工により成形されたカムシャフトを示す縦断面図である。
【図3】図1におけるA−A断面図である。
【図4】図2におけるB−B断面図である。
【図5】第2実施形態において、バルジ型に収容されてバルジ加工を行われて成形されたカムシャフトを示す縦断面図である。
【図6】図5におけるバルジ加工前のC−C断面図である。
【図7】図5におけるバルジ加工後のC−C断面図である。
【図8】第3実施形態における予成形の際の中空素管と、中空体とを示す説明図である。
【図9】バルジ加工前の中空素管および中空体を示す縦断面図である。
【図10】バルジ加工後の中空素管および中空体を示す縦断面図である。
【符号の説明】
3 バルジ型
5 中空素管
6b、6c 中空体
9 カムシャフト
10b、10c カムピース
11 回転軸

Claims (6)

  1. 中空の回転軸と、該回転軸の外周面に環状に設けられた突起とを備え、該突起は、中空素管にバルジ加工を行って該中空素管及び塑性加工可能な材料からなる環状の中空体をともに膨出変形させることにより、該中空素管の外周面への該中空体の嵌着と、当該中空体の外形の所定の形状への塑性加工とをいずれも行うことによって、設けられることを特徴とする突起付き中空軸。
  2. 塑性加工可能な材料からなる環状の中空体の内部に隙間を有して挿入された中空素管にバルジ加工を行って該中空素管及び前記中空体をともに膨出変形させることにより、該中空素管の外周面への前記中空体の嵌着と、当該中空体の外形の所定の形状への塑性加工とをいずれも行うことによって、中空の回転軸と、該回転軸の外周面に環状に設けられた突起とを備える突起付き中空軸を製造することを特徴とする突起付き中空軸の製造方法。
  3. 塑性加工可能な材料からなる環状の中空体の内部に隙間を有して挿入された中空素管を、バルジ型の内部に収容し、該中空素管にバルジ加工を行って該中空素管及び前記中空体をともに膨出変形させることにより、前記中空体を前記バルジ型の内面に張り付かせて該中空体の外形を所定の形状に塑性加工するとともに、前記中空素管と前記中空体とを嵌着することによって、中空の回転軸と、該回転軸の外周面に環状に設けられた突起とを備える突起付き中空軸を製造することを特徴とする突起付き中空軸の製造方法。
  4. 前記隙間の少なくとも一部に、偏芯部成形部材が配置される請求項2または請求項3に記載された突起付き中空軸の製造方法。
  5. 前記バルジ加工を行う前に、前記中空素管と前記中空体とを固定する固定部材が、配置される請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載された突起付き中空軸の製造方法。
  6. 塑性加工可能な材料からなる環状の中空体と、該中空体の内部に挿入された中空素管との隙間に、前記中空素管と前記中空体とを固定する固定部材を配置し、前記中空素管にバルジ加工を行って該中空素管を膨出変形させることにより、該中空素管の外周面への前記中空体の嵌着と、当該中空体の固定部材との接触部の塑性加工とをいずれも行うことによって、中空の回転軸と、該回転軸の外周面に環状に設けられた突起とを備える突起付き中空軸を製造することを特徴とする突起付き中空軸の製造方法。
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