JP3684130B2 - 複合材料を用いた定着用ローラ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、LBP等の電子写真画像形成装置における定着ユニットにおいて利用され、特にトナー離型性と耐キズ性・耐摩耗性をともに要求される定着用ローラおよびその製造方法、およびそれを用いた定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真装置において、トナーを熱と圧力により定着させる一対のローラ即ち、定着ローラと加圧ローラとして、円筒状の芯金上に単層または多層構造から成る弾性体層が形成されたものが用いられている。これら弾性体層を形成する材料として、耐熱性、耐化学薬品性、耐候性等に優れているポリオルガノシロキサン(シリコーンラバー)、フルオロエラストマー等が用いられている。
【0003】
これらの材料を定着あるいは加圧ローラにおける最外層の弾性体として用いる場合に要求される重要な特性として、主にトナー離型性と耐キズ性・耐摩耗性を挙げることができる。トナー離型性とは、静電的に形成されているトナー画像を定着・加圧ローラ間で、熱と圧力により定着させる際に起こるローラ表面へのトナーの付着し難さのことである。ローラの最外層に用いる材料のトナー離型性が悪い場合、ローラ表面にトナーが付着することにより、コピー画像に抜けが生じるというトナーオフセットが起こる。また、トナーオフセットが起こらない比較的トナー離型性の優れた材料を用いた場合にも、繰り返しトナー画像を定着させることにより、トナー離型性が悪化し、コピー枚数が数百枚あるいは数千枚等の段階でトナーオフセットが起こる場合もある。したがって、トナー離型性の優れた材料を最外層に用いることはローラの性能上重要である。また耐キズ性・耐摩耗性とは、トナー画像を繰り返し定着させることにより発生するローラ表面におけるキズのつきにくさのことである。トナー画像を繰り返し定着させることで、定着あるいは加圧ローラに当接されている部材、例えば、定着ローラの場合は、トナーオフセットを防止するためにシリコンオイル塗布とオフセットトナーのクリーニングを行うウェブが当接されていることがあり、その当接部分にオフセットトナーや紙粉等が付着し、そのような付着物によってローラ表面にキズスジが発生することがある。また、加圧ローラの場合は、例えば過剰のシリコンオイルを掻き落とすためのブレードが圧接されていることがあり、その圧接部分に同じくオフセットトナーや紙粉等が付着し、そのような付着物によってローラ表面にキズスジが発生することがある。ローラ表面にキズスジが発生すると、定着ローラの場合は、このキズがコピー画像上に悪影響を及ぼすことになる。また、加圧ローラの場合は、キズスジの部分にオフセットトナーがたまり、紙等の記録材の裏面にトナーが付着することによる汚れが起こることがある。耐キズ性・耐摩耗性の劣っている材料を最外層に用いた場合、ローラ表面にキズがつきやすく、上記のような問題が生じることから、耐キズ性・耐摩耗性の優れた材料を最外層に用いることも重要である。
【0004】
トナー離型性あるいは耐キズ性・耐摩耗性を決定する主な材料物性としては、それぞれ主に表面エネルギーと硬度を挙げることができる。表面エネルギーが低い材料ほどトナー離型性が優れていると考えられる。また硬度が高い材料ほど耐キズ性・耐摩耗性が優れていると考えられる。表面エネルギーと硬度がともに比較的低いポリオルガノシロキサンは、トナー離型性には優れているが、耐キズ性・耐摩耗性は劣っていると思われる。一方、フルオロエラストマーは表面エネルギーと硬度がともに比較的高く、ポリオルガノシロキサンとは逆に耐キズ性・耐摩耗性には優れているが、トナー離型性は劣っていると考えられる。
【0005】
従来より、ポリオルガノシロキサンの耐キズ性・耐摩耗性を改善することを目的として、ポリオルガノシロキサンに平均粒径が0.5〜20μmの球状溶融シリカを含有させたもの(特開平8−193166)や、ポリオルガノシロキサンに球状四フッ化エチレン樹脂を含有させたもの(特開平9−12893)が提案されている。しかしながら、これら従来例はともにポリオルガノシロキサンに樹脂を配合したものであり、ポリオルガノシロキサンの弾性体としての性質がある程度損なわれることになる。したがって、良好な弾性体としての性質をもつ複合材料を得るためには、ポリオルガノシロキサンに樹脂ではなく耐キズ性・耐摩耗性の優れた弾性体を含有させることが有効であると考えられ、その一つとしてフルオロエラストマーを挙げることができる。
【0006】
このため、従来よりポリオルガノシロキサンとフルオロエラストマーのそれぞれ優れた物性を兼ね備えた材料を得るために、両者を混合した複合材料について検討が重ねられてきた。例えば、アルミニウムの芯金の周囲にポリオルガノシロキサンとフルオロエラストマーを機械的に、あるいは有機溶剤に溶解・分散させることで混合した複合材料を用いて弾性体層が形成されたもの(特開平5−147126)や、フルオロエラストマーをマトリックス成分とし、このフルオロエラストマーマトリックス中に、反応性シリコーンオイルおよび反応性フッ素オイルの少なくとも一方からなる粒子が分散した複合材料を用いたもの(特開平9−96981)、あるいはシラン側基を有するアミンカップラーとテトラエトキシシランのような加水分解性シラン化合物を添加し、それらを介してフルオロエラストマーとポリオルガノシロキサンの化学結合を生成させた均一系の複合材料を定着部材に用いたもの(特開平−308848)等が提案されている。
【0007】
しかしながら、特開平5−147126の従来例で複合材料を調製する手段として機械的に混合する方法が提案されているが、一般的に機械的に混合して得られる複合材料の分散状態は、一般にポリオルガノシロキサンの粘度が低く、フルトロエラストマーのムーニー粘度は高く、それぞれの粘度の差があまりにも大きく分散しにくいために比較的粗く、フルオロエラストマーからなる島相の粒子径が数十〜数百μm程度になることがある。トナーの粒子径が数μmであることと考えあわせると、満足すべき分散状態は得られていないといえる。また、同じく特開平5−147126の従来例で複合材料を調製するもう一つの手段として有機溶剤に溶解・分散させる方法が提案されているが、一般的に有機溶剤に溶解・分散させることで混合した複合材料は、ポリオルガノシロキサンとフルオロエラストマーの極性が大きく異なり、両者の相溶性が悪いため、溶剤の蒸発する速度によっては、一方が数十〜数百μm程度の大きな凝集体となってマトリックス中に存在することがあり、その分散状態は同様に粗いものとなることがある。その上、モノクロ機よりもさらにトナー離型性が要求されるフルカラー機においては、島相であるフッ素ゴムの表面エネルギーが高いために、離型性がやや不十分であるという問題点がある。
【0008】
また、特開平9−96981の従来例では、このような問題点を考慮し、フルオロエラストマーマトリックス中に反応性シリコーンオイルあるいは反応性フッ素オイルからなる粒子を部分的に反応固定させることで、その分散状態を粒子径が30μm以下になるように保っている。しかしながらこのようにして得られる複合材料は、分散状態が改善されているものの、表面エネルギーの高い方のフルオロエラストマーが海相となっているため、海相と島相がこの従来例と逆である、つまりポリオルガノシロキサンが海相になっている複合材料と比較すると、後者の方がトナー離型性という観点からは有利であると考えられる。
【0009】
さらに、特開平6−308848の従来例では、ポリマー分子レベルで一体化された均一系のポリオルガノシロキサンとフルオロエラストマーからなる複合材料が得られると記載されているが、ポリオルガノシロキサンが海相、フルオロエラストマーが島相となる海島構造をもつ分散系である複合材料の形態を開示していない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリオルガノシロキサン(シリコーンラバー)にフルオロエラストマーを数ミクロンレベルで均等に分散した複合材料を少なくとも最外層の弾性体として用いた、トナー離型性および耐キズ性・耐摩耗性ともに優れた定着用ローラを提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、ポリオルガノシロキサンに、予めフッ素樹脂を分散させたフルオロエラストマーを数ミクロンレベルで均等に分散した複合材料を少なくとも最外層の弾性体として用いた、トナー離型性および耐キズ性・耐摩耗性ともに優れ、フルカラー機用に適した定着用ローラを提供することである。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、このような定着用ローラの製造方法、およびこのような定着用ローラを用いた定着装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は以下の発明により達成される。
【0014】
(1)円筒軸体の外周に単層または多層構造からなる弾性体層が形成されたローラであり、前記弾性体層の少なくとも最外層がポリオルガノシロキサンとフルオロエラストマーの複合材料から成る定着用ローラにおいて、本発明は、この複合材料が、ポリオルガノシロキサンが海相、フルオロエラストマーが島相である海島構造を有しており、かつ島相の粒子の大きさが1〜10μmの範囲であることを特徴とする。本発明において定着用ローラとは、定着ローラおよび/または加圧ローラである。
【0015】
(2)前記島相であるフルオロエラストマー中にフッ素樹脂が分散され、該フッ素樹脂は島相であるフルオロエラストマー中にのみ存在する上記(1)に記載の定着用ローラ。
【0016】
(3)フルオロエラストマー(B)とフッ素樹脂(C)との配合割合が、重量比(B)/(C)で100:0〜40:60であり、かつポリオルガノシロキサン(A)とフルオロエラストマー(B)との配合割合が重量比(A)/(B)で80:20〜20:80に設定されている上記(1)または(2)記載の定着用ローラ。
【0017】
(4)前記定着用ローラに用いる複合材料を調製する際に、ポリオルガノシロキサンとフルオロエラストマーを、またはポリオルガノシロキサンと、フッ素樹脂を予め分散させたフルオロエラストマーと混練することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の定着用ローラの製造方法。
【0018】
(5)粘度100Pa・s〜1000Pa・s(25℃)の液状ポリオルガノシロキサンと、ムーニー粘度が70ML(1+10)100℃以下であるフルオロエラストマーとを160°〜220℃の加熱条件下で混練する上記(4)に記載の定着用ローラの製造方法。
【0019】
(6)ポリオルガノシロキサンとフルオロエラストマーがともに有機過酸化物加硫可能である材料種を用いる上記(4)または(5)に記載の定着用ローラの製造方法。
【0020】
(7)ポリオルガノシロキサンとフルオロエラストマー、またはポリオルガノシロキサンとフッ素樹脂を予め分散したフルオロエラストマーとを加熱条件下に混練し、その後加硫温度以下の温度で少なくとも加硫剤を配合し、得られた配合物を前記円筒軸体の外周に形成された弾性体層の少なくとも最外層をなすように適用し、ついで加硫温度以上の温度において加熱して硬化させる上記(1)または(2)に記載の定着用ローラの製造方法。
【0021】
(8)電子写真画像形成装置に用いる定着装置であって、上記(1)〜(3)のいずれかに記載されている定着および/または加圧ローラを有することを特徴とする定着装置。
【0022】
(1)の発明においては、比較的硬度の高いフルオロエラストマーからなる島相と、比較的硬度の低いポリオルガノシロキサンからなる海相という海島構造を持つことにより、ローラに当接されている部材への付着物によるローラ最外層への応力を、海相において分散されることにより緩和することができ、かつ島相において応力に対する弾性力が得られることで変形しにくいために、良好な耐キズ性・耐摩耗性を発揮することができると考えられる。また、ポリオルガノシロキサンが海相になっており、かつフルオロエラストマーからなる島相の粒子の大きさが1〜10μmの範囲に保たれていることにより、良好なトナー離型性が得られると考えられる。
【0023】
(2)の発明においては、ポリオルガノシロキサンが海相、フルオロエラストマーが島相である海島構造をとっており、一般的にフルオロエラストマー、ポリオルガノシロキサンよりも表面エネルギーが低いフッ素樹脂が島相であるフルオロエラストマー中にのみ存在している。このことにより、島相であるフルオロエラストマーの比較的高い表面エネルギーを効率的に改善することができ、ただ単にこれら三つの材料を分散させた場合よりも、フッ素樹脂の配合割合が少なくても十分なトナー離型性が得られ、また、そのために高画質を得るために要求される柔軟性を持ったソフト材料としても十分機能することができる。したがって、フルカラー機用に適した定着用ローラを提供することができる。
【0024】
(3)の発明においては、ポリオルガノシロキサンを最低限20%配合し、フルオロエラストマーを最低限20%配合することにより、フルオロエラストマーよりも表面エネルギ−が低いポリオルガノシロキサンを海相に、フルオロエラストマーを島相にすることが容易になる。また、フッ素樹脂の配合量の上限をフルオロエラストマー40に対して60に設定することによりトナー離型性と高画質のために必要な柔軟性を得ることが可能となる。
【0025】
(4)の発明において、復合材料を調製する際に、ポリオルガノシロキサンとフッ素樹脂を含有することもあるフルオロエラストマーをともに加熱することにより、それぞれの粘度を室温時よりも低くし、かつ両者の粘度の差を小さくすることができる。このことにより、混練時におけるそれぞれの材料の分散性を向上させ、粘度の低い方のポリオルガノシロキサンが海相、粘度の高い方のフルオロエラストマーが島相となり、かつ島相の粒子径が1〜10μmの範囲である海島構造を持つ複合材料を調製することが可能となる。
【0026】
(5)の発明において、加熱条件を160°〜220℃に設定することにより、液状のポリオルガノシロキサンを用いた場合にも、数ミクロンレベルで、フッ素樹脂を含有することもあるフルオロエラストマーが液状のポリオルガノシロキサン中に均等に分散された複合材料を得ることができる。
【0027】
(6)の発明において、ポリオルガノシロキサンの加硫系として過酸化物反応系、フルオロエラストマーの加硫系としてパーオキサイド加硫系を選択することで、ポリオルガノシロキサンとフルオロエラストマーの架橋反応をラジカル反応系に統一することができる。
【0028】
(7)の発明により、耐キズ性、耐摩耗性が良好で、トナー離型性の優れた上記(1)または(2)の定着用ローラを容易に製造することができる。
【0029】
(8)の発明において、上記(1)〜(3)のいずれかに記載されている定着用ローラを用いることにより、ローラのトナー離型性および耐キズ性・耐摩耗性ともに優れ、高画質のトナー画像を得ることのできる、電子写真画像形成装置において用いられる定着装置を提供し得る。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明において、島相の「粒子の大きさ」とは粒子の最大径の部分を長軸方向として固定し、粒子の面積が等しくなるように短軸を新たに設定することで楕円形に設定したときの、長軸の直径と短軸の直径の平均値をいう。
【0031】
本発明で用いるポリオルガノシロキサン(シリコーンラバー)のポリマー種としては、ジメチルシロキサン、メチルビニルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、メチルフルオロアルキルシロキサン等を挙げることができ、主に直鎖状のものであるが、一部が分岐、三次元構造を形成していてもよく、また、単独重合体、共重合体もしくはそれらの混合物であってもよい。
【0032】
また、ポリオルガノシロキサンの分子鎖末端は、例えば、アルコキシ基、トリメチルシリル基、ジメチルビニルシリル基、メチルフェニルビニルシリル基、メチルジフェニルシリル基等で置換されていてもよい。なかでもジメチルビニルシリル基が好ましい。
【0033】
このポリオルガノシロキサンの重合度は、400〜10,000、好ましくは1,000〜9,000であり、400未満では機械的強度等に優れず、一方10,000を超えるものは入手しくい。なお、これらポリオルガノシロキサンの材料形態としては、ミラブル型あるいは液状のものを挙げることができ、どちらのポリオルガノシロキサンも用いることができる。
【0034】
液状のポリオルガノシロキサンとしては粘度が100Pa・s〜1000Pa・s(25℃)のものが好ましく用いられる。液状ポリオルガノシロキサンの粘度が100Pa・s未満の場合は粘度が低過ぎてフルオロエラストマーとの加熱混練時に均等な分散状態が得られないことがある。
【0035】
次に、本発明で用いるフルオロエラストマーのポリマー種としては、例えば、ビニリデンフルオライド系フルオロエラストマー、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン二元共重合体、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン三元共重合体、テトラフルオロエチレン−プロピレン系フルオロエラストマー、含フッ素ビニルエーテル系フルオロエラストマ−、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、含フッ素ホスファゼンゴム等を挙げることができ、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン三元共重合体およびビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン二元共重合体が好適に用いられる。また、本発明において使用するパーオキサイド加硫系のフルオロエラストマーは、分子鎖末端および/または側鎖にハロゲン、特にヨウ素および/または臭素を導入したタイプのもので、加硫はハロゲン原子の引き抜き反応により行われる。
【0036】
なお、本発明の用いるフルオロエラストマーのムーニー粘度は、70ML(1+10)100℃以下であることが望ましい。すなわち、ムーニー粘度がそれよりも高い場合には、ポリオルガノシロキサンとの加熱混練時に均等な分散状態が得られないことがある。
【0037】
上記ポリオルガノシロキサン(A)とフルオロエラストマー(B)の配合割合は重量比で、(A):(B)=80:20〜20:80の範囲に設定することが望ましい。すなわち、ポリオルガノシロキサンを最低限20%配合し、フルオロエラストマーを最低限20%配合することにより、フルオロエラストマーよりも表面エネルギーが低いポリオルガノシロキサンを海相に、フルオロエラストマーを島相にすることが容易となる。また、フッ素樹脂(C)をフルオロエラストマー(B)に含有させる場合には、配合割合は重量比(B)/(C)で99:1〜40:60の範囲が好ましい。高画質のために必要な柔軟性を得るために、フッ素樹脂の配合量はできるだけ少ない方が好ましく、(B)/(C)の重量比は70:30以下とするのが特に好ましい。また、フルオロエラストマーよりも表面エネルギーが低いポリオルガノシロキサンを海相にするために、ポリオルガノシロキサンは最低限20%必要であり、フルオロエラストマーは耐久性、耐摩耗性を向上させるために最低限20%必要である。つまり、上述したような三つの材料の持つ特性はそれぞれ活かされる配合割合が好ましい。
【0038】
この複合材料を調製する方法としては、ポリオルガノシロキサンとフルオロエラストマー、または予めフッ素樹脂を分散させたフルオロエラストマーを加熱条件下に混練する方法を採用することができる。この際、加熱温度は100°〜250℃が好ましい、混練り時間は2分〜1時間の範囲とすることが好ましい。混練機としては、各種押出し機、ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等が用いられるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0039】
この際、混練り温度が250℃を超えるとポリオルガノシロキサン、フルオロエラストマーが熱劣化する可能性がある。また、混練り時間が2分より短いと均等な分散状態を持つ複合材料を得るのが難しく、一方1時間を超えると混練りコストが上昇し、好ましくない。
【0040】
特に粘度が100Pa・s〜1000Pa・s(25℃)の範囲である液状ポリオルガノシロキサンとムーニー粘度が70ML(1+10)100℃以下であるフルオロエラストマーを混練する際は、加熱条件を160℃〜220℃の範囲にする必要があり、混練り方法としては作業性の観点から、ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー等のインターナルミキサーを用いることが好ましい。
【0041】
なお、上記の複合材料にはポリオルガノシロキサン、フルオロエラストマー以外に、加硫剤、加硫助剤が含まれ、またカーボンブラック、シリカ等の補強性配合剤を配合してもよい。
【0042】
また、複合材料を調製する方法として、上記の方法以外に、あらかじめ加硫されたフルオロエラストマーを細断するか、微細に細分すること得られる粒子と未加硫のポリオルガノシロキサンを混練してもよい。
【0043】
本発明で用いるポリオルガノシロキサンの加硫系には、縮合反応系、付加反応系、過酸化物反応系等がある。また、フルオロエラストマーの加硫系には、ポリオール加硫系、ポリアミン加硫系、およびパーオキサイド加硫系がある。
【0044】
ポリオルガノシロキサンの加硫系として過酸化物反応系、フルオロエラストマーの加硫系としてはパーオキサイド加硫系を選択した場合、ポリオルガノシロキサンとフルオロエラストマーの架橋反応が共にラジカル反応であり、反応系および加硫剤を統一化することができるという利点がある。
【0045】
この際用いられる加硫剤である有機過酸化物は、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイドの4種類に大別される。
【0046】
ジアシルパーオキサイドとしては、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ビス(p−クロロベンゾイル)パーオキサイド、ビス(o−メチルベンゾイル)パーオキサイド等を挙げることができる。
パーオキシエステルとしては、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等を挙げることができる。
【0047】
パーオキシケタールとしては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビオス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート等を挙げることができる。
【0048】
またジアルキルパーオキサイドとしては、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α−ビス(t−ブチオルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等を挙げることができる。
【0049】
これらの有機過酸化物は工業用純品もしくはシリコーンガムやシリコーンオイルをバインダーとしたペースト状のものや、炭酸カルシウムの如き粉末にまぶした粉末状のものが用いられている。
【0050】
ポリオルガノシロキサンとフルオロエラストマーの複合材料を加硫するために用いる有機過酸化物としては特に限定されるものではないが、上記ジアルキルパーオキサイド類に属するジクミルパーオキサイドあるいは2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンを用いることが好ましい。
【0051】
有機過酸化物の配合量は、(A)と(B)成分よりなる混合エラストマー成分100重量部に対して、0.5〜10重量部、好ましくは1〜5重量部であり、配合量が少なすぎるとエラストマー成分の架橋が不十分となり、十分な機械的強度が得られず、一方多すぎるとエラストマー成分の架橋密度が高くなり、得られる組成物の伸びが低下する。
【0052】
また、加硫助剤としては、エチレン・ジメタアクリレート、1,3−ブチレン・ジメタアクリレート、1,4−ブチレン・ジメタアクリレート、1,6−ヘキサンジオール・ジメタアクリレート、ポリエチレングリコールジメタアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、2,2’−ビス(4−メタクリロイルジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジビニルベンゼン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、トリアジンジチオール、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ビスマレイミド、ビニル基含有量の多いシリコ−ンオイル等多官能性のビニルモノマーを挙げることができ、特にトリアリルイソシアヌレートが好ましく用いられる。
【0053】
この加硫助剤の配合量は、ポリオルガノシロキサンとフルオロエラストマーの分散複合物100重量部に対して、0.5〜10重量部、好ましくは1〜5重量部である。
【0054】
なお、加硫助剤と、加硫剤である有機過酸化物を添加する際の混練り温度は、加硫反応が起こらない温度であることが必要であり、好ましくは10°〜80℃、より好ましくは20°〜60℃である。
【0055】
また、フルオロエラストマー(B)に対してポリオール加硫系を用いた場合、(B)成分には上述したような加硫剤、加硫助剤等を用いることができない。したがって、ポリオルガノシロキサン(A)に対する加硫剤と、(B)に対する加硫剤、加硫助剤をそれぞれ添加しなければならない。
【0056】
ここで、ポリオール加硫剤としては、ポリヒドロキシ芳香族化合物、例えばヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールAFおよびこれらの塩、含フッ素脂肪族ジオール等が用いられる。
【0057】
これらのポリオール架橋剤の添加量は、(B)成分100重量部に対し、0.1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部程度である。
【0058】
また、ポリオール加硫促進剤としては、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、テトラヘキシルアンモニウムテトラフロオロボラートのような4級アンモニウム化合物、ベンジルトリオクチルホスホニウムブロミド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド、m−トリフルオロメチルベンジルトリオクチルホスホニウムクロリドのような4級ホスホニウム化合物を挙げることができる。
【0059】
このような加硫促進剤の添加量は、(B)成分100重量部に対し、通常、0.2〜10重量部程度である。
【0060】
本発明の定着および/または加圧ローラの弾性体の最外層に用いる複合材料は主成分であるポリオルガノシロキサン(A)とフッ素樹脂を含有することもあるフルオロエラストマー(B)成分のほかに、各種の配合剤を含有することができる。
【0061】
これらの配合剤は、必要に応じて、分散複合物の加硫前であれば随時どの段階で添加してもよいが、望ましくは、(A)と(B)を加熱混練した後の段階がよい。
【0062】
補強充填剤としては例えば、シリカ、カーボンブラック、石英粉末等を挙げることができる。
【0063】
老化防止剤としては、例えば、キノリン類、フォスフェート類、フェニレンジアミン類、クレゾール類、フェノール類、ジチオカルパメート金属塩類を、耐熱剤としては、例えば酸化セリウム、酸化鉄、ナフテン酸鉄、水酸化カリウム、ナフテン酸カリウムを配合してもよい。そのほか着色剤、紫外線吸収剤、発泡剤等を必要に応じて任意に配合できる。
【0064】
本発明の定着および/または加圧ローラは、例えば、次のようにして製造することができる。すなわち、ポリオルガノシロキサンと、予めフッ素樹脂を分散させてもよいフルオロエラストマーを前記のように加熱条件下に混練してフルオロエラストマーを1〜10μmの大きさの粒子として均一に分散させ、その後、前記のような加硫温度以下の温度において加硫剤、加硫助剤等を添加して混合し、得られた混合物を、予めプライマーを均一に塗布、乾燥させた円筒軸体(芯金)の外周に形成されている弾性体層の少なくとも最外層となるように、金型を用いたトランスファーによるプレス成形を行い、型加硫、脱型、二次加硫、研磨の工程を経ることにより製造される。また、液状ポリオルガノシロキサンを用いる場合には、前述したように、粘度が100Pa・s〜1000Pa・s(25℃)の範囲にある液状ポリオルガノシロキサンとムーニー粘度が70ML(1+10)100℃以下であるフルオロエラストマーを160℃〜220℃の加熱条件下で混練を行い、その後加硫反応が起こらない温度範囲において加硫助剤、加硫剤を配合し、ローラの弾性体層に用いるミクロンレベルの分散複合材料を調製する。次に、プライマーを予め均一に塗布、乾燥させた円筒軸体(ローラ芯金あるいは耐熱性弾性体層が形成されているローラ)を準備し、金型を用いたトランスファーによるプレス成形を行い、脱型、二次加硫、研磨の工程を経ることによりローラを製造することができる。
【0065】
このようにして得られる単層構造のローラを図1および2に示す。図1および2において1はローラ芯金、2はポリオルガノシロキサンとフッ素樹脂を含有することもあるフルオロエラストマーの複合材料から成る弾性体層(最外層)である。次に、図3に2層構造のローラを示す。2層構造のローラは、ローラ芯金1の外周に、まず、従来のシリコーンゴム等からなる耐熱性弾性体層3を形成し、この弾性体層3の外周に本発明の複合材料からなる弾性体層2が形成される。なお、本発明のローラは上述の単層あるいは2層構造のローラに限定されるものではなく、3層以上の多層構造であってもよい。
【0066】
本発明のローラは、電子写真画像形成装置の定着用部材である定着および加圧ローラはもちろん、これ以外の定着用部材であるオイル供給ローラ、オイル規制ブレード等の用途にも応用することが可能である。
【0067】
【実施例】
以下に、実施例により本発明の詳細を説明するが、本発明がこれらによってなんら限定されるものではない。
【0068】
実施例1
25℃における粘度が1万Pa・sの両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖の直鎖状ジメチルポリシロキサン40重量部と、25℃における粘度が30Pa・sであり、二官能性のジメチルシロキサン単位を約300個連続して有する直鎖状ポリシロキサンセグメントと、その両端に結合している、一つのビニル基を有する分岐状ポリメチルシロキサンセグメントからなるブロックポリマー60重量部からなり、全体として25℃における粘度が700Pa・sとなる液状ポリオルガノシロキサンと、反応基としてヨウ素を含有し、ムーニー粘度が60ML(1+10)100℃であるフルオロエラストマー(商品名:G902,ダイキン工業(株)製)を等量(150g)ずつミキサー(万能混合攪拌機 型式5DMV−01−r 株式会社ダルトン製)において200℃に加熱しながら混練した後、約50℃で加硫助剤であるトリアリルイソシアヌレート6gと加硫剤である2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン4.5gを添加し再び混練を行った。このように調製した複合材料を170℃において15分間プレス成形を行い、1mm厚のゴムシートを作製し、その後、加熱オーブンで二次加硫(180℃、24時間)を行った。得られたシートの表面における分散状態を低真空走査型電子顕微鏡(LV−SEM)を用いて、電子線プローブマイクロアナライザー(EPMA)で元素マッピングを行うことにより調べた(SEM:日本電子(株)製JSM−5800LV型、EPMA:日本フィリップス(株)製DX−Prime型、加速電圧:10kV,測定モード:低真空モード(約40Pa)、測定倍率:1000倍、検出器:エネルギー分散型(EDS)、マッピング元素:C,F,Si)。
【0069】
その結果、図4に分散状態を示したように、海相がポリオルガノシロキサン、島相がフルオロエラストマーであり、島相の粒子の大きさは1〜10μmの範囲であることがわかった。なお、ミキサー以外の他の混練方法を用いても同様の分散性が得られた。
【0070】
比較例1
反応基としてビニル基を含有し、粘度が700Pa・sであるポリオルガノシロキサンと反応基としてヨウ素を含有し、ムーニー粘度が60ML(1+10)100℃であるフルオロエラストマーを等量(150g)ずつをミキサーよりもせん断力が大きいオープンロール(二本ロール 関西ロール株式会社製)を用いて室温で混練した後、加硫助剤であるトリアリルイソシアヌレート6gと加硫剤である2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン4.5gを添加し再び室温でオープンロールを用いて混練を行った。このように調製した複合材料を170℃において15分間プレス成形を行い、1mm厚のゴムシートを作製し、その後、加熱オーブンで二次加硫(180℃、24時間)を行った。このシートの表面における分散状態を実施例1と同様の方法を用いて調べた。
【0071】
その結果、海相がポリオルガノシロキサン、島相がフルオロエラストマーであり、島相の粒子の大きさは50〜200μm程度であることがわかった。
【0072】
実施例2
予めプライマー(モニカスV−16A/B横浜高分子研究所製)を均一に塗布、乾燥させたローラ芯金(外径φ58.9、内径φ34)と、実施例1と同じ方法で調製した複合材料を用いて、金型を用いたトランスファーによるプレス成形を行い、脱型し、加熱オーブンで二次加硫した後、研磨することによりローラ(外径φ59.4、ゴム厚250μm)を仕上げた。このローラをモノクロ電子写真複写機に定着ローラとして組み込み、コピー耐久試験を行った。
【0073】
<定着装置の構成>
本発明の効果を検証するために用いた定着装置について図5に構成図を示した。定着装置には、定着器の上ローラである定着ローラ5および下ローラである加圧ローラ4が配置されている。定着ローラ4の中心にはハロゲンランプからなるヒータ6が二本組み込まれている。定着温度は、定着ローラ5の表面温度をサーミスタ7により測定された温度をもとに、ヒータ6の出力が制御され、設定温度に保たれている。定着ローラ4には、トナーオフセットを防止するため、シリコンオイルを含浸させたウェブ8を二点接触させ、巻き取り機構によってウェブ8の接触面を徐々に移動させながら定着ローラ4へのシリコンオイル塗布とオフセットトナーのクリーニングを行っている。なお、上記方法により作製したローラを定着ローラ4として組み込み、コピー耐久試験を行った。
【0074】
比較例2
比較例1と同じ方法で複合材料を調製した以外は、実施例2と同様にローラを仕上げ、コピー耐久試験を行った。
【0075】
比較例3
実施例1で用いたポリオルガノシロキサン300gに加硫助剤であるトリアリルイソシアヌレート6gと加硫剤である2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン4.5gを配合した材料を用いて、実施例2と同じ方法でローラを製造し、コピー耐久試験を行った。
【0076】
比較例4
実施例1で用いたフルオロエラストマー300gに加硫助剤であるトリアリルイソシアヌレート6gと加硫剤である2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン4.5gを配合した材料を用いて、実施例2と同じ方法でローラを製造し、コピー耐久試験を行った。
【0077】
実施例1と比較例1の結果から、粘度が100Pa・s〜1000Pa・s(25℃)の範囲である液状ポリオルガノシロキサンと、ムーニー粘度が70ML(1+10)100℃以下のフルオロエラストマーを混練する際に、160℃〜220℃の加熱条件下で行うことにより、加熱せずにただ単に機械的に混練したときよりも分散状態が1オーダーから2オーダー向上し、ミクロンレベルの均等な分散状態をもつ複合材料が得られることがわかる。
【0078】
次に、実施例2と比較例2〜4のコピー耐久試験の結果を表1に示す。
【0079】
【表1】
Figure 0003684130
表1の説明を以下において行う。まず、実施例2の場合は10万枚通紙した時点でコピー画像にトナーオフセットによる画像抜けや画像ムラは見られず、良好なコピー画像が得られた。また、耐久後のローラ表面にはコピー画像上に影響が及ぶようなウェブへの付着物によるキズスジは認められなかった。これに対して比較例2の場合は5万枚通紙した時点でコピー画像にトナーオフセットによる画像抜けが発生した。また、比較例3の場合は2万枚通紙時においてローラ表面に目視で多数のキズスジが認められ、このキズスジがコピー画像上に抜けスジとして現れた。そして比較例4の場合には2万枚通紙時でトナーオフセットが発生した。
【0080】
実施例3および4
フルオロエラストマー(B)とフッ素樹脂(C)とを表2に示す重量比でオープンロールを用いて予め混合し、次にこの(B)と(C)の混合物とポリオルガノシロキサン(A)とをインターナルミキサーにおいて加熱(約200℃)しながら混合し、その後、加硫温度以下(約50℃)において加硫助剤、加硫剤を同表に示す割合で添加し、再び混合することによりゴム組成物を作製した。次に、上記ゴム組成物を外周面に接着剤を塗布したアルミ製軸芯体とともに型加硫、研磨することにより厚み250μの弾性体層を形成した。そして、これを二次加硫させることにより目的とする図1および図2に示す単層構造のローラを成形した。
【0081】
【表2】
Figure 0003684130
*1:ダイキン工業(株)製 G902(パーオキサイド加硫)
*2:ダイキン工業(株)製 ルブロンL5F(PTFE)
*3:(A)と(B)との合計を100重量部とし、それに対する配合量
*4:日本化成(株)製 “TAIC”(トリアリルイソシアヌレート)
*5:日本油脂(株)製 “パーヘキサ 25B”(2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン)
【0082】
得られたローラを電子写真複写機に定着ローラとして組み込み、通紙耐久試験を行った。その結果、実施例およびのローラはいずれも通紙枚数が100000枚以上でもローラに全く異常はなかった。
【0083】
【発明の効果】
本発明の定着および/または加圧ローラは、ポリオルガノシロキサンが海相、フッ素樹脂を含有することもあるフルオロエラストマーが島相となる海島構造を有し、かつ島相の粒子の大きさが1〜10μmの範囲となるミクロンレベルで均等に分散された、ポリオルガノシロキサンとフッ素樹脂を含有することもあるフルオロエラストマーとの複合材料を少なくとも最外層の弾性体として用いていることにより、実施例のコピー耐久試験の結果から明らかなように、トナー離型性および耐キズ性・耐摩耗性ともに優れている。また、上記複合材料の調製に際して、加熱条件下にポリオルガノシロキサンとフッ素樹脂を含有することもあるフルオロエラストマーとを混練することにより、それぞれの材料の分散性を向上させ上記の構造を有する上記複合材料を調製することが可能となる。また、本発明の定着装置は、ローラのトナー離型性、および耐キズ性、耐摩耗性とも優れ、高画質の画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関わる単層構造の定着用ローラの断面図である。
【図2】本発明に関わる単層構造の定着用ローラの斜視図、およびその一部の拡大断面図である。
【図3】本発明に関わる2層構造の定着用ローラの断面図である。
【図4】本発明に関わる定着用ローラに用いる複合材料の分散状態を示す模式的平面図である。
【図5】本発明の効果を検証するために用いたモノクロ複写機における定着装置の構成図である。

Claims (8)

  1. 円筒軸体の外周に単層または多層構造からなる弾性体層が形成されたローラであり、前記弾性体層の少なくとも最外層がポリオルガノシロキサンとフルオロエラストマーの複合材料から成る定着および/または加圧ローラであって、この複合材料が、ポリオルガノシロキサンが海相、フルオロエラストマーが島相である海島構造を有しており、かつ島相の粒子の大きさが1〜10μmの範囲であることを特徴とする定着用ローラ。
  2. 前記島相であるフルオロエラストマー中にフッ素樹脂が分散され、該フッ素樹脂は島相であるフルオロエラストマー中にのみ存在する請求項1に記載の定着用ローラ。
  3. フルオロエラストマー(B)とフッ素樹脂(C)との配合割合が、重量比(B)/(C)で100:0〜40:60であり、かつポリオルガノシロキサン(A)とフルオロエラストマー(B)との配合割合が重量比(A)/(B)で80:20〜20:80に設定されている請求項1または2に記載の定着用ローラ。
  4. 前記定着および/または加圧ローラに用いる複合材料を調製する際に、ポリオルガノシロキサンとフルオロエラストマーを、またはポリオルガノシロキサンと、フッ素樹脂を予め分散させたフルオロエラストマーを加熱条件下に混練することを特徴とする請求項1または2に記載の定着用ローラの製造方法。
  5. 粘度100Pa・s〜1000Pa・s(25℃)の液状ポリオルガノシロキサンと、ムーニー粘度が70ML(1+10)100℃以下であるフルオロエラストマーとを160°〜220℃の加熱条件下で混練する請求項4に記載の定着用ローラの製造方法。
  6. ポリオルガノシロキサンとフルオロエラストマーがともに有機過酸化物加硫可能である材料種を用いる請求項4または5に記載の定着用ローラの製造方法。
  7. ポリオルガノシロキサンとフルオロエラストマー、またはポリオルガノシロキサンとフッ素樹脂を予め分散したフルオロエラストマーとを加熱条件下に混練し、その後加硫温度以下の温度で少なくとも加硫剤を配合し、得られた配合物を前記円筒軸体の外周に形成される弾性体層の少なくとも最外層をなすように適用し、ついで加硫温度以上の温度において加熱して硬化させる請求項1または2に記載された定着用ローラの製造方法。
  8. 電子写真画像形成装置に用いる定着装置であって、請求項1〜3のいずれかに記載されている定着用ローラを有することを特徴とする定着装置。
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