JP3683058B2 - 電動圧縮かしめ方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、第1部材を長手方向に圧縮変形させた状態で第2部材の一部をかしめ加工するかしめ方法および装置に係り、特に、電動モータにより第1部材を所定の圧縮荷重で圧縮変形させた状態で第2部材をかしめ加工する電動圧縮かしめ方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
第1部材を長手方向に圧縮変形させた状態で第2部材の一部をかしめ加工することにより、その第1部材が所定の残留軸力を有する状態で第2部材によって保持されているかしめ製品が知られている。例えば、図10に示す非分解式のショックアブソーバ10はその一例で、大径の円筒形状を成しているアウタチューブ12と小径の円筒形状を成しているシリンダチューブ14とが略同心に配設されているとともに、シリンダチューブ14の上端には、それぞれ円環形状を成すロッドガイド16およびシール部材18が配設されており、ロッドガイド16にはロッド20が軸方向の摺動可能に挿通させられている。ロッドガイド16およびシール部材18は、アウタチューブ12の内側に嵌合されている嵌合部品で、シール部材18がアウタチューブ12内に押圧されてシリンダチューブ14が軸方向に圧縮変形させられた状態で、アウタチューブ12の上端縁12aが内側へかしめ加工されることにより、シリンダチューブ14が所定の残留軸力を有する状態でアウタチューブ12内に収容されている。なお、このショックアブソーバ10は車両用のもので、図示しない圧縮コイルスプリングの下端が着座させられるばね受け22等を備えているとともに、図10はショックアブソーバ10の上端部分のみを示した図である。上記シリンダチューブ14は第1部材に相当し、アウタチューブ12は第2部材に相当する。
【0003】
かかるショックアブソーバ10は、例えば図11に示すかしめ装置100によりかしめ加工されて組み立てられる。かしめ装置100は、アウタチューブ12の上端縁12aをかしめ加工する前のショックアブソーバ10を、略垂直な姿勢で位置決めして保持するワーク保持台102と、昇降シリンダ104によって比較的大きなストロークで上下動させられるスライド部材106と、ショックアブソーバ10の種類(高さ寸法)に応じてスライド部材106の下降端位置を規定するストッパ107と、スライド部材106に配設されて圧縮ヘッド108を所定の圧縮荷重FA で下降させる圧縮シリンダ110と、スライド部材106に略水平な一平面内においてショックアブソーバ10の軸心を中心とする放射状に配設された複数(例えば4個)のかしめヘッド112と、そのかしめヘッド112をそれぞれ中心(ショッアブソーバ10の軸心)に向かって前進させる複数のかしめシリンダ114とを備えている。
【0004】
昇降シリンダ104は、スライド部材106をストッパ107に当接するまで下降させるもので、その状態で圧縮シリンダ110により圧縮ヘッド108が圧縮荷重FA で下降させられることにより、ショックアブソーバ10のシール部材18に当接させられるとともに、その圧縮荷重FA でシリンダチューブ14が軸方向に圧縮変形させられる。そして、その状態でかしめシリンダ114によりかしめヘッド112を前進させれば、アウタチューブ12の上端縁12aが内側へかしめ加工(曲げ加工)され、シリンダチューブ14が所定の残留軸力を有する状態でアウタチューブ12によって保持される。
【0005】
上記かしめ加工時にはかしめヘッド112、更にはスライド部材106に上方へ向かう方向の反力が作用するため、スライド部材106が上方へ逃げないように昇降シリンダ104に連通する油路を遮断するか、その反力に上記圧縮荷重FA を加算した荷重よりも大きな荷重でスライド部材106をストッパ107に押圧するように昇降シリンダ104の油圧を設定する必要がある。図11の例では、スライド部材106を高速移動させるために小径の昇降シリンダ104が用いられ、パイロットチェック弁により油圧回路を遮断してスライド部材106の移動を阻止するようになっている。なお、圧縮荷重FA は圧縮シリンダ110によって制御されるため、スライド部材106が昇降シリンダ104の油の圧縮等で多少変位しても、圧縮シリンダ110のピストンがストローク端に達しない限り、シリンダチューブ14は圧縮荷重FA で圧縮される。
【0006】
一方、このような非分解式のショックアブソーバ10は、所定のシール性能を確保する上でシリンダチューブ14の残留軸力を保証する必要があり、抜取り検査で歪ゲージを用いて残留軸力を測定していた。これは、例えばシリンダチューブ14を組み付ける前にアウタチューブ12の外周面に歪ゲージを貼り付け、シリンダチューブ14を圧縮変形させた状態で組み付けた後のアウタチューブ12の引張応力を、シリンダチューブ14の残留軸力(圧縮応力)として測定する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のかしめ装置においては、2本の油圧シリンダ(104,110)を用いてシリンダチューブを圧縮変形するとともに、油圧回路を遮断してスライド部材の逃げを阻止するようになっているため、装置が大掛かりで高価になり、且つサイクルタイムが長くなるという問題があった。また、ワーク(ショックアブソーバ)の種類が変わる毎に、ストッパの位置を変更するという面倒な作業が必要であった。
【0008】
また、抜取り検査によって残留軸力を検査しているため、総ての製品について必ずしも十分な保証が得られないとともに、歪ゲージを使用して検査するため、作業が面倒で時間がかかる。歪ゲージを貼り付ける際には、表面の塗装を剥がしたり、接着のためにすり疵を付けたりするため、製品に疵が付くことがある。
【0009】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、装置を簡単且つ安価に構成できるとともにサイクルタイムが短く、且つ面倒な作業を行うことなく複数種類のワークを取り扱うことができるようにすることにある。また、歪ゲージを用いることなく、総ての製品について容易に残留軸力を検査できるようにすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、第1発明は、第1部材を長手方向に圧縮変形させた状態で第2部材の一部をかしめ加工することにより、その第1部材が所定の残留軸力を有する状態でその第2部材によって保持されるようにするかしめ方法であって、(a) 電動モータを動力源としてスライド部材を前記第1部材の長手方向へ直線移動させることにより、そのスライド部材に一体的に設けられた圧縮ヘッドをその第1部材に押圧するとともに、所定の圧縮荷重でその第1部材を長手方向に圧縮変形させるようにその電動モータのトルク制御を行う圧縮工程と、(b) その圧縮工程で前記第1部材が圧縮変形させられた状態で、前記スライド部材に配設されたかしめ駆動手段によりかしめヘッドを移動させて、前記第2部材の一部をかしめ加工するかしめ工程と、(c) そのかしめ工程では、前記かしめ加工により前記スライド部材に作用する反力に前記圧縮荷重を加えた荷重よりも大きな位置決め荷重でそのスライド部材の移動を阻止するように、前記電動モータを位置決め制御する位置決め工程とを有することを特徴とする。
【0011】
第2発明は、第1発明において、(a) 前記かしめ工程の後で前記電動モータによる位置決め荷重を低下させ、前記第1部材が前記第2部材のかしめによって阻止される組付状態まで弾性復帰するとともに、前記スライド部材がその第1部材の弾性復帰に伴って戻り移動させられることを許容する荷重低下工程と、(b) その荷重低下工程の後で、前記電動モータのトルク制御により所望する残留軸力よりも大きい判定荷重で前記スライド部材を介して前記圧縮ヘッドを前記第1部材に押圧するとともに、その時のそのスライド部材の移動量からその第1部材の残留軸力を推定する軸力推定工程とを有することを特徴とする。
【0012】
第3発明は、第1部材を長手方向に圧縮変形させた状態で第2部材の一部をかしめ加工することにより、その第1部材が所定の残留軸力を有する状態でその第2部材によって保持されるようにするかしめ方法であって、(a) 電動モータを動力源としてスライド部材を前記第1部材の長手方向へ直線移動させることにより、そのスライド部材に一体的に設けられた圧縮ヘッドでその第1部材を長手方向に圧縮変形させるとともに、その状態でそのスライド部材に配設されたかしめ手段で前記第2部材の一部をかしめ加工するかしめ工程と、(b) そのかしめ工程の後で、前記第1部材が前記第2部材のかしめによって阻止される組付状態まで弾性復帰するとともに、前記スライド部材が該第1部材の弾性復帰に伴って戻り移動させられることを許容するように、前記電動モータによる該第1部材の圧縮制御を軽減する圧縮軽減工程と、(c) その圧縮軽減工程の後で、前記電動モータのトルク制御により所望する残留軸力よりも大きい判定荷重で前記スライド部材を介して前記圧縮ヘッドを前記第1部材に押圧するとともに、その時のそのスライド部材の移動量からその第1部材の残留軸力を推定する軸力推定工程とを有することを特徴とする。
【0013】
第4発明は、第1部材を長手方向に圧縮変形させた状態で第2部材の一部をかしめ加工することにより、その第1部材が所定の残留軸力を有する状態でその第2部材によって保持されるようにするかしめ装置であって、(a) 電動モータを動力源としてスライド部材を前記第1部材の長手方向へ直線移動させることにより、そのスライド部材に一体的に設けられた圧縮ヘッドをその第1部材に押圧するとともに、所定の圧縮荷重でその第1部材を長手方向に圧縮変形させるようにその電動モータのトルク制御を行う圧縮手段と、(b) その圧縮手段によって前記第1部材が圧縮変形させられた状態で、前記スライド部材に配設されたかしめ駆動手段によりかしめヘッドを移動させて、前記第2部材の一部をかしめ加工するかしめ手段と、(c) そのかしめ手段によるかしめ加工時には、そのかしめ加工により前記スライド部材に作用する反力に前記圧縮荷重を加えた荷重よりも大きな位置決め荷重でそのスライド部材の移動を阻止するように、前記電動モータを位置決め制御する位置決め手段とを有することを特徴とする。
【0014】
第5発明は、第4発明において、(a) 前記かしめ手段によるかしめ加工の後で前記電動モータによる位置決め荷重を低下させ、前記第1部材が前記第2部材のかしめによって阻止される組付状態まで弾性復帰するとともに、前記スライド部材がその第1部材の弾性復帰に伴って戻り移動させられることを許容する荷重低下手段と、(b) その荷重低下手段による位置決め荷重の低下で前記スライド部材が戻り移動させられた後で、前記電動モータのトルク制御により所望する残留軸力よりも大きい判定荷重で前記スライド部材を介して前記圧縮ヘッドを前記第1部材に押圧するとともに、その時のそのスライド部材の移動量からその第1部材の残留軸力を推定する軸力推定手段とを有することを特徴とする。
【0015】
第6発明は、第1部材を長手方向に圧縮変形させた状態で第2部材の一部をかしめ加工することにより、その第1部材が所定の残留軸力を有する状態でその第2部材によって保持されるようにするかしめ装置であって、(a) 電動モータを動力源としてスライド部材を前記第1部材の長手方向へ直線移動させることにより、そのスライド部材に一体的に設けられた圧縮ヘッドでその第1部材を長手方向に圧縮変形させる圧縮手段と、(b) その圧縮手段によって前記第1部材が圧縮変形させられた状態で、前記スライド部材に配設されたかしめ駆動手段によりかしめヘッドを移動させて、前記第2部材の一部をかしめ加工するかしめ手段と、(c) そのかしめ手段によるかしめ加工の後で、前記第1部材が前記第2部材のかしめによって阻止される組付状態まで弾性復帰するとともに、前記スライド部材がその第1部材の弾性復帰に伴って戻り移動させられることを許容するように、前記電動モータによるその第1部材の圧縮制御を軽減する圧縮軽減手段と、(d) その圧縮軽減手段による圧縮制御の軽減に伴って前記スライド部材が戻り移動させられた後で、前記電動モータのトルク制御により所望する残留軸力よりも大きい判定荷重で前記スライド部材を介して前記圧縮ヘッドを前記第1部材に押圧するとともに、その時のそのスライド部材の移動量からその第1部材の残留軸力を推定する軸力推定手段とを有することを特徴とする。
【0016】
【発明の効果】
第1発明の電動圧縮かしめ方法は、電動モータのトルク制御によって第1部材を所定の圧縮荷重で長手方向に圧縮変形させる(圧縮工程)とともに、その後のかしめ加工によりスライド部材に作用する反力に圧縮荷重を加えた荷重よりも大きな位置決め荷重でスライド部材の移動を阻止するように電動モータを位置決め制御しながら(位置決め工程)、スライド部材に配設されたかしめ駆動手段によりかしめヘッドを移動させて第2部材をかしめ加工する(かしめ工程)ようになっているため、従来のように2本の油圧シリンダを用いて第1部材を圧縮する場合に比較して、装置を簡単且つ安価に構成できるとともにサイクルタイムが短くなる。また、第1部材を圧縮する際のスライド部材の位置が異なる複数種類のワークを取り扱う場合でも、圧縮ヘッドが第1部材に当接するまで電動モータのトルク制御でスライド部材を移動させれば良いため、総ての種類に対応できるように予めスライド部材の移動ストロークを確保しておけば、ワークの種類の変更に拘らず何の変更作業(段取替え)も必要とすることなく連続して能率良くかしめ作業を行うことができる。第4発明の電動圧縮かしめ装置についても実質的に同じ効果が得られる。
【0017】
第2発明では、上記かしめ工程の後で電動モータによる位置決め荷重が低下させられることにより、第1部材の弾性復帰に伴ってスライド部材が戻り移動させられる(荷重低下工程)とともに、その後、電動モータのトルク制御により所望する残留軸力よりも大きい判定荷重で圧縮ヘッドが第1部材に押圧され、その時のスライド部材の移動量から第1部材の残留軸力を推定する(軸力推定工程)ようになっているため、歪ゲージを用いることなく総ての製品について容易に残留軸力を検査することができる。これにより、製品の信頼性が向上するとともに、検査の手間が大幅に軽減され、且つ検査のために製品に疵が付く恐れもない。第5発明の電動圧縮かしめ装置についても実質的に同じ効果が得られる。
【0018】
第3発明のかしめ方法においては、電動モータにより第1部材を長手方向に圧縮変形させた状態でかしめ手段により前記第2部材をかしめ加工した(かしめ工程)後、電動モータによる第1部材の圧縮制御が軽減されることにより、その第1部材の弾性復帰に伴ってスライド部材が戻り移動させられる(圧縮軽減工程)とともに、その後、電動モータのトルク制御により所望する残留軸力よりも大きい判定荷重で圧縮ヘッドが第1部材に押圧され、その時のそのスライド部材の移動量から第1部材の残留軸力を推定する(軸力推定工程)ようになっているため、歪ゲージを用いることなく総ての製品について容易に残留軸力を検査することができる。これにより、製品の信頼性が向上するとともに、検査の手間が大幅に軽減され、且つ検査のために製品に疵が付く恐れもない。第6発明の電動圧縮かしめ装置についても実質的に同じ効果が得られる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明は、例えば大径の円筒形状を成しているアウタチューブ(第2部材)の内側に、略同心に小径の円筒形状を成しているシリンダチューブ(第1部材)が配設され、アウタチューブに嵌合された嵌合部品を介してシリンダチューブが軸方向に圧縮変形させられた状態で、アウタチューブの端部が内側へかしめ加工されて嵌合部品と係合させられることにより、シリンダチューブが所定の残留軸力を有する状態でアウタチューブ内に保持される非分解式のショックアブソーバの組付作業に好適に適用されるが、第1部材が所定の残留軸力を有する状態で第2部材によって保持される他のかしめ製品の組付作業にも適用され得る。
【0020】
電動モータを動力源としてスライド部材を直線移動させる圧縮工程では、例えば電動モータによって送りねじが軸心まわりに回転駆動されることにより、その送りねじに螺合されたボールナットがスライド部材と共に送りねじの軸方向へ直線移動させられるように構成される。
【0021】
かしめ駆動手段としては油圧シリンダが好適に用いられるが、電動モータなどの他のアクチュエータを使用することも可能である。かしめヘッドは、例えばスライド部材の移動方向と略直角な一平面内において、第2部材の周囲に位置するように放射状に複数配設され、かしめ駆動手段によってそれぞれ中心側へ移動させられることにより、先端部の傾斜面で第2部材の一部をかしめ加工するように構成される。この場合は、第2部材に係合させられる傾斜面により、スライド部材を戻し移動させる方向の反力が作用するが、かしめヘッドの移動方向などによりスライド部材に作用する反力の発生形態は異なる。
【0022】
第1発明の位置決め工程や第4発明の位置決め手段における電動モータの位置決め制御としては、例えば電動モータの回転をエンコーダ(回転検出器)などで検出して所定の回転位置に位置決めするようにモータ電流をフィードバック制御する位置制御や、スライド部材の移動に伴って電動モータが回転駆動されることにより、発電機と同様な作用で発生する電流の流れを制限して回転抵抗を与える電流制限制御(制動トルク制御)などが好適に用いられる。この時のトルクは、反力に圧縮荷重を加えた荷重よりも大きな位置決め荷重でスライド部材を位置決めできれば良いため、特にモータトルクを制限することなく許容最大トルクまで使うようにしても差し支えない。
【0023】
第2発明の荷重低下工程や第5発明の荷重低下手段は、例えば電動モータの位置決め荷重を0として電動モータが自由回転できるようにすることが望ましいが、少なくとも第1部材が第2部材のかしめによって阻止される組付状態まで弾性復帰させられれば良いため、必ずしも位置決め荷重を0まで低下させる必要はない。具体的には、所望する残留軸力よりも低い荷重まで低下させれば良い。
【0024】
第2発明、第3発明の軸力推定工程や第5発明、第6発明の軸力推定手段は、例えばスライド部材の移動量をパラメータとする演算式やマップ等に従って第1部材の残留軸力を算出するように構成されるが、スライド部材の移動量は第1部材の残留軸力に対応するため、その移動量が所定の範囲内か否か、或いは所定値以下か否かなど、移動量に基づいてかしめ加工の良否を判定する良否判定手段等として構成することもできる。
【0025】
第3発明のかしめ工程や第6発明の圧縮手段において、電動モータにより第1部材を圧縮変形させる圧縮制御は、第1発明のようにトルク制御によって所定の圧縮荷重で圧縮変形させた後、その状態を維持するように位置決め制御することが望ましいが、例えばスライド部材を所定の圧縮位置まで移動させて位置決めするなど、種々の態様を採用できる。その圧縮制御を軽減する圧縮軽減工程や圧縮軽減手段は、圧縮制御の態様に応じて適宜定められ、例えば電動モータのトルクを0として電動モータが自由回転できるようにして、電動モータによる第1部材の圧縮状態を完全に解放することが望ましいが、少なくとも第1部材が第2部材のかしめによって阻止される組付状態まで弾性復帰させられれば良いため、必ずしもモータトルクを0まで低下させる必要はない。具体的には、所望する残留軸力よりも低い荷重まで低下させれば良い。
【0026】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例では、前記図10に示されているように大径の円筒形状を成しているアウタチューブ(第2部材)12の内側に、略同心に小径の円筒形状を成しているシリンダチューブ(第1部材)14が配設され、アウタチューブ12に嵌合された嵌合部品(ロッドガイド16およびシール部材18)を介してシリンダチューブ14が軸方向に圧縮変形させられた状態で、アウタチューブ12の端部(上端縁12a)が内側へかしめ加工されてシール部材18と係合させられることにより、シリンダチューブ14が所定の残留軸力を有する状態でアウタチューブ12内に保持される非分解式のショックアブソーバ10の組付作業に適用された場合について説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施例である電動圧縮かしめ装置30の要部を示す概略斜視図で、図2は正面図、図3は左側面図、図4は図2におけるIV−IV断面図、図5は縦断面図、図6は図4におけるVI−VI断面図である。かかる電動圧縮かしめ装置30は、主として図2に示されているように、基台32上に配設されたワーク保持装置34と、基台32上に略垂直に一体的に固設された垂直フレーム36にガイドレール38を介して上下方向の移動可能に配設されたスライド部材40と、垂直フレーム36の上端に配設されてスライド部材40を上下方向へ移動させるサーボモータ42と、スライド部材40に配設されたかしめ手段44とを備えている。
【0028】
ワーク保持装置34は、ショックアブソーバ10を予め定められたかしめ中心線O(図4参照)と同心となる略垂直な姿勢に位置決めして保持するもので、高さ寸法が異なる複数種類のショックアブソーバ10に対応できるようになっている。この段階のショックアブソーバ10は、アウタチューブ12内にシリンダチューブ14およびロッド20が配設されるとともに、アウタチューブ12とロッド20との間の環状の空間内にロッドガイド16およびシール部材18が嵌合された状態で、アウタチューブ12の上端縁12aがかしめ加工される前のものである。
【0029】
スライド部材40には、図5に示されているようにボールナット46が一体的に取り付けられており、垂直フレーム36に前記かしめ中心線Oと平行な軸心まわりの回転可能に配設された送りねじ48に螺合されている。送りねじ48の上端部にはプーリが取り付けられ、タイミングベルト50を介して前記サーボモータ42によって回転駆動されるようになっており、これによりスライド部材40がかしめ中心線Oと平行な上下方向、言い換えればショックアブソーバ10の長手方向へ直線移動させられる。サーボモータ42にはロータの回転を検出する回転検出器43が設けられており、スライド部材40の上下位置が検出されるようになっている。このサーボモータ42は電動モータに相当する。
【0030】
スライド部材40は、図6に示されているように略水平な水平プレート52を備えており、その水平プレート52には、円筒形状の圧縮ヘッド54が取付ブロック56を介して前記かしめ中心線Oと同心に一体的に固設されている。圧縮ヘッド56の内径はロッド20よりも大径で、外径はアウタチューブ12の内径寸法よりも小径であり、スライド部材40が下降させられることにより、先端部(下端部)が前記シール部材18に当接させられて、シリンダチューブ14を軸方向に圧縮変形させる。取付ブロック56の下端部には、下側の開口部程大径となるテーパ形状のガイド穴がかしめ中心線Oと同心に設けられたガイドブロック58が取り付けられ、ショックアブソーバ10の上端部、厳密にはアウタチューブ12の上端縁と係合させられることにより、かしめ中心線Oと同心に芯出しして位置決めするようになっている。
【0031】
上記取付ブロック56には、かしめ中心線Oと直角な平面内において、そのかしめ中心線Oを中心として放射状に等角度間隔で4本の配設穴60が設けられており、それぞれかしめヘッド62が進退可能に配設されている。かしめヘッド62は前記かしめ手段44の一構成要素で、同じく取付ブロック56に一体的に配設された4個の油圧シリンダ64により、それぞれかしめ中心線Oに向かって前進させられるようになっており、これにより、アウタチューブ12の上端縁12aの4箇所が内側へかしめ加工される。前記圧縮ヘッド54には、配設穴60に対応して4つの切欠66が形成されており、かしめヘッド62が圧縮ヘッド54と干渉することなくかしめ加工できるようになっている。また、かしめヘッド62の配設位置、すなわち配設穴60の位置は、圧縮ヘッド54がシール部材18に当接してシリンダチューブ14を圧縮変形させた状態で、かしめヘッド62がアウタチューブ12の上端縁12aをかしめ加工できるように、圧縮ヘッド54との関係で予め設定されている。図6は、圧縮ヘッド54によってシリンダチューブ14が圧縮変形されるとともに、かしめヘッド62によってアウタチューブ12がかしめ加工された状態である。
【0032】
かしめヘッド62の先端下側の角部には傾斜面が設けられ、上端縁12aをかしめ加工する際の抵抗が軽減されるようになっているが、その反力でかしめヘッド62が上方へ逃げることがないように、かしめヘッド62の上下方向すなわちかしめ中心線Oと平行な方向の遊びが略0となるように位置決めする位置決めブロック68が取付ブロック56に配設されている。位置決めブロック68は摩耗に伴って逐次交換されるもので、かしめ中心線O方向における圧縮ヘッド54およびかしめヘッド62の位置関係は略一定に維持される。また、前記油圧シリンダ64はかしめ駆動手段に相当するもので、上記かしめヘッド62は、その油圧シリンダ64のピストン70にボルト72によって一体的に固定されており、ピストン70と一体的に前進、後退させられる。各油圧シリンダ64には、それぞれかしめヘッド62が前進端に達したこと、後退端に達したことを検出するスイッチ74、76(図4参照)が取り付けられている。
【0033】
前記回転検出器43、および上記前進端スイッチ74、後退端スイッチ76は、図7に示すようにそれぞれコントローラ78に接続されている。コントローラ78はマイクロコンピュータを備えて構成されており、予め定められたプログラムに従って信号処理を行うことにより、図8のフローチャートに示すように、前記サーボモータ42の作動を制御するとともに、油圧回路80の油圧ポンプを作動させたり油路を切り換えたりして前記油圧シリンダ64の作動を制御する。4つの油圧シリンダ64に対しては同時に同じ制御が行われる。
【0034】
図8のステップS1に先立って、スライド部材40は予め上昇端に保持されているとともに、かしめ手段44のかしめヘッド62は後退端に保持されており、その状態でショックアブソーバ10が作業者の手作業、或いは自動送給装置などにより送給され、ワーク保持装置34によって位置決め保持される。スライド部材40の上昇端位置は、上下ストロークを必要最小限にしてサイクルタイムを短くするために、ショックアブソーバ10の種類によって適宜変更されるようにしても良い。そして、そのワーク保持装置34による保持完了信号、或いは作業者のスイッチ操作などにより、ステップS1以下が実行される。
【0035】
ステップS1では、予め定められた圧縮荷重FA に応じてサーボモータ42の最大力行トルク、すなわちモータ電流が設定される。圧縮荷重FA は、圧縮ヘッド54でシリンダチューブ14を圧縮変形させる際の荷重で、図9に示すように所望する残留軸力の下限値Fmin よりも十分に大きな荷重(例えば2.5ton程度)であり、最大力行トルクは、圧縮荷重FA の他にスライド部材40の重量や送りねじ48のリード角などをパラメータとする演算式などにより求められる。圧縮荷重FA に対応する最大力行トルクを予め設定するようにしても良い。また、圧縮荷重FA は一定値であっても良いが、かしめ加工を行うショックアブソーバ10の種類に応じて異なる値が設定されても良く、その場合は、例えば作業者が選択スイッチなどでショックアブソーバ10の種類を選択したり、圧縮荷重FA そのものを入力したりするようにしても良い。生産管理する上位コンピュータなどにより、ONラインでショックアブソーバ10の種類や圧縮荷重FA が設定されるようにすることもできる。図9の実線は、シリンダチューブ14に作用する荷重と歪との関係を示す図で、その傾きはシリンダチューブ14の弾性係数に相当する。
【0036】
ステップS2では、サーボモータ42が上記最大力行トルクを上限として作動させられ、スライド部材40が下降させられる。ステップS3では、圧縮ヘッド54がシール部材18に当接してそれ以上の下降が阻止される下降端に達したか否かが、例えば回転検出器43から供給される位置信号が所定時間(例えば0.5秒)以上変化しないか否か、実際のモータトルクが所定時間以上上記最大力行トルクに張り付いているか否か、下降開始から所定時間が経過したか否か等によって判断され、下降端に達するまでスライド部材40が下降させられる。したがって、ショックアブソーバ10の種類(高さ寸法)に拘らず、圧縮ヘッド54はシール部材18に確実に当接させられ、そのシール部材18を介してシリンダチューブ14が圧縮荷重FA で軸方向に圧縮変形させられる。このスライド部材40の下降時の目標位置は、ショックアブソーバ10の種類に拘らず確実に圧縮ヘッド54がシール部材18に当接するように、最も低いショックアブソーバ10を基準にして予め一定値が設定されても良いが、ワーク供給ミスなどによる異常を検出する上で、ショックアブソーバ10の種類毎に圧縮ヘッド54がシール部材18に当接する上記下降端位置よりも少し低い位置に設定されるようにすることが望ましい。図9の歪εA は、圧縮荷重FA でシリンダチューブ14が圧縮された時の歪、すなわち軸方向の変形量である。ステップS1〜S3は請求項1の圧縮工程で、請求項4の圧縮手段として機能している。
【0037】
スライド部材40が下降端に達してステップS3の判断がYESになると、ステップS4において、予め定められた位置決め荷重FP に応じてサーボモータ42の最大位置決めトルクが設定される。位置決め荷重FP は、かしめ手段44によってかしめ加工が行われる際にスライド部材40に作用する上向きの反力でスライド部材40が逃げることを阻止するためのもので、その反力に前記圧縮荷重FA を加えた荷重よりも大きな荷重(例えば3.5ton程度)であり、最大位置決めトルクは、位置決め荷重FP の他にスライド部材40の重量や送りねじ48のリード角などをパラメータとする演算式などにより求められる。位置決め荷重FP に対応する最大位置決めトルクを予め設定するようにしても良い。また、ショックアブソーバ10の種類に拘らず確実にスライド部材40の後退(上昇)を阻止できるように、反力と圧縮荷重FA との加算値が最大のショックアブソーバ10を基準にして予め一定値が設定されても良いが、ショックアブソーバ10の種類に応じて異なる値が設定されても良く、その場合は、例えば作業者が選択スイッチなどでショックアブソーバ10の種類を選択したり、位置決め荷重FP そのものを入力したりするようにしても良い。生産管理する上位コンピュータなどにより、ONラインでショックアブソーバ10の種類や位置決め荷重FP が設定されるようにすることもできる。なお、サーボモータ42の許容最大トルクで位置決めするようにしても良い。
【0038】
サーボモータ42の位置決め制御は、現在位置を目標回転位置に設定し、回転検出器43で検出される実際の回転位置をその目標回転位置に位置決めするようにモータ電流をフィードバック制御する位置制御や、スライド部材40の移動に伴ってサーボモータ42が回転駆動されることにより、発電機と同様な作用で発生する電流の流れを制限して回転抵抗を与える電流制限制御(制動トルク制御)などが好適に用いられる。位置制御の場合の前記最大位置決めトルクは最大力行トルクであり、電流制限制御の場合の最大位置決めトルクは最大制動トルクである。
【0039】
そして、このように位置決め荷重FP でスライド部材40を現在位置、すなわち前記圧縮荷重FA でシリンダチューブ14を圧縮変形させた位置に位置決めした状態で、ステップS5およびS6を実行することにより、油圧シリンダ64によりかしめヘッド62を前進させてアウタチューブ12の上端縁12aをかしめ加工する。ステップS6では、かしめヘッド62が前進端に達したか否かを前進端スイッチ74からの信号で判断し、前進端に達したらステップS7で予め定められた所定時間(例えば1秒程度)だけそのかしめ状態を維持して、上端縁12aのかしめ状態を確実なものとする。この時、スライド部材40は位置決め荷重FP で位置決めされているため、かしめ手段44によってかしめ加工が行われる際にスライド部材40に作用する上向きの反力でスライド部材40が逃げる恐れはなく、シリンダチューブ14を圧縮荷重FA で圧縮変形させた状態(歪εA を有する状態)を維持しつつ、上端縁12aのかしめ加工が行われる。その後、ステップS8およびS9で、油圧シリンダ64によりかしめヘッド62が後退端まで戻され、かしめ手段44によるかしめ加工が終了する。
【0040】
上記ステップS4は請求項1の位置決め工程で、請求項4の位置決め手段として機能している。ステップS1〜S9は請求項3のかしめ工程で、ステップS1〜S4は請求項6の圧縮手段として機能している。また、ステップS5〜S9は請求項1のかしめ工程である。
【0041】
ステップS10ではモータトルクを0とし、サーボモータ42を自由回転可能な状態とする。これにより、サーボモータ42によるシリンダチューブ14の圧縮が解放され、かしめ加工されたアウタチューブ12の上端縁12aにシール部材18が係合する組付状態までシリンダチューブ14が弾性的に伸長(弾性復帰)させられるとともに、そのシリンダチューブ14の伸長に伴って、サーボモータ42を逆回転させながらスライド部材40が上方へ戻り移動させられる。図9の歪ε0 はこの時のもので、(εA −ε0 )はシリンダチューブ14の弾性復帰量、言い換えればスライド部材40の戻り移動量である。また、荷重F0 は、この時のシリンダチューブ14の残留軸力である。このステップS10は請求項2の荷重低下工程、請求項3の圧縮軽減工程で、請求項5の荷重低下手段、請求項6の圧縮軽減手段として機能している。なお、スライド部材40の戻り移動が容易となるように、スライド部材40と釣り合うバランサ(錘り)を設けたり、サーボモータ42に逆回転方向(スライド部材40を上昇させる方向)のトルクを発生させたりすることも可能である。
【0042】
次のステップS11では回転検出器43からの読込値を0にリセットし、ステップS12では、予め定められた判定荷重FB に応じてサーボモータ42の最大力行トルク、すなわちモータ電流が設定される。判定荷重FB は、図9に示すように所望する残留軸力の下限値Fmin より大きく、且つ前記圧縮荷重FA よりも小さい荷重であり、最大力行トルクは、判定荷重FB の他にスライド部材40の重量や送りねじ48のリード角などをパラメータとする演算式などにより求められる。判定荷重FB に対応する最大力行トルクを予め設定するようにしても良い。また、所望する残留軸力の下限値Fmin や圧縮荷重FA がショックアブソーバ10の種類に拘らず一定の場合は、判定荷重FB も一定値とすることができるが、それ等がショックアブソーバ10の種類毎に異なる場合には、判定荷重FB もショックアブソーバ10の種類毎に異なる値を設定することが望ましく、例えば作業者が選択スイッチなどでショックアブソーバ10の種類を選択したり、判定荷重FB そのものを入力したりするようにすれば良い。生産管理する上位コンピュータなどにより、ONラインでショックアブソーバ10の種類や判定荷重FB が設定されるようにすることもできる。
【0043】
ステップS13では、サーボモータ42が上記最大力行トルクを上限として作動させられ、その時の残留軸力F0 が上記判定荷重FB よりも小さい場合には、判定荷重FB でシリンダチューブ14を圧縮変形させながら、スライド部材40が再び下降させられる。この時の目標位置は、例えば前記ステップS4で位置決め制御を行った時の目標位置と同じ位置に設定される。ステップS14では、この時のスライド部材40の移動量、すなわちシリンダチューブ14の変形量ΔL(図9参照)を回転検出器43からの信号によって検出し、その変形量ΔLに基づいてかしめ加工の良否を判定する。スライド部材40が下降端に達したか否かは、前記ステップS3と同様にして判断すれば良い。また、かしめ加工の良否判定は、例えば所望する残留軸力の下限値Fmin の時の歪εmin と判定荷重FB での歪εB との差を、図9に実線で示すシリンダチューブ14の荷重−歪特性から求めて、最大変形量ΔLmax として予め設定しておき、ΔL≦ΔLmax の時は残留軸力F0 が下限値Fmin 以上であるためOK(良)とし、ΔL>ΔLmax の時は残留軸力F0 が下限値Fmin より小さいためNG(不良)とすれば良い。そして、その判定結果を表示ランプや不良ブザー等の表示手段で表示するとともに、ステップS15でサーボモータ42によりスライド部材40が上昇端の原位置まで戻されることにより、1つのショックアブソーバ10に対するかしめ加工が終了する。
【0044】
ステップS11〜S14は請求項2、請求項3の軸力推定工程で、請求項5、請求項6の軸力推定手段として機能している。
【0045】
ここで、本実施例の電動圧縮かしめ装置30は、サーボモータ42のトルク制御によってシリンダチューブ14を圧縮荷重FA で軸方向に圧縮変形させる(S1〜S3)とともに、その後のかしめ加工によりスライド部材40に作用する反力に圧縮荷重FA を加えた荷重よりも大きな位置決め荷重FP でスライド部材40の移動を阻止するようにサーボモータ42を位置決め制御しながら(S4)、アウタチューブ12の上端縁12aをかしめ加工する(S5〜S9)ようになっているため、図11の従来装置のように2本の油圧シリンダ104,110を用いてシリンダチューブ14を圧縮する場合に比較して、装置を簡単且つ安価に構成できるとともに一連の作業のサイクルタイムが短くなる。
【0046】
また、シリンダチューブ14を圧縮する際のスライド部材40の位置が異なる複数種類のショックアブソーバ10を取り扱う場合でも、圧縮ヘッド54がシール部材18に当接するまでサーボモータ42のトルク制御でスライド部材40を下降させれば良いため、取り扱う総ての種類のショックアブソーバ10に対応できるように予めスライド部材40の移動ストロークを確保しておけば、ショックアブソーバ10の種類の変更に拘らず面倒な変更作業(図11におけるストッパ107の段取替えなど)を必要とすることなく、連続して能率良くかしめ作業を行うことができる。
【0047】
また、上記かしめ加工の後でサーボモータ42のトルクが0とされることにより、シリンダチューブ14の弾性復帰に伴ってスライド部材40が上方へ戻り移動させられるとともに(S10)、その後、サーボモータ42のトルク制御によって所定の判定荷重FB で圧縮ヘッド54がシール部材18に押圧され、その時のスライド部材40の移動量ΔLからシリンダチューブ14の残留軸力F0 の良否を判定する(S11〜S14)ようになっているため、歪ゲージを用いることなく総ての製品について容易に残留軸力を検査することができる。これにより、製品の信頼性が向上するとともに、検査の手間が大幅に軽減され、且つ検査のために製品に疵が付く恐れもない。
【0048】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明は他の態様で実施することもできる。
【0049】
例えば、前記実施例ではかしめ加工に続いて連続してそのかしめ加工の良否を判定する場合について説明したが、その判定作業(ステップS10〜S14)を省略したり、所定の数量毎に判定作業(ステップS10〜S14)を行うようにしたりしても良い。
【0050】
また、前記実施例ではショックアブソーバ10のかしめ加工に適用された場合について説明したが、第1部材を圧縮変形させた状態で第2部材にかしめ加工を行う他の種々の製品のかしめ加工にも本発明は同様に適用され得る。
【0051】
その他一々例示はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である電動圧縮かしめ装置の要部を示す概略斜視図である。
【図2】図1の電動圧縮かしめ装置の正面図である。
【図3】図1の電動圧縮かしめ装置の左側面図である。
【図4】図2におけるIV−IV断面に相当する図である。
【図5】図1の電動圧縮かしめ装置の縦断面図である。
【図6】図4におけるVI−VI断面に相当する図である。
【図7】図1の電動圧縮かしめ装置の制御系統を説明するブロック線図である。
【図8】図1の電動圧縮かしめ装置の作動を説明するフローチャートである。
【図9】図8における荷重FA 、FB 等を説明する図である。
【図10】図1の電動圧縮かしめ装置によってかしめ加工されるショックアブソーバの一例を説明する図である。
【図11】図10のショックアブソーバのかしめ加工に用いられる従来のかしめ装置の一例を説明する図である。
【符号の説明】
10:ショックアブソーバ
12:アウタチューブ(第2部材)
14:シリンダチューブ(第1部材)
30:電動圧縮かしめ装置
40:スライド部材
42:サーボモータ(電動モータ)
44:かしめ手段
54:圧縮ヘッド
62:かしめヘッド
64:油圧シリンダ(かしめ駆動手段)
78:コントローラ
FA :圧縮荷重
FB :判定荷重
FP :位置決め荷重
F0 :残留軸力
ΔL:スライド部材の移動量
ステップS1〜S3:圧縮工程(請求項1)、圧縮手段(請求項4)
ステップS1〜S4:圧縮手段(請求項6)
ステップS4:位置決め工程(請求項1)、位置決め手段(請求項4)
ステップS5〜S9:かしめ工程(請求項1)
ステップS1〜S9:かしめ工程(請求項3)
ステップS10:荷重低下工程(請求項2)、圧縮軽減工程(請求項3)、荷重低下手段(請求項5)、圧縮軽減手段(請求項6)
ステップS11〜S14:軸力推定工程(請求項2,3)、軸力推定手段(請求項5,6)
Claims (6)
- 第1部材を長手方向に圧縮変形させた状態で第2部材の一部をかしめ加工することにより、該第1部材が所定の残留軸力を有する状態で該第2部材によって保持されるようにするかしめ方法であって、
電動モータを動力源としてスライド部材を前記第1部材の長手方向へ直線移動させることにより、該スライド部材に一体的に設けられた圧縮ヘッドを該第1部材に押圧するとともに、所定の圧縮荷重で該第1部材を長手方向に圧縮変形させるように該電動モータのトルク制御を行う圧縮工程と、
該圧縮工程で前記第1部材が圧縮変形させられた状態で、前記スライド部材に配設されたかしめ駆動手段によりかしめヘッドを移動させて、前記第2部材の一部をかしめ加工するかしめ工程と、
該かしめ工程では、前記かしめ加工により前記スライド部材に作用する反力に前記圧縮荷重を加えた荷重よりも大きな位置決め荷重で該スライド部材の移動を阻止するように、前記電動モータを位置決め制御する位置決め工程と
を有することを特徴とする電動圧縮かしめ方法。 - 請求項1において、
前記かしめ工程の後で前記電動モータによる位置決め荷重を低下させ、前記第1部材が前記第2部材のかしめによって阻止される組付状態まで弾性復帰するとともに、前記スライド部材が該第1部材の弾性復帰に伴って戻り移動させられることを許容する荷重低下工程と、
該荷重低下工程の後で、前記電動モータのトルク制御により所望する残留軸力よりも大きい判定荷重で前記スライド部材を介して前記圧縮ヘッドを前記第1部材に押圧するとともに、その時の該スライド部材の移動量から該第1部材の残留軸力を推定する軸力推定工程と
を有することを特徴とする電動圧縮かしめ方法。 - 第1部材を長手方向に圧縮変形させた状態で第2部材の一部をかしめ加工することにより、該第1部材が所定の残留軸力を有する状態で該第2部材によって保持されるようにするかしめ方法であって、
電動モータを動力源としてスライド部材を前記第1部材の長手方向へ直線移動させることにより、該スライド部材に一体的に設けられた圧縮ヘッドで該第1部材を長手方向に圧縮変形させるとともに、その状態で該スライド部材に配設されたかしめ手段で前記第2部材の一部をかしめ加工するかしめ工程と、
該かしめ工程の後で、前記第1部材が前記第2部材のかしめによって阻止される組付状態まで弾性復帰するとともに、前記スライド部材が該第1部材の弾性復帰に伴って戻り移動させられることを許容するように、前記電動モータによる該第1部材の圧縮制御を軽減する圧縮軽減工程と、
該圧縮軽減工程の後で、前記電動モータのトルク制御により所望する残留軸力よりも大きい判定荷重で前記スライド部材を介して前記圧縮ヘッドを前記第1部材に押圧するとともに、その時の該スライド部材の移動量から該第1部材の残留軸力を推定する軸力推定工程と
を有することを特徴とする電動圧縮かしめ方法。 - 第1部材を長手方向に圧縮変形させた状態で第2部材の一部をかしめ加工することにより、該第1部材が所定の残留軸力を有する状態で該第2部材によって保持されるようにするかしめ装置であって、
電動モータを動力源としてスライド部材を前記第1部材の長手方向へ直線移動させることにより、該スライド部材に一体的に設けられた圧縮ヘッドを該第1部材に押圧するとともに、所定の圧縮荷重で該第1部材を長手方向に圧縮変形させるように該電動モータのトルク制御を行う圧縮手段と、
該圧縮手段によって前記第1部材が圧縮変形させられた状態で、前記スライド部材に配設されたかしめ駆動手段によりかしめヘッドを移動させて、前記第2部材の一部をかしめ加工するかしめ手段と、
該かしめ手段によるかしめ加工時には、該かしめ加工により前記スライド部材に作用する反力に前記圧縮荷重を加えた荷重よりも大きな位置決め荷重で該スライド部材の移動を阻止するように、前記電動モータを位置決め制御する位置決め手段と
を有することを特徴とする電動圧縮かしめ装置。 - 請求項4において、
前記かしめ手段によるかしめ加工の後で前記電動モータによる位置決め荷重を低下させ、前記第1部材が前記第2部材のかしめによって阻止される組付状態まで弾性復帰するとともに、前記スライド部材が該第1部材の弾性復帰に伴って戻り移動させられることを許容する荷重低下手段と、
該荷重低下手段による位置決め荷重の低下で前記スライド部材が戻り移動させられた後で、前記電動モータのトルク制御により所望する残留軸力よりも大きい判定荷重で前記スライド部材を介して前記圧縮ヘッドを前記第1部材に押圧するとともに、その時の該スライド部材の移動量から該第1部材の残留軸力を推定する軸力推定手段と
を有することを特徴とする電動圧縮かしめ装置。 - 第1部材を長手方向に圧縮変形させた状態で第2部材の一部をかしめ加工することにより、該第1部材が所定の残留軸力を有する状態で該第2部材によって保持されるようにするかしめ装置であって、
電動モータを動力源としてスライド部材を前記第1部材の長手方向へ直線移動させることにより、該スライド部材に一体的に設けられた圧縮ヘッドで該第1部材を長手方向に圧縮変形させる圧縮手段と、
該圧縮手段によって前記第1部材が圧縮変形させられた状態で、前記スライド部材に配設されたかしめ駆動手段によりかしめヘッドを移動させて、前記第2部材の一部をかしめ加工するかしめ手段と、
該かしめ手段によるかしめ加工の後で、前記第1部材が前記第2部材のかしめによって阻止される組付状態まで弾性復帰するとともに、前記スライド部材が該第1部材の弾性復帰に伴って戻り移動させられることを許容するように、前記電動モータによる該第1部材の圧縮制御を軽減する圧縮軽減手段と、
該圧縮軽減手段による圧縮制御の軽減に伴って前記スライド部材が戻り移動させられた後で、前記電動モータのトルク制御により所望する残留軸力よりも大きい判定荷重で前記スライド部材を介して前記圧縮ヘッドを前記第1部材に押圧するとともに、その時の該スライド部材の移動量から該第1部材の残留軸力を推定する軸力推定手段と
を有することを特徴とする電動圧縮かしめ装置。
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