JP3680705B2 - 架橋性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マレイミド基及びエチンレン性不飽和基を有する重合体を含有する架橋性樹脂組成物に関するものであり、本発明により形成される塗膜や成形品は、耐候性及び耐摩耗性に優れる物であり、コーティング剤、接着剤、バインダー及び成形品等に利用することができ、これら技術分野で賞用され得るものである。
【0002】
【従来の技術】
活性エネルギー線硬化型組成物は、その速硬化性により、従来の溶剤型樹脂組成物と比較して乾燥に要するエネルギーと時間を大幅に減らすことができるだけでなく、乾燥装置等が不要なため省スペース化を図ることができ、さらに該組成物は溶剤の使用量が少量で済むか又は全く使用しないでも良いというものであるため、地球環境にやさしい材料として年々使用量が増えてきている。
活性エネルギー線硬化型組成物は、近年では、より様々な分野へと使用範囲が広がっており、それらの分野で要求される性能は、従来からその原料として使用されているオリゴマーやモノマーだけの組み合わせでは、達成できない場合が出てきている。
【0003】
一方、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等から製造されるプラスチック成形品は、軽量で耐衝撃性に優れている上、成形加工が容易である等の種々の利点を有しており、多くの分野で使用されている。しかしながら、これらのプラスチック成型品はその表面の耐摩耗性が不足しているため、表面に損傷を受けやすく、耐摩耗性の向上が望まれている。又、これら成型品は、自動車部品等の用に屋外で使用されることもあり、耐候性も強く要求されている。
耐摩耗性を改善するため、これらプラスチック成形品の表面を、紫外線硬化型組成物で被覆する方法も検討されているが、耐摩耗性やプラスチックとの密着性が不充分であことがある上、例えこれらの性能がある程度満足行く場合でも、多くの場合耐候性に問題が存在している。
即ち、活性エネルギー線硬化型組成物の大部分を占める、(メタ)アクリレートを主成分とする紫外線硬化型組成物の場合、紫外線により硬化させるためには、紫外線の照射により活性ラジカルを発生させる光重合開始剤を組成物中に配合する必要がある。しかしながら、当該光重合開始剤は、組成物の硬化後の硬化物中にも残存してしまうため、得られる硬化物の耐候性を悪化させ、着色や退色、塗膜の剥がれやクラック等が発生するため、紫外線硬化型組成物は、耐候性が要求される用途には不充分なものであった。又、硬化後に硬化物中に存在する、光開始剤の分解物は、硬化物の臭気の原因となる場合があった。
又、紫外線吸収剤、光安定剤及び酸化防止剤等の耐候性向上剤を配合することにより、耐候性の改良が試みられているが、その効果は不十分で、又耐候性向上剤が硬化反応を抑制するため、組成物の紫外線硬化性が低下して、生産性が低下させてしまうという問題も有している。
【0004】
最近、N−置換マレイミド化合物に光重合開始剤の働きをするということが見出され、ビニルエーテルやアクリレートを光重合開始剤無しに、紫外線により重合できることが報告されている。〔Sonny Jonssonら、ラドテック’95ヨーロッパ、予講集(アカデミックデイ)34頁〕。
このN−置換マレイミド化合物の光重合開始機能は、従来の光重合開始剤と異なり、薄膜硬化性及び空気中の酸素による重合阻害を受けない点で優れたものであるが、それらのマレイミド化合物は、固体でかつ融点も高い物であり取り扱い難く、又液状で使用するためには(メタ)アクリレート等に溶解させて使用する必要があるが、マレイミド化合物は(メタ)アクリレート等に対する溶解度が低い場合があり、この場合にはマレイミド化合物の組成物中の配合量を増やすと析出してしまうことがあった。従って、限られた配合の組成物しか製造することができず、種々の用途において要求される物性に応じて組成物の配合を変更する場合には、目的の物性を満足できないことがあった。
さらに、このマレイミド化合物は、低分子量化合物であり、硬化型組成物において光重合開始剤としての機能を有する成分として配合された場合において、硬化物に結合されずに残存すると、硬化物の特性を低下させるという問題点も有していた。
【0005】
本発明者らは、上記の問題点を改良する組成物として、マレイミド基を有する(メタ)アクリレートを構成単量体単位とする重合体からなる組成物を見出している(WO98/58912号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記組成物は、さらに速い硬化速度が要求される場合や、さらに優れた耐候性や耐薬品性が要求される場合には、不充分な場合があった。
他方、硬化性に優れる化合物として、マレイミド基とエチレン性不飽和基としてビニルエーテル基を有する低分子量化合物が知られているが(Henrik Anderssonら、Journal of Coating Technology, Vol.69, No865, p91, 1997)、得られる硬化膜が硬度、基材との密着性及び耐水・耐薬品性の点で不充分なものであった。
【0007】
本発明らは、活性エネルギー線の照射により容易に硬化し、特に紫外線の照射においても速やかに硬化し、さらに得られる硬化物が耐候性に優れ、又臭気の問題が無く、さらには硬化物の耐摩耗性及び基材に対する密着性に優れる組成物を見出すため鋭意検討を行ったのである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種々の検討を重ねた結果、マレイミド基及びエチレン性不飽和基を有する重合体を含有してなる組成物が、上記課題を解消するものであることを見出し本発明を完成した。
以下、本発明を詳細に説明する。
尚、本明細書においては、アクリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基という。
【0009】
【発明の実施の形態】
1.(A)成分
1−1.マレイミド基及びエチレン性不飽和基
本発明の(A)成分は、マレイミド基及びこれ以外のエチレン性不飽和基を有する重合体である。
(A) 成分におけるマレイミド基は、下記一般式 (1) で表される基である。
【0010】
【化2】
【0011】
〔但し、式 (1) において、R 1 及びR 2 は、一方が水素原子で他方が炭素数4以下のアルキル基、R 1 及びR 2 の両方が炭素数4以下のアルキル基、又はそれぞれが一つとなって炭素環を形成する飽和炭化水素基を表す。〕
【0012】
上記式 (1) のR 1 及びR 2 において、それぞれが一つとなって炭素環を形成する飽和炭化水素基としては、基−CH2CH2CH2−及び基−CH2CH2CH2CH2 −等が挙げられる。
【0013】
本願発明におけるR1及びR 2 は、一方が水素原子で他方が炭素数4以下のアルキル基、R1及びR2の両方が炭素数4以下のアルキル基、並びにそれぞれが一つとなって炭素環を形成する飽和炭化水素基であるため、重合体を容易に製造でき、溶解性、保存安定性に優れ、得られる組成物の架橋塗膜の耐水性に優れる点で好ましい。さらに、これらの中でも、それぞれが一つとなって炭素環を形成する飽和炭化水素基がより好ましく、特に好ましくは基−CH2CH2CH2CH2−である。
マレイミド基の具体例を以下の式(2)〜式(4)に示す。これらの中でも、溶解性、保存安定性に優れる点で、式(2)又は式(3)で表されるマレイミド基が好ましい。
【0014】
【化3】
【0015】
【化4】
【0016】
【化5】
【0017】
本発明の(A)成分におけるエチレン性不飽和基としては、種々のものがあり、ビニル基、アリル基及び(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
【0018】
1−2.重合体
本発明における(A)成分は、種々の方法で得られた重合体が使用できる。製造方法としては、種々の方法があり、以下の[1]〜[5]に示す、官能基及びマレイミド基を有するプレポリマーを製造しておき、これに当該官能基と反応し得る官能基を有する化合物を反応させる方法、及び以下の[6]及び[7]に示す、官能基を有するプレポリマーを製造しておき、これに当該官能基と反応し得る官能基とマレイミド基を有する化合物を反応させる方法が好ましい。
[1]マレイミド基及び水酸基含有プレポリマーに、エチレン性不飽和基及びイソシアネート基を有する化合物(以下イソシアネート系不飽和化合物という)を付加する方法。
[2]マレイミド基及びカルボキシル基含有プレポリマーに、エチレン性不飽和基及びエポキシ基を有する化合物(以下エポキシ系不飽和化合物という)を付加する方法。
[3]マレイミド基及びエポキシ基含有プレポリマーに、エチレン性不飽和基及びカルボキシル基を有する化合物(以下カルボキシル系不飽和化合物という)を付加する方法。
[4]マレイミド基及びイソシアネート基含有プレポリマーに、エチレン性不飽和基及び水酸基を有する化合物(以下水酸系不飽和化合物という)を付加する方法。
[5]マレイミド基及び酸無水物基含有プレポリマーに、水酸系不飽和化合物を付加する方法。
[6]酸無水物基含有プレポリマーに、マレイミド基及び水酸基を有する化合物及び水酸系不飽和化合物を付加する方法。
[7]エポキシ基含有プレポリマーに、マレイミド基及びカルボキシル基を有する化合物及びカルボキシル系不飽和化合物を付加する方法。
【0019】
1-2-1.プレポリマーの製造方法
上記の[1]〜[5]の方法におけるマレイミド基を有するプレポリマーを製造する方法としては、エチレン性不飽和基及びマレイミド基を有する化合物(以下マレイミド系不飽和単量体という)と、水酸系不飽和化合物、カルボキシル系不飽和化合物、エポキシ系不飽和化合物、イソシアネート系不飽和化合物及びエチレン性不飽和基及び酸無水物基を有する化合物(以下酸無水物系化合物という)をそれぞれ共重合することによりプレポリマーを得ることができる。
【0020】
マレイミド系不飽和単量体としては、マレイミド基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、以下の文献及び特許に記載されている方法により、製造することができる。
・加藤清ら、有機合成化学協会誌30(10),897,(1972)
・Javier de Abajo ら、Polymer,vol33(5),(1992)
・特開昭56−53119号、特開平1−242569号
【0021】
マレイミド基を有する(メタ)アクリレートの好ましい例を以下の式(5)に示す。
【0022】
【化6】
【0023】
〔但し、式(5)において、R1、R2は前記と同様の意味を示す。又、R3は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状アルキレン基を表し、R4は水素原子又はメチル基を表し、nは1から6の整数を表す。〕
【0024】
水酸系不飽和化合物としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、並びにヒドロキシブチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル等が挙げられる。
【0025】
カルボキシル系不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸のマイケル付加反応生成物である2量体以上のオリゴマー、ω- カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びコハク酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0026】
エポキシ系不飽和化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート及び下記式(6)で表されるシクロヘキセンオキサイド基含有(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0027】
【化7】
【0028】
イソシアネート系不飽和化合物としては、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート及び下記式(7)で表されるジメチル-m-イソプロペニルベンジルイソシアネート等が挙げられる。
【0029】
【化8】
【0030】
酸無水物系不飽和化合物としては、無水マレイン酸及びイタコン酸等を挙げることができる。
【0031】
又、前記[6]の方法においては、酸無水物系不飽和化合物及び必要に応じてその他単量体を重合することにより、又前記[7]の方法においては、エポキシ系不飽和化合物及び必要に応じてその他単量体を重合することによりプレポリマーを得ることができる。
【0032】
プレポリマーには、必要に応じてその他の単量体を共重合させることができる。
例えば、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル及び(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリレートの具体的としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環式アルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の置換アリール(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート及び2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、並びにアルコキシシリル基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
又、これら単量体以外にも、マクロモノマー型単量体を使用することができる。これにより(A)成分は、グラフト共重合体又はブロック共重合体となる。マクロモノマー型単量体としては、ポリシロキサンを有するもの、フッ素系ポリマー鎖を有するもの等を挙げることができる。
【0033】
本発明において、特に耐候性が要求される用途においては、スチレン及びα−メチルスチレン等の芳香族単量体を使用しないか、又は全単量体の20重量%以下であることが好ましい。
【0034】
プレポリマーの製造方法としては、前記単量体を溶液重合法、乳化重合法及び高温連続重合法等の常法に従い重合して製造することができる。
溶液重合法で合成する場合は、使用する原料単量体を有機溶剤に溶解し、熱重合開始剤を添加し、加熱攪拌することにより得られる。
溶液重合法でラジカル重合により合成する場合は、使用する原料単量体を有機溶剤に溶解し、熱ラジカル重合開始剤を添加し、加熱攪拌することにより得られる。又、必要に応じて、重合体の分子量を調節するために連鎖移動剤を使用することができる。使用される熱重合開始剤の例としては、熱によりラジカル種を発生する過酸化物、アゾ化合物、レドックス開始剤等が挙げられる。
過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド等が挙げられる。アゾ化合物の例としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等が挙げられる。レドックス開始剤の例としては、過酸化水素−鉄(II)塩、ペルオキソ二硫酸塩−亜硫酸水素ナトリウム、クメンヒドロペルオキシド−鉄(II)塩等が挙げられる。
使用される有機溶剤は、ベンゼン、トルエン、酢酸エチル、メタノール、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
連鎖移動剤としては、ドデシルメルカプタン、キサントゲン酸ジスルフィド、ジアゾチオエーテル、2−プロパノール等が挙げられる。
【0035】
又、プレポリマーは、必要に応じて高温連続重合により製造することもできる。
高温連続重合法によれば、低分子量で粘度の低いプレポリマーを得ることができ、さらに当該重合方法は、熱重合開始剤を用いる必要がないか、又は熱重合開始剤を用いる場合でも少量の使用で目的の分子量のプレポリマーが得られるため、共重合体は熱や光によりラジカル種を発生するような不純物をほとんど含有しない純度の高いものとなり安定した物性が得られるため好ましい。
高温連続重合法としては、特開昭57−502171号、同59−6207号、同60−215007号等に開示された公知の方法に従えば良い。例えば、加圧可能な反応器を溶媒で満たし、加圧下で所定温度に設定した後、単量体及び必要に応じて重合溶媒とからなる単量体混合物を一定の供給速度で反応器へ供給し、単量体混合物の供給量に見合う量の反応液を抜き出す方法が挙げられる。
又、単量体混合物には、必要に応じて熱重合開始剤を配合することもできる。反応温度は150〜350℃が好ましい。圧力は、反応温度と使用する単量体混合物及び溶媒の沸点に依存するもので、反応に影響を及ぼさないが、前記反応温度を維持できる圧力であればよい。単量体混合物の滞留時間は、2〜60分であることが好ましい。
【0036】
1-2-3.重合体の製造方法
前記[1]〜[5]の方法においては、各種官能基を有するマレイミド基含有プレポリマーに、それぞれイソシアネート系不飽和化合物、エポキシ系不飽和化合物、カルボキシル系不飽和化合物及び水酸系不飽和化合物を付加することにより重合体を得ることができる。
又、前記[6]の方法においては、酸無水物基含有プレポリマーに、マレイミド基及び水酸基を有する化合物及び水酸系不飽和化合物を付加し、前記[7]の方法においてはエポキシ基含有プレポリマーに、マレイミド基及びカルボキシル基を有する化合物及びカルボキシル系不飽和化合物を付加することにより重合体を得ることができる。
【0037】
イソシアネート系不飽和化合物、エポキシ系不飽和化合物、カルボキシル系不飽和化合物及び水酸系不飽和化合物を有する化合物としては、前記と同様のものが挙げられる。
【0038】
[6]の方法におけるマレイミド基及び水酸基を有する化合物としては、下記式(8)で表される化合物等が挙げられる。
【0039】
【化9】
【0040】
〔但し、式(8)において、R1、R2は前記と同様の意味を示す。又、R5は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状アルキレン基を表す。〕
【0041】
[7]の方法で用いるマレイミド基を有するカルボキシル基含有化合物としては、下記式(9)で表される化合物等が挙げられる。
【0042】
【化10】
【0043】
〔但し、式(9)において、R1、R2は前記と同様の意味を示す。又、R5は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状アルキレン基を表す。〕
【0044】
いずれの場合においても、有機溶媒中、水媒体中又は無溶剤で、プレポリマーに各化合物を付加することにより製造することができる。各付加反応の条件としては、各反応に応じて反応温度、反応時間及び触媒を選択すれば良い。
【0045】
(A)成分の数平均分子量は、1000〜100万であることが好ましく、より好ましくは1万〜50万である。この値が1000に満たないものは、耐候性が不足したり、密着性が不十分になったりし、他方100万を超えるものは、溶液の安定性が損なわれることがある。
尚、本発明において、数平均分子量とは、溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(以下GPCと略する)により測定した分子量をポリスチレンの分子量を基準にして換算した値である。
【0046】
(A)成分におけるマレイミド基の割合としては、使用する全単量体を基準としてマレイミド基を有する単量体が10〜40重量%であることが好ましい。この割合が10重量%に満たない場合は、耐候性が不足したり、硬化又は架橋(以下単に硬化という)が不十分になり硬度不足になってしまうことがあり、他方40重量%を超えると厚膜硬化した場合、硬化膜が表面だけで進行し、密着性が不良となってしまうことがある。
共重合体におけるエチレン性不飽和基の割合としては、使用する全単量体を基準としてエチレン性不飽和基を有する単量体が10〜40重量%であることが好ましい。この割合が10重量%に満たない場合は、耐候性が不足したり硬化が不十分になり硬度不足にとなってしまい、他方40重量%を超えると、密着性が不良となってしまうことがある。
【0047】
本発明の組成物は、(A)成分を必須とするものであり、その形態としては、(A)成分の有機溶剤溶液、(A)成分の水性分散体及び(A)成分と後記する(B)成分からなる組成物等が挙げられる。
この場合、(A)成分の割合としては、有機溶剤溶液の場合は、5〜95重量%が好ましく、水性分散体の場合は、10〜70重量%が好ましく、より好ましくは20〜60重量%であり、(B)成分と併用する場合は、後記の通りである。
【0048】
2.(B)成分
本発明においては、塗膜の強度、柔軟性及び生産性の調整を行う目的のため、必要に応じて(A)成分に(B)成分のエチレン性不飽和基を有する化合物を併用することができる。
エチレン性不飽和基を有する化合物としては、(A)成分以外のものであれば種々のものが使用でき、モノマー及びオリゴマーのいずれも使用できる。
【0049】
2-1.モノマー
モノマーとしては、(メタ)アクリレート及びビニルエーテル等が挙げられる。
(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のフェノールのアルキレンオキシド付加物のアクリレート類及びそのハロゲン核置換体;エチレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート及びトリプロピレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート等のグリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールの(メタ)アクリレート、並びにこれらポリオールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0050】
ビニルエーテルとしては、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル及びヒドロキシエチルビニルエーテル等が挙げられる。
【0051】
上記以外のモノマーの例としては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、N−ビニルホルムアミド及びN−ビニルアセトアミド等が挙げられる。
【0052】
2-2.オリゴマー
オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート及びエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリオールと有機ポリイソシアネート反応物に対して、さらにヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを反応させた反応物等が挙げられる。ここで、ポリオールとしては、低分子量ポリオール、ポリエチレングリコール及びポリエステルポリオール等がある。低分子量ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール及び3−メチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられ、ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等が挙げられ、ポリエステルポリオールとしては、これら低分子量ポリオール又は/及びポリエーテルポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分との反応物が挙げられる。有機ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0053】
ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸との脱水縮合物が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール及びトリメチロールプロパン等の低分子量ポリオール、並びにこれらのアルキレンオキシド付加物等のポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分とからの反応物等が挙げられる。
【0054】
エポキシアクリレートは、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を付加反応させたもので、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の(メタ)アクリレート、フェノール又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の(メタ)アクリレート及びポリエーテルのジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付物等が挙げられる。
【0055】
(B)成分としては、1分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上有するものが、得られる硬化物の硬度及び耐摩耗性に優れるため好ましい。又、(B)成分としては、脂肪族及び脂環族の化合物を使用することが、芳香族環を有する化合物に比べ耐候性及び硬化性に優れるため好ましい。
【0056】
この場合の、(A)成分及び(B)成分の組成物中の割合は、(A)成分と(B)成分の合計量を基準として、(A)成分が5〜95重量%及び(B)成分が95〜5重量%であることが好ましく、より好ましくは(A)成分が10〜90重量%及び90〜10重量%である。(A)成分が95重量%を超えるか(B)成分が5重量%に満たないと、硬化物の硬度や耐摩耗性が低下してしまうことがあり、他方(A)成分が5重量%に満たないか(B)成分が95重量%を超えると、硬化性が低下してしまうことがある。
【0057】
3.光重合開始剤
本発明の組成物は、活性エネルギー線照射により硬化するもので、紫外線による硬化においても、光重合開始剤の配合なしに問題なく硬化するものであるが、さらなる硬化性の向上を目的として、耐候性を損なわない範囲で光重合開始剤を配合することができる。
【0058】
光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン等のアセトフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン及び2−アミルアントラキノン等のアントラキノン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン及び2,4−ジイソピルチオキサントン等のチオキサントン、アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケタール等のケタール、ベンゾフェノン等のベンゾフェノン、並びにキサントン等がある。
これら光重合開始剤は、単独で使用することも、安息香酸系、アミン系等の光重合開始促進剤と組み合わせて使用することもできる。
これら光重合開始剤の好ましい配合割合は、組成物100重量部に対して5重量部以下で、より好ましくは2重量部以下である。
【0059】
4.耐候性向上剤
本発明の組成物には、さらなる耐候性の向上を目的として、紫外線吸収剤、光安定剤及び酸化防止剤から選択される1種以上の耐候性向上剤を配合することもできる。
【0060】
紫外線吸収剤としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール及び2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0061】
光安定剤としては、ヒンダードアミン系及びベンゾエート系の光安定剤等が挙げられる。ヒンダードアミン系の光安定剤としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート及び2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)等が挙げられる。ベンゾエート系の光安定剤としては、2、4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
【0062】
酸化防止剤としては、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシルフェニル)プロピオネート]及び1,6−ヘキサンジオール−ビス[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のヒンダードフェノール系の酸化防止剤等が挙げられる。
【0063】
耐候性向上剤の好ましい配合割合としては、組成物100重量部に対して、0.01〜5重量部である。この割合が0.01重量部に満たないと、耐候性向上剤成分を配合した効果が得られず、他方5重量部を超えると、組成物の硬化性が低下したり、得られる組成物の硬化物の耐摩耗性が低下する場合がある。
【0064】
5.使用方法
本発明の組成物から得られる塗膜や成形品は耐候性及び耐摩耗性に優れるものであるため、コーティング剤、接着剤、バインダー及び成形品等に利用することができる。
又、構成成分の(A)成分のイミド基部分が高極性であるため、種々のプラスチックへの密着性に優れる上、又耐摩耗性及び耐候性に優れるため、プラスチックハードコートの用途、及び耐摩耗性及び耐候性に優れることから成形材料の用途に好ましく使用することができる。
又、UV硬化性にも優れるため、各種レジスト材料や着色材料のバインダー、その他フォトメカニカル法による凹凸化又はパターン化された表面加工技術用感光樹脂として使用できる。
【0065】
本発明の組成物の使用方法としては、例えばコーティング剤、接着剤及びバインダー等の用途の場合には、適用される基材に対して、通常の塗装方法により塗布した後、紫外線及び電子線等の活性エネルギー線を照射することにより硬化させる方法等、又成形材料等の用途の場合には、所定の型枠に組成物を注入し、これに活性エネルギー線を照射することにより硬化させる方法等の一般的な方法が採用できる。活性エネルギー線の照射方法も、従来活性エネルギー線硬化型組成物の硬化方法として知られている一般的な方法を採用すれば良い。
【0066】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。尚、以下において、%は重量%を、部は重量部を意味する。使用した略号を以下に示す。
MMA:メチルメタクリレート
BA:ブチルアクリレート
MAA:メタクリル酸
GMA:グリシジルメタクリレート
HEA:ヒドロキシエチルアクリレート
MOI:メタクリロキシエチルイソシアネート
AA:アクリル酸
St:スチレン
ML:無水マレイン酸
HBVE:ヒドロキシブチルビニルエーテル
THPI-A:3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミドエチルアクリレート
【0067】
【化11】
【0068】
DMI-M:ジメチルマレイミドエチルメタクリレート
【0069】
【化12】
【0070】
CI-ETA:ヒドロキシエチルシトラコイミド
【0071】
【化13】
【0072】
THPI-GL:カルボキシメチルテトラヒドロフタルイミド
【0073】
【化14】
【0074】
○製造例1
攪拌機、温度計及び冷却管を備えたフラスコに、室温でTHPI-Aの30g、MMAの14g、BAの20g、MAAの26g及び酢酸ブチルの100gを仕込み、攪拌し溶解させた後、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)の3gを仕込み均一に溶解させた。その後、窒素気流下で、85℃で2時間攪拌し、さらに100℃で1時間攪拌して、プレポリマーを得た。
得られたプレポリマーの溶液に、GMAの10g、トリエチルアミンの0.5g及びハイドロキノンの0.1g添加し、攪拌溶解した。さらに100℃で5時間、加熱攪拌して、共重合体A-1を得た。
【0075】
○製造例2
製造例1と同様のフラスコに、室温でDMI-Mの40g、MMAの20g、BAの14g、HEAの11g及び酢酸ブチルの100g仕込み、攪拌し溶解させた後、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を3gを仕込み均一に溶解させた。その後、窒素気流下、製造例1と同様の条件で加熱攪拌し、プレポリマーを得た。
得られたプレポリマーの溶液に、MOIの15g、ジブチルスズラウレートの0.1g及びハイドロキノンの0.1gを添加し、攪拌溶解させた。さらに60℃で3時間、加熱攪拌し、共重合体A-2を得た。
【0076】
○製造例3
使用する原料を、THPI-Aの20g、MMAの10g、BAの11g及びGMAの39gに変更した以外は、製造例1と同様の方法で重合し、プレポリマーを得た。
使用する原料をAA20gに変更した以外は、製造例1と同様の方法で反応させ、共重合体A-3を得た。
【0077】
○製造例4
使用する原料を、DMI-Mの50g、MMAの20g、BAの7g及びMOIの13gに変更した以外は、製造例1と同様の方法で重合させ、プレポリマーを得た。
使用する原料をHEAの10gに変更した以外は、製造例2と同様の方法で反応し、共重合体A-4を得た。
【0078】
○製造例5
使用する原料を、THPI-Aの60g、MMAの5g、MOIの20gに変更した以外は、製造例1と同様の方法で重合させ、プレポリマーを得た。
使用する原料をHBVEの15gに変更した以外は、製造例2と同様の方法で反応し、共重合体A-5を得た。
【0079】
○製造例6
使用する原料を、DMI-Mの30g、Stの18g、MLの17g及びBAの15gに変更した以外は、製造例1と同様の方法で重合し、プレポリマーを得た。
使用する原料をHEAの20gに変更した以外は、製造例1と同様の方法で反応し、共重合体A-6を得た。
【0080】
○製造例7
使用する原料を、Stの20g、MLの25g、BAの20gに変更した以外は、製造例1と同様の方法で重合し、プレポリマーを得た。
使用する原料をCI-ETAの20g及びHEAの15gに変更した以外は、製造例1と同様の方法で反応し、共重合体A-4を得た。
【0081】
○製造例8
使用する原料を、MMAの20g、GMAの40gに変更した以外は、製造例1と同様の方法で重合させ、プレポリマーを得た。
使用する原料をTHPI-GLの30g及びAA10gに変更した以外は、製造例1と同様の方法で反応し、共重合体A-8を得た。
【0082】
【表1】
【0083】
○比較製造例
製造例1のプレポリマーの製造と同様の条件で、下表の組成で重合を行ない、C−1、C−2を得た。
【0084】
【表2】
【0085】
○実施例1
製造例1で得られた共重合体A−1の溶液の140部(固形分70部)、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド3モル変成トリアクリレート〔東亞合成(株)製、アロニックスM−350〕の30部を常法に従い混合して活性エネルギー線硬化型組成物を得た。
得られた組成物について、下記の方法に従い、硬化性、耐候性、耐摩耗性及び密着性を評価した。それらの結果を表2に示す。
【0086】
・硬化性
基材としてボンデライト鋼板(日本テストパネル社製PB−144)を使用し、得られた組成物を基材に膜厚10μで塗工し、50℃で30分乾燥させた後、120W/cm集光型高圧水銀灯(1灯)下を10m/minのコンベアスピードで通過させ、手で触れて表面のタックが無くなるまでのパス回数で評価した。
【0087】
・耐候性
基材として日本テストパネル社製白色塩ビ板を使用し、得られた組成物を基材に膜厚10μで塗工し、50℃で30分乾燥させた後、120W/cm集光型高圧水銀灯(1灯、高さ10cm)下を10m/minのコンベアスピードで通過させ、手で触れて表面のタックが無くなるまで硬化させたものを試験体とした。
加速暴露促進試験機としてスガ試験機(株)製デューパネル光コントロールウエザーメーターDPWL−5Rを用い、試験体を6時間湿潤条件(100%RH/40℃)及び6時間照射条件(30W/m2 /40℃)にさらし、これを交互に繰り返して500hr行い、目視による外観の変化及び色差計による変色を評価した。色差計は、日本電色製シグマ80を用いた。表2において、外観の変化における○、△及び×は、以下の意味を示す。
○:クラック発生無し、△:若干のクラックが発生、×:塗膜全体にクラック発生
【0088】
・耐摩耗性
基材として日本テストパネル社製ポリカーボネート板を使用し、得られた組成物を基材に膜厚10μで塗工し、50℃で30分乾燥させた後、120W/cm集光型高圧水銀灯(1灯、高さ10cm)下を10m/minのコンベアスピードで通過させ、手で触れて表面のタックが無くなるまで硬化させたものを試験体とした。
#000のスチールウールを直径25mmの円筒先端に装着し、水平に置いた試験体の硬化膜に接触させ、1.0kg荷重で5回転(20rpm)し、傷の付着程度を目視にて観察した。表2における◎、○、△及び×は、以下の意味を示す。
◎:サンプル表面に傷が付いていない、○:サンプル表面に少し傷が付く、△:サンプル表面にかなり傷が付く、×:傷の部分の基材表面が露出する
【0089】
・密着性
耐摩耗性試験で使用した試験体と同様のものを使用し、JISK−5400の試験法に従って、セロハンテープ剥離にて、100升中の残存した升目により以下の3段階で評価した。
基材としては、日本テストパネル社製ポリカーボネート板を使用した。
○:90以上、△:10〜90、×:10以下
【0090】
○実施例2〜8
下記表3に示す成分及び量とする以外は実施例1と同様にして、組成物を調製した。
得られた組成物を、実施例1と同様に評価した。それらの結果を表3に示す。
【0091】
【表3】
【0092】
表3において、(A)成分及び(B)成分の欄における数字は部数を意味する。但し、(A)成分は固形分に換算した値で示した。又、表3における略号は、以下の意味を示す。
1)M−350:東亞合成(株)製アロニックスM−350、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド3モル変成トリアクリレート
2)M−400:東亞合成(株)製アロニックスM−400、ジペンタエリスリトールのペンタアクリレート(約20重量%)とヘキサアクリレート(約80重量%)の混合物
3)DVE−3:ISP社製ラピキュアDVE−3、トリエチレングリコールジビニルエーテル
4)Irg184:チバガイギー(株)製イルガキュア184、ヒドロキシシクロヘキシルアセトフェノン(光重合開始剤)
【0093】
○比較例1及び同2
下記表4に示す成分及び量とする以外は実施例1と同様にして、組成物を調製した。
得られた組成物を、実施例1と同様に評価した。それらの結果を表4に示す。
【0094】
【表4】
【0095】
表4において、共重合体及び(B)成分における数字は部数を意味する。但し、共重合体成分は固形分に換算した値で示した。又、表4における略号は、前記と同様の意味を示す。
【0096】
【発明の効果】
本発明の組成物は、活性エネルギー線の照射により、光重合開始剤の配合なしでも速やかに硬化し、さらにその硬化物は、優れた耐候性を有する上、耐摩耗性及び密着性に優れる。
Claims (4)
- (A)成分及び(A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)を含有してなる請求項1記載の架橋性樹脂組成物。
- (B)成分がエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物である請求項2記載の架橋性樹脂組成物。
- 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の組成物からなる活性エネルギー線架橋性樹脂組成物。
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