JP3679817B2 - 非線形時系列データ予測方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は非線形時系列データ予測方法に関し、特に等サンプリング間隔で観測された時系列データから、その力学的ダイナミクスを局所ファジィ再構成法を用いて推測し、推測したダイナミクスがなくなるまでの近未来を予測する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、時系列データの予測には、自己回帰分析を主体としたARXモデル等が主に用いられていたが、近年はカオス現象の解明を目的として、決定論的カオス理論を用いた局所再構成法による非線形時系列データの予測が研究されてきている。局所再構成法としては、グラムシュミットの直交系法、テセレーション法等が挙げられる。以下に決定論的カオスの概要を示す。
【0003】
決定論に支配された(初期値が決まれば、その後の状態がすべて原理的に決定される)微分方程式や差分方程式から、一見不規則で不安定かつ複雑な振る舞いがしばしば生成されうる。これが力学系の決定論的カオスである。
【0004】
決定論的カオスの概念は、世の中の不規則な現象が必ずしも非決定論に支配されたものだけではないということを明らかにした。言い替えれば、世の中の不規則現象の中には、決定論に従ってその挙動を生み出している現象が少なからず存在するのである。
【0005】
カオス的振る舞いを生み出す力学系に共通するのは、それらの方程式が非線形である事である。
【0006】
ところで、ある時系列データの振る舞いがカオス的であるならば、その振る舞いは決定論的な法則に従っていると考える事が出来る。とすれば、もしその非線形な決定論的法則性を推定することが出来れば、ある時点の測定データからカオスの「初期値に対する鋭敏な依存性」により決定論的因果性を失うまでの近未来のデータを予測することが可能である。
【0007】
このような決定論的力学系理論の立場からの予測は、「1本の観測時系列データから、もとの力学系の状態空間とアトラクタを再構成する」という時系列データの埋め込み理論に基づいている。この理論の概要は、以下の通りである。
【0008】
観測されたある時系列データy(t)からベクトル(y(t),y(t−τ),y(t−2τ),…,y(t−(n−1)τ))をつくる(τは時間ディレイ)。
【0009】
このベクトルはn次元再構成状態空間Rnの1点を示すことになる。従って、tを変化させると、このn次元再構成状態空間に軌道が描ける。
【0010】
もしも対象システムが決定論的力学系であって、観測時系列データがこの力学系の状態空間から1次元ユークリッド空間RへのC1連続写像に対応した観測系を介して得られたものと仮定すれば、この再構成軌道は、nを十分大きくとれば元の決定論的系の埋め込み(embedding)になっている。
【0011】
つまり、観測時系列データが元の力学系のアトラクタに由来するならば、再構成状態空間にはこのアトラクタの位相構造を保存したアトラクタが再現されることになる。nは通常「埋め込み次元」と呼ばれるが、再構成の操作が「埋め込み」である為には、この次元nは元の力学系の状態空間の次元をmとした時、下記(1)式が成立すれば十分であることが証明されている。
【0012】
【数1】
n≧2m+1…(1)
ただし、これは十分条件であって、データによっては2m+1未満でも埋め込みである場合がある。さらに、n>2d(但しdは元の力学系のアトラクタのボックスカウント次元)であれば、再構成の操作が1対1写像であることも示されている。尚、ボックスカウント次元とは、フラクタル次元の一種の容量次元のことである。
【0013】
上記のように、決定論的カオスであれば、一見まったく無秩序にみえるデータに関しても、そのデータによっては高精度に短期予測を行うことが可能となってくる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、時系列データの予測を行う場合、従来手法のARXモデルによる予測では自己回帰式の次数や種々の要因による補正係数等を決定する必要があり、時系列データを線形近似することが困難な場合には予測不可能となる場合がある。
【0015】
また、局所再構成法のグラムシュミットの直交系法では選択された近傍ベクトルが1次独立でない場合、予測精度が極端に悪くなる場合がある。更に、テセレーション法においても、埋め込み次元数が高くなると計算時間が極端に多くなる場合もある。このように、これら従来法には予測精度や計算時間の点で課題が残されていた。
【0016】
本発明は上記背景の下になされたものであり、常に一定レベル以上の予測精度が得られ、かつ計算時間も短い非線形時系列データ予測方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、データベクトル生成手段の要求により測定対象である時系列データを等サンプリング間隔で取り込むサンプリング手段と、
前記サンプリング手段によりサンプリングされた時系列データを記憶する時系列データ記憶手段と、
前記時系列データ記憶手段からデータを読み出して決定論的非線形力学系理論に基づいた決定論的短期予測を行うためのデータベクトルを生成するデータベクトル生成手段と、
前記データベクトル生成手段により生成されたデータベクトルを受け取り、これを埋め込み次元n、遅れ時間τでn次元状態空間に埋め込んでデータベクトルのアトラクタを再構成するアトラクタ再構成手段と、
前記アトラクタ再構成手段により再構成されたアトラクタの局所的なダイナミクスを生成する局所ファジィ再構成手段と、
前記局所ファジィ再構成手段での処理結果からデータの予測値を生成するデータ予測値生成手段とを有する非線形時系列データ予測方法において、
前記局所ファジィ再構成手段は、
前記データベクトル生成手段から処理対象データベクトルを選択して近傍ベクトル検出手順および軸成分検出手順に出力する処理対象データベクトル選択手順と、
前記処理対象データベクトル選択手順により選択された処理対象データベクトルを受け取り、前記処理対象データベクトルの近傍に位置する近傍ベクトルを前記アトラクタ再構成手段によって再構成されたアトラクタから複数検出する近傍ベクトル検出手順と、
複数の前記近傍ベクトルの所定ステップ後のベクトルを前記アトラクタ再構成手段から検出して軸成分決定手順に出力する所定ステップ後ベクトル検出手順と、
前記処理対象データベクトル選択手順および前記近傍ベクトル検出手順から各々のベクトルの各軸成分を受け取り、前記処理対象データベクトルと複数の前記近傍ベクトルとの各軸成分値の差を検出して軸成分決定手順に出力する軸成分検出手順と、
前記軸成分検出手順から得られた各軸成分値の差が最も小さい近傍ベクトルを抽出し、該近傍ベクトルと処理対象データベクトルとの所定ステップ後の各軸成分値の差が小さくなるように、前記処理対象データベクトルの所定ステップ後の各軸成分値を決定する軸成分決定手順とを含む、
ことを特徴とする非線形時系列データ予測方法を提供する。
【0018】
また、前記軸成分決定手順は、前記近傍ベクトルの各軸のメンバーシップ関数を生成するとともに、このメンバーシップ関数を用いたファジィ推論によって、処理対象データベクトルの所定ステップ後の各軸成分値を決定することを特徴とする非線形時系列データ予測方法も提供される。
【0019】
【作用】
予測対象が決定論的カオスに従う場合、その時系列データy(t)に適切な時間遅れτを設定してデータベクトルx(t)=(y(t),y(t−τ),y(t−2τ),…y(t−(n−1)τ))[ただしt={(n-1)τ+1}〜N]を生成し、埋め込み操作によってn次元再構成空間上にアトラクタを再構成すると、このアトラクタは周期的な軌道を描く。尚、上記式において、Nは時系列長・埋め込み次元・遅れ時間により決定されるデータベクトル数を示す。
【0020】
このことから、所定ステップ先のデータベクトルを予測することができる。特に短期予測においてはデータベクトルを精度良く予測することができる。
【0021】
この所定ステップ先のデータベクトルは、その成分として所定ステップ先のデータを含むので、この成分を抽出することによって所定ステップ先のデータを予測することができる。
【0022】
本発明では、処理対象となるデータベクトルのベクトル(近傍ベクトル)を複数検出し、処理対象となる軸成分について、各近傍ベクトルの該軸成分値と処理対象データベクトルの該軸成分値との差を検出している。
【0023】
更に、各近傍ベクトルの所定ステップ後の軸成分値を検出し、もとのデータベクトルでの上記差が小さいものとの差が小さくなるように、前記処理対象データベクトルの該軸成分の所定ステップ後の成分値を決定している。
【0024】
従って、処理対象ベクトルの所定ステップ後の軸成分値は、元のベクトルにおいて、近い成分値を有するベクトルの影響を大きくうけ、成分値があまり近くないベクトルの影響はあまり受けない。
【0025】
このように、データベクトルの予測を軸ごとに行うことにより、局所的なベクトルの動きを反映した予測を行うことができ、精度の高い予測を行うことができる。
【0026】
特に、前記近傍ベクトルの各軸成分値をピークとするメンバーシップ関数を生成するとともに、このメンバーシップ関数を用いたファジィ推論によって、処理対象データベクトルの該軸成分の所定ステップ後の成分値を決定することで、アトラクタの非線形的な振る舞いを反映した精度の高い予測を行うことができる。
【0027】
このように局所的にファジィ推論を用いて予測を行う(局所ファジィ再構成法)ことで、たとえば上水道需要量、電力需要量、ガス需要量などの社会現象や、気温の変化、太陽黒点数などの自然現象など決定論に基づく非決定論的振る舞いをする時系列データが、その初期値依存性を失うまで(すなわち推定したダイナミクスが失われる前まで)の時系列データの振る舞いを予測することができる。
【0028】
【実施例】
実施例1
図1に本実施例に係る非線形時系列データ予測方法の機能ブロック図を示す。
【0029】
この図において1はデータベクトル生成部(時系列データの記憶手段及びデータベクトルの生成手段)であり、図2に示されるような時系列データy(t)から等サンプリング間隔でデータを取り込む。そして、決定論的非線形力学系理論に基づいた決定論的短期予測を行うためのデータベクトルを生成する。
【0030】
アトラクタ再構成部2(アトラクタ再構成手段)では、タケンスの埋め込み理論を用いて、n次元状態空間にデータベクトルのアトラクタを再構成してn次元状態空間データベースを作成する。
【0031】
9は局所ファジィ再構成部であり、アトラクタの局所的なダイナミクスを生成するとともに、そのデータベースを作成する。この局所ファジィ再構成部9は処理対象データベクトル選択部3(処理対象データベクトル選択手段)、近傍ベクトル検出部4(近傍ベクトル検出手段)所定(s)ステップ後ベクトル検出部5(所定ステップ後ベクトル検出手段)、軸成分検出部6(軸成分検出手段)、ファジィ推論部7(軸成分決定手段)により構成される。
【0032】
8はデータ予測値生成部(データ予測値生成手段)であり、局所再構成部での処理結果から求めるデータの予測値を生成する。
【0033】
以下に各部の機能を詳細に説明する。
【0034】
データベクトル生成部1では、観測値を元に時系列データy(t)のデータベースを作成し、更に下式に示されるベクトルx(t)を生成する。
【0035】
【数2】
x(t)=(y(t),y(t−τ),y(t−2τ),…y(t−(n−1)τ))
ただしt={(n-1)τ+1}〜N
アトラクタ再構成部2では、埋め込み次元n、遅れ時間τでn次元の状態空間に時系列データを埋め込む。この操作がアトラクタの再構成となる。尚、τは時間ディレイを、Nは時系列長・埋め込み次元・遅れ時間により決定されるデータベクトル数を示す。
【0036】
前述したように、このベクトルはn次元再構成状態空間Rnの1点を示し、tを変化させると、このn次元再構成状態空間に軌道が描ける。その例を図3に示す。
【0037】
なお、再構成状態空間にアトラクタを再現するには、上記次元nは元の力学系の状態空間の次元をmとした時に、前述したようにn≧2m+1であれば十分であることが証明されており、条件に応じてn及びτを決定する。
【0038】
短期予測を行う場合、実用上は通常n=3〜4程度で十分なことが多い。このようにn及びτの値を設定し、埋め込み操作により状態空間とアトラクタを再構成する。
【0039】
予測対象となるデータが決定論的カオスに従う場合、図4に示すようにそのアトラクタは滑らかな多様体となり、このアトラクタを用いてデータの予測を行うことが可能となる。
【0040】
局所ファジィ再構成部9では、処理対象となるデータベクトル(通常は最新の観測によって得られたデータベクトル)をz(T)として、そのsステップ後のデータベクトルz(T+s)の予測データベクトルz"(T+s)を以下のように求める。
【0041】
処理対象データベクトル選択部3では、処理対象となるデータベクトル[通常は最新のデータベクトルz(T)]を選択し、近傍ベクトル検出部4に出力する。
近傍ベクトル検出部4では、アトラクタ再構成部2内のデータベクトルから、z(T)の近傍にある近傍ベクトルx(i)を複数検出する[i∈N(z(T))、N(z(T)):z(T)の近傍x(i)のインデックスiの集合]。
【0042】
軸成分検出部6では、z(T)とx(i)との軸成分を検出してファジィ推論部7に出力する。
【0043】
sステップ後ベクトル検出部5では各x(i)について、そのsステップ後のベクトルx(i+s)を検出してファジィ推論部7に出力する。
【0044】
ファジィ推論部7では、各軸ごとにz(T)とx(i)との成分値を比較し、その比較結果と各x(i+s)における成分値とから、予測ベクトルz"(T+s)の各成分値を決定する。これにより得られる予測ベクトルz"(T+s)をデータ予測値生成部8に出力する。
【0045】
アトラクタの軌道は通常は滑らかな多様体となっており、上記のように線形的に軸成分を求めるよりも、非線形的に軸成分の決定を行うことが好ましい。
【0046】
以下にファジィ理論を用いた軸成分の決定過程を以下に示す。
【0047】
もしもデータが決定論的法則に従って生成されたものであって、かつsの値が十分に小さければ、x(i)がsステップ先のデータであるx(i+s)に至る過程は、決定論に従ったダイナミズムに基づいていると考えられる。
【0048】
そして、このダイナミズムは以下のような言語的表現で表すことができる。
【0049】
【数3】
IF x(T) is x(i) THEN x(T+s) is x(i+s)
ここで、 x(T):n次元再構成状態空間におけるz(T)の近傍のデータベ クトルを表す集合
x(T+s):x(T)のsステップ後のデータベクトルを表す集合
i∈N(z(T))、N(z(T)):z(T)の近傍x(i)のインデックス iの集合
x(i)はz(T)の近傍のデータベクトルであるから、ステップsがカオスの「初期値に対する鋭敏な依存性」により、決定論的因果性を失う以前であれば、状態z(T)から状態z(T+s)のダイナミクスを、状態x(i)から状態 (i s)のダイナミクスと近似的に等価であると仮定する事ができる。
【0050】
n次元再構成状態空間に埋め込まれたアトラクタが、なめらかな多様体であるとき、z(T)からz(T+s)へのベクトル距離は、z(T)からx(i)へのベクトル距離によって影響される。すなわちz(T)から近いx(i)の軌道ほどz(T)からz(T+s)への軌道におよぼす影響が大きく、遠いほどその影響が小さいと考える事ができる。
【0051】
ところで、
【0052】
【数4】
x(i)=(y(i), y(i−τ),…,y(i−(n−1)τ))
x(i+s)=(y(i+s), y(i+s−τ),…,y(i+s−(n−1τ)) …(1)
であるので、n次元再構成状態空間におけるj軸に注目すると式(1)は、
【0053】
【数5】
IF aj(T) is yj(i) THEN aj(T+s) is j(i s) (j=1〜n) …(2)
ここで、
aj(T):z(T)の近傍値x(i)のn次元再構成状態空間におけるj軸成分
aj(T+s):x(j+s)のn次元再構成状態空間におけるj軸成分
n:埋め込み次元数
と表す事ができる。
【0054】
また、z(T)からz(T+s)への軌道は、z(T)からx(i)へのベクトル距離によって影響されるが、このベクトルの軌跡であるアトラクタはなめらかな多様体であるので、この影響は非線形な形で表される。よってその影響を非線形化するために、式(2)をファジィ関数により表現すると、
【0055】
【数6】
IF aj(T) is y'j(i) THEN aj(T+s) is y'j(i+s)
ただし(j=1〜n) …(3)
なお、通常は関数y(i)をファジィ化する場合には「〜」記号を用いるが、ここでは「'」記号を用いる。
【0056】
また、
【0057】
【数7】
z(T)=(y(T), y(T−τ),…,y(T−(n−1)τ))
であるので、z(T)のn次元再構成状態空間におけるj軸成分はyj(T)となる。
よって、データベクトルz(T)のsステップ後のデータベクトルz(T+s)の予測値をz”(T+s)とすると、そのj軸成分は、式(3)のaj(T)にyj(T)を代入しファジィ推論をする事により、aj(T+s)として求める事ができる。この方法を「局所ファジィ再構成 (Local Fuzzy Reconstruction)法」と呼ぶことにする。
【0058】
以下に具体的な例として、埋め込み次元n=3、遅れ時間τ=4、近傍に含まれるデータベクトル数N=3の場合について説明する。
【0059】
各々のデータベクトルを、
【0060】
【数8】
z(T)=(y1(T), y2(T−4), y3(T−8))
x(a)=(y1(a), y2(a−4), y3(a−8))
x(b)=(y1(b), y2(b−4), y3(b−8))
x(c)=(y1(c), y2(c−4), y3(c−8))
z"(T+s)=(y1(T+s), y2(T+s−4), y3(T+s−8))
x(a+s)=(y1(a+s), y2(a+s−4), y3(a+s−8))
x(b+s)=(y1(b+s), y2(b+s−4), y3(b+s−8))
x(c+s)=(y1(c+s), y2(c+s−4), y3(c+s−8))
とすると、式(3)で示されるファジィルールは、式(4)(5)(6)のように表される。
【0061】
再構成状態空間の第1軸については、
【0062】
【数9】
IF a1(T) is y'1(a) THEN a1(T+s) is y'1(a+s)
IF a1(T) is y'1(b) THEN a1(T+s) is y'1(b+s)
IF a1(T) is y'1(c) THEN a1(T+s) is y'1(c+s) …(4)
再構成状態空間の第2軸については、
【0063】
【数10】
IF a2(T) is y'2(a) THEN a2(T+s) is y'2(a+s)
IF a2(T) is y'2(b) THEN a2(T+s) is y'2(b+s)
IF a2(T) is y'2(c) THEN a2(T+s) is y'2(c+s) …(5)
再構成状態空間の第3軸については、
【0064】
【数11】
IF a3(T) is y'3(a) THEN a3(T+s) is y'3(a+s)
IF a3(T) is y'3(b) THEN a3(T+s) is y'3(b+s)
IF a3(T) is y'3(c) THEN a3(T+s) is y'3(c+s) …(6)
また、メンバーシップ関数はx(a)、x(b)、x(c)はz(T)を中心とした近傍のデータベクトルであるのでファジィルール(4)(5)(6)の前件部における再構成状態空間の各軸のメンバーシップ関数は図5のようになる。
【0065】
なお、後件部のメンバーシップ関数は、ファジィ関数を用いてもよいが、この例では計算速度向上のためすべてクリスプ表現とする。
【0066】
以上のファジィルールおよびメンバーシップ関数で表現されたダイナミクスに対し、a1(T)=y1(T)、a2(T)=y2(T)、a3(T)=y3(T)を入力データとしてファジィ推論を行うと、
【0067】
【数12】
y”1(T+s) =a1(T+s)
y”2(T+s−4)=a2(T+s)
y”3(T+s−8)=a3(T+s) …(7)
となり、もとの時系列データy1(T)のsステップ先の予測値y”1(T+s)はa1(T+s)として求められる。
【0068】
次に、具体的な適用例として、カオス的振る舞いをする時系列データとして良く知られているロジスティックマップの挙動予測に本装置を適用した例を示す。
【0069】
ロジスティックマップはロバート・メイにより示されたもので式(8)に示す簡単な差分方程式から得られる不規則な現象、すなわち決定論に裏付けされたカオス現象である。
【0070】
【数14】
n+1=f(Xn)=aXn(1−Xn)…(8)
(1≦a≦4)
式(8)で、aを変化させてn→∞とした場合のXnを調べると、
1≦a≦2で、n→∞とすると
nは(1−1/a)に収束
2≦a≦3で、n→∞とすると
nは振動しながら(1−1/a)に収束
3≦a≦1+√6で、n→∞とすると
nは収束しない(2周期に漸近)
1+√6≦a≦3.57で、n→∞とすると
nは収束しない(2m周期に漸近)
3.57≦a≦4で、n→∞とすると
nは収束しない(カオス状態)
となる。ロジスティックマップのカオス状態の時系列データを図6に、このデータを用いた挙動予測結果を図7に示す。
【0071】
図7(a)に示されるように、計算値と予測値との相関は非常に高く、また図7(c)に示されるように、計算値と予測値との時系列もほぼ一致している。
【0072】
更に、図7(b)に示されるように、予測ステップが7ステップ程度までは相関係数は0.9以上となっており、計算値と予測値とに高い相関が得られていることがわかる。
【0073】
上記のロジスティックマップ以外にも、ローレンツの大気循環方程式から得られる時系列データなどの数式モデルによる決定論的非線形時系列データや、上水道需要量予測、電力需要量予測、ガス需要量予測、高速道路交通量予測などの社会現象の予測、気温の変化、天候の移り変わり等の自然現象などの予測に応用できる。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、決定論的カオスに支配された観測対象のデータ予測を高い精度で行うことができるうえ、データ予測に要する時間を短縮することができる。また、従来法とは異なり、自己回帰式の次数や種々の要因による補正係数等を決定する必要もない。
【0075】
更に、時系列データを線形近似することが困難な場合でも予測が可能であるうえ、局所的に再構成を行っているので、予測精度が極端に悪くなることも避けられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】非線形時系列データ予測方法の機能ブロック図。
【図2】時系列データの説明図。
【図3】データベクトルの軌跡の説明図。
【図4】アトラクタの説明図。
【図5】メンバーシップ関数を表すグラフ。
【図6】ロジスティックマップの時系列データの説明図。
【図7】ロジスティックマップの予測結果を示すグラフ。
【符号の説明】
1…データベクトル生成部
2…アトラクタ再構成部
3…処理対象データベクトル生成部
4…近傍ベクトル検出部
5…sステップ後ベクトル検出部
6…軸成分検出部
7…ファジィ推論部
8…データ予測値生成部
9…局所ファジィ再構成部

Claims (2)

  1. データベクトル生成手段の要求により測定対象である時系列データを等サンプリング間隔で取り込むサンプリング手段と、
    前記サンプリング手段によりサンプリングされた時系列データを記憶する時系列データ記憶手段と、
    前記時系列データ記憶手段からデータを読み出して決定論的非線形力学系理論に基づいた決定論的短期予測を行うためのデータベクトルを生成するデータベクトル生成手段と、
    前記データベクトル生成手段により生成されたデータベクトルを受け取り、これを埋め込み次元n、遅れ時間τでn次元状態空間に埋め込んでデータベクトルのアトラクタを再構成するアトラクタ再構成手段と、
    前記アトラクタ再構成手段により再構成されたアトラクタの局所的なダイナミクスを生成する局所ファジィ再構成手段と、
    前記局所ファジィ再構成手段での処理結果からデータの予測値を生成するデータ予測値生成手段とを有する非線形時系列データ予測方法において、
    前記局所ファジィ再構成手段は、
    前記データベクトル生成手段から処理対象データベクトルを選択して近傍ベクトル検出手順および軸成分検出手順に出力する処理対象データベクトル選択手順と、
    前記処理対象データベクトル選択手順により選択された処理対象データベクトルを受け取り、前記処理対象データベクトルの近傍に位置する近傍ベクトルを前記アトラクタ再構成手段によって再構成されたアトラクタから複数検出する近傍ベクトル検出手順と、
    複数の前記近傍ベクトルの所定ステップ後のベクトルを前記アトラクタ再構成手段から検出して軸成分決定手順に出力する所定ステップ後ベクトル検出手順と、
    前記処理対象データベクトル選択手順および前記近傍ベクトル検出手順から各々のベクトルの各軸成分を受け取り、前記処理対象データベクトルと複数の前記近傍ベクトルとの各軸成分値の差を検出して軸成分決定手順に出力する軸成分検出手順と、
    前記軸成分検出手順から得られた各軸成分値の差が最も小さい近傍ベクトルを抽出し、該近傍ベクトルと処理対象データベクトルとの所定ステップ後の各軸成分値の差が小さくなるように、前記処理対象データベクトルの所定ステップ後の各軸成分値を決定する軸成分決定手順とを含む、
    ことを特徴とする非線形時系列データ予測方法。
  2. 請求項1記載の非線形時系列データ予測方法において、
    前記軸成分決定手順は、前記近傍ベクトルの各軸のメンバーシップ関数を生成するとともに、このメンバーシップ関数を用いたファジィ推論によって、処理対象データベクトルの所定ステップ後の各軸成分値を決定することを特徴とする非線形時系列データ予測方法。
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