JP3679036B2 - 導波型光回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信システムなどで用いる光部品の形態の一つである導波型光回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インターネット利用の世界的な広がりにより、大量の大容量データを同時に、かつ高速に伝送できる通信システムの構築が急務となっている。この要望を満たすシステムとして光波長多重(WDM)技術を用いた光通信システムが注目されており、米国を中心に世界的な導入が始まっている。
【0003】
光WDM技術には、複数の異なる波長を合分波できる光合分波器が必要不可欠であり、実現形態の一つとして基板上の光導波路により光回路を構成する導波型がある。
【0004】
導波型光回路は、光におけるICであり、LSI微細加工技術等を応用し、光導波路を平面基板上に一括形成するものである。それゆえ、集積性、量産性に優れ、複雑な回路構成を有する高機能回路を実現できる。近年、光通信システムへの関心の高まりにともない、半導体、LiNbO3、プラスチック、石英系ガラスなど、種々の材料による研究開発が進展している。その中で、シリコン基板上に石英系ガラスにて形成する石英系光導波路は、光通信の伝送路である石英系光ファィバとの整合性が良く、形成材料の特徴である高い安定性と長期信頼性から光回路の安定な動作を実現できる。また、矩形状のコアを再現良く形成できることから、理論と実際が良く一致し、複雑な光回路を有する高機能回路を実現できる。これらの特徴から、他の導波路材料に比較して実用化が進んでいる。
【0005】
このような優れた特徴を有する石英系光導波路における光合分波器の基本構成として、マッハ・ツェンダー干渉計、及びアレイ導波路格子がある。マッハ・ツェンダー干渉計、及びアレイ導波路格子を組み合わせて様々な光合分波特性を実現している。
【0006】
マッハ・ツェンダー干渉計は、異なる2つの波長を合分波する、あるいは、周期的に異なる複数の波長を、交互に振り分ける機能を有する。図1(a)にマッハ・ツェンダー干渉計101の構成を図1(a)示す。2つの光結合器102と、2つの光結合器102間を接続する2本の光導波路103と、それぞれ別の光結合器102と接続する入力導波路104と出力導波路105により構成される。ここでは、光結合器を、2本の光導波路を近接させた方向性結合器により構成している。光導波路は単一モード導波路で構成される。合分波する波長の間隔は、2本の光導波路103の導波路長差により設定する。
【0007】
アレイ導波路格子は、複数の異なる波長を同時に合分波する機能を有する。同様の機能を複数のマッハ・ツェンダー干渉計にて実現するのに比較して、小型化が図れる。図1(b)にアレイ導波路格子111の構成を示す。2つのスラブ導波路112と、2つのスラブ導波路112間を接続する導波路アレイ113と、それぞれ別のスラブ導波路112に接続される入力導波路114と出力導波路115により構成される。導波路アレイ113、入力導波路114と出力導波路115は、単一モード導波路で構成される。導波路アレイ113は隣接する光導波路の導波路長が異なり、隣接導波路との導波路長差により光合分波する波長間隔を設定する。
【0008】
これらの光合分波器を構成する石英系光導波路の断面を図2に示す。基板201上に形成されたクラッド202がコア203を覆う構造であり、基板101にシリコン基板や石英基板等が用いられ、クラッド102とコア103は石英系ガラスにて形成される。基板201としてシリコン基板を用いることは、受発光素子等をハイブリッド実装するためのプラットホームとして有用であり、圧縮応力がクラッド202及びコア203に働くため、ひび割れや亀裂等を防止し、信頼性を向上させている。
【0009】
しかしながら、基板にシリコンを用いた場合、石英系光導波路により形成したマッハ・ツェンダー干渉計やアレイ導波路格子の光学特性は、基板と垂直な電界を有するモード(TMモード)のスペクトルが水平方向に電界を有するモード(TEモード)に比較して長波長側にシフトする偏波依存性を生じる。マッハ・ツェンダー干渉計、及びアレイ導波路格子の透過スペクトルを、図3、及び図4に示す。図3は、合分波間隔0.8nmのマッハ・ツェンダー干渉計の透過スペクトルであるが、TEモードとTMモードで最も損失が低くなるピーク波長が約0.25nmシフトしており、それぞれのモードのピーク波長での他方のモードの損失は数dB以上大きくなっている。図4は、合分波間隔0.8nmのアレイ導波路格子の透過スペクトルであり、図4(b)は、図4(a)の1562nm付近の透過スペクトルを拡大したものである。マッハ・ツェンダー干渉計と同様にTEモードとTMモードで最も損失が低くなるピーク波長が約0.25nmシフトしており、それぞれのモードのピーク波長での他方のモードの損失は数dB大きくなっている。
【0010】
このような光合分波器における偏波依存性は、光ファィバにて伝送される信号光の偏波方向が不確定かつ時間変動することから、透過損失やクロストークを時間変動させることになり、信号の信頼性を劣化させることになる。
【0011】
光合分波器の偏波依存性の原因は、回路を形成している光導波路が、TMモードの感じる実効屈折率に比較してTEモードの感じる実効屈折率より大きくなる導波路複屈折を有するためである。マッハ・ツェンダー干渉計では2本の光導波路103に、アレイ導波路格子では導波路アレイ113に有する導波路複屈折のために偏波依存性が生じている。
【0012】
石英系光導波路の導波路複屈折は、TMモードの実効屈折率からTEモードの実効屈折率を引いた値とすると、単一モード導波路の場合において、2×10−4〜3×10−4の値となる。このような導波路複屈折の原因は、光導波路に圧縮応力が働くためであり、圧縮応力は基板であるシリコンと光導波路の材料である石英系ガラスとの熱膨張係数差に起因する残留熱応力である。また、石英系ガラスのドーパントの種類や濃度により熱膨張係数が異なるため、同種の材料系であっても、導波路複屈折が異なる。
【0013】
光合分波器の偏波依存性を解消することは、実用化のために不可欠な課題であり、解消する方法として、(1) 導波路の両脇に溝を形成し導波路にかかる応力を低減し、導波路複屈折を低減する方法、(2)導波路上にa−Si等応力付与膜を形成した後、光回路特性をモニターしながら応力付与膜をトリミングすることで複屈折を制御し、光回路全体の偏波依存性を低減する方法、(3)光回路特性をモニターしながら導波路への紫外線照射することで複屈折を制御し、光回路全体で偏波依存性を低減する方法、(4)光回路内に1/2波長板を挿入し、偏波モードを入れ替えることで光回路全体の偏波依存性を低減する方法、(5)コアをおおうクラッドにGeO、B、P等の熱膨張係数を大きくする材料をドープし、基板の熱膨張係数に近づけることで複屈折を低減する方法等が開発され、先に述べたマッハ・ツェンダー干渉計やアレイ導波路格子の波長シフトを0.01nmオーダーまで低減している。これらの技術は、導波型光回路の複屈折補償器として働いている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
これらの方法により偏波依存性を解消した導波型光回路が実現されているが、実用化には次のような課題があった。
【0015】
(1)の方法では、複屈折が溝の位置、深さに強く依存するため、作製精度に敏感であり、歩留まりが落ちる傾向があり、また工程が増加する。また、(2)の方法では、作製精度は緩いが、光回路を個別に特性をモニターしながらトリミングをするため、量産性に乏しい。また、(3)の方法も、同様に、光回路を個別に特性をモニターしながら調整する必要があるので量産性に乏しい。また、(4)の方法では、十数ミクロンから数十ミクロンの波長板の厚み分以上の導波路を切断するため、損失が増加する。また、(5)の方法では、クラッドにかかる応力が引っ張り応力になるとクラッドガラスに亀裂が入りやすくなり、ドーパントの高濃度ドープにより耐候性が悪くなり、信頼性をおとすことになる。
【0016】
本発明の目的は、これら歩留まり、量産性、光学特性、信頼性に対する課題を解決し、複屈折を低減あるいは解消することで偏向依存性を低減あるいは解消した導波型光回路を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係る導波型光回路は、クラッドおよびコアを有する導波路を備えた導波型光回路であって、前記導波路の少なくとも一部のコアは、屈折率の異なる複数の種類の層により形成された多層構造となっている。
【0018】
ここで、前記導波路の複屈折のうち、前記多層構造により生じる構造複屈折の値と、それ以外の複屈折の値とでは、正負の符号が逆であるものとすることができる。
【0019】
ここで、前記導波型光回路は基板を備え、前記導波路は前記基板の上に形成されており、前記多層構造は、前記基板の面におおよそ垂直な方向で多層構造になっているものとすることができる。
【0020】
ここで、前記導波型光回路は基板を備え、前記導波路は前記基板の上に形成されており、前記多層構造は、前記基板の面におおよそ平行な方向で多層構造になっているものとすることができる。
【0021】
ここで、前記導波型光回路は基板を備え、該基板はシリコン基板または石英基板であり、前記導波路は石英系ガラスにより作製されているものとすることができる。
【0022】
ここで、前記導波路は、単一モード導波路を含み、該単一モード導波路の少なくとも一部のコアは、屈折率の異なる複数の種類の層により形成された多層構造となっているものとすることができる。
【0023】
ここで、前記導波路は、マルチモード導波路を含み、該マルチモード導波路の少なくとも一部のコアは、屈折率の異なる複数の種類の層により形成された多層構造となっているものとすることができる。
【0024】
ここで、前記導波路は、単一モード導波路およびマルチモード導波路を含み、前記単一モード導波路の少なくとも一部のコアは、屈折率の異なる複数の種類の層により形成された多層構造となっており、前記マルチモード導波路の少なくとも一部のコアも、屈折率の異なる複数の種類の層により形成された多層構造となっているものとすることができる。
【0025】
ここで、前記単一モード導波路の多層構造により生じる構造複屈折値と、前記マルチモード導波路の多層構造により生じる構造複屈折値とは、それぞれ異なるものとすることができる。
【0026】
ここで、前記マルチモード導波路の多層構造により生じる構造複屈折値は、前記単一モード導波路の多層構造により生じる構造複屈折値よりも大きいものとすることができる。
【0027】
ここで、前記多層構造を形成する層の屈折率および厚さは、中央層に対しておおよそ対称となっているものとすることができる。
【0028】
ここで、前記多層構造は、屈折率の異なる少なくとも2種類の層をほぼ交互に配置して形成されているものとすることができる。
【0029】
ここで、前記多層構造を形成する層の屈折率は、クラッド側の両端の層からコア内部側層に向かって高くなっているものとすることができる。
【0030】
ここで、前記多層構造の総層数は、3層以上であるものとすることができる。
【0031】
ここで、前記多層構造の総層数は、5層〜おおよそ10層であるものとすることができる。
【0032】
ここで、前記導波型光回路は、2つの光結合器と、該2つの光結合器を結ぶ、長さの異なる複数の導波路とを有する光干渉型回路を備え、前記複数の導波路の中で最短の導波路長を有する導波路について、多層構造となっているコアの長さをLとしたとき、前記最短の導波路長を有する導波路以外の導波路の各々について、多層構造となっているコアの長さは、その導波路の長さと前記最短の導波路長との差分にLを加えた長さであるものとすることができる。
【0033】
ここで、前記導波型光回路は、2つの光結合器と、該2つの光結合器を結ぶ2本の単一モード導波路とを有するマッハ・ツェンダー干渉計を備えたものとすることができる。
【0034】
ここで、該導波型光回路は、2つのスラブ導波路と、該2つのスラブ導波路を結ぶ、長さの異なる複数の単一モード導波路からなる導波路アレイと、前記2つのスラブ導波路の一方に接続される単一モード導波路からなる入力導波路と、前記2つのスラブ導波路の他方に接続される単一モード導波路からなる出力導波路とを有するアレイ導波路回折格子を備えたものとすることができる。
【0035】
ここで、前記導波型光回路は、複屈折補償器を備えたものとすることができる。
【0036】
ここで、前記複屈折補償器は、λ/2波長板を用いた複屈折補償器であるものとすることができる。
【0037】
本発明の従来との違いは、コアの構造を、屈折率の異なる複数の種類の層により形成された多層構造にすることである。そして、導波路の複屈折のうち、多層構造により生じる構造複屈折と、それ以外の複屈折とが打ち消し合うようにすることにより、導波路の複屈折を減少あるいは解消することができる。すなわち、多層構造により生じる構造複屈折の値と、それ以外の複屈折の値とで、正負の符号が逆になるようにすることにより、導波路の複屈折を減少あるいは解消することができる。ここで、多層構造により生じる構造複屈折の値と、それ以外の複屈折の値との間で、大きさ(絶対値)をほぼ同じにして、正負の符号を逆にすることにより、導波路の複屈折の値を0に近づけることができる。
【0038】
コアを屈折率が異なる層の多層構造とすることで、層と平行な方向に実効屈折率が高くなる構造複屈折を生じる。構造複屈折の大きさは、各層の屈折率、及び厚さにより決まる。それゆえ、残留熱応力等により生じた導波路複屈折を減少させる方向に層を形成し、多層構造により生じる構造複屈折の大きさ│Bs│を、残留熱応力等により生じる導波路複屈折の大きさ│B0│とほぼ同程度とすることで、導波路の複屈折を解消でき、導波型光回路の偏波依存性を低減できる。少なくとも、│Bs│<2│B0│とすれば、従来に比較して複屈折を低減できる。この時、導波型光回路の全ての光導波路のコアを多層構造とする必要はなく、導波型光回路の偏波依存性に影響のある光導波路部分を多層化すれば良い。
【0039】
光導波路材料を石英系ガラスに、基板をシリコンにした場合、光導波路に圧縮応力が働くため、基板に垂直方向の電界(TMモード)に対して実効屈折率が大きくなる。それゆえ、基板に水平方向に多層構造を形成することで、圧縮応力による応力複屈折と多層構造による構造複屈折とが打ち消し合い、光導波路の複屈折を低減できる。また、基板を石英にした場合、光導波路の実効屈折率が基板に水平方向の電界(TEモード)に対して大きくなるため、基板に垂直方向に多層構造とすることで光導波路の複屈折を低減できる。
【0040】
単一モード導波路を屈折率が異なる層の多層構造とすることで導波路の複屈折を低減できる。例えば、前述のようにアレイ導波路格子の主な偏波依存性は、単一モード導波路で構成される導波路アレイの導波路複屈折によるものであり、導波路アレイの各導波路を多層構造とすることで導波路の複屈折を低減でき、偏波依存性を低減できる。また、導波路アレイの各導波路を同程度の割合の長さで多層コアにする、すなわち、偏波依存性に影響のある光導波路部分の内の適当な一部分を多層コアとすることで、従来に比較して偏波依存性を低減できる。
【0041】
また、マルチモード導波路を屈折率が異なる層の多層構造とすることで導波路の複屈折を低減できる。例えば、単一モード導波路の数倍の幅を有するマルチモード導波路を光結合器としたマルチモード干渉型光結合器(以下「MMI」という)では、過剰損失に偏波依存性があり、これを多層構造とすることで、過剰損失に偏波依存性を低減できる。
【0042】
また、単一モード導波路、マルチモード導波路の個々のコアを多層構造とするだけでなく、両導波路のコアを多層構造とすることで、どちらか一方に比較して導波型光回路の偏波依存性を低減できる。例えば、MMIを光結合器としたマッハ・ツェンダー干渉計では、2つのMMI間を繋ぐ2本の単一モード導波路と、2つのMMIのマルチモード導波路を多層構造とすれば良い。
【0043】
光導波路の寸法等形状により導波路複屈折値が異なることがある。その場合、単一モード導波路とマルチモード導波路にそれぞれ適切な構造複屈折値となる多層構造を適用することで、導波型光回路の偏向依存性を適切に低減できる。石英系光導波路では、導波路幅が広くなるにつれて導波路複屈折が大きくなる傾向にある。それゆえ、単一モード導波路に比べてマルチモード導波路の構造複屈折値が大きくなるように多層構造を形成すれば良い。
【0044】
多層構造については、コアの多層構造の各層の屈折率及びその厚さを、層の中央層に対しておおよそ対称にすることで、伝搬する光の電磁界分布の中心を、従来と同様に、コアのほぼ中心に位置させることができ、また、電磁界分布の形状を基板に垂直、水平方向でコア中心よりほぼ対称にでき、従来とほぼ同様な回路設計により、所望の回路特性を実現できる。
【0045】
また、屈折率の異なる少なくとも2層をほぼ交互に配置することで、層に垂直方向での光が感じる屈折率をおおよそ均一とみなせ、従来構造とほぼ同様な電磁界分布を維持したままで光導波路の複屈折の低減、あるいは、解消できる。
【0046】
また、多層構造の各層の屈折率をクラッド側の両端の層からコア内部側の層に向かって高くしたグレーデッドインデックスとすることで、従来の光導波路と異なるスポットサイズを実現しながら、光導波路の複屈折の低減、あるいは、解消できる。
【0047】
多層構造の総層数については、5〜おおよそ10層とすることで、FHD法のような厚膜作製プロセスにても、コアとして多層構造を容易に実現できる。また、本発明の実施形態で述べるような光ファィバとの接続損失を低減することができる。
【0048】
多層構造に関し、下記式(1)〜(3)をおおよそ満たすようにすることで、複雑な解析をすることなく、多層構造を決めることができる。
【0049】
【数1】
Figure 0003679036
【0050】
ここで、│Bs│は多層構造により生じる構造複屈折値であり、naveは多層構造によるコアの平均屈折率であり、Nは多層構造の総層数であり、niおよびtiは、それぞれ多層構造の各層の屈折率および厚さであり、c1およびc2は、実測または計算によって導波路構造ごとに定まる定数(補正係数)である。
【0051】
式(1)の右辺において、
【0052】
【数2】
Figure 0003679036
【0053】
は層に平行な方向の実効的な屈折率を、
【0054】
【数3】
Figure 0003679036
【0055】
は層に垂直な方向の実効的な屈折率を表す。したがって、これらの差が多層構造に由来する構造複屈折となる。そして、これらの計算値は、式(1)のように補正係数c1およびc2によって、実測または計算によって求められる構造複屈折値│Bs│と結び付けられる。
【0056】
補正係数c1およびc2は、主に、導波路構造(比屈折率差、寸法)による光の閉じ込めに依存し、光の閉じ込めが一定の光導波路ではほぼ共通の値となる。したがって、適当な多層構造コアを試作して、または適当な多層構造コアについてモード解析を実行して、あらかじめ補正係数を求めておけば、所望の構造複屈折を満たすような多層構造の設計が容易に可能である。
【0057】
屈折率の異なる少なくとも2層を交互に配置した多層構造では、補正係数c1=1はコア内に光が十分に閉じこめられた場合にほぼ相当し、閉じこめが弱い場合は、主に1以下に設定する。
【0058】
導波型光回路の中で偏波依存性が顕著に現れるのは、一方の光結合器と他方の光結合器を導波路長の異なる複数の導波路で結ぶ光干渉型回路であり、マッハ・ツェンダー干渉計やアレイ導波路回折格子は、典型的な例である。光干渉型回路を、多層構造コアにて、導波路複屈折を低減することにより、偏波依存性を低減した光回路を提供できる。光干渉型回路では、導波路長差分のみ偏波依存性を低減、あるいは解消することで、回路の偏波依存性を低減、あるいは解消できる。すなわち、導波路長が最短の導波路に対する導波路長差分を多層構造コアとすれば良い。あるいは、導波路長差分と一定の長さを加えた長さを多層構造としても良い。すなわち、各導波路について、コアのうち多層構造にする部分の長さを、以下のように設定することができる。ただし、導波路のコア全体を多層構造にすることもできる。
【0059】
【表1】
Figure 0003679036
【0060】
また、多層構造コアを連続で形成する必要はなく、合計の導波路長が所定の長さとなれば良い。光干渉型回路としては、ラティス型フィルタ等複数の光結合器を複数の導波路で接続した光干渉型回路等も考えられる。
【0061】
従来技術で説明した偏波依存性を解消する技術による複屈折補償器と組み合わせることで、複数の多層構造の種類が必要な場合に、形成する多層構造の種類を減らすことができる。また、所定の構造複屈折を与えるための多層構造を作製することが困難な場合に、作製可能な多層構造により設定できる構造複屈折で導波路複屈折を解消することができる。すなわち、多層構造の構造パラメータの選択の自由度を増やすことができる。形成する多層構造の種類を減らす例として、MMIを光結合器としたマッハ・ツェンダー干渉計にλ/2波長板を用いる場合を考える。λ/2波長板を光結合器間の単一モード導波路に挿入することで単一モード導波路の導波路複屈折による偏波依存性を解消できる。多層構造は、マルチモード導波路のコアに適用する1種類を形成すれば良い。また、作製可能な多層構造により設定できる構造複屈折により導波路複屈折を解消する方法として、例えば、従来技術のクラッドにGeO、B、P等の熱膨張係数を大きくする材料をドープし、実現可能な多層構造による構造複屈折値まで調整する。この場合、信頼性をある程度確保するために、引っ張り応力が掛からない程度にドープする必要がある。
【0062】
上述のように、導波路のコアは、その全体を多層構造にする必要はなく、多層構造のコアと一様のコアを備えた導波路を用いることもできる。このような導波路において、多層構造のコアの平均屈折率と一様なコアの屈折率とを等しくし、多層構造がもたらす構造複屈折の値と、一様なコアが備える複屈折の値との間で、大きさをほぼ等しく、かつ正負の符号を逆にして、導波路の複屈折を減少あるいは解消することもできる。ここで、多層構造によるコアの平均屈折率については式(2)および(3)により、多層構造により生じる構造複屈折値については式(1)および(3)により与えられるものとすることができる。
【0063】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態について述べる。
【0064】
以下の実施の形態の説明では、多層構造コアの各層の屈折率、及びコアの平均屈折率を下部クラッドとの比屈折率差、及び平均比屈折率差にて表す。下部クラッドの屈折率は、石英ガラスの屈折率と一致させている。
【0065】
(実施の形態1)
図5は本発明の第1の実施の形態の単一モード導波路の断面を示すもので、基板501にシリコン基板を用い、クラッド502及びコア503は石英系ガラスにより形成している。ここで、コア503は、第1コア層503a及び第2コア層503bをそれぞれ交互に複数積層した多層構造である。
【0066】
本実施形態では、図5に示す断面のように、コアを基板面に垂直な方向で多層構造とした。すなわち、コア503は、第1コア層503a及び第2コア層503bを基板面と垂直な方向に交互に配置した多層構造である。
【0067】
第1コア層503a及び第2コア層503bの比屈折率差Δi、層厚t i(i=1,2)は、次の手順にて設定した。手順▲1▼ 適当な多層構造により光回路を作製し、その特性から多層構造による構造複屈折値を見積もる。その結果と式(1)〜(3)から補正係数c1、c2を決める。手順▲2▼ 多層構造による構造複屈折が所定の値となるように、式(1)〜(3)より比屈折率差Δi、層厚t i(i=1,2)を決める。手順▲1▼は、多層構造の作製精度が良く、屈折率の異なる層を積層した多層構造による構造複屈折以外に新たに応力複屈折等が付加されない場合は、光回路を作製する代わりにモード解析を用いても良い。
【0068】
コアの平均比屈折率差Δaveが0.75%、コア寸法が6μm×6μmでの多層構造を決めるために、手順▲1▼、図1(a)に示すマッハ・ツェンダー干渉計を次の3種類の第1コア層503a及び第2コア層503bの比屈折率差Δi、層厚t i(i=1,2)により作製した。層数は、総層数を9層とし、第1コア層の層数N1を5層、第2コア層の層数N2を4層で形成した。
【0069】
Figure 0003679036
【0070】
図6は、本実施形態の導波路を製造するための工程図である。以下、工程順に説明する。(a)基板601としてシリコン基板を用い、基板601上に下部クラッド602、第1コア層用膜 603aと第2コア層用膜603bを交互に積層したコア層603を火炎堆積法により形成する。火炎堆積法は、SiCl4を主成分とするガラス形成原料ガスを酸水素バーナーの火炎内でSiO2を主成分とするガラス微粒子を形成し、基板にガラス微粒子層を堆積する方法である。堆積したガラス微粒子層は、基板とともに電気炉で加熱し、透明なガラス膜を形成する。第1コア層用膜 603a用ガラス微粒子層には、屈折率を高くするためにGeO2をドープしている。ドープ量は、比屈折率差Δ1%当たり10mol%とした。また、透明化温度を下げるためにB2O3とP2O5を添加している。(b)コア層603の不要部分を反応性イオンエッチング法により除去して、リッジ状のコア604を形成する。(c)コア604をおおうように下部クラッド602と同等の屈折率を有する上部クラッド604を形成する。上部クラッド605の形成には、再度、火炎堆積法によりガラス微粒子層を堆積し、電気炉で加熱した。
【0071】
作製したマッハ・ツェンダー干渉計の透過スペクトルを測定し、これより求められるTEモードとTMモードの波長シフトより複屈折値Beを見積もる。多層構造による構造複屈折Bsは、このBeから従来のコア構造で生じる導波路複屈折値B0=2.3×10−4を引くことで求めた。多層構造による複屈折の大きさ│Bs│をプロットしたのが図7の黒丸である。この結果と(1)〜(3)式より補正係数c1を0.8、c2を0とした。この補正係数と(1)〜(3)式により計算した│Bs│を実線で示す。▲2▼の構造での構造複屈折をモード解析により求めた│Bs│は、3.8×10−4であり、図7の計算とほぼ一致している。
【0072】
次に、手順▲2▼として、補正係数c1を0.8と (1)〜(3)式より、│Bs│=│B0│=2.3×10−4となる第1コア層503a及び第2コア層503bの比屈折率差Δi、層厚t i(i=1,2)を求める。図7の計算結果である実線より、│Bs│=│B0│=2.3×10−4となる第1コア層503aの比屈折率差Δとして2.0%が求まり、 (2) (3)式より、t、t2は下記の値となる。
【0073】
第1コア層503a、Δ=2.0%、t=0.44μm、N=5
第2コア層503b、Δ2=0%、t2=0.95μm、N2=4
この見積もりは、 図7より│Bs│は、おおよそΔの1次関数として変化するので、手順▲1▼で数点のΔに対する│Bs│を求め、1次の近似曲線を見積もり、それより所定の│Bs│に対するΔを求めても良い。
【0074】
この多層構造により、図1(a)に示すマッハ・ツェンダー干渉計と図1 (b)に示すアレイ導波路格子を作製した。アレイ導波路格子のスラブ導波路112は、単一モード導波路と同様の層構造にて形成している。
【0075】
図8にマッハ・ツェンダー干渉計の透過スペクトルを、図9にアレイ導波路格子の透過スペクトルを示す。TEモードとTMモードの損失スペクトルがほぼ一致している。TEモードとTMモードの最も損失が低くなるピーク波長の波長シフトDlは、マッハ・ツェンダー干渉計では0.01nm以下、アレイ導波路格子で0.03nm以下であり、この波長シフトから複屈折Beは3×10−5以下と見積もれ、本発明の導波路構造により導波路の複屈折を十分小さくできることがわかる。また、それぞれのモードのピーク波長における損失差は約0.1dBであり、従来の数dBに比較して低減しており、導波型光回路の偏波依存性をほぼ解消できることがわかる。
【0076】
(実施の形態2)
本発明の第2の実施の形態は、実施の形態1におけるコアの層数を約1/2〜約2倍の範囲で変えた。
【0077】
図5に示す単一モード導波路である多層構造のコア503は、実施の形態1と同様に、平均比屈折率差Δaveが0.75%、コア寸法が6μm×6μm、多層構造による複屈折の大きさ│Bs│が2.3×10−4となるように、第1コア層503aの比屈折率差Δを2.0%、第2コア層503bの比屈折率差Δ2を0%にした。第1コア層の層数N1を2層〜11層の範囲で変え、図1(b)に示すアレイ導波路格子を作製した。アレイ導波路格子のスラブ導波路112は、単一モード導波路と同様の層構造にて形成している。第2コア層の層数N2は、(N1-1)層である。第1コア層503aの層厚tと、第2コア層503bの層厚t2は、次のように設定した。
【0078】
N1=2、t=1.10μm、t2=3.79μm
N1=3、t=0.74μm、t2=1.90μm
N1=4、t=0.55μm、t2=1.26μm
N1=5、t=0.44μm、t2=0.95μm
N1=6、t=0.37μm、t2=0.76μm
N1=7、t=0.32μm、t2=0.63μm
N1=8、t=0.28μm、t2=0.54μm
N1=9、t=0.25μm、t2=0.47μm
N1=10、t=0.22μm、t2=0.42μm
N1=11、t=0.20μm、t2=0.38μm
導波路の製造工程は、実施の形態1と同じである。
【0079】
測定した透過スペクトルの波長シフトより見積もった多層構造による構造複屈折の大きさ│Bs│を図10に示す。N1が2では、│Bs│が所定値より5×10−5大きく、回路損失、及び通常の光ファィバとの接続損失が若干大きくなる。これは、従来構造の電磁界分布に比較して波形のひずみが大きいためである。すなわち、総層数5以上では、所定の│Bs│に対して2×10−5以内で設定できていることがわかる。また、通常の光ファィバとの接続損失が、従来構造で約0.4dBあるが、N1が3〜6で約0.15dB、N1が7、8で約0.1dB、N1が9〜11で約0.05dB小さな値となっており、適当な層数を選択することで、接続損失を低減することができる。それゆえ、導波路の複屈折を十分小さくでき、導波型光回路の偏波依存性をほぼ解消するには、総層数5以上にすることが望ましい。
【0080】
(実施の形態3)
本発明の第3の実施の形態は、実施の形態1のコアより平均比屈折率差を高くしたものである。
【0081】
図5に示す単一モード導波路である多層構造のコア503の平均比屈折率差Δaveを1.5%、コア寸法が4μm×4μmとし、図1(b)に示すアレイ導波路格子を作製した。アレイ導波路格子のスラブ導波路112は、単一モード導波路と同様の層構造にて形成している。多層構造による複屈折の大きさ│Bs│が2.3×10−4となるように、各層の比屈折率差Δi、層厚t i、層数Niは、式(1)〜(3)及び補正係数c1=0.8、c2=0より、以下の値に設定した。補正係数c1、c2は、実施の形態1で求めた値である。
【0082】
第1コア層503a、Δ=2.25%、t=0.56μm、N=5
第2コア層503b、Δ2=0%、t2=0.30μm、N2=4
導波路の製造工程は、実施の形態1と同じである。
【0083】
作製したアレイ導波路格子の透過スペクトルより、波長シフトは、TEモードがTMモードより大きい-0.02nmであり、複屈折が2×10−5まで低減できていることがわかる。また、通常の光ファィバとの接続損失は、従来構造に比較して0.2dB小さな値となった。
【0084】
ここでは、実施の形態1で求めた補正係数c1、c2を適用したが、実施の形態1と同様に、次の3種類の多層構造により図1(a)のマッハ・ツェンダー干渉計を作製し、その透過スペクトルより補正係数c1、c2を見積もった。第1コア層の層数N1を5層、第2コア層の層数N2を4層とした総層数9層とした。
【0085】
Figure 0003679036
作製したマッハ・ツェンダー干渉計の透過スペクトルより見積もった多層構造による構造複屈折の大きさ│Bs│を図7の黒三角で示す。この結果と(1)〜(3)式の比較より、c1は0.78、c2 は3×10−5と見積もれ、 (1)〜(3)式による計算結果を図7の破線で示す。実施の形態1で見積もったc1=0.8、c2 =0とほぼ同じ値であり、本実施の形態で作製したΔ=2.25%では、この計算により見積もられる│Bs│は2.5×10−4であり、作製したアレイ導波路格子の波長シフトと対応している。
【0086】
これより、平均比屈折率差及び寸法が異なる単一モード導波路構造の場合、作製誤差の影響も考慮すると手順▲1▼により補正係数c1、c2を見積もることが望ましい。実施の形態1と本実施の形態のように同程度の閉じ込め(同程度のVパラメータ)であれば、既に見積もった値を適用しても、導波路の複屈折を十分小さくすることができ、導波型光回路の偏波依存性がほぼ解消できることがわかる。
【0087】
(実施の形態4)
本発明の第4の実施の形態では、従来のコア構造での導波路複屈折の大きさ│B0│を第3の実施の形態の約1/2である1.1×10−4となる石英系ガラスにてクラッドを形成した。また、第2コア層503bの比屈折率差Δ2を0以外に設定した。
【0088】
図5に示す多層構造のコア503の平均比屈折率差Δaveを1.5%、コア寸法が4μm×4μmとなる単一モード光導波路にて図1(b)に示すアレイ導波路格子を作製した。アレイ導波路格子のスラブ導波路112は、以下で述べる単一モード導波路と同様の層構造にて形成している。多層構造による複屈折の大きさ│B│が1.2×10−4となるように、各層の比屈折率差Di、層厚t i、層数Niを、補正係数c1=0.8、c2=0とした式(1)〜(3)より見積もり、以下の値に設定した。この補正係数c1、c2は、実施の形態1で求めた値である。
【0089】
第1コア層503a、Δ=1.91%、t=0.42μm、N=7
第2コア層503b、Δ2=0.37%、t2=0.18μm、N2=6
導波路の製造工程は、実施の形態1と同じである。
【0090】
作製したアレイ導波路格子の透過スペクトルから、波長シフトは、0.01nmであり、複屈折を1×10−5まで低減できており、従来のコア構造での導波路複屈折の大きさ│B0│に関係なく、複屈折を低減できることがわかる。また、実施の形態3と異なる多層構造を選択することができる。
【0091】
(実施の形態5)
本発明の第5の実施の形態は、3種類の異なる比屈折率差をほぼ交互に多層化したコア構造である。
【0092】
図11は本実施の形態の単一モード導波路の断面を示すもので、基板1101にシリコン基板を用い、クラッド1102及びコア1103は石英系ガラスにより形成している。コア1103は、第1コア層1103a、第2コア層1103b、及び第3コア層1103cを、基板側より第1コア層1103a、第2コア層1103b、第3コア層1103c、第1コア層1103a、第2コア層1103b、第3コア層1103c、膜厚が1/2の第2コア層1103b、第1コア層1103a、膜厚が1/2の第2コア層1103b、第3コア層1103c、第2コア層1103b、第1コア層1103a、第3コア層1103c、第2コア層1103b、第1コア層1103aの順で積層した構造であり、コア中央層に対して各層を対称に配置した。
【0093】
コアの平均比屈折率差Δaveを0.75%、コア寸法を6μm×6μm、第1コア層1103aの比屈折率差Δを3%、第2コア層1103bの比屈折率差Δ2を0.75%、第3コア層1103cの比屈折率差Δ3を0%とし、実施の形態1で求めた補正係数c1=0.8、c2=0を用いた(1)〜(3)式により多層構造を設計できることを確認するために、層厚が下記の4種類となるマッハ・ツェンダー干渉計を作製した。導波路の製造工程は、実施の形態1と同様に行った。
【0094】
Figure 0003679036
作製したマッハ・ツェンダー干渉計の透過スペクトルより求められる波長シフトより多層構造による構造複屈折│Bs│を見積もった。第1コア層の膜厚tに対して│Bs│をプロットしたのが、図12に示す黒丸である。実線は、補正係数c1=0.8、c2=0を用いた(1)〜(3)式により計算した結果であり、波長シフトより見積もった│Bs│と良い一致をしている。
【0095】
これより、多層構造による構造複屈折│Bs│が2.3×10−4となる各層の層厚を、補正係数c1=0.8、c2=0とした(1)〜(3)式から次のように設定し、図1(b)に示すアレイ導波路格子を作製した。アレイ導波路格子のスラブ導波路112は、以下で述べる単一モード導波路と同様の層構造にて形成している。製造工程は、実施の形態1と同様である。
【0096】
第1コア層1103a、Δ=3%、t=0.17μm、N=5
第2コア層1103b、Δ2=0.75%、t2=0.51μm、N2=6
(膜厚が1/2の第2コア層1103bの膜厚は0.26μm、N2=6は、膜厚が1/2の2層を含む)
第3コア層1103c、Δ3=0%、t3=0.65μm、N3=4
作製したアレイ導波路格子の透過スペクトルより、波長シフトは0.01nmであり、複屈折を1×10−5まで低減でき、3種類の異なる比屈折率差を有す層の交互配置でも偏波依存性を解消した導波型光回路を実現できることを確認した。
【0097】
3種類の異なる比屈折率差の層を交互に配置して多層構造を構成することは、2種類の異なる比屈折率差の層を交互に配置して多層構造を構成するのに比べて、比屈折率差、膜厚の選択の自由度が上がる。コアの平均比屈折率差と多層構造による構造複屈折│Bs│は、主に、多層構造を構成する層の比屈折率差と膜厚により決まる。ここでは、層数は固定して考えることとする。
【0098】
2種類の層の交互層で構成する場合、多層構造を規定するパラメータは、2種類の比屈折率差と2種類の膜厚であり、その内の1つを設定すると、平均比屈折率差と構造複屈折│Bs│が決まっているため、他の3つの値が自動的に設定される。3種類の層の交互層で構成する場合、多層構造を規定するパラメータは、6種類であり、その内の3つを定めると、平均比屈折率差と│Bs│が決まっているため、他の3つの値が決まる。
【0099】
それゆえ、例えば、2種類の層の交互層では、実施の形態1〜4のように、第2コア層の比屈折率差を始めに設定したため、第1コア層の比屈折率差、第1コア層及び第2コア層の膜厚が自動的に決まった。3種類の層の交互層では、本実施の形態に示すように、各層の比屈折率差を設定すれば、各層の膜厚が自動的に決まる。すなわち、比屈折率差を適当に選択できる。作製精度を出しにくいパラメータがある場合、例えば、本実施の形態で設定した3種類の比屈折率差にしか設定できない場合、膜厚を高い精度に設定できれば、適切な構造複屈折を与えることができ、複屈折を低減できる。
【0100】
3種類の層の交互層の利点として、石英系光導波路においては、光誘起屈折率変化を効率よく生じさせることができる。これは、GeO2を高濃度に添加した石英系ガラスは、高い光誘起屈折率を得ることができ、3種類の層の交互層は、2種類の層の交互層に比べて、GeO2を高濃度に添加した層を設定しやすいからである。以上の利点は、交互層の層の種類をさらに増やすことで増す。
【0101】
(実施の形態6)
本発明の第6の実施の形態では、基板1301に石英基板を用い、図13に示す単一モード導波路の断面のように、コアを基板面に平行な方向で多層構造とした。クラッド1302及びコア1303は石英系ガラスにより形成し、コア1303は、第1コア層1303a及び第2コア層1303bを基板面と平行な方向に交互に配置した多層構造である。層は光の進行方向とおおよそ平行、すなわち、光導波路の側面とほぼ平行になっている。
【0102】
石英基板上に図2に示す従来構造の光導波路を作製した場合、TEモードに比較したTMモードの実効屈折率の値は、上記実施の形態とは逆に、小さくなり、複屈折値B0が−2.1×10−4となる負の値である。これは、光導波路に引っ張り応力が働くためである。図1(b)に示すアレイ導波路格子の透過スペクトルはTMモードに比べてTEモードが長波長側にシフトする。それゆえ、導波路複屈折を低減するために、TEモードに比べてTMモードの実効屈折率が高くなる構造複屈折を与える基板に垂直方向の多層構造をコア1303に形成した。
【0103】
図13に示す多層構造のコア1303の平均比屈折率差Δaveを0.75%、コア寸法が6μm×6μmとし、多層構造による複屈折の大きさが2.1×10−4となるように、各層の比屈折率差Di、層厚t i、層数Niを、補正係数c1=0.8、c2=0とした式(1)〜(3)より以下の値に設定した。補正係数c1、c2は、実施の形態1で求めた値である。また、図1(b)に示すアレイ導波路格子を作製した。アレイ導波路格子のスラブ導波路112は、以下で述べる単一モード導波路と同様の層構造にて形成しており、層は入出力導波路の中央と導波路アレイの中央を結ぶ方向にほぼ平行に形成した。
【0104】
第1コア層1303a、Δ=2.0%、t=0.75μm、N=3
第2コア層1303b、Δ2=0%、t2=1.88μm、N2=2
図14は、本実施の形態の導波路を製造するための工程図である。以下、工程順に説明する。(a)基板1401として石英基板を用い、基板1401上に下部クラッド1402用ガラス微粒子層及び第1コア層1404a用ガラス微粒子を火炎堆積法により堆積し、電気炉にて透明ガラス化した。(b)第1コア層用膜1403の不要部分を反応性イオンエッチング法により除去して、短冊状の第1コア層1404aを形成する。(c)第1コア層1404aをおおうように下部クラッド1402と同等の屈折率を有する上部クラッド1405を形成する。上部クラッド1405の形成には、再度、火炎堆積法によりガラス微粒子層を堆積し、電気炉で加熱した。上部クラッド1405を形成することで短冊状の第1コア層1404aが埋め込まれ、第2コア層1404bを形成し、コア1404が多層構造となる。
【0105】
作製したアレイ導波路格子の透過スペクトルより、波長シフトは、TMモードに比べてTEモードが0.05nmであり、複屈折は約5×10−5まで低減でき、複屈折の符号の違いに関係なく低減でき、導波型光回路の偏向依存性を低減できることがわかる。
【0106】
本実施の形態では、図13に示す基板1301とコア1303の間にクラッドを形成した構造に多層構造を適用したが、基板が石英基板であるので、基板をクラッドとした図15の構造でも当然適用できる。
【0107】
(実施の形態7)
本発明の第7の実施の形態は、クラッド側の両端の層からコア中央の層に向かって屈折率を高くしたグレーデッドインデクスとなる多層構造である。図16は本実施の形態のグレーデッドインデクスとした多層構造の単一モード導波路の断面を示すもので、基板1601にシリコン基板を用い、クラッド1602及びコア1603は石英系ガラスにより形成している。コア1603は、第1コア層1603aと第2コア層1603bを中間のコア層である第3コア層1603cに対称となる位置に配置した総層数5層の多層構造であり、屈折率が第1コア層1603a、第2コア層1603b、第3コア層1603cの順番で高くした。
【0108】
下記の設定にて平均比屈折率差Δaveを0.75%、及び1.5%の2種類の構造により図1(b)に示すアレイ導波路格子を作製した。アレイ導波路格子のスラブ導波路112は、単一モード導波路と同様の層構造にて形成した。
平均比屈折率差Δaveを0.75%の多層構造のコア1603は、コア寸法を6μm×6μmとし、各層を、
第1コア層1603a、Δ=0.45%、t=1.0μm
第2コア層1603b、Δ2=0.75%、t2=1.2μm
第3コア層1603c、Δ3=1.1%、t3=1.6μm
とした。また、平均比屈折率差Δaveを1.5%の多層構造のコア1603は、コア寸法を4μm×4μmとし、各層を、
第1コア層1603a、Δ=1.1%、t=0.8μm
第2コア層1603b、Δ2=1.5%、t2=0.9μm
第3コア層1603c、Δ3=2.0%、t3=1.1μm
とした。
【0109】
製造工程は、実施の形態1と同様である。クラッドは、実施の形態4と同様に、従来のコア構造での導波路複屈折の大きさ│B0│が1.1×10−4となる石英系ガラスにて形成した。
【0110】
作製したアレイ導波路格子の透過スペクトルより、波長シフトは、平均比屈折率差Δave 0.75%で0.02nm、平均比屈折率差Δave1.5%で0.01nmであり、複屈折│Be│を、それぞれ2×10−5、1×10−5まで低減でき、グレーデッドインデックスとなる層構造にても、導波路複屈折を低減でき、導波型光回路の偏波依存性を低減できることを確認した。
【0111】
モード解析より見積もった多層構造による構造複屈折の大きさ│Bs│は、平均比屈折率差Δave 0.75%で2.2×10−5であり、平均比屈折率差Δave 1.5%で6.3×10−5である。従来構造での│B0│1.1×10−4に比較して約1/2以下の値である。これは、グレーデッドインデックス構造にすることで、第3コア層中央付近での電界分布が強くなったことと、コア内で顕著な応力分布があり、コア中心付近の複屈折が小さくなったためと類推される。屈折率の異なるコア層を交互に配置した場合、光は、応力による複屈折分布の平均的な値を感じ、その大きさは従来の光導波路構造での導波路複屈折とほぼ同程度になっているため、上述の実施の形態のように補正係数c1のみの補正により(1)式を設定できていると考えられる。
【0112】
従来のコア構造での導波路複屈折の大きさ│B0│、モード解析から求められた構造複屈折の大きさ│Bs│、及びアレイ導波路格子の透過スペクトルより見積もられた複屈折│Be│から、モード解析から求められた構造複屈折の大きさ│Bs│以外に生じた複屈折は、平均比屈折率差Δave 0.75%、7×10−5、平均比屈折率差Δave1.5%で4×10−5である。さらに適正化するために、上記の設定近傍で調整する場合は、 (1)〜(3)式の補正係数c1、c2を、c1=1.15、c2=7×10−5、c1=2.52、c2=4×10−5にて設定すれば良い。
【0113】
(実施の形態8)
本発明の第8の実施の形態は、図17に示す光結合器であるMMI1701の光干渉部であるマルチモード導波路1702に、図5と同様な比屈折率差の異なる2種類の層を交互に積層した多層構造を適用した導波型光回路である。
【0114】
MMI1701は、方向性結合器に比較して、結合率が作製誤差による変動が小さいが、過剰損失が大きい。また、導波路複屈折を有する場合、過剰損失に偏波依存性を生じる。
【0115】
コアの平均比屈折率差Δaveを0.75%、コア高さを6μm 、マルチモード導波路1702のコア幅を24μm、入力及び出力導波路1703、1704のコア幅を6μmとした。多層構造による複屈折の大きさ│Bs│が5×10−4となるように、モード解析より、各層の比屈折率差Δi、層厚t i、層数Niを以下の値に設定した。
│Bs│の値は、従来の導波路構造で作製したMMI 1701の過剰損失の偏波依存性からBPMにより見積もった。また、モード解析の結果から式(1)の補正係数を見積もるとc1=0.97、c2=0となる。マルチモード導波路1702の光の伝搬方向の長さは、1.4mmと1.45mmの2種類作製した。
【0116】
第1コア層503a、Δ=3.1%、t=0.28μm、N=5
第2コア層503b、Δ2=0%、t2=1.15μm、N2=4
製造工程は、実施の形態1と同様である。
【0117】
マルチモード導波路1702の光の伝搬方向の長さが1.4mmと1.45mmにおけるMMI 1701の偏波による過剰損失差(波長1.55μm)は、従来のコア構造で0.1dB、0.4dBであったが、多層構造により両方とも0.02dB以下まで低減した。これにより、マルチモード導波路のコアを多層構造にすることで、導波型光回路の偏波依存性を低減できることを確認できた。
【0118】
図1(a)に示すマッハ・ツェンダー干渉計101を、方向性結合器102の代わりにMMI 1802を適用して作製する場合、光導波路103とMMI 1702で複屈折が異なるため、光導波路103に実施の形態1の多層構造を、MMI 1702に本実施の形態の多層構造を適用することが望ましい。作製工程として、本実施の形態のプロセスに従い、マルチモード導波路のコアを作製し、そののち、単一モード導波路を実施の形態1に従って作製すれば良い。単一モード導波路用コア層を形成する際に、マルチモード導波路のコア上にも形成されるが、その後のコア層を加工してコアリッジを形成する際に、同時に、除去することができる。このようにして作製したマッハ・ツェンダー干渉計の特性は、透過スペクトルより、波長シフトは0.01nmであり、TEモードとTMモードのピーク波長の損失差は、0.03dB以下であった。これにより、異なる複屈折を有する光導波路に適切な多層構造を形成することで、導波型光回路の偏波依存性を解消できることを確認できた。
【0119】
本実施の形態では、単一モード導波路とマルチモード導波路を異なる多層構造により実現したが、マルチモード導波路に合わせた多層構造により両導波路のコアを作製し、光導波路103にλ/2波長板を挿入してもよい。この構成では、波長シフトは0.005nmであり、TEモードとTMモードのピーク波長の損失差は、0.03dB以下であった。
【0120】
(その他)
本発明は、コアの平均比屈折率差、寸法、多層構造による複屈折値を、各層の比屈折率差、厚さ、層数により調整すれば良い。それゆえ、上述した実施の形態のコアの平均比屈折率差、寸法、多層構造による複屈折値、コア部の各層の屈折率、厚さ、層数に限定されるものでない。
【0121】
本発明における単一モード導波路は、2モード程度の導波路で、回路内ではおおよそ単一モード導波路として機能する疑似単一モード導波路を含む。
【0122】
また、上記の実施の形態では、マッハ・ツェンダー干渉計、アレイ導波路格子、及びMMI単体の導波型光回路を用いたが、これに限定されるものでなく、リング共振器など光導波路により構成できる光回路であれば適用できる。
【0123】
また、上記の実施の形態では、多層構造による構造複屈折値│BS│を、コア構造での導波路複屈折の大きさ│B0│とほぼ等しくなるようにしたが、│B0│の2倍未満であれば、少なくとも従来よりも複屈折を低減できる。また、上記の実施の形態のマッハ・ツェンダー干渉計やアレイ導波路格子では、複屈折を約5×10−5以下まで低減することで、偏波による損失変動を約0.1dB以内に抑えることができる。
【0124】
第2及び第3の実施の形態で光ファィバとの接続損失が従来と比較して低減していることを述べたが、他の実施の形態でも、層数が少ない場合に光ファィバとの接続損失がより低減している。作製した光回路の回路としての過剰損失は、従来と比較して増加しておらず、層数を適切に選択することで、回路特性を損なわずに、入出力導波路を伝搬する光のスポットサイズを光ファイバに近づけることができ、光ファィバとの接続損失を低減することができる。
【0125】
上述した実施形態では、火炎堆積法によりクラッド及びコアを形成したが、作製法に限定されるものでなく、他の石英ガラスによる多層構造を形成できる手段、例えば、ECR−CVD(Electron Cyclotron Resonance Chemical Vapor Deposition)、スパッタ、プラズマCVDなどにより形成しても導波路複屈折を低減・解消できる。また、屈折率を調整するのにGeO2を用いたが、屈折率を所望の値に設定できればよいので、TiO2等ほかのドーパントを適用してもよい。さらに、導波路材料として、石英系ガラスを用いたが、屈折率の異なる層を多層化できればよく、他のガラス系材料、高分子材料などにも適用できる。
【0126】
上記実施形態では、多層構造のみで、従来構造で生じている導波路複屈折を低減しているが、従来技術で述べたコアを覆うクラッドのドーパント材料・ドープ量を調整した導波路の複屈折の低減方法と組み合わせることもできる。
【0127】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、導波路複屈折を解消、あるいは、小さくでき、光回路の偏向依存性を解消、あるいは、小さくすることができる。また、上記で説明したように、本発明では、コアを多層構造とするのみで、従来の導波路製造方法を適用することができるので、上述した他の偏向依存性の解消技術の課題であった製造歩留まり、量産性、光学特性、信頼性をおとすことなく光回路を作製でき、低価格、高性能、高信頼となる実用的な光回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】マッハ・ツェンダー干渉計((a))、およびアレイ導波路格子((b))の構成例を示す図である。
【図2】従来の光導波路の断面の例を示す図である。
【図3】従来のマッハ・ツェンダー干渉計の透過スペクトルの例を示す図である。
【図4】従来のアレイ導波路格子の透過スペクトルの例を示す図である。
【図5】本発明の第1、第2、第3、第4および第8の実施の形態における光導波路の断面の例を示す図である。
【図6】本発明の第1、第2、第3、第4、第5および第8の実施の形態における光導波路の製造工程の例を説明するための図である。
【図7】本発明の第1および第3の実施の形態における多層構造のコアの第1層の比屈折率差Δ1に対する多層構造による複屈折の大きさ│BS│の例を示すグラフである。
【図8】本発明の第1の実施の形態におけるマッハ・ツェンダー干渉計の透過スペクトルの例を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態におけるアレイ導波路格子の透過スペクトルの例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態における多層構造のコアの第1層の層数N1に対する多層構造による複屈折の大きさ│BS│の例を示すグラフである。
【図11】本発明の第5の実施の形態における光導波路の断面の例を示す図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態における多層構造のコアの第1層の厚さt1に対する多層構造による複屈折の大きさ│BS│の例を示すグラフである。
【図13】本発明の第6の実施の形態における光導波路の断面の例を示す図である。
【図14】本発明の第6の実施の形態における光導波路の製造工程の例を説明するための図である。
【図15】本発明の第6の実施の形態における光導波路の断面の別の例を示す図である。
【図16】本発明の第7の実施の形態における光導波路の断面の別の例を示す図である。
【図17】本発明の第8の実施の形態におけるMMIの構成例を示す図である。
【符号の説明】
101 マッハ・ツェンダー干渉計
102 方向性結合器
103 光導波路
104 入力導波路
105 出力導波路
111 アレイ導波路格子
112 スラブ導波路
113 導波路アレイ
114 入力導波路
115 出力導波路
201 基板
202 クラッド
203 コア
501 基板
502 クラッド
503 コア
503a 第1コア層
503b 第2コア層
601 基板
602 下部クラッド
603 コア層
603a 第1コア層用膜
603b 第2コア層用膜
604 コア
604a 第1コア層
604b 第2コア層
605 上部クラッド
1101 基板
1102 クラッド
1103 コア
1103a 第1コア層
1103b 第2コア層
1103c 第3コア層
1301 基板
1302 クラッド
1303 コア
1303a 第1コア層
1303b 第2コア層
1401 基板
1402 下部クラッド
1403 第1コア層用膜
1404 コア
1404a 第1コア層
1404b 第2コア層
1405 上部クラッド
1501 基板
1502 上部クラッド
1503 コア
1503a 第1コア層
1503b 第2コア層
1601 基板
1602 クラッド
1603 コア
1603a 第1コア層
1603b 第2コア層
1603c 第3コア層
1701 MMI
1702 マルチモード導波路
1703 入力導波路
1704 出力導波路

Claims (19)

  1. ガラス系材料あるいは高分子材料からなるクラッドおよびコアを有し、当該コアは当該クラッドで覆われており、単一モード導波路を含む、あるいはマルチモード導波路を含む、あるいは単一モード導波路およびマルチモード導波路を含む導波路を備えた導波型光回路であって、前記単一モード導波路の少なくとも一部のコア、および前記マルチモード導波路の少なくとも一部のコアの少なくとも一方は、屈折率の異なる複数の種類の層により形成された多層構造となっており、前記導波路の複屈折のうち、前記多層構造により生じる構造複屈折の値と、それ以外の複屈折の値とでは、正負の符号が逆であり、前記多層構造により生じる構造複屈折の値の絶対値は、それ以外の複屈折の値の絶対値の2倍未満であり、前記多層構造の総層数は5〜11層であることを特徴とする導波型光回路。
  2. 請求項1に記載の導波型光回路であって、該導波型光回路は基板を備え、前記導波路は前記基板の上に形成されており、前記多層構造は、前記基板の面におおよそ垂直な方向で多層構造になっていることを特徴とする導波型光回路。
  3. 請求項1に記載の導波型光回路であって、該導波型光回路は基板を備え、前記導波路は前記基板の上に形成されており、前記多層構造は、前記基板の面におおよそ平行な方向で多層構造になっていることを特徴とする導波型光回路。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の導波型光回路であって、該導波型光回路は基板を備え、該基板はシリコン基板または石英基板であり、前記導波路は石英系ガラスにより作製されていることを特徴とする導波型光回路。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の導波型光回路であって、前記単一モード導波路の多層構造により生じる構造複屈折値と、前記マルチモード導波路の多層構造により生じる構造複屈折値とは、それぞれ異なることを特徴とする導波型光回路。
  6. 請求項5に記載の導波型光回路であって、前記マルチモード導波路の多層構造により生じる構造複屈折値は、前記単一モード導波路の多層構造により生じる構造複屈折値よりも大きいことを特徴とする導波型光回路。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載の導波型光回路であって、前記多層構造を形成する層の屈折率および厚さは、中央層に対しておおよそ対称となっていることを特徴とする導波型光回路。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の導波型光回路であって、前記多層構造は、屈折率の異なる少なくとも2種類の層をほぼ交互に配置して形成されていることを特徴とする導波型光回路。
  9. 請求項1ないし7のいずれかに記載の導波型光回路であって、前記多層構造を形成する層の屈折率は、クラッド側の両端の層からコア内部側層に向かって高くなっていることを特徴とする導波型光回路。
  10. 請求項1ないし9のいずれかに記載の導波型光回路であって、該導波型光回路は、2つの光結合器と、該2つの光結合器を結ぶ、長さの異なる複数の導波路とを有する光干渉型回路を備え、前記複数の導波路の中で最短の導波路長を有する導波路について、多層構造となっているコアの長さをLとしたとき、前記最短の導波路長を有する導波路以外の導波路の各々について、多層構造となっているコアの長さは、その導波路の長さと前記最短の導波路長との差分にLを加えた長さであることを特徴とする導波型光回路。
  11. 請求項1ないし10のいずれかに記載の導波型光回路であって、該導波型光回路は、2つの光結合器と、該2つの光結合器を結ぶ2本の単一モード導波路とを有するマッハ・ツェンダー干渉計を備えたことを特徴とする導波型光回路。
  12. 請求項1ないし10のいずれかに記載の導波型光回路であって、該導波型光回路は、2つのスラブ導波路と、該2つのスラブ導波路を結ぶ、長さの異なる複数の単一モード導波路からなる導波路アレイと、前記2つのスラブ導波路の一方に接続される単一モード導波路からなる入力導波路と、前記2つのスラブ導波路の他方に接続される単一モード導波路からなる出力導波路とを有するアレイ導波路回折格子を備えたことを特徴とする導波型光回路。
  13. 請求項1ないし12のいずれかに記載の導波型光回路であって、該導波型光回路は、複屈折補償器を備えたことを特徴とする導波型光回路。
  14. 請求項13に記載の導波型光回路であって、前記複屈折補償器は、λ/2波長板を用いた複屈折補償器であることを特徴とする導波型光回路。
  15. 請求項1ないし14のいずれかに記載の導波型光回路であって、前記導波路の複屈折の値は5×10 −5 以下であることを特徴とする導波型光回路。
  16. 請求項1ないし15のいずれかに記載の導波型光回路であって、前記多層構造により生じる構造複屈折の値は、下記式(1)および(2)をおおよそ満たし、下記式(1)および(2)において、B は多層構造により生じる構造複屈折の値であり、Nは多層構造の総層数であり、 n i および t i は、それぞれ多層構造の各層の屈折率および厚さであり、c およびc は、実測または計算によって導波路構造ごとに定まる定数であることを特徴とする導波型光回路。
    Figure 0003679036
    Figure 0003679036
  17. ガラス系材料あるいは高分子材料からなるクラッドおよびコアを有する導波路を備え、当該コアは当該クラッドで覆われており、前記導波路の少なくとも一部のコアが、屈折率の異なる複数の種類の層により形成された多層構造となっている導波型光回路を作製するステップと、
    前記作製した導波型光回路について、その特性から多層構造により生じる構造複屈折の値を見積もるステップと、
    下記式(1)および(2)において、前記見積もった構造複屈折の値をBとして、cおよびcを決定するステップと、
    前記導波路の複屈折のうち、前記多層構造により生じる構造複屈折の値と、それ以外の複屈折の値とでは、正負の符号が逆であり、前記多層構造により生じる構造複屈折の値の絶対値が、それ以外の複屈折の値の絶対値の2倍未満となるような、前記多層構造の総層数、ならびに前記多層構造の各層の屈折率および厚さを決定するステップと、
    前記作製した導波型光回路について、その多層構造の総層数、ならびにその多層構造の各層の屈折率および厚さを、前記決定した多層構造の総層数、ならびに前記決定した多層構造の各層の屈折率および厚さに変更した導波型光回路を作製するステップとを備え、
    下記式(1)および(2)において、Bは多層構造により生じる構造複屈折の値であり、Nは多層構造の総層数であり、nおよびtは、それぞれ多層構造の各層の屈折率および厚さであり、cおよびcは、実測または計算によって導波路構造ごとに定まる定数であることを特徴とする導波型光回路の作製方法。
    Figure 0003679036
    Figure 0003679036
  18. 請求項17に記載の導波型光回路の作製方法であって、前記導波路は、単一モード導波路を含み、あるいはマルチモード導波路を含み、あるいは単一モード導波路およびマルチモード導波路を含み、前記単一モード導波路の少なくとも一部のコア、および前記マルチモード導波路の少なくとも一部のコアの少なくとも一方は、屈折率の異なる複数の種類の層により形成された多層構造となっており、前記多層構造の総層数は5〜11層であることを特徴とする導波型光回路の作製方法。
  19. 請求項17または18に記載の導波型光回路の作製方法であって、前記導波路の複屈折の値は5×10 −5 以下であることを特徴とする導波型光回路の作製方法。
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