JP3676759B2 - エンジンブロックの鋳造法 - Google Patents

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  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Molds, Cores, And Manufacturing Methods Thereof (AREA)
  • Cylinder Crankcases Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、現場鋳造(cast-in-place)されたシリンダーボアライナーを備えた、例えばエンジンシリンダーVブロック等のエンジンシリンダーブロックの精密な砂型鋳造に関する。
【0002】
【従来技術】
鋳造鉄エンジンVブロックの製造において、所謂、一体型バレルクランクケースコアが使用されており、これはコアのクランクケース領域に一体に形成された複数のバレルから構成される。バレルは、鋳鉄エンジンブロックのシリンダーボアを、ボアライナーの必要無しに形成する。
【0003】
アルミニウム製内燃エンジンシリンダーVブロックの精密砂型鋳造プロセスでは、消耗用の鋳型パッケージが、エンジンVブロックの内側表面及び外側表面を画成する複数の樹脂結合式砂型コア(鋳型区分としても知られている)から組み立てられる。砂型コアの各々は、樹脂被覆式鋳物類砂をコアボックスに吹き付け、その中でそれを硬化させることによって、形成される。
【0004】
これまでの技術では、現場鋳造されたボアライナーを備えた、アルミニウム製エンジンVブロックの過去の製造において、精密砂型プロセスのための鋳型組み立て法は、適切な表面上でベースコアを配置し、分離クランクケースコア、側部コア、ライナーをその上に備えたバレルコア、水ジャケットコア、前端及び後端コア、カバー(頂部)コア、並びに、ベースコアの頂部又は互いの上に配置された他のコアを構築し即ち積み上げる工程を含んでいる。他のコアは、オイルギャラリーコア(oil gallery core)、側部コア及びコアバレイ(valley core)を含んでいる。追加のコアも、エンジン設計に応じて、同様に設けてもよい。
【0005】
組み立て又は作業操作の間に、個々のコアは、それらの間の接合部において互いに対して擦すり、その結果、少量の砂が対をなす接続表面から磨り減って損失することになる。この態様における砂の磨り減り及び損失は、欠点となり、剥がれた砂がベースコアに落ちるか、或いは、鋳型パッケージ内部の小空間に捕捉され、鋳造を汚染するという望ましくない結果をもたらす。
【0006】
更に加えて、典型的なエンジンVブロック鋳型パッケージは、完全に組み立てられたとき、鋳造区分の間に、組み立てられた鋳型パッケージの外側表面上に目に見えるように、複数の仕切りライン(接続ライン)を持つ。外側仕切りラインは、典型的には、鋳型パッケージ表面に無数に異なる方向に延在する。無数の方向に延在する仕切りラインを持つように設計された鋳造体は、隣接する鋳造区分が、しばしば観測されるように、互いに正確に合致していない場合、溶解された金属が、仕切りラインのところの隙間を介して鋳造空洞部から流れ出すことができるという欠点を持っている。溶解された金属の損失は、3つ以上の仕切りラインが集中するところで、より多く発生しやすい。
【0007】
鋳型パッケージ内の金属からの熱エネルギーの除去は、鋳造場のプロセスで重要な考慮事項となる。鋳造体の急速な凝固及び冷却は、金属中で細かい粒子構造の形成を促進し、例えば、高い引っ張り強度及び疲労強度、及び、良好な機械加工性能などの望ましい材料特性へと導く。隔壁に高い応力がかかる特長を持つこれらのエンジン設計に対して、熱チル(thermal chill)の使用が必要となる。熱チルは、鋳造砂より遙かに熱伝導度が高く、それが接触する、これらの鋳造特徴部から熱を容易に伝達させる。チルは、典型的には、鋳造体の隔壁特徴部の幾つかの部分を形成する態様で鋳造型内で組み付けられる、1つ以上の鉄又は鋳造鉄ボディからなる。チルは、ベースコアの工作機械器具及びそれらの回りに形成されたコア内に配置されてもよく、或いは、それらは、鋳型組み立ての間に、ベースコアへ、若しくは、クランクケースコアの間に組み付けられてもよい。
【0008】
鋳造物が凝固された後及び熱処理の前に、鋳造型パッケージから、この種のチルを除去することは困難である。ライザー(riser)が、鋳造型パッケージの砂により覆われ、及び、鋳造物と、ランナー(runner)若しくはライザーシステムの特徴部との間で捕捉されているからである。チルが熱処理の間で鋳造物と共に残ることが可能とされている場合、それらは、熱処理プロセスを悪化させる。鋳造物が満たされるとき僅かに暖かいチルを使用することは、共通の鋳造プラクティスである。これは、重大な鋳造物品質問題へと導きかねない、湿気又はコア樹脂溶媒のチル上への可能な凝結を回避するためになされる。鋳型組み立てから鋳型充填までの固有の時間遅延の結果として、上述した型式のチルを「暖めておく」ことは困難である。
【0009】
鋳造物の部分を急速に冷却するための別の方法は、半永久鋳型(SPM:semi-permanent molding)プロセスを使用する工程を含んでいる。この方法は、水、空気又は他の流体による永久鋳型工作機械器具の対流冷却を用いている。SPMプロセスでは、鋳型パッケージは、SPM装置内に配置される。SPM装置は、隔壁特徴の幾つかの部分を形成するように設計された、能動冷却永久(再使用可能な)ツールを含んでいる。この鋳型は、金属で充填される。数分経過後、鋳型パッケージ及び鋳造物は、永久鋳型ツールから分離され、鋳造物サイクルが繰り返される。そのような装置は、典型的には、溶解及び鋳型充填の設備を効率的に使用するため、多数の鋳造ステーションを用いている。これは、プロセスの繰り返し再現性を達成する上で、望ましくないシステムの複雑さ及び困難さを導きかねない。
【0010】
分離したクランクケースコア及びその上にライナーを備えたアルミニウムエンジンVブロックの過去の製造においては、ブロックは、とりわけ、(バレルコアのバレル特徴部上に配置されたボアライナーから形成された)シリンダーボアが、均一なボアライナー壁厚を有するということ、及び、他の重要なブロック特徴部が高精度に機械加工されることを確実にする態様で機械加工されなければならない。これは、ライナーが、鋳造部内部で互いに対して高精度に配置されること、及び、ブロックが、機械加工設備に対して最適に配置されることを必要とする。
【0011】
鋳造物内部での互いに対するボアライナーの位置は、鋳型の充填の間、ボアライナーを支持するため使用される、鋳型成分(コア)の寸法精度及び組み立てクリアランスにより大方決定される。ライナーを支持するための多数の鋳型構成要素の使用は、多数の鋳型構成要素における、寸法のばらつきの蓄積即ち積み重ね、及び、組み立てクリアランスに起因してライナーの位置のばらつきを発生させる。
【0012】
機械加工用の鋳造Vブロックを準備するため、それは、所謂OP10又は制限(qualification)備品(fixture)のいずれかで保持されており、その一方で、平削り機械設備は、鋳造Vブロック上に平坦で滑らかな参照箇所(機械ライン位置決め器表面)を高精度に準備する。これらの参照箇所は、他の機械加工備品において、エンジンブロック機械加工プラントにおけるVブロックを配置するため後に使用される。OP10の備品は、エンジンブロック機械加工プラントで典型的に存在しており、その一方で、制限備品は、鋳造ブロックを製造する鋳造場に典型的に存在する。いずれの備品の目的も、鋳造エンジンブロック上で制限された位置決め器表面を提供することである。OP10又は制限備品に鋳造物を配置する鋳造物上の備品は、「鋳造位置決め器(casting locator)」として知られている。典型的には、現場鋳造されたボアライナーを備えたVブロックのためのOP10又は制限備品は、シリンダーの各バンクから少なくとも1つのシリンダーボアライナーの湾曲した内側表面を鋳造位置決め器として使用する。鋳造位置決め器として湾曲表面を使用することは、不都合を被る。単一方向に鋳造物を移動させることは、鋳造物の空間的配位に複雑な変化を引き起こすからである。これは、バンクが互いにある角度で整列されるとき、各バンクから少なくとも1つのライナー表面を使用することにより、更に倍化される。実用的な事情として、機械加工者は、参照平面を確立する3つの1次鋳造位置決め器上に鋳造物を最小に受け入れ支持する備品を設計することを選択する。次に、鋳造物は、2つの2次的鋳造位置決め器に対して移動され、参照ラインを確立する。最後に、その鋳造物は、単一の3次鋳造位置決め器が参照ポイントを確立するまで当該ラインに沿って移動される。ここで、鋳造物の配位は、完全に確立される。次に、鋳造物は、機械加工が実行されている間、適所にクランプされる。OP10又は制限備品内で鋳造物を配位するため湾曲し且つ角度が付けられた表面を使用することは、備品内の配置の精度及びひいては鋳造Vブロックの機械加工の精度を低下させる結果となりかねない。機械加工のため位置を固定する前に、与えられた方向に鋳造物を移動させることの結果は、複雑さをもたらし、更に非再現性をもたらす可能性もあるからである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ライナー及び鋳造位置決め器が、鋳型パッケージ内及び鋳型パッケージ内で製造される鋳造エンジンブロック内で互いに対して正確に配置される態様で、夫々のシリンダーボアライナーを受け入れるようにバレル特徴部が適合されるところの現場鋳造されたボアライナーを含むアルミニウム製造物及びその他のエンジンVブロックの製造の際に一体バレルクランクケースコアを使用することである。
【0014】
本発明の別の目的は、上記欠点のうち1つ以上を克服する態様で、エンジンシリンダーブロックの砂型鋳造のための方法及び装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エンジンブロック鋳型パッケージを組み立てるための方法及び装置、並びに、鋳型パッケージ及び一体のバレルクランクケースコアを含んでいる。本発明の実施形態では、一体のバレルクランクケースコアは、一体のクランクケース領域において、2つのバンクに複数のバレルを備える。これらのバレルは、コアボックスの夫々のバレル形成ツールエレメントにより形成される。バレル形成ツールエレメントは、クランクケース領域に1つ以上の鋳造位置決め器表面を形成するようにも構成されている。鋳造位置決め器表面が、バレルを形成するのと同じツールエレメントを使用してクランクケース領域に形成されているので、鋳造位置決め器表面は、バレルに対して、かくして、エンジンブロック鋳造物内に形成されるべきシリンダーに対して首尾一貫且つ正確に配置される。位置決め器表面は、シリンダーボアライナーの内側湾曲表面を参照する必要無しに、引き続く整列及び機械加工作業でエンジンブロック鋳造物を位置決めするため使用することができる。
【0016】
本発明の図示の実施形態に従って、一体のバレルクランクケースコアは、コアボックス工作機械内で形成され、該コアボックス工作機械は、バレルそれ自体が形成されるときクランクケース領域上で鋳造位置決め器表面を形成する2つの可動のバレル形成ツールエレメントを有する。バレル形成ツールエレメントは、コアのクランクケース領域に、1次、2次及び3次の鋳造位置決め器表面を形成するように構成される。
【0017】
本発明の利点及び目的は、添付図面を参照して本発明の次の詳細な説明からより良く理解されよう。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態に係る、エンジンシリンダーブロック鋳型パッケージ10を組み立てるための図解的なシーケンスを示す流れ図を表している。本発明は、図示の組み立て工程のシーケンスに限定されない。他のシーケンスが鋳型パッケージを組み立てるために用いることができるからである。
【0019】
鋳型パッケージ10は、オプションのチル28a、オプションのチルパレット28b及びオプションの鋳型取り出しプレート28cと合致されるベースコア12と、その上に金属製(例えば、鋳鉄、アルミニウム、又は、アルミニウム合金)シリンダーボアライナー15を有する、一体のバレルクランクケースコア(IBCC)14と、2つの端部コア16と、2つの側部コア18と、2つの水ジャケットスラブコアアッセンブリ22(水ジャケットコア22a、ジャケットスラブコア22b、及び、リフターコア22c)と、タペットバレイコア24と、カバーコア26と、を含む多数の型式の樹脂結合砂型コアから組み立てられる。上述したコアは、説明の目的のために提供されたもので、これに限定するものではない。他の型式のコア及びコア形態を、鋳造されるべき特定のエンジンブロック設計に応じて、エンジンシリンダーブロック鋳型パッケージの組み立てにおいて使用することができるからである。
【0020】
例えばフェノールウレタンコールドボックス(phenolic urethane cold box)又はフランホットボックス(Furan hot box)等の従来のコア形成プロセスを使用して、樹脂結合砂型コアを作ることができる。この場合、鋳造砂及び樹脂結合材の混合物がコアボックスに吹き付けられ、該結合材が触媒ガス及び/又は熱のいずれかで硬化される、鋳造砂は、シリカ、ジルコン、溶解シリカ、及び、その他のものから構成することができる。触媒化された結合材は、アッシュランド・ケミカル・カンパニーから市販されているアイソキュア(Isocure)結合材から構成することができる。
【0021】
これに限定されない実例図示という目的のため、図1には、アルミニウムエンジンV8ブロックを鋳造するためにエンジンシリンダーブロック鋳型パッケージの組み立てにおいて使用するための樹脂結合砂型コアが示されている。本発明は、2列のシリンダーボアを含み且つ各列のボアの中心線を通る平面がエンジンブロック鋳造物のクランクケース部分で交差するV型式エンジンシリンダーブロックの高精度の砂型鋳造要の鋳型パッケージ10を組み立てることにおいて特に有用であるが、これに限定されるものではない。共通の配置は、2列のシリンダーボアの間の角度が54、60、90又は120度であるV6エンジンブロックと、2列のシリンダーボアの間の角度が90度であるV8エンジンブロックとを含むが、他の配置も用いることができる。
【0022】
図1において、コア14、16、18、22及び24は、最初に、多数のコアのサブアッセンブリ30(コアパッケージ)を形成するため、ベースコア12及びカバーコア26とは別に組み付けられる。コア14、16、18、22及び24は、最終的なエンジンブロック鋳型パッケージ10の一部分を形成しない一時的ベース即ち部材TB上で組み付けられる。コア14、16、18、22及び24は、便宜のため図1で概略的に示されており、そのより詳細な図面が図2乃至5で示される。
【0023】
図1に示されたように、一体バレルクランクケースコア14は、最初に、一時的なベースTBに配置される。コア14は、図2乃至3、及び、図5乃至6に示されるように、一体のクランクケースコア領域14b上で複数の柱状バレル14aを備える。バレルクランクケースコア14は、図5乃至6に示されたコアボックス工作機械器具100においてバレル及びクランクケース領域の組み合わせを有する一体の一部品コアとして形成される。カムシャフト通路形成領域14csは、クランクケース領域14b上に一体に形成され得る。
【0024】
コアボックス工作機械器具100は、第1及び第2のバレル形成ツールエレメント104が、夫々の油圧シリンダー106により移動するための案内ピン105上に摺動可能に配置される。カバー107は、バレル−形成ツールエレメント104に向かって油圧シリンダー109により移動するための垂直移動可能な正確に案内されるコア機械プラッテン110上に配置される。エレメント104及びカバー107は、図5の実線の位置から、破線の位置まで、移動され、空洞部Cを形成する。該空洞部には、砂/結合材の混合物が吹き付けられて硬化され、コア14を形成する。コア14の端部は、ツールエレメント104及び/又は107により形成される。コア14は、ツールエレメント104及びカバー107を互いから離れるように移動させて該コア14及びクランクケース領域14bを露出させることにより工作機械器具100から取り外される。該クランクケース領域14bは、便宜上、図6で幾分概略的に示されている。
【0025】
バレル形成ツールエレメント104は、バレル14aと、鋳造位置決め器表面14c、14d及び14eを含む、外側クランクケースコア表面と、を形成するように構成される。カバー107は、コア14の内側及び他の外側クランクケース表面を形成するように構成される。図示という目的のために、ツールエレメント104は、2つの1次鋳造位置決め器表面14cを形成するため作動表面104cを含んで示されるが、これに限定されるものではない。これらの2つの1次位置決め器表面14cを、クランクケース領域14cの一端部E1で形成することができ、類似した第3の位置決め器表面(図示しないが表面14cと類似している)を、図2のクランクケース領域14bの他の端部E2で形成することができる。3つの1次鋳造位置決め器表面14cは、既知の3−2−1鋳造位置法で使用するための参照平面を確立する。2つの鋳造2次位置決め器表面14dを、参照ラインを確立するため、コア14の図2のクランクケース領域14bの一側部CS1上に形成することができる。図5の右手側ツールエレメント104は、コア14の側部CS1上に2次位置決め器表面14dを形成するための作動表面104d(そのうちの1つが示される)を含んで示される。左手側ツールエレメント104は、コア14の他方の側部CS2上に2次位置決め器表面14dをオプションで形成するため類似の作動表面104d(そのうちの1つが示される)をオプションで含むことができる。図2の、位置決め器表面14cに隣接した3次鋳造位置決め器表面14eは、コア端部E1で位置決め器表面14cを形成するのと同じツールエレメントによって、クランクケース領域14bの端部E1上で形成することができる。単一の3次位置決め器表面14eは、参照ポイントを確立する。6つの位置決め器表面14c、14d、14eは、引き続く機械加工作業のため、鋳造エンジンブロックを配置するための3軸座標系を確立する。
【0026】
実際には、6以上の鋳造位置決め器表面を使用してもよい。例えば、一対の幾何学的に対向する鋳造位置決め器表面を、6つのポイント(3+2+1)の配置スキームで単一の配置ポイントとして機能させるため、オプションで均等化(equalized)してもよい。均等化は、OP10又は制限備品において機械的に同期される配置詳細手段の使用により典型的に達成される。これらの配置詳細手段は、2つの表面の変動を平均化し即ち均等化させる態様で、位置決め器表面対と接触する。例えば、位置決め器表面14dと類似した追加の対の2次位置決め器表面は、図5の左手側バレル形成ツールエレメント104の作動表面104dにより、コア14の反対側CS2上にオプションで形成することができる。その上、追加の1次位置決め器及び3次位置決め器の表面を、特定のエンジンブロック鋳造設計のため同様に形成することができる。引き続く整列及び機械加工作業で、2つ以上のシリンダーボアライナー15の1以上の湾曲表面を参照する必要無しに、エンジンブロック鋳造物を配位するため位置決め器表面14c、14d、14eを使用することができる。
【0027】
位置決め器表面14c、14d、14eが、一体のバレル14aを形成するのと同じコアボックスバレル形成ツールエレメント104を使用してクランクケースコア領域14b上に形成されるので、これらの位置決め器表面は、バレル14a及びかくしてエンジンブロック鋳造物内に形成されるシリンダーボアに対して、首尾一貫且つ正確に配置される。
【0028】
上述されたように、一体のバレルクランクケースコア14は、一時的ベースTB上に最初に配置される。次に、金属シリンダーボアライナー15は、コア14の各バレル14a上に手動又はロボットにより配置される。バレル14a上の配置以前に、ライナーと鋳造金属との間の緊密な機械的接触を促進するという目的のため、各々のライナー外側表面を、カーボンブラックを含むすすを用いて被覆してもよい。コア14は、図3Aで最も良く示されているように、各バレル14aの下側端部で、面取りされた(円錐形の)下側環状ライナー位置決め器表面14fを含むように、コアボックス工作機械器具100内に作られる。面取り表面14fは、図3Aに示されているように、各ボアライナー15の面取り環状下側端部15fと係合しており、エンジンブロックの鋳造前及び鋳造の間にバレル14aに対してボアライナーを配置する。
【0029】
シリンダーボアライナー15は、各々、ボアライナー15の長さ全体又はその長さの一部分に沿ってテーパーが形成された内径を備えるように機械加工又は鋳造することができ、内部にコアが形成されているコアボックス工作機械器具100からコア14を取り出すことを可能にするため、バレル14a上で与えられた、図3Aの抜き勾配角度A(外径テーパー)と同様に形成される。特に、工作機械器具100の各バレル形成エレメント104は、それのクランクケース形成領域104bからバレル形成キャビティ104aの端部に向かって延在する方向の長さに沿って僅かに減少したテーパーの内径を有する、複数のバレル形成キャビティ104aを備えており、工作機械器具100上に載っているツールエレメント104の湾曲コア14から離れる移動、即ち、図5の破線位置から実線位置までのツールエレメント104の移動を可能にしている。コアバレル14aは、かくして、コアクランクケース領域14bの最も近いところから、バレルの端部に向かって、テーパーを持つ外径を形成する(直径が減少する)。バレル14aの外径上のテーパーは、典型的には、1度以内であり、コアボックス工作機械器具100のバレル形成ツールエレメント104上で使用される抜き勾配角度に依存する。ボアライナー15の内径のテーパーは、各ボアライナー15の内径が、図3Aの下側端部における内径よりも、上側端部で小さくなるように、図3Aのバレル14aの抜き勾配角度(外径テーパー)と相補的となるように、機械加工又は鋳造される。バレル14aの外径のテーパーと適合させるためのボアライナー15の内径のテーパーは、連係されたバレル上の各ボアライナーの初期整列、及び、かくしてバレル14a上に適合される水ジャケットスラブコア22に関する整列を改善する。テーパーを適合させることは、各ボアライナー15と連係されたバレル14aとの間の空間即ち隙間を減少させ、厚さの均一性を作り出し、エンジンブロック鋳型の鋳造の間に当該空間に溶解金属が入り込む可能性及び範囲を減少させる。ボアライナー15の内径上のテーパーは、エンジンブロック鋳造の機械加工の間に、除去される。
【0030】
ボアライナー15の内径テーパーは、図3及び図3Aに示されたようにそれらの長さ全体に沿って延在してもよく、或いは、図3Eに示されたように、それらの長さの一部分に沿ってのみ延在してもよい。
【0031】
例えば、各ボアライナー15の内径テーパーは、図3Eに示されたようにコアプリント14pに隣接した前記バレル14aの各々の末端部に近接したところで、その長さの上側テーパー形成部分15kに沿ってのみ延在し、該コアプリント部に近接して、ボアライナー15の上側端部が水ジャケットスラブコアアッセンブリ22と結合した状態とすることができる。例えば、テーパー形成部分15kは、その上側端部からその下側端部に向かって測定されるとき25.4mm(1インチ)の長さを持ってもよい。図示していないが、同様の内径テーパー形成領域を、クランクケース領域14bに隣接した各ボアライナー15の下側端部、又は、その上側端部及び下側端部の間でボアライナー15の長さに沿った他の任意の局所領域において局所的に設けることができる。
【0032】
本発明は、バレル14aの抜き勾配角度と適合させるため内径の僅かなテーパーを備えたボアライナー15の使用に限定されるものではない。一定の内径及び外径を備えた、テーパーが形成されていないシリンダーボアライナー15を、図3Fに示すように、本発明を実施するため使用することができるからである。テーパー形成ボアライナー15に対して本文中で説明された表面15f、15gと類似した面取りされたボアライナー表面15f、15gと係合している面取り位置決め器表面14f、22gによって、テーパーが形成されていないボアライナー15が、バレル14a上に配置される。
【0033】
コア14のバレル14a上のボアライナー15の組み付けに続いて、端部コア16が、手動又はロボットで、コアを整列させるため結合コア上の相互適合コアプリント特徴部と、それらを取り付けるための従来の手段、例えば、接着剤、ねじ又は当業者に知られた他の方法等と、を使用してコア14へと組み付けられる。コアプリント部は、鋳型エレメントを他の鋳型エレメントに対して配置するため使用され、且つ、鋳造物の形状を画成しない、鋳型エレメント(例えば、コア)の特徴部を含む。
【0034】
端部コア16がバレルクランクケースコア14に配置された後、水ジャケットスラブコアアッセンブリ22は、図3のコア14のバレル14aの各列上に手動又はロボットで配置される。各々の水ジャケットスラブコアアッセンブリ22は、図3Bにおいて、例えば凹部22q及び22r等のコアの従来の相互適合コアプリント特徴部を使用して水ジャケットコア22a及びリフターコア22cをスラブコア22bに固定することによって作られる。これらは、水ジャケットコア22a及びリフターコア22cのコアプリント特徴部を各々受け入れる。組み付けられたコアを締め/固定する手段は、接着剤、ねじ、又は、当業者に知られた他の方法を含む。各々の水ジャケットスラブコア22bは、夫々の端部コア16上で相補的特徴部と相互適合する、図3Bの端部コアプリント22hを備える。コアプリント部22hの意図された機能は、バレル上での組み付けの間にスラブコア22bを予備整列し、更に、鋳型充填の間に端部コアの外側移動を制限することである。コアプリント部22hは、バレルに対するスラブコア22bの回転を減少させるというよりは、一体のバレルクランクケースコア14に対するスラブコア22bの位置を制御しない。
【0035】
水ジャケットスラブコアアッセンブリ22は、図3に示されたように、バレル14aの列に接して組み付けられる。バレル14aの少なくとも幾つかは、図2及び図5に示すように、コアボックス工作機械器具100でバレル14a上に形成された、その上側末端部にコアプリント部14pを備える。図示という目的のみのため示された実施形態では、バレル14aの全てがコアプリント部14pを備える。細長いバレルコアプリント部14pは、面取りされたコーナーCCにより分離された4つの1次平坦側部を備え、且つ、上側に面する平坦コア表面S2から上方に延在する、平坦側部を持つ多角柱の延長部として示されている。水ジャケットスラブコアアッセンブリ22は、複数の相補的多角柱コアプリント部22pを含み、その各々は、図3Aにおいて、下側に面するコア表面S2’から延在する4つの1次側部S’を備える。コアプリント部22pは、コアプリント部14pを受け入れ、且つ、それらの下側端部において、環状面取り(円錐形)線形位置決め器表面22gを有する、平坦側部を持つ開口として示されている。各コアアッセンブリ22がバレル14aの各列で配置されたとき、バレル14aの各コアプリント14pは、夫々のコアプリント22p内に協働的に受け入れられる。平坦な1次側部の1つ以上又はコアプリント部14pの幾つかの表面が、コアアッセンブリ22の夫々のコアプリント部22pに対して、きっちりと(例えば、0.254mm(0.01インチ)以下のクリアランス)重ね合わされる。一例のみとして、バレルの与えられたバンクにおける第1のバレル14a(例えば、図2の#1)及び最後のバレル14a(例えば、#4)の上側に面するコア表面S2は、アッセンブリ22のコアプリント部(例えば、図3Bの#1A及び#4A)の下側に面する表面S2’を使用して、バレルの当該バンクの軸に平行に水ジャケットスラブコアアッセンブリ22の長さ軸線を整列させるため使用することができる(「上側及び下側に面する」という用語は、図3Aに関してである)。与えられたバンクのバレルの第2のバレル(例えば、図2の#2)のコアプリント部14pの前方に面する側部Sは、アッセンブリ22のコアプリント部22p(例えば、図3Bの#2A)の後方に面する側部S’を使用して、図2の“X”軸に沿ってコアアッセンブリ22を配置するため使用することができる。
【0036】
ジャケットスラブアッセンブリ22のバレルへの組み付けが完成に近いとき、各々の面取りされた表面22gは、図3及び図3Aに示されたように、各ボアライナー15の夫々の面取りされた上側環状端部15gと係合する。これによって、ボアライナー15の上側の末端部は、エンジンブロックの鋳造の前及び鋳造の間、バレル14aに対して正確に配置される。バレル14aの配置がコアボックス工作機械器具100内で正確になされるため、及び、水ジャケットスラブコア22及びバレル14aが、コアプリント部14p、22pの幾つかにおいて緊密に相互適合されるため、ボアライナー15は、コア14上で正確に配置され、かくして、究極的には、シリンダーボアが、鋳型パッケージ10内に作られたエンジンブロック鋳造物において正確に配置される。
【0037】
コアプリント部14p及び22pの領域が、図示のみの目的のため形状が平坦側部を備えた多角柱として示されているが、他のコアプリント部の形状も使用可能である。その上、コアプリント部22pが、各コアアッセンブリ22の内側側部から外側側部に延在する平坦側部開口として示されているが、コアプリント部22pは、コアアッセンブリ22の厚さを通して部分的にのみ延在してもよい。コアアッセンブリ22の厚さを貫通するコアプリント開口22pの使用は、位置決め目的のための、コアプリント部14p及びコアプリントブラケット22pの間の最大の接触を提供するため選択される。当業者ならば、コアプリント部22pを、各バレル14aの上側末端部上に夫々の雌型コアプリント部内に各々収容される雄型コアプリント部として作ることができることを理解するであろう。
【0038】
バレル14aでの水ジャケットスラブコアアッセンブリ22の組み付けに続いて、タペットバレイコア24が、水ジャケットスラブコアアッセンブリ22上で手動又はロボットにより組み付けられる。これに続いて、クランクケースバレルコア14上で側部コア18の組み付けがなされ、一時ベースTB上で図1のサブアッセンブリ(コアパッケージ)30を形成する。ベースコア12及びカバーコア26は、組み立てシーケンスにおけるこの時点では組み付けられない。
【0039】
次に、サブアッセンブリ(コアパッケージ)30及び一時的ベースTBは、図3Dのロボット把持器GP又はベースTBから離れた分離ステーションの他の適切なマニピュレータを使用してサブアッセンブリ30を持ち上げることにより分離される。一時的ベースTBは、サブアッセンブリシーケンスの開始位置に戻され、該位置では、新しい一体のバレルクランクケースコア14が、別のサブアッセンブリ30の組み立てで使用するためその上に配置される。
【0040】
サブアッセンブリ30は、図1及び図3Dの、ロボット把持器GP又は他のマニピュレータにより、クリーニング(吹き払い)ステーションBSへと持っていかれ、該ステーションで、該サブアッセンブリは、サブアッセンブリの外側表面から、及び、そのコアの間の内部空間から解放した砂を除去するようにクリーニングされる。解放された砂は、上述したサブアッセンブリシーケンスの間で、コアが該コア間の接合部で互いに擦り合った結果として生成される。少量の砂が、結合した接合表面から削り落とされ、外側表面上、隣接するコア間の狭い空間、エンジンブロック鋳造物の壁及び他の特徴部を形成する狭い空間に滞留するおそれがある。このような空間では、砂の存在は、鋳型パッケージ内に作られるエンジンブロック鋳造物を汚染しかねない。
【0041】
クリーニングステーションBSは、複数の高速度空気ノズルNを含むことができ、該ノズルの前では、ノズルNからの高速空気ジェットJがサブアッセンブリの外側表面に当たり、隣接するコア間の狭い空間内に入り、解放したあらゆる砂粒子を除去し、解放砂粒子にかかる重力により援助されながら、該砂粒子をサブアッセンブリの外部に吹き飛ばすように、サブアッセンブリ30がロボット把持器GPにより巧みに操作される。サブアッセンブリ30を動かす代わりに、或いは、動かすことに加えて、サブアッセンブリの外側表面に高速空気ジェットを差し向け、隣接するコア間の狭い空間内に空気を流し込むため、ノズルNを、サブアッセンブリに対して移動可能にしてもよい。本発明は、サブアッセンブリ30をクリーニングするため、高速空気ジェットを使用することに限定されない。クリーニングは、解放した粒子を吸い取るためサブアッセンブリから1つ以上の真空クリーナーノズルを使用して実行してもよいからである。
【0042】
クリーニングされたサブアッセンブリ(コアパッケージ)30は、その外側表面に多数の仕切りラインLを備えており、該仕切りラインは、図4に概略的に示されたように、それらの間の接合部で隣接するコア間に配置され、外側表面上で様々に異なる方向に延在する。
【0043】
次に、クリーニングされたサブアッセンブリ(コアパッケージ)30は、図1及び図3で、オプションのチルパレット28に載っているベースコア12上に、ロボット把持器GPにより配置される。チルパレット28は、図3のベースコア12を支持するため、パレットプレート28b上に配置された鋳型ストリッパープレート28cを備える。ベースコア12は、最下パレットプレート28b上で端から端まで配置されている複数の直立チル28a(1つが図示されている)を有するチルパレット28上に配置されている。チル28aは、1つ以上の固定ロッド(図示せず)により端から端まで一緒に固定することができる。これらのロッドは、チルの端部が、それが固定化し冷却されたとき、金属鋳造物の収縮に適合するように互いに向かって移動することができる態様でチル28a内の軸方向通路を通って延在する。チル28aは、図3に示されるように、鋳型ストリッパープレート28cにおける開口28o及びベースコア12における開口12oを通ってコア14のクランクケース領域14bのキャビティC内に延在する。パレットプレート28bは、貫通孔28hを備えており、該貫通孔を通して、図1のロッドRを、鋳型ストリッパープレート28c及び鋳型パッケージ10からチル28aを分離するため延在させることができる。チル28aは、鋳造物の隔壁特徴部から熱を急速に除去するため、鋳鉄又は他の適切な熱伝導材料から作られる。隔壁特徴部は、主要なベアリング及び主要なベアリングキャップを介してエンジンクランクシャフトを支持する特徴部を鋳造する特徴部である。パレットプレート28b及び鋳型ストリッパープレート28cは、鉄、熱絶縁セラミックプレート材料、これらの組み合わせ、又は、他の耐性材料から構築することができる。それらの機能は、チル及び鋳型パッケージの操作を夫々簡単化することである。それらは、鋳造物からの熱の除去において重要な役割を果たすように意図されてないが、本発明はそれに限定されるものではない。パレットプレート28b上のチル28a及び鋳型ストリッパー28bは、図示のみという目的のため示されており、特定のエンジンブック鋳造用との要求に応じて、一緒に省略することができる。その上、パレットプレート28bは、本発明の実施において、鋳型ストリッパープレート28c無しに使用することができ、その逆もまた成立する。
【0044】
次に、カバーコア26が、エンジンブロック鋳型パッケージ10の組み立てを完成させるべくベースコア12及びサブアッセンブリ(コアパッケージ)30上に配置されている。サブアッセンブリ(コアパッケージ)30の一部分ではない任意の追加のコア(図示せず)は、それらが、サブアッセンブリ(コアパッケージ)30と統合される組み付け位置にまで移動されないうちに、ベースコア12及びカバーコア26に配置され、又は、固定されることができる。例えば、図1とは異なる組み立てシーケンスに従って、コアパッケージ30は、側部コア16無しに組み付けることができ、その代わりに、ベースコア16上で組み当てられる。コアパッケージ30のサン側部コア16は、引き続いて、側部コア16を有するベースコア12に配置される。ベースコア12及びカバーコア26は、サブアッセンブリ(コアパッケージ)30の外側表面と相補的に且つ緊密に適合するように形成される内側表面を有する。ベースコア及びカバーコアの外側表面は、平坦側部ボックス形状を画成するものとして図4に示されているが、特定の鋳造プラントに適合される任意形状とすることができる。ベースコア12及びカバーコア26は、典型的に、迅速に引き続く鋳型充填の間、一緒に鋳型パッケージ10を保持するため、外側周辺金属バンド又はクランプ(図示せず)により、それらの間のコアパッケージ30と共に一緒に接合される。
【0045】
ベースコア12及びカバーコア26の間のサブアッセンブリ30の位置は、サブアッセンブリ30を取り囲み、及び、図4のベースコア及びカバーコアの内側に様々な多数の外側仕切りラインLを制限する上で効果的である。ベースコア12及びカバーコア26は、ベースコア及びカバーコアがそれらの間にサブアッセンブリ(コアパッケージ)30を備えた状態で組み立てられるとき、鋳型パッケージ10の回りに延在する単一の連続的外側仕切りラインSLを形成する、協働的仕切り表面14k、26kを備える。鋳型パッケージ10の回りの仕切りラインSLの大部分は、水平面内に配位されている。例えば、鋳型パッケージ10の側部LS、RSの仕切りラインSLは、水平面内に置かれている。鋳型パッケージ10の端部E3、E4の仕切りラインSLは、該鋳型パッケージ10の各端部E3、E4で、入れ子舌状領域及び溝領域を画成するため、水平及び非水平に延在する。そのような舌状特徴及び溝特徴は、コアパッケージ30の外側形状と適合することを要求され、かくして、コアパッケージと、ベース及びカバーコア12、26との間の空洞空間を最小にし、コアパッケージ30をベースコア12内の位置にまで下げるため、又は、溶解金属が鋳型パッケージに導入されるところの開口部と適合するため使用される機構のためのクリアランスを提供する。溶解金属のための開口部(図示せず)は、溶解金属を鋳型パッケージに提供するため用いられる鋳型充填技術に応じて、仕切りラインSL又は別の位置に配置してもよい。なお、充填技術は、本発明の一部分を構成するものではない。鋳型パッケージ10の回りの連続的な単一の仕切りラインSLは、鋳型充填の間に鋳型パッケージ10から溶解金属(例えば、アルミニウム)を逃がすための場所を減少させる。
【0046】
ベースコア12は、図4において、底部壁12j、及び、一対の直立対向端部壁12nにより接合される一対の直立側部壁12mを備える。ベースコア12の側部壁及び端部壁は、上方に面する仕切り表面14kで終わっている。カバーコアは、頂部壁26j、一対の垂れ下がり両端ブラケット壁26nにより接合された一対の垂れ下がり側部壁26mを備える。カバーコアの側部壁及び端部壁は、下方に面する仕切り表面26kで終わっている。仕切り表面12k、26kは、ベースコア12及びカバーコア26がそれらの間にサブアッセンブリ(コアパッケージ)30を備えた状態で組み立てられるとき、鋳型仕切りラインSLを形成するように一緒に結合している。鋳型パッケージ10の側部LS、RSの仕切り表面14k、26kは、水平面内に単独で配位されている。しかし、鋳型パッケージ10の端部壁E3、E4上の仕切り表面12k、26kを、水平面内に単独で載せることができる。
【0047】
次に、完成されたエンジンブロック鋳型パッケージ10は、図1の鋳型充填ステーションMFに移動され、該ステーションでは、それは、本発明の図示の実施形態、即ち、図1で、その配位から逆転された鋳型パッケージ10を用いた低圧充填プロセスを使用して、溶解アルミニウム等の溶解金属で充填される。しかし、例えば、重力注入法等の任意の適切な鋳型充填技術を、鋳型パッケージを充填するため使用してもよい。溶解金属(例えば、アルミニウム)は、溶解金属が固体化するとき、ボアライナー15がエンジンブロック内で現場鋳造されるように、バレル14a上で予備配置されたボアライナー15の回りに鋳造される。鋳型パッケージ10は、カバーコア26の端部壁に形成された、図4に一つ示されている、凹状マニピュレータ受け入れポケットHを備えてもよく、これによって、鋳型パッケージ10は、把持され、充填ステーションMFに移動されることができる。
【0048】
鋳型パッケージ10内で溶解金属を鋳造している間、各々のボアライナー15は、バレル14aの面取り部14f及びボアライナーの面取り表面15fの間の係合により、その下側端部に配置され、水ジャケットスラブコアアッセンブリ22の面取り表面22g及びボアライナーの面取り表面15gの間の係合により、その上側末端部に配置される。この位置決めは、ボアライナー15がエンジンブロックで正確なシリンダーボアライナー位置を提供するため鋳造エンジンブロック内で現場鋳造されるとき、鋳型パッケージ10の組み立て及び鋳造の間に、そのバレル14a上でボアライナー15を中心に合わせ続ける。バレル14aの抜き勾配に適合させるため、このテーパー形成ボアライナー15の使用と連係されたこの位置決めは、ボアライナー15とバレル14aとの間の空間内への溶解金属の侵入を減少させることができ、その内部の金属バリ(flash)の形成を減少させる。オプションで、ボアライナー15がコア14のバレル14a上で組み付けられるとき、又は、ジャケットスラブアッセンブリ22がバレルに組み付けられるとき、適切なシーラントを、面取り表面14f、15f、22g及び15gの幾つか又は全てに、その端部にまで同様に塗布することができる。
【0049】
鋳型パッケージ10により形成されたエンジンブロック鋳造物(図示せず)は、一体のバレルクランクケースコア14のクランクケース領域14b上に設けられた、夫々の1次位置決め器表面14c、2次位置決め器表面14d、及び、3次位置決め器表面14eにより形成された、鋳造物上の1次位置決め器表面、2次位置決め器表面、オプションの3次位置決め器表面を含んでいる。エンジンブロック鋳造物の6つの位置決め器表面は、エンジンブロック鋳造物内で現場鋳造されたシリンダーボアライナーに対して首尾一貫且つ正確に配置され、湾曲したシリンダーボアライナー15上で位置決めする必要無しに、引き続く整列作業(例えば、OP10整列備品)及び機械加工作業においてエンジンブロック鋳造物を位置決めするため使用することができる、3軸座標系を確立する。
【0050】
鋳型パッケージ10内への溶解金属の鋳造に引き続く所定期間の後、それは、図1に示される次のステーションに移動され、該ステーションでは、鋳型ストリッパープレート28cを鋳造鋳型パッケージ10がその上にある状態で、パレットプレート28b及びチル28aから持ち上げて分離するため、垂直リフトロッドRが、パレットプレート28bの孔28hを通って持ち上げられる。パレットプレート28b及びチル28aは、別の鋳型パッケージ10を組み立てるときに再使用するため組み立てプロセスの開始工程にまで戻すことができる。次に、鋳造鋳型パッケージ10を、ストリッパープレート28c上で更に冷却することができる。鋳型パッケージ10のこの更なる冷却工程は、鋳造物の今や露出された隔壁特徴部上に空気及び/又は水を差し向けることにより、達成することができる。これは、実用サイズの熱チルの使用により達成することができるものよりも大きな冷却率を提供することにより、鋳造物の材料特性を更に強化することができる。熱チルは、チルの温度上昇及び鋳造温度の低下に起因して、時間の経過と共に、漸次、効果が少なくなっていく。従来技術により鋳型パッケージから鋳造エンジンブロックを除去した後、ボアライナー15の内径に沿った内径テーパーは、もしそれが存在するならば、ボアライナー15にほぼ一定の内径を提供するため、エンジンブロック鋳型の引き続く機械加工の間に除去される。
【0051】
本発明は、その特定の実施形態の観点で説明されたが、本発明は、それに限定されるものではなく、請求の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、エンジンVブロック鋳型パッケージを組み立てるための本発明の例示的な実施形態のプラクティスを示す流れ図である。前端部コアは、便宜上、組み立てシーケンスの図から省略されている。
【図2】図2は、本発明の実施形態に係る、バレル及びクランクケース領域上の鋳造位置決め器表面上にボアライナーを有する一体のバレルクランクケースコアの斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態に係る、エンジンブロック鋳型パッケージの断面図であり、該図では、バレルクランクケースコアの右手側断面が、バレル特徴部の中央平面を通って図2のライン3−3に沿って取られており、バレルクランクケースコアの左手側断面が、隣接するバレル間で図2のライン3’−3’に沿って取られている。
【図3A】図3Aは、バレルクランクケースコアのバレル、及び、バレル上でシリンダーボアライナーを示す水ジャケットスラブコアアッセンブリの拡大断面図である。
【図3B】図3Bは、バレル、リフターコア、及び、端部コアのコアプリントへの係合のためのコアプリント特徴を有する、スラブコアの斜視図である。
【図3C】図3Cは、一時的なベースの上に乗っている、コアのサブアッセンブリ(コアパッケージ)の断面図である。
【図3D】図3Dは、クリーニングステーションの概略的に示されたマニピュレータによって配置されたサブアッセンブリ(コアパッケージ)の断面図である。
【図3E】図3Eは、バレルクランクケースコアのバレル、及び、その長さのうち上側部分にのみテーパーが形成されたシリンダーボアライナーを示す水ジャケットスラブコアアッセンブリの拡大断面図である。
【図3F】図3Fは、バレルクランクケースコアのバレル、及び、バレル上でテーパッケージが形成されていないシリンダーボアライナーを示す水ジャケットスラブコアアッセンブリの拡大断面図である。
【図4】図4は、サブアッセンブリ(コアパッケージ)がベースコアに置かれ、及び、チルが省略された状態でカバーコアがベースコア上に置かれている後のエンジンブロック鋳型の斜視図である。
【図5】図5は、バレル形成ツールエレメントの閉位置及び開位置を示す、図2の一体のバレルクランクケースコアを作るためのコアボックス工作機械器具の概略図である。
【図6】図6は、バレル形成ツールエレメントの開位置を示すコアボックス工作機械器具及びその結果として生じたコアの部分斜視図である。

Claims (14)

  1. バレルクランクケースコアを作る方法であって、
    コアボックスのバレル形成ツールを使用して一体のクランクケース領域に複数のバレルを形成する工程と、
    前記バレル形成ツールエレメントを使用して一体のクランクケース領域に1つ以上の位置決め器表面を形成する工程と、
    を含む、前記方法。
  2. 前記バレル形成ツールエレメントは、前記クランクケース領域で、1次位置決め器表面と、2次位置決め器表面と、を形成する、請求項1に記載の方法。
  3. バレルクランクケースコアを作る方法であって、
    コアボックスの第1及び第2のバレル形成ツールエレメントの各々を使用して、複数のバレルの第1及び第2のバンクを一体のクランクケース領域に形成する工程と、
    前記バレル形成ツールエレメントをのうち少なくとも1つを使用して、前記クランクケース領域に1以上の位置決め器表面を形成する工程と、
    を含む、方法。
  4. 前記第1及び第2のバレル形成ツールエレメントは、前記クランクケース領域で、3つの1次位置決め器表面と、2つの2次位置決め器表面と、を形成する、請求項3に記載の方法。
  5. 前記クランクケース領域で、3次位置決め器表面を形成する工程を含む、請求項4に記載の方法。
  6. バレルクランクケースコアであって、
    一体のクランクケース領域で複数のバレルを含み、該クランクケース領域は、コアボックスのバレル形成ツールエレメントにより形成された少なくとも1つの位置決め器表面を含む、バレルクランクケースコア。
  7. 前記クランクケース領域は、1次位置決め器表面と、2次位置決め器表面と、を備える、請求項6に記載のコア。
  8. バレルクランクケースコアであって、
    一体のクランクケース領域で複数のバレルの第1及び第2のバンクを含み、
    前記バレルは、コアボックスの第1及び第2のバレル形成ツールエレメントにより形成され、
    前記クランクケース領域は、前記第1及び第2のバレル形成ツールエレメントの少なくとも1つにより形成された少なくとも1つの位置決め器表面を含む、バレルクランクケースコア。
  9. 前記クランクケース領域は、3つの1次位置決め器表面と、2つの2次位置決め器表面と、を備える、請求項8に記載のコア。
  10. 前記クランクケース領域は、3次位置決め器表面を備える、請求項9に記載のコア。
  11. エンジンブロック鋳型パッケージであって、
    一体のクランクケース領域に複数のバレルを備える一体のバレルクランクケースコアを含み、
    前記クランクケース領域は、コアボックスのバレル形成ツールエレメントにより形成される少なくとも1つの位置決め器表面を備える、前記エンジンブロック鋳型パッケージ。
  12. 前記バレルの各々の一つに配置された夫々のシリンダーボアライナーを更に備える、請求項11に記載の鋳型パッケージ。
  13. エンジンVブロック鋳型パッケージであって、
    一体のクランクケース領域に複数のバレルを持つ第1及び第2のバンクを有する一体のバレルクランクケースコアを含み、
    前記バレルは、コアボックスの第1及び第2のバレル形成ツールエレメントにより形成され、
    前記クランクケース領域は、コアボックスの前記バレル形成ツールの少なくとも1つにより形成された少なくとも1つの位置決め器表面を備える、前記エンジンVブロック鋳型パッケージ。
  14. 前記バレルの各々に配置された夫々のシリンダーボアライナーを更に備える、請求項13に記載の鋳型パッケージ。
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