JP3675634B2 - 動力伝達装置及びそれに用いられるクラッチ装置 - Google Patents

動力伝達装置及びそれに用いられるクラッチ装置 Download PDF

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  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のクラッチプレートを圧接して動力の伝達を行うクラッチ装置に関する。また、本発明は、前記のクラッチ装置が用いられたベルト式無段変速用の動力伝達切換装置に関する。さらに、本発明は板状ばねに関する。
【0002】
【従来の技術】
動力の伝達及び遮断を行うために油圧クラッチ装置が用いられている。油圧クラッチ装置は、一般的に、内周部及び外周部に筒状部分を有するクラッチケースと、クラッチケース内に配置されたピニオンギア等の出力側の部材と、クラッチケースと出力側部材との間に配置された複数のクラッチプレートからなるクラッチ部と、複数のクラッチプレートを互いに圧接するためのピストンとを有している。
【0003】
ピストンは、油圧によって軸方向に摺動し、複数のクラッチプレートを互いに圧接することが可能である。また、ピストンに対する油圧が解除されたときに、ピストンをクラッチプレートから離すためにリターンスプリングが設けられる。リターンスプリングは、通常はコイルばねによって形成され、一端がたとえばクラッチケース内周部の筒状部分に支持されるとともに、他端がピストンの内周部に当接するように設けられる。そして、このリターンスプリングによってピストンは常にクラッチプレートから離れる方向に付勢されている。
【0004】
また、クラッチ接合時のショックを緩和するために、ピストンとクラッチプレートとの間にコーンスプリングが配置される場合がある。この場合は、ピストンがクラッチプレートを圧接する際にコーンスプリングが弾性変形させられることになり、これによりクラッチ接合時のショックが緩和される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述のような従来の油圧クラッチ装置では、リターンスプリングが必ず必要になり、このために軸方向にそのためのスペースが必要である。また、特にクッショニング用のコーンスプリングを備えたものでは、このコーンスプリングのためのスペースも必要になり、さらに軸方向に長くなってしまう。
【0006】
このような油圧クラッチ装置は、変速機内に配置されたり、あるいはトルクコンバータと変速機との間に配置されたりするので、なるべく軸方向のスペースが小さい方が望ましい。しかし、従来の装置は前述のように軸方向のスペースが大きくなってしまい、装置の小型化の妨げになっている。
また、従来の装置では、クッショニングのためにコーンスプリングを用いているが、狭いスペースにコーンスプリングを配置しなければならないために、特性を設定する際に設計の自由度が小さい。
【0007】
本発明の課題は、軸方向のスペースを小さくできるようにすることにある。
本発明の別の課題は、容易に所望のコーンスプリングの特性を得ることができるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係るクラッチ装置は、外周に筒状部を有し動力が入力されるクラッチケースと、クラッチケースの内部に配置された出力部材と、クラッチ部と、ピストンと、リターンスプリングとを備えている。クラッチ部は、外周部がクラッチケースの筒状部に軸方向に移動自在にかつ相対回転不能に係合する第1クラッチプレートと、内周部が出力部材に軸方向に移動自在にかつ相対回転不能に係合する第2クラッチプレートとを有し、両クラッチプレートの圧接によりクラッチケースから出力部材への動力伝達が可能である。ピストンは、クラッチケース内に配置され、第1及び第2クラッチプレートを圧接する。リターンスプリングは、ピストンを両クラッチプレートから離れる方向に付勢するコーンスプリング部と、コーンスプリング部と一体で形成されピストンの両クラッチプレートへの圧接時に弾性変形してクッショニングを与える複数のリーフスプリング部とを有している。ピストンは、リターンスプリングを支持する支持部と、支持部の外周側に円周上に設けられ両クラッチプレートを押圧するための複数の押圧部とを有しており、複数の押圧部の間にはリターンスプリングのリーフスプリング部が挿入される両クラッチプレート側に開いた複数の凹部が形成されている。
【0009】
このクラッチ装置では、クラッチを接合する際には、ピストンが油圧等によって第1及び第2クラッチプレート側に移動させられる。このとき、ピストンはリターンスプリングのコーンスプリング部の付勢力に抗して移動する。そして、クラッチ接合時には、コーンスプリング部に加えてリーフスプリング部がたわみ、これらの弾性変形によってクッション効果が得られる。
【0010】
このクラッチオン状態では、クラッチケースに動力が入力されると、この動力は第1クラッチプレート及び第2クラッチプレートを介して出力部材に伝達される。
また、ピストンに対する押圧力が解除されると、ピストンはリターンスプリングによって第1及び第2クラッチプレートから離れる方向に移動させられる。これにより両クラッチプレートの圧接は解除され、クラッチオフ状態となる。この場合は、クラッチケースに入力された動力は出力部材側に伝達されない。
【0011】
ここでは、ピストンを戻すためのリターンスプリングの機能と、クラッチ接合時のクッショニングの機能とを、1つのリターンスプリングで実現したので、特に軸方向のスペースを小さくすることができる。また、この装置では、ピストンの移動に伴ってリーフスプリング部がクラッチプレートを押圧する。しかし、このリーフスプリング部はピストンの隣接する押圧部の間の凹部内に挿入されており、リーフスプリング部が所定量たわむと、ピストンの押圧部全体がクラッチプレートを押圧する。ここでは、クッショニング時にピストンの押圧部全体でクラッチプレートを押圧するので、クラッチプレートのたわみが抑えられる。従来の装置では、コーンスプリングによってクラッチプレートの一部を局部的に押圧していたので、コーンスプリングが当接するクラッチプレートを他のプレートに比較して厚くする必要があり、このことが軸方向のスペースを大きくする原因の1つとなっていた。しかし、前述のように、本発明では、クラッチプレートがピストンの押圧部全体で押されるので、クラッチプレートに対して均一に押圧力が作用し、このためにリーフスプリング部が当接するクラッチプレートの厚みを厚くする必要がない。したがってクラッチプレートの厚みを従来装置に比較して薄くでき、軸方向のスペースを小さくすることができる。請求項2に係るクラッチ装置は、請求項1の装置において、リターンスプリングのコーンスプリング部は、内周部から外周部にかけてピストンにより近づく方向に傾斜している。また、リターンスプリングの複数のリーフスプリング部は、コーンスプリング部の外周部から外方に放射状に突出するとともに、コーンスプリングの傾斜とは逆方向に傾斜して形成されている。この装置では、リターンスプリングが通常のコーンスプリングとして機能するコーンスプリング部と、このコーンスプリング部とともに変形するリーフスプリング部とを有しているので、コーンスプリング部のみでは実現できないような荷重特性を、リーフスプリング部の形状等を適宜設定することによって実現でき、広範囲の用途に利用可能になる。また、リーフスプリング部の形状によって、リーフスプリング部の作用し始めるタイミングを調整することも可能である。
【0012】
請求項3に係るクラッチ装置は、請求項1又は2の装置において、リターンスプリングのコーンスプリング部は内周部に複数の切欠きを有している。ここでは、コーンスプリングの荷重特性を、内周部に形成された複数の切欠きによって調整している。請求項4に係るクラッチ装置は、請求項2又は3の装置において、リターンスプリングは、コーンスプリング部の内周端部がクラッチケースに支持され、コーンスプリング部の外周端部がピストンに支持されている。
【0013】
この装置では、クラッチ接合のためにピストンが移動し始めると、コーンスプリング部の外周端部が同方向に移動する。すると、リーフスプリング部の外周端部は第1及び第2クラッチプレート側に移動し、その外周端がクラッチプレートに接触する。そしてさらにピストンが移動すると、リターンスプリングは、コーンスプリング部がたわむとともに、リーフスプリング部もたわみ、これにより良好なクッショニング効果が得られる。
【0017】
請求項5に係るクラッチ装置は、請求項4の装置において、リターンスプリングのコーンスプリング部内周端部をクラッチケースに支持するための支持部材をさらに有している。コーンスプリング部をクラッチケースの直接支持させることも可能である。しかし、この場合は、コーンスプリング部の内周部が小さくなりすぎてしまい、所望の荷重特性を得にくい。
【0018】
そこでこの発明では、コーンスプリング部の内周端部とクラッチケースとの間に支持部材を設け、コーンスプリング部の内周端部をクラッチケースに直接ではなく支持部材を介して間接的に支持させている。このために、コーンスプリングの設計の自由度が高まり、容易に所望の荷重特性を得ることができる。請求項6に係る動力伝達切換装置は、トルクコンバータと、前後進切換装置と、前後進切換装置によって動力の伝達経路が切り換えられる遊星歯車機構と、遊星歯車機構の出力部に連結されたベルト式無段変速装置とを備えている。前後進切換装置は、請求項1から5のいずれかに記載のクラッチ装置を含み、トルクコンバータの出力が入力される。
【0019】
この装置では、トルクコンバータからの動力は前後進切換装置を介して遊星歯車装置に伝達され、さらに遊星歯車装置からベルト式無段変速装置に伝達される。ここでは、前後進切換装置を構成するクラッチ装置は請求項1から5のいずれかに記載された構成であるので、装置全体の軸方向の短縮化が可能となる。
【0020】
請求項7に係る動力伝達切換装置は、請求項6の装置において、遊星歯車機構は、リングギアと、ベルト式無段変速装置の入力部に連結されたサンギアと、リングギア及びサンギアに噛み合う複数の遊星ギアと、複数の遊星ギアを回転自在に支持するキャリアとを有している。また、前後進切換装置は、請求項1から5のいずれかに記載の前進用クラッチ装置と、ブレーキ装置とを有している。前進用クラッチ装置は、トルクコンバータの出力を、リングギアに直接伝達するとともに出力部材を介してサンギアにクラッチ部を介して選択的に伝達する。ブレーキ装置はキャリアの回転を禁止あるいは許容する。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を採用した動力伝達切換装置を図1に示す。
[動力伝達切換装置の全体構成]
図1に示す動力伝達切換装置は、エンジンから動力が入力されるトルクコンバータ1と、前後進切換装置2と、前後進切換装置2によって動力の伝達経路が切り換えられる遊星歯車装置3と、前後進切換装置2及び遊星歯車装置3によって回転方向が切り換えられるベルト式無段変速装置4とを備えている。
【0024】
前後進切換装置2は、トルクコンバータ1からの動力が入力される前進用油圧クラッチ装置5と、遊星歯車機構3の制御を行う後進用ブレーキ装置6とを有している。
また、遊星歯車装置3は、前進用油圧クラッチ装置5の入力側に連結されたリングギア10と、ベルト式無段変速装置4を構成する1次プーリ7に連結されたサンギア11と、リングギア10及びサンギア11に噛み合う複数の遊星ギア12とを有している。複数の遊星ギ12はキャリア13に回転自在に支持されており、キャリア13は後進用油圧ブレーキ装置6によって回転の許容及び禁止が制御される。
【0025】
[前進用油圧クラッチ装置]
前進用油圧クラッチ装置2は、図2に示すように、クラッチケース15と、クラッチケース15の内部に配置された出力部材16と、クラッチケース15と出力部材16との間の動力の伝達を制御するクラッチ部17と、クラッチケース15内に摺動自在に配置されたピストン18とを有している。
【0026】
クラッチケース15は、一方側に開く筒状に形成されており、外周筒状部15aと、内周筒状部15bと、外周筒状部15aの一端側と内周筒状部15bの一端側との間に形成された側壁部15cと、内周筒状部15bのさらに内周部に形成されたボス部15dとを有している。
外周筒状部15aは、図3に示すように、波形に形成されて複数の係合凹部15eを有している。そして、図2に示すように、一端側は内周側に折り曲げられて側壁部15cを構成している。内周筒状部15bは、外周筒状部15aとほぼ平行に形成されており、その一端側が外周側に折り曲げられて、外周筒状部15aによって形成される側壁部15cの内周端部に固定されている。また、ボス部15dは、内周筒状部15bと一体で筒状に形成されており、内周面にはトルクコンバータからの動力を伝達するための部材が係合するスプライン孔15fが形成されている。
【0027】
出力部材16はクラッチケース15の内部に設けられている。出力部材16は、外周部に形成された筒状部16aと、筒状部16aの遊星歯車装置側(図2の左側)を内周側に折り曲げて一体で形成された固定部16bとを有している。筒状部16aは、波形に形成されて、外周側に複数の係合凸部16cを有している。また、固定部16bは、図1に示すように、遊星歯車装置3を構成するサンギ111のトルクコンバータ側の側面に固定されている。
【0028】
クラッチ部17は、クラッチケース15の外周筒状部15aと出力部材16の筒状部16aとの間に配置されている。クラッチ部17は複数の第1クラッチプレート20及び第2クラッチプレート21を有しており、両クラッチプレート20,21は軸方向に交互に配置されている。第1及び第2クラッチプレート20,21は、それぞれ環状のプレート部材であり、第1クラッチプレート20の外周部にはクラッチケース15の係合凹部15eに係合する複数の係合歯部が形成され、第2クラッチプレート21の内周部には出力部材16の係合凸部16cに係合する複数の係合歯部が形成されている。また、第2クラッチプレート21の両側面には摩擦部材が設けられている。
【0029】
このような構成により、第1クラッチプレート20はクラッチケース15に対して軸方向に移動自在でかつ相対回転不能であり、第2クラッチプレート21は出力部材16に対して軸方向に移動自在でかつ相対回転不能である。
なお、複数の第2クラッチプレート21の最も遊星歯車装置3側(図2において左側、クラッチケースの外側)のプレートよりもさらに遊星歯車装置3側には、第1クラッチプレート20と厚みを除いて同形状のバックアッププレート22が設けられている。そして、このバックアッププレート22のさらに外側には、軸方向の移動を規制するための止め輪23がクラッチケース1の外周筒部の内周面に設けられている。
【0030】
また、ピストン18は、クラッチ部17とクラッチケース15の側壁15cとの間に設けられている。ピストン18は、ほぼリング状の部材であり、外周部にはクラッチケース15の外周筒状部15aの内周面に摺接するシールリング31が設けられ、内周部にはクラッチケース15の内周筒状部15bの外周面に摺接するシールリング32が設けられている。
【0031】
このようにして、ピストン18とクラッチケース15との間には油室33が形成され、この油室33に、クラッチケース15の内周筒状部15bに形成された孔34から作動油が供給されるようになっている。
また、ピストン18には、図4に拡大して示すように、作動油圧が作用していない場合に油室31内の油を排出するための孔18aと、作動油圧が作用しているときに孔18aを塞ぐためのチェックボール35とが設けられている。さらに、ピストン18の外周部には、図5に示すように、クラッチプレート20,21を押圧するための複数の押圧部18bと、隣接する押圧部18bの間に設けられた外側に開く複数の凹部18cとが形成されている。凹部18cの内周側には環状の溝18dが形成されており、この溝18d内にワイヤリング36が挿入されている。ワイヤリング36は後述するリターンスプリングの支点となるものであり、したがって、ワイヤリング36の一部はワイヤリング36が設けられた部分の周囲よりも突出するように設けられている。
【0032】
図2に示すように、ピストン18とクラッチ部17との間には、リターンスプリング40が設けられている。このリターンスプリング40は、ピストン18をクラッチ部17から離れる方向に付勢するとともに、クラッチ接合時にショックを緩和するための部材である。
リターンスプリング40は、図6及び図7に拡大して示すように、コーンスプリング部41と、コーンスプリング部41の外周部から外周側に放射状に延びる複数のリーフスプリング部42とを有している。
【0033】
コーンスプリング部41は、内周から外周にかけてピストン18に近づくような傾斜を有しており、内周端部はクラッチケース15の内周筒状部15bに支持された支持部材45に支持され、外周端部はピストン18に設けられたワイヤリング36に支持されている。
また、リーフスプリング部42は、コーンスプリング部41とは逆に、内周から外周にかけてピストン18から離れるように傾斜している。また、リーフスプリング42の径方向の長さは、コーンスプリング部41の径方向の長さよりも長く形成されている。なお、リーフスプリング部42はピストン18に形成された凹部18cに対応しており、複数のリーフスプリング部42は、ピストン18の初期位置(油圧が解除されてクラッチケース15の側壁15cに当接する位置)においてはそれぞれがピストン18の凹部18c内に位置し、ピストン18がクラッチ部17側に移動するのに伴ってその外周端がピストン18の押圧部18b表面から出るようになっている。
【0034】
このようなリターンスプリング40は、コーンスプリング部41が、ピストン18を初期位置に戻すための本来のリターンスプリングとしての機能を有し、リーフスプリング部42がクラッチ接合時のクッショニング用スプリングとしての機能を有している。
[遊星歯車装置3]
遊星歯車装置3は、前述のように、リングギア10、サンギア11、遊星ギア12及びキャリア13から構成されている。リングギア10はクラッチケース15の外周筒状部15aの内周部に第1クラッチプレート20と同様な態様で係合している。また、サンギヤ11はベルト式無段変速装置4を構成する1次プーリ7に連結され、このサンギア11に出力部材16が固定されている。前述のように、遊星ギア12はキャリア13に回転自在に装着されており、このキャリア13は油圧ブレーキ装置6によって回転の禁止及び許容が制御されるようになっている。
【0035】
[後進用ブレーキ装置]
後進用の油圧ブレーキ装置6は、図1に示すように、ピストン50と、このピストン50によって互いに圧接される複数の第1及び第2ブレーキプレートを有するブレーキ部51とを有している。複数の第1及び第2ブレーキプレートは軸方向に交互に配置されており、第2ブレーキプレートの両側面には摩擦部材が固定されている。ピストン50は、ミッションケース52に形成された油室53に作動油を供給することによって軸方向に移動し、第1及び第2ブレーキプレートを圧接する。また、第1ブレーキプレートはミッションケース52に対して軸方向に移動自在でかつ相対回転不能に装着されており、第2ブレーキプレートはキャリア13の外周部を軸方向に延長して形成した筒状部13aに対して軸方向に移動自在でかつ相対回転不能に形成されている。
【0036】
[動作]
次に動作について説明する。
<ニュートラル時>
ニュートラル状態では、前進用油圧クラッチ装置5及び後進用油圧ブレーキ装置6は作動していない。したがって、前進用油圧クラッチ装置5に入力された動力は出力部材16を介して遊星歯車装置3に伝達されず、またキャリア13の回転が制動されることもない。
【0037】
この状態では、トルクコンバータ1からの動力はベルト式無段変速装置4に伝達されない。
<前進時>
前進時には、前進用油圧クラッチ装置5に作動油が供給され、前進用油圧クラッチ装置5がオン(クラッチ接合)となる。一方、後進用油圧ブレーキ装置6には作動油は供給されず、したがって遊星歯車装置3のキャリア13は自由に回転し得る状態になっている。
【0038】
ここでは、トルクコンバータ1からの動力はクラッチケース15、クラッチ部17及び出力部材16を介して遊星歯車装置3のサンギア11に伝達され、ベルト式無段変速装置4の1次プーリ7に伝達される。このとき、1次プーリ7はトルクコンバータ1と同じ方向に回転する。
なお、この場合は、遊星歯車装置3の各歯車10,11,12は一体となって同期して回転することになり、トルクコンバータ1からの回転が増減速されることなく、そのまま1次プーリ7に伝達される。
【0039】
<後進時>
後進時には、前進用油圧クラッチ装置5がオフされるとともに、後進用油圧ブレーキ装置6が作動する(ブレーキオン)。これにより、遊星歯車装置3のキャリア13の回転(遊星ギア12の公転)が禁止される。
この状態では、トルクコンバータ1からの動力は、前進用油圧クラッチ装置5のクラッチケース15に噛み合っているリングギア10から遊星ギア12及びサンギア11を介してベルト式無段変速装置4の1次プーリ7に伝達される。このとき、遊星ギア12を支持するキャリア13が油圧ブレーキ装置6によって回転を禁止されているので、サンギア11の回転はリングギア10の回転と逆になり、したがって1次プーリ7の回転は前進時とは逆方向になる。また、この後進時には、トルクコンバータ1からの回転は、遊星歯車装置3を構成するリングギア10とサンギア11とのギア比によって増速されて1次プーリ7に伝達される。
【0040】
<クラッチ接合時>
次に、特にリターンスプリング40に着目して、前進用油圧クラッチ装置5の動作について説明する。
ニュートラル時や後進時には、油室33に作動油が供給されていないので、ピストン18はリターンスプリング40のコーンスプリング部41によってクラッチ部17から離れる側に付勢され、クラッチケース15の側壁15cに当接する初期位置に位置している。
【0041】
前進時には、図示しない油圧制御バルブから孔34を介して作動油が油室33に供給される。これにより、ピストン18はクラッチ部17側に移動する。
ピストン18の移動に際しては、図8及び図9に示すように、図9の領域Aの部分(図8ではリターンスプリング40の実線位置二点差線で示す位置までの部分)ではコーンスプリング部41のみが弾性変形し、リターンスプリング40の荷重特性はPに示すようになる。なお、このときのピストン18の位置は、破線で示している。
【0042】
そしてさらにピストン18が移動すると、リーフスプリング部42の外周端がクラッチ部17の第1クラッチプレート20に当接しているので、コーンスプリング部41に加えてリーフスプリング部42も弾性変形する。そして、リーフスプリング部42が所定量弾性変形すると、ピストン18の押圧部18bが第1クラッチプレート20に当接する。リターンスプリング40のリーフスプリング部42がクラッチ部17を押してクラッチの切れ代が「0」になった以降の領域B(図9)では、前述のように、コーンスプリング部41とともにリーフスプリング部42も弾性変形するので、荷重特性は、図9のQに示すようになる。この特性Qの部分が、クラッチ接合時のクッションとなり、ショックを緩和する。また、領域Bにおいては、ピストン18の押圧部18bでクラッチプレート20,21を押しながらクッショニング作用を得るので、クラッチプレート20が径方向の全体にわたって均一に荷重を受けることになる。
【0043】
以上のようにしてピストン18がクラッチ部17の第1及び第2クラッチプレート20,21を圧接し、クラッチケース15に入力された動力は、このクラッチ部17を介して出力部材16に出力される。
作動油の圧力が解除されると、リターンスプリング40の特にコーンスプリング部41の付勢力によってピストン18は速やかに初期位置に戻る。
【0044】
このような実施形態では、従来装置におけるリターンスプリングの機能とクッショニング用スプリングの機能とを1つのリターンスプリング40で実現している。したがって部品点数が少なくなり、装置全体を安価にできる。また、リーフスプリング部42はピストン18の凹部18c内に挿入され、クッショニング作用時においてはピストン18の押圧部18bでクラッチプレート20,21を押圧している。このため、リターンスプリング40が当接する第1クラッチプレート20の厚みを厚くする必要がなく、軸方向の短縮化が図れる。
【0045】
[他の実施形態]
(a)前記実施形態では、リターンスプリング40を油圧クラッチ装置に適用したが、他の装置にも適用が可能である。特に、リーフスプリング部42の形状、個数等を調整することにより、従来のコーンスプリングでは得られなかったような特性を容易に得ることが可能になる。
【0046】
(b)油圧クラッチ装置及び油圧ブレーキ装置と遊星歯車装置との連結関係は前記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0047】
【発明の効果】
以上のように本発明では、ピストンのリターンスプリングとクッショニングのためのスプリングとを1つのスプリングで構成したので、小型化が可能になる。また、板状ばねを、コーンスプリング部とリーフスプリング部とで形成したので、本発明に係るクラッチ装置では、従来のコーンスプリング等の板状ばねでは得られなかった特性を容易に得ることができる。
【0048】
また、本発明のリターンスプリングを用いることによって、動力伝達装置の全体の軸方向寸法を短縮化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を採用した動力伝達装置の断面構成図。
【図2】前記動力伝達装置の前進用油圧クラッチ装置の断面構成図。
【図3】前進用油圧クラッチ装置のクラッチケースの側面部分図。
【図4】ピストンの断面部分図。
【図5】前記ピストンの側面部分図。
【図6】リターンスプリングの側面部分図。
【図7】リターンスプリングの断面部分図。
【図8】リターンスプリングの動作を説明するための拡大図。
【図9】リターンスプリングの荷重特性図。
【符号の説明】
1 トルクコンバータ
2 前後進切換装置
3 遊星歯車装置
4 ベルト式無段変速装置
5 前進用油圧クラッチ装置
6 後進用ブレーキ装置
10 リングギア
11 サンギア
12 遊星ギア
13 キャリア
15 クラッチケース
16 出力部材
17 クラッチ部
18 ピストン
18b 押圧部
18c 凹部
20,21 第1、第2クラッチプレート
40 リターンスプリング
41 コーンスプリング部
42 リーフスプリング部
45 支持部材

Claims (7)

  1. 外周に筒状部を有し、動力が入力されるクラッチケースと、
    前記クラッチケースの内部に配置された出力部材と外周部が前記クラッチケースの筒状部に軸方向に移動自在にかつ相対回転不能に係合する第1クラッチプレートと、内周部が前記出力部材に軸方向に移動自在にかつ相対回転不能に係合する第2クラッチプレートとを有し、前記両クラッチプレートの圧接により前記クラッチケースから出力部材への動力伝達が可能なクラッチ部と、
    前記クラッチケース内に配置され、前記第1及び第2クラッチプレートを圧接するためのピストンと、
    前記ピストンを前記両クラッチプレートから離れる方向に付勢するコーンスプリング部と、前記コーンスプリング部と一体で形成され前記ピストンの前記両クラッチプレートへの圧接時に弾性変形してクッショニングを与える複数のリーフスプリング部とを有するリターンスプリングとを備え、
    前記ピストンは、前記リターンスプリングを支持する支持部と、前記支持部の外周側に円周上に設けられ前記両クラッチプレートを押圧するための複数の押圧部とを有しており、
    前記複数の押圧部の間には前記リターンスプリングのリーフスプリング部が挿入される前記両クラッチプレート側に開いた複数の凹部が形成されている、クラッチ装置。
  2. 前記リターンスプリングのコーンスプリング部は、内周部から外周部にかけて前記ピストンにより近づく方向に傾斜しており、
    前記リターンスプリングの複数のリーフスプリング部は、前記コーンスプリング部の外周部から外方に放射状に突出するとともに、前記コーンスプリングの傾斜とは逆方向に傾斜して形成されている、
    請求項1に記載のクラッチ装置。
  3. 前記リターンスプリングのコーンスプリング部は内周部に複数の切欠きを有している、
    請求項1又は2に記載のクラッチ装置。
  4. 前記リターンスプリングは、前記コーンスプリング部の内周端部が前記クラッチケースに支持され、前記コーンスプリング部の外周端部が前記ピストンに支持されている、
    請求項2又は3に記載のクラッチ装置。
  5. 前記リターンスプリングのコーンスプリング部内周端部を前記クラッチケースに支持するための支持部材をさらに有している、
    請求項4に記載のクラッチ装置。
  6. トルクコンバータと、
    前記請求項1から5のいずれかに記載のクラッチ装置を含み、前記トルクコンバータの出力が入力される前後進切換装置と、
    前記前後進切換装置によって動力の伝達経路が切り換えられる遊星歯車機構と、
    前記遊星歯車機構の出力部に連結されたベルト式無段変速装置と、
    を備えた動力伝達切換装置。
  7. 前記遊星歯車機構は、リングギアと、前記ベルト式無段変速装置の入力部に連結されたサンギアと、前記リングギア及びサンギアに噛み合う複数の遊星ギアと、前記複数の遊星ギアを回転自在に支持するキャリアとを有し、
    前記前後進切換装置は、前記トルクコンバータの出力を、前記リングギアに直接伝達するとともに前記出力部材を介して前記サンギアに前記クラッチ部を介して選択的に伝達する前記請求項1から5のいずれかに記載の前進用クラッチ装置と、前記キャリアの回転を禁止あるいは許容するブレーキ装置とを有している、
    請求項6に記載の動力伝達切換装置。
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