JP3670745B2 - 共焦点顕微鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、共焦点顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来共焦点顕微鏡として、特開平5−60980に開示された共焦点用光スキャナを組み合わせたものがある。図4に示すように共焦点用光スキャナ(ディスクスキャナ)10は、複数のマイクロレンズ付マルチピンホール開口を用いた集光ディスク1と、該マルチピンホール開口に対応した複数のピンホール13が形成されたピンホールディスク2をドラム3にて連結してモータ4で回転し、図示しないレーザ光源からのレーザ光がコリメートされた照射光を集光ディスク1を介してピンホールディスク2、対物レンズ14を通過させて試料15に照射させ、試料15から再び対物レンズ14、ピンホールディスク2を通過した戻りの光を、ピンホールディスク2と集光ディスク1との間に構成した光路分割手段例えばビームスプリッタ7によってレーザ照明光路と分岐し、結像光学系例えば集光レンズ8で結像させた試料15の投影像をカメラ9で撮像できるように構成したものである。
【0003】
以上述べた共焦点用光スキャナ10を顕微鏡に用いた場合には、顕微鏡視野に相当する範囲に存在する複数のマイクロレンズ付マルチピンホール開口とピンホールを同時に照射して共焦点に結像させる、マルチピンホール方式を用いているため、ガルバノメータミラなどの往復回転鏡による光学偏向方式に比べ、高速走査に適している。
【0004】
ここで、図4の共焦点用光スキャナ10の作用効果について、図5を参照して説明する。図5はマイクロレンズ付マルチピンホール開口とピンホールを単純化した図である。コリメートされたレーザ光11は、マイクロレンズ12を通過してピンホール上に集光され、スポットを形成する。ピンホール13を通過したレーザ光は、対物レンズ14に入射し、試料15の上に縮小投影されたスポットを形成する。試料15からの反射光や蛍光などの戻りの光は、再び対物レンズ14を通過してピンホール13の裏側へ至り、拡大投影されたスポットを形成する。ピンホール13を再び通過した戻りの光は、ビームスプリッタ7によってレーザ光と分離され、結像光学系17によって結像され、撮像デバイス18の撮像面へと至る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、共焦点顕微鏡として、回折限界による究極の性能の引き出し、かつ、不必要な光量損失を防ぐためには、対物レンズ14の像側の開口数(以下対物レンズ14の像側のNAと称する)と、マイクロレンズ12の開口数(以下マイクロレンズ12のNAと称する)を一致させ、またマイクロレンズ12による回折限界スポット直径に対してピンホール13の開口直径が等しいか、または若干大きくさせることが必要である。
【0006】
以下このことについて具体的に説明する。
該共焦点顕微鏡のマイクロレンズ付き開口とピンホールの仕様として、例えば油浸100倍対物レンズ14(NA:1.25)に適合するように仕様を設定すると、
マイクロレンズ12のNA=0.0125、ピンホール13の開口直径=φ50μm
となる。
【0007】
ここで、マイクロレンズ12のNAは、油浸100倍対物レンズ14(NA:1.25)の像側のNA(1.25/100=0.0125)に適合するように、0.0125を設定した。
【0008】
また、レーザ光源として、アルゴンレーザ488nmを用いた場合、マイクロレンズ12による回折限界スポット直径は、エアリーディスク直径で、
1.22×0.488/0.0125=47.6μm
と計算され、これに適合するように、ピンホール13の開口直径をφ50μmと設定した。
【0009】
次に、前述の最適設定からズレを生じた場合の影響について説明する。
(1)対物レンズ14の像側のNAとマイクロレンズ12のNAが一致しない場合
(1−1) 対物レンズ14の像側のNA<マイクロレンズ12のNA
図6のごとく、レーザ光11が対物レンズ14の外周まで拡がり、光量損失が大きくなる。
【0010】
(1−2) 対物レンズ14の像側のNA>マイクロレンズ12のNA
図7のごとく対物レンズ14のNAの真ん中にしかレーザ光が行かず、実効NAが小さくなる。このため、共焦点効果のうちの重要なセクショニング効果が劣化する。
【0011】
(2)マイクロレンズ12による回折限界スポット直径とピンホール13の開口直径とが一致しない場合
(2−1) マイクロレンズ12による回折限界スポット直径<ピンホール13の開口直径
ピンホール13が大きすぎ、セクショニング効果が劣化する。
【0012】
(2−2) マイクロレンズ12による回折限界スポット直径>ピンホール13の開口直径
ピンホール13によるケラレが発生し、光量損失が大きくなる。
【0013】
(3)対物レンズ14の像側のNAで決まる回折限界スポット直径とピンホール13の開口直径とが一致しない場合
(3−1) 対物レンズ14の像側のNAで決まる回折限界スポット直径<ピンホール13の開口直径
ピンホール13が大きすぎ、セクショニング効果が劣化する。
【0014】
(3−2) 対物レンズ14の像側のNAで決まる回折限界スポット直径>ピンホール13の開口直径
ピンホール13によるケラレが発生し、光量損失が大きくなる。
【0015】
一方、セクショニング効果と並ぶ共焦点効果の一つである超解像効果については、理論的には対物レンズ14の像側のNAとマイクロレンズ12のNAが適合し、マイクロレンズ12による回折限界スポット直径》ピンホール13の開口直径(》:十分に小さいことを意味し、約1/8程度である)の全てを満足した条件で得られることになるが、(2−2)項と、(3−2)項に該当するため、光量損失は極めて大きくなる。
【0016】
従って、一般に試料15が例えば生物標本であってこの蛍光観察を行う場合には、共焦点効果のうちの超解像効果が重要ではなく、セクショニング効果が重要である。
【0017】
次に、油浸100倍対物レンズ(NA:1.25)を基準に仕様設定した図4に示す共焦点用光スキャナ10を用いて生物標本の深部を(セクショニング効果を生かして)観察しようとする場合、油浸対物レンズや乾燥対物レンズでは生物標本と液浸用オイル又は空気の屈折率差による収差の増大を招くために使用することができない。このため、油浸対物レンズに変えて水浸対物レンズを用いる必要がある。水浸対物レンズを用いた場合、どういう不都合が生ずるかを説明する。
【0018】
例えば、低倍率の対物レンズ14は、試料15の細胞集団の全体像を把握して、高倍率の対物レンズ14で観察すべき細胞を見つけだしたり、細胞集団としての組織形態を観察するのに用いる。
【0019】
顕微鏡のレボルバやスライダなどの対物レンズ倍率変更手段を用いて、水浸60倍対物レンズ(NA:0.9)に変更したとする。この場合、対物レンズの像側のNAは、0.9/60=0.015であり、相当する対物レンズの像側の回折限界スポット直径は、エアリーディスク直径で、1.22×0.488/0.015=39.7μmである。これを前述の比較条件に当てあてはめると、前述の(1−2)項と、(3−1)項に該当することになる。すなわち、水浸60倍の対物レンズ14を使用する場合には、ピンホール13が大き過ぎて、セクショニング効果が劣化することになる。
【0020】
つまり、図4の共焦点用光スキャナ10を用いた共焦点顕微鏡では、ピンホールディスクの交換が困難であり、ピンホールディスクとしてピンホール直径が油浸100倍対物レンズに対応させた50μmのものを用いるしかない。このピンホールディスク(ピンホール直径50μm)を用いた場合、倍率の異なる対物レンズ14に変更すると、この対物レンズ14の像側のNAによる回折限界スポット直径がピンホール13の直径50μmより小さくなるために、この対物レンズ14の性能を生かした共焦点効果、特にセクショニング効果が得られないという問題が生ずる。このことは、水浸対物レンズのある倍率、例えば60倍の水浸対物レンズを基準にした場合の像側のNAによる回折限界スポット直径を満たすピンホール(ピンホール直径40μm)13を有するピンホールディスク2と仮に交換できたとしても、60倍の対物レンズ以外の倍率の対物レンズに関しては上述と同様の問題が生ずる。
【0021】
本発明の目的は、使用目的や試料に応じて対物レンズの倍率を変更しても、各対物レンズの性能を生かし、共焦点効果のうちの特にセクショニング効果の劣化を防止でき、また光量損失を少なくすることが可能な共焦点顕微鏡を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1に対応する発明は、光源と、前記光源から発した照射光を試料上に集光する対物レンズと、前記光源と前記対物レンズ間の像面に回転可能に配置され、前記照射光を通過する複数のピンホールを有するピンホール板と、前記対物レンズと前記光源との間に配置された光分岐光学系と、前記光分岐光学系で分岐した前記試料上の検査信号を検出する検出器とを備え、前記照射光を試料に対して走査する共焦点顕微鏡において、前記対物レンズの倍率を変更可能な対物レンズ倍率変更手段と、前記対物レンズと前記ピンホール板との間に配置され、前記試料から該ピンホール板への倍率を、前記対物レンズ倍率変更手段により変更される倍率に対応して変更可能な中間倍率変更手段とを具備した共焦点顕微鏡である。
【0023】
請求項1に対応する発明によれば、中間倍率変更手段を設けたので、使用する対物レンズの倍率を変更しても、ピンホール板に投影される像の像側のNAが一定になるように補正される。これにより、使用する各対物レンズ毎に回折限界で決まる究極の共焦点効果、特にセクショニング効果の劣化を防止できる。
【0024】
前記目的を達成するため、請求項2に対応する発明は、請求項1記載の共焦点顕微鏡において、光分岐光学系と検出器に至る光学系上に配置され、対物レンズ倍率変更手段により変更された対物レンズの倍率に対応して投影倍率を変更可能な結像系倍率変更手段をさらに追加した共焦点顕微鏡である。
【0025】
請求項2に対応する発明によれば、対物レンズの呼称倍率で検出する必要がある場合には、中間倍率の変化分を結像光学系の倍率を変えることで相殺し、対物レンズの呼称倍率に対応した観察像倍率を得ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図1を参照して説明する。前述した従来の図5とは異なる点は、試料15から対物レンズ14以降、ピンホールディスク2に至る光学系に中間倍率変更手段例えば中間変倍光学系20を設け、これにより試料15からピンホールディスク2への投影倍率を変更可能に構成にしたこと、および、ピンホールディスク2から撮像デバイス18に至る結像光学系の投影倍率を変換可能に構成した結像系倍率変更手段例えば結像変倍光学系21を設けたものである。
【0027】
このような構成の共焦点顕微鏡は、以下のような動作を行う。複数のマイクロレンズ付開口を用いた集光ディスク1と、該集光ディスク1のマイクロレンズ付開口に対応した位置に複数のピンホール13が形成されたピンホールディスク2をドラム3にて連結してモータ4で回転し、コリメートされたレーザ光を集光ディスク1を介してピンホールディスク2、中間変倍光学系20、対物レンズ14を通過させて試料15に照射させ、試料15から再び対物レンズ14、ピンホールディスク2と集光ディスク1との間に構成した光路分割手段例えばビームスプリッタ7によってレーザ照明光路と分岐し、結像変倍光学系21で結像させた投影像を撮像デバイス18で撮像できるように構成したものである。
【0028】
ここでの試料15としては、例えば生物標本、特に生きた組織細胞であり、具体的には40μm程度の厚さを持つ心筋である。生組織の表面約10μmは、組織切断時の損傷などにより死んでおり、組織切片内約20μm程度の深さで共焦点効果によるセクショニングを行って、光学的な切片像を観察する。
【0029】
通常の顕微鏡では、このように厚い切片の内部を観察することは不可能であり、高倍率観察・低倍率観察によらず、共焦点効果によるセクショニングが必要である。観察・測定の対象は、主として蛍光試薬の蛍光観察・測光による生細胞内のイオンの動的変化測定であり、ディスクスキャナによる高速走査性が有用である。
【0030】
ここで、高倍率観察では、細胞内構造の微小構造、例えば細胞膜など、内のイオンの動的変化を測定し、低倍率観察では、細胞全体、および、隣接した複数の細胞の間でのイオンの動的変化を測定する。これによって、前者では、細胞内構造のもつ生態機能の解明が行われ、また後者では細胞間の連携による生態機能の解明が行われる。このため、対物レンズ14の倍率変更に伴う実験が行えるように装置を構成することが不可欠である。
【0031】
このディスクスキャナ10は、従来の技術で説明した、油浸100倍対物レンズ(NA:1.25)の像側のNA(1.25/100=0.0125)に適合するものであり、マイクロレンズNA=0.0125、ピンホール開口直径=φ50μmに設定したディスクスキャナ10を用いる。
【0032】
以上述べた共焦点顕微鏡では、例えば蛍光試薬を狙いの細胞に微小注入(マイクロインジェクション)する必要があるため、顕微鏡はステージとして例えば固定型を用いる。ステージの上で培養液に浸された生組織を、作動距離の長い水浸対物レンズで観察する。生組織の屈折率はほぼ水と等しいため、水浸対物レンズを用いることで、深部観察における収差の発生は排除されている。また、対物レンズは、無限遠補正されており、適当な結像レンズとの組合せで用いる必要がある。
【0033】
ここで、使用可能な市販の水浸対物レンズの仕様を示すと下記の通りである。
倍率 NA 作動距離(mm)
10 0.3 3.3
20 0.5 3.3
40 0.8 3.3
60 0.9 2.0
従来の技術で説明した通り、各対物レンズの像側のNAは、
像側のNA=対物レンズのNA/対物倍率
で求められ、各対物レンズの像側のNAによる回折限界スポット直径(μm)は、
像側の回折限界スポット直径=1.22/0.488/像側のNA
で求められる。光の波長には、厳密には蛍光を励起するレーザ波長と蛍光波長とを用いる必要があるが、ここではレーザ波長488nmで代表することとする。
【0034】
各対物レンズ毎の、像側のNAと像側のNAによる回折限界スポット直径(μm)の計算結果は以下の通りである。
倍率 NA 像側のNA 回折限界スポット直径(μm)
10 0.3 0.03 19.8
20 0.5 0.025 23.8
40 0.8 0.02 29.8
60 0.9 0.015 39.7
従来の技術で説明した比較条件にあてはめて、ディスクスキャナ10(ピンホール13の直径50μm)との適合性を評価すると、10倍から60倍の水浸対物レンズ14では、前述の(1−2)項と、(3−1)項が該当する。すなわち、10倍から60倍の水浸対物レンズ14のそれぞれの回折限界スポット直径に比較してピンホール13の直径が大きすぎて、セクショニング効果が劣化することになる。
【0035】
ここで、対物レンズ14とディスクスキャナ10との間に中間倍率を作用させ、各対物レンズ14の像側のNAによる回折限界スポット直径(μm)をピンホール13の50μmに揃えるよう、中間倍率を計算する。
【0036】
中間変倍光学系20の倍率を作用させる場合の、各対物レンズ14の像側のNAは、
像側のNA=対物レンズ14のNA/対物倍率/中間倍率
で求められ、各対物レンズ14の像側のNAによる回折限界スポット直径(μm)は、
像側回折限界スポット直径=1.22/0.488/像側NA
で求められる。
【0037】
各対物レンズ14の像側のNAによる回折限界スポット直径(μm)をピンホール13の直径50μmに揃えるように設定した場合の、中間倍率の計算結果は以下のようになる。
【0038】
倍率 NA 中間倍率 像側のNA 回折限界スポット直径(μm)
10 0.3 2.4 0.0125 47.6
20 0.5 2.0 0.0125 47.6
40 0.8 1.6 0.0125 47.6
60 0.9 1.2 0.0125 47.6
次に、中間倍率を導入した場合のセクショニング効果を計算により確認するが、始めにセクショニング効果の計算方法について説明する。円形開口の回折限界スポットの光軸上の分布はsincの二乗関数で表され、共焦点セクショニング効果は、回折限界スポットの光軸上輝度最大点からゼロ点(1次解)までのデフォーカス量Zの値で代表させる。
【0039】
輝度最大点からゼロ点までのデフォーカス量Z=2n×λ/対物NA2
ここで、n:媒質の屈折率(水:1.33)
λ:波長(488nm)
対物NA:対物レンズの開口数
であり、これらによりデフォーカス量Zを計算することができる。
【0040】
次に、ピンホールが大き過ぎる場合のデフォーカス量Zの値の計算方法を説明する。ピンホールに対して、マイクロレンズのNAが適合していると仮定し、ピンホール径に相当する像側のNAを求める。
【0041】
像側のNA=1.22×0.488/50=0.0119
と計算できる。これに、対物レンズ14の倍率と中間倍率とを掛けたものを対物レンズの実効のNAとし、
輝度最大点からゼロ点までのデフォーカス量(Z)=2n×λ/(実効NA2 )によって計算する。これをスキャナ10に依存するセクショニング効果の代表値として用いることにする。
【0042】
つまり、ピンホールサイズが大きい場合には、スキャナ10に依存した実効NAを用いて算出したZ値を用い、ピンホールサイズが適当な場合には、対物レンズ14のNAを用いて算出したデフォーカス量Zの値を用いることとする。これにより、ピンホールサイズが適当であれば、両者は一致することとなり、ピンホールサイズが大きければ、スキャナ10に依存して実効NAが小さくなり、Zの値が大きくなることになる。
【0043】
なお、本実施形態における計算では該当しないが、もしピンホールディスク2に形成されているピンホール13の方が小さい場合には、対物レンズ14のNAを用いて算出したデフォーカス量Z値よりもセクショニング効果が向上することは期待できないので、対物レンズ14のZ値を用いることとすればよい。
【0044】
まず、中間変倍光学系20の倍率を導入しない場合のデフォーカス量Zの計算結果をまとめると次のようになる。
中間倍率を導入しない場合(従来の技術の場合)
倍率 NA 中間倍率 総合倍率 Z値(μm)
10 0.3 1 10 91.7
20 0.5 1 20 22.9
40 0.8 1 40 5.7
60 0.9 1 60 2.5
次に、中間倍率を導入した場合のZ値の計算結果は次のようになる。
【0045】
倍率 NA 中間倍率 総合倍率 Z値(μm)
10 0.3 2.4 24 14.4
20 0.5 2.0 40 5.2
40 0.8 1.6 64 2.0
60 0.9 1.2 72 1.6
以上述べた計算の結果から明らかなように、試料15からピンホールディスク2までの光学系に対物レンズ14とは別の中間変倍光学系20を設け、使用する対物レンズ14の倍率に合わせて、像側のNAがピンホール13のサイズと適合するように構成することで、Z値を小さくすること、すなわち、共焦点効果であるセクショニング分解能を向上させることができる。
【0046】
なお、図1の実施形態において、試料15から撮像デバイス18までの総合倍率は、対物レンズ14の倍率とピンホールディスク2までの中間変倍光学系20の倍率の積に、ピンホールディスク2から撮像デバイス18までの結像光学系21の倍率を掛けたものである。従って、対物レンズ14の呼称倍率で撮像する必要がある場合には、中間倍率の変化分を結像光学系の倍率を変えることで相殺し、対物レンズ14の呼称倍率に対応した観察像倍率を得ることができる。
【0047】
ただし、本発明の実施の形態の結像変倍光学系21により結像光学系の倍率を変えることは、本発明の基本的な効果である共焦点セクショニングの効果の向上には寄与するものではなく、本発明の実施形態において必ずしも必要なものではない。また、観察像倍率の補正すなわち、結像変倍光学系21の倍率の変更は必ずしも必要なものではなく、その代わりに画像処理により表示倍率の変換を行うことなど、代替案が考えられる。
【0048】
ここで、図1における中間変倍光学系20の具体的な例について、図2、図3を参照して説明する。図2は、中間変倍光学系20としては、結像レンズ22、23を図示しないレボルバまたはスライダ等の変換機構に取り付けたものである。
【0049】
この場合、対物レンズ14は前述の使用可能な対物レンズのうち、40倍、NAが0.8の対物レンズである。対物レンズ14は無限遠補正されており、所定の焦点距離fを有する結像レンズ22によって、40倍(中間倍率:1倍)の像を結ぶ。中間倍率は、焦点距離の異なる結像レンズ22を用いることにより、fと結像レンズ22の焦点距離との比が中間倍率となる。
【0050】
図2(a)には、中間倍率1倍の結像レンズ22を用いた場合、図2(b)には前述した計算結果に応じた中間倍率1.6倍の結像レンズ23(1.6f)を用いた場合をそれぞれ示している。
【0051】
このように、結像レンズ22,23を変換する場合には、予め使用する対物レンズ14の組み合わせを決めておき、それに応じた結像レンズ22,23の組み合わせを変倍ターレットに設置する必要がある。もし、使用する対物レンズ14の組み合わせを変更する場合には、ターレットに取り付けられた複数の対物レンズのうち所望の倍率の対物レンズを光軸上に選択挿入すれば良い。図2においては、中間変倍光学系20の作用を理解しやすいように、結像レンズを薄肉レンズとして図示したため、結像レンズ22と23の位置が、光軸方向にシフトしているが、複数枚の構成によって適宜レンズを設計することで、光軸方向の位置を合わせることができ、ターレット機構による変換を無理なく行うことが可能である。
【0052】
図2(a)では、中間倍率が1倍のため、ピンホールディスク2から出射した光線の開き角(像側のNA)の相当する対物レンズ14の試料側のNAが小さくなっている。このため、破線で示す20倍の対物レンズ14が本来持っている試料15側のNAを使いきれていない。
【0053】
一方、図2(b)では、中間倍率1.6倍の結像レンズ23により、対物レンズ14への平行光束が太くなり、ピンホールディスク2から出射した光線の開き角(像側のNA)の相当する対物レンズ14の試料15側のNAが大きくなる。NAが小さい場合には、共焦点効果、特にセクショニング効果が劣化するが、前述のようにNAを大きくすることで改善される。
【0054】
図3は、中間変倍光学系20として結像レンズ22とアフォーカルズーム光学系24を使用した例であり、この構成によれば、レンズ2枚の位置関係を回転カム機構など適宜調整するように構成し、中間倍率を連続的に可変することができる。これにより、新たな対物レンズを使用する場合でも最適に調整することができる。
【0055】
また、実験をしながら対物レンズ14の倍率設定手段を動かし、最適条件を探すことも可能である。この構成においても、図2で説明した作用効果と同一の作用効果が得られる。具体的には、図3(a)は中間倍率すなわち結像レンズ22を1倍にした時であって、この場合には有効NAが小さく、セクショニング効果が悪いが、図3(b)は中間倍率すなわち結像レンズ23を1.6倍にした時であって、この場合には有効NAが大きく、セクショニング効果が良い。
【0056】
図1における結像変倍光学系21についても、中間変倍光学系20と同様に、ターレット切換による方法と、ズーム機構による連続変換が可能である。ここで、ピンホールディスク2から撮像デバイス18までの結像光学系21の変倍を、中間変倍光学系20の倍率と連動可能に構成することにより、中間倍率の変倍分を吸収し、対物レンズ14の呼称倍率に対応した総合倍率を得ることができる。
【0057】
なお、本発明の実施の形態では、ピンホール13のサイズが大きすぎる場合のセクショニング効果の劣化に着目して、改善策として中間倍率として拡大倍率を作用させる場合についてのみ説明したが、ピンホールサイズが小さすぎて光量損失の大きい場合でも、中間倍率として縮小倍率を作用させることで、光量損失の少ない共焦点顕微鏡を実現することができる。つまり、本発明は中間倍率が拡大であっても、縮小であっても本発明の目的を達成することができる。
【0058】
また、本発明の実施の形態では、油浸100倍の対物レンズを基準に仕様設定したピンホール直径が50μmのピンホールを有するピンホールディスクを用いたが、ピンホールの直径は50μmに限定されるものではなく、基準となる乾燥または液浸対物レンズのある特定の倍率、例えば60倍の水浸対物レンズの像側のNAによる回折限界スポット直径を満たす40μmのピンホール直径を有するピンホールディスクを用い、他の倍率の対物レンズの像側のNAによる回折限界スポット直径がほぼ40μmとなるように中間倍率を設定することも可能である。すなわち、ピンホールディスクのピンホール直径に各対物レンズの像側のNAによる回折限界スポット直径がほぼ満たされるように中間倍率を設定できるので、ピンホールディスクのピンホール直径の大きさに拘る必要がない。
【0059】
【発明の効果】
以上述べた本発明によれば、使用目的や試料に応じて対物レンズの倍率を変更しても、各対物レンズの性能を生かした共焦点効果のうちの特にセクショニング効果の劣化を防止でき、また光量損失を少なくすることが可能な共焦点顕微鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による共焦点顕微鏡の実施形態の概略構成を示す図。
【図2】図1の中間変倍光学系の第1の例を説明するための図。
【図3】図1の中間変倍光学系の第2の例を説明するための図。
【図4】従来の共焦点顕微鏡の一例を説明するための図。
【図5】図4の問題点を説明するための図4の簡略図。
【図6】図5の問題点を説明するためのもので対物レンズの像側のNA<マイクロレンズのNAのときの状態を説明するための図。
【図7】図5の問題点を説明するためのもので対物レンズの像側のNA>マイクロレンズのNAのときの状態を説明するための図。
【符号の説明】
1…集光ディスク、
2…ピンホールディスク、
3…ドラム、
4…モータ、
7…ビームスプリッタ、
9…カメラ、
10…共焦点用光スキャナ、
11…レーザ光、
12…マイクロレンズ、
13…ピンホール、
14…対物レンズ、
15…試料、
18…撮像デバイス、
20…中間変倍光学系、
21…結像変倍光学系、
22,23…結像レンズ、
24…アフォーカルズーム光学系。
Claims (2)
- 光源と、前記光源から発した照射光を試料上に集光する対物レンズと、前記光源と前記対物レンズ間の像面に回転可能に配置され、前記照射光を通過する複数のピンホールを有するピンホール板と、前記対物レンズと前記光源との間に配置された光分岐光学系と、前記光分岐光学系で分岐した前記試料上の検査信号を検出する検出器とを備え、前記照射光を試料に対して走査する共焦点顕微鏡において、
前記対物レンズの倍率を変更可能な対物レンズ倍率変更手段と、
前記対物レンズと前記ピンホール板との間に配置され、前記試料から該ピンホール板への倍率を、前記対物レンズ倍率変更手段により変更される倍率に対応して変更可能な中間倍率変更手段と、
を具備した共焦点顕微鏡。 - 前記光分岐光学系と前記検出器に至る光学系上に配置され、前記対物レンズ倍率変更手段により変更された対物レンズの倍率に対応して投影倍率を変更可能な結像系倍率変更手段と、
をさらに具備した請求項1記載の共焦点顕微鏡。
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