JP3670534B2 - 光素子の製造方法および製造装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォトニックバンド構造をもつ光素子、特に所望の結晶構造を有する3次元のフォトニック結晶を含む光素子を簡便かつ短時間で作製できる方法および装置ならびにこれらの方法および装置を用いて作製された光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
屈折率の異なる2種類の光学媒質を光の波長オーダーで周期的に配列したフォトニック結晶と呼ばれる構造体では、周期的な屈折率変化により光の波数と振動数すなわち光子エネルギーとの関係がバンド構造を示す。これは、半導体中の電子のエネルギーが周期的なポテンシャルの中でバンド構造を示すのと類似する現象である。フォトニック結晶では、どの方向にも光が伝播しないフォトニックバンドギャップと呼ばれる波長領域を出現させることが可能であったり(E.Yablonovitch,Phys.Rev.Lett.58(20),2059(1987))、非常に大きな光学異方性や分散性を示すなど、光学特性に大きな特徴がある。そこでこれらの特徴を利用した、自然放出光の制御や、曲がり角の曲率半径が非常に小さい光導波路、偏光子、分波器などが提案され、応用への期待が高まっている。
【0003】
しかし従来は、光の波長オーダーで屈折率が周期的構造を有するフォトニック結晶、特に3次元的なフォトニック結晶を、光素子の用途に応じた結晶構造で作製する有効な方法がなく、フォトニック結晶およびそれを利用した光素子の実用化が進まない要因となっていた。
【0004】
これに対して、最近になって、光の波長オーダーでのフォトニック結晶の作製に関する報告がいくつかなされている。その主なものは以下の3つである。
【0005】
(1)酸化けい素微小球を含有するコロイド溶液から溶媒を除いて酸化けい素微小球を結晶化することによりフォトニック結晶を得る方法。この方法は酸化けい素微小球の自己配列を利用しており、得られるフォトニック結晶はopal型と呼ばれる。この方法では、比較的容易に大きな繰り返し周期数の結晶が得られる(H.Miguezら、Appl.Phys.Lett.71(9),1148(1997))。しかし、この方法では酸化けい素微小球が良好な再現性および高い信頼性で配列するわけではなく、また結晶構造を自由に選ぶこともできない。
【0006】
(2)Wood−Pile法(S.Nodaら,Jpn.J.Appl.Phys.,35,L909(1996))。この方法では、半導体微細加工技術を利用して、2つの基板上にそれぞれ角材を並べたような構造を形成し、その角材部分が直交するように2つの基板を対向させて接着した後、片方の基板をエッチングで除くことにより、「角材」を2層重ねた構造を形成する。同様に「角材」を表面に並べた基板を用意し、精密な位置合わせによる接着とエッチングを繰り返すことにより、角材を1層ずつ積み上げていく。この方法では、全方位にフォトニックバンドギャップが開くダイヤモンド構造を作製できることがわかっている。しかし、この方法では、複雑で手間のかかる微細加工プロセスを必要とし、現実的に作製できる繰り返し周期には限界がある。
【0007】
(3)オートクローニング法と呼ばれる方法(川上他,特開平10−335758)。この方法では、リソグラフィーにより石英または半導体の基板に2次元の周期的な凸凹パタンを形成し、バイアススパッタ法により下層の凸凹パタンを再現しながら、薄膜を多層に積層する。このようにして最初に凸凹パタンを刻んだ基板の面内方向およびその面に垂直な積層方向に3次元的な周期構造を作製する。この方法は、opal型フォトニック結晶の製造方法より信頼性および再現性がよく、またWood−pile法ほどは複雑で手間のかかる微細加工プロセスを必要としないことから、積層方向に比較的多くの周期を持つフォトニック結晶を作製できる。しかし、この方法では、必然的に下層のパタンの凹部の上には凹部、凸部の上には凸部が形成されるため、特定の結晶構造しか形成できず、任意の結晶構造を実現することはできない。実際、この方法では全方位に開く完全なバンドギャップをもつフォトニック結晶を作製することはできない。
【0008】
上記3つの方法の他に、光の干渉パタンを利用したフォトニック結晶の製造方法が提案されている(常友,小山,特開平10−68807)。この方法では、1次元的に積層した多層の薄膜に干渉パタンを焼き付けるようにレーザー光を照射することにより、光強度の強い部位での溶融・蒸発やアブレーションを利用して多層膜の膜面に垂直な方向に周期的な切り込みを入れ、フォトニック結晶を作製する。この方法ではレーザーの干渉パタンによって周期構造を作製する際に、多くの周期を1度に形成でき、効率の良い方法と考えられる。しかし、この方法では、やはり作製できる結晶構造には制限がある。
【0009】
このように、従来の酸化けい素微小球の自己配列を利用する方法では信頼性および再現性に問題があり、その他の方法ではフォトニック結晶の周期を形成するために一層ずつ極めて高い精度で積層する作業が必要であるため、フォトニック結晶を作製できたとしても長時間を要しかつ繰り返し周期数に限界があり、しかも所望の結晶構造を自由に作製することもできなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、光の波長オーダーの周期を持つ3次元のフォトニック結晶を、従来の方法のように“結晶”を一層ずつ正確に積層する工程を用いることなく、簡便かつ短時間の処理により任意の結晶構造で作製することが可能な新規な方法および製造装置、およびこれらの方法および装置で作製される光素子を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の光素子の製造方法は、屈折率の異なる部位が周期的に配列されたフォトニック結晶を含む光素子を製造する方法であって、光照射によりまたは光照射後に所定の処理を施すことにより、照射された光強度に応じて屈折率が変化する光学媒質に対して、空間内で光の波長オーダーの周期で光強度が変化する場に光学媒質を挿入し、一定時間保持する工程と、前記光学媒質を移動させて空間内で光の波長オーダーの周期で光強度が変化する場を再度作用させる操作を1回以上繰り返す工程とを具備したことを特徴とする。
【0012】
本発明においては、光学媒質として、光照射後に所定時間経過するか、または光照射後に加熱、電磁波もしくは粒子線の照射、もしくは化学薬品により処理することにより、照射された光強度に応じて屈折率が変化するものが用いられる。
【0013】
本発明の方法において、空間内で光の波長オーダーの周期で光強度が変化する光の場は、たとえばレーザー光の干渉により生成させる。また、光学媒質の位置を光の波長オーダーの微小距離だけ移動させるには、たとえば光学媒質をx、y、zの3方向に駆動可能なピエゾ素子を備えたステージを用いる。
【0014】
本発明の光素子の製造装置は、空間内で光の波長オーダーの周期で光強度が変化する光の場を作り出す光学系と、照射された光強度に応じて屈折率が変化する光学媒質を周期的に光強度が変化する光の場の中に保持しかつその場の中で光の波長オーダーの微小距離だけ移動させることが可能な可動ステージとを具備したことを特徴とする。
【0015】
本発明の光素子の製造装置は、さらに、作製された光素子を評価するための光源および検出器を具備していてもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0018】
本発明においては、光学媒質として、光照射のみにより、または光照射後に所定時間経過するか、光照射後に加熱、電磁波(光など)もしくは粒子線(電子線、α線、中性子線など)の照射、もしくは化学薬品により処理することにより、照射された光強度に応じて屈折率が変化するものが用いられる。なお、光学媒質における屈折率の変化は、光照射のみで誘起されるのではなく、むしろ光照射の後に上述したような所定の処理を施すことにより誘起される方が好ましい。
【0019】
上記のような屈折率変化を示す光学媒質は以下のように表現することもできる。ここで、光照射前の光学媒質中での屈折率の最大値と最小値との比をr(1)、光照射直後の屈折率の最大値と最小値の比をr(2)、屈折率変化のための処理が完了した後の屈折率の最大値と最小値の比をr(3)とする。本発明で好適に用いられる光学媒質は、|r(2)−r(1)|より|r(3)−r(2)|が大きく、さらに光照射後に屈折率の最大値と最小値の比が|r(3)−r(2)|/2を超えるまでの時間が光照射時間よりも長いという条件を満たすことが好ましい。
【0020】
このような光学媒質に用いられる材料の屈折率変化の機構としては、重合性モノマーにおける光重合過程または光化学反応と温度上昇との組み合わせによる重合過程を経る化学変化による屈折率変化、ホールバーニング物質における光照射によるポピュレーション移動による屈折率変化、光異性化する化合物における光照射による屈折率変化などが利用できる。また、光学媒質の光照射部における局所的温度上昇や強い光による分子の分解や変質による屈折率変化を利用することもできる。
【0021】
より単純には、空孔率の高い無機の多孔体に光重合性モノマーを含浸させて光重合させた後、モノマーのみを洗い出して除去することにより空洞を形成し、残存したポリマーと多孔体の空洞中に存在する空気により屈折率変化を顕在化させるようにしてもよい。また、モノマー除去後の多孔体の空洞中に屈折率の高い物質を充填し、残存したポリマーと充填物質により屈折率変化を顕在化させるようにしてもよい。この場合、光照射前のモノマーと光照射により生成するポリマーとの間で屈折率変化がなくてもよい。
【0022】
本発明の方法では、空間内で光の強度が周期的に変化する光の場を用意する。このような光の場は、たとえばある方向に進むレーザー光とそのレーザー光をミラーで反射させた反対方向に進むレーザー光との干渉で生じる定常波、または2方向以上の方向に進む進行波の間での干渉パタンを用いて生成させることができる。
【0023】
例えば、レーザー光の干渉を利用して、3次元立方格子の格子点に相当する位置において特に光強度が高くなるような光の場を生成させる場合について説明する。この場の中に上記のような光学媒質を設置すると、3次元立方格子の格子点に相当する光強度の高い位置で、光学媒質中に屈折率変化が起こる部位を潜像として「焼き付ける」ことができる。
【0024】
本発明の方法は、各種の3次元結晶構造の格子点が並進対称性を持つことに着目し、光学媒質を光の波長程度の微小距離だけずらして、上記にような「焼き付け」を複数回繰り返す点に特徴がある。
【0025】
すなわち、最初の「焼き付け」操作により、光学媒質全体にわたって作製しようとする所望の結晶構造を構成する単位格子のうちあるサイトに相当する部位に一括して「焼き付け」ることができる。次に、光学媒質の位置をわずかにずらし、光学媒質中で光強度が高くなる位置が、所望の結晶構造を構成する単位格子のうち別のサイトの位置に一致するようにして再度「焼き付け」を行う。さらに光学媒質を移動し「焼き付け」を行うという作業を、結晶構造を構成する単位格子のすべてのサイトに相当する部位に「焼き付け」終わるまで繰り返す。その後、所定時間を経て「焼き付け」部位の屈折率変化を完了させるか、または光照射などの所定の処理により「焼き付け」部位の屈折率変化を顕在化させることにより、所望のフォトニック結晶が得られる。ここでは、単位格子中の各原子の位置に相当する位置のことをサイトと表現している。
【0026】
このように本発明の方法では、結晶の並進対称性を最大限利用し、単位格子間の同一サイトの原子に相当する屈折率変化部位を一括して形成する操作を「単位格子内のサイトの数」程度繰り返す。したがって、従来の方法のように、結晶を構成する「周期の数」または「原子の数」だけ作業を繰り返す必要はない。しかも、あるサイトの「焼き付け」から次のサイトの「焼き付け」に移るためには、立体形状をなす光学媒質をわずかに移動するだけでよく、操作が簡単である。
【0027】
原理的には、周期的に光強度が変化する光の場を生成させるための光学系全体を駆動させても同様のフォトニック結晶が作製できるが、本発明の方法では光学媒質を移動させるので光学系全体を駆動させる場合と比較して簡単かつ精度よくフォトニック結晶を作製することができる。
【0028】
次に、本発明の光素子の製造装置について説明する。本発明の光素子の製造装置は、空間内で光の波長オーダーの周期で光強度が変化する光の場を作り出す光学系と、照射された光強度に応じて屈折率が変化する光学媒質を周期的に光強度が変化する光の場の中に保持しかつその場の中で光の波長オーダーの微小距離だけ移動させることが可能な可動ステージとを有する。ここでは、紫外光から赤外光の領域にかけての波長約100nm〜10μmの長さを光の波長オーダーと表現している。
【0029】
空間内で光の波長オーダーの周期で光強度が変化する光の場を作り出す光学系について、レーザー光の干渉を利用する場合を説明する。
【0030】
空間内に(x,y,z)の直交座標を考え、x軸方向、y軸方向、z軸方向からそれぞれ周波数νx、νy、νzの光を原点に向けて照射する。原点を挟んで反対側にそれぞれの座標軸に垂直にレーザー光を反射するミラーを設置すると、それぞれのレーザー光に対して入射光と反射光とが干渉し合い、空間内にそれぞれ周期ca/(2νx)、ca/(2νy)、ca/(2νz)の定常波が生成される。ただし、caは媒質中(例えば空気中)の光速度である。これらの定常波の腹にあたる位置では光強度が強くなっているが、それぞれ3方向に周期性をもつ3つの1次元定常波の腹の重なりあったところを特に光強度の強い点とすることができる。
【0031】
このようにして、図1に示すように、3次元直方晶系(νx=νy=νzの場合は立方晶系、νx、νy、νzのうちどれか一組が等しい場合は正方晶系)の格子点上に光強度の強い点を生成することができる。ここで、νx、νy、νzの値は、作製するフォトニック結晶の単位格子の大きさに合わせて選択する。3方向のレーザー光の入射方向およびそれを反射するミラーの向きは作製しようとするフォトニック結晶の結晶構造に応じて決定され、必ずしも直交している必要はない。
【0032】
このような光の場の中で光学媒質への「焼き付け」を行う。その際、光強度が高い部位のみで「焼き付け」が起こり、その他の部位では起こらないことが望ましい。このため、光学媒質としては2光子吸収などの多光子吸収で化学変化や重合の前駆体生成が起きて「焼き付け」が起こるもの、またはあるしきい値の光強度で「焼き付け」が起こるものが望ましい。
【0033】
この「焼き付け」によって屈折率の空間変調が規定される。上述したように「焼き付け」のための露光から実際に屈折率変化が起こるまでに時間遅れがあることが望ましい。また、上述したように「焼き付け」による潜像形成の後、加熱や光照射などの所定の処理により初めて屈折率変化が顕在化することが望ましい。これは、光強度の強い格子点において屈折率変化がすぐに始まり無視できない量に達すると、光学媒質中の光強度分布が影響を受け、さらに変調を受けた光強度分布により屈折率変化が進むなどの複雑な効果が重なりあい、所望の屈折率分布を作製することが困難となるからである。これに対して、「焼き付け」により単にその後に起こる屈折率の空間変調の情報を光学媒質に書き込むだけで、実際の屈折率変調はその段階では起こらないようにすれば、前の「焼き付け」が後の「焼き付け」に影響を及ぼすこともなくなる。さらに、「焼き付け」の過程そのものが光強度が周期的に変化する光の場の作用のみで起こるのではなく、例えばゲート光など他の要因との組み合わせで起こるものが望ましい。なぜなら、光学媒質に干渉を起こさせるレーザー光を照射した際に「焼き付け」が起こらなければ、実際に干渉パタンを生じさせるレーザー光を光学媒質に照射しながら位置合わせすることが可能となるためである。「焼き付け」は、位置が決まった後に例えばゲート光を照射することにより実行できることが望ましい。
【0034】
本発明の装置は、光学媒質を周期的に光強度が変化する光の場の中に保持しかつその場の中で光の波長オーダーの微小距離だけ移動させることが可能な可動ステージを有する。この可動ステージを用い、空間的に固定された周期的な光強度の場の中で、光学媒質を微小距離移動しつつ単位格子中のサイトを順次「焼き付け」ていく。その移動距離は光の波長程度からその1/10程度であり(〜100nm)、ピエゾ素子駆動のステージで精度よく移動することが可能である。可動ステージによる光学媒質の移動のさせ方により、作製されるフォトニック結晶の結晶構造が決まる。また、各格子点の形状が同等でない結晶構造のフォトニック結晶を作製する際には、それぞれの格子点を「焼き付ける」際に光照射強度や光照射時間などを変化させる、あるいは少しずつずらしながら特定のサイトを2重、3重に焼き付けることによって、結晶構造を制御することができる。
【0035】
本発明の光素子の製造装置にさらに作製された光素子を評価するための光源および検出器を設け、たとえばフォトニックバンドギャップの形成を確認するようにすれば、フォトニック結晶の性能を評価しながら作製することが可能になる。
【0036】
以下、代表的な結晶構造を作製するための、光学媒質の移動のさせ方について説明する。
【0037】
体心立方格子を作製するには、3つのレーザー光の周波数をν1=ν2=ν3とし、それぞれのレーザー光を直交したx軸、y軸、z軸に沿って原点に向けて照射し、原点に対してそれぞれ反対側に置いたミラーから戻ってきた光との干渉により定常波を立たせる。まず、光学媒質を原点(0,0,0)に置いて第1の「焼き付け」を行う。次に、光学媒質を原点からベクトル(a/2,a/2,a/2)分だけずらして第2の「焼き付け」を行う。ただし、a=cv/(nν1)(cvは真空中の光速度、nは光学媒質の屈折率)である。
【0038】
面心立方格子を作製するには、3つのレーザー光の周波数をν1=ν2=ν3とし、それぞれのレーザー光を直交したx軸、y軸、z軸に沿って原点に向けて照射し、原点に対してそれぞれ反対側に置いたミラーから戻ってきた光との干渉により定常波を立たせる。まず、光学媒質を原点(0,0,0)に置いて第1の「焼き付け」を行う。次に、光学媒質を原点からベクトル(a/2,0,a/2)分だけずらして第2の「焼き付け」を行う。光学媒質を原点からベクトル(0,a/2,a/2)分だけずらして第3の「焼き付け」を行う。光学媒質を原点からベクトル(a/2,a/2,0)分だけずらして第4の「焼き付け」を行う。ただし、a=cv/(nν1)である。
【0039】
正方晶系の体心格子を作製するには、3つのレーザー光の周波数をν1≠ν2=ν3とし、それぞれのレーザー光を直交したx軸、y軸、z軸に沿って原点に向けて照射し、原点に対してそれぞれ反対側に置いたミラーから戻ってきた光との干渉により定常波を立たせる。まず、光学媒質を原点(0,0,0)に置いて第1の「焼き付け」を行う。次に、光学媒質を原点からベクトル(a/2,b/2,b/2)分だけずらして第2の「焼き付け」を行う。ただし、a=cv/(nν1)、b=cv/(nν2)である。
【0040】
直方晶系の底心格子を作製するには、3つのレーザー光の周波数をν1≠ν2、ν2≠ν3、ν1≠ν3とし、それぞれのレーザー光を直交したx軸、y軸、z軸に沿って原点に向けて照射し、原点に対してそれぞれ反対側に置いたミラーから戻ってきた光との干渉により定常波を立たせる。まず、光学媒質を原点(0,0,0)に置いて第1の「焼き付け」を行う。次に、光学媒質を原点からベクトル(a/2,b/2,0)分だけずらして第2の「焼き付け」を行う。ただし、a=cv/(nν1)、b=cv/(nν2)である。
【0041】
直方晶系の面心格子を作製するには、3つのレーザー光の周波数をν1≠ν2、ν2≠ν3、ν1≠ν3とし、それぞれのレーザー光を直交したx軸、y軸、z軸に沿って原点に向けて照射し、原点に対してそれぞれ反対側に置いたミラーから戻ってきた光との干渉により定常波を立たせる。まず、光学媒質を原点(0,0,0)に置いて第1の「焼き付け」を行う。次に、光学媒質を原点からベクトル(a/2,0,c/2)分だけずらして第2の「焼き付け」を行う。光学媒質を原点からベクトル(0,b/2,c/2)分だけずらして第3の「焼き付け」を行う。光学媒質を原点からベクトル(a/2,b/2,c/2)分だけずらして第4の「焼き付け」を行う。ただし、a=cv/(nν1)、b=cv/(nν2)、c=cv/(nν3)である。
【0042】
直方晶系の体心格子を作製するには、3つのレーザー光の周波数をν1≠ν2、ν2≠ν3、ν1≠ν3とし、それぞれのレーザー光を直交したx軸、y軸、z軸に沿って原点に向けて照射し、原点に対してそれぞれ反対側に置いたミラーから戻ってきた光との干渉により定常波を立たせる。まず、光学媒質を原点(0,0,0)に置いて第1の「焼き付け」を行う。次に、光学媒質を原点からベクトル(a/2,b/2,c/2)分だけずらして第2の「焼き付け」を行う。ただし、a=cv/(nν1)、b=cv/(nν2)、c=cv/(nν3)である。
【0043】
六方晶系を作製するには、3つのレーザー光の周波数をν1=ν2≠ν3とし、それぞれ周波数ν1の光をベクトル(31/2a/2,−a/2,0)に沿って、周波数ν2の光をy軸に沿って、周波数ν3の光をz軸に沿って原点に向けて照射し、原点に対してそれぞれ反対側に置いたミラーで垂直に反射させて戻ってきた光との干渉により定常波を立てる。この状態で、光学媒質を原点(0,0,0)に置いて「焼き付け」を行う。ただし、a=cv/(nν1)である。
【0044】
三方晶系を作製するには、3つのレーザー光の周波数をν1=ν2=ν3とし、それぞれのレーザー光を互いのなす角度が等しい3つのベクトルにそって入射し、原点に対してそれぞれ反対側に置いたミラーで垂直に反射させて戻ってきた光との干渉により定常波を立てる。この状態で、光学媒質を原点(0,0,0)に置いて「焼き付け」を行う。
【0045】
単斜晶系の底心格子を作製するには、3つのレーザー光の周波数をν1≠ν2,ν2≠ν3,ν1≠ν3とし、それぞれ周波数ν2の光をy軸に沿って、周波数ν3の光をz軸に沿って、周波数ν1の光をベクトル(α,0,β)(α≠0,β≠0)に沿って原点に向けて照射し、原点に対してそれぞれ反対側に置いたミラーで垂直に反射させて戻ってきた光との干渉により定常波を立てる。まず、光学媒質を原点(0,0,0)に置いて第1の「焼き付け」を行う。次に、原点からベクトル(a/2,b/2,0)分だけずらして第2の「焼き付け」を行う。ただし、a=(α2+β21/2v/(βnν1)、b=cv/(nν2)である。
【0046】
ダイヤモンド構造を作製するには、3つのレーザー光の周波数をν1=ν2=ν3とし、それぞれのレーザー光を直交したx軸、y軸、z軸に沿って原点に向けて照射し、原点に対してそれぞれ反対側に置いたミラーから戻ってきた光との干渉により定常波を立てる。まず、光学媒質を原点(0,0,0)に置いて第1の「焼き付け」を行う。次に、光学媒質を原点からベクトル(a/2,0,a/2)分だけずらして第2の「焼き付け」を行う。光学媒質を原点からベクトル(0,a/2,a/2)分だけずらして第3の「焼き付け」を行う。光学媒質を原点からベクトル(a/2,a/2,0)分だけずらして第4の「焼き付け」を行う。光学媒質を原点からベクトル(a/4,3a/4,a/4)分だけずらして第5の「焼き付け」を行う。光学媒質を原点から(3a/4,a/4,a/4)分だけずらして第6の「焼き付け」を行う。光学媒質を原点から(3a/4,3a/4,3a/4)分だけずらして第7の「焼き付け」を行う。光学媒質を原点から(a/4,a/4,3a/4)だけずらして第8の「焼き付け」を行う。ただしa=cv/(nν1)である。
【0047】
なお、上述したそれぞれの表題の結晶構造を得るには、光学媒質の移動および「焼き付け」の操作を繰り返す際に、すべてのサイトに対して同等に光照射を行うことを前提としている。一方、あるサイトだけ光照射時間を変えるなどして屈折率の変化の仕方を変えると、表題の結晶構造とは別の結晶構造を得ることもできる。例えば、ダイヤモンド構造を作製する際に、第1から第4までの光照射の条件と、第5から第8までの光照射の条件を変えて、それぞれの一連の焼き付け操作によって生成される屈折率の変化したサイトの大きさや屈折率の変化の度合などを異なるようにすると、閃亜鉛鉱構造を作ることができる。
【0048】
以上においては3次元周期構造をもつフォトニック結晶を作製する場合について説明しているが、本発明は3次元の周期構造だけでなく2次元または1次元の周期構造を持つフォトニック結晶を作製する場合にも同様に適用できることはもちろんである。
【0049】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
【0050】
(実施例1)
図2に示す装置を用い、体心立方構造のフォトニック結晶を作製した例を説明する。この例で作製するフォトニック結晶は、骨組みとなるシリカ多孔体中においてエポキシ樹脂硬化物が体心立方構造の格子点をなすように配列し、エポキシ樹脂硬化物とシリカ多孔体の空洞中の空気とで屈折率の周期構造を形成したものである。
【0051】
フォトニック結晶の骨組みとなるシリカ多孔体をゾル−ゲル法で作製した。このシリカ多孔体は、サイズが1mm×1mm×1mm、空孔率が90%以上、平均空孔径が30nmであり、空気に近い1.015〜1.055の屈折率を有する。また、エポキシ樹脂であるセロキサイド2021(ダイセル化学社製)に光酸発生剤である4−モルホリノ−2,5−ジブチロキシベンゼンジアゾニウムホウフッ化塩を1%加えた樹脂液を調製した。シリカ多孔体をこの樹脂液に浸し、樹脂液を含浸させた。このように微細な孔が密にあき、空孔率が90%以上と非常に高いシリカ多孔体に樹脂液を含浸させたものは、光の波長から見れば、全体が樹脂液のみからなっているのと等価である。
【0052】
図2において、シリカ多孔体1はピエゾ素子駆動のステージ11のサンプルホルダ11a上に設置される。このステージ11は、x、y、zの3方向に光の波長程度の微動が可能になっている。ステージ11上に設置されたシリカ多孔体1の隣接する3つの面に対向するように、それぞれ3枚のミラー12x、12y、12zが互いに接して設けられている。
【0053】
シリカ多孔体1への光照射は以下のようにして行われる。光源13としてアルゴンレーザー励起のチタンサファイアレーザーを用い、波長810nmのレーザー光を発生させる。レーザー光はビームスプリッター14aを透過し、ミラー15xで反射されてx方向へ進む。そして、シリカ多孔体1へのx方向の入射光とミラー12xからの反射光とが干渉しあってシリカ多孔体1の位置で定常波を生成する。ビームスプリッター14aで反射されたレーザー光はミラー15yで反射され、ビームスプリッター14bを透過してy方向へ進む。そして、シリカ多孔体1へのy方向の入射光とミラー12yからの反射光とが干渉しあってシリカ多孔体1の位置で定常波を生成する。ビームスプリッター14bで反射されたレーザー光はミラー15yzおよびミラー15zで反射されてz方向へ進む。そして、シリカ多孔体1へのz方向の入射光とミラー12zからの反射光とが干渉しあってシリカ多孔体1の位置で定常波を生成する。
【0054】
まず、シリカ多孔体1を上記定常波が生成する空間内の原点に設置し、上記のように1回目の光照射を行った。次に、シリカ多孔体1をベクトル(135nm,135nm,135nm)の方向、すなわちx、y、z方向にそれぞれ135nm移動し、その位置で原点と同じ照射条件で2回目のレーザー光照射を行った。
【0055】
このシリカ多孔体1を60℃に保ったまま5時間加熱して、3次元的な「焼き付け」がなされたエポキシ樹脂の部位を硬化させた。こうして、シリカ多孔体1中に格子定数270nmの体心立方格子の格子点にエポキシ樹脂の硬化部位を保持させた。その後、アセトンおよびメタノールでシリカ多孔体を洗浄し、未硬化樹脂および酸発生剤を除去した。
【0056】
このようにして図3に示すように、シリカ多孔体1中にエポキシ樹脂硬化物2が体心立方構造で配列したフォトニック結晶が得られた。
【0057】
また、このエポキシ樹脂硬化物2の形状を調べたところ、3つの異なる軸の方向にふくらみのある形をしていた。
【0058】
(実施例2)
図2に示す装置を用い、ダイヤモンド構造のフォトニック結晶を作製した例を説明する。この例で作製するフォトニック結晶は、シリカ多孔体中にアクリル樹脂がダイヤモンド構造の格子点をなすように配列したものである。
【0059】
実施例1で用いたのと同じ規格およびサイズのシリカ多孔体を用意した。また、金超微粒子を分散させた多官能アクリレートモノマー(SartomerSR9008)を主体とし、約10%のスチレン−アクリロニトリル(75:25)共重合体からなる高分子バインダー、約0.1%の下記化学式で示される光重合開始剤からなる光重合型の感光性樹脂液を調製した。シリカ多孔体をこの樹脂液に浸し、樹脂液を含浸させた。
【0060】
【化1】
Figure 0003670534
【0061】
図2と同様な装置において、シリカ多孔体1をステージ11のサンプルホルダ11a上で原点位置に設置し、光源13としてアルゴンイオンレーザー励起のチタンサファイアレーザーにより発生した775nmのレーザー光でポンプされたパラメトリック発振器からの1548nmの光を利用して、x、y、z方向にそれぞれ定常波を発生させ、シリカ多孔体中に3次元立方格子をなす光強度の強いスポットを生成した。こうして3次元立方格子の格子点において光重合開始剤による2光子吸収を起こし、その部位のモノマーを重合させた。次に、シリカ多孔体を原点からベクトル(258nm,0nm,258nm)だけずらして再びレーザー光照射により3次元立方格子の格子点でモノマーを重合させた。次いで、シリカ多孔体の移動と移動後の位置での光照射による重合操作を、それぞれ原点からベクトル(0,258nm,258nm)、(258nm,258nm,0)、(129nm,388nm,129nm)、(388nm,129nm,129nm)、(388nm,388nm,388nm)、(129nm,129nm,388nm)だけずらして順次行い、シリカ多孔体中にアクリレートポリマーをダイヤモンド構造に配列して保持させた。その後、アセトンによりシリカ多孔体を洗浄し、モノマーを除去した。このようにして、ダイヤモンド構造を持つフォトニック結晶を得た。
【0062】
この実施例においては、光重合によりモノマーを重合してポリマーを生成させる時点では屈折率はほとんど変わらない(モノマーとポリマーの屈折率はそれぞれ約1.41、1.49)。すなわち、重合過程は「焼き付け」に相当する。その後、モノマーを取り除く操作により屈折率の空間変調が顕在化してフォトニック結晶が得られる。
【0063】
なお、位置を変えて「焼き付け」する際に、前回までの「焼き付け」による屈折率変化の影響を最小にするためには、干渉により格子点で強くなった光による2光子吸収だけでは重合せず、その後の第2の波長の光照射や、温度上昇により重合が始まるモノマー、またはモノマーと増感剤、増感剤プレカーサー、ラジカル発生剤等の混合物を用いることが好ましい。
【0064】
(実施例3)
図2に示す装置を用い、面心立方構造およびそれに類似する結晶構造のフォトニック結晶を作製した例を説明する。
【0065】
実施例2で用いたのと同様の感光性樹脂液を含浸させたシリカ多孔体を用意した。実施例2と同様に、シリカ多孔体1をステージ11のサンプルホルダ11a上で原点位置に設置し、光源13としてアルゴンイオンレーザー励起のチタンサファイアレーザーにより発生した775nmのレーザー光でポンプされたパラメトリック発振器からの1548nmの光を利用して、x、y、z方向にそれぞれ定常波を発生させ、シリカ多孔体中に3次元立方格子をなす光強度の強いスポットを生成した。こうして3次元立方格子の格子点において光重合開始剤による2光子吸収を起こし、その部位のモノマーを重合させた。次に、シリカ多孔体を原点からベクトル(258nm,0nm,258nm)だけずらして再びレーザー光照射により3次元立方格子の格子点でモノマーを重合させた。次いで、シリカ多孔体の移動と移動後の位置での光照射による重合操作を、それぞれ原点からベクトル(0,258nm,258nm)、(258nm,258nm,0)だけずらして順次行い、シリカ多孔体中にアクリレートポリマーを面心立方構造に配列して保持させた。その後、アセトンによりシリカ多孔体を洗浄し、モノマーを除去した。このようにして、面心立方格子構造を持つフォトニック結晶(実施例3A)を得た。
【0066】
一方、上記と同じ感光性樹脂液を含浸させた別のシリカ多孔体を用意した。そして、上記と全く同様の操作により面心立方格子の格子点の「焼き付け」を行い、シリカ多孔体中にアクリレートポリマーを面心立方構造に配列して保持させた。さらに、このシリカ多孔体に対して以下の4つの操作を加えた。すなわち、シリカ多孔体の移動と移動後の位置での光照射による重合操作を、それぞれ原点からベクトル(22nm,22nm,0nm)、(280nm,22nm,250nm)、(22nm,280nm,258nm)、(280nm,280nm,0nm)だけずらして順次行い、シリカ多孔体中にアクリレートポリマーを保持させた。なお、これらの追加の操作の際に照射するレーザー光の強度は、面心立方格子構造を作製する場合の強度より弱くした。その後、アセトンによりシリカ多孔体を洗浄し、モノマーを除去した。このようにして、屈折率の3次元周期構造を持つフォトニック結晶(実施例3B)を得た。
【0067】
実施例3Bのフォトニック結晶は、面心立方構造の格子点において大きなポリマー球に対して小さなポリマー球が近接しただるまのような形状をなすポリマー部位が形成された構造を有する。
【0068】
実施例3Bにおいて、面心立方構造を形成する操作に追加して行った操作により生じた小さなポリマー球を詳細に調べた。その結果、一度のレーザー光照射により形成される格子定数516nmの単純立方格子の格子点に相当するポリマー球は、正確に言えば球形からずれた形状をしていたが、1グループに属するポリマー球どうしは正確に同じ大きさ、形状であった。
【0069】
このように、本発明の方法では、干渉パタンで空間に生じさせた光強度の特に強い場所(格子点)の形状が、球形以外の形状であっても等しくなる。これは、意図しない原因によっていびつな形状の格子点が形成される場合でも同様であり、正確に等しい格子点が形成される。
【0070】
なお、実施例3Bのフォトニック結晶は面心立方格子の格子点の大きなポリマー球とこれらから若干ずれて形成された小さなポリマー球を含んでいるため、実施例3Aの面心立方格子構造のフォトニック結晶に比べて対称性が低い。このため、実施例3Aのフォトニック結晶ではバンドギャップを生じない方位にも、実施例3Bのフォトニック結晶ではバンドギャップが生じた。
【0071】
(実施例4)
図4に本発明に係る他の光素子製造装置を示す。図4の装置は、図2の装置構成に加えて、第2の波長の光を照射する第2の光源16と、ステージ上の光学媒質の透過スペクトルを測定するための光源および分光器21と、光検出器23を備えている。
【0072】
この装置により処理される光学媒質は、光の干渉パタンによる「焼き付け」だけでは屈折率変化が生じず、第2の光源16から第2の波長の光を照射することにより屈折率変化が生じるものである。
【0073】
この装置を用いて、実施例1〜3と同様にして所望の結晶構造に対応する焼き付けを行った後、第2の光源16からの第2の波長の光をミラー17で反射させてシリカ多孔体1に含浸させた光学媒質に照射することにより屈折率変化を生じさせ、フォトニック結晶を作製した。その後、透過スペクトル測定用の光源と分光器21から先端に集光レンズを設けた光ファイバー22を通して光学媒質に光を照射し、その波長を21に含まれる分光器で掃引して、透過した光を光検出器23により検出し、フォトニック結晶の透過スペクトルにより測定した。図5にこのときの透過スペクトルを示す。この図に示されるように、製造されたフォトニック結晶には、波長1000nmの近傍でフォトニックバンドギャップが形成されることが確認できた。このように図4の装置では、フォトニック結晶の性能を評価しながら作製することが可能になる。
【0074】
以上の実施例においては、図2または図4の装置を用いて3次元的な結晶構造を作製した例について説明したが、図6に示すように周期的に光強度変化の場を生成するために進行方向の異なる進行波同士の干渉を利用してもよい。この図に示すように、振動数νの2つのレーザー光を角度θで交差させると、両者の交わる光強度の強い領域(図中破線で表示)は周期ca/{2νsin(θ/2)}の1次元周期構造をとる。なお、3方向に進行するレーザー光を用いれば、2次元六方晶系を得ることができる。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、結晶の並進対称性を最大限利用し、単位格子間の同じサイトに相当する屈折率変化部位を一括して形成する操作を、光学媒質を微小距離だけ移動させて単位格子内のサイトの数程度繰り返すことによりフォトニック結晶を作製できるので、操作が簡単であり、従来は事実上作製がほとんど不可能であった光の波長領域の多周期の3次元フォトニック結晶でも所望の結晶構造で精度よく作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法により3次元直方晶系構造をなす格子点上に生成された光強度の強い部分を示す斜視図。
【図2】本発明の実施例1における光素子の製造装置を示す斜視図。
【図3】本発明の実施例1において作製されたフォトニック結晶の構造を示す斜視図。
【図4】本発明の実施例4における光素子の製造装置を示す斜視図。
【図5】本発明の実施例1において作製されたフォトニック結晶の透過スペクトルを示す図。
【図6】本発明により、進行方向の異なる2つの進行波の干渉により光強度の1次元周期構造を形成する方法を示す図。
【符号の説明】
1…シリカ多孔体
2…エポキシ樹脂硬化物
11…ステージ
12…ミラー
13…光源
14…ビームスプリッター
15…ミラー
16…第2の光源
17…ミラー
21…透過スペクトル測定用の光源・分光器
22…光ファイバー
23…光検出器

Claims (6)

  1. 屈折率の異なる部位が周期的に配列されたフォトニック結晶を含む光素子を製造する方法であって、光照射によりまたは光照射後に所定の処理を施すことにより、照射された光強度に応じて屈折率が変化する光学媒質に対して、空間内で光の波長オーダーの周期で光強度が変化する場に光学媒質を挿入し、一定時間保持する工程と、前記光学媒質を移動させて空間内で光の波長オーダーの周期で光強度が変化する場を再度作用させる操作を1回以上繰り返す工程とを具備したことを特徴とする光素子の製造方法。
  2. 前記光学媒質は、光照射後に所定時間経過するか、または光照射後に加熱、電磁波もしくは粒子線の照射、もしくは化学薬品により処理することにより、照射された光強度に応じて屈折率が変化することを特徴とする請求項1記載の光素子の製造方法。
  3. 空間内で光の波長オーダーの周期で光強度が変化する光の場を、レーザー光の干渉により生成させることを特徴とする請求項1記載の光素子の製造方法。
  4. 前記光学媒質をx、y、zの3方向に駆動可能なピエゾ素子を備えたステージ上に設置し、前記光学媒質の位置を光の波長オーダーの微小距離だけ移動させることを特徴とする請求項1記載の光素子の製造方法。
  5. 空間内で光の波長オーダーの周期で光強度が変化する光の場を作り出す光学系と、照射された光強度に応じて屈折率が変化する光学媒質を周期的に光強度が変化する光の場の中に保持しかつその場の中で光の波長オーダーの微小距離だけ移動させることが可能な可動ステージとを具備したことを特徴とする光素子の製造装置。
  6. さらに、作製された光素子を評価するための光源および検出器を具備したことを特徴とする請求項5記載の光素子の製造装置。
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