JP3669535B2 - 旋回重機の接触防止装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、旋回重機の後部カウンタウェイトと作業員との接触事故を未然に防止するための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
バックホーなどの旋回重機のオペレータは、後方カウンタウェイトの下部が見えず、また、当該旋回重機には通常、接触防止装置等は装備されていないため、重機の旋回により誤って周辺の作業員が重機と接触したり、重機と構造物との間に挟まれる事故が発生することがある。
【0003】
このため、従来は、重機の旋回エリア内に人が立ち入らないように、その周囲にバリケード、カラーコーン、ロープ、単管パイプなどを設置しているが、重機の移動に合わせてバリケードなども移動設置しなければならないので、作業が煩雑となり、設置を怠りがちになるという問題点があった。
他方、上記バリケードを設置するような煩雑な作業を回避するために、次のようなセンサ等を旋回重機に設けることも公知である。
【0004】
(1)電波、磁界を利用して接近を検知するもの。
重機に電波または磁界等の発信器と受信器を設置し、作業員が応答器または発進器を携帯して一定距離内の受信エリアに入った時に検知する。作業員が装置を携帯する必要があり、環境条件による影響が大きく動作距離が不確実である。
【0005】
(2)超音波、光電スイッチを利用したもの。
重機に超音波または光電センサを設置し、接近障害物を検知する。動作距離が環境条件により不確実で、距離の調整ができないことが多い。
【0006】
(3)監視用ITVを利用するもの。
重機にカメラを設置し、後部や側面の監視を運転席のモニターで行うものであるが、オペレータが見落とす危険性がある。
【0007】
旋回重機は、炎天下や雨天における屋外使用、構造物に近接しての使用、使用に伴って発生する振動や衝撃の影響等、使用条件が過酷であり、上記センサを利用する接触防止装置は故障の原因となり易い。
【0008】
さらに、ゴム系の緩衝体を重機側面に固定する接触防止装置も公知であり、例えば、実開平4−33759号公報には、パワーショベル等の上部旋回体の旋回中心からカウンタウェイトに至る長さを半径とするパイプ状のバンパーを該カウンタウェイトに沿って延設したセフティ旋回バンパーが開示されている。
しかしながら、これらの緩衝体や旋回バンパーは、作業員が旋回重機に接触した時の衝撃を緩和することはできても、作業員が重機と構造物との間に挟まれる事故を防止することはできない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、作業員が重機と構造物との間に挟まれる事故に対して有効であって、簡易な構造で故障の少ない旋回重機の接触防止装置を提供することを発明の解決課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る旋回重機の接触防止装置は、旋回重機を構成する上部旋回体の外周部において、オペレータの死角となる外周部から作業員のための退避距離分、略水平方向に柔軟体を突設したことを特徴とするものである。
【0011】
前記柔軟体は、前記上部旋回体の外周部に磁石または吸盤等により着脱自在とすることが好ましい。
前記柔軟体は、合成繊維製の繊毛からなるものであることが好ましい。
【0012】
前記柔軟体は、前記上部旋回体の外周部に沿って離間して配置される発泡樹脂製のバーと、該バーを先端部で支持し基端部が前記上部旋回体の外周部に着脱自在に取り付けられたコイルばねとからなるものであることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、本発明に係る接触防止装置20を取り付けた旋回重機10の斜視図であり、図2は、その平面図である。図1には、下部走行体11、上部旋回体12およびショベル13などからなるバックホウが旋回重機10として示されているが、本発明ではこの他に、クレーン、ブレーカ等の旋回重機にも適用可能である。符号15はオペレータの運転席である。
接触防止装置20は、上部旋回体12の外周部、特に、オペレータの死角となる後部(カウンタウェイト16)および左右両側部に装備される。
【0015】
図2に示すように、本実施形態の接触防止装置20では、発泡樹脂製のバー22が上部旋回体12の外周部に沿ってほぼ円周状に、外周部から離間して配置される。例えば、バケット容量が0.5m3 クラスのバックホウに適用する場合、重機の最大旋回径Rとなるカウンタウェイト16までの旋回径は約2.5mであり、これに作業員の退避距離として0.5mを加えた旋回径約3.0mを、オペレータの死角となる上部旋回体12の全ての外周部において確保すればよい。即ち、オペレータの死角範囲内において、上部旋回体12の外周部とバー22との離間距離Lを調整することにより、重機の旋回エリア内に作業員が立ち入ることを完全に防止することができる。
【0016】
本実施形態においてバー22は3分割され、1本の長さは約4mである。各バー22は4本のサポート30により、上部旋回体12の外周部に着脱自在に取り付けられている。なお、バー22には、目立つように虎縞模様のテープを巻くことが好ましい。バー22は所定の強度と柔軟性を有し、軽量な点から発泡樹脂製とすることが好ましいが、塩化ビニル等の合成樹脂製としてもよい。また、バー形状の他、プレート形状やパイプ形状としてもよい。
【0017】
図3はサポート30の詳細を示しており、平面図である図3(a)において、先端部にバー22の支持部31を有するコイルばね32の基端部33は、断面がコ字状のブラケット34を介して、スプリングヒンジ35にボルト止めされ、このスプリングヒンジ35がベース36にボルト止めされている。コイルばね32の弾発力は、構成される接触防止装置20に適度の柔軟性を付与する程度のものとし、具体的には、バー22を水平に支持することができるとともに、接触防止装置20に接触した作業員や構造物を損傷することがないものとすることが必要である。
【0018】
スプリングヒンジ35は、軸部37、37に図示してないスプリングを内蔵しており、開いたヒンジ35は自動的に閉まる(原位置に復帰する)ようになっている。図3(a)に示すスプリングヒンジ35は、ヒンジ35を構成する3枚のプレートが軸部37、37で交互に折り曲げられているので、コイルばね32に対する剪断方向からの力を、ヒンジ35の開閉動作によって吸収することができ、ヒンジ35に連結されたコイルばね32を保護することができる。図4は、コイルばね32に剪断力が作用したときのスプリングヒンジ35の開閉動作を示している。なお、ヒンジ35の開閉方向は、図4に示す水平方向に限らず、垂直方向としてもよい。
【0019】
支持部31は、図3(b)に側面図として示すように、嵌め込み式とし、バー22の着脱操作を容易なものとしている。また、ベース36はゴム製として、吸盤により上部旋回体12の外周部に取り付けるようにしてもよいし、磁石により上部旋回体12の外周部に取り付けるようにしてもよい。
【0020】
上記実施形態では、発泡樹脂製のバー22をコイルばね32で支持した柔軟体40により接触防止装置20を構成している。そこで、旋回重機10の運転作業前に接触防止装置20を取り付けることにより、上部旋回体12の外周部に侵入禁止区域が形成されることになる。そして、上部旋回体12が旋回して作業員に接近した場合には、先ずバー22が作業員に接近して来るので、作業員は上部旋回体12の接近を感知してこれを避けることができる。
【0021】
また、不注意等の理由により作業員がバー22の接近を感知しなかった場合においても、先ず、バー22が作業員の身体に接触して作業員を危険区域外に追いやるので、上部旋回体12に接触することがない。
即ち、本発明によれば、作業員は上部旋回体12の周辺の危険区域に侵入することがない。
【0022】
前記柔軟体40からなる接触防止装置20は、仮に作業員に接触したとしても当該作業員を傷付けることがなく、また、周辺の構造物に接触したとしても柔軟体40が緩衝材として機能するので、上部旋回体12と構造物のいずれをも損傷することがない。
【0023】
次に、本発明に係る他の好適な実施形態を説明する。図5(a)は、接触防止装置20が取り付けられた旋回重機10の側面図であり、同図において、図1と同じ部材には図1と同一符号を付して説明を省略する。
【0024】
上部旋回体12の後部および左右側部の外周面には、柔軟体40からなる接触防止装置20が装備されている。柔軟体40は、図5(b)に拡大して示すように、合成繊維製の無数の繊毛41からなり、繊毛41の長さは、作業員のための退避距離が確保できる長さとすればよい。なお、図示したように、繊毛41の先端部には、作業員保護の目的で保護球41aを設けると良い。
【0025】
続いて、図6を参照しながら、柔軟体40の変形例を説明する。
【0026】
図6(a)に示す柔軟体40は、可撓性の帯板42の両端部にベース36、36をピン接合したものであり、このベース36、36を上部旋回体12の外周面に取り付けて使用する。
また、図6(b)に示す柔軟体40は、ベース36に可撓性の帯板42の基端部をピン接合し、自由端部を水平方向に突出したものである。
【0027】
図6(c)〜(e)に示す柔軟体40は、ベース36上に柔軟な材質からなるコーン43、バー44、ボール45を、それぞれ固定したものである。
【0028】
図6(f)、(g)に示す柔軟体40は、図6(a)に示す柔軟体40の変形例であり、上部旋回体12の外周部からの離間距離Lを調節可能としたものである。
【0029】
【発明の効果】
請求項1または2記載の発明によれば、旋回重機の外周部に作業員の侵入禁止区域を形成するので、作業員が重機と構造物との間に挟まれる事故を未然に防止することができる。また、センサー等を使用していないため、構造がシンプルで、故障がなく、動作が確実である。更に、種々の形状の重機に対して、最適な離間距離Lを設定することができる。また、旋回重機の走行および作業に対する機動性を阻害することがない。前記柔軟体は柔軟性および耐衝撃性に特に優れており、耐久性と動作信頼性が高い。
【0031】
請求項3記載の発明によれば、構造が極めてシンプルであることから、安価でメンテナンスの必要もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る接触防止装置を取り付けた旋回重機の斜視図である。
【図2】図1に示す接触防止装置を取り付けた旋回重機の平面図である。
【図3】図3(a)は、サポート30の平面図であり、図3(b)は、その先端部の側面図である。
【図4】コイルばね32に剪断力が作用したときのスプリングヒンジ35の開閉動作を示す説明図である。
【図5】本発明に係る接触防止装置の他の実施形態を示しており、図5(a)は、同装置が取り付けられた旋回重機の側面図であり、図5(b)は、柔軟体40の拡大側面図である。
【図6】柔軟体の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 旋回重機
12 上部旋回体
20 接触防止装置
22 発泡樹脂製のバー
30 サポート
32 コイルばね
35 スプリングヒンジ
40 柔軟体
41 合成繊維の繊毛
Claims (3)
- 旋回重機を構成する上部旋回体の外周部において、オペレータの死角となる外周部から作業員のための退避距離分、略水平方向に柔軟体を突設させた接触防止装置であって、前記柔軟体が、前記上部旋回体の外周部に沿って離間して配置される発泡樹脂製のバーと、上部旋回体の外周部に着脱自在に取り付けられて前記バーを支持するサポートとからなり、該サポートが、前記バーを先端部で支持するコイルばねと、該コイルばねの基端部が断面コ字状のブラケットを介して接続されたスプリングヒンジとからなる旋回重機の接触防止装置。
- 前記スプリングヒンジが3枚のプレートを軸部を介して交互に折り曲げて構成したものである請求項1記載の接触防止装置。
- 旋回重機を構成する上部旋回体の外周部において、オペレータの死角となる外周部から作業員のための退避距離分、略水平方向に柔軟体を突設させた旋回重機の接触防止装置であって、前記柔軟体が先端部に保護球を形成した合成繊維製の繊毛からなる接触防止装置。
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1996
- 1996-10-08 JP JP28613596A patent/JP3669535B2/ja not_active Expired - Fee Related
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