JP3669284B2 - インクカートリッジ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられるインクカートリッジに関し、特に、光学的手段を用いてインク残量を検出する場合に、その検出精度を向上させることができるインクカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリンタ等に用いられるインクカートリッジには、インクの有無を光学的手段により検出することができるように構成されているものがある。この種のインクカートリッジでは、一般に、光透過性を有するケース内にインクが貯留されており、そのケース内へ光源から光を入射し、その反射光の光量がインクの有無の状態に応じて変化することを利用してインクの有無を検出するのである。
【0003】
図14(a),(b)は、上記したインクの有無検出の原理を説明するためのインクカートリッジの断面図である。インクカートリッジ200は、光透過性を有する材料(例えば、ポリプロピレン等の樹脂材料)を用いて成型されており、インク201を含浸可能なフォーム(多孔質体)202が収納される主貯留室203と、インク検出器204からの光が入射される副貯留室205とを備えている。インク201は、これら各貯留室203,205内に貯留されている。インクカートリッジ200の下方には、インク供給孔206を介してインクジェットヘッド207が連結されており、このインクジェットヘッド207からインク201が印字媒体へ吐出され印字画像が得られる。
【0004】
インクカートリッジ200は、まず、主貯留室203内のインク201が消費され(図14(a)参照)、その主貯留室203内のインク201がすべて消費された後に、副貯留室205内のインク201が消費されるように構成されている(図14(b)参照)。一方、インク検出器204は、赤外光をインクカートリッジ200へ向けて照射する発光素子204aと、その反射光を受光する受光素子204bとを備えており、副貯留室205へ向けて赤外光を照射可能に配設されている。
【0005】
インクカートリッジ200内にインク201が充分ある場合には、図14(a)に示すように、インク検出器204の発光素子204aから照射された赤外光は(光路a1)、インクカートリッジ200の材質の屈折率とインク201の屈折率とが非常に近いため、インク201を透過しつつ光路a2に示す方向へインクカートリッジ200内を進行する。そのため、赤外光はインク201に吸収され、インクカートリッジ200内からインク検出器204の受光素子204bへ向かう反射光の光量は小さいものとなる。これに対して、インクカートリッジ200の副貯留室205内にインク201が存在しない場合には、図14(b)に示すように、インク検出器204の発光素子204aから照射された赤外光は(光路b1)、インクカートリッジ200の材質の屈折率と空気208の屈折率とが異なるため、副貯留室205の外壁内面と空気208との界面で反射する(光路b2)。そのため、インクカートリッジ200内からインク検出器204の受光素子204bへ向かう反射光の光量は大きなものとなる。
【0006】
このように、インクカートリッジ200内から反射する反射光は、インクの有無に応じてその光量が変化するので、かかる光量の差をインク検出器204の受光素子204bを用いて検出することによって、インクカートリッジ200内に貯留されるインクの有無を検出することができるのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のインクカートリッジ200の主貯留室203には、インク漏れを防止するため赤外光の光路上にフォーム202が収納されている。赤外光の透過率が大きなイエローインク・マゼンタインク等の薄色インクが貯留されている場合、赤外光はインク201に吸収され難くフォーム202で反射して、インク検出器204の受光素子204bが受光する反射光の光量が大きくなってしまう(図14(a)の光路a3)。そのため、インクカートリッジ200内にインク201が貯留されている場合と貯留されていない場合とでの反射光の光量差が小さくなってしまい、インクの有無を誤検知してしまうという問題点があった。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、光学的手段を用いてインクの有無を検出する場合に、その検出精度を向上させることができるインクカートリッジを提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1記載のインクカートリッジは、インクを貯留可能なインク貯留室を備え、そのインクを用いて画像を形成する画像形成装置に着脱自在に装着されるものであり、前記インク貯留室の外壁面には、光が透過可能な光透過性を有するインク検出窓が設けられており、前記インク貯留室の内部を袋状に区画してインクと隔離された内部空間を形成する区画壁が前記インク検出窓と所定間隔を隔てて配設されており、その袋状に形成された区画壁の内部空間内には、前記インク検出窓を透過した光を吸収する光吸収部材が配設されている。
【0010】
この請求項1記載のインクカートリッジによれば、画像形成装置に装着されることにより、インク貯留室に貯留されるインクが画像形成装置へ供給される。
【0011】
インク貯留室の外壁面に設けられるインク検出窓は、光が透過可能な光透過性を有している。よって、画像形成装置に設けられる発光素子からインク貯留室のインク検出窓へ向けて照射された光は、インク検出窓を透過しつつインク貯留室内へ向けて進行する。ここで、インク検出窓の位置までインク貯留室内にインクが存在しない場合には、発光素子から照射された光はインク検出窓の内側界面で反射し、かかる反射光は画像形成装置に設けられる受光素子へ向けて進行する。
【0012】
一方、インク検出窓の位置までインク貯留室内にインクが存在する場合には、発光素子から照射された光は、インク検出窓を透過した後、更に、インクを透過しつつインク貯留室内を進行し、そのインク貯留室内を袋状に区画する区画壁によって形成されるインクと隔離された内部空間内に配設された光吸収部材に吸収される。
【0013】
請求項2記載のインクカートリッジは、請求項1記載のインクカートリッジにおいて、前記インク貯留室に収納されインクを含浸可能な多孔質体を備え、前記光吸収部材は、前記インク検出窓から前記インク貯留室内へ透過した光が前記多孔質体へ向かう光路上に設けられている。
【0014】
請求項2記載のインクカートリッジによれば、請求項1記載のインクカートリッジと同様に作用する上、インク検出窓からインク貯留室内へ透過した光が多孔質体へ向かう光路上には袋状に形成された区画壁の内部空間内に配設された光吸収部材が設けられている。よって、画像形成装置に設けられる発光素子からインク検出窓へ照射されインク貯留室内へ透過した光は、多孔質体に到達する前に光吸収部材により吸収される。
【0015】
請求項3記載のインクカートリッジは、請求項2記載のインクカートリッジにおいて、前記区画壁は、更に、前記インク貯留室の内部を、前記インク検出窓を有する副貯留室と、前記多孔質体を収納する主貯留室とに区画し、前記区画壁のうち前記インク貯留室の内部を袋状に区画する部分は、前記インク検出窓から透過した光が前記多孔質体へ向かう光路上に設けられている。
【0016】
請求項3記載のインクカートリッジによれば、請求項2記載のインクカートリッジと同様に作用する上、インク検出窓から透過した光が多孔質体へ向かう光路上には区画壁によって内部空間が形成され、その内部空間内には光吸収部材が配設されている。よって、画像形成装置に設けられる発光素子からインク検出窓へ照射されインク貯留室内へ透過した光は、多孔質体に到達する前に光吸収部材により吸収される。
【0017】
請求項4記載のインクカートリッジは、請求項1から3のいずれかに記載のインクカートリッジにおいて、前記インク検出窓は、前記インクとの界面側に複数のプリズムを備え、そのプリズムは前記インクの残留を防止する方向に形成されている。
【0018】
【0019】
請求項5記載のインクカートリッジは、請求項1から4のいずれかに記載のインクカートリッジにおいて、前記インク検出窓と前記光吸収部材とは、その対向面が相手の対向面に対して所定の角度を有するように配置されている。
【0020】
【0021】
請求項6記載のインクカートリッジは、請求項1から5のいずれかに記載のインクカートリッジにおいて、前記光吸収部材は、赤外光吸収性を有するものである。
【0022】
【0023】
請求項7記載のインクカートリッジは、請求項6に記載のインクカートリッジにおいて、前記光吸収部材は、光波長700nm〜900nmの赤外光の吸収率が90%以上であるフィルター特性を有するものである。
【0024】
請求項8記載のインクカートリッジは、請求項1から7のいずれかに記載のインクカートリッジにおいて、前記区画壁によって区画された内部空間には、前記光吸収部材として赤外光吸収性を有する液体が充填されている。
【0025】
【0026】
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施例について、図面を参照しつつ説明する。尚、本実施例では画像形成装置として、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローのインクをそれぞれ貯溜する4つのインクカートリッジ2を備え、カラー印刷を実行可能なカラーインクジェットプリンタを用いて説明する。
【0028】
図1は、本発明の第1実施例におけるカラーインクジェットプリンタ1の本体の概略構成を示す斜視図である。第1実施例のカラーインクジェットプリンタ1は、インクカートリッジ2の被照射面からのノイズ信号(不要な反射光)を低減するべく、インクカートリッジ2の被照射面に非垂直(傾斜角略10度)に光が照射されるよう配設されたインクセンサ19を備え、そのインクセンサ19により検出される反射光量を第1しきい値および第2しきい値と比較して、インクの有無とインクカートリッジ装着の有無を判断すると共に、インクカートリッジ2の検出位置を補正して反射光量を正確に検出することができるように構成されている。
【0029】
このカラーインクジェットプリンタ1は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のカラーインクがそれぞれ充填されるインクカートリッジ2と、記録用紙等の記録媒体Pに印字するための印字ヘッド3を備えるヘッドユニット4と、インクカートリッジ2およびヘッドユニット4が搭載されるキャリッジ5と、このキャリッジ5を直線方向に往復移動させる駆動ユニット6と、キャリッジ5の往復移動方向に延び、印字ヘッド3と対向して配置されるプラテンローラ7と、パージ装置8と、インクセンサ19とを備えている。
【0030】
ヘッドユニット4の載置部4a上には3つの仕切り板4c(図2参照)が立設されており、載置部4aの両側に形成された一対のサイドカバー4bとの間で、載置部4aは各仕切り板4cを介して4つのインクカートリッジ2の装着部に区画されている。この装着部に、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクが充填された4つのインクカートリッジ2が装着される。なお、ブラックインクのカートリッジ2aが、他の3色のインクが充填された各インクカートリッジ2に対して大きな容積を有しているのは、ブラックインクの使用頻度が他の色に比べて高いことを考慮したものである。
【0031】
駆動ユニット6は、キャリッジ5の下端部に配置されプラテンローラ7と平行に延びるキャリッジ軸9と、キャリッジ5の上端部に配置されキャリッジ軸9に平行に延びるガイド板10と、そのキャリッジ軸9とガイド板10との間であって、キャリッジ軸9の両端部に配置される2つのプーリ11および12と、これらのプーリ11および12の間に掛け渡されるエンドレスベルト13とからなる。
【0032】
そして、一方のプーリ11が、キャリッジモータ(CRモータ)101の駆動により正逆回転されると、そのプーリ11の正逆回転に伴って、エンドレスベルト13に接合されているキャリッジ5が、キャリッジ軸9およびガイド板10に沿って、直線方向に往復移動される。
【0033】
記録媒体Pは、カラーインクジェットプリンタ1の側方あるいは下方に設けられた給紙カセット(図示せず)から給紙され、印字ヘッド3と、プラテンローラ7との間に導入されて、印字ヘッド3から吐出されるインクにより所定の印字がなされ、その後、排紙される。なお、図1においては、記録媒体Pの給紙機構および排紙機構の図示を省略している。
【0034】
パージ装置8は、プラテンローラ7の側方に設けられ、ヘッドユニット4がリセット位置にある時に、印字ヘッド3に対向するように配置されている。このパージ装置8は、印字ヘッド3の複数のノズル(図示せず)を覆うように当該ノズルの開口面に対し当接するパージキャップ14と、ポンプ15およびカム16と、インク貯留部17とを備えており、ヘッドユニット4が、リセット位置にある時に、印字ヘッド3のノズルをパージキャップ14で覆い、印字ヘッド3の内部に溜まる気泡などを含んだ不良インクを、カム16の駆動によりポンプ15によって吸引することにより、印字ヘッド3の回復を図るようにしている。なお、吸引された不良インクは、インク貯留部17に貯められる。
【0035】
パージ装置8におけるプラテンローラ7側の位置には、パージ装置8に隣接してワイパ部材20が配設されている。このワイパ部材20は、へら状に形成されており、キャリッジ5の移動に伴って、印字ヘッド3のノズル形成面を拭うものである。キャップ18は、インクの乾燥を防止するため、印字が終了するとリセット位置に戻される印字ヘッド3の複数のノズルを覆うものである。
【0036】
インクセンサ19は、インクカートリッジ2の有無やインクカートリッジ2内のインクの有無を検出するためのセンサである。駆動ユニット6の端部付近(図1の左側)に設けられ、赤外光発光素子19a(図5参照)と赤外光受光素子19b(図5参照)とを備えている。赤外光発光素子19aの光照射面と赤外光受光素子19bの光受光面とは、インクカートリッジ2の略20度で傾斜する傾斜部51a(図4参照)と同様な角度で傾斜し、且つ、インクカートリッジ2の傾斜部に対して、水平方向に略10度の角度で斜めに配置されている(図5参照)。赤外光発光素子19aからインクカートリッジ2に対して照射された光は、反射光として赤外光受光素子19bにより受光される。その受光した反射光の多少により、インクカートリッジ2の有無やインクカートリッジ2内のインクの有無が検出されるのである。
【0037】
次に、図2を参照して、ヘッドユニット4に装着される各インクカートリッジ2の固定構造について説明する。図2は、インクカートリッジ2がヘッドユニット4に装着された状態を示す側面図であり、ヘッドユニット4とインクカートリッジ2の一部を断面視している。なお、図中の2点鎖線は、固定アーム21が上方へ跳ね上げられた状態を示している。
【0038】
ヘッドユニット4は、上記したように、インクカートリッジ2を着脱自在に装着し印字ヘッド3へインクを供給するための部材であり、主に、載置部4aと、固定アーム21とを備えている。載置部4aは、インクカートリッジ2が載置される部位であり、略平坦面状に形成されている。この載置部4aは、3枚の仕切り板4cによって4つの空間に仕切られており、各インクカートリッジ2は、その各仕切板4c間に装着されている。
【0039】
載置部4aには、印字ヘッド3と連通するインク供給通路22が貫通形成されており、このインク供給通路22は、Oリング23によってシールされつつインクカートリッジ2のインク供給口50と連通されている。かかる連通によって、インクカートリッジ2から印字ヘッド3へインクが供給される。また、インク供給通路22の側方(図2の左側)には、嵌合凸部24が載置部4aに突設されている。この嵌合凸部24は、インクカートリッジ2の位置決めをするための部材であり、詳細については後述する。
【0040】
なお、ヘッドユニット4における嵌合凸部24の後方(図2の左側)には、インクカートリッジ2の上下方向(図2の上下方向)の移動を規制するための突起4fが形成されている。
【0041】
固定アーム21は、インクカートリッジ2を図2の下方方向へ押圧し固定するための部材であり、ヘッドユニット4の上方(図2の上側)に揺動可能に軸支されている。固定アーム21は、一端側(図2の左側)が揺動軸25により揺動自在に軸支されており、その揺動軸25の外周には、補助ばね部材26が巻回されている。補助ばね部材26は、その一端がヘッドユニット4のばね係止部4dに係止されるとともに、固定アーム21へ付勢力を作用させた状態で、その他端が固定アーム21に固定されている。そのため、固定アーム21は、補助ばね部材26の付勢力によって上方(図2の上側)へ跳ね上げられた状態に維持されるので(図における二点鎖線)、ヘッドユニット4のインクカートリッジ2装着部を大きく開放することができ、インクカートリッジ2の着脱作業時における操作者の作業性を向上させることができる。
【0042】
固定アーム21の端部(図2の左側)には、側面視三角形状に突設されるストッパ部27が形成されている。このストッパ部27は、固定アーム21をインクカートリッジ固定状態に維持するための部位である。固定アーム21には揺動軸25が案内される長穴21aが形成されており、その長穴21aは、上部カバー4eからストッパ部27がはずれるのに必要な長さを有している。固定アーム21に形成された突起21bを押すと、固定アーム21は長穴21aによって図2の下方へ移動し、上部カバー4eとストッパ部27との係合が解除されて開放される。また、インクカートリッジ2を固定する際は、図2における2点鎖線の状態にある固定アーム21の先端部21cを押し下げると、固定アーム21が揺動軸25のまわりに下方に回動し始め、後述する押圧部28と、上壁56とが接した後は、固定アーム21がその接点を中心として補助ばね部材26にさからって回転する。ストッパ部27が上部カバー4eの下方位置から上部カバー4eの端部4gよりも右側に移動すると、固定アーム21は、押圧部28と上壁56との接点を中心として回転しているため、固定アーム21に形成された長穴21aにより揺動軸25に対して図2の上方へ移動して、上部カバー4eの端部4gにストッパ部27が係止される。よって、後述する押圧部28および係止爪29によりインクカートリッジ2が押圧された状態を維持することができるのである。
【0043】
固定アーム21の下面側(図2の下側)には、押圧部28が配設されている。この押圧部28は、インクカートリッジ2を下方(図2の下側)へ押圧するための部材であり、押圧部28の内部には、弾性的に圧縮された状態で圧縮ばね(図示せず)が配設されている。押圧部28は、前進後退可能に形成されており、通常は圧縮ばねにより前進した状態に保持されている。上記したように、固定アーム21がインクカートリッジ2側に揺動されると、押圧部28は、インクカートリッジ2の上壁56と当接し後方へ後退する。よって、押圧部28は、固定用のストッパ部27と圧縮ばねとにより付勢力をインクカートリッジ2へ作用させることができ、かかるインクカートリッジ2を下方(図2の下側)へ押圧することができるのである。
【0044】
また、押圧部28の側方(図2の左側)には、係止爪29が固定アーム21の下面側に固着されている。この係止爪29は、インクカートリッジ2を位置決めをするための部材であり、図2に示すように、後述する第2嵌合凹部57の立設壁部と係止爪29とは当接しているが、第2嵌合凹部57の底部と係止爪29とは隙間を設けている。位置決めの詳細については後述する。
【0045】
次に、図3を参照してインクカートリッジ2の内部構造について説明する。図3(a)は、インクカートリッジ2の側断面図であり、図3(b)は、図3(a)のIIIb−IIIb線における部分断面図であり、図3(c)は、インクカートリッジ2の底部の斜視図である。なお、図3(a)では、インクカートリッジ2内にインクが貯留されていない状態を図示している。
【0046】
インクカートリッジ2は、図3(a)に示すように、略中空状の箱状体に形成されており、そのインクカートリッジ2の内部は、区画壁41,42によって、大気導入室43、主インク貯留室44、副インク貯留室45に区画されている。大気導入室43は、後述する主インク貯留室44内へ大気を導入するための空間であり、インクカートリッジ2の底壁46に貫通形成された大気連通口47を介して大気と連通されている。一方、大気導入室43の上方(図3(a)の上側)は主インク貯留室44と連通されており、かかる連通部から主インク貯留室44へ大気が導入される。
【0047】
主インク貯留室44は、インクを貯留しておくために実質的に密閉された空間であり、インクを含浸可能なフォーム(多孔質体)48が収納されている。主インク貯留室44の下方(図3(a)の下側)には、インク連通口49が区画壁42に貫通形成されており、主インク貯留室44は、かかるインク連通口49を介して後述する副インク貯留室45と連通されている。また、フォーム48は、毛管現象を利用してその内部にインクを保持可能なスポンジ、繊維材料等から構成されており、圧縮状態で主インク貯留室44内に収納されている。よって、例えば、インクカートリッジ2が転倒した際、主インク貯留室44から大気導入室43へインクが流出し、その流出したインクが大気連通口47からインクカートリッジ2の外へ漏出してしまうことを防止することができる。
【0048】
副インク貯留室45は、インクを貯留しておくとともに赤外光がインクセンサ19(図4参照)から照射される部位であり、インクカートリッジ2の側端部に実質的に密閉された空間として形成されている。副インク貯留室45は、上記したインク連通口49を介して主インク貯留室44と連通されており、その主インク貯留室44および副インク貯留室45に貯留されるインクは、インクカートリッジ2の底壁46に貫通形成されたインク供給口50を介して印字ヘッド3(図2参照)へ供給される。
【0049】
副インク貯留室45の側壁51には、主インク貯留室44へ向かって下降傾斜する傾斜部51aが形成されており、その傾斜部51aの内面側(主インク貯留室44側、図3(a)の左側)には、プリズム52が形成されている。
【0050】
プリズム52は、インクカートリッジ2内に貯留されるインクの有無の検出のために用いられる部材であり、透明な光透過性材料を材質として成形される側壁51の傾斜部51aに一体的に形成されている。なお、光透過性材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリアミド、メタクリル、メチルペンテンポリマー、ガラス等を使用することができる。また、上記した透明とは、光学的に完全な透明であるという意味ではなく、いわゆる半透明をも含む意味である。
【0051】
プリズム52は、図3(b)に示すように、山と谷とを交互に配設することにより形成される複数の反射面を備えている。この複数の反射面は、傾斜部51aの縦方向一端側(図3(a)の上側)から他端側(図3(a)の下側)に向けて下降傾斜しつつ、インクカートリッジ2の厚さ方向(図3(a)の紙面垂直方向)に列設されている。そのため、インクは、そのプリズム52上を流下することができるので、プリズム52上にインクが残留してしまい、かかるプリズム52から所望の反射光が得られなくなることを防止することができる。
【0052】
このように、プリズム52を傾斜部51aの内面側(インク界面側、図3(b)の左側)へ設けることによって、傾斜部51aに対峙する方向から非垂直(本実施例では、傾斜角略10度)に赤外光をインクセンサ19から照射することができるようになる(図5(c)参照)。その結果、傾斜面51aの外表面で反射するインクの有無検出とは関係のない反射光を赤外光受光素子19bが検出してしまうことを防止することができるので、インクの有無検出に必要なプリズム52からの反射光を主に受光することととなり、インクの有無検出の精度が向上するのである。
【0053】
また、インクセンサ19の赤外光発光素子19aから傾斜部51aに向かって照射される赤外光は、一般に、所定のビーム角(±10度前後)を有している。そのため、赤外光は光束が広がってしまい、傾斜部51aに照射される単位面積当たりの光量が低下してしまう。そこで、傾斜部51aに複数の反射面を有するプリズム52を傾斜部51aのほぼ全域にわたって配設することにより、照射された赤外光を効率良く反射させることができ、インクセンサ2の赤外光受光素子19bへ充分な反射光を受光させることができるのである。なお、本実施例におけるプリズム52では、図3(b)に示すように、各反射面が交差する稜線部の交差角度は略90度とされており、16面の反射面が形成されている。
【0054】
副インク貯留室45の上方には、上記したプリズム52と所定間隔を隔てつつ対峙する反射部材53が形成されている。この反射部材53は、副インク貯留室45内へ透過した赤外光の光路を変更するための部材であり、プリズム52と所定角度を有しつつその内部空間に空気層を有する袋状に形成されている。
【0055】
このように構成されたインクカートリッジ2によれば、印字ヘッド3によってインクが消費されると、消費されたインク量に応じて大気導入室43から空気が主インク貯留室44内へ導入され、主インク貯留室44内のインク液面が低下する(図4(a)参照)。更にインクが消費され、主インク貯留室44内のインクが無くなった場合には、副インク貯留室45内のインクが印字ヘッド3へ供給される。このとき、副インク貯留室45内は減圧されるが、大気導入室43から主インク貯留室44を経由した空気がインク連通口49を介して副インク貯留室45内へ導入され、副インク貯留室45内の減圧が緩和されるとともにインク液面が低下する(図4(b)参照)。
【0056】
よって、インクカートリッジ2は、まず、主インク貯留室44内のインクが消費され、その主インク貯留室44内のインクがすべて消費された後に、副インク貯留室45内のインクが消費されるように構成されている。従って、インクセンサ19により副インク貯留室45内のインクの有無を検知することにより、インクカートリッジ2全体としてのインクの有無を知ることができるのである。
【0057】
また、インクカートリッジ2の底壁46には、第1嵌合凹部55が凹設されている。この第1嵌合凹部55は、ヘッドユニット4の載置部4aに突設される嵌合凸部24(図2参照)と嵌合しインクカートリッジ2を位置決めするための部材であり、底壁46のインク供給口50と反対側(図3(a)の左側)の端部に凹設されている。また、この第1嵌合凹部55は、図3(c)に示すように、インクカートリッジ2の厚さ方向(図3(a)の紙面垂直方向)略中央に配設されている。ここで、インクカートリッジ2のインク供給口50とヘッドユニット4のインク供給通路22とには、その外周に円環状の溝が凹設されており、かかる円環状の溝に配設されるOリング23を介して連結されている(図2参照)。この連結だけでは、キャリッジ5が移動する時に慣性によってインクカートリッジ2がインク供給口50(Oリング23)を中心として回転してしまい正確に位置決めすることができない。そこで、上記のように、ヘッドユニット4の嵌合凸部24と嵌合可能な第1嵌合凹部55を底壁46に設けることにより(図3(c)参照)、インクカートリッジ2が回転してしまうことを防止しつつインクカートリッジ2の位置決めをすることができる。その結果、インクカートリッジ2をヘッドユニット4へ正確に固定することができるのである。
【0058】
一方、インクカートリッジ2の上壁56には、第2嵌合凹部57が凹設されている。この第2嵌合凹部57は、インクカートリッジ2をヘッドユニット4へ固定する場合にヘッドユニット4の固定アーム21に形成される係止爪29(図2参照)と嵌合する部位である。第2嵌合凹部57は、インクカートリッジ2がその幅方向(図3(a)の左右方向)へ横ズレすることを防止するととともに、インクカートリッジ2の浮き上がりを防止するためのものであり、インクカートリッジ2の幅方向(図3(a)の左右方向)略中央、即ち、底壁46に形成されるインク供給口50と第1嵌合凹部55とのインクカートリッジ2幅方向の略中央に相当する位置に凹設されている。そのため、インクカートリッジ2は、第2嵌合凹部57と、インク供給口50と、第1嵌合凹部55との3点によりバランス良く支持されることとなる。よって、インクカートリッジ2が一方へ傾いた状態で浮き上がり、がたついてしまうことを防止することができるので、インクカートリッジ2をヘッドユニット4へ安定した状態で強固に固定することができるのである。
【0059】
また、第2嵌合凹部57の両側(図3(a)の紙面手前および奥側)には、所定間隔を隔てつつ対向する一対の側壁板58,58が設けられている。この側壁板58,58は、インクカートリッジ2の横ズレを防止するためのものであり、その対向面はインクカートリッジ2の厚さ方向(図3(a)の紙面垂直方向)を向いて対向されている。また、その対向面間の間隔は、第2嵌合凹部57に嵌合される固定アーム21の係止爪29(図2参照)とほぼ同等の幅に形成されている。よって、固定アーム21の係止爪29が第2嵌合凹部57に嵌合されると、側壁板58,58によって、インクカートリッジ2はその厚さ方向(図3(a)の紙面垂直方向)へ移動(横ズレ)することが防止される。
【0060】
ここで、ヘッドユニット4は、上記したように、インクカートリッジ2の厚さ方向(図3(a)の紙面垂直方向)に往復移動しつつ印字を行うが(図1参照)、その印字中のヘッドユニット4は、印字速度を向上させるために急激な加減速を繰り返しつつ往復移動する。そのため、インクカートリッジ2がヘッドユニット4の移動方向に横ズレする場合には、その横ズレに起因してヘッドユニット4自体に振動が発生し、印字品質に悪影響を及ぼしてしまう。しかし、上記した側壁板58,58によって、インクカートリッジ2は、ヘッドユニット4の移動方向への横ズレ(がたつき)が防止されているので、ヘッドユニット4は振動することなくスムーズに往復移動でき、その結果、良好な印字品質を得ることができるのである。
【0061】
なお、インクカートリッジ2の側方(図2の左側)には、一対のリブ61,61が設けられており、このリブ61,61は、上記した側壁58,58と同様に所定間隔を隔てつつ対向して形成されている。一方、ヘッドユニット4には、そのリブ61,61と対応する位置に係止凸部4h(図2参照)が突設されており、インクカートリッジ2がヘッドユニット4に装着された場合には、リブ61,61の対向面間に係止凸部4hが嵌合される(図2参照)。そのため、インクカートリッジ2は、この一対のリブ61,61によっても印字時の横ズレ(がたつき)が防止されるのである。
【0062】
上壁56は、第2嵌合凹部57の一側(図3(a)の左側)に配設される第1上壁56aと他側(図3(a)の右側)に配設される第2上壁56bとを備えており、第1上壁56aは、底壁46からの高さが第2上壁56bよりも低く形成されている。一方、第2上壁56bの反第1上壁56a側には、取手部59が配設されている。取手部59は、インクカートリッジ2をヘッドユニット4へ装着する際に操作者が把持するための部位であり、把持し易いように上方(図3(a)の上側)へ突設して形成されている。よって、インクカートリッジ2の交換時等、インクカートリッジ2を一個だけヘッドユニット4から取り外す場合には、取手部59を把持することにより隣接する他のインクカートリッジ2が邪魔になることなく取り外すことができる。一方、インクカートリッジ2を装着する場合には、取手部59を把持してインクカートリッジ2を保持することにより狭いスペースへ容易に装着することができる。
【0063】
また、インクカートリッジ2をヘッドユニット4へ装着する場合には、インクカートリッジ2は、第1上壁56a側からヘッドユニット4の所定箇所へ装入されるが、その第1上壁56aは、上記したように、底壁46からの高さが低く形成されている。そのため、第1上壁56aと上方へ跳ね上げられた固定アーム21の軸支部近傍(反ストッパ部27側)とが干渉することを防止できるので、インクカートリッジ2をヘッドユニット4へ引っ掛けることなく容易に装着することができるのである(図2参照)。
【0064】
また、上壁56全体を薄くしないのは、押圧部28の押圧に耐える剛性を維持するためである。
【0065】
なお、第1上壁56aの側方(図3の右側)には、第1凸部62が上方(図3の上側)へ突設されており、上記した第2嵌合凹部57は、その第1凸部62によって一方の側壁が形成されている。そのため、固定アーム21の係止爪29が第2嵌合凹部57に嵌合されると、第1凸部62によって、インクカートリッジ2はその幅方向(図3(a)の右方向)へ移動(横ズレ)することが防止され、かつインクカートリッジ2の浮き上がりも防止することができる。
【0066】
次に、図4(a),(b)において、インク有無検出の原理を説明する。図4(a),(b)は、インクカートリッジ2とインクセンサ19との側面図であり、インクカートリッジ2の一部を断面視している。なお、図4(a),(b)では、ヘッドユニット4、インクセンサ19の取り付け部材等を省略して模式的に図示している。
【0067】
インクカートリッジ2内にインク71が充分ある場合には、図4(a)に示すように、インクセンサ19の赤外光発光素子19aから照射された赤外光は(光路X)、インクカートリッジ2の材質の屈折率とインク71の屈折率とが非常に近いため、インク71を透過しつつインクカートリッジ2内を進行する。そして、副インク貯留室45内に配設されている反射部材53へ到達する。反射部材53に到達した赤外光は、反射部材53の材質の屈折率と空気72の屈折率とが異なるため、反射部材53内面と空気72との界面で反射する(光路Y)。
【0068】
ここで、インクカートリッジ2の傾斜部51aは反射部材53に対して略20度で傾斜しているので、反射部材53に到達した赤外光の入射角度は傾斜部51aへの入射角度とは異なるものである。従って、反射部材53によって反射される反射光(光路Y)は、入射光とは異なる角度で反射される。よって、反射光(赤外光)はインクセンサ19の赤外光受光素子19bへは向かわず、赤外光受光素子19bへ向かう反射光の光量は小さいものとなる。
【0069】
これに対して、インクカートリッジ2の副インク貯留室45内にインク71が存在しない場合には、図4(b)に示すように、インクセンサ19の赤外光発光素子19aから照射された赤外光は(光路X)、インクカートリッジ2の材質の屈折率と空気の屈折率とが異なるため、副インク貯留室45の外壁内面と空気との界面で反射する(光路Y)。そのため、インクカートリッジ2内からインクセンサ19の赤外光受光素子19bへ向かう反射光の光量は大きなものとなる。
【0070】
このように、インクカートリッジ2内から反射する反射光(光路Y)は、インク有無に応じてその光量が変化するので、かかる光量の差をインクセンサ19の赤外光受光素子19bを用いて検出することによって、インクカートリッジ2内に貯留されるインク有無を検出することができるのである。
【0071】
また、傾斜部51a及び反射部材53は、副インク貯留室45の上方に配設されているので、副インク貯留室45の上方にインク71が存在しなくなった時点、即ちインクカートリッジ2内にインク71が全て存在しなくなる前に、予めインクが無いことを判断できるのである。
【0072】
また、本実施例においては、傾斜部51aの傾きを略20度としているが、かかる角度に限定されるものではなく、略15度から略25度の範囲であれば良い。即ち、略15度以上にすることにより、反射部材53からの反射光が赤外光受光素子19bに戻るのを抑制でき、略25度以下にすることにより、インクが傾斜部51aへ常時貯留されるのを抑制できる。
【0073】
次に、インクセンサ19を赤外光の被照射面であるインクカートリッジ2の傾斜部51a(図3参照)に対して、水平方向に略10度の角度で斜めに配置した理由を図5を参照して説明する。図5は、インクカートリッジ2とインクセンサ19とを表した上面図である。尚、ヘッドユニット4に搭載された各インクカートリッジ2a〜2dは、矢印W方向に往復搬送される。
【0074】
まず、インクセンサ19を傾斜部51aに対して垂直に配設した場合(図5(a)参照)には、赤外光発光素子19aから照射される光(光路X)は、光透過性部材によって構成される傾斜部51aを透過する。しかし、傾斜部51aの外側(反インク側)の表面の細かな凹凸により、傾斜部51aを透過するはずの入射光(光路X)が、傾斜部51aの外側の表面により反射される場合がある。そして、その反射光(光路Y)が赤外光受光素子19bにより受光されると、副インク貯留室45内にインク71が存在するにも係わらず、あたかもインク71が存在しないように判断される恐れがあり、本来のインクの有無の検出精度に悪影響を及ぼす原因となっていた。
【0075】
一方、インクセンサ19を傾斜部51aに対して略10度より大きい角度で配設した場合(図5(b)参照)には、例えば、インクカートリッジ2bが存在しない場合であっても、赤外光発光素子19aから照射された光(光路X)は、隣接するインクカートリッジ2cにより反射される場合がある。そして、その反射光(光路Y)が赤外光受光素子19bにより受光されると、インクカートリッジ2bが存在しないにも係わらず、あたかもインクカートリッジ2bが存在するように判断される恐れがあり、インクカートリッジ2bの有無の検出ができない場合がある。
【0076】
そこで、インクセンサ19を傾斜部51aに対して略10度で配設した場合(図5(c)参照)には、赤外光受光素子19bが傾斜しているため、傾斜部51aの外側(反インク側)の表面により反射される光(図5(a)の光路Y参照)を受光するのを抑制できる。従って、インクが存在する場合には図4において説明したように傾斜部51aを透過する光は受光されず、一方、インクがない場合には、傾斜部51aの内側(副インク貯留室45側)と空気との界面からの反射光(光路Y)を赤外光受光素子19bにより受光する。よって、その光量の差により正確にインクの有無を判断できるのである。また、インクカートリッジ2cがない場合であっても、赤外光発光素子19aから照射される光は、隣接するインクカートリッジ2dには照射されないため(光路X1参照)、正確にインクカートリッジ2cの有無を判断することができるのである。
【0077】
なお、本実施例においては傾きを略10度に設定したが、これはインクカートリッジ2の大きさ、各インクカートリッジ2間の隙間の間隔、インクカートリッジ2とインクセンサ19との間隔等の諸要因により定められる角度であるため、傾きを持っていれば良く、かかる角度に限定されるものではない。
【0078】
図6は、カラーインクジェットプリンタ1の電気回路構成の概略を示すブロック図である。カラーインクジェットプリンタ1を制御するための制御装置は、本体側制御基板100と、キャリッジ基板120とを備えており、本体側制御基板100には1チップ構成のマイクロコンピュータ(CPU)91と、そのCPU91により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM92と、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM93と、書換え可能な不揮発性のメモリであるEEPROM94、イメージメモリ95、ゲートアレイ96等が搭載されている。
【0079】
演算装置であるCPU91は、ROM92に予め記憶された制御プログラムに従い、インク有無の検出やインクカートリッジ装着の有無を検出するための制御を実行するものである。また、印字タイミング信号およびリセット信号を生成し、各信号を後述のゲートアレイ96へ転送する。このCPU91には、ユーザが印字の指示などを行うための操作パネル107、キャリッジ5を動作させるキャリッジモータ(CRモータ)101を駆動するためのモータ駆動回路102、記録媒体Pを搬送する搬送モータ(LFモータ)103を動作させるためのモータ駆動回路104、記録媒体(印字用紙)Pの先端を検出するペーパーセンサ105、キャリッジ5の原点位置を検出する原点センサ106、インクセンサ19などが接続されている。接続される各デバイスの動作はこのCPU91により制御される。
【0080】
ROM92には、制御プログラムの一部として、インクセンサ19とインクカートリッジ2の被照射面との位置関係(相対位置)即ち、インクカートリッジ2の検出位置を測定して、その理論値からのずれ(補正値)をキャリブレーションデータとして入力するためのキャリブレーションデータ入力処理(図7参照)、インクカートリッジ2のインクの有無を検出するためのインク検出処理(図8参照)、インクカートリッジ装着の有無を検出するためのインクカートリッジ検出処理(図10参照)のプログラムが記憶されている。各プログラムの詳細については後述する。また、固定値データとして、検出した反射光レベルにおいてインク無しを検定するための第1しきい値や、検出した反射光レベルにおいてインクカートリッジ未装着を検定するための第2しきい値、インクレベル(インクカートリッジ2内のインク残量)がニアエンプティからエンプティとなるまでのインク吐出回数であるエンプティしきい値等を記憶している。
【0081】
RAM93はメンテナンスモードフラグ93aを備えている。メンテナンスモードフラグ93aは、カラーインクジェトプリンタ1の運転モードが、カラーインクジェトプリンタ1の調整を行うためのメンテナンスモードに設定されていることを示すフラグである。メンテナンスモードの設定は操作パネル107に備えられたモードスイッチ107aの操作により設定される。このメンテナンスモードの選択により、メンテナンスモードフラグ93aはオンされる。オンされたメンテナンスモードフラグ93aは、カラーインクジェットプリンタ1の調整終了を示すコマンドが入力されることによりオフされる。上記したキャリブレーションデータ入力処理は、このメンテナンスモードフラグ93aがオンされている場合に実行可能なプログラムとなっており、該フラグ93aオンの状態でのみ補正値を記憶させることができる。
【0082】
EEPROM94はキャリブレーションデータメモリ94aと、第1〜第4カウンタ94b〜94eと、第1〜第4ニアエンプティフラグ94f〜94iを備えている。キャリブレーションデータメモリ94aは、キャリブレーションデータ入力処理により検出された補正値、即ち、インクカートリッジ2の本来の検出位置からの位置ずれをキャリブレーションデータとして記憶しておくためのメモリである。
【0083】
上記したように、本実施例のカラーインクジェットプリンタ1は、インクカートリッジ2の被照射面に対して、インクセンサ19が略10度の角度で傾斜されて設置されている。しかし、センサ19の取り付け時に生じる取り付け角度誤差により、その角度は略10度とならないことが多い。かかる場合には、インクセンサ19とインクカートリッジ2との相対位置が本来の位置とは異なってしまう。つまり、インクカートリッジ2の本来の検出位置から該インクカートリッジ2がずれてしまい、インクセンサ19は本来の検出位置において正確にインクカートリッジ2を検出できないのである。このため、出荷前に実行されるキャリブレーションデータ入力処理により、本来の検出位置と実施の検出位置とのずれを検出し、そのずれ量が補正値として(出荷前に予め)このキャリブレーションデータメモリ94aに書き込まれる。
【0084】
インクカートリッジ2の有無(インクカートリッジ未装着の検定)やインクの有無(インク無しの検定)を検出する際には、このキャリブレーションデータメモリ94aに記憶される補正値が参照され、この補正値に基づいて、反射光量を検出する検出位置(キャリッジ5のポジション)が調節される。これにより、たとえインクセンサ19とインクカートリッジ2の被照射面との位置関係が本来の位置からずれていても、正確にインクカートリッジ2の有無やインクの有無を検出することができる。
【0085】
第1〜第4カウンタ94b〜94eは、印字ヘッド3からのインクの吐出(噴射)回数をカウントアップするためのメモリであり、インクの吐出回数「1」毎に「1」ずつ更新される。インクカートリッジ2には所定量のインクが初期に注入されているが、そのインク量からおおよその最大吐出回数は決まっている。このため、インクの吐出回数をカウントすることでインクのおおよその消費量を知ることができるのである。
【0086】
カラーインクジェットプリンタ1には、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色のインクをそれぞれ貯溜するために4つのインクカートリッジ2が備えられているので、各インクカートリッジ2に対応する4つのカウンタ(第1〜第4カウンタ94b〜94e)が設けられており、各インク毎にカウントされるインクの吐出回数が対応する第1〜第4カウンタ94b〜94eに書き込まれる。そして、この第1〜第4カウンタ94b〜94eに記憶されるカウント値は、インク検出処理により参照され、該カウント値が所定の数となる毎に、実際のインクレベル(インクカートリッジ2内のインク残量)を調査するべく、インクセンサ19によるインク検出(インク検出処理、図8参照)が実行されるのである。
【0087】
尚、印字時のみならず、インクカートリッジ2内の気泡を吸い出すためのパージ処理や、ノズルの目詰まりを解決するためのフラッシング処理においても所定量のインクがインクカートリッジ2から吐出される。かかる処理で消費されるインクについては、印字時の吐出回数の何カウントに相当するかがそれぞれ既知であるので、その相当するカウント数が、先に記憶されているカウント値に加算され、対応する第1〜第4カウンタ94b〜94eカウント値は更新される。
【0088】
第1〜第4ニアエンプティフラグ94f〜94iは、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色のインクをそれぞれ貯溜するための4つのインクカートリッジ2に対応して各1づつ設けられ、該フラグ94f〜94iのオンは、インクのニアエンプティを示すものである。ここでニアエンプティは、インクセンサ19によるインクの検出限界を示すものであり、インクセンサ19によりインク無しと検出された状態を示すものである。
【0089】
図3、図4で説明したように、初期状態で充填されていたインクは主インク貯溜室44から消費され、主インク貯溜室44が空になると副インク貯溜室45のインクが消費される。副インク貯溜室45のインク液面が反射部材53の下部を下回ると、インクセンサ19の赤外光発光素子19aから照射された光が、プリズム52によりインクセンサ19の赤外光受光素子19b方向(光路Y)へ反射されるようになる。これによりインクセンサ19の赤外光受光素子19bに検出される反射光量が大きく変化(増大)する。検出された反射光量は信号としてCPU91に入力されるので、かかる変化がニアエンプティとしてCPU91に認識され、対応するニアエンプティフラグ94f〜94iがオンされる。
【0090】
尚、第1〜第4ニアエンプティフラグ94f〜94iがオンされた(インクセンサ19によりインク無しと検出された)時点において、インクカートリッジ2内のインクは空(エンプティ)ではないので、更にインクエンプティの状態(インク吐出回数がエンプティしきい値に達する)まで印字を続行することができる。
【0091】
本実施例においてはインクエンプティを正確に検出するために、第1〜第4ニアエンプティフラグ94f〜94iがオンされると、対応する第1〜第4カウンタ94b〜94eに記憶されているカウント値0はクリアされ、0からエンプティしきい値までをカウントアップし、インクエンプテイの検出精度を向上させている。尚、オンされた第1〜第4ニアエンプティフラグ94f〜94iは、対応するインクカートリッジ2が、例えば交換などにより、そのインクレベルがインク有りと検出されることによりオフされる(図10参照)。
【0092】
上記したCPU91と、ROM92、RAM93、EEPROM94及びゲートアレイ96とは、アドレスバス98およびデータバス99を介して接続されている。
【0093】
ゲートアレイ96は、CPU91から転送される印字タイミング信号に従い、イメージメモリ95に記憶されている画像データに基づいて、その画像データを記録媒体に印字するための印字データ(駆動信号)と、その印字データと同期する転送クロックCLKと、ラッチ信号と、基本印字波形信号を生成するためのパラメータ信号と、一定周期で出力される噴射タイミング信号JETとを出力し、それら各信号を、ヘッドドライバが実装されたキャリッジ基板120側へ転送する。また、ゲートアレイ96は、コンピュータなどの外部機器からセントロ・インターフェース97を介して転送されてくる画像データを、イメージメモリ95に記憶させる。そして、ゲートアレイ96は、ホストコンピュータなどからセントロ・インターフェース97を介して転送されてくるセントロ・データに基づいてセントロ・データ受信割込信号を生成し、その信号をCPU91へ転送する。尚、ゲートアレイ96とキャリッジ基板120との間で通信される各信号は、両者を接続するハーネスケーブルを介して転送される。
【0094】
インクセンサ19は、赤外光発光素子19aと赤外光受光素子19bとを備え、赤外光発光素子19aからインクカートリッジ2へ赤外光を照射し(図4の光路X)、その反射光(図4の光路Y)をフォトセンサである赤外光受光素子19bにより検出するものである。赤外光受光素子19bにより受光された反射光は、赤外光受光素子19bによって光電変換され、受光した反射光量に応じた電気信号として検出される。検出される信号はアナログ信号であるので、赤外光受光素子19bに接続されるA/Dコンバータ19cによりデジタル信号へと変換された後、CPU91に入力される。このインクセンサ19により検出された反射光量は、インク検出処理またはインクカートリッジ検出処理において第1または第2しきい値と比較される。これにより、インクカートリッジ2のインクの有無とインクカートリッジ装着の有無を知ることができる。尚、A/Dコンバータ19cは、アナログ信号を標本化、量子化、2進数化する等の段階を経てデジタル信号へと変換する。
【0095】
キャリッジ基板120は実装されたヘッドドライバ(駆動回路)によって印字ヘッド3を駆動するための基板である。印字ヘッド3とヘッドドライバとは、厚さ50〜150μmのポリイミドフィルムに銅箔配線パターンを形成したフレキシブル配線板により接続されている。このヘッドドライバは、本体側制御基板100に実装されたゲートアレイ96を介して制御され、記録モードに合った波形の駆動パルスを各駆動素子に印加するものである。これにより、インクが所定量吐出される。
【0096】
次に、図7〜図10に示した各フローチャートを参照して、上記のように構成されたカラーインクジェットプリンタ1で実行される各処理を説明する。
【0097】
図7は、制御プログラムの1つであるキャリブレーションデータ入力処理のフローチャートを示した図である。このキャリブレーションデータ入力処理は、出荷前に実行され、インクカートリッジ2の検出位置の位置ずれを検出し、そのずれ量を補正値としてキャリブレーションデータメモリ94aに記憶するための処理である。
【0098】
かかるキャリブレーションデータ入力処理は、カラーインクジェットプリンタ1の運転モードがその調整を行うためのメンテナンスモードに設定されている場合においてのみ実行可能であるので、このキャリブレーションデータ入力処理では、まず、メンテナンスモードフラグ93aがオンされているか否かを確認し(S1)、オンされていなければ(S1:No)、このキャリブレーションデータ入力処理を終了する。一方、メンテナンスモードフラグ93aがオンされていると(S1:Yes)、原点センサ106でキャリッジ5が原点にあることを確認した後、CRモータ101を駆動してキャリッジ5を原点から所定距離移動させることによりキャリッジ5をホームポジションに移動する(S2)。次に、赤外光発光素子19aを所定光量で点灯し(S3)、キャリッジ5をインクセンサ19方向へ低速で移動する(S4)。そして、所定の検出位置に達すると(原点から所定距離だけキャリッジ5が移動すると)、インクセンサ19による反射光量の検出を開始し、インクカートリッジ2によって反射される反射光レベル(反射光量)を、赤外光受光素子19bで受光し、A/Dコンバータ19cを介してCPU91に取り込む(S5)。この反射光レベルの検出は、本来のインクカートリッジ2の検出位置だけでなく、キャリッジ5の幅よりも広い範囲にわたって実行され、反射光レベルがアナログデータで検出される(図11参照)。
【0099】
次いで、取り込んだ反射光レベルについて、基準のインクカートリッジ2を示す検出信号のインクカートリッジ無しレベルからインクカートリッジ有りレベルへと変化する変化位置を検出する(S6)。インクカートリッジ2の無い(未装着)位置においては、照射した赤外光の反射は小さく、従って、検出されるインクカートリッジ無しレベルの反射光レベルは小さい。一方、インクカートリッジ2がある(装着)位置においては、照射した赤外光の反射は大きく、検出されるインクカートリッジ有りレベルの反射光レベルも大きい。つまり、インクカートリッジ無しレベルからインクカートリッジ有りレベルへと反射光レベルが変化するこの変化位置が、インクカートリッジ2の検出位置となるのである(図11参照)。
【0100】
そして、本来得られるべき理論上のインクカートリッジ無しレベルからインクカートリッジ有りレベルへの変化位置(理論値)と、S6の処理で検出されたその変化位置(実際値)とのずれ(本来の検出位置と実際の検出位置とのずれ)をキャリッジの移動距離αとして算出し、そのずれを補正値としてキャリブレーションデータメモリ94aに記憶する(S7)。ここで、本来の検出位置(理論値)は、キャリッジ5の原点からの移動距離として記憶されている。よって、実際の検出位置は、その理論値の移動距離±αであり、この±αの距離が補正値となる。
【0101】
このキャリブレーションデータ入力処理でキャリブレーションデータメモリ94aに記憶された補正値は、インク検出処理およびインクカートリッジ検出処理の中で実行されるキャリブレーション処理(S15)において用いられる。これにより、インクカートリッジ2からの反射光を検出する際の検出位置を補正し、反射光レベルを正確に検出することができるのである。
【0102】
尚、本実施例ではS6の処理で基準のインクカートリッジ2において、実際の検出位置と理論上の検出位置とを比較したが、この基準のインクカートリッジ2は、キャリッジ5に搭載された4つのインクカートリッジ2の先頭インクカートリッジ2、即ち、最初に検出される(検出位置に達する)インクカートリッジ2としている。
【0103】
図8は、インクの検出、即ち、インクカートリッジ2内のインク71の有無の検出を実行するインク検出処理のフローチャートを示した図である。インク検出処理は、印字ヘッド3の動作時にインクの消費量を検出するべく所定のタイミングで繰り返して実行される処理である。
【0104】
このインク検出処理では、まず、カラーインクジェットプリンタ1で実行中の処理が何であるかをチェックする(S11)。そして、実行中の処理が印字であれば(S11:印字)、1パス分の印字を行う1パス印字処理を実行する(S12)。この1パス印字処理(S11)では消費したインクを算出するために、各インクカートリッジ2からのインクの吐出回数をそれぞれカウントし、そのカウントにより対応する第1〜第4カウンタ94b〜94eに記憶されるカウント値をカウントアップする。
【0105】
次に、インクカートリッジ2の第1〜第4ニアエンプティフラグ94f〜94iがオンされているか否かを確認する(S13)。確認の結果、第1〜第4ニアエンプティフラグ94f〜94iがオフであれば(S13:No)、そのオフされている(フラグオフの)第1〜第4ニアエンプティフラグ94f〜94iに対応するインクカートリッジ2のカウント値のうち、そのカウント値が所定数d(例えば100など)以上のものがあるか否かを確認する(S14)。このインク検出処理は、インクの吐出回数が所定数dを経る毎にインクセンサ19によるインクの有無の検出を実行する。
【0106】
ここで、そのカウント値が所定数d(例えば100など)以上であれば(S14;Yes)、インクセンサ19でインクの有無(インク無し)を検出するべく、検出位置の補正と反射光レベル(反射光量)の取り込みとを行うキャリブレーション処理を実行する(S15)。このキャリブレーション処理(S15)の実行後は、取り込んだ反射光レベルが第1しきい値以上であるか否かを判断する(S16)。この第1しきい値は、インクの有りと無しとを識別するための反射光レベルである。
【0107】
そして、S16の処理で判断した結果、取り込んだ反射光レベルが第1しきい値以上であれば(S16:Yes)、副インク貯溜室45のインク液面が反射部材53の下部を下回っており、インクレベル(インクカートリッジ2内のインク残量)がニアエンプティとなっていることを示している(インク無しと検定される)。このため、該当するインクカートリッジ2の第1〜第4ニアエンプティフラグ94f〜94iをオンし(S17)、更に該当するカウント値(対応する第1〜第4カウンタ94b〜94eに記憶されるカウント値)を0にする(S18)。その後、他の各処理を実行して(S19)、このインク検出処理を終了する。
【0108】
また、S11の処理で確認した結果、実行中の処理がパージまたはフラッシングであれば(S11:パージ、フラッシング)、パージ、フラッシング処理を実行する(S22)。このパージ、フラッシング処理(S22)は、インクカートリッジ2内の気泡を吸い出すためにインクを排出するパージ処理、または、印字ヘッド3の目詰まりを解消するためなどにインクを吐き出すフラッシング処理を実行する処理である。このパージ、フラッシング処理(S22)では、所定量のインクが排出されることとなるが、かかるインク量は印字時の吐出回数の何回分に相当するかが既知であり、かかる値は予めROM92に固定値として記憶されている。このため、かかる吐出回数で消費されたインクをカウントし、そのカウントにより対応する第1〜第4カウンタ94b〜94eに記憶されるカウント値をカウントアップする。このパージ、フラッシング処理(S22)の実行後は、その処理をS13の処理に移行する。
【0109】
一方、S13の処理で確認した結果、インクカートリッジ2の第1〜第4ニアエンプティフラグ94f〜94iがオンであれば(S13:Yes)、そのオンされている(フラグオンの)第1〜第4ニアエンプティフラグ94f〜94iに対応するインクカートリッジ2のカウント値が、エンプティしきい値以上か否かを確認する(S20)。フラグオンの第1〜第4ニアエンプティフラグ94f〜94iに対応するインクカートリッジ2のインクレベルは、インクセンサ19によるインクの検出限界を超えているので、ニアエンプティ以降のインクの吐出回数をカウントしてすることによりインクエンプティを検出するのである。
【0110】
ここで、確認したカウント値がエンプティしきい値未満であれば(S20:No)、印字を実行できるインク残量が未だ残っているので、その処理をS19の処理に移行して各処理(S19)を実行後、このインク検出処理を終了する。また、S20の処理で確認した結果、オンされた第1〜第4ニアエンプティフラグ94f〜94iに対応するインクカートリッジ2のカウント値が、エンプティしきい値以上であれば(S20:Yes)、インクエンプティの表示などを行うインクエンプテイ処理を実行する(S21)。S21の処理の実行後はその処理をS19の処理へ移行して、印字できなかったデータを一時的に記憶するなどの各処理(S19)を実行後、このインク検出処理を終了する。
【0111】
また、S14の処理で確認した結果、カウント値が所定数d(例えば100など)以上であるものがなければ(S14;No)、その処理をS19の処理に移行して各処理(S19)を実行後、このインク検出処理を終了する。
【0112】
更に、S16の処理で確認した結果、取り込んだ反射光レベルが第1しきい値未満であれば(S16:No)、インクレベルはニアエンプティではないので、S17の処理をスキップして、その処理をS18の処理に移行する。
【0113】
インクカートリッジ2の交換(脱着)が行われた場合(インクカートリッジ検出処理)に、そのインクカートリッジ2に対応する第1〜第4カウンタ94b〜94eのカウント値は0に設定され、インク吐出回数のカウントアップが開始されるが、交換されたインクカートリッジ2は、例えば使用済の品の装着や製造ばらつきなどにより、そのインク充填量にはばらつきがある。また、各カラーインクジェットプリンタ1の印字ヘッド3からのインク吐出量のばらつきなどを考慮すると、ニアエンプティに至るまでの、カウント値は必ずしも同一とはならない。このため、初期状態から、インクエンプティまでを連続してカウントアップしてしまうと、あるしきい値(所定のカウント値)をもってインクエンプティを判断することが困難となり、また、所定のカウント値で検出されるインクエンプティが不正確になりがちである。しかし、ニアエンプティが検出された時点では、インクカートリッジ2内のインク残量はほぼ同じと考えられるので、このインク残量を消費するのに必要なインクの吐出回数(カウント値)も同じとなると考えられる。よって、かかる吐出回数付近の所定数をエンプティしきい値とし、ニアエンプティ状態が検出(ニアエンプティフラグオン)された時点を0カウントとして、エンプティしきい値までをカウントアップすれば、正確にインクエンプティを検出することができる。
【0114】
図9は、図8のインク検出処理の中で実行されるキャリブレーション処理(S15)のフローチャートを示した図である。このキャリブレーション処理(S15)は、インクの有無を検出するべく、キャリブレーションデータメモリ94aに記憶されている補正値に基づいてインクカートリッジ2の検出位置を補正し、補正された検出位置において反射光レベル(反射光量)の取り込みを行う処理である。
【0115】
このキャリブレーション処理(S15)では、まず、キャリッジ5をホームポジションに移動する(S31)。そして、このホームポジションからキャリッジ5をインクセンサ19方向に移動し(S32)、キャリッジ5が、1のインクカートリッジ2の本来の検出位置に補正値が加味された位置へ達したか否かを確認する(S33)。そして、キャリッジ5がその補正値の加味された検出位置に達していると(S33:Yes)、赤外光発光素子19aを所定光量で点灯し、反射光レベルを検出する(S34)。次に、4つの(全ての)インクカートリッジ2について反射光レベルが検出されたか否かを確認し(S35)、かかる全ての反射光レベルが検出されていると(S35:Yes)、このキャリブレーション処理(S15)を終了する。
【0116】
一方、S33の処理で確認した結果、キャリッジ5が補正値の加味された検出位置に達していなければ(S33:No)、その処理をS32の処理に移行し、キャリッジ5をインクセンサ19方向に移動する。また、S35の処理で確認した結果、全てのインクカートリッジ2の反射光レベルが検出されていなければ(S35:No)、その処理をS32の処理に移行し、全てのインクカートリッジ2の反射光レベルが検出されるまで、このキャリブレーション処理(S15)を実行する。
【0117】
尚、キャリブレーション処理(S15)では、各インクカートリッジ2の所定位置(1ポイント)から反射される反射光量(反射光レベル)をインクセンサ19で検出するようになっている。即ち、反射光レベルはピンポイントで検出されたピンポイントデータである。このため、処理するべきデータ量を軽減し、データの処理を効率的に行うことができるのである。また、インクの有無の検出は印字動作中に行われるのでキャリッジ5は高速で移動されているが、キャリブレーションデータメモリ94aに記憶されている補正値に基づいて各インクカートリッジ2は的確に検出位置へと搬送される。このため、正確に(ポイントデータであっても)反射光レベルを検出することができる。
【0118】
図10は、インクカートリッジ検出処理のフローチャートを示した図である。このインクカートリッジ検出処理は、インクカートリッジ装着の有無を検出するための処理である。よって、インクカートリッジ2が交換されたタイミングで行われるものであるが、カラーインクジェットプリンタ1のカバーに設けられたセンサが、カバーの開閉を認識することをインクカートリッジ交換と認識して実行される。
【0119】
このインクカートリッジ検出処理では、まず、カバーが開けられた後、閉じられたか否かを確認する(S41)。そして、カバーが閉じられたことを検出すると、上記したキャリブレーション処理(S15)が実行され、所定の検出位置でインクカートリッジ2の反射光の検出が実行される。その後、第1〜第4ニアエンプティフラグ94f〜94iがオンされているインクカートリッジ2の反射光レベルが、第1しきい値未満か否か、即ち、インクが充填された状態であるか否かを確認し(S43)、その結果、その反射光レベルが第1しきい値未満であれば(S43:Yes)、インク残量の少なかったインクカートリッジ2が交換されたということであり、該当するインクカートリッジ2のニアエンプティフラグ94f〜94iをオフし(S44)、更に該当するインクカートリッジ2のカウンタ94b〜94eのカウント値をクリアする(S45)。その後、第2しきい値(インクカートリッジ未装着を検定するためのしきい値)以上となる反射光レベルを4箇所検出したか否かを確認し(S46)、その結果、第2しきい値以下となる反射光レベルが検出されると(S46:No)、インクカートリッジ未装着が検定されたこととなり、インクカートリッジ未装着を報知などするインクカートリッジ無しエラー処理を実行した後(S47)、このインクカートリッジ検出処理を終了する。
【0120】
また、S41の処理で確認した結果、カバーが閉じられていなければ(S41:No)、このインクカートリッジ検出処理を終了する。更に、S43の処理で確認した結果、その反射光レベルが第1しきい値以上であれば(S43:No)、その処理をS46の処理に移行する。一方、S46の処理で確認した結果、第2しきい値を越える反射光レベルが4箇所検出されていると(S46:Yes)、インクカートリッジ2は全て装着されているということであり、このインクカートリッジ検出処理を終了する。
【0121】
図11は、インクカートリッジ2の反射光レベルの変化を模式的に示した図である。縦軸には反射光量が示されており、縦軸上を上に行くほどその反射光量が大きくなるようになっている。また、インク無しを検定する第1しきい値が破線で表示されており、かかる第1しきい値以上はインク無し(ニアエンプティ)を示す反射光レベルであり、第1しきい値未満はインク有りを示す反射光レベルとなっている。また、この第1しきい値の下方にはインクカートリッジ未装着を検定するための第2しきい値が破線で示されている。
【0122】
図11(a)は、本来の検出位置において検出された理論上の反射光レベルを示した図である。図に示したように、得られた反射光レベル(信号波形)を第1しきい値で検定すれば、インクの有無を検出することができ、同じ反射光レベルを第1しきい値より小さな第2しきい値で検定すれば、インクカートリッジ2の有無を検出することできる。これは、インクの有りと無しおよびインクカートリッジ有りと無しとにおいて明確な反射光量差が得られるためである。
【0123】
また、図11(b)は、キャリブレーションデータ入力処理において検出された反射光レベルの信号波形を示した図である。この図11(b)では、インクセンサ19の取り付け角度がインクカートリッジ2の被照射面に対し垂直方向にずれた場合の反射光レベルの信号波形が示されており、実際の検出位置が本来の検出位置よりも手前となっていることが示されている。先頭のブラックのインクが貯溜されるインクカートリッジ2aは、キャリブレーションデータ入力処理において基準となるインクカートリッジであり、このブラックのインクカートリッジ2aにおける本来の検出位置からのずれ量αが補正値となっている。
【0124】
次に、図12を参照して第2実施例について説明する。第1実施例のインクカートリッジ2が反射部材53によって赤外光の光路を変更するように構成されていたのに対し、第2実施例のインクカートリッジ130は、赤外光を吸収する赤外光吸収部材131を備えている。なお、前記した第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0125】
図12(a),(b)は、インクカートリッジ130とインクセンサ19との側面図であり、インクカートリッジ130の一部を断面視している。なお、図12(a),(b)では、ヘッドユニット4、インクセンサ19の取り付け部材等を省略して模式的に図示している。
【0126】
インクカートリッジ130は、第1実施例と同様に、赤外光が照射される傾斜部51aの内面側(インク界面側)には、プリズム52が形成されており、インクカートリッジ130の内部は、フォーム48が収納される主インク貯留室44と、後述する赤外光吸収部材131が収納される副インク貯留室45とが区画壁42により区画されて形成されている。赤外光吸収部材131は、インクセンサ19の赤外光発光素子19aから照射されインクカートリッジ130内へ透過した赤外光を吸収するための部材であり、プリズム52と所定間隔を隔てて対向した状態で副インク貯留室45内に配設されている。
【0127】
次に、赤外光吸収部材131が配設されたインクカートリッジ130内のインク71の有無を検出する検出方法について説明する。インクセンサ19は、第1実施例と同様に、赤外光発光素子19aからインクカートリッジ130の傾斜部51aに向かって赤外光を発光する。そして、反射光を赤外光受光素子19bが受光し、かかる反射光の光量が一定値以下の場合には、インクカートリッジ130内にインクが有ると判断し(図12(a)の場合)、その反射光の光量が一定値以上の場合には、インクカートリッジ130内にインクが無いと判断する(図12(b)の場合)のである。
【0128】
詳細には、副インク貯留室45内がインク71で満たされている場合には、図12(a)に示すように、赤外光発光素子19aから照射された赤外光は(光路X)、傾斜部51a(プリズム52)の材質の屈折率とインク71の屈折率とが非常に近いため、インク71を透過しつつインクカートリッジ130内を進行する。そして、副インク貯留室45内に配設されている赤外光吸収部材131へ到達し、その赤外光は、かかる赤外光吸収部材131に吸収される。よって、インクセンサ19の赤外光受光素子19bが受光する反射光の光量は小さいもの(一定値以下)となる。
【0129】
ここで、傾斜部51aは、第1実施例と同様に、赤外光吸収部材131に対して略20度で傾斜している。そのため、例えば、赤外光吸収部材131の赤外光吸収特性が時間経過とともに劣化し赤外光を反射してしまうようになった場合でも、赤外光吸収部材131に到達した赤外光は、傾斜部51a(即ち、光路X)とはことなる方向へ反射することとなり、インクセンサ19の赤外光受光素子19bが検出するインクの有無検出とは関係のない反射光の光量を抑制することができるのである。
【0130】
これに対して、副インク貯留室45内のインク71が消費された場合には、図12(b)に示すように、インクセンサ19の赤外光発光素子19aから照射された赤外光は(光路X)、傾斜部51a(プリズム52)の材質の屈折率と空気の屈折率とが異なるため、プリズム52と空気との界面で反射する(光路Y)。よって、インクセンサ19の赤外光受光素子19bが受光する反射光の光量は大きなもの(一定値以上)となる。
【0131】
以上説明したように、第2実施例におけるインクカートリッジ130によれば、赤外光吸収部材131によりインクの有無検出には関係のない赤外光を吸収することができるので、インクカートリッジ130内から反射する反射光は、インクの有無に応じてその光量が大きく変化し、かかる光量の差をインクセンサ19の赤外光受光素子19bを用いて検出することによって、インクカートリッジ130内に貯留されるインクの有無を正確に検出することができるのである。
【0132】
また、傾斜部51a(プリズム52)及び赤外光吸収部材131は、副インク貯留室45の上方に配設されているので、インクカートリッジ130内のすべてのインク71が消費されてしまう前に、余裕を持ってインクの有無を判断できるのである。
【0133】
なお、上記した赤外線吸収部材としては、一般に入手可能な公知の赤外線吸収部材を適宜選択して使用することができる。例えば、ガラス材を母材としてV(バナジウム),Fe(鉄),Cu(銅),Co(コバルト),Ni(ニッケル)等を単独で、或いは、複数種類を混入して形成したものでも良い。また、母材としては固体、液体に限らないが、例えば、アセチルアセトンの金属キレート化合物、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、ジアミンジスエチレンチオラトニッケル誘導体、芳香族ジアンミン金属錯体、芳香族ジチオール金属錯体、脂肪族ジチオール金属錯体等の赤外線吸収剤を母材に含有させたものでも良い。また、特定の領域の光波長を吸収するフィルター特性を有したものを使用しても良く、特に、光波長700nm〜900nmの赤外光の吸収率が90%以上であるものが望ましい。
【0134】
尚、第2実施例のカラーインクジェットプリンタ1の電気的構成は、図6に示した第1実施例のカラーインクジェットプリンタ1の電気的構成に同じであり、また、第2実施例のカラーインクジェットプリンタ1で実行される各処理についても、図7〜図10に示した第1実施例のカラーインクジェットプリンタ1で実行される各処理と同様であるので、その説明を省略する。
【0135】
以上、上記各実施例において説明したように、本発明の画像形成装置によれば、インクカートリッジ2の被照射面に非垂直に光を照査し、その反射光量を光学検出器により検出する。そして、検出した反射光量をインク無しを検定するためのしきい値と、インクカートリッジ未装着を検定するためのしきい値と比較して、インク無しとインクカートリッジ未装着とを検定することができる。よってインクカートリッジ2から反射された反射光に基づいて、インク71の有無とインクカートリッジ装着の有無とを正確に検出することができる。
【0136】
また、実際のインクカートリッジ2の検出位置と、理論上の検出位置との誤差を算出し、その算出した誤差に基づいて、インク無し又はインクカートリッジ未装着を検定する際にキャリッジ5の位置を補正する。このため、インクセンサ19の取り付け誤差によって、該インクセンサ19によるインクカートリッジ2の検出位置が、本来の位置とずれたとしても、かかるずれを補正することができ、反射光量を正確に検出することができる。
【0137】
尚、本発明は、上記した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変形が可能である。例えば、上記第1実施例においては、傾斜部51aと反射部材53との対向面が略20度傾斜するように、傾斜部51aが傾斜した状態で形成されたが、本発明はそれに限定されるものではなく、傾斜部51aを傾斜させる代わりに、反射部材53が傾斜して形成されていても良い。かかる場合であっても、本第1実施例と同様の効果を奏し得る。
【0138】
また、第1実施例においては、反射部材53を袋状に形成し、その袋状の内部に空気72を充填することにより、反射部材53に到達する光を反射させているが、反射部材53に到達する光を反射できれば反射プレートで構成しても良い。また、副インク貯留室45内に反射部材53を別途設けたが、主インク貯留室44と副インク貯留室45とを区画する区画壁42を反射部材53として構成しても良い。
【0139】
また、上記第2実施例においては、赤外光が照射される傾斜部51aは、赤外光吸収部材131に対して傾斜して構成されたが、これら傾斜部51aと赤外光吸収部材131とが平行になるよう構成しても良い。即ち、図13(a),(b)は、インクカートリッジ140とインクセンサ19との側面図であるが、この図13(a),(b)に示すように、側壁51を側面視直線状に形成し、赤外光吸収部材141と側壁51(プリズム52)とが平行に配置されるようにインクカートリッジ140を構成しても良いのである。インクの有無検出の原理は、上記したものと同様であるので省略するが、この場合においても、赤外光発光素子19aから照射される赤外光の光路X上に赤外光吸収部材141を配置することにより、インクの有無検出を精度良く行うことができるのである。
【0140】
また、第2実施例においては、区画壁42或いはフォーム48を赤外光吸収部材として構成しても良い。さらに、赤外光吸収部材131,141は、第1実施例において示された袋状に形成された反射部材53の内部に収納されていても良い。この場合には、赤外光吸収部材131,141をインク71と区画した状態でインクカートリッジ内に配設することができるので、例えば、耐インク性に劣る材質、或いは、インクへ悪影響を及ぼす材質からなる部材であっても光吸収部材として使用することができるのである。また、その袋状に形成された反射部材53の内部を利用して赤外光吸収部材を密閉することもできるので、かかる赤外光吸収部材を液体により構成することもできるのである。
【0141】
また、上記各実施例においては、画像形成装置としてカラーインクジェットプリンタ1を用いたが、本発明はそれに限定されるものではなく、例えば、インクジェット方式の複写機やファクシミリ装置などにも適用することができる。また、カラーインクジェットプリンタ1には4つのインクカートリッジ2が装着されたが、1以上の所定数のインクカートリッジ2を装着されるように構成しても良い。
【0142】
また、上記各実施例においては、キャリブレーションデータ入力処理で、本来の検出位置と実際の検出位置とのずれの補正を行うための補正値を、基準となる1のインクカートリッジ2に基づいて算出し、キャリブレーション処理(S15)では、算出されたその1の補正値により、インクカートリッジ2の位置補正を行った。しかし、これに代えて、各インクカートリッジ2について補正値を検出する、或いは、両端のインクカートリッジ2について補正値を検出し、検出された各補正値に基づいて、インクカートリッジ2の位置補正を行っても良い。これにより、更に正確に、インクカートリッジ2からの反射光を的確な検出位置において検出することができる。
【0143】
また、上記各実施例においては、1のインクカートリッジ2に対応させて1のカウンタ(第1〜第4カウンタ94b〜94e)を設けた。そして、インク検出処理において、該カウンタによりインク検出間隔のカウントを行う一方、ニアエンプティフラグ94f〜94iがオンされると、オンされたニアエンプティフラグ94f〜94iに対応する第1〜第4カウンタ94b〜94eのカウント値を0クリアし、新たにインクの吐出回数をエンプティしきい値までカウントするように構成した。しかし、これに代えて、1のインクカートリッジに対応させて2のカウンタを設け、インク検出処理では、1のカウンタにおいて初回からインクエンプティとなるまでのトータルのインクの吐出回数をカウントし、もう一方のカウンタにおいて、インクの吐出回数により検出間隔をカウントするようにしても良い。
【0144】
【発明の効果】
請求項1記載のインクカートリッジによれば、インク貯留室内には、画像形成装置の発光素子からインク検出窓へ照射されインク貯留室内へ透過した光を吸収する吸収部材が配設されている。そのため、インク貯留室内へ透過した光は光吸収部材により吸収されるので、インク貯留室内で反射するインク有無検出とは関係のない反射光を画像形成装置の受光素子が受光してしまうことを抑制することができるという効果がある。よって、画像形成装置の受光素子は、光量差が大きい反射光をインク有無時において受光することができるので、インク有無検出の誤検出が防止され、インク有無検出の検出精度を向上させることができるのである。
また、その光吸収部材は、前記インク貯留室の内部に区画壁によって形成されるインクと隔離された内部空間内に配置されているので、光吸収部材をインクと区画した状態で配設することができるという効果がある。従って、例えば、耐インク性に劣る材質、或いは、インクへ悪影響を及ぼす材質からなる部材であっても光吸収部材として使用することができるという効果がある。
【0145】
請求項2記載のインクカートリッジによれば、請求項1記載のインクカートリッジの奏する効果に加え、インク検出窓からインク貯留室内へ透過した光が多孔質体へ向かう光路上には、光透過性部材の内部に配設された光吸収部材が設けられている。よって、インク検出窓の位置までインク貯留室内にインクが貯留されている場合には、インク検出窓からインク貯留室内へ透過した光は多孔質体で反射する前に光吸収部材により吸収されるので、画像形成装置の受光素子がインク有無検出に関係のない多孔質体からの反射光を受光してしまうことを抑制することができるという効果がある。
【0146】
請求項3記載のインクカートリッジによれば、請求項2記載のインクカートリッジの奏する効果に加え、光吸収部材が配設される内部空間は、インク検出窓からインク貯留室内へ透過した光が多孔質体へ向かう光路上に設けられている。よって、インク検出窓の位置までインク貯留室内にインクが貯留されている場合には、インク検出窓からインク貯留室内へ透過した光は多孔質体で反射する前に光吸収部材により吸収されるので、画像形成装置の受光素子がインク有無検出に関係のない多孔質体からの反射光を受光してしまうことを抑制することができるという効果がある。
【0147】
請求項4記載のインクカートリッジによれば、請求項1から3のいずれかに記載のインクカートリッジの奏する効果に加え、インク検出窓のインク界面側にはプリズムが形成されている。よって、画像形成装置の発光素子からインク検出窓に対して斜めに光を照射することにより、画像形成装置の受光素子はインク界面側から反射する反射光を主に受光することができ、インク検出窓の表面(反インク界面側)から反射するインク有無検出に関係のない反射光を画像形成装置の受光素子が受光することを抑制することができるという効果がある。更に、そのプリズムは、インクの残留を防止する方向に形成されている。よって、プリズム上にインクが残留し、かかる残留インクによって所望の反射光が得られなくなることを防止することができる。
【0148】
請求項5記載のインクカートリッジは、請求項1から4のいずれかに記載のインクカートリッジの奏する効果に加え、インク検出窓と光吸収部材との対向面は所定間隔を有して配置されている。よって、インク検出窓からインク貯留室内へ透過し光吸収部材で反射した光はインク検出窓と異なる方向へ向けて進行する。よって、光吸収部材の光吸収率が低い場合でも、その光吸収部材から反射したインク有無検出とは関係のない反射光を画像形成装置の受光素子が受光してしまうことを抑制することができるという効果がある。
【0149】
請求項6から8のいずれかに記載のインクカートリッジによれば、請求項1から請求項5に記載のインクカートリッジの奏する効果に加え、光吸収部材は赤外光吸収性を有しているので、画像形成装置の発光素子および受光素子を一般に使用され安価な赤外光発光素子および赤外光検出センサを使用することができる。よって、画像形成装置を製造するにおいて、流通性、コストパフォーマンスに優れるという効果がある。
【0150】
【0151】
【0152】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例におけるインクカートリッジが装着されるカラーインクジェットプリンタの斜視図である。
【図2】 インクカートリッジがヘッドユニットに装着された状態を示す側面図である。
【図3】 (a)は、インクカートリッジ2の側断面図であり、(b)は、図3(a)のIIIb−IIIb線における部分断面図であり、(c)は、インクカートリッジ2の底部の斜視図である。
【図4】 (a),(b)は、インクカートリッジとインクセンサとの側面図である。
【図5】 インクカートリッジとインクセンサとの上面図である。
【図6】 カラーインクジェットプリンタ1の電気回路構成の概略を示すブロック図である。
【図7】 制御プログラムの1つであるキャリブレーションデータ入力処理のフローチャートを示した図である。
【図8】 インクの検出を実行するインク検出処理のフローチャートを示した図である。
【図9】 図8のインク検出処理の中で実行されるキャリブレーション処理のフローチャートを示した図である。
【図10】 インクカートリッジ検出処理のフローチャートを示した図である。
【図11】 インクカートリッジの反射光レベルの変化を模式的に示した図である。
【図12】 (a),(b)は、第2実施例におけるインクカートリッジとインクセンサとの側面図である。
【図13】 (a),(b)は、第2実施例におけるインクカートリッジとインクセンサとの側面図である。
【図14】 (a),(b)は、従来のインクの有無検出の原理を説明するためのインクカートリッジの断面図である。
【符号の説明】
1 カラーインクジェットプリンタ(画像形成装置)
2 インクカートリッジ
41,42 区画壁(区画壁、光吸収部材)
44 主インク貯留室(主貯留室、インク貯留室の一部)
45 副インク貯留室(副貯留室、インク貯留室の一部)
48 フォーム(多孔質体、光吸収部材)
51 側壁(外壁面)
51a 傾斜部(インク検出窓、外壁面の一部)
52 プリズム
53 反射部材(袋状に形成される内部空間)
60 インク
131,141 赤外光吸収部材(光吸収部材)

Claims (8)

  1. インクを貯留可能なインク貯留室を備え、そのインクを用いて画像を形成する画像形成装置に着脱自在に装着されるインクカートリッジにおいて、
    前記インク貯留室の外壁面には、光が透過可能な光透過性を有するインク検出窓が設けられており、
    前記インク貯留室の内部を袋状に区画してインクと隔離された内部空間を形成する区画壁が前記インク検出窓と所定間隔を隔てて配設されており、
    その袋状に形成された区画壁の内部空間内には、前記インク検出窓を透過した光を吸収する光吸収部材が配設されていることを特徴とするインクカートリッジ。
  2. 前記インク貯留室に収納されインクを含浸可能な多孔質体を備え、
    前記光吸収部材は、前記インク検出窓から前記インク貯留室内へ透過した光が前記多孔質体へ向かう光路上に設けられていることを特徴とする請求項1記載のインクカートリッジ。
  3. 前記区画壁は、更に、前記インク貯留室を、前記インク検出窓を有する副貯留室と、前記多孔質体を収納する主貯留室とに区画し、
    前記区画壁のうち前記インク貯留室の内部を袋状に区画する部分は、前記インク検出窓から透過した光が収納前記多孔質体へ向かう光路上に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のインクカートリッジ。
  4. 前記インク検出窓は、前記インクとの界面側に複数のプリズムを備え、そのプリズムは前記インクの残留を防止する方向に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のインクカートリッジ。
  5. 前記インク検出窓と前記光吸収部材とは、その対向面が相手の対向面に対して所定の角度を有するように配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のインクカートリッジ。
  6. 前記光吸収部材は、赤外光吸収性を有するものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のインクカートリッジ。
  7. 前記光吸収部材は、光波長700nm〜900nmの赤外光の吸収率が90%以上であるフィルター特性を有するものであることを特徴とする請求項6記載のインクカートリッジ。
  8. 前記区画壁によって区画された内部空間には、前記光吸収部材として赤外光吸収性を有する液体が充填されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のインクカートリッジ。
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